JP4489826B2 - 塊状スポンジチタンの加工方法 - Google Patents

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本発明は、展伸材用の塊状スポンジチタンの底部を除去するための加工方法に関する。
塊状スポンジチタンは、通常、四塩化チタン(TiCl4)のマグネシウム(Mg)による還元を利用したクロール法により製造される。この方法では、先ず、溶融Mgを収容した反応容器内にTiCl4を供給してTiと副生物である塩化マグネシウム(MgCl2)を生成させる。生成したTiは溶融物(溶融Mgおよび溶融MgCl2)中を沈降して反応容器の底部に配置されたロストル上に堆積し、溶融MgCl2は適宜反応容器外へ抜き出される。還元工程の終了時点では、反応容器内に、溶融状態の未反応Mgおよび残留MgCl2を含むスポンジ状のチタンが形成される。
次に、この残留溶融物を反応容器外へ抜き取った後に、スポンジ状のチタンに付着し抜き取りによって除去できなかった未反応Mgおよび残留MgCl2を除去するために、反応容器の内部を真空状態にするとともに、反応容器の外部から加熱して、スポンジ状のチタンに含まれる未反応Mgおよび残留MgCl2を蒸発、分離させる。未反応Mgおよび残留MgCl2が分離されたスポンジチタンは反応容器からロストルごとに押し抜かれ、塊状のスポンジチタンが得られる。
反応容器の底部に配置されたロストルは、反応中に形成されるスポンジチタンを保持するとともに、反応容器の底部から抜き出される溶融MgCl2や途中で追加注入される溶融Mgの通路となる底枠の機能を有すると同時に、反応容器からスポンジチタンを押し抜く際には、押し抜き治具の作用を発揮する。このロストルは反応ごとに変形を繰り返すが、変形が顕著になると廃棄される。
図1は、塊状スポンジチタンとその押し抜き状況を概念的に示す説明図である。ロストル2上に堆積した塊状スポンジチタン1は、押抜きプレス(図示せず)により白抜き矢印方向に押し抜かれ、反応容器3から排出される。
このようにして得られる塊状スポンジチタン1は、反応容器3内でおおよそ円柱形に形成され、その底面は反応容器3内に配置されたロストル2の上面形状に沿って形成される。このため、反応容器から押し抜かれた塊状スポンジチタン1は、ロストル2の変形に伴って底面中央部に凹みが生じ、凹面状を呈している。
ロストル2の上面は、当初は平面であるが、使用回数が増えるに伴い変形して、上面が凸状になる。そのため、図2に模式的に示すように、塊状スポンジチタン1の底面は、新品のロストルを使用した場合は平面に近い底面を有するが(図2(a)参照)、ロストルの使用回数が増えて変形が進むに伴い、底面の凹みが図2(b)の状態から(c)の状態へと、次第に大きくなる。なお、図2中の斜線を施した部分は、不純物が集積している低級部位4である。また、点模様を施した符号6を付した部分は、後に詳述するが、低級部位4を除去する際に同時に切断除去される部分である。
ロストル2の変形は、主として熱によるものと推測される。すなわち、前述した未反応Mgおよび残留MgCl2の真空分離の際に、高温状態でロストルにスポンジチタンの荷重が加わることになり、ロストルの構造上、中央部は補強により堅牢であり、相対的に周辺部が徐々に降下するように変形する。さらに、ロストルには押し抜きに伴う変形も若干加わるものと考えられる。
通常、塊状スポンジチタンは、破砕工程を経て細粒化された後、消耗電極として押し固められ、アーク溶解されて展伸材用のチタンインゴットとなる。このとき、前記スポンジチタンの底部には不純物が集積しているため、チタンインゴットの原料に供する前に、底部の不純物の多い低級部位(低純度層)が破砕工程の最初の段階でプレス切断機によって切断除去される。
