JP4488782B2 - 浸炭用ガス製造装置 - Google Patents

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この発明は,鋼材部品等の処理材を浸炭処理するのに用いる一酸化炭素ガスを含む浸炭用ガスを製造する浸炭用ガス製造装置に係り、特に、上記の処理材を高速で浸炭処理するのに用いる一酸化炭素ガスの濃度が高い浸炭用ガスを効率よく安定して製造できるようにした点に特徴を有するものである。
従来から低炭素鋼や低合金鋼等の鋼材部品における強度を高めるため、その表面から炭素を内部に拡散浸透させる浸炭処理が施されている。
そして、このように鋼材部品等の処理材を浸炭処理するにあたっては、様々な方法が使用されており、例えば、図1に示すように、処理炉2内に処理材1を導入し、この処理炉2内に浸炭用ガス製造装置3から一酸化炭素ガスを含む浸炭用ガスを供給し、この処理炉2内において処理材1を加熱させる加熱工程と、このように加熱された処理材1に炭素を付与して浸炭させる浸炭工程と、このように処理材1に付与された炭素を、表面炭素濃度が所要値になるように処理材1の内部に拡散させる拡散工程と、このように炭素が内部に拡散された処理材1の温度を下げる降温工程とを経て、処理材1を浸炭処理することが行われている。
ここで、上記のように処理炉2内に一酸化炭素ガスを含む浸炭用ガスを供給する浸炭用ガス製造装置3としては、一般に、Ni触媒や、Rh,Pt等の貴金属触媒を収容させた触媒層3aの外周側に加熱装置3bを設け、この加熱装置3bによって触媒層3aを加熱させるようにしたものが用いられている。
そして、この浸炭用ガス製造装置3においては、ガス供給管3cによって導かれたLNGやLPG等の炭化水素ガスと、空気供給管3dによって導かれた空気とをガスミキサー3eにより混合させ、このように混合させた混合ガスを上記のように加熱させた触媒層3a内に導き、この混合ガスを上記の触媒により反応させて一酸化炭素を含む浸炭用ガスを生成し、この浸炭用ガスを処理炉2内に供給するようにしている。
しかし、上記のようにLNGやLPG等の炭化水素ガスと空気とを混合させた混合ガスを用いて一酸化炭素ガスを含む浸炭用ガスを生成した場合、空気中には窒素ガスが多く含まれているため、一般に浸炭用ガス中における一酸化炭素ガスの濃度は20〜25体積%程度にしかならず、このように一酸化炭素ガスの濃度が20〜25体積%と低い浸炭用ガスを用いた場合、処理材1に対する浸炭速度が遅くなって、浸炭処理に多くの時間を要するという問題があった。
このため、従来においては、処理炉2内に上記の浸炭用ガスとは別にLNGやLPG等の炭化水素ガスを導入する等により、処理炉2内におけるカーボンポテンシャルを高めて、処理材1に対する浸炭速度を速め、処理時間を短縮させることが行われている。
しかし、上記のように一酸化炭素ガスの濃度が20〜25体積%になった浸炭用ガスを導入させた処理炉2内に、LNGやLPG等の炭化水素ガスを導入させる等によって処理炉2内におけるカーボンポテンシャルを温度と鋼種によって決定される飽和値近くまで高める場合、カーボンポテンシャルを適切に制御することが困難であり、処理炉2内におけるカーボンポテンシャルが飽和値を越えて高くなりすぎ、煤が発生する等の問題があった。
また、従来においても、上記の浸炭用ガスにおける一酸化炭素ガス濃度を高めると、処理材1に対する浸炭速度が向上することが分かっており、近年においては、処理材1を浸炭処理するにあたり、上記の原料ガスにおける空気に代え、二酸化炭素ガスや酸素ガスを用い、一酸化炭素ガスの濃度が高くなった浸炭用ガスを得ることが検討されている。
