JP6604015B2 - 金属材料の熱処理方法および改質炉 - Google Patents

金属材料の熱処理方法および改質炉 Download PDF

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本発明は、金属材料の熱処理方法に関し、さらに詳しくは、雰囲気ガス中で金属材料を熱処理する方法に関する。
鋼をはじめとする金属材料を熱処理する際に、材料表面からの脱炭および浸炭(脱浸炭)を制御して、材料中の炭素量を実質的に不変に維持すること、あるいは所望の炭素量を得ることが図られる。従来一般には、特許文献1等に示されるように、炭化水素ガスと空気の間で吸熱反応を起こし、得られたCOを含むRXガスを利用して、COとCOの分圧比から定まるカーボンポテンシャルを制御することで、脱浸炭を制御している。
RXガスを用いて金属材料の熱処理を行う装置の概略例を、図4に示す。ここでは変性炉92に炭化水素ガス(C)と空気(O+4N)が原料ガスg1として導入され、ニッケル系等の触媒の存在下で1000℃程度に加熱され、下記の吸熱反応によって、COとHを生じる。炭化水素ガスとしては、メタン(CH)やブタン(C10)がよく用いられる。
+m/2(O+4N)→mCO+n/2H+2mN (1)
この反応で得られたRXガスg2を、金属材料を収容した熱処理炉91に雰囲気ガスとして供給し、金属材料の加熱を行う。RXガスg2には、COおよびHに加え、原料ガスg1の空気由来、および副反応由来のCOも含まれている。熱処理炉91には、空気g3とNガスg3’が導入可能となっており、それらのガスg3,g3’の流量を制御することで、熱処理炉91中の雰囲気ガスのカーボンポテンシャル値(PF値)を所望の値に制御する。具体的には、空気の流量によって、上記(1)式の反応の進行を制御することができる。一方、PF値は、P(CO)をCOの分圧、P(CO)をCOの分圧として(それぞれ%表示)、
PF={P(CO)}/P(CO) (2)
で表されるので、熱処理炉91内の雰囲気ガスをNガスで希釈することで、カーボンポテンシャルの値を減少させることができる。
また、RXガスを利用する以外の熱処理方法も用いられている。例えば、特許文献2に開示されるように、水素100%の雰囲気で熱処理を行う方法を挙げることができる。
特開2010−285642号公報 特表2015−507084号公報
水素は、高い熱伝導率および熱伝達率を有するので、熱処理炉中の雰囲気に含まれることで、金属材料の加熱の効率および空間的均一性を高めるのに寄与する。上記のように、RXガスを用いる場合には、RXガスの生成に伴って水素が生成するものの、その分圧は高くなく、水素の持つ高い熱伝導性や熱伝達性を十分に利用することができない。一方、水素100%ガスを用いる場合には、金属材料を高い均一性をもって加熱することができるものの、金属材料中に不純物として含まれるスケールが水素によって還元され、水が生成しやすい。すると、水は強い脱炭性を有するので、金属材料の脱浸炭の制御が困難になってしまう。また、水素100%の雰囲気を用いることで、熱処理炉を運転するためのコストが高くなってしまう。
本発明が解決しようとする課題は、高い空間的均一性をもって金属材料を加熱しながら、脱浸炭を制御することができる金属材料の熱処理方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる第一の金属材料の熱処理方法は、炭化水素と水を反応させて得られる水素および一酸化炭素を含んだ燃料改質ガスと、二酸化炭素と、を含む雰囲気ガスを、熱処理炉に供給して、前記熱処理炉に収容した金属材料を熱処理することを要旨とする。
ここで、前記燃料改質ガス中の前記一酸化炭素をさらに水と反応させて、二酸化炭素を生成させ、前記雰囲気ガス中に混合するものであるとよい。また、前記雰囲気ガス中における水素の割合は、分圧比で40%以上であることが好ましい。そして、前記炭化水素は、メタンであるとよい。
本発明にかかる第二の金属材料の熱処理方法は、炭化水素と一酸化炭素と二酸化炭素を含み、水素の割合が分圧比で40%以上である雰囲気ガスを、熱処理炉に供給して、前記熱処理炉に収容した金属材料を熱処理することを要旨とする。
