JP4488569B2 - 最短時間pll回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラント、機器、マイクロコンポーネント、回路および回路要素等の種々の異なった規模、分野、種類等のデバイスの特性を変更するための特性変更方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気回路、電子回路等のデバイスの特性を変更する方法としては、抵抗R,キャパシタンスC,インダクタンスL等の回路定数またはパラメータを変更したり、あるいは、R,C,L等の回路素子の回路内における配置、あるいはまた回路全体の構成等を変更することにより行うのが通常である。このような変更を加えることにより、回路の伝達関数が変化し、この結果として回路全体の時間応答や周波数応答のような入出力応答、その他の任意の特性が変化する。この方法によって、異なった制御目標もしくは一定の目標値への制御のような目標に合った応答を有する電気/電子回路を実現している。
【0003】
ここで、本明細書においては、用語“デバイス”は、プラント、機器、マイクロコンポーネント、回路および回路要素等の種々の異なった規模の装置、電気、化学、機械、物理等の異なった分野の装置、あるいは異なった種類等の装置を含むあらゆる装置を包含するものとする。また、この“デバイス”は、制御工学の分野において“プラント”または“制御対象”と呼ばれるものをも包含する。
【0004】
上記の点について、1例としてある制御系の時間応答特性について図31を参照して説明する。尚、図31は数学的に書いてあり、対象を限定しておらず、制御の対象はロボットアームの位置(角度)制御や、電源レギュレータの電圧制御、新幹線の速度制御など広範囲に渡る。例えば、周波数トラッキングへの応用でみれば、外乱はジッタと呼ばれ、そして電源レギュレータでは外乱はリップルという等の別の表現が使われる。
【0005】
図31の(a)は、ある制御目標値が与えられたときに、立ち上がりをよくするために感度を上げると振動的になり、外乱にも弱くなる、ということを示している。これに対し、図31の(b)は、外乱を抑制するために、感度を下げると立ち上がりが遅くなることを示している。このように、感度と外乱抑制特性は、異なった制御目標であって互いに相反する特性である。したがって、図31(c)に示すように、従来は、うまく調整をすることにより、それら特性の両方を満足する制御ポイントを探すことであるが、多くは、どちらにも不十分な設計ポイントを妥協点として採用することになる。すなわち、立ち上がりがやや遅くしかも外乱にもやや弱いという設計ポイントが採用される。従来の適応制御は、制御対象の状態に応じて感度を適応的に変化させることにより、相反する特性または制御目標(本例の場合は感度と外乱抑制特性)をできる限り同時に満足させることにより、図31(d)に示すような特性に可能な限り近い特性を得ようとしている。
【0006】
ここで、図32を参照して、図31に示した時間応答を周波数応答の面から見た場合について説明する。感度(または応答)が高いか低いは、伝達関数の高域特性がどのくらい伸びているかで表される。すなわち、図32(a)に示すように、立ち上がりを良くするために感度を上げるには、高いゲインが高域まで伸びた伝達関数(系の周波数特性)にすれば良く、そして図32(b)に示したように、外乱抑制をするため感度を下げるには、高域でゲインを落とした伝達関数とすれば良い。これから判るように、高域の感度を落とすとは、すなわち、高域のゲインを下げることに等しい。従来、低域特性を損なわずに、高域特性を調整する上記の範疇に入る多くの手法が提案されてきている。
【0007】
相反する特性に対処する必要のあるデバイスの具体的な1例としては、位相同期ループ(PLL)回路がある。このPLLでは、通常、電圧制御発振器(VCO)を制御対象とするコントローラを備え、発振周波数の追従速度、安定性等を希望する特性に設計するため、上記のようにコントローラの回路定数、回路構成等を工夫している。多様なPLLの中でも、ジッタ抑制よりも高速応答性を追求したものとして、“最短時間PLL”が知られている。この最短時間PLLは、例えば、小林ほかの“高速零位法による最短時間PLL”と題する計測自動制御学会論文集、16-4, 573/578(1980)に発表されている。
【0008】
以上には、PLLを含む制御系についての従来の問題を特に記述したが、これと同様の問題は、電気/電子回路に限られず、相反する特性の調整が必要なその他のあらゆる分野、規模、種類の装置等のデバイスにも当てはまる。例えば、大規模なプラント、コンピュータ等の電子機器、マイクロコンポーネント、センサ等の電子デバイス、半導体回路等である。
【0009】
また、従来調整が必要な相反する特性のその他の例としては、即応性と外乱抑制特性の以外に、解像度と描画速度、A/Dコンバータの分解能と変換速度、等の様々のその他の特性がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来技術においては、“デバイス”の回路定数、回路配置等の既存の設計パラメータのみを用いてデバイス特性を変更させているため、デバイス全体の特性をより一層向上させようとするときに、煩雑な設計手順を要することが多い。また、相反する特性の実現においてかなりの妥協を余儀なくされ、このような相反する特性を実質上同時に実現することが困難であった。
【0011】
したがって、本発明の目的は、種々の分野、種々の規模、種々の用途、種々のタイプ等の多様なプラント、機器、回路、半導体デバイス等のデバイスの特性を変更する、従来の技術とは異なった特性変更の方法および装置を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、制御対象を制御する、従来技術とは異なった制御の方法および装置を提供することである。
本発明の別の目的は、従来技術における相反する動作、性能等の特性を実質上同時に実現できる、制御方法および装置を提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、従来よりもデバイスの動作、性能等の特性を向上させることができる方法および装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明では、デバイスの特性を変更するのに、時間スケールの概念を用いる。
【0015】
すなわち、本発明によるデバイス特性変更方法は、デバイスの特性を、該デバイスが動作する時間スケールを変更することにより変更する。
また、本発明によるデバイスの特性を変更するデバイス特性変更装置は、デバイスが動作する時間スケールを生成する時間スケール生成手段と、前記時間スケールを変更する時間スケール変更手段と、を備え、前記デバイスの特性を、該デバイスが動作する時間スケールを変更することにより変更する。
【0016】
本発明によれば、前記デバイスは、第1の時間スケールにおいて動作するときに第1の特性を有し、前記第1の時間スケールとは異なった第2の時間スケールにおいて動作するときには第2の特性を有するようにできる。
【0017】
また、本発明によれば、前記特性は、時間に依存する特性とすることができる。この場合、前記時間に依存する特性は、デバイスの入出力応答の特性とできる。また、この場合、前記入出力応答は、デバイスの周波数に依存した入出力応答とすることができる。
【0018】
また、本発明によれば、前記特性の変更は、異なった制御目標を達成するために行ったり、所定の1つの目標値を達成するために行ったりすることができる。また、前記特性の変更は、前記デバイスの伝達関数を実質上一定に保ちながら行ったり、前記デバイスの伝達関数の変更を伴いながら行ったりできる。また、前記特性の変更は、前記時間スケール以外の前記デバイスの特性に影響を与える要素の変更を伴ったり、あるいはそのような変更を伴わないこともできる。
【0019】
また、本発明によれば、前記デバイスは、異なった時間スケールで動作して実質上互いに異なった特性を有する、可変の時間スケールで動作可能なデバイスとすることができる。また、前記デバイスは、電気、機械、化学または物理の分野のデバイスを含むものとできる。さらに、前記デバイスは、プラント、機器、マイクロコンポーネント、回路、または回路要素から成るものとできる。また、前記デバイスは、デジタル形態またはアナログ形態で動作するものとできる。また、前記デバイスは、制御対象を制御する制御系内において使用するコントローラとすることができる。この場合、前記制御デバイスは、フィードフォワード制御を行うものとしたり、フィードバック制御を行うものとすることができる。
