JP2009235451A - 熱処理方法 - Google Patents

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智宏 和田
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Abstract

【課題】エンリッチによる熱処理炉内での局所的な温度低下や煤の発生を抑制し、製品品質を安定させ、熱処理炉のトラブルを回避することができる熱処理方法を提供する。
【解決手段】ジメチルエーテルに、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を酸化性ガスとして添加した原料混合ガスを、熱処理炉12内に噴射することによって一酸化炭素と水素とを含む熱処理用雰囲気ガスを発生させるとともに、熱処理炉内雰囲気の二酸化炭素濃度、酸素濃度及び露点の少なくともいずれか一つを測定し、該測定結果に基づいて前記熱処理炉内雰囲気に、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を導入する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼材製の部品等の熱処理、例えば浸炭処理を行う熱処理方法に関し、詳しくは、熱処理炉内雰囲気を熱処理に適した状態に制御することができる熱処理方法に関する。
従来、一酸化炭素及び水素を含む浸炭用雰囲気ガスを発生させる方法として、液化天然ガスや液化石油ガス等のパラフィン系炭化水素と空気とを混合した後、この原料混合ガスを高温に保持されたニッケル触媒層を有する変成炉に導入し、空気中の酸素と炭化水素とを触媒反応させて一酸化炭素と水素とを含む変性ガスを得る空気混合法が広く用いられている。近年では,炭化水素と二酸化炭素又は酸素とを混合したガスを原料混合ガスとして用いることにより、一酸化炭素及び水素の濃度を向上させ、浸炭能力を強化した浸炭用雰囲気ガスを発生させる方法も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
炭化水素に空気、二酸化炭素又は酸素からなる酸化性ガスを添加した原料混合ガスを用いて変成炉で一酸化炭素及び水素を発生させる場合、原料混合ガス中の炭化水素の全量が一酸化炭素及び水素になるように、前記酸化性ガスの添加量を調節し、浸炭性や還元性が最も高い熱処理用雰囲気ガスを生成させることが期待されるが、実際には、投入した炭化水素の一部は熱分解反応による煤の発生を引き起こし、触媒層や配管を閉塞させてしまうために安定した変成炉の運転ができなかった。そのため、炭化水素を一酸化炭素及び水素に変換するための必要量よりも酸化性ガスを過剰に含んだ原料混合ガスを用いることで煤の発生を抑制し、安定した変成炉の運転を実現している。
したがって、変成炉にて発生させた変性ガスには、過剰に添加された酸化性ガスと炭化水素との酸化反応により生成した水及び二酸化炭素を含んでいる。この変性ガスを熱処理炉に投入して熱処理を行う場合、低炭素鋼や純鉄等の処理にはそのまま用いることができるが、浸炭処理や高炭素鋼の無脱炭熱処理等の場合には、変性ガス中に含まれる水及び二酸化炭素が多いためにカーボンポテンシャル(炭素濃度)が低くなり、正常な浸炭処理等ができなくなる。
このため、一般には、熱処理炉内に炭化水素ガスを添加し、吸熱反応によって水及び二酸化炭素を水素及び一酸化炭素に変換することによりカーボンポテンシャルを向上させるエンリッチと呼ばれる操作が行われる。例えば浸炭処理では、浸炭工程においてカーボンポテンシャルが1.0〜1.3%程度、拡散工程では0.8〜0.9%になるように、また、無脱炭熱処理では鋼材の炭素含有量に相当するカーボンポテンシャルになるように、それぞれ炭化水素の添加量を制御してエンリッチ操作を行っている。
さらに、浸炭用雰囲気ガスを発生させる方法として、原料にジメチルエーテルを用いる方法も知られている。ジメチルエーテルを用いることにより、従来の液化天然ガスを用いる場合に比べ、煤の発生を抑制しつつ一酸化炭素と水素とのモル比が1:1に近い組成の浸炭用雰囲気ガスを発生させることができ、浸炭処理に要する時間を短縮することができる(例えば、特許文献2参照。)。
特開2000−256824号公報 特開2007−162055号公報
しかし、上述の熱処理炉内への炭化水素ガスの添加によるエンリッチでは、吸熱反応であるために局所的な炉内温度の低下や添加した炭化水素ガスの熱分解反応による煤の発生を引き起こし、製品品質の低下や不安定化あるいは堆積した煤による熱処理炉のトラブルをもたらすことがある。