スポンジチタン底部への不純物集積の原因は、原料中の不純物および鋼製の反応容器からの溶け込みによるFe、NiおよびCr等の反応に伴う沈降に起因する。このため、底部から切断除去された低級部位は、低グレードチタンとして展伸材とは別用途に用いられる。
なお、特許文献1に、チタンやジルコニウムのような金属が反応室(反応容器)内で還元によってつくられるときに生ずる硬い材料を容器から取り除くためのボーリング機械が開示されている。特許文献1のボーリング機械は、回転刃を備える治具を有する点では後述する本発明の加工装置と類似する構成を採用しているが、前記材料の塊を押し抜くのではなく、容器上部から硬い材料を切削しながら取り除くものであり、本発明の加工方法が適用できる加工装置とは目的も方法も全く相違する。
特公昭40−16395号公報
前述の通り、従来は、塊状スポンジチタンの底部をプレス切断機で切断することにより、不純物の多い低級部位を除去していた。しかし、この方法には、下記の(a)〜(d)の問題がある。
(a)プレス切断機の占有時間が増加する。すなわち、底部が切断除去された塊状スポンジチタンは、同じプレス切断機により粗砕(大割り)されるので、プレス切断機の占有時間が長く、粗砕および底部切断除去のいずれかの作業に常に待ち時間が生ずる。そのため、リードタイムが長くなっている。
(b)作業者がプレス切断機のステージ上で低純度層が付着した塊(切片)を除去する仕分け作業が必要である。すなわち、同じステージ上で塊状スポンジチタンの粗砕が行われるので、底部を切断した後、ステージ上に残る低純度層が付着した切片を除去しなければならない。
また、プレス切断機による切断は一方向切断であるため、底面が平面でない塊状スポンジチタンの低級部位を取り除く場合、数回の切断動作を要し、低純度層が付着した切片とそうでないものとを仕分けして、歩留りの向上を図る必要があるからである。この仕分け作業時間が製造コストに及ぼす影響は極めて大きい。
(c)前記(b)と関連するが、ステージ上に低純度層の粉や細かい切片が残り、粗砕後の展伸材用スポンジチタンに混入し、品質が低下する可能性が高い。
(d)底面周辺部から中央部にかけて凹面状を呈する塊状スポンジチタンの底部をプレス切断機で切断除去する場合、大型刃による一方向切断であるために、不可避的に切断除去量が多くなり、歩留りが低下する。塊状スポンジチタンをプレス刃で薄く切断しようとしても、劈開して大きな塊が多く発生し、また、低純度層の選別を目視で行っているので、歩留りはさらに悪化する。
本発明は、底面が凹面状を呈する塊状スポンジチタンの底部の低級部位を取り除いて展伸材用の塊状スポンジチタンを製造するに際し、前記(a)〜(d)の問題を解決して、歩留りを高めるとともに、展伸材用としての品質向上を図ることができる塊状スポンジチタンの加工方法を提供することを目的としている。
上記課題の最善の解決方法は、スポンジチタンの製造時に、反応容器の底部に不純物の集積が生じないようにすることであるが、これは反応中における不純物の沈降挙動から困難である。そこで、本発明者は、塊状スポンジチタンの底部の低級部位を除去する方法の効率化に着目した。
金属表面の低級部位を取り除くに際し、適用可能と考えられる方法を例示すると、次の(イ)〜(ヘ)の方法を挙げることができる。
(イ) せん断による機械的切断(例:プレス、旋盤等)
(ロ) 砥粒による研削(回転式、ワイヤソー)
(ハ) 熱エネルギーによる溶断(ガス、プラズマ等)
(ニ) 光・電磁波エネルギーによる切断(レーザー等)
(ホ) 電気エネルギーによる切断(放電加工、電解加工等)
(ヘ) 高圧流体エネルギーによる切断(ウォータージェット等)
これらの方法のうち、(ハ)〜(ホ)の方法は塊状スポンジチタンの切断には適さない。高温になり、Tiが酸化されるからである。例えば、ガスガウジングやガスカットにより低級部位を溶融除去しようとすると、熱によるTiの酸化が避けられない。