【0020】
また、本発明によれば、前記デバイスの時間スケールを、前記デバイスの外部からの信号に応答して、あるいは前記デバイスの内部からの信号に応答して定めることもできる。前記デバイスの伝達関数は、前記時間スケールの変更に拘わらず実質上一定に維持することができる。前記時間スケールは、実時間である時間スケールを含むこともできる。前記時間スケールの変更は、任意の数の複数の時間スケールへの変更を含むものとできる。前記時間スケールは、所定のシーケンスにしたがって変更することができ、この場合、前記所定のシーケンスは、異なった制御目標を達成するための適応制御に対し定めたものとすることができる。
【0021】
本発明によれば、上記のデバイス特性変更方法を備えた、前記デバイスの作動方法も提供する。
さらに、本発明によれば、上記のデバイス特性変更装置と、前記デバイスと、から成るデバイス・システムも提供する。
【0022】
また、本発明によれば、入力信号に応答して制御対象を制御する制御方法は、
イ)時定数を含む所定の伝達関数に従い前記入力信号に応答して前記制御対象に対する操作量を発生するステップと、ロ)前記制御対象の状態を表す状態値を発生する状態値発生ステップと、ハ)所定の時間スケール変更関数を使用することにより、前記状態値から時間スケール変更値を発生する時間スケール変更値発生ステップと、ニ)該時間スケール変更値に応答して前記伝達関数の前記時定数を変更する時定数変更ステップと、から成る。
【0023】
本発明によれば、前記伝達関数を、前記制御対象を制御する制御系において使用するコントローラが含む伝達要素手段により提供するステップ、を含むことができる。さらに、前記伝達要素手段の動作する時間スケールを生成するステップ、を含むことができる。また、前記状態値発生ステップは、前記制御系内の状態を観測することにより、前記制御対象の前記状態値を発生すること、を含むことができる。
【0024】
また、本発明によれば、入力信号に応答して制御対象を制御する制御系において使用するコントローラは、イ)所定の時間スケールを生成する時間スケール生成手段と、ロ)前記所定の時間スケールで動作する、所定の伝達関数を有する伝達要素手段と、ハ)前記制御系内の状態を観測することにより、前記制御対象の状態を表す状態値を発生する観測手段と、ニ)所定の時間スケール変更関数を有し、前記観測手段からの前記状態値を入力とする前記所定時間スケール変更関数から得た時間スケール変更値を発生する時間スケール変更手段と、ホ)前記時間スケール変更値に応答して前記所定の時間スケールを変更する時間スケール変更手段と、から成る。
【0025】
また、本発明によれば、上記の制御方法およびコントローラにおいては、さらに、前記時定数の変更による前記伝達関数の変化を補償するようにすることができる。
【0026】
また、前記時間スケール変更値の発生は、イ)第1の評価関数を使用することにより、前記状態値から第1評価値を発生し、ロ)第2の評価関数を使用することにより、前記状態値から第2評価値を発生し、ハ)所定の第1のしきい値を設定し、ニ)所定の第2のしきい値を設定し、ホ)前記第1評価値を前記第1しきい値と比較し、前記第1評価値が前記第1しきい値より大きいときに、前記時間スケール変更値を初期値に設定し、ヘ)前記第2評価値を前記第2しきい値と比較し、前記第2評価値が前記第2しきい値より小さいときに、前記時間スケール変更値を更新すること、から成るようにできる。
【0027】
また、本発明によれば、前記第1と第2のしきい値は等しく、前記第1と第2の評価関数は等しくできる。また、前記初期値は1としかつ前記の初期値の更新は増大としたり、あるいは、前記初期値は所定の値としかつ前記の初期値の変化は増大または減少とすることができる。また、前記初期値の変化の増大は、所定のシーケンスで増大させることができる。前記所定のシーケンスは、加算的または乗算的なシーケンスとすることもできる。
【0028】
さらに、本発明によれば、前記時定数変更は、前記時間スケール変更値に応答して前記時間スケールを拡大または縮小することを含むことができる。また、前記時間スケール拡大/縮小は、可変周波数の基準信号を発生する基準信号発生手段を使用すること、を含むことができる。前記基準信号発生手段は、発振パルスの間引きと発振パルスの挿入とにより、前記可変周波数の基準信号を発生することができる。
【0029】
また、本発明によれば、前記入力信号は、前記制御系に入力される目標値を表す信号としたり、あるいは前記制御系に入力される目標値と、前記制御系内のフィードバック値との偏差を表す信号とすることができる。
【0030】
また、本発明によれば、前記伝達要素手段は、微分要素、積分要素、一次遅れ要素、二次遅れ要素、無駄時間要素を少なくとも1つを含むようにできる。
また、本発明によれば、前記コントローラは、離散値系のものとすることができる。また、前記コントローラは、連続値系のものとすることができる。この場合、前記コントローラは、前記入力信号をサンプリングしてサンプル化入力信号を発生するサンプリング手段、を含むようにできる。
【0031】
さらに、本発明によれば、前記制御系は、PLL回路とすることができ、また、最短時間PLLとすることもできる。
また、本発明によれば、上記の制御方法を備えた、前記制御対象の作動方法を提供する。
【0032】
さらに、本発明によれば、上記のコントローラと、前記制御対象と、から成る制御系も提供する。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のいくつかの実施形態について、以下の図面を参照して詳細に説明する。
本発明の第1の実施形態
図1は、本発明を組み込んだ第1の実施形態のデバイス・システムAをブロック図で示している。このデバイス・システムAは、図示のように、特性の変更対象であるデバイス1と、このデバイス1の特性を変更するための特性変更装置3を備えている。デバイス1は、上述のように、プラント、機器、マイクロコンポーネント、電気回路および電気回路要素等の、種々の異なった規模の装置、電気、化学、機械、物理等の異なった分野の装置、あるいは異なった種類等の装置を含む、あらゆる装置を包含するものとする。特性変更装置3は、デバイス1が動作する時間スケールを提供するものであり、図示のように時間スケール変更部30と、時間スケール生成部32とを備えている。ここで、用語“時間スケール”とは、時間軸のスケールのことを指し、実時間(絶対時間)をも含む概念とする。時間スケール変更部30は、システム外部からの入力に応答してあるいはシステムの内部的な信号に応答して、デバイス1が動作する時間スケールを変更するための時間スケール変更信号TSCをその出力に発生する。この出力TSCを受ける時間スケール生成部32は、この受けた出力TSCが指定する時間スケールの時間スケール出力TSをその出力に生成する。時間スケール生成部32は、例えば可変周波数発振器あるいは可変周波数のクロック発生器等が可能であり、時間スケール出力TSの例としては、可変周波数の発振出力、クロック信号等がある。
【0034】
図2は、デバイス1の特性の1つである入出力応答、特にその周波数応答が、時間スケールの変更により変化する様子を示している。ここで、デバイス1が、ある伝達関数を有すると仮定し、そしてデバイス1のある基準となる時間スケール値TS1での周波数応答をカーブC1とすると、この時間スケールをTS1より高い時間スケール値TS2にしたときには、例えばカーブC2になる。これは、時間スケールまたは時間目盛りの圧縮により、周波数特性が、低周波数側にシフトするからである。時間スケールをTS1よりも低い値に変更するときには、時間スケールの伸張により、上記と逆のこと、すなわちカーブC1からカーブC4への特性変更が生じる。このように、デバイス1の動作する時間スケールを変更することによっても、その周波数応答を、周波数方向およびゲイン方向の両方向において変更することができる。本実施形態の場合は、デバイス1の回路定数、回路構成等については、一切変更を行わない。時間スケールの変更と共に、回路定数等の変更も行えば、カーブC3のように、特性のシェイプを大きく変化させずに、周波数方向に特性を縮小したりあるいは拡大したりすることもできる(この特性の縮小あるいは拡大は、単なる平行移動とは異なる)。尚、図1の実施形態では、時間スケール生成部32は、デバイス1の外部に設けたものとして示しているが、デバイス1自体にこの生成部を備えるものであれば、時間スケール生成部32を省くことができる。