上記本発明にかかる2つの金属材料の熱処理方法において、前記雰囲気ガス中における水素の割合は、分圧比で75%以下であるとよい。
上記第一の発明にかかる金属材料の熱処理方法においては、炭化水素と水を反応させることで得られる燃料改質ガスに、RXガスよりも高濃度で水素が含まれている。このガスを金属材料の熱処理に用いることで、水素の高い熱伝導率および熱伝達率の効果により、金属材料全体で、高い空間的均一性をもって、また効率的に熱処理を行うことができる。これにより均質性の高い金属材料を効率的に得ることができる。また、熱処理に要する時間の短縮を図ることができる。そして、雰囲気ガス中に、水素だけでなく、燃料改質ガスに由来する一酸化炭素と二酸化炭素とが含まれていることで、金属材料における脱浸炭を制御することができる。
ここで、燃料改質ガス中の一酸化炭素をさらに水と反応させて、二酸化炭素を生成させ、雰囲気ガス中に混合する場合には、水素および一酸化炭素だけでなく、二酸化炭素も、炭化水素と水を原料として賄うことができる。また、燃料改質ガスを生成する反応、および燃料改質ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換する反応の速度を制御することで、簡便に雰囲気ガス中の一酸化炭素と二酸化炭素の分圧比を調整し、金属材料の脱浸炭を制御することができる。
また、雰囲気ガス中における水素の割合が、分圧比で40%以上である場合には、金属材料の加熱の効率および空間的均一性を、効果的に高めることができる。
そして、炭化水素が、メタンである場合には、他の炭化水素を用いる場合に比べて、燃料改質ガス中における水素の割合を高めることができる。
上記第二の発明にかかる金属材料の熱処理方法においては、雰囲気ガス中に、40%以上の高い割合で水素が含まれている。この雰囲気ガスを金属材料の熱処理に用いることで、水素の高い熱伝導率および熱伝達率の効果により、金属材料全体で、高い空間的均一性をもって、高効率で、熱処理を行うことができる。これにより、均質性の高い金属材料を得ることができるとともに、熱処理に要する時間の短縮を図ることができる。そして、雰囲気ガス中に、水素だけでなく、燃料改質ガスに由来する一酸化炭素と二酸化炭素とが含まれていることで、金属材料表面からの脱浸炭を制御することができる。
上記両金属材料の熱処理方法において、雰囲気ガス中における水素の割合が、分圧比で75%以下である場合には、雰囲気ガスにおける熱伝導率を効果的に高めることができる。また、脱浸炭の制御が行いやすくなる。
本発明の一実施形態にかかる金属材料の熱処理方法を説明する図である。 変形例にかかる熱処理方法を説明する図である。 水素濃度と熱伝達率の関係を示す図である。 従来一般のRXガスを用いた金属材料の熱処理方法を説明する図である。
以下、本発明の一実施形態にかかる金属材料の熱処理方法について、図面を参照しながら説明する。
本発明の一実施形態にかかる熱処理方法は、図1に示すような熱処理システム1を用いて行われる。熱処理システム1には、金属材料を収容して雰囲気ガス(保護ガス)中で加熱する熱処理炉10と、熱処理炉10に雰囲気ガスとして供給する燃料改質ガスG2を生成する改質炉20とを備えている。熱処理炉10において熱処理を受ける金属材料は固体の状態にあり、代表的には鋼よりなるが、熱処理によって、強度の向上等、物性の制御を行うことができる金属材料であれば、どのような組成を有していてもよい。また、素材としての金属材料のみならず、機械部品等に加工された金属部材であってもよい。
熱処理炉10は、内部に金属材料を収容し、改質炉20から導入された雰囲気ガスを介して、その金属材料を加熱することができるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、従来一般のRXガスを用いる形式の熱処理炉を転用することができる。
改質炉20においては、原料ガスG1として、炭化水素ガスCと、水蒸気の状態にある水が導入され、下記の燃料改質反応によって、HとCOよりなる燃料改質ガスG2が生成される。
+mHO→mCO+(m+n/2)H (3)
この反応が化学量論的に進行した場合、燃料改質ガスG2中のHの割合は、分圧比で、(2m+n)/(4m+n)となる。また、COの分圧に対するHの分圧の比は、1+n/2mとなる。
