JP5793803B2 - ガス浸炭方法及びガス浸炭装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ガス浸炭方法と、その方法の実施に用いて好適なガス浸炭装置に関する。
従来のガス浸炭方法として、変成炉で生成された吸熱型の変成ガスを用いるものがあり、前記変成ガスの浸炭力の弱さを補うために、変成ガスに加えてエンリッチガスを炉内に供給して浸炭を行うことで、所定の表面浸炭濃度を確保している。そして、例えば特許文献1に開示されているように、変成ガス、エンリッチガス、空気等の流量を調整することにより、炉内雰囲気のカーボンポテンシャル(以下、CPと表記する)を制御していた。
これに対し、炉内において、予熱、浸炭、冷却、焼入等の各工程ごとに、それぞれ所定のCPに生成された変成ガスのみを供給して前記炉内の雰囲気を調整する方法も提案されている(特許文献2)。
さらに、炭化水素と、二酸化炭素、酸素等の源ガスを混合した原料混合ガスを触媒層を有する変成炉に導入して変成ガスを生成し、この変成ガスを冷却した後に水分及び二酸化炭素を吸着分離してなるガスを、それ単独で、又は前記変成ガスと混合して、浸炭用雰囲気ガスとして用いる方法も提案されている(特許文献3)。
特開2006−283116号公報 特開2009−91632号公報 特開2004−10952号公報
しかしながら、特許文献1に記載のもののように、変成ガスに加えてエンリッチガスや空気等を炉内に供給すると、雰囲気がばらつきやすいため、浸炭の品質にばらつきが発生するおそれがある。また、空気を加えた場合には、被処理体が酸化することもあるため、浸炭処理の効率及び被処理体の品質が低下する。さらに、CP制御のために各種の分析計や演算機、センサー、流量計等、さまざまな精密機器が必要であるため、設備コストの増大にもつながる。
特許文献2のもののように、処理の工程ごとに異なるCPの変成ガスを供給するには、複数のガス変成炉が必要となり、設備コストの増大が避けられない。また、浸炭工程用に高CPの変成ガスを変成炉で生成させると、変成炉がスーティングするおそれがある。
特許文献3のものは、源ガスとして、炭化水素、二酸化炭素、酸素、必要に応じて窒素と、単独ガスを供給するので、コストアップが避けられず、実用性に欠ける。
本発明は、前記の如き事情に鑑みてなされたものであり、安定した雰囲気で熱処理ができ、且つ、設備コストも低減できるガス浸炭方法及びガス浸炭装置を提供しようとするものである。
前記課題を解決するため、本発明に係るガス浸炭方法は、炭化水素系ガスと空気と触媒とを用いて単一の変成炉で変成ガスを生成するとともに、この変成ガスの一部を用い且つエンリッチガスを添加することなく、前記変成ガスより高いカーボンポテンシャルを有しCO濃度が小さい低CO変成ガスを生成し、前記変成ガス、前記低CO変成ガス、前記変成ガスと前記低CO変成ガスの混合ガスのいずれを浸炭のための一連の熱処理工程のそれぞれで雰囲気ガスとして用いるかを処理品に要求される品質に応じて決定することを特徴とする(請求項1)。
本発明によれば、浸炭のための一連の熱処理工程のそれぞれにおいて、前記低CO変成ガス、前記変成ガスと前記低CO変成ガスの混合ガスの中から、処理品に求められる品質に応じ最適なガスを選んで熱処理を行うことができる。前記低CO変成ガスは、前記変成ガスよりCP値が高いので、より大きな浸炭力を発揮する。よって、従来のようにエンリッチガスを添加する必要がなく、またエンリッチガスのように炭化水素ガスの分解を伴わないので、常に安定した雰囲気で熱処理を行うことができる。複数の変成炉が必要なわけでもないし、CP制御のために多数の精密機器が必要なわけでもないので、設備コスト上も有利である。
なお、本発明に係るガス浸炭方法において、浸炭のための一連の熱処理工程とは、複数の熱処理室間で被処理体を移動させながら行うものであっても良いし、単一の熱処理室で一連の熱処理工程を順次行うものであっても良い。
