JP4492429B2 - シート給送装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンタ、印刷機等に用いられるシート給送装置に関し、より詳しくはOHPシート、塗工紙、筋押ししてある用紙等を含む多様な紙質のシートを、確実に1枚ずつ分離して画像形成部へ送り出すことができるシート給送装置に関する。
複写機、プリンタ又は印刷機には、給紙台に多数枚積層された記録紙を1枚ずつ送り出す給紙ローラ等が設けられている。このようなシート給送装置では、多数枚の記録紙が重ね合わされて一度に送り出される(ダブルフィードという)と紙詰まりの原因となるし、また紙粉等による給紙ローラのすべりのために送り込み力が小さくなると記録紙を送り出すことができない、いわゆるミスフィードの原因となる。そのため、シート給送装置では確実に1枚ずつ給紙できるような工夫が施されている。
例えば、給紙ローラと記録紙との間の摩擦係数を大きくして、ミスフィードを防止すると共に、ダブルフィードが生じた場合には積層された記録紙の一番上の記録紙だけが画像形成装置に送り込まれるように、2枚目以降の記録紙を給紙台へ押し戻す工夫がなされている。このような重送防止方法は複写機専用の普通記録紙のみを使用している限りでは、効果的な方法である。
しかし、最近では複写機、プリンタ又は印刷機の用途が拡大し、OHPシート、塗工紙、筋押しした記録紙をはじめ、多様な紙質のシートが使用されるようになってきた。これらシート材の中には、その平滑性のために積層した場合のシート相互間の密着力が強く、特に高湿環境のもとでは一番上のシートとそれ以下のシートが吸着し、従来の給紙ローラによる分離摩擦方式では重送を確実に防止することが困難な場合が生じた。
そのため、密着性の高いシートを1枚ずつ捌いて給紙することが求められるシート給送装置では、給紙ローラ等によるシート捌き手段のほかに、空気を吹き付けてシートの捌きを補助するエアアシスト方式が用いられるようになった。このエアアシスト方式とは、積載されたシートの端面に対向した位置に送風口を設けて、この送風口から積層されたシート材の上層部端面に空気を吹き付け、密着したシートの間隙に空気を通過させてシート間の密着をほぐし、捌きやすくなったシートを通常の給紙ローラによって1枚ずつ分離給紙する方法である。
特許文献1には、このエアアシスト方式を採用したシート給送装置であって、ファンの送風口上部に記録紙押さえをつけたスライドシャッタを設けることで確実に記録紙の側端部に空気を吹き付けて捌きを行うことのできるシート給送装置が開示されている。また特許文献2にはスライドシャッタを上下動させてシートの捌き効果を向上させるシート給送装置が開示されている。
特開2004−189432 特開2003−312874
ところで、給紙台に積層載置された密着性の高いシートの上層部端面に、対向する位置から一定流量の空気を継続的に吹き付けると、相対的に吸着力の弱い部分からシートの上層部が浮上し、送風口付近におけるシートの最上部の高さは上昇する。そのため、浮上した複数のシートの間隙には空気を吹き付けることができず、完全な分離が困難な場合が生じる。この上昇した位置においても安定してシートの間隙に空気を送り込み続けることができるようにするためには送風口の上面の高さ位置を上方に移動する必要がある。
この送風口の上端面が上方に移動すべき高さ位置は、浮き上がったシートの最上位の高さよりも高い位置に設定しなければならず、これ以下の高さ位置に設定すると、最上位のシートから数えて2枚目以下のシートの浮き上がりによって、送風口の上端面の高さ以上に持ち上げられた複数枚のシートが再び密着する原因となる。
しかし一方、送風口の上端面の高さ位置を浮き上がったシートの最上位の高さ位置よりも高い位置に最初から設定する場合には、空気が送り込まれる前の段階で、給紙台に載置されたシートの最上面と送風口の上端面の高さ位置との間に大きな隔たりができるため、シート最上面の上部に空気の通り道ができてしまう。