本発明の第2の実施形態
次に、図3を参照して本発明の第2の実施形態であるデバイス・システムBについて説明する。図3は、デバイス・システムBをブロック図で示しており、このシステムBは、図1のデバイス特性変更装置3Aに対し特性変化補償部34Bを追加した点のみ相違しており、したがって以下にこの特性変化補償部34Bについて特に説明することにする。尚、図1と同じ要素には同じ参照番号を使用し、その後に記号“B”を付してある。図示のように、特性変化補償部34Bは、時間スケール変更部30Bからの時間スケール変更信号TSCを受ける入力と、そして特性変化補償出力CCOをデバイス1Bに対し発生する出力とを有している。この特性変化補償部34Bは、時間スケール変更信号TSCに応答してのデバイス1Bの特性の変化を補償するためのものである。ここでは、用語“補償”とは、デバイス1Bの伝達関数を一定に保つかあるいは任意の所定のものにするようにデバイス特性の補償を行うことを意味する。この特性変化補償部34Bは、例えば、時間スケールの変更に伴うデバイス1Bの伝達関数の変化を相殺するように、デバイス1Bの伝達関数を変化させたり、あるいは変化相殺のための伝達関数を有する伝達要素を追加したりすることを含む。尚、伝達関数を変更する方法としては、種々の任意の公知の技術を使用することができる。また、補償部34Bは、デバイス1Bの外部に設けたものとして示しているが、デバイス1B自体内に設けることも可能である。
【0035】
図4は、図3に示した本発明のデバイス・システムBにより得られる周波数応答について説明する。図4(a)は、図32(a)に示した特性と同じであって、入出力応答の立ち上がりを良くするために、ほぼ一定のゲインが高域まで伸びた伝達関数の周波数特性を示してる。これに対し、図4(b)は、本発明によりデバイスBの時間スケール変更を利用したその特性変更によって、外乱抑制するために高域のゲインを落とした伝達関数の周波数特性を示している。図から判るように、時間スケールすなわち時間目盛りを縮小に加えて、伝達関数の補償を付加することにより、カーブC1をカーブC2(図2参照)ではなくカーブC3の位置へと特性のシェイプを大きく変化させることなく移動させることができる。これにより、図32(b)の特性と同様の高域のゲインを抑制した周波数特性が得られる。
【0036】
これからも判るように、本発明では、従来容易ではなかったデバイスの異なった周波数特性を、単に時間スケールの変更、あるいはこの時間スケールと一緒にデバイスの特性変化補償を行うことにより、簡単に得ることができる。
本発明の第3の実施形態
次に、図5を参照して、本発明を制御系に適用した場合の第3の実施形態について説明する。図示のように、この制御系Cは、任意の制御対象2Cを制御するためコントローラ1C(図3のデバイス1Bに相当)と、このコントローラ1Cの特性を変更するための特性変更装置3C(図3のデバイス特性変更装置3Bに相当)とを備えている。この制御系Cの構成は、図3のデバイス・システムBとほぼ同様であるが、異なっている点は、デバイス1Bが制御系のコントローラである点である。このコントローラ1Cは、制御対象2Cの制御のため、回路定数、回路構成等の従来の設計手法により定まるある一定の伝達関数を有している。このコントローラ1Cとしては、任意の特性をもつものを使用することができ、特に、過去に提案された優れた特性を持つものを利用することができる。その1つの例としては、即応性の面で優れた前述の最短時間PLLがある。コントローラ1Cは、その入力に、制御の目標値か、あるいはこの目標値とフィードバック信号との偏差を表す入力信号INを受け、そしてこの入力に応答して制御対象2Cに対する操作量となる出力信号OUTを発生する。
【0037】
また、図5が図3と異なっている点は、時間スケール変更部30Cが、時間スケール変更器300Cに加えて、状態観測器320Cを備えている点、また、特性変化補償部34Bが伝達関数変更部34Cになっている点である。詳細には、時間スケール変更部30Cは、時間スケール変更器300Cと、制御対象2Cの状態を、制御対象から直接にあるいは制御系C内の制御対象以外の部分(例えば、コントローラの入力、出力、あるいはコントローラ内の適当な箇所)から間接に得る状態観測器320Cと、から成っている。その間接に得る場合には、状態観測器は、状態推定器と呼ぶこともできる。状態観測器320Cは、その観測した制御対象の状態を表す状態信号SSを出力に発生する。この状態信号SSを受ける時間スケール変更器300Cは、所定の時間スケール変更関数Ftscを有する。この関数は、状態観測器320Cからの状態信号SSから、この信号値のときに使用すべき時間スケール値を指定する時間スケール値TSVを発生するものであり、ルックアップ・テーブルを含む種々の既知の方法で実現することができる。次に、この時間スケール値TSVを受ける時間スケール生成部32Cは、図3の時間スケール生成部32Bと同様のものであって、時間スケール生成のため所定の時間スケール生成関数Ftsgを有しており、時間スケール値TSVを入力として関数Ftsgにより生成する時間スケールを決定し、そしてこの決定した時間スケールを有する時間スケール出力TSを生成する。関数Ftsgの最も簡単な例は、1の定数である。この時間スケール出力TSは、本例では、例えば可変周波数のクロック信号である。ここで、時間スケールを拡大するとは、このクロック信号の周波数を低くすることであり、縮小するとはその周波数を高くすることである。この時間スケール出力TSとしては、クロック信号のような矩形だけでなく、正弦波の発振器出力のようなその他の任意の周期性波形の信号も使用することができる。尚、この時間スケール生成部32Cの1部分を構成する可変周波数のクロックを発生する部分は、コントローラ1C内にこのようなクロック発生器を有する場合には、省略することができる。
【0038】
本発明では、時間スケール生成部32Cを使用して時間スケールを変更することにより、コントローラ1C内の伝達要素の伝達関数の時定数を変化させることができる。本発明は、このようにして、好ましくは時間スケールを適応的に変えることによって、制御系の周波数特性を適応的に可変する手法を提供する。これにより、本発明の1つの利点として、過去に提案された特徴のある制御系を(特徴的な回路定数を変えることなく、すなわち伝達関数の形を大きく変えずに)そのまま用いることもできる。
【0039】
また、時間スケール値TSVを受ける伝達関数変更部34Cは、図3の特性変化補償部34Bに対応する要素であって、補償部34Bをより具体化したものである。この伝達関数変更部34Cは、コントローラ1Cの伝達関数を変更対象の特性としており、そしてその変更のため、所定の伝達関数変更関数Ftfcを有している。伝達関数変更部34Cは、時間スケール値TSVを入力として関数Ftfcにしたがいコントローラ1Cの伝達関数を変更するための伝達関数変更出力TFCを発生する。このTFC出力は、コントローラ1C内に設けた伝達関数を変更するのに使用する回路(図示せず)の構成に適合したものとする。
【0040】
図6および図7を参照して、伝達関数変更部34Cについてさらに詳細に説明する。図6は、コントローラ1Cが積分要素である積分器10Cのみから成ると仮定した例について示している。この積分器の伝達関数G1は、図示のように1/Tsで表され、ここで、Tは時定数であり、sはラプラス演算子である。本例の場合、時間スケール変更により生じる時定数変化がもたらす伝達関数G1の変化を補償するため、コントローラ1C内に補償器12Cを設ける。補償器12Cは、積分器の伝達関数G1を一定に保つための補償を行うため、乗算器から構成している。この乗算器12Cは、コントローラ1Cへの入力に係数γを乗算する回路であり、伝達関数変更部34Cからの伝達関数変更出力TFCにより指示される値の係数γを乗算器入力に乗算してその結果を出力する。この場合の伝達関数G1は、以下の通りに表せる。
【0041】
【数1】
Figure 0004488569
【0042】
これから判るように、時定数Tの変化に拘わらず伝達関数G1を一定に維持するには、Tを2倍にするときにはγを2倍にすればよい。これにより、伝達関数を一定に保持することができる。尚、γ=1のままにしたときには、伝達関数G1は、時定数Tの変化前の1/2の伝達関数になる。このような伝達関数変化が望ましい場合には、本例のような補償器は省略したり、あるいは他の伝達関数への変更を行うこともできる。
【0043】