好適な実施の一形態として、前記変成ガスを単独で雰囲気ガスとして用いるか、あるいは、前記変成ガスと前記低CO変成ガスの両方を雰囲気ガスとして用いる第1の熱処理工程と、前記変成ガスと前記低CO変成ガスの両方を雰囲気ガスとして用いるか、あるいは、前記低CO変成ガスを単独で雰囲気ガスとして用いる第2の熱処理工程と、を備える態様を例示する(請求項2)。
さらに、前記変成ガスを単独で雰囲気ガスとして用いるか、あるいは、前記変成ガスと前記低CO変成ガスの両方を雰囲気ガスとして用いる第3及び第4の熱処理工程を備える態様とすることもできる(請求項3)。
具体例としては、前記第1の熱処理工程が昇温工程であり、前記第2の熱処理工程が浸炭工程であり、前記第3の熱処理工程が拡散工程であり、前記第4の熱処理工程が降温工程である(請求項4)。
好適な実施の一形態として、前記低CO変成ガスは、前記変成ガスからその中に含まれるCOを分離することで生成できる(請求項5)。
好適な実施の一形態として、前記一連の熱処理工程に含まれる浸炭工程において、前記雰囲気ガスの炉内流速が1.5m/s以上の流速である態様(請求項6)や、前記雰囲気ガスの炉内流量が炉内雰囲気置換回数29回/h以上となる流量である態様(請求項7)を採用することもできる。これらの態様によれば、有効硬化層深さを確実に目標値に到達させることができるとともに、浸炭時間も短縮できる。
一方、本発明に係るガス浸炭装置は、炭化水素系ガスと空気と触媒とを用いて変成ガスを生成する単一の変成炉と、該変成炉と浸炭のための一連の処理を行う熱処理室とを連結する変成ガス管路と、該変成ガス管路に接続されて前記変成ガスより高いカーボンポテンシャルを有しCO濃度が小さい低CO変成ガスを生成するCO 吸着器と、該CO 吸着器の低CO変成ガス出口と前記熱処理室とを連結する低CO変成ガス管路と、前記変成ガス管路と前記低CO変成ガス管路上に配設され、前記熱処理室に、前記変成ガス、前記低CO変成ガス、前記変成ガスと前記低CO変成ガスとの混合ガスのいずれを導入するかを切り替えるバルブと、を備えたものである(請求項8)。
前記ガス浸炭装置によれば、前記バルブの切り替えで、前記熱処理室に、前記変成ガス、前記低CO変成ガス、前記変成ガスと前記低CO変成ガスの混合ガスの中から、処理品に求められる品質に応じて最適なガスを選んで供給することができる。前記低CO変成ガスは、前記変成ガスよりCP値が高いので、より大きな浸炭力を発揮する。よって、従来のようにエンリッチガスを添加する必要がなく、したがって、常に安定した雰囲気で熱処理を行うことができる。従来例のように複数の変成炉が必要なわけでもないし、CP制御のために多数の精密機器が必要なわけでもないので、コスト上も有利である。
なお、本発明に係るガス浸炭装置において、前記熱処理室は、浸炭のための一連の処理を行う複数の熱処理室であっても良いし、浸炭のための一連の処理を行う単一の熱処理室であっても良い。
好適な実施の一形態として、前記変成ガス管路に対して前記CO 吸着器が二つ並列に接続され、該二つのCO 吸着器への変成ガスの流路が切換え可能とされる態様を例示する(請求項9)。この場合、CO の吸着とCO の脱着とを二つのCO 吸着器間で交互に行わせることにより、連続運転を支障なく行わせることができる利点がある。
本発明の実施の一形態に係るガス浸炭装置の配管系を示す系統図である。 本発明の一実施例における処理工程図である。 本発明の一実施例に係る流速とカーボン濃度が0.3wt%である試験片表面からの深さとの関係を示すグラフである。 本発明の一実施例に係る流量とカーボン濃度が0.3wt%である試験片表面からの深さとの関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の一形態に係るガス浸炭方法及びガス浸炭装置について説明する。
本発明に係るガス浸炭方法は、炭化水素系ガスと空気を原料ガスとして単一の変成炉で変成ガスを生成するとともに、この変成ガスの一部を用い且つエンリッチガスを添加することなく前記変成ガスより高いカーボンポテンシャルを有しCO濃度が小さい低CO変成ガスを生成し、前記低CO変成ガス、前記変成ガスと前記低CO変成ガスの混合ガスのいずれを浸炭のための一連の熱処理工程のそれぞれで雰囲気ガスとして用いるかを処理品に要求される品質に応じて決定するものである。