そのため、シートが浮き上がる前の段階でシートの積層端面にかかる風圧は弱くなってしまい、密着性の非常に強いシートの場合には、この状態で空気の吹き付けを開始してもシートは浮き上がらず、結果として重送や給紙不良の防止に効果を発揮することができない。シート最上面の上部に空気の通り道ができていてもシートの捌き効果を維持しようとすると、非常に高い風圧(流量)が要求されることとなり、送風手段の大型化に伴う高コスト化、消費電力の増大、騒音の増大といった新たな問題の発生を招くことになる。さらに、高い風圧によって柔らかい薄手のシートには衝撃による疵が発生するおそれもある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、エアアシスト方式を用いたシート給送装置において、送風手段を大型化することなく簡易な構成で空気の流量を増加する(風圧を高める)ことにより密着性の強いシートを確実に捌くことができ、重送及び給紙不良を防止することのできるシート給送装置を提供することを目的としている。また、流量を増加しても、柔らかい薄手のシートに対して傷をつけることのないシート給送装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る請求項1に記載のシート給送装置は、シートを積層載置する給紙台と、前記給紙台に載置されたシートを、その最上部から一枚ずつ給紙する給送手段と、前記給紙台に載置されたシートの積層端面にエアを吹き付けるファンと、前記送風手段の前記エアの流量を一時的に増加させる送風制御手段と、を備え、前記送風制御手段が、前記ファンの吸気口又は排気口の少なくともいずれか一方の遮蔽及び開放を行うシャッタ部材と、ソレノイドを有し、該ソレノイドへの通電状態を切り換えることで前記シャッタ部材の前記遮蔽及び開放を切換制御するシャッタ駆動手段と、を有しており、前記シャッタ駆動手段が前記シャッタ部材により前記ファンの吸気口又は排気口の少なくともいずれか一方を遮蔽したのち、所定時間後に遮蔽された前記吸気口又は排気口を開放することで、開放時に前記エアの流量を一時的に増加させることを特徴としている。
請求項2に記載のシート給送装置は、前記シャッタ駆動手段は、前記ソレノイドへ通電することで前記シャッタ部材を開放することを特徴としている。
請求項3に記載のシート給送装置は、前記ソレノイドへの通電が遮断している状態では、バネによる付勢力で前記シャッタ部材を遮蔽していることを特徴としている。
請求項4に記載のシート給送装置は、特にシャッタ駆動手段が、給送手段によるシート給紙作動中に、シャッタ部材を連続的に所定間隔で開閉駆動するように構成されている。特に請求項に記載のように、シャッタ部材による吸気口又は排気口の開放時間及び遮蔽時間をそれぞれ独立に調整可能とするように構成することは効果的である。
請求項に記載のシート給送装置では、シャッタ駆動手段が、ファンの遮蔽時間又は開放時間の少なくともいずれか一方を、給紙台に載置されたシートの特性に応じて変化させる時間調整手段を備えて構成されている。
また請求項に記載の画像形成装置は請求項1から請求項のいずれかに記載のシート給送装置を、画像形成装置内の給紙部に備えて構成されている。上記手段及び構成によれば以下のような作用効果を達成することができる。
本発明に記載のシート給送装置では、給紙台に載置されたシートの積層端面に送出するエアの風圧(流量)を一時的に増加させているので、定常時の流量が少ない送風手段を用いても、強い捌き効果を得ることができる。すなわち、送風手段を大型化することなく、エアアシスト効果を高めることができる。
特に送風手段をファンにより構成し、そのファンの吸気口又は排気口にシャッタ部材を設けて一時的に所定時間だけ遮蔽すると、ファンの回転数が上昇する。この回転数が上昇した状態で再びシャッタを瞬時に開放すると、ファンの羽根自身が有するイナーシャによって高速回転が維持されたまま送風が開始される。その結果、開放直後の流量が上がり、定常回転状態における風圧よりも大きな風圧をシートの端部に供給できる。従って、このような構成にすれば、ファンの大型化を招くことなく密着性の高いシートのエアアシスト効果を向上させることができる。この効果はファンとしてイナーシャの大きな遠心ファンを使用することで顕著に確認することができる。
また、シート給紙動作中に、シャッタ部材を所定の時間間隔で連続的に開閉駆動すると、ファンの吸気口又は排気口の遮蔽時には、それまでの送風によって上方に浮上していた記録紙は、その自重により次第に降下してくる。そこで、再びシャッタを開放して瞬発的な突風をシートの側端面に吹き当てることができるので、定常的に同一流量のエアを吹き当てている時よりもエアアシスト効果を増大させることができる。特に一度分離したシートが再密着することを効果的に防止することができる。