また、原料にジメチルエーテルを用いた場合の熱処理炉におけるカーボンポテンシャルについては、熱処理炉内のカーボンポテンシャルが高くなりすぎると、セメンタイトと呼ばれる浸炭異常相が生成することで処理品に不良が発生したり、煤が発生して製品を汚染したりするおそれがあり、また、発生した煤が炉内に堆積した場合、煤自体がエンリッチガスと同様の効果を持つため、炉内のカーボンポテンシャルが高くなったまま下がらないおそれがある。
そこで本発明は、エンリッチによる熱処理炉内での局所的な温度低下や煤の発生を抑制し、製品品質を安定させ、熱処理炉のトラブルを回避することができる熱処理方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の熱処理方法における第1の構成は、ジメチルエーテルに、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を酸化性ガスとして添加した原料混合ガスを、熱処理炉内に噴射することによって一酸化炭素と水素とを含む熱処理用雰囲気ガスを発生させるとともに、熱処理炉内雰囲気の二酸化炭素濃度、酸素濃度及び露点の少なくともいずれか一つを測定し、該測定結果に基づいて前記熱処理炉内雰囲気に、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を導入することを特徴としている。
本発明の熱処理方法における第2の構成は、ジメチルエーテルに、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を酸化性ガスとして添加した原料混合ガスを、熱処理炉内に噴射することによって一酸化炭素と水素とを含む熱処理用雰囲気ガスを発生させるとともに、熱処理炉内雰囲気の二酸化炭素濃度、酸素濃度及び露点の少なくともいずれか一つを測定し、該測定結果に基づいて前記原料混合ガスにおける前記酸化性ガスの添加量を調節することを特徴としている。
本発明の熱処理方法における第3の構成は、ジメチルエーテルに、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を酸化性ガスとして添加した原料混合ガスを、ニッケル触媒で触媒反応させることによって一酸化炭素と水素とを含む熱処理用雰囲気ガスを発生させ、該熱処理用雰囲気ガスを熱処理炉内に導入するとともに、該熱処理炉内雰囲気の二酸化炭素濃度、酸素濃度及び露点の少なくともいずれか一つを測定し、該測定結果に基づいて前記熱処理炉内雰囲気に、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を導入することを特徴としている。
本発明の熱処理方法における第4の構成は、ジメチルエーテルに、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を酸化性ガスとして添加した原料混合ガスを、ニッケル触媒で触媒反応させることによって一酸化炭素と水素とを含む熱処理用雰囲気ガスを発生させ、該熱処理用雰囲気ガスを熱処理炉内に導入するとともに、該熱処理炉内雰囲気の二酸化炭素濃度、酸素濃度及び露点の少なくともいずれか一つを測定し、該測定結果に基づいて前記原料混合ガスにおける前記酸化性ガスの添加量を調節することを特徴としている。
本発明の熱処理方法における第5の構成は、ジメチルエーテルに、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を酸化性ガスとして添加した原料混合ガスを、燃焼させることによって一酸化炭素と水素とを含む熱処理用雰囲気ガスを発生させ、該熱処理用雰囲気ガスを熱処理炉内に導入するとともに、該熱処理炉内雰囲気の二酸化炭素濃度、酸素濃度及び露点の少なくともいずれか一つを測定し、該測定結果に基づいて前記熱処理炉内雰囲気に、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を導入することを特徴としている。
本発明の熱処理方法における第6の構成は、ジメチルエーテルに、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を酸化性ガスとして添加した原料混合ガスを、燃焼させることによって一酸化炭素と水素とを含む熱処理用雰囲気ガスを発生させ、該熱処理用雰囲気ガスを熱処理炉内に導入するとともに、該熱処理炉内雰囲気の二酸化炭素濃度、酸素濃度及び露点の少なくともいずれか一つを測定し、該測定結果に基づいて前記原料混合ガスにおける前記酸化性ガスの添加量を調節することを特徴としている。
