JP4492291B2 - ニオブ酸リチウム基板の製造方法 - Google Patents

ニオブ酸リチウム基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面弾性波素子等に用いられるニオブ酸リチウム基板に係り、特に、素子製造プロセスでの歩留まり低下が起こり難いニオブ酸リチウム基板の製造方法に関するものである。
ニオブ酸リチウム(LiNbO;以後、LNと称する)結晶は、融点が約1250℃、キュリー温度が約1140℃の人工の強誘電体結晶である。そして、LN結晶から得られるLN基板(以後、単に基板と称する)の用途は、主に携帯電話の信号ノイズ除去用の表面弾性波素子(SAWフィルター)用材料である。
上記SAWフィルター(表面弾性波素子)は、LNをはじめとする圧電材料で構成された基板上にAlCu合金等の金属薄膜で一対の櫛形電極を形成した構造となっており、この櫛形電極がデバイスの極性を左右する重要な役割を担っている。また、上記櫛形電極は、スパッタにより圧電材料上に金属薄膜を成膜した後、一対の櫛形パターンを残しフォトリソグラフ技術により不要な部分をエッチング除去することにより形成される。
また、SAWフィルターの材料となるLN単結晶は、産業的には、主にチョコラルスキー法で、通常、白金るつぼを用い、酸素濃度が20%程度の窒素−酸素混合ガス雰囲気の電気炉中で育成され、電気炉内で所定の冷却速度で冷却された後、電気炉から取り出されて得られている。
育成されたLN結晶は、無色透明若しくは透明感の高い淡黄色を呈している。育成後、結晶の熱応力による残留歪みを取り除くため、融点に近い均熱下で熱処理を行い、更に単一分極とするためのポーリング処理、すなわち、LN結晶を室温からキュリー温度以上の所定温度まで昇温し、結晶に電圧を印加し、電圧を印加したままキュリー温度以下の所定温度まで降温した後、電圧印加を停止して室温まで冷却する一連の処理を行う。ポーリング処理後、結晶の外形を整えるために外周研削されたLN結晶(以下、インゴットと称する)はスライス、ラップ、ポリッシュ工程等の機械加工を経て基板となる。最終的に得られた基板はほぼ無色透明であり、体積抵抗率はおよそ1015 Ω・cm程度である。
このような従来の方法で得られた基板では、表面弾性波素子(SAWフィルター)製造プロセスにおいてLN結晶の特性である焦電性のため、プロセスで受ける温度変化によって電荷が基板表面にチャージアップし、これにより生ずるスパークが原因となって基板表面に形成した櫛形電極が破壊され、更には基板の割れ等が発生し、素子製造プロセスでの歩留まり低下が起きている。
また、基板の高い光透過率は、素子製造プロセスの1つであるフォトリソグラフ工程で基板内を透過した光が基板裏面で反射されて表面に戻り、形成パターンの解像度を悪化させるという問題も生じさせている。
そこで、この問題を解決するため特許文献1〜2においては、LN結晶を500〜1140℃の範囲内で、アルゴン、水、水素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素およびこれ等の組合せから選択されたガスといった化学的還元性雰囲気に晒して黒化させることにより、基板の高い光透過率を抑制すると共に電気伝導度を高くし、もって基板裏面からの戻り光を抑制し同時に焦電性を低減させる方法が提案されている。尚、上記熱処理を施すことによりLN結晶は無色透明であったのが有色不透明化する。そして、観察される有色不透明化の色調は透過光では褐色から黒色に見えるため、この有色不透明化現象をここでは黒化と称している。
ところで、特許文献1〜2に記載された方法は、LN結晶を500℃以上の高い温度に加熱するため処理時間は短い反面、処理バッチ間の黒化のばらつきが生じ易く、また、熱処理した基板に黒化による色ムラ、すなわち体積抵抗率の面内分布が生じ易く、素子製造プロセスでの歩留まり低下が依然として十分に防止できない問題点があった。
特開平11−92147号公報 特開平11−236298号公報
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、500℃未満の低温での処理にも拘わらず、処理した基板に黒化による色ムラ、すなわち体積抵抗率の面内分布が少ないニオブ酸リチウム基板の製造方法を提供することにある。
すなわち、請求項に係る発明は、
チョコラスキー法で育成したニオブ酸リチウム結晶を用いてニオブ酸リチウム基板を製造する方法を前提とし、
ニオブ酸リチウム結晶を、Al、Ti、Si、Ca、Mg、Cからなる群より選択される少なくとも1種の元素で構成された粉末に埋め込んだ状態で、または、Al、Ti、Si、Ca、Mg、Cからなる群より選択される少なくとも1種の元素で構成された容器中に収容させた状態で、300℃以上、500℃未満の温度で熱処理することを特徴とし、
請求項に係る発明は、
チョコラスキー法で育成したニオブ酸リチウム結晶を用いてニオブ酸リチウム基板を製造する方法を前提とし、
ニオブ酸リチウム結晶を、Znの粉末に埋め込んだ状態で、または、Znの容器中に収容させた状態で、300℃以上、Znの融点未満の温度で熱処理することを特徴とする。
また、請求項に係る発明は、
請求項または記載の発明に係るニオブ酸リチウム基板の製造方法を前提とし、
上記熱処理の雰囲気が真空または不活性ガスであることを特徴とし、
請求項に係る発明は、
請求項または記載の発明に係るニオブ酸リチウム基板の製造方法を前提とし、
上記熱処理を1時間以上施すことを特徴とするものである。
500℃未満の低温での処理にも拘わらず黒化による色ムラ、すなわち体積抵抗率の面内分布が少ないニオブ酸リチウム基板を得ることが可能となる。
従って、素子製造プロセスで受ける温度変化により電荷が基板表面にチャージアップし、これにより生ずるスパークが原因となって基板表面に形成した電極パターンが破壊されたり、更には基板の割れ等が発生したりすることがなく、また、フォトリソグラフ工程で基板内を透過した光が基板裏面で反射されて表面に戻り、形成パターンの解像度を悪化させることもないため、素子製造プロセスでの歩留まり低下を十分に防止することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、LN結晶は、結晶内に存在する酸素空孔濃度によって電気伝導度と色が変化する。LN結晶中に酸素空孔が導入されると、チャージバランスをとる必要から一部のNbイオンの価数が5+から4+に変わり、電気伝導性を生じると同時に光吸収を起こす。