さらにシャッタ部材によるファンの吸気口又は排気口の開放時間及び遮蔽時間をそれぞれ異なる時間に調整可能とし、なおかつシートの特性に応じて調整する時間調整手段を設けることにより、浮上したシート束の揺動に合わせてエアの流量を変化させることができるので、柔らかく傷つきやすいシート材に対しても突風の衝撃等で傷をつけることがなく、様々な種類のシートに対して安定した捌き効果を実現することができる。
本発明にかかる画像形成装置のように、上記シート給送装置をその給紙部に有して構成すれば、使用する様々な種類のシートに対しても安定した給紙動作を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1は第一の実施の形態であるシート給送装置10と、このシート給送装置10が接続された画像形成装置の一態様であるディジタル複写機100の全体構成図を示す。このディジタル複写機100は、画像読取部、図示しない画像処理部、画像形成部、給紙部、定着装置180、排紙部、及び自動両面コピーのための両面複写給紙ユニット130等を備えて構成されている。
ディジタル複写機100の上部には原稿載置板101が設けられ、複写する原稿Dがその上に載置される。画像読取部は原稿Dを照射する露光ランプ110と、露光ランプ110と一体に移動するミラー111、このミラー111の移動距離の半分を移動するルーフミラー112,113と、結像レンズ114及びCCD(イメージセンサ)115から構成されている。画像読取部では、露光ランプ110が移動しながら原稿Dを照射することによりその画像データを読み取り、その反射光が二枚のルーフミラー112,113および結像レンズ114によってCCD115上に導かれて光画像を形成する。
画像形成部は表面に潜像が形成されるドラム状の感光体102を中央に有しており、感光体102の外周面に沿って動作順に、この感光体102の表面をほぼ一様に帯電する帯電装置103、感光体102の表面上に静電潜像の書き込みを行う露光部、感光体102の表面に形成された潜像にトナーを転移させてトナー画像を形成する現像装置104、感光体102が担持するトナー像を記録シートPに転写したのち記録シートPを感光体102から分離する転写分離装置105及び転写後の感光体102の表面を清掃するクリーニング装置106が配設されている。
CCD115で読み取られた画像データは画像処理部でA/D変換等の必要な処理が行われた後、露光部に搬送される。ディジタル化した画像データは露光部でレーザ光に重畳され、ポリゴンミラー116により走査される。走査されたレーザ光はルーフミラー117,118により反射され、fθレンズ119、シリンドリカルレンズ120、角度調整ミラー121を介して感光体102の表面を露光する。
露光に先立ち、感光体102上には、帯電装置103のコロナ放電により所定の表面電荷が付与されているが、レーザ光の照射により露光部分の電荷が露光量に応じて減じられ、結果として画像情報データに応じた静電潜像が感光体102上に形成される。静電潜像は、現像装置104から供給された現像剤トナーにより可視化されてトナー画像となる。
ディジタル複写機100の下部には給紙部が配置されている。給紙部は両面複写給紙ユニット130と、給紙ユニット140,150,160が上下方向に重なるように配置されており、給紙ユニット140,150,160には異なるサイズの記録シートPが収納される。例えば、印刷指令により給紙ユニット140内に収納された記録シートPが選択されると、ピックアップローラ141が最上位の記録シートPを回転摩擦力により給紙を開始し、フィードローラ143と分離ローラ142が最上部の1枚のみを搬送路170に送り出す。
記録シートPは搬送路170上を感光体102方向へ搬送され、レジストローラ172で一端停止させられる。レジストローラ172で斜行が矯正された後、トナー画像とのタイミングが図られて、感光体102と転写分離装置105の間に搬送される。転写分離装置105では感光体102の表面に形成されたトナー画像が記録シートPに転写され、また感光体102の表面から分離される。その後、記録シートPの搬送装置173によって定着装置180に搬送され、定着処理される。