本発明の熱処理方法によれば、熱処理炉内雰囲気中のカーボンポテンシャルを最適に制御することができるので、効果的な熱処理を行うことができる。また、熱処理炉内に二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を導入する場合、これらのガスは酸化性ガスであり、炭化水素ガスによるエンリッチと異なり熱処理炉内での反応が発熱反応であることから、局所的な炉内温度の低下を引き起こす虞がなく、さらに、反応が酸化反応であるために煤が発生することもない。また、原料として炭素−炭素結合を持たないジメチルエーテルを用いているために煤が発生し難く、さらに、原料混合ガス中の酸化性ガス量を減らすことができるので、発生した熱処理用雰囲気ガス中の二酸化炭素及び水の含有量を大幅に低く抑えることが可能である。
図1は本発明の熱処理方法を適用した第1形態例を示す熱処理装置の系統図、図2は熱処理炉内のカーボンポテンシャルの推移を示す説明図である。この熱処理装置10は、原料としてジメチルエーテルと酸化性ガスである二酸化炭素及び酸素とを使用し、熱処理炉内雰囲気制御用の酸化性ガスに空気を使用したものであって、原料混合ガス供給装置11と、鋼材製の部品等の熱処理、例えば迅速浸炭処理を行う熱処理炉12と、該熱処理炉12内の雰囲気を測定するセンサ13と、前記熱処理炉12の雰囲気制御用の空気を供給する空気供給源14と、前記センサ13からの信号に基づいて前記空気供給源14から熱処理炉12に導入すべき空気量を演算する制御部15と、該制御部15の制御によって空気供給源14から熱処理炉12に導入する空気量を調節する流量調節器16とを備えている。
原料混合ガス供給装置11は、原料となるジメチルエーテル、二酸化炭素及び酸素をそれぞれ供給するジメチルエーテル供給源17、二酸化炭素供給源18及び酸素供給源19と、これらの供給量をそれぞれ調節するための流量調節器17a,18a,19aと、これらを混合して原料混合ガスを得るためのガス混合器20とを備えている。ガス混合器20で混合された原料混合ガスは、原料混合ガス導入経路21を通って所定温度、例えば750℃以上に保持された熱処理炉12内に直接噴射され、熱処理炉12内で原料混合ガスの変成反応が進行し、一酸化炭素と水素とを含む熱処理用雰囲気ガスが生成する。このとき、原料混合ガスにおける各ガスの混合割合は、熱処理炉内雰囲気の最適なカーボンポテンシャルに対して若干高め、例えば、熱処理炉内雰囲気の最適なカーボンポテンシャルが1.0%の場合には、原料混合ガスから生成する熱処理用雰囲気ガスのカーボンポテンシャルが1.2%程度になるように設定する。
前記センサ13は、熱処理炉内雰囲気の酸素濃度、二酸化炭素濃度及び露点の少なくともいずれか一つを測定するもの、例えば酸素濃度を測定するものが用いられており、制御部15では、センサ13からの信号に基づく酸素濃度から熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルを演算し、算出したカーボンポテンシャルに基づいて熱処理炉12に導入すべき空気量を演算し、演算結果に基づいて前記流量調節器16を調節し、前記空気供給源14から流量調節器16及び空気導入経路22を介して熱処理炉12内に所定量の空気を導入する。
例えば、図2に示すように、熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャル(CP)が適正範囲の上限値Hを超えたときに、空気供給源14から熱処理炉12内に空気の導入を開始し、上限値Hを下回ったときに空気の導入を停止することにより、熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルが高くなり過ぎることを防止できる。このとき、前述のように、原料混合ガスから生成する熱処理用雰囲気ガスのカーボンポテンシャルを熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルが適正範囲の上限値Hより高く設定しておくことにより、カーボンポテンシャルが適正範囲の下限値Lを下回ることはなく、熱処理炉12内への空気の導入と停止とによって熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルを常に適正範囲に制御することができる。
なお、空気供給源14から供給される空気は、図1に想像線で示すように、原料混合ガス導入経路21に導入するようにしてもよい。また、原料のジメチルエーテルに添加する酸化性ガスは、二酸化炭素と酸素との組み合わせに限らず、熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルの目標値等の条件に応じて二酸化炭素、酸素及び空気の1種又は2種以上を酸化性ガスとして用いることができる。また、雰囲気制御用として熱処理炉12内に導入する酸化性ガスの供給源は、原料混合ガス供給装置11に設けられている二酸化炭素供給源18や酸素供給源19を利用することもできる。