また、(ヘ)の方法では水や油が高圧流体として用いられるが、それらによるTi品質(水分値、カーボン値)の悪化が生じるので、この方法の適用も困難である。ウォータージェットの利用の可否について検討したが、前記品質悪化の問題に加え、加工速度が遅く、流体内に砥粒を混合して加工速度の向上を試みたが、異物混入の可能性があるため断念せざるを得ない。
(ロ)の方法も、研削時の熱によるTiの酸化や、砥粒の混入によるTi品質の悪化が避けられず、塊状スポンジチタンの切断には適さない。これらの他に、機械的切断方法として、シールド工法に用いる加工装置の利用についても検討したが、変形度合の様々な底部凹形への対応は困難であった。
上述の検討結果から、塊状スポンジチタンの底部の低級部位を除去する方法としては、(イ)のプレスや旋盤等による機械的切断が最適であるとされ、従来はプレス切断機による切断除去法が用いられてきた。しかし、この除去方法は、前述のように、直線的な一方向切断であるため、底面が凹面状を呈する塊状スポンジチタンの底部から低級部位を効率よく取り除くことは非常に困難である。このため、歩留りの低下を余儀なくされ、また、Ti品質および歩留り向上のために人手による目視選別を強いられる等、製造コスト増大の要因になっていた。
そこで、本発明者は、機械的切断をより効率的に行える方法について検討を重ねた。その結果、塊状スポンジチタンの底面中央部と底面周辺部における切削厚みの差が小さくなるように切削することによって、底面が凹面状を呈する塊状スポンジチタンの底部の低級部位を効率よく除去できることに着目した。
すなわち、塊状スポンジチタンの底面の中央部と周辺部における切削厚み差を小さくするような切削は、例えば、切削中に底面に垂直な方向(つまり、塊状スポンジチタンの軸方向)に切削刃を移動させることにより行うことができる。
本発明はこのような検討結果に基づきなされたもので、その要旨は、下記(1)、(2)の塊状スポンジチタンの加工方法にある。
(1)底部にロストルを配置した反応容器で製造された塊状スポンジチタンの底面形状を測定し、切削刃を前記塊状スポンジチタンの軸方向に移動させて底面の切削厚みとし、底面中央部と底面周辺部における切削厚みの差が小さくなるように底面を切削することを特徴とする塊状スポンジチタンの加工方法。
(2)底部にロストルを配置した反応容器で製造された塊状スポンジチタンの底面形状を測定し、切削刃を前記塊状スポンジチタンの軸方向に移動させて底面の切削厚みとし、さらに前記切削刃を底面周辺部から底面中央部まで移動させることにより、底面中央部と底面周辺部における切削厚みの差が小さくなるように底面を切削することを特徴とする塊状スポンジチタンの加工方法。
前記(1)、(2)の方法において、塊状スポンジチタンの底面形状の測定を、底面周辺部の下端を含む平面から底面中央部までの距離を測定することにより行うこととすれば、前記底面形状の測定を簡便に行える。
また、前記切削刃の切削速度を20m/min以下とすれば、切削加工に伴う熱によるTiの酸化を防ぐことができるので、望ましい。
前記(1)、(2)の方法で底面を切削した後に、塊状スポンジチタンをプレス切断機で大割りすることとすれば、塊状スポンジチタンの底部の低級部位を除去し、破砕する一連の工程(破砕工程)での作業を効率よく行える。
本発明の塊状スポンジチタンの加工方法によれば、展伸材用の塊状スポンジチタンの歩留りを高めるとともに、展伸材の破砕ラインへの低純度材混入の可能性を著しく減少させて展伸材用としての品質向上を図ることができる。さらに、切削工程とプレス切断工程との工程バランスが図れ、工程全体としての製造リードタイムの短縮も可能になる。
本発明の加工方法は、後述する図4に示す加工装置により容易に且つ好適に実施できる。