定着装置180は加熱ローラ181と加圧ローラ182とを備えており、記録シートP上の未定着トナーを加熱ローラ181と加圧ローラ182とが作るニップ部に挟みこんで溶融圧着し、安定したトナー画像を記録シートP上に形成する。定着が完了した記録シートPは排紙案内ローラ174により案内されて外部に排紙される。片面複写の場合には、排紙切換部材175が下降し記録シート案内部177が閉じられるので、記録シートPはそのまま排紙トレイ176上に載置される。
両面複写の場合は排紙切換部材175が上昇し、記録シート案内部177が開放されるので、記録シートPは記録シート案内部177(破線矢印方向)に搬送される。記録シートPは搬送ローラ178によりさらに下方向に搬送され、記録シートPの後端が記録シート反転ローラ179に挟持されたとき、その搬送方向が反転される。その結果、記録シートPの後端部が先端部となって逆方向に搬送され、両面複写給紙ユニット130内に送り込まれる。
記録シートPは両面複写給紙ユニット130内の搬送ベルト131によって通常の搬送路170方向へ搬送され、給紙ローラ132によって搬送路170に送り込まれたとき、記録シートPは反転されている。この反転された記録シートPは再びレジストローラ172まで搬送されて斜行が矯正された後、感光体102上に形成されたトナー画像とのタイミングが図られて転写分離装置105に送り込まれる。転写分離装置105では感光体102上のトナー画像の記録シートPへの転写が行われ、その後、定着装置180において定着処理されて両面コピーが完了する。
ディジタル複写機100の中央部側面には機外から搬送路170に連通する給紙路171が設けられている。この給紙路171は外部に設けられた大容量のシート給送装置10から又は手差しで給紙が可能なように設けられたものである。通常はシート給送装置10がディジタル複写機100に接続されたとき、シート給送装置10の排紙口17と給紙路171の給紙口が同じ高さになるように形成されている。
シート給送装置10には図示しない駆動手段によって上下に平行移動する給紙台としてのトレイ11が設けられ、トレイ11には大量の記録シートPが積層載置される。積載された記録シートPは側部規制部材30によってその両サイド方向の動きが規制され、給紙動作中における幅方向へのズレが防止される。
シート給送装置10の上部であって、トレイ11の上方には給送手段としてのピックアップローラ14と重送防止ローラ対15が設けられている。ピックアップローラ14はローラ摩擦力により記録シートPをトレイ11から送出するものであり、ピックアップローラ14が、トレイ11により上昇駆動されてきた記録シートPの最上面に当接し、持ち上げられる時点を記録シートPの上限位置として検知して送出が開始される。記録シートPの送出方向下流側に位置する重送防止ローラ対15はピックアップローラ14によって送り出された記録シートPが2枚以上であった場合は一番上の記録シートPのみを搬送し、他の記録シートPをトレイ11側に押し戻す役割を果たす。
重送防止ローラ対15によって搬送された記録シートPは搬送ローラ対16にガイドされて排紙口17からディジタル複写機100へ送り込まれ、ディジタル複写機100のレジストローラ172まで搬送される。以後は前述した過程でトナー像が当該記録シートPに転写される。なお、シート給送装置10は頂上部が開口しており、シート給送装置10にはこの開口部を開閉するカバー25が設けられている。記録シートPをシート給送装置10に補給する場合は、このカバー25を開けて、頂上部からトレイ11上に載置できるように構成されている。
図2はシート給送装置10のハウジング及びカバー25を取り外した状態を示す斜視図である。図2を用いてシート給送装置10の給送手段の作動及び側部規制部材30の作用について説明する。なお、図2において、図1と同一の部位には同一の符号を付している。
記録シートPは、図示しない駆動手段により昇降可能なトレイ11(図1参照)上に載置され、保持されている。載置された記録シートPの給紙方向B(図中、矢印Bの方向)の先端部にはピックアップローラ14が配置され、給紙可能時には最上部に位置する記録シートPに所定の圧力で当接している。このピックアップローラ14が時計方向(図中、矢印Aの方向)に回転すると一番上の記録シートP1が給紙方向Bへ送り出され、ピックアップローラ14の下流側に隣接する重送防止ローラ対15に挟持される。