図7を参照して、図6の構成を採用した場合の動作について説明する。図7は、積分器に定値入力信号を加えたときの出力波形を示したものであって、図7(a)は、サンプリング周期がfの場合を示し、そして図7(b)は、サンプリング周期がf’の場合を示している。尚、横軸は時間であり、小さな目盛りは、動作クロックを表している。図7(a)では、サンプリング・タイミング1,2,3でサンプリングしている。図7(a)のタイミング1で、時間スケールの変更によりサンプリング周期をfからf’に変化させたとき、積分器の入出力応答を変更したサンプリング・タイミング上で同一とするには、サンプリング周期が長くなった分、定値入力信号を図7(b)の点線から実線へと小さくすれば実現できる。この定値入力信号の調整は、上記例の補償器12Cで行うことができる。サンプリング周期を長くすると、積分器の感度すなわち応答速度が低下することにより、積分器の外乱抑制力が高まる。サンプリング周期を短くすると、これと逆の特性を実現できる。
【0044】
次に、図8を参照して、時間スケール変更器300Cの1つの具体的な回路について説明する。図示のように、時間スケール変更器300Cは、図5の状態観測器状態観測器320Cからの制御対象の状態値を受ける状態量判定部300−1と、これに接続した設定値更新部300−3とから成っている。図8には、さらに、図5の時間スケール生成部32Cと伝達関数変更部34Cとにそれぞれ対応する可変周波数発振器3200Cと伝達関数変更器340Cも示している。詳細には、状態量判定部300−1は、評価関数回路としきい値記憶器と比較器とから成る回路を2組、すなわち300−10,11,12と300−13,14,15とを備えている。評価関数回路300−10は、入力に観測した状態量を受け、そして内蔵の所定の評価関数Fe1にしたがって評価し、そして評価結果E1を出力に発生する。しきい値(TH1)記憶器300−11は、評価関数Fe1による評価結果E1を判断する際の基準となるしきい値TH1を記憶し、そして出力にこのしきい値を供給する。比較器300−12は、評価結果E1としきい値TH1とを受け、そして評価結果E1がしきい値TH1以上の場合には、その初期値設定出力INITをハイにする。評価結果E1がしきい値TH1未満である場合には、初期値設定出力INITをローにする。これにより、評価結果E1がしきい値TH1を超えたときには、時間スケールを初期値に設定するよう動作する。他方の組の評価関数回路300−13は、評価関数Fe1と等しいかあるいはそれと異なった第2の評価関数Fe2を有し、受けた状態量をこの関数にしたがって評価した結果E2を出力に発生する。しきい値(TH2)記憶器300−14は、しきい値TH1と等しいかあるいはこれより小さいしきい値TH2を記憶し出力する。比較器300−15は、評価結果E2としきい値TH2とを受け、そして評価結果E2がしきい値TH2以上の場合には、更新命令信号UCをローにして、時間スケール変更の更新を止め、そして評価結果E2がしきい値TH2未満となったときには、更新命令信号UCをハイにして、時間スケール変更の所定のシーケンスに従った更新を行わせる。
【0045】
初期値設定出力INITと更新命令信号UCとを受ける設定値更新部300−3は、初期値設定出力INITを受ける入力を有する時間スケール設定値記憶器300−30と、この記憶器の出力に接続した入力を有する増加関数回路300−31および減少関数回路300−32と、そしてこれら関数出力を受けるセレクタ300−33とを備えている。このセレクタの出力は時間スケール設定値記憶器300−30の別の入力に接続している。詳細には、記憶器300−30は、初期値設定出力INITがハイになったときには、この記憶器内に設けた時間スケールの初期値をその出力に時間スケール値TSVとして発生し、またINITがローのときには、セレクタから受けた入力をその出力に発生する。記憶器の出力を受ける2つの関数回路300−31と300−32とは、記憶器出力から増加するあるいは減少する値を発生する回路である。これら増加または減少する値を受けるセレクタ300−33は、更新命令信号UCがローのときには、いずれの出力も選択せず、このときには記憶器300−30は、その初期値を出力し続ける。一方、更新命令信号UCがハイになったときには、初期値が時間スケール変更範囲内の最小値である場合には、増加関数回路出力を選択して出力に発生する。このとき、その増加関数回路出力は、記憶器300−30において、初期値に代えて出力に発生される。更新命令信号UCがハイにとどまる限りは、記憶器出力は、増加関数回路にフィードバックされて、さらに増加した信号を発生し、これは、セレクタ300−33と記憶器300−30を介して出力される。これにより、時間スケール値TSVを次第に増加させることができる。このような構成による動作について、評価関数Fe1=1、評価関数Fe2=1、TH1=TH2とし、しかも初期値が最も縮小した時間スケールを表す最も単純な例で説明する。先ず、時間スケール変更器300Cは、観測された状態量がしきい値TH1よりも大きい場合には、時間スケールを最も縮小した時間スケール(上記の例では高いサンプリング周波数に対応する)にすることにより、コントローラ1Cの感度、すなわち応答速度を上げ、そして状態量がしきい値TH2より下になったときには、初期値を増加させることにより時間スケールを拡大して、コントローラ1Cの感度を下げる。このTH2より小の条件が続く限り、時間スケールを拡大し続けることにより、コントローラ1C感度をより一層低下させることにより、コントローラ1Cの安定性を増大させていくことができる。この間に、状態量が急に大きくなってTH1を超えた場合には、再び時間スケールを縮小することにより、コントローラの感度を上げて即応性を高めることができる。
【0046】
上記の例では、増大関数を使用する例について説明したが、初期値が、時間スケール変更範囲内の最大値である場合には、セレクタ300−33は、減少関数回路出力を選択して出力に発生し、初期値に代えて記憶器300−30の出力に発生される。更新命令信号UCがハイにとどまる限りは、記憶器出力は、減少関数回路にフィードバックされて、さらに減少した信号が発生される。尚、以上の2つの場合には、増加関数または減少関数のいずれか一方は省略することができる。また、時間スケール初期値が時間スケール変更範囲内の中間にある場合には、増加関数と減少関数を組み合わせて使用することができ、この場合には、評価関数回路/しきい値記憶器/比較器の組を少なくとも1つ追加することにより、増加関数/減少関数間の選択を行えば良い。
【0047】
次に、図9を参照して、図5に示した制御系Cの変更例について説明する。図5では図示において特に示していないが、図5の制御系Cは、図9(a)に示すようにフィードフォワード・システム構成で実現することができる。この場合、入力INは、前述のように目標値rと等しい。また、図9(b)に示すように、フィードバック・システム構成で実現することもでき、この場合には、入力INは、加算器4Cにより目標値rとフィードバック信号yとの差を取って得た偏差εに等しい。
【0048】
次に、図10、図11を参照して、コントローラ1Cと伝達関数変更部34Cの変更例について説明する。図10は、コントローラ1Cの伝達要素10C’が一次遅れ要素から成る場合を示している。図示のように、この一次遅れ要素の伝達関数は、1/(1+Ts)である。この一次遅れ要素の場合も伝達関数を一定にする補償を行いたい場合には、図示の補償器12C’を使用して可能である。すなわち、補償器12C’は、コントローラ1Cの入力と一次遅れ要素10C’の入力との間に接続し、そしてその伝達関数が、その分子に、一次遅れ要素10C’の伝達関数の分母の動作をキャンセルするためにその分母と同じ項をもち、さらに時定数の変更を受ける一次遅れ要素の分母の項と同じ項を分母にもつようにする。この補償器12C’は、伝達関数変更部34Cからの伝達関数変更出力TFCに応答してγの値を変化させる。このタイプの補償器による補償は、一次遅れ要素内の積分器に対し、図6に示したような乗算器を付加することができない場合には、採用できる手法である。これと同様の補償は、微分要素、二次遅れ要素等にも採用することができる。尚、無駄時間要素の場合には、伝達関数を一定に保つ意味での補償は行えない。
【0049】