上記の燃料改質反応は、吸熱反応である。また、触媒を必要とする反応であり、改質炉20中には、Ni系触媒に代表される金属触媒が収容されている。そして、改質炉20内において、触媒および導入された原料ガスG1を加熱することで、上記(3)の燃料改質反応が進行される。
上記のように、(3)式の燃料改質反応が化学量論的に進行すると、COとHのみが生成される。しかし、実際には、副反応として、少量のCOも生成され、燃料改質ガスG2中に混合されうる。
炭化水素ガスとしては、メタン(m=1、n=4)、エチレン(m=2、n=6)、アセチレン(m=2、n=2)、プロパン(m=3、n=8)、ブタン(m=4、n=10)等、いかなるものを用いてもよいが、生成される燃料改質ガスG2におけるHの分圧比を大きくする観点から、n/mの値が大きい方が好ましく、メタンが最も好ましい。メタン源としては、都市ガスや液化天然ガス等を用いることができる。炭化水素がメタンである場合には、(3)式の燃料改質反応は、
CH+HO→CO+3H (3a)
となる。そして、反応が化学量論的に進行した場合、燃料改質ガスG2中のHの割合は、分圧比で75%となる。COの分圧に対するHの分圧の比は、3である。
燃料改質ガスG2は、雰囲気ガスとして、熱処理炉10に導入される。熱処理炉10に満たされる雰囲気ガスにおいては、カーボンポテンシャル値(PF値)が所定の値となるように、COとCOの分圧比が調整される。カーボンポテンシャル値は、上記(2)式のように表される。金属材料の表面への炭素原子の取り込み(浸炭)と表面からの炭素原子の放出(脱炭)は、カーボンポテンシャル値に応じた平衡状態をとるので、カーボンポテンシャル値を選択することで、脱浸炭が実質的に起こらないようにし、金属材料中の炭素濃度を不変に保つことができる。あるいは、浸炭または脱炭によって所望の炭素濃度を得ることができる。
上記のように、燃料改質ガスG2中には、副反応によって生じるCOが混合されるが、所望のカーボンポテンシャル値を得るのにCOの分圧が十分でない可能性がある。その場合には、例えば、別途用意した純度の高いCOガスを、燃料改質ガスG2に所定の分圧で混合して、雰囲気ガスとして熱処理炉10に導入するようにしてもよい。
あるいは、改質炉20において、上記(3)式の燃料改質反応で得られた燃料改質ガスG2中のCOをさらに水と反応させ、COを生成させてもよい。この反応は、水性ガスシフト反応として知られ、下記の式(4)によって表される。
CO+HO→CO+H (4)
この反応は発熱反応である。また、銅系触媒に代表される金属触媒を必要とするものである。
具体的には、図2に変形例にかかる熱処理システム1’として示すように、改質炉20’を2つの空間に区画し、原料ガスG1の供給を受けて(3)式の燃料改質反応を行う第一室21と、第一室21で得られたCOの少なくとも一部を水蒸気とともに導入して(4)式の水性ガスシフト反応を行う第二室22とを設ければよい。そして、第二室22で水性ガスシフト反応によって得られたCOとHの混合ガスと、第一室21で燃料改質反応によって得られたH、および水性ガスシフト反応に用いられなかったCOとを混合して、混合改質ガスG2’とし、熱処理炉10に雰囲気ガスとして供給すればよい。カーボンポテンシャル値は、混合改質ガスG2’中のCOとCOの分圧比によって定まるが、この分圧比の調整は、第一室21への原料ガスG1の供給速度、第二室22へのCOや水蒸気の供給速度、第一室21および第二室22における反応温度等のパラメータによって、(3)式の燃料改質反応および(4)式の水性ガスシフト反応の反応速度を制御することによって行えばよい。
これらの方法に代えて、あるいはこれらの方法に加えて、燃料改質ガスG2(または混合改質ガスG2’)におけるCOとCOの分圧比を調整する方法として、熱処理炉10に、水蒸気よりなる調整ガスG3を導入する方法も考えられる。熱処理炉10内に水蒸気を導入することで、(4)式の水性ガスシフト反応によって、COをCOに変換することができる。水蒸気の導入速度を制御することで、COとCOの分圧比を調整することができる。