同様に、熱処理炉内雰囲気制御用の酸化性ガスにも、前述の空気に限らず、二酸化炭素、酸素及び空気の1種又は2種以上を用いることができる。すなわち、酸素あるいは空気中の酸素は、熱処理炉12内に導入されたときに、2CO+O→2COの反応が生じることによってCO分圧が低下するとともに、CO分圧が上昇するため、熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルを下げることができる。また、二酸化炭素の場合は、CO濃度の上昇により相対的にCO分圧が低下し、カーボンポテンシャルが低下することになる。
このとき、酸化性ガスとして酸素(純酸素)を用いた場合は、極微量を炉内に導入することでカーボンポテンシャルを下げられる効果を有しているが、炉内での反応が燃焼反応であることから激しく反応するため、制御性に難点を有している。また、二酸化炭素は、制御性は良好であるが、僅かながら水性ガス反応が生じることもあることから、総合的には空気が最適であり、酸素富化空気や二酸化炭素と酸素とを混合したものを用いることもできる。
例えば、原料混合ガスとして、ジメチルエーテルと二酸化炭素との混合ガスを使用し、この原料混合ガスを930℃の熱処理炉12内に導入したときに生成する熱処理用雰囲気ガスのカーボンポテンシャルが1.2%(一酸化炭素50.1%、二酸化炭素0.56%)になるように原料混合ガスの組成を調節した場合、熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルを1.0%に制御するために熱処理炉12内に導入する酸化性ガスの量は、カーボンポテンシャルが1.2%の熱処理用雰囲気ガスの導入量に対して、酸素の場合は0.1%以下、二酸化炭素の場合は0.2%以下、空気の場合は0.5%以下とすることが好ましい。
また、熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルは、炉内雰囲気ガスの平衡関係から、前記酸素濃度の他、二酸化炭素濃度や露点を測定することによっても算出することができ、酸素濃度、二酸化炭素濃度、露点のいずれか一つ、あるいは、二つ以上を測定してカーボンポテンシャルを算出するようにしてもよい。また、制御部15に熱処理炉12内の温度信号を入力してカーボンポテンシャルの演算に用いることもでき、別の制御装置からの工程別信号や温度設定信号等を用いてカーボンポテンシャルを演算したり、補正したりすることができる。
図3は本発明の第2形態例を示す熱処理装置の系統図である。なお、以下の説明において、前記第1形態例に示した熱処理装置の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本形態例に示す熱処理装置は、前記第1形態例では、制御部15によって雰囲気制御用として熱処理炉12に導入する空気の導入量を調節していたのに代えて、前記制御部15は、センサ13からの信号に基づく酸素濃度から熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルを演算し、算出したカーボンポテンシャルに基づいて原料混合ガス供給装置11の流量調節器17a,18a,19aを調節し、原料混合ガスにおけるジメチルエーテル、二酸化炭素及び酸素の組成を変更する。これにより、熱処理炉12内に導入された原料混合ガスから生成する熱処理用雰囲気ガスのカーボンポテンシャルを制御することができる。
例えば、熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルが高い場合には、ジメチルエーテル供給源17の流量調節器17aにおける流量を少なくして原料混合ガス中のジメチルエーテル濃度を低くしたり、二酸化炭素供給源18及び酸素供給源19の流量調節器18a,19aのいずれか一方又は双方の流量を多くして原料混合ガス中の酸化性ガス濃度を高くしたりすることにより、熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルを下げることができる。逆に熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルを上昇させる場合には、ジメチルエーテルの供給量を多くしたり、二酸化炭素や酸素の供給量を少なくすればよい。
図4は本発明の第3形態例を示す熱処理装置の系統図である。本形態例に示す熱処理装置は、原料混合ガス供給装置11のガス混合器20で混合した原料混合ガスを、ニッケル触媒を充填した変成炉23に導入し、該変成炉23での触媒反応により変成反応させることにより、原料混合ガスから一酸化炭素と水素とを含む熱処理用雰囲気ガスを発生させ、ガス冷却器24、ガス分析計25を介して熱処理炉12に導入するようにしている。