なお、本発明において、浸炭のための一連の熱処理工程とは、複数の熱処理室間で被処理体を移動させながら行うものであっても良いし、単一の熱処理室で一連の熱処理工程を順次行うものであっても良い。
前記変成ガスは、従来公知の変成炉を用いて生成できる。変成炉で生成される変成ガスは、炭化水素系ガス(例えば、13Aガス、天然ガス、プロパン、ブタン等)と空気の混合比や、また目的とするガス組成、CP値によって様々であるが、概ね、CO:18〜25体積%、H:30〜41体積%、N:35〜50体積%、CO:0.12〜0.25体積%、HO:0.6体積%以下、CH:0.04体積%以下であることが好ましい。炭化水素系ガスとして13A(都市ガス)を用いた場合、さらに変成ガス組成の一例を挙げると次の通りである(850℃、CP値0.8のとき)。
(窒素): 約39.85体積%
(水素): 約36体積%
CO(一酸化炭素): 約24体積%
CO(二酸化炭素):約0.15体積%
前記低CO変成ガスは、前記変成炉で生成された変成ガスから、従来公知のCO吸着器を用いてCOを吸着分離することによって生成できる。したがって、前記低CO変成ガスは、COの割合が前記変成ガスよりも小さくなる。具体的には、COが0.15体積%未満、さらには0.1体積%以下、0.05体積%以下であることが好ましい。
なお、本発明において、低CO変成ガスとは、COがゼロの場合も含む。
低CO変成ガスのCP(カーボンポテンシャル)は、前記変成ガスよりもCOが低減されたことで、前記変成ガスのCPよりも高くなり、これを浸炭雰囲気ガスとして用いることで浸炭力が高まる。また、変成ガスの浸炭力の弱さを補うために従来添加されていたエンリッチガスを使用する必要がなくなり、炭化水素系ガスの分解がなく、安定した浸炭雰囲気ガス中で浸炭が行われるので、浸炭むらやスーティングが生じにくい。この利点は、前記低CO変成ガスのみを雰囲気ガスとして浸炭を行う場合だけでなく、前記変成ガスと前記低CO変成ガスとの混合ガスを雰囲気ガスとして用いて浸炭を行う場合にも得られる。
本発明の発明者等は、COとCOとHとNの4種のガスを混合して、変成ガスと、それよりCO濃度の小さい低CO変成ガスを生成し、SCr420の被処理体(ワーク)に対してガス浸炭処理を行った。試験炉はゴールドファーネス、浸炭実施時間は2時間である。その浸炭条件と浸炭雰囲気ガス組成を表1に、浸炭結果を表2及び表3に示す。
Figure 0005793803
Figure 0005793803
Figure 0005793803
これらの表において、従来例1は、変成ガスで浸炭処理を行ったものであり、実施例2〜4が低CO変成ガスで浸炭処理を行ったものである。実施例の雰囲気ガス(低CO変成ガス)のCPは、CO濃度が小さい分だけ従来例の雰囲気ガス(変成ガス)のCPより高くなっている。
表1において、CP値は、「(CO濃度)/(CO濃度)×Kp(平衡定数)×飽和炭素量(浸炭温度での鋼の飽和炭素量)」の計算式で求めた。
表1において、CHは、反応により微量生成されたものと考えられる。
表3に示すように、従来例、実施例ともに、表面組織に炭化物の析出はなく、良好な浸炭が行えた。また、表2に示すように、従来例に比べて実施例のものは、浸炭能力が高くワークの表面炭素濃度も高く、良好な結果が得られた。いずれの実施例でもスーティングの発生はなかった。
なお、変成炉において950℃においてCPが1.2になるような変成ガスを生成すると、変成炉にスーティングが発生した。
前記試験により、変成ガスによるガス浸炭に対する低CO変成ガスによるガス浸炭の優位性が実証された。
次に、本発明方法を実施するのに用いて好適なガス浸炭装置について説明する。
図1に示すように、本発明の実施の一形態に係るガス浸炭装置100は、昇温室(予熱室)1、浸炭室2、拡散室3、降温室4からなる一連の熱処理室を有する熱処理部5と、前記熱処理室1,2,3,4で使用する雰囲気ガスを生成する単一の変成炉6と、低CO変成ガス生成装置7,7と、を備える。前記変成炉6と前記各熱処理室1,2,3,4は、変成ガス管路8で連結される。また、前記低CO 変成ガス生成装置7,7は前記変成ガス管路8に接続され、前記低CO変成ガス生成装置7,7の低CO変成ガス出口9,9と前記各熱理室1,2,3,4は、低CO変成ガス管路10で連結される。