重送防止ローラ対15を構成する下ローラ15aは、その回転駆動軸にトルクリミッタを有し、上ローラ15bの回転に従って下ローラ15aに所定のトルク以上のトルクが掛かると上ローラ15bに従動するが、それ以下のトルクの場合には駆動源により上ローラ15bと同一方向に回転するように構成されている。
いま、ピックアップローラ14の回転により、いわゆるダブルフィードが発生すると、記録シートP間の比較的小さな摩擦力のため、上ローラ15bの回転トルクが下ローラ15aに十分に伝達されず、その結果、下ローラ15aは自らの駆動源によって上ローラ15bと同方向に回転して2枚目以下を給紙方向Bとは反対方向に押し戻し、その後、記録シートPが1枚以下になるとトルクリミッタが働いて上ローラ15bに従動回転し、最上位の一枚だけを給紙することができる。
なお、給紙が進んで載置された記録シートPの厚さが少なくなると、駆動手段がトレイ11を上方へと駆動する。図示しない検知手段によって記録シートPの最上位の高さ位置(上限位置)が検知され、記録シートPの最上位の位置を一定に保つように制御される。従って、給紙時においてピックアップローラ14と記録シートPとが当接する圧力は常に一定になるように制御される。
記録シートPの幅方向、すなわち記録シートPの給紙方向Bと交差する方向には、載置された記録シートPを挟んで一対の側部規制部材30が配置されており、給紙方向Bと交差する方向に移動可能に支持されている。この側部規制部材30は記録シートPが載置された後、その側端面に軽く接するように配置され、記録シートPの幅方向へのズレを防止する。
一対の側部規制部材30にはその内側面の上部に、相対向して開口する送風口34aが設けられている。送風口34aの上端面は常に記録シートPの最上面の位置(上限位置)よりも上に位置し、その下端面は記録シートPの上限位置よりも下に位置している。給紙、補給が行われて記録シートPの積載量が変化してもトレイ11の上下動によってこの位置関係は維持され、常に記録シートPの上層部端面に空気の吹き付けができるように構成されている。
側部規制部材30の内部には本願発明の要旨を構成する送風手段としてのファン31,32と、送風口34aを有し、ファン31,32からの空気流をトレイ11上に載置された記録シートPの両側端部に吹き付けるエアノズル34と、ファン31,32の吸気口31a,32aを開閉するシャッタ部材41(図4参照)の駆動制御を行うシャッタ駆動手段40が内蔵されている。図3は側部規制部材30の内部を記録シートPの載置側(内側面側)からみた斜視図であり、図4は側部規制部材30の背面を表わす平面図である。また、図5は側部規制部材30の模式断面図である。なお、図3から図5においても同一部分は同一符号を付して表わしている。
図3に示すように側部規制部材30の内部中央には二つのファン31,32が、その排気口31b,32bが上向きになるようにほぼ上下方向に重ねて配置されている。それぞれのファン31,32は側部規制部材30の背面側に吸気口31a,32aを有し、回転羽根を回転させることにより外部空気を吸入し、それぞれのファン31,32の排気口31b,32bからエアを上部に送出することが可能である。また、それぞれのファン31,32の排気口31b,32bの間には流路板33が立てられており、それぞれの排気口31b,32bからの送風が互いに干渉し又は融合して風圧が不均一にならないように構成されている。
ファン31,32の排気口31b,32bからの送風方向上部にはエアノズル34が配置されている。このエアノズル34は下部に開口部を有し、流路板33を中央にして右半分にファン31からの送風を受け、左半分にファン32からの送風を受けることができる。またエアノズル34は、図5の断面図に示すように、半円形断面を有する内壁面34bと4分の1の円弧状に形成された外壁面34cとを有し、送風口34aが内壁面34bと外壁面34cとによって垂直に形成されている。従って、ファン31,32から送出された上昇風はエアノズル34の各壁面にガイドされて送風口34aから水平方向の空気流となって記録シートPの側端面に吹き付けられる。
図4に示す側部規制部材30の背面にはファン31,32の吸気口31a,32aが開放されており、その吸気口31a,32aを完全に覆う形で平板状のシャッタ部材41が取り付けられている。シャッタ部材41は一側端(図4の右側端)を回転支軸として二つの回転支持部材42によって支持され、通常は回転支持部材42の内部に設けられたバネによってファンの吸気口31a,32aを遮蔽する位置に付勢されている。
