JP4491124B2 - 椅子におけるクッション体の取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、椅子の背凭れや座等に対するクッション体の取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
椅子のクッション体を、背凭れや座の裏面から、ねじ止めして取付けられるのが一般的である。
【0003】
また、クッション体を袋状として、背凭れや座に被せるようにした椅子もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のクッション体を背凭れ等にねじ止めするものでは、多数のねじを締め付けなければならず、そのねじ止め作業が煩雑である。
【0005】
また、クッション体を袋状として背凭れ等に被せるものにおいては、背凭れや座およびクッション体のデザイン、特にそれらの表面のカーブ等が制約されるとともに、クッション体を背凭れや座の一部のみに設けることはできない。
【0006】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、クッション体を備えていない椅子における背凭れや座に、クッション体を、止めねじを用いることなく、簡単かつ確実に装着することができるとともに、背凭れや座のデザインが制約されることがないようにした、椅子におけるクッション体の取付構造を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は次のようにして解決される。
(1)椅子のフレームに固着され、かつクッション体の取付面に通気性及び弾性を付与するための多数の通孔が所要パターンで穿設されたシェルに、弾性を有する硬質材料製の芯材の表面をクッション材により覆ったクッション体を取り付けた椅子におけるクッション体の取付構造であって、前記芯材の裏面に、シェルにおける予め定めた通孔に嵌合する複数の位置決め突起を突設するとともに、前記位置決め突起を対応する通孔に嵌合したとき、他の通孔と整合する位置に複数の嵌合孔を穿設し、前記位置決め突起を、対応する通孔に嵌合し、かつ前記嵌合孔にそれに整合する他の通孔を介して、抜け止め手段を有する止め具をシェルの裏面から嵌合する。
【0008】
(2)上記(1)項において、芯材の裏面周縁部に、位置決め突起と嵌合孔を、互いに近接させて設ける。
【0009】
(3)上記(1)または(2)項において、嵌合孔を、芯材の裏面に突設した複数の突部の先端面に穿設する。
【0010】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、止め具を、押込み拡張式リベットとする。
【0011】
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、芯材の裏面周縁部に、該周縁に沿って後方に突出する突条を突設し、前記突条を、クッション体におけるクッション材の表面及び周縁部を覆う表皮材の周縁部により覆って、該周縁部を、前記突条とシェルの表面との間に挾着する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を背凭れに適用した一実施形態を備える椅子について、図1〜図6を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、この椅子は、鋼製のパイプを折曲及び溶着することにより形成した2個の側面視下向きコ字状の側脚(2)(2)における上杆(2a)(2a)の前端部同士及び後端部同士を、左右方向を向く2本の連結杆(3)(4)によって連結した座フレーム(1)を備えている。
【0014】
座フレーム(1)上には、平面視ほぼ方形の座板(図示略)が止着され、座板には、座クッション体(5)が、適宜の取付構造により取り付けられている。
【0015】
側脚(2)(2)の後端部には、互いに平行をなす左右1対の筒状の背凭れフレーム(6)(6)の下端部が固着されている。
【0016】
背凭れフレーム(6)(6)には、背凭れ板としての合成樹脂材料からなるシェル(7)が支持されている。
【0017】
図1及び図4に示すように、シェル(7)は、ほぼ垂直の基板(7a)の両側部に、背凭れフレーム(6)(6)の上端部が下方から嵌合される側枠部(7b)(7b)を設け、かつ基板(7a)の上辺に、裏面、すなわち後面側にほぼ直角を向く折曲部(7c)を設けて形成されている。
【0018】
基板(7a)は、平面視において中央が後方へ凹入する湾曲面をなし、かつ図1に明示するように、下部が後方へ湾曲する湾曲面をなしている。
【0019】
基板(7a)には、シェル(7)の弾性を向上させるとともに、通気性を良好とする目的で、多数の円形の通孔(8)が、パンチングメタル状に穿設されている(図4参照)。従ってシェル(7)は、クッション体(9)無しでも、快適に使用できるように、十分な弾性を有している。
