JP2013256687A - ガス浸炭方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガス変成を行わない直接ガス浸炭法において煤の発生を抑制可能なガス浸炭方法を提供する。
【解決手段】炭化水素ガス1とキャリアガス2とをガス浸炭炉3内に直接導入し、浸炭処理を行う工程を有するガス浸炭方法であって、キャリアガス2に水分を添加する。キャリアガス2は窒素ガスとすることができる。キャリアガス2への水分の添加は、乾燥したキャリアガス2と加湿されたキャリアガス2とを混合することによって行うことができる。炭化水素ガス1としては、都市ガス、天然ガスまたはLPガスを好適に用いることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガス浸炭方法に関する。
従来、鋼部材の表面硬化を目的とする熱処理方法の一つとしてガス浸炭法が知られている。現在、最も多く適用されているガス浸炭法は、ガス変成炉を用いる変成炉式ガス浸炭法である。変成炉式ガス浸炭法は、一般に、ガス変成炉にて原料ガスから浸炭性のガスを発生させ、この浸炭性ガスをガス浸炭炉に導入し、鋼部材表面の浸炭処理を行う方法である。
近年、ガス変成炉を用いることなく、炭化水素ガス等の原料ガスをガス浸炭炉に直接導入して浸炭を行う直接ガス浸炭法が注目を集めるようになっている。変成炉式に比べて原料ガスを削減することができ、さらに、ガス変成炉で消費されるエネルギーを削減することができるので、省資源・省エネルギーだからである。この種の直接ガス浸炭法としては、例えば、特許文献1に、ガス浸炭炉内に炭化水素ガスとCOとを直接供給するガス浸炭方法が開示されている。
特公平6−51904号公報
しかしながら、直接ガス浸炭法は、上述した利点を有するものの、スーティングと呼ばれる煤の発生が起こりやすいといった問題がある。これは、炭化水素ガスをガス浸炭炉内に直接導入するので、浸炭に寄与せず熱分解される炭化水素が煤となりやすいためである。
ガス浸炭炉内にて発生した煤は、浸炭を阻害し、浸炭制御を困難にする。また、上記煤は、鋼部材の表面に付着して焼入れ時に焼入れ油を汚染する。さらに、炉内の煤を取り除くために頻繁にバーンアウトを行う必要も生じる。バーンアウトは、高温で煤と酸素とを反応させるため、昇温のためのエネルギーを多く必要とする上、二酸化炭素も多く発生する。また、バーンアウト後は炉壁が酸化状態にあるものと考えられ、そのまま浸炭処理を行えば、炉壁と炭化水素ガスとの間で反応が生じ、狙いの浸炭深さよりも浸炭深さが浅くなるおそれもある。
なお、特許文献1の方法は、ガス浸炭炉内にCOを導入するため、炉内のCO濃度が高まり、鋼部材の粒界酸化を生じるおそれがある。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、ガス変成を行わない直接ガス浸炭法において煤の発生を抑制可能なガス浸炭方法を提供しようとして得られたものである。
本発明の一態様は、炭化水素ガスとキャリアガスとをガス浸炭炉内に直接導入し、浸炭処理を行う工程を有するガス浸炭方法であって、上記キャリアガスに水分が添加されていることを特徴とするガス浸炭方法にある(請求項1)。
上記ガス浸炭方法は、炭化水素ガスとキャリアガスとをガス浸炭炉内に直接導入し、浸炭処理を行う工程を有しているので、ガス変成を行わない直接ガス浸炭法である。そして、上記ガス浸炭方法において、炉内に導入されるキャリアガスには水分が添加されている。そのため、ガス浸炭炉内に水分が積極的に供給され、浸炭処理時における煤の発生を抑制することが可能となる。
煤の発生を抑制できる詳細な理由は定かではないが、キャリアガス中に添加された水分により、ガス浸炭炉内にて次のような反応が生じ、煤の発生を抑制することが可能になるものと推察される。
・[C]+HO→CO+H
・[C]+2HO→CO+2H
・CO+HO→CO+H
本発明によれば、ガス変成を行わない直接ガス浸炭法において煤の発生を抑制可能なガス浸炭方法を提供することができる。
実施例1に係るガス浸炭方法の実施に適したガス導入系の概略図である。 実施例2に係るガス浸炭方法の実施に適したガス導入系の概略図である。 実験例における浸炭プロセスを説明するための図である。 実験例における浸炭処理後の被処理材(条件1〜3)の炭素濃度分布を示す図である。 実験例における炉心管の外観写真(条件6〜9)である。 実験例における浸炭処理後の被処理材(条件3〜5)の炭素濃度分布を示す図である。 実験例における浸炭処理後の被処理材(条件6、7)の炭素濃度分布を示す図である。