本形態例では、前記第1形態例と同様に、前記制御部15によって空気供給源14から熱処理炉12に導入する空気量を調整することにより、熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルを制御している。
図5は本発明の第4形態例を示す熱処理装置の系統図である。本形態例に示す熱処理装置は、前記第3形態例の熱処理装置と同様に、原料混合ガスを変成炉23に導入して熱処理用雰囲気ガスを発生させるとともに、前記第2形態例と同様に、前記制御部15によって流量調節器17a,18a,19aを調節し、原料混合ガスにおけるジメチルエーテル、二酸化炭素及び酸素の組成を変更することにより、熱処理用雰囲気ガスのカーボンポテンシャルを制御している。
図6は本発明の第5形態例を示す熱処理装置の系統図である。本形態例に示す熱処理装置では、原料混合ガス供給装置11のガス混合器20で混合した原料混合ガスを、バーナー26を備えた燃焼炉27に導入して燃焼させることにより、変成反応を進行させて原料混合ガスから前記同様の組成を有する熱処理用雰囲気ガスを発生させるようにしている。
熱処理炉12内の熱処理用雰囲気ガスのカーボンポテンシャルは、図6に示すように、前記第1形態例と同様に、前記制御部15によって空気供給源14から熱処理炉12に導入する空気量を調整することによって制御するようにしてもよく、図示は省略するが、前記第2形態例と同様に、前記制御部15によって流量調節器17a,18a,19aを調節し、原料混合ガスにおけるジメチルエーテル、二酸化炭素及び酸素の組成を変更することにより、熱処理用雰囲気ガスのカーボンポテンシャルを制御するようにしてもよい。
また、各形態例において、熱処理炉12に酸化性ガスを導入する制御と、原料混合ガスの組成を変更する制御とを組み合わせて採用することも可能であり、原料混合ガス供給装置11からの原料とは別の酸化性ガス供給源から供給される酸化性ガスを、原料混合ガス供給装置11の任意の経路、例えば、前述のように原料混合ガス導入経路21に導入するだけでなく、ガス混合器20の前段、変成炉23や燃焼炉27の前段、ガス冷却器24の前段、ガス分析計25の前段といった経路に導入することができる。
このように、熱処理用雰囲気ガスを発生させる原料としてジメチルエーテルを使用した熱処理方法において、熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルがあらかじめ設定した上限値を超えたときに酸化性ガスを熱処理炉12内へ導入したり、原料混合ガスにおける前記酸化性ガスの添加量を調節し、該原料混合ガス中のジメチルエーテル濃度を相対的に低下させたりすることにより、熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルを適正な範囲に制御することができるので、カーボンポテンシャルが高くなりすぎて処理品に不良が発生したり、煤が発生して製品を汚染したりすることがなくなる。
また、原料混合ガスからカーボンポテンシャルが高い熱処理用雰囲気ガスを発生させるように設定することにより、発生したカーボンポテンシャルが高い熱処理用雰囲気ガスを熱処理炉12内へ導入することで熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルが下限値を下回ることもなくなる。さらに、原料混合ガス供給装置11における各ガスの流量調節によって熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルを制御している場合は、原料混合ガス中のジメチルエーテル濃度を相対的に高くすることにより、熱処理炉内雰囲気のカーボンポテンシャルを上昇させることができる。
また、図4に示す構成の熱処理装置を使用し、熱処理炉の運転条件を、温度930℃、カーボンポテンシャル1.0%にて2時間の浸炭工程を行った後、温度930℃、カーボンポテンシャル0.85%にて3時間の拡散工程を行い、さらに、温度を850℃に降温してカーボンポテンシャル0.85%にて0.5時間の均熱工程を行うように設定して浸炭焼入処理を行った。このときの炉内雰囲気を一酸化炭素分析計及び二酸化炭素分析計、炉内直入式の酸素センサ及びコイル式CPメーターにてそれぞれ測定し、炉内のカーボンポテンシャルを算出したところ、カーボンポテンシャル設定値とカーボンポテンシャル実測値とは略一致しており、前記制御による炉内雰囲気制御が有効であることが確認できた。さらに、浸炭処理品の金属組織を評価した結果、浸炭異常層は通常のガス浸炭品と同程度であることが確認できた。
また、浸炭工程、拡散工程、焼入工程のそれぞれにおける最適なカーボンポテンシャル、各工程の処理温度、各工程で熱処理炉12内に導入する酸化性ガス(二酸化炭素、酸素及び空気)の導入量(カーボンポテンシャル1.2%の熱処理用雰囲気ガス導入量に対する割合)を表1に示す。