塊状スポンジチタンとその押し抜き状況を概念的に示す説明図である。 塊状スポンジチタン1の底面の形状と不純物の集積部位を模式的に示す図であり、(a)は反応容器内に配置したロストルが変形していない場合、(b)および(c)はロストルが変形している場合である。 塊状スポンジチタンの底部近傍の縦断面を模式的に示す図であり、低級部位の除去方法を説明する図である。(a)は従来のプレス切断機を用いて除去する場合を、(b)は本発明の加工方法により除去する場合を示す。 本発明を適用できる塊状スポンジチタンの加工装置の要部の概略構成を例示する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)図のA−A矢視図である。
以下に、本発明に係る塊状スポンジチタンの加工方法について具体的に説明する。
本発明の塊状スポンジチタンの加工方法は、底部にロストルを配置した反応容器で製造された塊状スポンジチタンの底面形状を測定し、底面中央部と底面周辺部における切削厚みの差が小さくなるように底面を切削する方法である。
本発明の加工方法においては、先ず、塊状スポンジチタンの底面形状を測定する。塊状スポンジチタンは底部にロストルを配置した反応容器で製造され、ロストルの変形の度合により切削すべき底面の形状が異なるからである。
底面の切削は、底面形状に応じて、切削状況を観察しながら切削機械を操作し、手動で行う方法を採用することもできる。しかし、作業能率を高めるため、底面の切削は、通常、全自動で行う。その場合、底面形状に応じた切削パターンを切削装置の制御部に入力しておき、その指令に基づいて装置を作動させることになるので、底面形状を測定し、その全体像を把握しておくことは切削パターンを定める上で必須である。
底面形状の測定は、各部の寸法を実測することにより行うことができるが、光学距離計等、光学的手法を用いてもよく、その測定手段は特に限定されない。また、測定箇所等についても、底面形状の特徴、切削方法、目標とする歩留りなどを勘案して適宜定めればよい。
本発明の加工方法で対象とする塊状スポンジチタンの底面形状は、これまでの操業実績から、底面の中央部から周辺部にかけて比較的滑らかな曲面を有していることがわかっている。したがって、底面形状の測定を、底面周辺部の下端を含む平面から底面中央部までの距離を測定することにより行うこととすれば、前記底面形状の測定を簡便に行うことができる。
続いて、底面中央部と底面周辺部における切削厚みの差が小さくなるように底面を切削する。不純物が集積する低級部位4の厚みはほぼ一定とみなすことができる。また、底面中央部は平面状を呈しているので、中央部における低級部位4のみの切削除去は比較的容易である。
したがって、底面中央部での切削厚みと底面周辺部における切削厚みの差が小さくなるように切削することによって、低級部位4のみを除去し、歩留りを高めることが可能になる。これは、例えば、切削中に底面に垂直な方向(塊状スポンジチタンの軸方向)に切削刃を移動させることにより行うことができる。
なお、底面中央部と周辺部の間の部分(中間部)における切削厚みについては特に定めていないが、低級部位4の厚みはほぼ一定とみなし得るので、前記中間部についても当然に底面周辺部における切削に準じた切削を行う。このような底面の中央部と周辺部における切削厚み差を小さくするような切削方法の一例を、図3に基づいて説明する。
図3は、横置きにした塊状スポンジチタンの底部近傍の縦断面を模式的に示す図であり、不純物の多い低級部位の除去方法を説明する図である。(a)は従来のプレス切断機を用いて除去する場合、(b)は本発明の加工方法により除去する場合を示す。
図3(a)および(b)において、塊状スポンジチタン1の底面は、底面周辺部の下端Aから中央部Bにかけて凹面状を呈している。不純物が集積している低級部位4(斜線部)は、通常は数十ミリメートル程度の厚さを有している。また、二点鎖線は、底面周辺部の下端Aを含む面である。新品のロストルを使用した場合は、塊状スポンジチタン1はこの二点鎖線で示される平面に近い底面を有する(図2(a)参照)。