上記ガス浸炭方法は、炭化水素ガスとキャリアガスとをガス浸炭炉内に直接導入する。「直接導入する」とは、炭化水素ガスとキャリアガスとをガス変成のためのガス変成炉内に入れずにガス浸炭炉内に直接供給するという意味である。したがって、上記ガス浸炭方法は、ガス浸炭炉とは別にガス変成炉を必要とする変成炉式ガス浸炭方法とは異なるものである。なお、上記ガス浸炭方法は、常圧下のガス浸炭炉内で浸炭処理を行うものであり、真空炉において減圧した浸炭性のガス中で浸炭処理を行う真空(減圧)浸炭とも異なるものである。なお、浸炭処理される被処理材は、浸炭可能な鋼種を用いて形成されておれば、いずれのものでも用いることができる。また、被処理材の形状も特に限定されるものではない。
上記ガス浸炭方法において、炭化水素ガスは、浸炭処理の原料ガスとして従来用いられるものであれば特に限定されることなく適用することができる。上記炭化水素ガスにいう炭化水素(炭化水素とその他の物との混合物でその性状および用途が炭化水素に類するものを含む。)としては、具体的には、メタン、エタン、プロパン、ブタンなどの飽和炭化水素などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていてもよい。
上記炭化水素ガスは、例えば、都市ガス、天然ガスまたはLPガスとすることができる(請求項5)。
この場合には、ガスの調達がしやすい、発火点が高く取扱い性に優れるなどの利点がある。上記炭化水素ガスは、好ましくは、13A等の都市ガス、天然ガスであるとよい。都市ガス、天然ガスは、燃焼した場合に硫黄酸化物の発生が少なく、二酸化炭素や窒素酸化物の排出量もLPガスと比較して少ないという利点がある。また、都市ガス、天然ガスは、取扱い性に優れるうえ、都市ガスの製造に用いられる天然ガスは比較的埋蔵量が豊富なため、安定供給が可能であるなどの利点もある。
上記ガス浸炭方法において、キャリアガスは、主に浸炭に寄与する原料ガスとしての炭化水素ガスを搬送する役割を有する。また、浸炭処理時に被処理材の表面に煤が付いて浸炭を阻害するのを防止する役割も有する。
上記キャリアガスとしては、浸炭に寄与しない不活性ガスを好適に用いることができる。上記不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス、クリプトンガス、キセノンガス、ラドンガスなどを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。上記キャリアガスとしては、窒素ガスを特に好適に用いることができる(請求項2)。この場合には、ガス搬送性、煤による浸炭阻害の抑制、入手容易性、コスト等のバランスに優れるなどの利点がある。
ここで、上記ガス浸炭方法では、キャリアガスに水分が添加されている。つまり、上記ガス浸炭方法では、浸炭処理時に発生する煤を抑制するために、キャリアガス中に積極的に水分を含有させている(加湿させている)。キャリアガス中の水分は、水蒸気の形でガス中に含まれている。なお、炭化水素ガスに水分を添加することもできるが、キャリアガスに水分を添加する方が、炭化水素ガスの流量を一定に保ちつつ水分を添加しやすい利点があり、また、水に溶け難いガスを選択しやすいなどの利点もある。特に、キャリアガスとして窒素ガス等の不活性ガスを用いているときに上記利点を発揮しやすい。
上記ガス浸炭方法は、炭化水素ガスおよび水分が添加されたキャリアガスをガス浸炭炉内に導入することができれば、両ガスの導入方法は特に限定されるものではない。両ガスの導入方法としては、例えば、ガス浸炭炉内に、炭化水素ガスと水分が添加されたキャリアガスとの混合ガスを導入ガスとして導入することができる。また、他にも、ガス浸炭炉内に、炭化水素ガスと水分が添加されたキャリアガスとをそれぞれ別々に導入することも可能である。前者の場合には、炭化水素ガスと水分が添加されたキャリアガスとが混合される。そのため、水分の均一性が高い混合ガスをガス浸炭炉内に導入することができる。それ故、浸炭ムラの発生等の抑制に寄与しやすいなどの利点がある。
上記ガス浸炭方法において、キャリアガスへの水分の添加は、例えば、乾燥したキャリアガスと加湿されたキャリアガスとを混合することによって行うことができる(請求項3)。