【0020】
クッション体(9)は、硬質合成樹脂製の芯材(10)と、芯材(10)の前面を覆うようにして、芯材(10)の前面に接着された発泡ポリウレタン等の弾性体からなるクッション材(11)と、クッション材(11)の表面を覆う布、もしくはビニールレザー等からなる表皮材(12)とからなっている。
【0021】
芯材(10)の裏面全周縁部には、後方に向かって突出する突条(13)が連続して設けられている。
図3に示すように、芯材(10)には、弾性を向上させるために、左右両側部に、側端面から中心に向かう上下2個のスリット(14)が切設され、また、下部に、上下方向を向く複数(図示の例では6個)の長孔(15)が左右方向に適宜の間隔をもって穿設されている。
【0022】
芯材(10)の裏面における周縁に近い部分には、複数のボス状の突部(16)が適宜のパターンで突設されている。
円形をなす突部(16)の先端面(16a)中央には、円形の嵌合孔(17)が穿設されている。
【0023】
芯材(10)の裏面には、合計4個のピン状の位置決め突起(18)が、上部の3個の突部(16)と、下部中央に設けられた1個の突部(16)とに近接するようにして、かつ後端が突部(16)の後端面(16a)よりも後方に突出するようにして、それぞれ突設されている。
【0024】
位置決め突起(18)と嵌合孔(17)とは、各位置決め突起(18)を、シェル(7)における対応する通孔(8)に嵌合したとき、各嵌合孔(17)が他の対応する通孔(8)と整合するような関係としてある。
【0025】
表皮材(12)は、クッション材(11)の前面の面積よりも幾分大寸としてあり、かつ全周にわたって、1本のひも(19)が挿通された筒状の袋部(20)が形成されている。表皮材(12)は、ひも(19)を緩めた状態で、芯材(10)の外周縁から突条(13)の内側まで包み込むようにして、芯材(10)及びクッション材(9)に被せた後、袋部(20)の下端部に設けた2個の孔から、外部に引き出したひも(19)を、引き締めて結ぶことによって、芯材(10)に取り付けられている(図3参照)。
【0026】
図5に示す止め具(21)は、抜け止め手段を有するもので、この例では、合成樹脂製の押込み拡張式リベットにより形成してある。
すなわち、図6に示すように、止め具(21)は、後端に拡径頭部(22a)を備える有頭ピン(22)と、この有頭ピン(22)が後方から押込まれることにより、放射状に分割された先端部が拡径して、嵌合した孔からの抜け止め作用を生じるようにした中空リベット(23)とからなっている。
【0027】
次に、クッション体(9)をシェル(7)に取り付ける要領について説明する。
まず、芯材(10)の裏面上部に設けられた3個の位置決め突起(18)を、シェル(7)の通孔(8)に嵌合した後、クッション体(9)の下部を後方に移動させて、芯材(10)の裏面下部中央に設けられた位置決め突起(18)を、シェル(7)の下部中央に位置する通孔(8)に嵌合する。
このとき、各突部(16)の中央に設けられた嵌合孔(17)は、対応するシェル(7)の通孔(8)と整合する。
【0028】
ついで、シェル(7)の後方から、抜止め手段付の止め具(21)を、各嵌合孔(17)とそれに整合した通孔(8)とに嵌合し、その後有頭ピン(22)を押込んで、中空リベット(23)の先端部を拡径させることによって、クッション体(9)はシェル(7)の前面に確実に止着される。
【0029】
このとき、表皮材(12)の周縁部は、芯材(10)の突条(13)とシェル(7)の前面との間に挾着され、表皮材(12)の縁は、妄りに剥れることはなくなる。
【0030】
以上説明した実施形態によると、シェル(7)の後方から止め具(21)を嵌着するだけで、クッション体(9)をシェル(7)の前面に、止めねじ等を用いることなく、簡単に取り付けることができる。
【0031】
上記実施形態では、位置決め突起(18)を芯材(10)の裏面中央部に形成された嵌合孔(17)の近傍のみに突設したが、すべての嵌合孔(17)の近傍に位置決め突起(18)を突設してもよい。このようにすると、芯材(10)の嵌合孔(17)をシェル(7)の通孔(8)に整合させやすくなり、かつクッション体(9)を、シェル(7)により強固に固定することができる。
【0032】
また、上記実施形態は、本発明を、椅子の背凭れであるシェル(7)に対するクッション体(9)の取付構造に適用したものであるが、椅子の座板、すなわち座シェルに対する座クッション体(5)の取付構造に適用することもできる。