ここで、上記の原料ガスにおける空気に代えて二酸化炭素ガスを用いた場合、炭化水素ガスと二酸化炭素ガスとの反応が吸熱反応であるため、上記のように外周側に設けた加熱装置3bで加熱させるだけでは、上記の触媒層3aが十分に加熱されず、この触媒層3a内における触媒の一部の温度が低下し、このように温度が低下した部分において、反応が十分に行われなくなって煤が発生し、この煤が触媒層3aに詰まり、浸炭用ガスを安定して製造することができなくなるという問題があった。
このため、近年においては、炭化水素ガスと二酸化炭素ガスと酸素ガスとを爆発混合気範囲外で混合させた原料ガスを用いるようにしたもの(例えば、特許文献1参照。)や、炭化水素ガスと二酸化炭素ガスと酸素等とを混合させた原料ガスをニッケル触媒層に導入して反応させるにあたり、酸素ガスをニッケル触媒層の途中に導入させるようにしたもの(例えば、特許文献2参照。)等が提案されている。
しかし、上記のようにした場合においても、依然として一酸化炭素ガスの濃度が高くなった浸炭用ガスを安定して製造することができず、特に、酸素ガスをニッケル触媒層の途中に導入させる場合においては、原料ガスが供給される触媒層の供給側における温度が低下し、この部分に煤が発生して触媒層が詰まるという問題があった。
特開2000−256824号公報 特開2001−152313号公報
この発明は、鋼材部品等の処理材を浸炭処理する場合における上記のような様々な問題を解決することを課題とするものであり、炭化水素と二酸化炭素とを混合させた原料ガスを加熱させながら触媒層を通して反応させて、一酸化炭素の濃度が高くなった浸炭用ガスを製造する場合において、触媒層の一部の温度が低下して煤が発生するのを抑制し、高速で浸炭処理する場合に使用する一酸化炭素の濃度が高くなった浸炭用ガスを効率よく安定して製造できるようにすることを課題とするものである。
この発明における浸炭用ガス製造装置においては、上記のような課題を解決するため、原料ガスを加熱させながら触媒層を通して反応させ、一酸化炭素ガスを含む浸炭用ガスを製造する浸炭用ガス製造装置において、上記の触媒層を内管と外管との間に設け、この内管と外管とにそれぞれ加熱装置を設けると共に、炭化水素ガスと二酸化炭素ガスとを含む原料ガスに、酸素を含むガスを原料ガスが触媒層に供給される前の位置で供給するようにしたのである。
そして、この浸炭用ガス製造装置において、炭化水素ガスと二酸化炭素ガスとを含む原料ガスに酸素を含むガスを原料ガスが触媒層に供給される前の位置で供給するにあたっては、酸素を含むガスを、炭化水素ガスと二酸化炭素ガスとを含む原料ガスに混合させて触媒層に導くようにする他、酸素を含むガスの一部又は全部を、炭化水素ガスと二酸化炭素ガスとを含む原料ガスとは別に、原料ガスが供給される触媒層の供給側に供給させるようにすることもできる。
また、このように炭化水素ガスと二酸化炭素ガスとを含む原料ガスに酸素を含むガスを原料ガスが触媒層に供給される前の位置で供給するにあたり、酸素を含むガスの量が多くなりすぎると、得られる浸炭用ガス中における一酸化炭素ガス濃度が低くなって、高速で浸炭処理することが困難になるため、浸炭用ガス中における一酸化炭素ガスの濃度が40〜57体積%の範囲になるようにして、原料ガスに酸素を含むガスを供給することが好ましい。
ここで、上記の酸素を含むガスとしては、酸素ガスだけを用いることもできるが、コストが高くつくため、一般に空気を用いるようにする。また、上記の触媒層に使用する触媒としては、一般に使用されているNi触媒や、Rh,Pt等の貴金属触媒を用いることができるが、上記の原料ガスを、触媒層を通して効率よく反応させるためには、Rh,Pt等の貴金属触媒を用いることが好ましい。
この発明における浸炭用ガス製造装置においては、上記のように触媒層を内管と外管との間に設け、この内管と外管とをそれぞれ加熱装置によって加熱させるようにしたため、触媒層全体が内管と外管とを通して十分に加熱されるようになる。