この場合には、両ガスの混合比率を調節することにより、ガス浸炭炉内に導入するキャリアガスへの水分添加量を調節することができる。そのため、ガス浸炭炉内に供給される炭化水素ガスの流量とキャリアガスの流量とを合計した総ガス流量に含まれる水分添加量を制御しやすくなる利点がある。なお、上記ガス浸炭方法におけるキャリアガスの導入は、乾燥したキャリアガスを用いず(混合を行わず)、加湿されたキャリアガスだけを用いて行うこともできる。
上記ガス浸炭方法において、キャリアガスへの水分の添加は、例えば、乾燥したキャリアガスを水槽内に通してバブリングし、上記乾燥したキャリアガスを加湿させる手順を含むことができる(請求項4)。
この場合には、ガス浸炭炉内に導入するキャリアガスへの水分の添加が容易となる。また、ガス浸炭炉内に供給される炭化水素ガスの流量とキャリアガスの流量とを合計した総ガス流量に含まれる水分添加量を安定化させやすくなる利点がある。上記バブリングは1回だけ行ってもよいし、水槽を複数用意し、複数回のバブリングを行うこともできる。後者の場合には、各水槽の水温を変えることにより、飽和水蒸気量の水分にて加湿しやすくなる。なお、上記水槽としては恒温水槽を用いることができ、上記バブリングは常圧下にて行うことができる。より具体的には、例えば、ガス浸炭炉へ導入する際のガスの設定温度よりも高い温度に設定された第1の恒温水槽内に、乾燥したキャリアガスを通してバブリングし、その後、第1の恒温水槽を経たキャリアガスを、上記設定温度とされた第2の恒温水槽内に通してバブリングしながら冷却することができる。この場合には、水槽内の水温を制御することにより、ほぼ設定温度に対応した飽和水蒸気量の水分を含んで加湿されたキャリアガスを安定して生成させやすくなる。そのため、この加湿されたキャリアガスを用いることにより、ガス浸炭炉内へ導入するキャリアガスへの水分添加量の制御を容易に行うことが可能となる。
上記キャリアガスの加湿は、煤の発生を抑制しやすくするなどの観点から、相対湿度で、例えば、30RH%程度以上、好ましくは40RH%程度以上、より好ましくは50RH%程度以上、さらに好ましくは60RH%程度以上とすることができる。
上記ガス浸炭方法において、ガス浸炭炉内に供給される炭化水素ガスの流量とキャリアガスの流量とを合計した総ガス流量100cc/分当たりの水分添加量は、煤発生の抑制効果を十分に得るなどの観点から、好ましくは0.05mg/分以上、より好ましくは0.1mg/分以上、さらに好ましくは0.15mg/分以上とすることができる。上記水分添加量が多くなるにつれ、煤発生の抑制効果が大きくなる傾向が見られる。したがって、上記水分添加量を調節することによって被処理材表層の炭素濃度を制御することができる。上記水分添加量は、好ましくは5mg/分程度以下、より好ましくは4mg/分程度以下、3mg/分程度以下とすることができる。
ガス浸炭炉内に供給される炭化水素ガスの流量とキャリアガスの流量とを合計した総ガス流量に対するキャリアガスの割合は、キャリアガスの水分添加量などにもよるが、煤発生の抑制効果が最適となるような水分量をガス浸炭炉内へ供給できるように適宜調整すればよい。上記キャリアガスの割合は、例えば、0vol%超〜100vol%未満程度、好ましくは5〜50vol%程度、より好ましくは10〜30vol%程度とすることができる。
上記ガス浸炭方法において、浸炭処理時の温度は、例えば、900〜950℃程度、処理時間は、所望の硬化層深さが得られるように適宜考慮して決定することができる。
以下、実施例に係るガス浸炭方法について、図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1に示すように、本例のガス浸炭方法は、炭化水素ガス1とキャリアガス2とをガス浸炭炉3内に直接導入し、浸炭処理を行う工程を有する方法であって、キャリアガス2には水分が添加されている。以下、これを詳説する。
図1に、本例のガス浸炭方法の実施に適したガス導入系の概略を示す。ガス浸炭炉3には、炭化水素ガス1とキャリアガス2とを炉内に導入するためのガス導入配管4が接続されている。本例では、炭化水素ガス1は天然ガス(LNG)であり、キャリアガス2は窒素ガスである。ガス導入配管4の上流側には、炭化水素ガス1を供給するための原料ガス用配管5と、キャリアガス2を供給するためのキャリアガス用配管6の二つが接続している。原料ガス用配管5における上流側の端部は、炭化水素ガス1を入れたボンベ(不図示)に接続されている。また、原料ガス用配管5は、その途中にマスフローコントローラ53を有している。マスフローコントローラ53は、ボンベより供給される炭化水素ガス1の流量を制御部(不図示)の指示に従って調整する。