Figure 2009235451
本発明の熱処理方法を適用した第1形態例を示す熱処理装置の系統図である。 同じく熱処理炉内のカーボンポテンシャルの推移を示す説明図である。 本発明の第2形態例を示す熱処理装置の系統図である。 本発明の第3形態例を示す熱処理装置の系統図である。 本発明の第4形態例を示す熱処理装置の系統図である。 本発明の第5形態例を示す熱処理装置の系統図である。
符号の説明
10…熱処理装置、11…原料混合ガス供給装置、12…熱処理炉、13…センサ、14…空気供給源、15…制御部、16…流量調節器、17…ジメチルエーテル供給源、18…二酸化炭素供給源、19…酸素供給源、17a,18a,19a…流量調節器、20…ガス混合器、21…原料混合ガス導入経路、22…空気導入経路、23…変成炉、24…ガス冷却器、25…ガス分析計、26…バーナー、27…燃焼炉

Claims (6)

  1. ジメチルエーテルに、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を酸化性ガスとして添加した原料混合ガスを、熱処理炉内に噴射することによって一酸化炭素と水素とを含む熱処理用雰囲気ガスを発生させるとともに、熱処理炉内雰囲気の二酸化炭素濃度、酸素濃度及び露点の少なくともいずれか一つを測定し、該測定結果に基づいて前記熱処理炉内雰囲気に、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を導入することを特徴とする熱処理方法。
  2. ジメチルエーテルに、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を酸化性ガスとして添加した原料混合ガスを、熱処理炉内に噴射することによって一酸化炭素と水素とを含む熱処理用雰囲気ガスを発生させるとともに、熱処理炉内雰囲気の二酸化炭素濃度、酸素濃度及び露点の少なくともいずれか一つを測定し、該測定結果に基づいて前記原料混合ガスにおける前記酸化性ガスの添加量を調節することを特徴とする熱処理方法。
  3. ジメチルエーテルに、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を酸化性ガスとして添加した原料混合ガスを、ニッケル触媒で触媒反応させることによって一酸化炭素と水素とを含む熱処理用雰囲気ガスを発生させ、該熱処理用雰囲気ガスを熱処理炉内に導入するとともに、該熱処理炉内雰囲気の二酸化炭素濃度、酸素濃度及び露点の少なくともいずれか一つを測定し、該測定結果に基づいて前記熱処理炉内雰囲気に、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を導入することを特徴とする熱処理方法。
  4. ジメチルエーテルに、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を酸化性ガスとして添加した原料混合ガスを、ニッケル触媒で触媒反応させることによって一酸化炭素と水素とを含む熱処理用雰囲気ガスを発生させ、該熱処理用雰囲気ガスを熱処理炉内に導入するとともに、該熱処理炉内雰囲気の二酸化炭素濃度、酸素濃度及び露点の少なくともいずれか一つを測定し、該測定結果に基づいて前記原料混合ガスにおける前記酸化性ガスの添加量を調節することを特徴とする熱処理方法。
  5. ジメチルエーテルに、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を酸化性ガスとして添加した原料混合ガスを、燃焼させることによって一酸化炭素と水素とを含む熱処理用雰囲気ガスを発生させ、該熱処理用雰囲気ガスを熱処理炉内に導入するとともに、該熱処理炉内雰囲気の二酸化炭素濃度、酸素濃度及び露点の少なくともいずれか一つを測定し、該測定結果に基づいて前記熱処理炉内雰囲気に、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を導入することを特徴とする熱処理方法。
  6. ジメチルエーテルに、二酸化炭素、酸素及び空気の少なくとも1種を酸化性ガスとして添加した原料混合ガスを、燃焼させることによって一酸化炭素と水素とを含む熱処理用雰囲気ガスを発生させ、該熱処理用雰囲気ガスを熱処理炉内に導入するとともに、該熱処理炉内雰囲気の二酸化炭素濃度、酸素濃度及び露点の少なくともいずれか一つを測定し、該測定結果に基づいて前記原料混合ガスにおける前記酸化性ガスの添加量を調節することを特徴とする熱処理方法。
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