図11は、一般系に対する補償器の例を示している。図示のように一般系の伝達要素10C”は、その伝達関数をブロック中の一般式で表せる。このため、使用する補償器12C”は、ブロック中の式で表した伝達関数を有し、これを使用することにより、伝達要素の伝達関数を時間スケールの変更に拘わらず一定に維持することが可能である。尚、補償器の伝達関数の係数γは、図5の伝達関数変更部34Cの伝達関数変更出力TFCで指定する。
【0050】
ここで、注意されたいのは、上記の補償器では、伝達関数を一定に維持するための補償を行っているが、伝達関数の変化が許容できる場合あるいはそのような変化が望ましい場合には、伝達関数を一定にするという補償は必要でないことである。したがって、伝達関数が時間スケールに変化に応じてある所望の変化をさせたい場合には、上記補償器により、その所望の変化からのずれを補償するようにすることもできる。
本発明の第4の実施形態
次に、図12−図15を参照して、本発明を最短時間PLLに適用した場合の第4の実施形態について説明する。図12に示すように、本発明によるPLL回路Dは、従来のPLL回路と同様、位相同期すべき基準信号rを2つの入力の内の一方に受ける位相比較器4Dと、本発明によるコントローラ1Dと、電圧制御発振器(VCO)のような可変周波数発振器2Dとから成り、発振器2Dの出力は位相比較器4Dの他方の入力に接続されている。尚、必要に応じて、位相比較器4Dと一方の入力と基準信号rとの間に1/r分周回路を設け、他方の入力と発振器2D出力との間に1/f分周回路を追加することもできる(図12では点線で図示)。
【0051】
図13は、図12のコントローラ1Dの詳細を示すブロック図であり、このコントローラは、位相比較器4Dからの偏差信号ε(k)を受ける1/n乗算器12Dと(γ=1/nである)、最短時間PLLの特徴を成す予測器14Dおよび操作量記憶器10Dとから成っている。尚、nは時間スケール係数である。予測器14Dは、乗算器12D出力を受けるZ-1要素およびk倍の乗算器と、k倍乗算器出力からZ-1要素出力を減算する加算器と、から成る。また、操作量記憶器10Dは、加算器と、この加算器出力を受けるZ-1要素と、から成り、その加算器は予測器14D出力にZ-1要素出力を加算するよう接続している。Z-1要素は、1サンプリング時間だけ、データを保持するレジスタである。サンプリング時間とは、位相比較器4Dがつくるデータ計測終了時刻毎に発生する周期信号であり、基準信号(もしくはその1/r)の周波数にほぼ等しい。このコントローラ全体の伝達関数は、以下となる。
【0052】
【数2】
X(Z) = (k-Z-1) / (1- Z-1) /n 式2
ここで、n=1、k=2のときに最短時間PLLの伝達関数(式3)と一致する。尚、Z-1の動作単位は、その時適用されるクロックに依存している。
【0053】
【数3】
X(Z) = (2-Z-1) / (1- Z-1) 式3
尚、図12および図13には、PLLに対する本発明による特性変更装置は特に示していない。このPLLに対しても、図5、図6および図8に示した特性変更装置3Cを使用することができる。本例の場合には、特性変更装置3Cは、PLLの時間スケールとしてのサンプリング周期を変更し、また乗算器12Dの係数を変更するよう動作する。
【0054】
ここで、図14を参照して、既知の最短時間PLLの動作原理について簡単に説明する。図中、(a)は基準信号、(b)は追従信号、そして(c)は両者の時間差を示している。この図は、基準信号の周期がT1からT2へ遷移した瞬間を表している。その際の追従信号の動きは、ループフィルタなどの時間遅れや過度現象を起こさないとすると、図14(b)の応答が最適解である。先ず、追従側では、本来、周期T1の位置に生ずると予測していた場所に基準信号が来なかったことを検出するが、追従側としては周期T1で信号を出す。ここで、誤差の計測を開始し、そして(a)に示すように周期T2後に到着したときに、(c)に示すようにその誤差検出(T2−T1)を完了する。最短時間PLLの動作は、この検出結果より、(a)の基準信号の周期がT2に変化したことを予測する。これにより、先ず、最初のステップで、2T2−T1の周期となるように操作量を制御することにより(位相を先に合わせる)2T2−T1の位置に信号を出し、そして次のステップで、T2の周期になるように操作量を戻す(周期を合わせる)操作をして、周期T2の位置で信号を出す。この最短時間PLLは、基準信号のずれを検出した次のサンプル点でPLLをロックさせることができる極めて即応性の高い追従系である。しかしながら、この手法は、PLLのループフィルタを持たないため、システム変動や基準信号の変動に過敏に反応し、ジッタが大きくなる欠点をもっている。本発明のPLL回路は、従来の最短時間PLLのこの欠点を解消することができる。
【0055】
図15および図16を参照して、時間スケールすなわちサンプリング周期の変更について説明する。図15は、偏差εと時間スケール係数nとサンプリング周期との関係を示している。図16は、図15に対応して誤差の大きさの変化を示している。尚、TRは、位相比較器の出力の基準周期である。先ず、PLLの追従開始直後は、図16に示すように大きな誤差がある場合があるため、時間スケール係数n=1(初期値)から始める(図8の初期値設定出力INIT参照)。これは、最短時間PLLの動作と同様に、最初の計測誤差ε1は、次のサンプルポイントで、ε1=0となるように操作量を決定する。したがって、系に誤差がないとすればTR時間でロックする。次に、ε1が許容範囲内となったところで、nの値を増加する(図8の更新命令信号UCで実現)。この更新は例えば、n=n+1である加算的更新とする(図8の増加関数回路300−31で実現)。これはカウンタを用いて容易に実現することができる。図16にも示すように、n=2のときは、時間スケールすなわちサンプリング周期は2倍になるため、ε2の計測は2TR時間で行われる(2サンプルに1回)。ここでも、n=1のときと同様に、2TR時間でε2=0となるように制御できる。これは1/2の乗算(例えば、シフタにより実現可)で容易に行える。これを制御の操作という立場からみると、
【0056】
【表1】
ステージ1) 基準信号との誤差計測
ステージ2) 誤差の最短時間での解消
の2つのステージを交互に行っているとみることもできる。また、系に若干の誤差があったとしても、PLL全体がフィードバック系を構成していることから、最短時間ではないものの、誤差は数サンプルで収束する。
【0057】
本発明によるこのPLL回路のキーポイントの1つは、計測した誤差εが2TR時間でちょうどε=0となるように、εに1/2の重み付けをしている点にある。これは、2TR時間で生じた誤差変動は2TR時間で解消するということを意味しており、誤差の解消は、その誤差が生じたと同じ時間でゆっくり行われる。同様にして、3TR時間では、3サンプルに1回、4TR時間では、4サンプルに1回、そしてnTR時間では、nサンプルに1回の制御を行うこととし、εの重み付けは、それぞれ1/nの乗算器で行うことができる。
【0058】
時間スケール係数nの更新は、1から始め、徐々に1つずつ増加する加算的更新の例(n=n+1)を述べたが、これには、2の倍数で増やす乗算的更新の方法(n=2n)等も適用できる。このような乗算的更新を採用した場合には、nが、n=2q、q=0,1,2,…,mの値だけをとることになるため、増加関数回路300−31が左シフトで実現でき、また1/n乗算器12Dも右シフトで構成することができ、装置の簡単化が図れる、という利点がある。また、前述のように、予めnの選択シーケンスを定め、これをメモリに格納したルックアップ・テーブルに記憶し、そしてこのテーブルから順次選択する方法も使用できる。
【0059】
また、上記の操作は、期間nTRに一度の頻度で行っているが、急激な基準信号の変化(例えば、周波数設定値の変更など)に即応できるように、状態観測器320C(図5)における誤差計測は、期間TR毎に行うことようにすることも可能である。この場合、nTR時刻以外の計測では、 操作量を変化させず監視のみを行い、この誤差がある設定値を超えた場合には、n=1などのより小さい値に戻し(図8の減少関数回路300−32の使用によりnを減少させるか、あるいは初期値設定出力INITの使用により初期値に設定)、追従をやり直すようにすることができる。
【0060】
時間スケール係数nは、位相比較器によって計算する方法もある。上記の方法によって、誤差計測がTR毎に行われる際に、その誤差がある設定値を超えるまで 操作量を変化させず、監視のみを行う。このとき監視を行った期間mは、カウント(m=m+1)しておく。しばらく監視した後、その誤差が設定値を超えた時点で、コントローラ1Dの時間スケール係数nおよびεをセットする(n=m、ε=一定)。このセット後、mは、1からカウントし直すことになる。