電気伝導は、キャリアである電子がNb5+イオンとNb4+イオンの間を移動するために生ずると考えられる。結晶の電気伝導度は、単位体積あたりのキャリア数とキャリアの移動度の積で決まる。移動度が同じであれば、電気伝導度は酸素空孔数に比例する。光吸収による色変化は、酸素空孔により導入された電子レベルによるものと考えられる。
上記酸素空孔数の制御は、いわゆる雰囲気下熱処理により行うことができる。特定の温度におかれた結晶中の酸素空孔濃度は、その結晶がおかれている雰囲気の酸素ポテンシャル(酸素濃度)と平衡するように変化する。雰囲気の酸素濃度が平衡濃度より低くなれば結晶中の酸素空孔濃度は増加する。また、雰囲気の酸素濃度を一定として温度を高くすることで、雰囲気の酸素濃度を平衡濃度より低くしても酸素空孔濃度は増加する。従って、酸素空孔濃度を増やし、不透明度を上げるためには、高温でかつ雰囲気の酸素濃度を下げればよい。
LN結晶は、結合のイオン性が強いので空孔の拡散速度は比較的速い。しかし、酸素空孔濃度の変化には酸素の結晶内拡散を要するので、一定の時間、結晶を雰囲気中に保持する必要がある。この拡散速度は温度に大きく依存し、室温近傍では現実的な時間での酸素空孔濃度の変化は起きない。従って、短時間で不透明LN結晶を得るには、十分な酸素拡散速度の得られる温度で、低酸素濃度雰囲気に結晶を保持する必要がある。処理した後、結晶を速やかに冷却すれば、高温で導入された酸素空孔濃度を保ったままの結晶を室温で得ることができる。
ところで、焦電効果(焦電性)は、結晶の温度が変化することによって生ずる格子の変形に起因する。電気双極子を持つ結晶では、双極子間の距離が温度で変わるために生じると理解できる。焦電効果は、電気抵抗の高い材料でのみ生じる。イオンの変位により、結晶表面には双極子方向に電荷を生じるが、電気抵抗の低い材料ではこの電荷は結晶自身の持つ電気伝導性のために中和されてしまう。通常の透明なLN結晶は、上述したようにその体積抵抗率が1015Ω・cmのレベルであるために焦電効果が顕著に現れる。しかし、黒化した不透明LN結晶ではその体積抵抗率が1012Ω・cm以下に向上するため、焦電性が見られなくなる。
次に、本発明に係るLN結晶の熱処理はポーリング処理後であれば上記インゴットの状態でも基板の状態でも処理は可能であるが、好ましくは基板の状態で行うのがよい。尚、ポーリング処理前に行った場合は、ポーリング処理時の雰囲気を低酸素濃度雰囲気に保持しないと導入した酸素空孔が酸素で満たされてしまう。
また、LN結晶の熱処理は、酸化物生成自由エネルギーの低いAl、Ti、Si、Ca、Mg、Zn、Cからなる群より選択される少なくとも1種の元素で構成された粉末に埋め込まれた状態、または、Al、Ti、Si、Ca、Mg、Zn、Cからなる群より選択される少なくとも1種の元素で構成された容器中に収容された状態で行われる。また、LN結晶の加熱温度は、Al、Ti、Si、Ca、Mg、Cの元素が選択された場合は、300℃以上、500℃未満であり、Znが選択された場合は、Znの融点が419.6℃であるため、上限がZnの融点未満となる。また、加熱温度が高いほど短時間で黒化が進行するため、Zn以外の元素を選択した場合、好ましい温度は450℃から500℃未満の範囲である。また、熱処理の雰囲気は、真空または不活性ガス(窒素ガスやアルゴンガス等)であることが好ましく、処理時間は1時間以上であることが望ましい。また、Al、Ti、Si、Ca、Mg、Znの元素で構成された粉末が選択された場合、これ等元素の粉末とこれ等元素の酸化物との混合物を用いることも有効である。
そして、処理工程の制御性、最終的に得られる基板の特性、同特性の均一性、再現性等を考慮した最も好ましい条件としては、ポーリング後のLN結晶インゴットから切り出されたウエーハ(LN基板)を用い、該LN基板をAlとAlの混合粉末中に埋め込み、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス、真空等の雰囲気中で熱処理することが有効である。尚、不活性ガス雰囲気よりも真空雰囲気の方が、比較的短い時間で黒化処理することができるためより望ましい。
上記熱処理の効果である基板の焦電性が見られなくなったか否かを判定する実用的な方法として、基板が受ける温度変化を模して行う熱サイクル試験が有用である。すなわち、80℃に加熱したホットプレートに基板を乗せ、熱サイクルを与えると、従来の処理で得られた基板ではその表面でスパークが観察される。一方、本発明に係る熱処理で黒化された基板では基板の表面電位は発生せず、基板表面でスパークする現象も全く観察されない。従って、黒化の有無の判定は、焦電性の実用的な判定方法として有用である。
次に、本発明の実施例について詳細に説明する。
コングルエント組成の原料を用いて、チョコラルスキー法で、直径4インチのLN単結晶育成を行った。育成雰囲気は、酸素濃度約20%の窒素−酸素混合ガスである。得られた結晶は透明な淡黄色であった。
この結晶に対して均熱下で残留歪除去のための熱処理と単一分極とするためのポーリング処理を行った後、結晶の外形を整えるため外周研削し、スライスして基板とした。
得られた基板をアルミニウム(Al)粉末中に埋め込み、真空雰囲気で480℃、20時間の熱処理を行った。
熱処理後の基板は黒色で、体積抵抗率は10Ω・cm程度あり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。尚、上記体積抵抗率は、JIS K−6911に準拠した3端子法により測定している。
次に、室温状態の基板を80℃のホットプレートに乗せる熱サイクル試験を行った。その結果、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は10V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
また、得られた基板のキュリー温度は1140℃であり、SAWフィルターの特性に影響する物性値は黒化処理を施していない従来品と異なるところはなかった。