一方、キャリアガス用配管6における上流側の端部は、キャリアガス2を入れたボンベ(不図示)に接続されている。キャリアガス用配管6は、上流側の分岐点6aにて2つに分岐し、下流側の合流点6bにて1つに合流する第1配管61および第2配管62を有している。第1配管61および第2配管62は、ともにその途中にマスフローコントローラ63を有している。各マスフローコントローラ63は、ボンベより供給されるキャリアガス2の流量を制御部(不図示)の指示に従って調整する。
第2配管62におけるマスフローコントローラ63の下流側には、第1恒温水槽64が接続されている。第1恒温水槽64は、乾燥したキャリアガス2を水槽内に通してバブリングし、乾燥したキャリアガス2を加湿することにより、加湿されたキャリアガス2を生成するよう構成されている。
ガス浸炭炉3には、炉内のガス71を排気するためのガス排気管7が接続されている。つまり、ガス浸炭炉3は、ガス排気管7を介して炉内と外部とが連通しており、大気開放されている。また、ガス浸炭炉3内には、浸炭処理に供される鋼製の被処理材8がホルダー81に保持されている。
上記ガス導入系では、図示されないボンベより供給された炭化水素ガス1は、マスフローコントローラ53にて所定の流量に調整され、原料ガス用配管5内を流れる。一方、図示されないボンベより供給された乾燥したキャリアガス2は、キャリアガス用配管6の上流側の分岐点6aにて第1配管61および第2配管62の両方に分岐して流れ、それぞれのマスフローコントローラ63にて所定の流量に調整される。
ここで、第2配管62に流れるキャリアガス2の流量が0cc/分とされない限り、第1恒温水槽64の水温に対応する水分(水蒸気)を含むように加湿されたキャリアガス2がガス導入配管4に送られる。第1配管61内の乾燥したキャリアガス2と第2配管62内の加湿されたキャリアガス2とは、キャリアガス用配管6の下流側における合流点6bにて合流し、混合される。本例では、このようにして、ガス浸炭炉3内に導入するキャリアガス2に水分を添加する。そして、原料ガス用配管5から流出する炭化水素ガス1とキャリアガス用配管6から流出する水分が添加されたキャリアガス2とがガス導入配管4の上流側にて合流し、混合されることにより、水分が添加された混合ガスが生成する。本例では、導入ガスとしての上記混合ガスを、ガス導入配管4よりガス浸炭炉3内に直接導入し、浸炭処理が行われる。
なお、上記ガス導入系において、第1配管61に流れるキャリアガス2の流量を0cc/分とした場合には、乾燥したキャリアガス2と加湿されたキャリアガス2とが混合されず、上記加湿されたキャリアガス2をガス浸炭炉3内に導入することができる。
本例のガス浸炭方法は、炭化水素ガス1とキャリアガス2とをガス浸炭炉3内に直接導入し、浸炭処理を行う工程を有しているので、ガス変成を行わない直接ガス浸炭法である。そして、本例のガス浸炭方法において、炉内に導入されるキャリアガス2には水分が添加されている。そのため、ガス浸炭炉3内に水分が積極的に供給され、浸炭処理時における煤の発生を抑制することが可能となる。
また、本例のガス浸炭方法は、キャリアガス2として窒素ガスを用いている。そのため、ガス搬送性、煤による浸炭阻害の抑制、入手容易性、コスト等のバランスに優れる。
また、本例のガス浸炭方法では、キャリアガス2への水分の添加を、乾燥したキャリアガス2と加湿されたキャリアガス2とを混合することによって行っている。そのため、両ガスの混合比率を調節することにより、ガス浸炭炉3内に導入するキャリアガス2への水分添加量を調節することができる。それ故、ガス浸炭炉3内に供給される炭化水素ガス1の流量とキャリアガス3の流量とを合計した総ガス流量に含まれる水分添加量を制御しやすい。
また、本例のガス浸炭方法では、乾燥したキャリアガス2を水槽内に通してバブリングし、上記乾燥したキャリアガス2を加湿させている。そのため、ガス浸炭炉3内に導入するキャリアガス2への水分の添加が容易となる。また、ガス浸炭炉3内に供給される炭化水素ガス1の流量とキャリアガス2の流量とを合計した総ガス流量に含まれる水分添加量を安定化させやすい。