【0061】
以上に説明した図12および13のPLL回路においては、以下のような変更も可能である。第1に、予測器14Dの係数kは、2のとき最も大きな効果が得られるが、計測誤差を考慮したり、最短で誤差を解消させないなどの目的によって、2以外の値にすることも可能である。また、同様の理由で、Z-1も1つに限る必要はない。すなわち、最短時間PLLではなく、一般的なPLLに変更することもできる。本発明は、そのような変更形態にも適用できることを意味している。
【0062】
次に、図17の図表を参照して、最短時間PLLを用いた図12および図13に示す本発明のPLL回路Dの効果について説明する。この図表は、PLL回路Dを、1KHzのレファレンス・クロックに同期させて16.9344MHz(44.1KHz,384fs)のPLL出力クロックを発生させた場合において、このクロックを用いてオーディオD/Aコンバータを動作させ、1KHzの正弦波信号を発生させたときの歪み率(THD+N)を示している。クロック・ジッタの品位は、オーディオD/Aコンバータのアナログ出力信号の性能に大きな影響を与えるものである。この図表から判るように、n=1の時すなわち従来の最短時間PLLでは0.01%もあった歪みが、本発明を適用することにより、nの更新上限値が大きくなるにつれ小さくなり、そしてn=1024にしたときには、0.003%と極めて少なくなっていることが分かる。これは、nTRの間、追従信号の周波数が制御系によって操作されないことが主な理由と考えられる。これは、サンプリング周期を伸張させることによって、あたかも制御系の閉ループ伝達関数の感度を下げたと同じ効果が得られることを示しており、追従信号の周波数偏差のリプル変動等を抑える効果を裏付けるものである。また、誤差の計測がnTR時間の積分比較と等価なことから、基準信号の周波数変動の影響を受けにくくなる効果がある。
【0063】
また、誤差εの計測精度は、1/n乗算器で有効桁を右シフトすることができるため、nが大きくなるほど計測精度が高くなる(精度はn倍になる)。すなわち、追従開始直後は、誤差の計測精度は粗いものの頻繁に操作量の更新をすることから即応性が極めて高く、その後nの更新が進むにつれて、徐々に精度の高い、かつ操作量の更新間隔の長い、より外乱抑制能力の高い追従操作が行われる。
【0064】
次に、図18−図26を参照して、上記第4実施形態のPLL回路に対する種々の変更例について説明する。図18は、図12の可変周波数発振器2Dの1実施形態である可変周波数発振器20Dを示しており、この可変周波数発振器20Dは、局部発振器200Dと、この発振器の出力に2つの入力の内の1つが接続したミキサ202Dと、図12のコントローラ1Dからの出力と発振器200Dの出力を受ける間引き/挿入タイミング発生器204Dと、そしてミキサ202Dの出力を受ける既存のアナログPLL206Dと、で実現している。間引き/挿入タイミング発生器204Dの出力は、ミキサ202Dの他方の入力に接続している。アナログPLL206Dは、それ自身が追従系になっていて、PLL206Dが受ける入力基準信号に同期した信号を発振するように構成している。この可変周波数発振器20Dの回路構成では、アナログPLL206Dへの入力は、局部発振器200Dからの発振パルスをミキサ202Dを介して供給する。ミキサ202Dは、発振器200Dからその発振パルスを、間引き/挿入タイミング発生器204Dからの出力に応答して、間引いたりあるいは挿入することによって、局発の周波数を可変し、これによって、アナログPLL206Dが出力に発生する追従信号を上記基準信号に同期させる。
【0065】
図19を参照して、この可変周波数発振器20Dの動作について説明する。図19(a)は、局部発振器200Dの一定の周波数の発振パルスを示している。図19(b)は、間引き/挿入タイミング発生器204Dが出力する間引き/挿入タイミング信号を示している。このタイミング発生器204Dは、上記のコントローラ1Cの出力である発振周波数を示す信号と、局部発振器200Dからの発振パルスを受け、そしてこの信号にしたがいパルスの間引き/挿入のタイミング出力を発生する。これは、当業者には明らかなように種々の方法で実現でき、例えば、比較器とANDゲートとの組み合わせ(図示せず)により実現することができる。そのタイミング出力と発振パルスを受けるミキサ202Dは、図19(c)に示すように、タイミング出力が正パルスであるときは、発振パルスを1つ挿入し、そして負パルスがあるときには、発振パルスを1つ間引く。このようなミキサは、当業者には明らかなように、種々の方法で実現できる。例えば、発振パルス挿入は、局部発振器200Dの発振周波数の2倍の周波数の発振器と、ゲート回路との組み合わせ(図示せず)により、そして発振パルスの間引きは、ゲート回路(図示せず)で実現することができる。このような発振パルスの挿入/間引きを行っても、アナログPLL206Dがその内部にループフィルタを持っていて入力信号のジッタに対して極めて強いため、ジッタが抑えられた追従信号を得ることができる。
【0066】
次に、図20を参照して、図18に示したミキサ202Dの別の実施形態を示す。このミキサ2020Dは、ミキサの精度を上げるために、出力波形の位相を調整する方式を採用したものである。図20の(a)は、hの状態を持つミキサの状態遷移図を示している。尚、この図では6つの状態を示しているが、その数は任意の数に設計することができる。今、“0”と記した状態(円で示す)では“0”を出力し、“1”と記した状態では“1”を出力するものとすると、ミキサは局発周波数にしたがって、通常の状態では3つづつ“0”と“1”を出力する。間引き/挿入タイミング発生器204Dもまた、局発の発振パルスを動作クロックとしている。このミキサは、間引き/挿入タイミング発生器204Dからの信号(例えば、図19(b)の負パルス)が到着すると、待機(wait)に遷移させることによって状態遷移を止める。この仕組みによって、ミキサ2020Dの出力信号の周波数を、1/h(この場合は1/6)だけ位相を遅らせることができる。また、このミキサの構造を、タイミング発生器204Dからの信号(例えば、図19(b)の正パルス)に応答して、図20(a)中に点線で示すように、状態をスキップ(skip)させることにより、位相を進めることができる。これらの両者を組み合わせれば、可変周波数の発振出力を生成することができる。尚、位相を遅らせる動作のみ、あるいは位相を進ませる動作のみで十分な場合には、上記の一方のみの構成を使用すれば足りる。
【0067】
次に、図21を参照して、図18の間引き/挿入タイミング発生器204Dの別の具体的な実施形態について説明する。図示の間引き/挿入タイミング発生器2040Dは、局部発振器200Dの周波数を動作クロックとして、コントローラ1Dが発生する目的の周波数を示す出力u(k)との差分を算出し、そしてできるだけ等間隔でこれを局発の発振周波数から間引く、もしくはそれに挿入するものである。このタイミング発生器2040Dは、モジュロ積分器を用いたものであり、図示のように、2つの加算器2040−1,2と、加算器2040−2の出力を受ける遅延器2040−3およびオーバーフロー検出器2040−4と、M倍乗算器2040−5とで構成している。最初の加算器2040−1は、一方の入力にコントローラ1Dの出力u(k)を受け、他方の入力に検出器2040−4の出力を乗算器2040−5を介して受ける。この加算器2040−1の出力を受ける第2の加算器2040−2は、他方の入力に遅延器2040−3の出力を受ける。タイミング発生器2040Dの内側のループは、単なる積分器を構成している。この積分器の後段のオーバーフロー検出器2040−4は、この検出器に入力された信号の値によって、−1、0、+1を出力する。すなわち、入力信号が検出器内に設定したリミット値M以上のときは“+1”(図19(b)の正パルスに相当)、検出器内に設定したリミット値−M以下のときは“−1”(図19(b)の負パルスに相当)、それ以外の時は“0”を出力する。したがって、この回路は、モジュロM積分器を構成しており、これによって、前述の間引き/挿入タイミング発生器204Dを実現することができる。これに代わる実現方法としては、当業者には容易に理解されるように、ダウンカウンタと除算器を用いることも可能である。さらに、このモジュロ積分器による間引き/挿入タイミング発生器2040Dは、アナログのサンプル値系での実現も、デジタル実現でも可能である。
【0068】