本実施形態においても、図4に示した従来一般のRXガスを用いる場合のように、Nのような不活性ガスを熱処理炉10に導入し、雰囲気ガスの希釈率を制御することで、COとCOの分圧比を一層高自由度で制御する機構をさらに設けてもよい(不図示)。ただし、上記各方法を適宜組み合わせることで、COとCOの分圧比、およびそれらとHの分圧比を十分に制御することができるので、必ずしもこのような機構は設けなくてもよい。
従来一般のように、(1)式の反応で、化学量論的に炭化水素Cと空気からCOとHを含むRXガスを生成する場合、RXガス中におけるHの割合は、分圧比で、n/(6m+n)となる。一方、上記本発明の実施形態のように、(3)式の燃料改質反応で、炭化水素Cと水からCOとHを含む燃料改質ガスを生成する場合、燃料改質ガス中におけるHの割合は、上記のように、(2m+n)/(4m+n)となる。この分圧は、mおよびnの値によらず、上記RXガスの場合よりも大きい。また、COの分圧に対するHの分圧の比についても、上記RXガスの場合は、n/2mであるのに対し、燃料改質ガスの場合は1+n/2mであり、燃料改質ガスの場合の方が大きくなっている。このように、燃料改質反応によって得られた燃料改質ガスを用いることで、熱処理炉10内の雰囲気ガスにおいて、Hの割合を高めることができる。炭化水素がメタン(m=1、n=4)の場合には、化学量論的に反応が起こると、Hの分圧は、RXガスにおいては40%であるのに対し、燃料改質ガスにおいては75%である。COの分圧に対するHの分圧の比は、RXガスにおいては2であるのに対し、燃料改質ガスにおいては3である。
は高い熱伝導率および熱伝達率を有する気体であり、下記に説明するように、その分圧が80%程度までの領域では、雰囲気ガス中のHの分圧が高くなるほど、雰囲気ガスの熱伝達率が高くなり、熱処理炉10内において雰囲気ガス中で金属材料を加熱する際に、金属材料全体が均一に加熱されやすい。また、加熱を高効率で進めることができる。そのため、全体の物性の均質性が高い金属材料を得ることができるとともに、熱処理を短時間で完了することができる。RXガスの場合にも、燃料改質ガスの場合にも、原料の炭化水素としてメタンを用いれば、各種炭化水素のなかで、Hの分圧を最も高めることができる。しかし、RXガスの場合には、空気をO+4Nの混合ガスとみなし、化学量論どおりに反応が進行するとしても、上記のように、Hの分圧は40%に過ぎない。実際には、空気には他の成分も存在し、副反応も起こるので、Hの分圧を40%にまで上げることは実質的に不可能である。これに対し、燃料改質ガスの場合には、化学量論的に反応が進行するとすれば、Hの分圧を75%にまで上げることができる。これは、雰囲気ガスの熱伝達率が最大となる約80%との分圧に近い値であり、燃料改質ガスを用いれば、金属材料の加熱の効率および均一性を、効果的に高めることができる。
ここで、雰囲気ガス中におけるHの分圧に対する熱伝達率の挙動について説明する。一般に、熱伝達率αは、
α=Nu・λ/d (5)
と表される。ここで、λは流体の熱伝導率、dは代表長さである。Nuはヌセルト数であり、下の式(6)で表される。
Nu=0.023Re0.3・Pr0.4 (6)
Reはレイノルズ数、Prはプラントル数である。
雰囲気ガスとして、HとNの混合ガスを想定し、式(5)、(6)において、λ,Re,Prの各物性値を代入し、H濃度に対する熱伝達率の依存性を温度ごとに見積もると、図3のようになる。ここでは、H濃度が0%の時の熱伝達率を1として、各熱伝達率を表示している。
図3によると、いずれの温度においても、H濃度が80%の近傍で、熱伝達率が最大値をとっている。つまり、80%程度までは、H濃度を上げるほど、熱伝達率が高くなるが、それ以上にH濃度を高くしても、熱伝達率はかえって低くなる。なお、図3は、雰囲気ガスをHとNの混合ガスとした場合の結果であるが、実際に熱処理炉10に導入する雰囲気ガスにはCOおよびCOも含有される。しかし、COおよびCOが含まれる場合でも、上記の傾向はおおむね維持される。よって、雰囲気ガス中において、80%を超えない範囲で、H濃度を高くするようにすれば、雰囲気ガスと金属材料の界面での熱伝達率が高くなり、金属材料の熱処理を高い空間的均一性をもって、効率的に進めることができる。