前記変成炉6は従来公知のものと同一であり、ニッケル触媒等の触媒(図示せず)を内蔵する。メタン、プロパン、ブタン、13A(都市ガス)等の炭化水素系ガスと空気が前記変成炉6に導入され、例えば1080℃に加熱された触媒層を通過する。この際の触媒反応(変成反応)により変成ガスが生成される。
前記変成炉6には、冷却装置11が付属している。生成された1080℃の変成ガスは、前記冷却装置11により常温まで冷却された後に、前記変成ガス管路8へと導出される。前記変成炉6に冷却装置11が付属していない場合には、前記変成炉6と前記低CO変成ガス生成装置7,7との間の前記変成ガス管路8上に冷却装置を配設しておけばよい。
前記低CO変成ガス生成装置7は、前記変成炉6で生成される変成ガスよりもCO濃度が小さい低CO変成ガスを生成する。前記低CO変成ガス生成装置7としては、従来公知のCO2吸着剤を充填したCO吸着器を用いることができる。この場合、前記変成炉6で生成される変成ガスを分岐管路12,12で前記CO吸着器7,7に導入し、CO吸着剤で変成ガス中のCOを吸着分離する。COが吸着分離されることで、前記変成ガスは前記低CO変成ガスとなる。該低CO変成ガスは、前記低CO変成ガス管路10を通って前記昇温室1、浸炭室2、拡散室3及び降温室4の方向へと導出される。なお、前記CO吸着器7を用いることにより、COと同時に変成ガス中の水分(HO)も効率的に除去され、変成ガスより高CPの低CO変成ガスを得ることができる。
図1の例では、前記変成ガス管路8に対して並列状態で二つのCO吸着器7,7が切換え可能に接続されている。これは、COの吸着とCOの脱着とを二つのCO吸着器7,7間で交互に行わせ、連続運転を支障なく行わせるためである。分離されたCOは、排出管路13を通してCO2吸着器7,7から外部へ排出される。
前記排出管路13と前記低CO変成ガス管路10にはCO分析計14が配設され、両管路を流れるガス中のCO濃度が常時監視され測定される。
前記変成ガス管路8及び前記低CO変成ガス管路10上には、多数のバルブ1a〜4a、1b〜4bが配設されている。これらのバルブは、前記一連の熱処理室1,2,3,4のそれぞれに、前記変成ガス、前記低CO変成ガス、前記変成ガスと前記低CO変成ガスとの混合ガスのいずれを導入するかを切り替えるためのバルブである。前記各バルブの下流側にはガス混合部15が配設される。このガス混合部15において、前記変成ガス管路8を通して供給される変成ガスと、前記低CO変成ガス管路10を通して供給される低CO変成ガスとがミキシングされ所定の組成となる。
前記バルブ1a〜4a、1b〜4bの操作により、昇温工程として、前記昇温室1には、前記変成ガスが単独で導入されるか、あるいは、前記混合ガスが導入される。前記浸炭室2には、浸炭工程として、前記低CO変成ガスが単独で導入されるか、あるいは、前記混合ガスが導入される。前記拡散室3には、拡散工程として、前記変成ガスが単独で導入されるか、あるいは、前記混合ガスが導入される。前記降温室4にも、降温工程として、前記変成ガスが単独で導入されるか、あるいは、前記混合ガスが導入される。前記各熱処理室1,2,3,4の雰囲気ガスは、前記低CO変成ガスの割合が大きいほど浸炭力が大きくなる。
前記各工程で前記各熱処理室にどのガスをどれだけ導入するかは、処理品に要求される品質に応じて適宜に決定する。但し、浸炭室2に変成ガスを単独供給することはない。変成ガス単独ではCP値が低くて所望の浸炭が得られないからである。
また、昇温室1、拡散室3、降温室4に低CO変成ガスが単独供給されることもない。昇温室1と降温室4に低CO変成ガスを単独供給すると、昇温途中及び降温途中の低温時にワーク表面に炭化物が析出するおそれがあるからである。拡散室3に低CO変成ガスを単独供給すると、ワークの表面炭素濃度が上がりすぎてしまい、その後の油焼入工程で残留オーステナイトの析出量が増えることが予想されるからである。