次に、図22および図23を参照して、図13に示した最短時間PLLのコントローラ1D部分をデジタルで実現する手法について説明する。図22に示したコントローラ1Eは、図13の回路構成を変形したものであって、図13の乗算器12Dと予測器14Dの乗算器(k)とを整理し、右端にある操作量記憶器10Dを左に移すと、図3のように構成とすることができる。ここで、操作量記憶記10Dの遅延器Z-1が上に来ていることに注意されたい(すなわち、操作量記憶記すなわち積分器の結果は1つ前の値を使う)。最短時間PLLは、図14を参照して前述したように、先に位相を合わせ、次に周期を合わせる2つのステージで動作をするため、図22の右部分を位相差調整器100E、1サンプル遅れで動作する左部分を周期推定器102Eと呼ぶことにする。
【0069】
図23には、図22の構成を2つのアップダウン(U/D)カウンタで構成した実施形態を示している。図示のコントローラ1Fは、位相差調整用のローダブルU/Dカウンタ100Fと、周期推定用の積分型U/Dカウンタ102Fとで構成している。これら両カウンタは、図12の位相比較器4Dからのε(k)に比例したパルス幅信号をアップ/ダウン入力に受け、そしてまた位相差計測周波数fを動作クロック入力として受け、そして時間スケール係数nをビットシフト入力として受け、さらにサンプリング・クロック(図示せず)をクロック入力に受ける。積分型U/Dカウンタ102Fのカウント出力は、ローダブルU/Dカウンタ100Fのプリセット入力に接続されており、そしてU/Dカウンタ100Fの出力がu(k)となる。これらU/Dカウンタでの周期推定および位相差調整は、位相比較器4Dのアップ/ダウン信号の出ている間、十分高い周波数である位相差計測周波数fでカウントアップ(ダウン)することで行う。また、サンプル値系では、サンプル点間の信号に意味がない(サンプリング時刻における値のみに意味がある)ため、ローダブルU/Dカウンタ100Fと積分型U/Dカウンタ102Fの各々は、図22に示した各加算器の機能も実行する。また、積分型U/Dカウンタ102Fでは、カウント動作をサンプリング時間毎にリセットしない構成とし、これにより積分機能(図22の積分器に相当)を実行する。さらに、積分型U/Dカウンタ102Fは、周期推定器102Eでの1/nの重みを実現するため、1/nづつ加/減算するカウント動作を行う。
【0070】
図24は、1/n加/減算動作のその仕組みを示している。積分型U/Dカウンタ102Fは、1を加/減算する装置(インクリメンタ)であるから、その1の位置を変えることで1/nの重みを実現する。n=1のとき、1は小数点のすぐ左にある。n=2のときは、右に1ビットだけシフトする。同様にn=2qのときは、右にqビットシフトする。また、1の左側には符号ビットを埋めることで、アップカウントとダウン(2の補数)カウントを実現する。尚、符号ビットsは、正の数のときには0であり、そして負の数のときは1である。また、これと同様の動作は、ローダブルU/Dカウンタ100Fにおいても実行するが、このカウンタ100Fにおいては、k/n倍を行う。
【0071】
図25を参照して、このローダブルU/Dカウンタ100Fでのk/n乗算について説明する。ここで、k=2の場合について説明すると、図示のように、2/nの重みを実現するため、1は小数点から2ビット左にあり、そして図24と同様に、時間スケール係数nに応答してnの値だけビットを右シフトをすることにより2/nの乗算を行う。ただし、符号ビットsは負の時は0、正の時は1とし、図24とは符号を逆にしている。このカウンタ100Fには、サンプリング時間毎に、積分型U/Dカウンタ102Fの演算結果をロードする(1サンプル時間遅れのZ-1を実現)。尚、図24および図25中のXXXXXXXX.XXXXXXは、カウンタの現在値を意味している。
【0072】
以上のように、両カウンタとも、nが大きくなるにつれて(n=2q,q=0, 1,2, …,r)、インクリメンタの1の位置が右にqビットだけずれる。このことは、本発明の1つの大きな利点を理解する上で重要である。すなわち、本発明によれば、時間スケール係数nの更新が進むにつれて、誤差の計測時間が長くなる。これは誤差評価が、積分型の評価器によってなされていることを意味しており、このことは、系自身の変動や、位相の測定誤差(デジタル実現による量子化誤差を含む)、などの変動誤差による操作量のリプル変動を抑止する効果がある。また、計測された位相誤差が、周期(nTR)に対して相対的に小さくなることから、計測精度が増加したと同じ効果が得られる。このことは前述のインクリメンタを用いて説明できる。すなわち、位相差計測に用いられる周波数が同じ分解能であっても、nが更新される度にインクリメンタの加算位置が右にシフトするため、積分型U/Dカウンタ102Fに累積される推定値の有効桁数が増加し、結果的に図12の可変周波数発振器2Dに設定される値は、より高精度となる。
【0073】
次に、図26は、図12のコントローラ1Dの別の実施形態を示している。この実施形態によるコントローラ1Gは、図12の位相比較器4Dの出力と、コントローラ回路100Gとの間にサンプル/ホールド(S/H)回路102Gを設けたものである。このコントローラ1Gは、連続値系のデバイスに本発明を適用する場合に使用できるものである。サンプル/ホールド(S/H)回路を設けることにより、連続値系をサンプル値系に変換することができ、サンプル/ホールド回路を用いて、入ってくる信号をある時間間隔(サンプリング周波数)でサンプルし、時間的に離散化したデータを用いて制御する。尚、離散時間とは、時間的に連続しないとびとびのデータ列を扱うという意味であり、データそのものは、デジタルでもアナログでもよい。コントローラ回路100Gとしては、図12のコントローラ1D、図22、図23のコントローラ1E、コントローラ1Fが使用可能である。これにより、本発明を離散値系だけでなく、連続値系にも適用することが可能となる。
【0074】
以上に、本発明のいくつかの実施形態について、特にPLLに関連して説明してきたが、本発明は、PLLだけでなく、その他のフィードフォワード制御またはフィードバック制御が行われる任意のデバイスにも適用可能であることは、以上の説明から当業者には明かなはずである。
本発明を適用できるデバイスの他の例
図27−図30を参照して、本発明を適用できるその他のほんのいくつかの例について説明する。
【0075】
図27は、本発明によるコントローラを電源レギュレータに適用した場合を示している。これでは、出力電圧を電圧センサで検知し、この検知電圧に応答して本発明のコントローラがトランジスタのベースの電圧または電流を制御する構成になっている。図27の(b)にも示したように、電源レギュレータによる出力電圧の調整には制御が行われており、したがってこの制御に本発明を適用することにより、出力電圧調整の即応性と安定性の双方を1つの回路で実質上同時に実現することができる。特に、定電流もしくは定電圧を目的としたレギュレータに応用した場合には、立ち上がりの急峻さと、外乱による変動特性を適応的に変化させることができるという利点がる。
【0076】
図28は、モータの回転(速度)制御に本発明を適用した場合である。本発明によるコントローラは、モータの回転を検知するセンサからの出力を受け、そしてこのセンサ出力に応答してモータを制御する。制御の対象は、例えば、HDDの回転制御や、DVD、CD、MDの駆動装置でもよい。これらは、なるべく早く一定の速度にもってゆく制御を行わなければならないが、一度、一定の速度に到達したら、データの信頼度向上のために、回転むらができるだけなくなるように制御することが望ましいものである。こうした相反する目的をもった制御系では、立ち上がり時の回転むらについては問題とされず、他方、定速回転中においては立ち上がり特性を問題とする必要がない場合が多い。本発明のコントローラは、こうした系に対しても、容易に適用できる。
【0077】
また、エレベータや新幹線等の鉄道車両のような乗り物の速度制御とか乗り心地の向上などを目指す制御系では、状態に応じて、制御系の感度を細かく変える必要のあるものもある。本発明は、状態に応じて周波数特性を連続的に変えることができることから、こうした場合に適用すると有益である。
【0078】