回転支持部材42の取り付けられたシャッタ部材41の一側端の反対側側端(図4の左側端)には、側部規制部材30の内部に向けて垂直に立てられたロッド43が取り付けられている。このロッド43は図5に示すように側部規制部材30の記録シート当接面を垂直に貫く方向に移動可能であり、側部規制部材30の内部に設けられたシャッタ駆動手段40によって駆動される。
シャッタ駆動手段40は、主としてプランジャ44、ソレノイド45及びアーム部材46から構成されている。円筒型棒状のプランジャ44はソレノイド45を構成するコイルの輪の部分に嵌挿されており、コイルへの通電によってコイルの中心軸方向の電磁力が発生し、プランジャ44をソレノイド45の内部へと吸引する。
ソレノイド45の外部に出ているプランジャ部分(プランジャ44の先端)には、アーム部材46が回転可能に軸支されている。アーム部材46はほぼ直角に曲がったL字型部材であり、その角部がエルボー部461を形成している。エルボー部461は回転軸に支持され、プランジャの44の移動に応じて角部の角度を維持しながら回転軸を中心に回転する。エルボー部461を挟んでプランジャ44の接続された側と反対側のアーム部材46先端はロッド43に当接している。
このシャッタ駆動手段40は以下のように作動する。通常はソレノイド45には通電されていないのでプランジャ44はコイル内を自由に移動が可能であり、その結果、シャッタ部材41を支持する回転支持部材42の内部に設けられたバネがシャッタ部材41をファン31,32の吸気口31a,32aを遮蔽する位置(側部規制部材30の背面に当接している位置)に付勢している。そのため、ファン31,32の吸気口31a,32aは遮蔽状態にある。
ファン31,32の吸気口31a,32aを開放する場合にはソレノイド45に通電し電磁力を生じさせてプランジャ44を吸引させる。するとアーム部材46がエルボー部461を中心に時計回りに回転し、アーム部材46の先端でロッド43を側部規制部材30の背面方向に移動させる。ロッド43の一端はシャッタ部材41に取り付けられており、ロッド43の移動によってシャッタ部材41は回転支持部材42の付勢力に抗して側部規制部材30の背面に当接した位置から離れ、ファン31,32の吸気口31a,32aを開放する。ソレノイド45の通電を遮断すると回転支持部材42のバネによる付勢力によってシャッタ部材41はファン31,32の吸気口31a,32aを再び遮蔽する。
以上のように構成されたシート給送装置10の動作制御について以下に説明を加える。図6は本願発明のシート給送装置10の機能構成を示すブロック図である。上述してきたようにシート給送装置10は給紙台としてのトレイ11と、ピックアップローラ14、重送防止ローラ対15を含む給送手段51と、送風手段52と、送風手段52のエア流量をコントロールする送風制御手段53とを備えている。
送風手段52は、送風手段52の送出するエアの流量が時間的に変化するものであれば何でもよく、本実施の態様ではファン31,32を用いて構成されている。送風制御手段53はこのファン31,32の吸気口31a,32aを遮蔽又は開放するシャッタ部材41と、シャッタ部材41を駆動するシャッタ駆動手段40並びにシャッタ部材41の遮蔽時間及び開放時間をシートの特性に応じて変化させることができる時間調整手段532を有して構成されている。
コピー動作が開始して給紙指令が発せられると、ファン31,32が回転を開始する。その後ファン31,32は次第に回転数を上げていく。当初はシャッタ部材41が吸気口31a,32aを遮断しているので、負荷が軽減しており、所定時間後ファン回転数は定常回転以上に上昇する。ピックアップローラ14が回転を開始してトレイ11上に載置された記録シートPの最上部の記録シートP1を給紙しはじめる直前に、ソレノイド45に電流が加えられてシャッタ部材41を開放する。
すると、ファン31,32の慣性モーメントによって回転数が上昇したまま送風されるので一時的に風量の多い、強い風圧の捌き風を記録シートPの側端面に送り込むことができる。その後、ファン31,32の回転数は次第に低下して定常の回転数に戻る。風量の多い、強い風圧で捌かれて上昇した記録シートPはファン31,32の回転数の低下に伴って、少し下降するが、送風口34aからの送風は記録シートPの最上面まで定常の風圧で行われる。従って、同一性能のファン31,32を使用する限り、本発明のようなシャッタ部材41を設けた場合には、設けなかった場合より密着力の高いシートに衝撃を加えることができ、捌きのきっかけを容易にしてエアアシスト効果を向上させることができる。