熱処理温度を300℃とした以外は実施例1と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は褐色で、体積抵抗率は1012Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は500V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
ポーリング処理を施した後のLN結晶をアルミニウム(Al)粉末中に埋め込み、窒素ガス雰囲気で300℃、20時間の熱処理を行った。
得られたLN結晶は褐色であった。結晶の外形を整えるため外周研削し、スライスして得られた基板は褐色で、体積抵抗率は1012Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
この基板をホットプレートに乗せる熱サイクル試験を行ったところ、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は500V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
熱処理温度を480℃とした以外は実施例3と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は黒色で、体積抵抗率は10Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、この基板をホットプレートに乗せる熱サイクル試験を行ったところ、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は10V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
雰囲気を窒素ガス雰囲気とした以外は実施例1と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は黒色で、体積抵抗率は10Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は100V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
基板の熱処理時間を1時間とした以外は実施例1と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は褐色で、体積抵抗率は1012Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は500V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
アルミニウム(Al)粉末に代えてTi粉末を適用した以外は実施例1と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は褐色で、体積抵抗率は1010Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は300V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
アルミニウム(Al)粉末に代えてSi粉末を適用した以外は実施例1と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は褐色で、体積抵抗率は1010Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は300V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
アルミニウム(Al)粉末に代えてCa粉末を適用した以外は実施例1と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は黒色で、体積抵抗率は10Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は10V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
アルミニウム(Al)粉末に代えてMg粉末を適用した以外は実施例1と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は黒色で、体積抵抗率は10Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は10V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
アルミニウム(Al)粉末に代えてC粉末を適用した以外は実施例1と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は褐色で、体積抵抗率は1011Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は500V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
アルミニウム(Al)粉末に代えてZn粉末を適用し、かつ、処理温度を300℃とした以外は実施例1と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は褐色で、体積抵抗率は1012Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は500V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
アルミニウム(Al)で構成された蓋付き容器中に基板を収容して行った以外は実施例1と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は黒色で、体積抵抗率は10Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は10V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
アルミニウム(Al)に代えてTiで構成された蓋付き容器中に基板を収容して行った以外は実施例13と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は褐色で、体積抵抗率は1010Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は300V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