従来の低級部位の除去方法を示す図3(a)においては、切断刃5を塊状スポンジチタン1の底面周辺部下端より若干上方の部位に当て、同図中に白抜き矢印で示すように、上方から下方へ破線(i)に沿って切断する。続いて、順次、破線(ii)〜破線(iv)に沿って切断を繰り返し、最後の破線(v)に沿った切断により底面の切断除去作業が完了する。
この場合、直線的な一方向切断であるため、低級部位4のみを除去することは困難で、その近傍の不純物集積のない部位6(これを、「清浄部位」という)が同時に除去される。したがって、歩留りの低下が大きく、それを補うために人手による低純度層が付着した切片と清浄な切片の仕分け作業が必要になる。
これに対し、本発明の加工方法では、図3(b)に示すように、先ず、切削治具の先端に取り付けた回転式の切削刃7を塊状スポンジチタン1の底面周辺部に接触させ、スポンジチタン1の軸方向に前進させて(i)の位置まで切削する。これにより(i)の位置に存在する低級部位が除去される。続いて、切削刃7を底面の中央側へ移動させ、さらに、スポンジチタン1の軸方向へ移動(前進)させて(ii)の位置まで切削する。以下、同様に(vii)の位置まで切削する。このような切削除去を塊状スポンジチタン1の全周にわたって繰り返すことにより、底面全体を切削し、低級部位4を除去することができる。
なお、実際の切削作業においては、例えば、(i)の位置での切削の際に、切削刃を塊状スポンジチタン1の周方向に移動(回転)させ、全周の切削除去が終了した後、(ii)の位置での切削を同様に行う方式を採ることによって、底面全体の切削除去を効率よく行うことができる。また、切削刃7を複数個使用して切削効率を高めることも可能である。
さらに、切削刃7の底面中央側への移動とスポンジチタン1の軸方向への移動を同時に行い、できるだけ低級部位4の上限に沿わせた切削を行うことも可能である。
この本発明の加工方法では、底面中央部と底面周辺部における切削厚みの差が小さくなるように底面を切削するので、低級部位4の除去に伴う清浄部位6の除去を僅少にとどめつつ切削することができる。これにより、歩留りが格段に向上し、底面を切削した後、人手による低純度層付着切片の仕分け作業をする必要もなくなる。
本発明の加工方法において、前記切削刃の切削速度(周速)は20m/min以下とするのが望ましい。この範囲以下であれば、切削加工に伴う熱によるTiの酸化を防ぐことができるからである。切削速度が小さすぎると加工に長時間を要するため、切削速度は1m/min以上とするのが望ましく、3m/min以上とするのがさらに望ましい。
本発明の加工方法で底面を切削した後に、塊状スポンジチタンをプレス切断機で大割りすることとすれば、底面の除去にプレス切断機を使用しないので、塊状スポンジチタンのプレス切断機による粗砕作業を待ち時間なしに行うことができる。これにより、塊状スポンジチタンの底部の低級部位を除去し、破砕する一連の破砕工程全体としての製造リードタイムの短縮が可能になり、作業を効率よく行うことができる。
以上述べた本発明の加工方法によれば、前述した従来のプレス切断方式における(a)〜(d)の問題をすべて解決し、展伸材用の塊状スポンジチタンの歩留りを高めるとともに、展伸材の破砕ラインへの低純度材混入の可能性を大きく減少させて展伸材用としての品質向上を図ることができる。プレス切断機の占有時間が減少し、また、仕分け作業時間を必要としないので、製造リードタイムの短縮も可能である。
この塊状スポンジチタンの加工方法は、後述する図4に示す加工装置により容易に且つ好適に実施することができる。
本発明が適用できる塊状スポンジチタンの加工装置は、底部にロストルを配置した反応容器で製造された塊状スポンジチタンの底面を切削加工する装置であって、切削刃が底面周辺部から底面中央部まで移動する機能と塊状スポンジチタンの中心軸方向に移動する機能を持つ装置とすることができる。