ファン31,32による送風制御にはいくつかの効果的な吹出しパターンがある。第二の制御方法を採用するシート給送装置10では、コピー動作が開始して給紙指令が発せられると同時に又は直後に、ファン31,32とピックアップローラ14が回転を開始して、トレイ11上に載置された記録シートPの最上部の記録シートP1を給紙しはじめる。シャッタ部材41は、ファン31,32の吸気口31a,32aを遮蔽してその回転数が定常状態を超えて上昇するまでの時間と、ファン31,32の吸気口31a,32aを開放してその回転数が定常状態になるまでの時間を加えた時間を一周期として、開放と遮蔽を繰り返すように駆動制御される。
このようにシャッタ部材41を連続的に所定の間隔で開閉制御すると、ファン31,32の遮蔽中に、それまでの送風によって上方に浮上していた記録シートPは、その自重により次第に降下してくる。そこで再びシャッタ部材41を開放して瞬発的な突風を吹き当てるようにすることができるので、定常的に同一流量のエアを吹き当てている時よりもエアアシスト効果を増大させることができる。また、ファン31,32を遮蔽すると浮上したシートは降下してきて、一度分離しかけたシートが再密着する場合もあり、かかる制御を行うことにより、このような再密着を防止することも可能となる。
第三の制御方法を採用するシート給送装置10では、第二の制御方法においてシャッタ部材41の遮蔽時間と開放時間を常に一定ではなく、それぞれ異なる時間に設定可能としたものである。遮蔽時間を短くし、開放時間を給紙作動に合わせて決定するように構成するものである。高速機における給紙及び低速機における給紙に対して給紙時間の無駄を無くすような制御を可能とさせたものである。
さらに第四の制御方法を採用するシート給送装置10では時間調整手段532を設けて、シートの特性(例えば、種類、斤量等)に応じてシャッタ部材41の遮蔽時間を調整可能としている。この場合の遮蔽時間の調整はシート給送装置10に設けたシート判別手段の検知結果に基づき調整してもよく、また入力手段により手動で設定してもよい。また遮蔽時間だけでなく開放時間を調整することも、第三の制御方法との関係で有効となる。
図7はシャッタ部材41によるファン31,32の吸気口31a,32aの遮蔽時間を変化させた場合の、時間とエア流量との関係を示したグラフである。図7により遮蔽時間(OFFで示す)をある程度長くすると、シャッタ部材41の開放時(ONで示す)に定常状態でのエア流量に比較しておよそ2倍の流量の突風を得ることができるが、遮蔽時間が短いと流量の増加が見られても突風が吹くところまではいかないことが分かる。
そこで、第四の制御方法ではトレイ11に載置するシートが薄紙等で傷つきやすい場合には遮蔽時間を小さくしてエアの流量の一時的な上昇を低く押さえ、シートへの疵の発生を防止しつつ捌き効果の向上を図るとともに、厚紙の場合には遮蔽時間を長くして突風によるエアアシスト効果を強くする制御方法を行っている。なお、各種のシートの特性に応じて事前にファン31,32の遮蔽時間と捌き効果との関係を記憶手段に記憶させ、その関係に基づいてシャッタ部材41を制御することにより、様々な種類のシートに対して安定した給送を実現することができる。
実験によると、図中、OFF時間が0.6秒でON時間を3秒とする設定の方が、OFF時間が半分の0.3秒でON時間を3.3秒とする設定よりも顕著な効果が生じていることを確認している。なお、薄紙では傷つきやすいため、OFF時間を0.3秒とするエアアシスト効果の弱い設定を利用する。
なお、本実施の態様であるシート給送装置10ではファン31,32の吸気口31a,32aにシャッタ部材41を設けた場合について説明したが、本願発明はこの実施の態様の場合に限らず、ファン31,32の排気口31b,32bにシャッタ部材41を設けた場合でも、またその両方の部位に設けた場合でもよい。さらにはエアノズル34の送風口34aに用いる場合であっても良い。