好ましくは、降温室4に使用される変成ガスのCPを狙って変成炉で変成ガスを生成させ、この変成ガスを降温室4に単独供給し、浸炭室2には低CO変成ガスを単独供給し、昇温室7、拡散室3には変成ガスと低CO変成ガスの混合ガスを供給する。
前記各熱処理室1,2,3,4で熱処理に関与した雰囲気ガスは、一部が排気管路16により排ガスとして燃焼・排出され、他の一部はCO脱着用管路17により前記CO吸着器7,7に向けて送られ、該CO吸着器7においてCO脱着時の加熱手段として用いられる。
前記ガス浸炭装置100によれば、前記バルブ1a〜4a、1b〜4bの操作により、前記各熱処理室1,2,3,4において常に最適な雰囲気ガスでワークに対して熱処理を行うことができる。従来の装置のように、設備費がかさむ問題もない。また、エンリッチガスを使う必要がないので、安定した雰囲気で処理ができ、処理品の品質も向上する利点がある。
なお、図示例は、前記熱処理部5が、浸炭のための一連の処理を行う複数の熱処理室を備える例であるが、本発明に係るガス浸炭装置はこれには限定されず、浸炭のための一連の処理を単一の熱処理室において行う態様も含む。
さらに、本発明の発明者は、本発明の方法を実施する際の、浸炭雰囲気ガスの好ましい流速及び流量について探求した。
まず、実験用の装置として、既存のゴールドファーネス炉に内管を取替え挿入できるものを作製し、該内管内を炉として用いる。前記内管として、様々な内径を有するものを準備し、前記内管を取り替えて管内径を変更することで、前記内管内を流れる浸炭雰囲気ガスの流速や流量が変わるようにする。
図2は、この実験における処理工程図である。図2に示すように、まず、窒素ガスを炉内(内管内)に供給し、10分で950℃まで昇温した。昇温後10分間保持した後COガスを供給し、N+COの雰囲気でさらに5分間保持した。次に低CO変成ガス(ガス組成は表4参照)を炉内に供給し、雰囲気を安定させるために30分間保持した。その後、試験片TP(テストピース:SCr420)を炉内に挿入して70分間保持し、前記低CO変成ガスを連続的に供給しながら浸炭処理を実施した。浸炭処理後には、拡散処理14分、降温処理14分を実施し、その後焼入れ処理を実施した。様々な内径を有する内管(表5の管内径を参照)を用いることで、浸炭処理中における低CO変成ガスの流速と流量を様々な値に変えることができる。
Figure 0005793803
前記実験の結果を表5に示す。
Figure 0005793803
表5のうち、上から三つの例、すなわち、比較例1と実施例1,2が、流速を変更した場合(流量一定)の実験結果である。それ以下の例、すなわち、実施例3と比較例2〜4が、流量を変更した場合(流速一定)の実験結果である。
表5を参照して、浸炭雰囲気ガスの好ましい流速と流量について考察する。
<流速について>
CP値の高い前記低CO変成ガスで浸炭しても、比較例1のように流速が小さいと本実験の目標としたカーボン濃度が0.3wt%である試験片表面からの深さ(位置)0.75mm以上に達しないことが分かる。これに対し、実施例1,2より、流速が3.04m/s、5.98m/sの場合には目標とする十分な浸炭深さを得られ、従来よりも早く浸炭できる。この試験結果を用いて流速とカーボン濃度が0.3wt%である試験片表面からの深さ(位置)との関係をグラフにしたものが図3である。図3より、目標とする深さ(0.75mm)を得るためには、浸炭雰囲気ガスの流速を1.5m/s以上にすればよいことが分かる。
なお、浸炭炉の浸炭室或いは拡散室内のワーク設置範囲内において浸炭雰囲気ガスの流速を1.5m/s以上とするために、浸炭室或いは拡散室にガス攪拌用のファンを上下、左右に必要に応じて設置して流速のバラツキを抑制することが好ましく、これにより安定した浸炭処理を実現することができる。
ガス流速(風速)は風速計で測定することができる。また、流速を上げることで炭素移行係数(β値)が増加し、流速増加は流量(物質供給量)増加との関係はない。
<流量について>