また、この発明における浸炭用ガス製造装置においては、炭化水素ガスと二酸化炭素ガスとを含む原料ガスに酸素を含むガスを原料ガスが触媒層に供給される前の位置で供給するようにしたため、原料ガスが供給される触媒層内、特に原料ガスが供給される触媒層の供給側において、酸素が反応する発熱反応が生じ、これにより原料ガスが供給される触媒層の温度が低下するのも抑制される。
この結果、炭化水素ガスと二酸化炭素ガスとを混合させた原料ガスを用いて、一酸化炭素ガス濃度が高い浸炭用ガスを製造する場合に、触媒層の温度、特に原料ガスが供給される触媒層の供給側の温度が低下するのが抑制されて、触媒層において煤が発生するのが防止され、一酸化炭素ガス濃度が高い浸炭用ガスを効率よく安定して製造できるようになる。
特に、酸素を含むガスの一部又は全部を、原料ガスとは別に、原料ガスが供給される触媒層の供給側に供給させるようにすると、このガスに含まれる酸素が、原料ガスが供給される触媒層の供給側において十分に反応し、原料ガスが供給される触媒層の供給側の温度が低下するのが一層に防止されるようになる。
以下、この発明の実施形態に係る浸炭用ガス製造装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る浸炭用ガス製造装置は下記の実施形態に示すものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
この実施形態における浸炭用ガス製造装置10においては、図2に示すように、内管11と外管12との間に、Rh,Pt等の貴金属触媒を充填させた触媒層13を設けている。
そして、上記の内管11の内部に、この内管11を加熱させる電熱ヒーターからなる加熱装置14を設けると共に、上記の外管12の外周側に断熱材を用いた外装体15を設け、この外装体15と外管12との間に、外管12を加熱させる電熱ヒーターからなる加熱装置16を設けている。
また、この実施形態の浸炭用ガス製造装置10においては、上記の内管11と外管12との間に断熱部材17を設けると共に、この断熱部材17を貫通するようにして原料ガス供給管18を設けている。
そして、この実施形態の浸炭用ガス製造装置10を用いて、一酸化炭素ガスの濃度が高くなった浸炭用ガスGbを製造するにあたっては、上記の各加熱装置14,16を加熱させて、内管11と外管12との間に設けた触媒層13を加熱させると共に、酸素を含むガスである空気を、炭化水素ガスと二酸化炭素ガスとを含む原料ガスに予め混合させ、このように空気を含む原料ガスGaを上記の原料ガス供給管18を通して上記のように加熱された触媒層13に導くようにする。
ここで、上記のように空気を含む原料ガスGaを加熱された触媒層13に導くと、この触媒層13において、上記の炭化水素ガスと二酸化炭素ガスとにより、一酸化炭素と水素とを含む浸炭用ガスGbが生成される吸熱反応が生じる一方、酸素が反応する発熱反応が生じて、触媒層の温度が低下するのが抑制されるようになり、特に、上記の原料ガスGaが供給される触媒層13の供給側において、酸素が反応する発熱反応が生じ、触媒層13の供給側の温度が低下するのが抑制されて、煤が発生するのが防止される。
そして、触媒層13において上記のように生成された浸炭用ガスGbを外管12に設けた排出管19を通して浸炭処理を行う処理炉(図示せず)内に供給するようにしている。
ここで、この実施形態の浸炭用ガス製造装置においては、上記のように内管11と外管12との両方に加熱装置14,16を設け、各加熱装置14,16により内管11と外管12とを通して触媒層13を加熱させるようにしているため、触媒層13が十分に加熱されるようになると共に、原料ガスGaが供給される触媒層13の供給側においても、触媒層13の温度が低下するのが抑制され、煤が触媒層13に詰まるということがなく、一酸化炭素ガス濃度が高くなった浸炭用ガスGbを効率よく安定して製造できるようになる。