上記シート給送装置10は画像形成装置に付帯した大容量のシート給送装置10を例にして説明したが、このシート給送装置10はディジタル複写機100を構成する給紙ユニット140,150,160にも適用することができる。給紙ユニット140,150,160に密着性の高い記録シートPを収納する場合には、その側端部から空気が送風され、ピックアップローラ141及びフィードローラ143と分離ローラ142が最上位の記録シートP1を摩擦力により分離給紙する場合の補助となり、一枚ずつの給紙を確実なものとすることができる。
以上説明したように本願発明に係るシート給送装置10によれば、トレイ11に載置されたシートの積層端面に送出するエアの流量を一時的に増加させることができるので、密着性の高い記録シートPの場合にも捌き効果の向上を図ることができる。また送風により上昇した記録シートPの最上位まで空気を吹き付けることができるので、重送の防止を確実にすることができる。
本発明の実施の形態であるシート給送装置と、このシート給送装置が接続されたディジタル複写機の全体構成図を示す。 シート給送装置のハウジング及びカバーを取り外した状態を示す斜視図である。 側部規制部材の内部をシート載置側(内側面)からみた斜視図である。 側部規制部材の背面を表わす平面図である。 側部規制部材の模式断面図である。 本願発明にかかるシート給送装置の機能構成を示すブロック図である。 ファンの吸気口の遮蔽時間を変化させた場合の、時間経過とエア流量との関係を示したグラフである。
符号の説明
10 シート給送装置
11 トレイ(給紙台)
14 ピックアップローラ(給送手段)
15 重送防止ローラ対(給送手段)
30 側部規制部材
31,32 ファン(送風手段)
31a,32a 吸気口
31b,32b 排気口
34 エアノズル
34a 送風口
40 シャッタ駆動手段(送風制御手段)
41 シャッタ部材(送風制御手段)
44 プランジャ
45 ソレノイド
51 給送手段
52 送風手段
53 送風制御手段
100 ディジタル複写機
140,150,160 給紙ユニット
532 時間調整手段
P 記録シート

Claims (7)

  1. シートを積層載置する給紙台と、
    前記給紙台に載置されたシートを、その最上部から一枚ずつ給紙する給送手段と、
    前記給紙台に載置されたシートの積層端面にエアを吹き付けるファンと、
    前記送風手段の前記エアの流量を一時的に増加させる送風制御手段と、
    を備え
    前記送風制御手段が、
    前記ファンの吸気口又は排気口の少なくともいずれか一方の遮蔽及び開放を行うシャッタ部材と、
    ソレノイドを有し、該ソレノイドへの通電状態を切り換えることで前記シャッタ部材の前記遮蔽及び開放を切換制御するシャッタ駆動手段と、
    を有しており、
    前記シャッタ駆動手段が前記シャッタ部材により前記ファンの吸気口又は排気口の少なくともいずれか一方を遮蔽したのち、所定時間後に遮蔽された前記吸気口又は排気口を開放することで、開放時に前記エアの流量を一時的に増加させることを特徴とするシート給送装置。
  2. 前記シャッタ駆動手段は、前記ソレノイドへ通電することで前記シャッタ部材を開放することを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
  3. 前記ソレノイドへの通電が遮断している状態では、バネによる付勢力で前記シャッタ部材を遮蔽していることを特徴とする請求項2記載のシート給送装置。
  4. 前記シャッタ駆動手段が、前記給送手段によるシート給紙作動中に、前記シャッタ部材を連続的に所定間隔で開閉駆動することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート給送装置。
  5. 前記シャッタ部材による前記吸気口又は排気口の開放時間及び遮蔽時間をそれぞれ異なる時間に調整可能であることを特徴とする請求項4に記載のシート給送装置。
  6. 前記シャッタ駆動手段が、前記吸気口又は排気口の遮蔽時間又は開放時間の少なくともいずれか一方を、前記給紙台に載置されたシートの特性に応じて変化させる時間調整手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載のシート給送装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載のシート給送装置を備えた画像形成装置。
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