(実施例2)
本例のガス浸炭方法は、キャリアガス2への水分の添加手法が、実施例1のガス浸炭方法におけるそれと異なっている。図2に、本例のガス浸炭方法の実施に適したガス導入系の概略を示す。このガス導入系では、第2配管62における第1恒温水槽64の後に、さらに第2恒温水槽65が設けられている。その他の構成は実施例1のガス浸炭方法と同様である。
本例のガス浸炭方法では、上記ガス導入系を用いて、ガス浸炭炉3へ導入する際のガスの設定温度よりも高い温度に設定された第1恒温水槽64内に、乾燥したキャリアガス2を通してバブリングし、その後、第1恒温水槽64を経たキャリアガス2を、上記設定温度とされた第2恒温水槽65内に通してバブリングしながら冷却する。
そのため、水槽内の水温を制御することにより、ほぼ設定温度に対応した飽和水蒸気量の水分を含んで加湿されたキャリアガス2を安定して生成させることができる。それ故、この加湿されたキャリアガス2を用いることにより、ガス浸炭炉3内へ導入するキャリアガス2への水分添加量の制御を容易に行うことができる。その他の作用効果は実施例1のガス浸炭方法と同様である。
以下、実施例1および実施例2に係るガス浸炭方法について、実験例を用いてより具体的に説明する。
−実験例−
本実験例では、上述した図1または図2のガス導入系を用い、各種条件の異なるガス浸炭を行った。本実験例で使用した実験機器、被処理材等は、以下の通りである。
・ガス浸炭炉…アルバック理工(株)製、卓上型赤外線ランプ加熱炉「MILA−3000」
上記加熱炉の炉内容積は約2.0×10−4である。また、上記加熱炉は、透明石英製ガラスホルダーにセットした被処理材を透明石英製ガラス製の炉心管内に収容可能に構成されている。
・原料ガス用配管のマスフローコントローラ…堀場エステック製、「SEC−4400シリーズ」
・キャリアガス用配管のマスフローコントローラ…(株)フジキン製、「FCST1000Fシリーズ」
・第1恒温水槽および第2恒温水槽…蒸留水を入れた洗浄瓶
・被処理材…肌焼き用クロム鋼(SCr420)、直径15mm、厚さ2mmの円筒状
上記鋼の化学組成は、質量%で、C:0.21%、Si:0.21%、Mn:0.71%、P:0.027%、S:0.013%、Cu:0.01%、Ni:0.02%、Cr:1.04%、残部:Feおよび不可避的不純物である。
・原料ガス…天然ガス
・キャリアガス…窒素ガス
本実験例において、浸炭処理は、次の要領で実施した。すなわち、先ず、浸炭処理前に、加湿していない窒素ガスにより炉内雰囲気を置換した。次いで、図3に示すように、20℃から処理温度の930℃まで昇温速度186℃/分で昇温および均熱化した(1)。次いで、常圧下にて所定の導入ガスを炉内に導入し、30分または60分のいずれかの処理時間にて、被処理材を高炭素濃度下に曝した(2)。次いで、窒素雰囲気下で空冷することにより降温した(3)。なお、今回の実験では、煤の発生の有無の確認が主目的であるため、拡散時間を設けず、浸炭挙動だけを確認したが、浸炭処理後に拡散処理を行うことも可能である。
本実験例において、炉内に供給する炭化水素ガスの流量とキャリアガスの流量とを合計した総ガス流量は100cc/分とした。水分添加量の制御は、乾燥したキャリアガス(「dryN」と表記することがある)と加湿されたキャリアガス(「wetN」と表記することがある)との混合比率を制御することにより行った。なお、図1および図2のガス導入系におけるAの位置に、温湿度計((株)ティアンドデイ製、「TR−77Vi」)を取り付け、温湿度計の測定用セル中に導入された混合キャリアガスの温度および湿度を測定することにより、導入する総ガス流量100cc/分当たりの水分添加量を求めた。
本実験例において、煤の発生状況は、浸炭処理を行った後の上記炉心管の外観写真より確認した。
また、浸炭処理後の被処理材につき、X線マイクロアナライザー(EPMA)(日本電子(株)製、「EPMA−733」)を用いて、断面方向の炭素濃度分布を測定した。具体的には、各条件にて浸炭処理を施した被処理材を樹脂に埋め込み、耐水研磨紙による湿式研磨を行った後、α−Al粉末研磨剤(粒径:0.5μm→0.05μm)を用いてバフ研磨を行った。バフ研磨後、超音波洗浄を行い、EPMAで分析する前にアセトンで被処理材表面を軽く拭き、表面にある不純物を取り除いた。そして、炭素濃度が既知である5種類の標準試料(炭素濃度:0.453質量%、0.690質量%、0.881質量%、0.961質量%、1.027質量%)を用いて検量線を引いた後、浸炭処理後の被処理材について定量分析を行った。この際、各深さ位置にて炭素含有量を3回測定し、得られた測定値の平均値を求め、これをその深さ位置における炭素含有量(質量%)とした。