図4は、本発明が適用できる塊状スポンジチタンの加工装置の要部の概略構成を例示する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)図のA−A矢視図である。
図4に示すように、この装置は、高速で回転する切削刃7と、切削刃7を保持するベース8を有している。ベース8は、図4(b)に矢印で示すように、回転可能に構成されている。ベース8の回転により切削刃7が回転するので、塊状スポンジチタンの底面の全周にわたる切削が容易に行える。また、この例では、ベース8面上の上下および左右方向に合わせて4個の切削刃7が取り付けられ、各切削刃7は、ベース8の周縁部から中心部まで移動溝9に沿って移動できるように構成されている。
図4(a)に、塊状スポンジチタン1の底面の切削加工が行われるときのスポンジチタン1の位置を破線で示す。ベース8の径は塊状スポンジチタン1の直径より大きく、切削刃7はベース8の周縁部から中心部まで移動できるように構成されているので、切削刃7は塊状スポンジチタン1の底面周辺部Aから底面中央部Bまで容易に移動することができる。
さらに、ベース8は、軸方向移動機構により、すなわちこの例ではベース8が載置された架台10がレール11上を移動することにより、前進または後進する。したがって、ベース8に保持された切削刃7は、ベース8面に対して垂直方向に、すなわち塊状スポンジチタンの中心軸方向に移動することができる。
この装置を用いて塊状スポンジチタンの底面を切削加工するに際しては、図4(a)に示したように塊状スポンジチタン1を横置きに配置し、先ず、塊状スポンジチタンの底面形状を測定する。
次いで、架台9を前進させるとともに、4個の切削刃7をそれぞれ移動溝9に沿って移動させ、切削刃7の位置を、刃7の先端が塊状スポンジチタン1の底面周辺部に接する直前の位置に調節する。続いて、切削刃7を回転させ、さらにベース8を矢印方向に極低速で回転させつつ、切削刃7を前進させて切削を開始する。
塊状スポンジチタン1の底面周辺部における切削深さは前記図3(a)の(i)の位置までである。ベース8を回転させることにより切削刃7が塊状スポンジチタン1の周方向に回転するので、底面周辺部の全周にわたって所定の厚みの切削除去が可能になる。
続いて、切削刃7を移動溝9に沿ってベース8の中心方向へ切削刃7の幅の距離だけ移動させる。これにより、切削刃7は塊状スポンジチタン1の底面中央部方向へ切削幅分だけ移動する。切削刃7を前進させて切削深さを前記図3(a)の(ii)の位置までとし、切削を継続する。切削刃7は周方向に回転しているので、前記(ii)の位置に相当する部位を全周にわたって切削除去することができる。
以下、同様の手順で切削を続け、塊状スポンジチタン1の底面周辺部から中央部までの全面の切削加工を実施し、低級部位を除去することができる。
ここで用いた加工装置は、切削刃が塊状スポンジチタンの中心軸を中心として回転するように構成されており、架台や切削刃の移動を最小限にとどめて、塊状スポンジチタンの底部の除去作業を効率よく行うことができる。なお、切削刃の周方向への回転の軸は厳密に塊状スポンジチタンの中心軸に一致しなくてもよい。概ね当該中心軸を中心として回転するように構成されていれば、切削される部位に多少の重複は生ずるが、除去作業を効率よく行うという目的は達せられる。
この本発明の加工装置によれば、本発明の加工方法を容易に且つ好適に実施することができる。前述のように、塊状スポンジチタンの底面中央部と底面周辺部における切削厚みの差が小さくなるような切削が可能なので、展伸材用の塊状スポンジチタンの歩留りを高めることができる。