アルミニウム(Al)に代えてSiで構成された蓋付き容器中に基板を収容して行った以外は実施例13と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は褐色で、体積抵抗率は1010Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は300V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
アルミニウム(Al)に代えてCaで構成された蓋付き容器中に基板を収容して行った以外は実施例13と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は黒色で、体積抵抗率は10Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は10V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
アルミニウム(Al)に代えてMgで構成された蓋付き容器中に基板を収容して行った以外は実施例13と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は黒色で、体積抵抗率は10Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は10V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
アルミニウム(Al)に代えてCで構成された蓋付き容器中に基板を収容して行った以外は実施例13と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は褐色で、体積抵抗率は1011Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は500V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
アルミニウム(Al)に代えてZnで構成された蓋付き容器中に基板を収容し、かつ、処理温度を300℃とした以外は実施例13と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は褐色で、体積抵抗率は1012Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は500V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
AlとAlを重量比で10:90の割合で混合した粉末を適用した以外は実施例1と略同一の条件で熱処理を行った。
得られた基板は黒色で、体積抵抗率は10Ω・cm程度であり、目視での観察では色ムラは生じていなかった。
また、熱サイクル試験では、基板をホットプレートに乗せた瞬間に発生した表面電位は100V以下であり、基板表面でスパークする現象は見られなかった。
(比較例1)
コングルエント組成の原料を用いて、チョコラルスキー法で、直径4インチのLN単結晶育成を行った。育成雰囲気は、酸素濃度約20%の窒素−酸素混合ガスである。得られた結晶は透明な淡黄色であった。
この結晶に対して均熱下で残留歪除去のための熱処理と単一分極とするためのポーリング処理を行った後、結晶の外形を整えるため外周研削し、スライスして基板とした。
得られた基板を窒素中で800℃、1分間の熱処理を行った。
熱処理後の基板は黒褐色であったが、目視での観察では色ムラが生じていた。
色ムラが発生していたことから推察されるように、体積抵抗率は10Ω・cm程度であったが、測定場所によりバラツキ(σ/Ave)が30%程あった。尚、Aveは基板面内を5点測定したときの平均で、σは標準偏差である。
本発明によれば、500℃未満の低温での処理にも拘わらず黒化による色ムラ、すなわち体積抵抗率の面内分布が少ないニオブ酸リチウム基板を得ることが可能となる。従って、素子製造プロセスで受ける温度変化により電荷が基板表面にチャージアップし、これにより生ずるスパークが原因となって基板表面に形成した電極パターンが破壊されたり、更には基板の割れ等が発生したりすることがなく、また、フォトリソグラフ工程で基板内を透過した光が基板裏面で反射されて表面に戻り、形成パターンの解像度を悪化させることもないため、素子製造プロセスでの歩留まり低下を十分に防止することが可能となり、表面弾性波素子用の基板に用いるのに適している。

Claims (4)

  1. チョコラスキー法で育成したニオブ酸リチウム結晶を用いてニオブ酸リチウム基板を製造する方法において、
    ニオブ酸リチウム結晶を、Al、Ti、Si、Ca、Mg、Cからなる群より選択される少なくとも1種の元素で構成された粉末に埋め込んだ状態で、または、Al、Ti、Si、Ca、Mg、Cからなる群より選択される少なくとも1種の元素で構成された容器中に収容させた状態で、300℃以上、500℃未満の温度で熱処理することを特徴とするニオブ酸リチウム基板の製造方法。
  2. チョコラスキー法で育成したニオブ酸リチウム結晶を用いてニオブ酸リチウム基板を製造する方法において、
    ニオブ酸リチウム結晶を、Znの粉末に埋め込んだ状態で、または、Znの容器中に収容させた状態で、300℃以上、Znの融点未満の温度で熱処理することを特徴とするニオブ酸リチウム基板の製造方法。
  3. 上記熱処理の雰囲気が真空または不活性ガスであることを特徴とする請求項または記載のニオブ酸リチウム基板の製造方法。
  4. 上記熱処理を1時間以上施すことを特徴とする請求項または記載のニオブ酸リチウム基板の製造方法
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JPH11191239A (ja) * 1997-12-25 1999-07-13 Kyocera Corp ホログラムメモリ素子及びその製造方法

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