比較例2〜4より、浸炭雰囲気ガスの流量が小さい場合、すなわち、炉内ガス置換回数が1時間当たり5.1〜19回、流速約0.1m/sのときは、前記目標とする浸炭深さが得られないことが分かる。これに対し、実施例3のように流量が大きい場合は、目標とする浸炭深さが得られ、従来よりも早く浸炭できる。この試験結果を用いて流量とカーボン濃度が0.3wt%である試験片表面からの深さ(位置)との関係をグラフにしたものが図4である。図4より、目標とする深さ(0.75mm)を得るためには、浸炭雰囲気ガスの流量を炉内雰囲気置換回数29回/h以上となる流量にすればよいことが分かる。
なお、炉内雰囲気置換回数は、炉内に供給する1時間あたりのガス流量を炉内体積で割った値である。炉内雰囲気置換回数を大きくするために、炉内に連続的に新しいガスを供給しても良いが、炉内ガスを循環させて炉内に供給することがコスト面から好ましい。また、流量(置換回数)を増加させると炭素移行係数(β値)が低下することがわかり、浸炭効率を向上させるためにはガス流量よりもガス流速を増加させる方が好ましい。
1 昇温室
2 浸炭室
3 拡散室
4 降温室
6 変成炉
7 低CO変成ガス生成装置
8 変成ガス管路
9 低CO変成ガス出口
10 低CO変成ガス管路
1a〜4a,1b〜4b バルブ

Claims (9)

  1. 炭化水素系ガスと空気と触媒とを用いて単一の変成炉で変成ガスを生成するとともに、この変成ガスの一部を用い且つエンリッチガスを添加することなく、前記変成ガスより高いカーボンポテンシャルを有しCO濃度が小さい低CO変成ガスを生成し、前記変成ガス、前記低CO変成ガス、前記変成ガスと前記低CO変成ガスの混合ガスのいずれを浸炭のための一連の熱処理工程のそれぞれで雰囲気ガスとして用いるかを処理品に要求される品質に応じて決定する、ガス浸炭方法。
  2. 前記変成ガスを単独で雰囲気ガスとして用いるか、あるいは、前記変成ガスと前記低CO変成ガスの両方を雰囲気ガスとして用いる第1の熱処理工程と、前記変成ガスと前記低CO変成ガスの両方を雰囲気ガスとして用いるか、あるいは、前記低CO変成ガスを単独で雰囲気ガスとして用いる第2の熱処理工程と、を備える、請求項1に記載のガス浸炭方法。
  3. 前記変成ガスを単独で雰囲気ガスとして用いるか、あるいは、前記変成ガスと前記低CO変成ガスの両方を雰囲気ガスとして用いる第3及び第4の熱処理工程を備える、請求項1又は2に記載のガス浸炭方法。
  4. 前記第1の熱処理工程が昇温工程であり、前記第2の熱処理工程が浸炭工程であり、前記第3の熱処理工程が拡散工程であり、前記第4の熱処理工程が降温工程である、請求項3に記載のガス浸炭方法。
  5. 前記低CO変成ガスは、前記変成ガスからその中に含まれるCOを分離することで生成される、請求項1乃至4のいずれかに記載のガス浸炭方法。
  6. 前記一連の熱処理工程に含まれる浸炭工程において、前記雰囲気ガスの炉内流速が1.5m/s以上の流速である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のガス浸炭方法。
  7. 前記一連の熱処理工程に含まれる浸炭工程において、前記雰囲気ガスの炉内流量が炉内雰囲気置換回数29回/h以上となる流量である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のガス浸炭方法。
  8. 炭化水素系ガスと空気と触媒とを用いて変成ガスを生成する単一の変成炉と、該変成炉と浸炭のための一連の処理を行う熱処理室とを連結する変成ガス管路と、該変成ガス管路に接続されて前記変成ガスより高いカーボンポテンシャルを有しCO濃度が小さい低CO変成ガスを生成するCO 吸着器と、該CO 吸着器の低CO変成ガス出口と前記熱処理室とを連結する低CO変成ガス管路と、前記変成ガス管路と前記低CO変成ガス管路上に配設され、前記熱処理室に、前記変成ガス、前記低CO変成ガス、前記変成ガスと前記低CO変成ガスとの混合ガスのいずれを導入するかを切り替えるバルブと、を備える、ガス浸炭装置。
  9. 前記変成ガス管路に対して前記CO 吸着器が二つ並列に接続され、該二つのCO 吸着器への変成ガスの流路が切換え可能とされている、請求項8に記載のガス浸炭装置。
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