図29は、本発明を位置(サーボ)制御系に適用した場合を示している。対象は、例えば、上記HDDなどのヘッドの駆動装置、ロボットアームやLSIのステッパの位置決め装置などがある。これらヘッド等の移動速度は、装置全体のシステム性能を決定づけるものである。例えば、CDのシーク時間等の特性は、装置の値段、性能等に直接関わる重要なものである。こうしたトラッキング・システムでは、指令された場所への移動はできるだけ早い方がよいが、その場所にある情報を読み取る場合にはヘッドの追従が安定していることが望まれる。ヘッドは、ディスクの直径すなわち指定位置によってトラック間の移動速度)がリニアに変化する軌道をトレースしているが、移動命令が発行されたときのディスク上のヘッドの場所やそのトラック間の移動距離によって、ヘッドの移動(移動の速度等)を適応させることが望まれる。本発明は、こうした系にも有利に適用することができる。
【0079】
最後に、図30は、系に人間の感覚(人間の精神状態)を含む場合の制御を示している。例えば、ファンヒータやエアコンなどの温度制御を考えた場合、センサの状態に応じて熱源の量を制御する必要がある。例えば、人間が寒いと感じたとき温度調整つまみを操作するが、この直後の温度制御の場合と、そして快適さを感じた場合(こうした場合は調整つまみを変えない)、の様々な状況に応じてで制御特性を変える用途がある。アクションを起こしてまで、温度を変えたいと思っているときには、急激な温度変化を求めていることが多い。このように人間などが介在する観測量に対し、その観測量に適した制御を求められる系もある。したがって、本発明は、制御系に機械や装置以外の要素を含む系にも、適用することができる。尚、人間の精神状態の観測には、心拍数や血圧などを用いることもできる。
【0080】
以上に述べたことから明らかなように、本発明は、PLL等のような特定のデバイスに限定されるものではなく、また電気の分野のような特定の分野に限定されるものでもない。また、本発明は、電気回路のような特定の規模に限定されるものでもない。したがって、本発明は、極めて広い適用範囲をもつものである。
【0081】
【発明の効果】
以上に詳細に説明した本発明によれば、デバイスの動作、応答、性能等のデバイスの特性を、従来とは異なった時間スケールというパラメータを使って変化させることが可能となる。この結果、従来とは異なった様式でデバイスの動作等を変化させること可能となり、また従来とは異なったあるいは従来実現できなかった特性等を実現することも可能となる。例えば、従来では同時の実現が容易でなかったあるいは困難であった相反する特性を実質上同時にあるいは1つの装置で実現することが可能となる。特に制御の分野において、時間スケールという新たな設計パラメータを使って、あるいはこの新規な設計パラメータを追加で使って新規な制御を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を組み込んだ第1の実施形態のデバイス・システムAをブロック図で示す。
【図2】図1のデバイス1の周波数応答が、時間スケールの変更により変化する様子を示すためのカーブC1−C4を示す図。
【図3】本発明の第2の実施形態であるデバイス・システムBをブロック図で示す。
【図4】図3に示したデバイス・システムBにより得られる周波数応答を示すものであり、(a)は、図32(a)に示した特性と同じものであって、入出力応答の立ち上がりを良くするために、ほぼ一定のゲインが高域まで伸びた周波数特性を示しており、(b)は、本発明によりデバイスBの時間スケール変更を利用したその特性変更によって、外乱抑制するために高域のゲインを落とした伝達関数の周波数特性を示す。
【図5】本発明を制御系に適用した場合の第3の実施形態である制御系Cを示すブロック図。
【図6】図5の伝達関数変更部34Cをさらに詳細に説明する図であり、コントローラ1Cが積分要素であるときを示す。
【図7】図6の構成の動作を説明する図である。
【図8】図5の時間スケール変更器300Cの1つの具体的な回路を示す図。
【図9】図5に示した制御系Cの変更例である、フィードフォワード・システムとフィードバック・システムを示す図。
【図10】コントローラ1Cと伝達関数変更部34Cの変更例を示す図であって、コントローラ1Cの伝達要素10C’が一次遅れ要素から成る場合を示す。
【図11】コントローラ1Cの伝達要素が一般系である場合の補償器の例を示す図。
【図12】本発明を最短時間PLLに適用した場合の第4の実施形態であるPLL回路Dをブロック図で示す。
【図13】図12のコントローラ1Dの詳細を示すブロック図。
【図14】従来の既知の最短時間PLLの動作原理を説明するためのタイミング図。
【図15】時間スケールすなわちサンプリング周期の変更について、偏差εと時間スケール係数nとサンプリング周期との関係で示す図。
【図16】図15に対応して誤差εの大きさの変化を示す図。
【図17】本発明のPLL回路Dの効果を、従来の最短時間PLLと比較して示す図である。
【図18】図12の可変周波数発振器2Dの1実施形態である可変周波数発振器20Dを示す図。
【図19】図18の可変周波数発振器20Dの動作を説明するためのタイミング図。
【図20】図18に示したミキサ202Dの別の実施形態であるミキサ2020Dを示す図。
【図21】図18の間引き/挿入タイミング発生器204Dの別の具体的な実施形態である間引き/挿入タイミング発生器2040Dを示す図。
【図22】図13に示した最短時間PLLのコントローラ1D部分をデジタルで実現する手法を説明する図。
【図23】図22の構成を2つのアップダウン(U/D)カウンタで構成した実施形態であるコントローラ1Fを示す図。
【図24】図23の積分型U/Dカウンタ102Fで1/n加減算動作を行う方法を示す図。
【図25】図23のローダブルU/Dカウンタ100Fで、k/n乗算を行う方法を示す図。
【図26】図12のコントローラ1Dの別の実施形態であるコントローラ1Gを示すブロック図。
【図27】本発明によるコントローラを電源レギュレータに適用した場合を示す図。
【図28】本発明によるコントローラをモータの回転(速度)制御に適用した場合を示す図。
【図29】本発明を位置(サーボ)制御系に適用した場合を示す図。
【図30】本発明を、系に人間の感覚等を含む場合の制御への適用を示す。
【図31】制御系の時間応答特性のいくつかの例を示す図である。
【図32】図31に示した時間応答を、周波数応答の面から見た場合の周波数特性を示す図。
【符号の説明】
1,1B デバイス
1C−1G コントローラ
3 特性変更装置
30 時間スケール変更部
32 時間スケール生成部

Claims (3)

  1. 最短時間PLL回路であって、
    発振信号を出力する可変周波数発振器と、
    上記発振信号に対応する追従信号と基準信号とを入力してそれらの位相を比較する位相比較器と、
    上記位相比較器から出力される偏差信号を入力して目的の周波数を示す出力信号を上記可変周波数発振器に供給するコントローラと、
    PLL回路の時間スケールとしてのサンプリング周期を変更する特性変更回路と、
    を備え、
    上記コントローラが、上記偏差信号に時間スケール係数に対応する値を乗算する乗算回路と、上記乗算回路の出力に結合された予測回路と、上記予測回路の出力に結合された操作量記憶回路とを備え、
    上記予測回路が、上記乗算回路の出力に所定の係数を乗算する乗算器と、上記乗算回路の出力に結合された入力を有する第1の遅延要素と、上記乗算器の出力に結合された第1の入力と上記第1の遅延要素の出力に結合された第2の入力とを有する減算器とを備え、
    上記記憶回路が、第2の遅延要素と、上記減算器の出力に結合された第1の入力と上記第2の遅延要素の出力に結合された第2の入力とを有する加算器とを備え、
    上記第2の遅延要素の入力が上記加算器の出力に結合されており、上記加算器から上記出力信号が供給され、
    上記時間スケール係数に対応する値が変更されることで上記サンプリング周期が変更される、
    最短時間PLL回路。
  2. 上記可変周波数発振器が、局部発振器と、上記出力信号に結合された第1の入力と上記局部発振器の出力に結合された第2の入力とを有する間引き/挿入タイミング発生器と、上記タイミング発生器の出力に結合された第1の入力と上記局部発振器の出力に結合された第2の入力とを有するミキサと、上記ミキサの出力に結合された入力を有するPLL回路とを備え、
    上記PLL回路から上記発振信号が供給される、請求項に記載の最短時間PLL回路。
  3. 上記発振信号を分周して追従信号を生成する分周回路を更に有する、請求項1又は2に記載の最短時間PLL回路。
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