前記図4に示した構成を有する加工装置を塊状スポンジチタンの破砕工程内の上手側に設置し、塊状スポンジチタンの側面のはつり処理を行った後、本発明の加工方法によりこの塊状スポンジチタン(直径:約2000mm)の底面を切削して低級部位を除去し、展伸材用の塊状スポンジチタンの歩留り、品質および生産性を調査した。
加工装置が具備する4個の切削刃の直径はいずれも250mmで、切削速度(周速)は20m/min以下とした。また、切削刃を保持するベースの回転速度は、60mm/minとした。
切削を行うに際し、塊状スポンジチタンを横置きにして固定治具で固定し、光学距離計により前記スポンジチタンの底部中央の凹み深さ(底面周辺部の下端を含む平面から底面中央部までの距離)を測定し、その深さに応じた切削パターンに従って全自動で切削を行った。なお、切削に際して通常使用される潤滑油等は、チタン品質の悪化要因となるので、一切使用しなかった。
切削は塊状スポンジチタンの底面周辺部から中央部に向けて行った。切削刃7がベース8の中央部側へ移動するに伴い、ベース8が軸方向移動機構により前進することによって、切削刃7は凹みに追随してその凹んだ底面を切削し、低級部位を除去した。切削厚みは30mmとした。なお、底面全面の切削に約2時間を要した。
表1に、展伸材用の塊状スポンジチタンの歩留り、品質および生産性の調査結果を示す。同表には、比較のために、低級部位の除去をプレス切断機を用いて行った従来例も示した。表1において、「品質(不合格率:%)」とは、スポンジチタン底部の低級部位の混入により、展伸材としての品質が基準外となったロットの比率である。また、「生産性(%)」とは、破砕工程における塊状スポンジチタンの処理能力(t/h)であり、従来例を100(%)として表示した。なお、歩留まり、品質および生産性に関する従来例および実施例は、それぞれ3ヶ月間の平均値を示した。
Figure 0004489826
表1から明らかなように、本発明の加工方法によれば、歩留り、品質および生産性のいずれについても著しい向上が認められた。
本発明の塊状スポンジチタンの加工方法は、切削刃を用いてスポンジチタンの底面を切削し、低級部位を除去する方法で、展伸材用の塊状スポンジチタンの歩留りを高めるとともに、展伸材破砕ラインへの低純度材混入の可能性を著しく減少させて展伸材用としての品質向上を図ることができ、さらに、生産性の向上も顕著である。
したがって、本発明の加工方法は、塊状スポンジチタンの破砕工程において、スポンジチタンの底部に集積している不純物層の除去に有効に利用することができる。
1:塊状スポンジチタン 2:ロストル
3:反応容器 4:低級部位
5:切断刃 6:清浄部位
7:切削刃 8:ベース
9:移動溝 10:架台
11:レール

Claims (4)

  1. 底部にロストルを配置した反応容器で製造された塊状スポンジチタンの底面形状を測定し、切削刃を前記塊状スポンジチタンの軸方向に移動させて底面の切削厚みとし、底面中央部と底面周辺部における切削厚みの差が小さくなるように底面を切削することを特徴とする塊状スポンジチタンの加工方法。
  2. 底部にロストルを配置した反応容器で製造された塊状スポンジチタンの底面形状を測定し、切削刃を前記塊状スポンジチタンの軸方向に移動させて底面の切削厚みとし、さらに前記切削刃を底面周辺部から底面中央部まで移動させることにより、底面中央部と底面周辺部における切削厚みの差が小さくなるように底面を切削することを特徴とする塊状スポンジチタンの加工方法。
  3. 塊状スポンジチタンの底面形状の測定を、底面周辺部の下端を含む平面から底面中央部までの距離を測定することにより行うことを特徴とする請求項1または2に記載の塊状スポンジチタンの加工方法。
  4. 請求項1または2に記載の加工方法で底面を切削した後に、塊状スポンジチタンをプレス切断機で大割りすることを特徴とする塊状スポンジチタンの加工方法。
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