上記のように、RXガスを雰囲気ガスに用いる場合には、H濃度を40%以上に高めることができないので、Hによる熱伝達率向上の効果は、限定的にしか利用できない。一方、燃料改質ガスを用いる場合には、H濃度を40%以上にすることができ、最高で75%にまで上げることができるので、雰囲気ガスの熱伝達率を効果的に高めることができる。これにより、RXガスを用いる場合と比較して、金属材料の加熱の効率および空間的均一性を高めることができる。その結果、得られる金属材料のにおいて、高い均質性が得られるとともに、熱処理に要する時間を短縮することができる。
引用文献2に記載されるように、濃度100%のHを雰囲気ガスとして金属材料の熱処理を行う方法も知られているが、図3から分かるように、雰囲気ガスの熱伝達率は、H濃度が100%の場合に最大になる訳ではない。また、Hは金属材料中の不純物であるスケールを還元し、HOを生じる。HOは強脱炭性を有するので、100%のHを用いる場合には、過度の脱炭が起こりやすい。COを雰囲気ガス中に含有しないので、この脱炭を補うような浸炭を起こすこともできない。よって脱浸炭の制御が困難である。加えて、濃度100%のHを準備し、使用するためには、高いコストを要する。これに対し、雰囲気ガスとして、燃料改質反応で得た燃料改質ガス、あるいはさらに水性ガスシフト反応を併用して得た混合改質ガスを用いる場合には、Hの有する高い熱伝達性および熱伝導性を利用しながら、COとCOの分圧比を調整することで、金属材料の脱浸炭を高度に制御することができる。これにより、所望の炭素含有量および物性を高い均一性で有する金属材料を、短時間で効率的に製造することができる。特に、H濃度を40%以上75%以下の範囲にしておけば、雰囲気ガスにおける熱伝達率をとりわけ高くすることができるとともに、COとCOの分圧比の調整による脱浸炭の制御を行いやすくなる。また、改質燃料ガスは、都市ガス等の安価な原料から製造することができるので、低コストで利用することができる。
以上では、炭化水素と水を原料として得られる燃料改質ガスをCOおよびHの供給源として利用したが、燃料改質ガス以外に由来するCOやH、そしてCOを用いて、熱処理炉10に供給する雰囲気ガスを構成することもできる。この場合には、Hの割合を分圧比で40%以上としておくことで、Hの高い熱伝達率、熱伝導率を利用して、熱処理を高い空間的均一性をもって効率的に進行させることができる。同時に、COとCOの分圧比を制御することで、金属材料の脱浸炭を制御することができる。特に、Hの割合を分圧比で75%以下とすれば、雰囲気ガスの熱伝達率がとりわけ高くなるとともに、脱浸炭の制御も行いやすくなる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1,1’ 熱処理システム
10 熱処理炉
20,20’ 改質炉
21 第一室
22 第二室

Claims (5)

  1. 炭化水素と水を反応させて得られる水素および一酸化炭素を含んだ燃料改質ガスと、
    前記燃料改質ガス中の前記一酸化炭素をさらに水と反応させて得られる二酸化炭素と、
    を含む雰囲気ガスを、熱処理炉に供給して、前記熱処理炉に収容した金属材料を熱処理することを特徴とする金属材料の熱処理方法。
  2. 前記雰囲気ガス中における水素の割合は、分圧比で40%以上であることを特徴とする請求項に記載の金属材料の熱処理方法。
  3. 前記炭化水素は、メタンであることを特徴とする請求項1または2に記載の金属材料の熱処理方法。
  4. 前記雰囲気ガス中における水素の割合は、分圧比で75%以下であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の金属材料の処理方法。
  5. 金属材料を熱処理する熱処理炉に供給される雰囲気ガスを生成する改質炉であって、
    炭化水素と水との反応が行われ、水素および一酸化炭素を含んだ燃料改質ガスを生成する第一室と、
    前記第一室で得られた一酸化炭素の少なくとも一部と水との反応が行われ、二酸化炭素を生成する第二室と、を備え、
    前記雰囲気ガスは、水素と一酸化炭素と二酸化炭素を含むものであることを特徴とする改質炉。
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