なお、この実施形態の浸炭用ガス製造装置においては、上記の各加熱装置14,16に電熱ヒーターを用いるようにしたが、各加熱装置14,16の種類は特に限定されず、バーナー等の公知の加熱装置を用いることができる。
また、この実施形態における浸炭用ガス製造装置においては、酸素を含むガスである空気を、炭化水素ガスと二酸化炭素ガスとを含む原料ガスに予め混合させ、このように空気を含む原料ガスGa、原料ガス供給管18を通して加熱された触媒層13に導くようにしたが、図3に示すように、内管11と外管12との間に設けた断熱部材17を貫通するようにして、上記の原料ガス供給管18の他に空気供給管18aを設け、原料ガスGaに供給する空気Goの一部又は全部を、この空気供給管18aを通して加熱された触媒層13に導くようにすることもできる。
そして、このように原料ガスGaに供給する空気Goの一部又は全部を、この空気供給管18aを通して加熱された触媒層13に導くと、この空気Goに含まれる酸素が、原料ガスGaが供給される触媒層13の供給側において十分に反応し、原料ガスGaが供給される触媒層13の供給側の温度が低下するのが一層に防止されるようになる。
なお、空気Goに含まれる酸素が、原料ガスGaが供給される触媒層13の供給側において十分に反応すると共に触媒層13の内部においても反応し、触媒層13全体の温度が低下するのを抑制するためには、上記のように空気Goを炭化水素ガスと二酸化炭素ガスとを含む原料ガスGaに予め混合させると共に、空気Goの一部を、空気供給管18aを通して加熱された触媒層13に導くようにすることが好ましい。
処理材を浸炭処理するのに使用する従来の浸炭処理装置を示した概略説明図である。 この発明の一実施形態に係る浸炭用ガス製造装置を示した概略説明図である。 同実施形態に係る浸炭用ガス製造装置において、原料ガス供給管の他に空気を導く空気供給管を設けた変更例を示した概略説明図である。
符号の説明
10 浸炭用ガス製造装置
11 内管
12 外管
13 触媒層
14 加熱装置
15 外装体
16 加熱装置
17 断熱部材
18 原料ガス供給管
18a 空気供給管
19 排出管
Ga 原料ガス
Gb 浸炭用ガス
Go 酸素を含むガス(空気)

Claims (4)

  1. 原料ガスを加熱させながら触媒層を通して反応させ、一酸化炭素ガスを含む浸炭用ガスを製造する浸炭用ガス製造装置において、上記の触媒層を内管と外管との間に設け、この内管と外管とにそれぞれ加熱装置を設けると共に、炭化水素ガスと二酸化炭素ガスとを含む原料ガスに、酸素を含むガスを原料ガスが触媒層に供給される前の位置で供給することを特徴とする浸炭用ガス製造装置。
  2. 請求項1に記載した浸炭用ガス製造装置において、上記の酸素を含むガスの一部又は全部を、原料ガスとは別に、原料ガスが供給される触媒層の供給側に供給することを特徴とする浸炭用ガス製造装置。
  3. 請求項1に記載した浸炭用ガス製造装置において、上記の炭化水素ガスと二酸化炭素ガスとを含む原料ガスと酸素を含むガスとを混合させて、上記の触媒層の供給側に供給することを特徴とする浸炭用ガス製造装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載した浸炭用ガス製造装置において、上記の浸炭用ガス中における一酸化炭素ガスの濃度が40〜57体積%の範囲になるようにして、上記の原料ガスに酸素を含むガスを供給することを特徴とする浸炭用ガス製造装置。
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