【0033】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によると、シェルの後方から止め具を嵌挿するだけで、クッション体を背凭れや座に使用されるシェルに、止めねじ等を用いることなく、簡単に取り付けることができるとともに、背凭れや座にクッション体が設けられていない状態で完成している椅子における背凭れや座にも、クッション体を必要に応じて後から簡単に取り付けることができる。また、シェルには多数の通孔が設けられているので、通気性が良好になると共に、弾性が向上する。更に、ねじ等を用いることなくクッション体をシェルに簡単かつ確実に止着できる。
【0034】
また、位置決め突起を設けたことにより、嵌合孔を通孔に、容易に整合させることができ、止め具の装着作業が楽になるとともに、クッション体に掛る荷重が位置決め突起にも分散され、止め具への応力集中をやわらげることができ、止め具の耐久性が向上する。
【0035】
クッション体は、シェルの全体に被せる必要がなく、任意の縁に位置決め突起を設け、かつ裏面に嵌合孔を穿設するだけで、例えばシェルの中央部分だけを覆うように取り付けることができる。
また、シェルのデザインを自由に設計することができる。例えば、シェルを、前面中央が極端に凹入するような曲面形状とすることもできる。
【0036】
請求項2記載の発明によると、嵌合孔が、それに対応する通孔とより正確に位置決めされ、それらへの止め具の挿入がさらに容易となるとともに、止め具への応力集中をより効果的にやわらげることができる。
【0037】
請求項3記載の発明によると、嵌合孔周縁の強度が向上し、クッション体をシェルに強固に結合することができるとともに、止め具の先端がクッション体間に突入して、クッション材を傷つけたり、着座者に突起感を与えたりするのを防止することができる。
また、シェルの表面と芯材の後面との間に若干の隙間が形成されるので、芯材が撓み易くなり、着座者に快適な着座感を与えることができるとともに、通気性が良好となる。
【0038】
請求項4記載の発明によると、クッション体の着脱がさらに容易になる。
【0039】
請求項5記載の発明によると、表皮材が、クッション体の突条とシェルの前面との間に挾着され、表皮材の縁が剥がれにくくなり、かつ体裁をよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を備える椅子の側面図である。
【図2】 同じく、背凭れ部分の拡大正面図である。
【図3】 同じく、クッション体のみの背面図である。
【図4】 同じく、クッション体を外したときのシェルのみの背面図である。
【図5】 図2のV−V線に沿う中間部分を省略した拡大縦断側面図である。
【図6】 止め具の作用を説明する説明図である。
【符号の説明】
(1)座フレーム
(2)側脚
(2a)上杆
(3)(4)連結杆
(5)座クッション体
(6)背凭れフレーム
(7)シェル
(7a)基板
(7b)側枠部
(7c)折曲部
(8)通孔
(9)クッション体
(10)芯材
(11)クッション材
(12)表皮材
(13)突条
(14)スリット
(15)長孔
(16)突部
(16a)先端面
(17)嵌合孔
(18)位置決め突起
(19)ひも
(20)袋部
(21)止め具
(22)有頭ピン
(22a)拡径頭部
(23)中空リベット
Claims (5)
- 椅子のフレームに固着され、かつクッション体の取付面に通気性及び弾性を付与するための多数の通孔が所要パターンで穿設されたシェルに、弾性を有する硬質材料製の芯材の表面をクッション材により覆ったクッション体を取り付けた椅子におけるクッション体の取付構造であって、
前記芯材の裏面に、シェルにおける予め定めた通孔に嵌合する複数の位置決め突起を突設するとともに、前記位置決め突起を対応する通孔に嵌合したとき、他の通孔と整合する位置に複数の嵌合孔を穿設し、前記位置決め突起を対応する通孔に嵌合し、かつ前記嵌合孔にそれに整合する他の通孔を介して、抜け止め手段を有する止め具をシェルの裏面から嵌合したことを特徴とする椅子におけるクッション体の取付構造。 - 芯材の裏面周縁部に、位置決め突起と嵌合孔とを、互いに近接させて設けたことを特徴とする、請求項1記載の椅子におけるクッション体の取付構造。
- 嵌合孔を、芯材の裏面に突設した複数の突部の先端面に穿設したことを特徴とする、請求項1または2記載の椅子におけるクッション体の取付構造。
- 止め具を、押込み拡張式リベットとした、請求項1〜3のいずれかに記載の椅子におけるクッション体の取付構造。
- 芯材の裏面周縁部に、該周縁に沿って後方に突出する突条を突設し、前記突条を、クッション体におけるクッション材の表面及び周縁部を覆う表皮材の周縁部により覆って、該周縁部を、前記突条とシェルの表面との間に挾着した、請求項1〜4のいずれかに記載の椅子におけるクッション体の取付構造。
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