本実験例の条件および煤の発生状況を表1にまとめて示す。図5に炉心管の外観写真を示す。図4、6、7に浸炭処理後の被処理材の炭素濃度分布を示す。
上記実験結果によれば、以下のことがわかる。すなわち、条件2、3、6は、キャリアガスとして乾燥した窒素ガスのみを用いており、キャリアガスに水分が添加されていない。そのため、煤が発生し、その発生量も炭化水素ガスの体積割合が多くなるほど多くなった。なお、条件1は、煤の発生が確認されなかった。これは、導入した炭化水素ガスの体積割合が他の条件に比べて少ないため、浸炭に寄与しない余剰の炭化水素が少なかったためであると考えられる。また、図4に示されるように、被処理材の表層における炭素含有量が少ないので、焼入れによる十分な表面硬化を得るのに不利であるといえる。このことから、10vol%を超える炭化水素ガスを炉内に導入する場合には、特に、煤の低減を図る技術が有効であることがわかる。
これらに対し、条件4、5、7〜9は、乾燥したキャリアガスと加湿されたキャリアガスとを混合するか、あるいは、加湿されたキャリアガスだけを用いることにより、キャリアガスに水分が添加されている。そのため、煤の発生を低減させることができた。特に、処理時間が相対的に長く、煤の発生しやすい条件である条件7〜9の結果を条件6の結果とあわせて比較すると、図5に示すように、キャリアガスへの水分添加量を多くするほど煤の発生を低減できることが確認された。
また、図7に示すように、水分を添加しなかった条件6の場合とキャリアガスへ水分を添加した条件7の場合のいずれの場合であっても、炭素濃度分布はほぼ同じ値を示している。浸炭処理において、雰囲気中の水分は酸化性ガスとして作用し、脱炭の原因の一つになると考えられていたが、本実験においては、キャリアガスへの水分の添加による脱炭作用は見られず、煤の発生を抑制する効果が得られた。このことから、キャリアガスへ水分を添加することにより、浸炭処理による炭素含有量を損なうことなく煤の低減を図ることが可能であるといえる。
なお、炉心管に付着した煤を除去するため、第2配管から加湿されたキャリアガスのみをガス導入配管へ供給し、930℃で30分間バーンアウトを行った。このバーンアウト後に炉心管を確認したところ、煤が残ったままであった。このことから、炉内に導入された水分は、発生してしまった煤を分解するのではなく、煤の発生自体を抑制する効果があるものと考えられる。そのため、煤が発生する前に炉内に水分が導入されるようにキャリアガスに水分を添加することが有効であるといえる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
1 炭化水素ガス
2 キャリアガス
3 ガス浸炭炉

Claims (5)

  1. 炭化水素ガスとキャリアガスとをガス浸炭炉内に直接導入し、浸炭処理を行う工程を有するガス浸炭方法であって、
    上記キャリアガスに水分が添加されていることを特徴とするガス浸炭方法。
  2. 請求項1に記載のガス浸炭方法であって、
    上記キャリアガスは、窒素ガスであることを特徴とするガス浸炭方法。
  3. 請求項1または2に記載のガス浸炭方法であって、
    上記キャリアガスへの水分の添加は、乾燥したキャリアガスと加湿されたキャリアガスとを混合することによって行われることを特徴とするガス浸炭方法。
  4. 請求項3に記載のガス浸炭方法であって、
    上記キャリアガスへの水分の添加は、乾燥したキャリアガスを水槽内に通してバブリングし、上記乾燥したキャリアガスを加湿させる手順を含むことを特徴とするガス浸炭方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス浸炭方法であって、
    上記炭化水素ガスは、都市ガス、天然ガスまたはLPガスであることを特徴とするガス浸炭方法。
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