JP4488425B2 - コネクタ - Google Patents
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Description
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、ムービングプレートの引き戻しを簡単な構造でもって行うところにある。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記内シール部材のリップの条数よりも前記外シール部材のリップの条数の方が少ない設定とされることにより、前記内シール部材よりも前記外シール部材の方が、全リップの外周部の潰し量が少ない設定とされているところに特徴を有する。
請求項5の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記内シール部材が密着する前記雌ハウジング側のシール面と比べて、前記外シール部材が密着する前記雄ハウジングのフード部側のシール面の方が、前方すなわち前記外シール部材が離脱する方向に対して先広がりとなった傾斜面として形成されているところに特徴を有する。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のものにおいて、前記シール部材は、多色成形により前記ムービングプレートと一体形成されているところに特徴を有する。
雌雄のハウジングが嵌合されると、内シール部材が雌ハウジングの外周面に、また外シール部材がフード部の内周面にそれぞれ密着して、雌雄のハウジング間のシールが取られる。この間、被係止爪が係止爪に係止されることでムービングプレートが初期位置に保持される。雌ハウジングがムービングプレートに嵌合されると、被係止爪と係止爪との係止が解除されることで、ムービングプレートが雌ハウジングで押されて初期位置からフード部の奥方に移動する。一方、雌ハウジングが雄ハウジングから引き抜かれると、内シール部材と雌ハウジングとの間の摩擦力よりも、外シール部材とフード部との間の摩擦力の方が小さく設定されているために、外シール部材がフード部から離脱ししつ、ムービングプレートは内シール部材を介して雌ハウジングに連れ立って引き抜かれる。
すなわち、ムービングプレートの引き戻しが、内外のシール部材の摩擦力に差を付けただけで達成でき、従来のような戻しのための特別のロック機構を必要としないから、簡素な構造にまとめることができる。
ムービングプレートが初期位置に戻されると、規制部によってそれ以上の戻り方向の移動が規制され、それ以降は内シール部材から離脱しつつ雌ハウジングのみが引き抜かれる。
<請求項3の発明>
例えば、シール部材の外周に複数条のリップが形成されている場合に、リップの高さを同じにして、内シール部材よりも外シール部材の方がリップの条数が少なくされる。これにより、内シール部材よりも外シール部材の方が全リップの外周部の潰し量が少なくされ、もって摩擦力が小さくされる。
内シール部材よりも外シール部材の方が低硬度とされ、もって摩擦力が小さくされる。
<請求項5の発明>
内シール部材のシール面よりも、外シール部材のシール面の方が、前方すなわち外シール部材が離脱する方向に対して先広がりとなった傾斜面として形成されていることから、外シール部材側の方が摩擦力が小さくされる。
<請求項6の発明>
ムービングプレートにシール部材を設けること自体が簡単となる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図14によって説明する。本実施形態では、レバー式の防水コネクタを例示している。
本実施形態のコネクタは、図1ないし図3に示すように、互いに嵌合可能な雌コネクタFと雄コネクタMとから構成され、雄コネクタMにムービングプレート50が装着されている。なお以下の説明では、各コネクタF,Mにおいて、嵌合面側を前面として説明する。
雌ハウジング10には、図4に示すように、正面から見た右側の領域に、大型のキャビティ15Lが縦一列に並んで形成され、それぞれに大型の雌端子金具16L(以下、大雌端子16Lという)が挿入されて収容されている。一方、左側の領域には、上下2個の収容室17が形成され、各収容室17には、小型の雌端子金具16S(以下、小雌端子16Sという)をキャビティ15S内に整列して挿入してなるサブハウジング18がそれぞれ収容されている。
両雌端子金具16L,16Sに接続された電線19は、雌ハウジング10の後面から引き出されたのち纏められ、グロメット11に設けられた電線導出部11A内を通って下方へ導出されている。
レバー22は、一対のアーム部23の基端部同士を操作部24で連結した全体として門型形状に形成され、アーム部23の先端側の拡幅部には、雄ハウジング30側に設けられたフォロワピン39(図1参照)が嵌合するカム溝25が形成されている。レバー22は、アーム部23の拡幅部に開口された軸孔26を、グロメットカバー12の両側面に突設された軸27に嵌めることで、回動可能に支持されている。
なお、フード部32の内周面のうち長辺側の両側面には、上記したレバー22のカム溝25に嵌合する一対のフォロワピン39が突設されている。
一方、周壁52の前縁には、外向きに張り出したフランジ55が連設され、このフランジ55の前面の四つの角からそれぞれ前側突壁56が突設され、この前側突壁56は、フード部32の内周面の四隅にほぼ緊密に嵌合するように丸みを帯びて形成されている。また、プレート本体51の裏面における上下の周縁部には、角に丸みを付けた門形をなす後側突壁57が、対向するようにして突設されており、一方フード部32の奥面には、上記の後側突壁57が挿入される挿入溝41が形成されている。
ムービングプレート50が初期位置にある状態では、フード部32内に突出した各雄端子金具36L,36Sのタブ34L,34Sの先端が保持孔54内に嵌合され、タブ34L,34Sの上下左右方向の遊動が規制されるようになっている。一方、ムービングプレート50が終端位置に移動した状態では、保持孔54が各タブ34L,34Sの基端に嵌合するようになっている。
各弾性係合片59は、互いに同形同大で嵌合中心を挟んだ対称位置に設けられ、それぞれの先端部に、外側に張り出した係合突起60が形成され、内方に向けて撓み変形可能となっている。
そして、ムービングプレート50の弾性係合片59の係合突起60が第1係合孔43に嵌まることで、ムービングプレート50が初期位置に保持される。ただし、第1係合孔43の後面側は急なテーパ面44Bでいわゆるセミロック構造となっているから、ムービングプレート50に対して奥方への押圧力が作用すると、ムービングプレート50は終端位置に向けて移動可能となっている。
また、弾性係合片59の係合突起60が第2係合孔44に嵌まることで、ムービングプレート50が終端位置に保持される。ただし、第2係合孔44の前面側は緩やかなテーパ面44Aとなっているから、逆にムービングプレート50に対して、前方への引き戻し力が作用すると、初期位置に向けて移動可能となっている。
雄ハウジング30のフード部32の奥面、言い換えると端子収容部31の前面における上下の収容室17の間の位置から、リブ45が立てられている。このリブ45は、図5に示すように、正面から見てやや横長断面の略角柱状に形成され、図10に示すように、先端がほぼフォロワピン39の位置に達する高さを有している。なお、上記のリブ45は、正面から見た右側の領域において、基端から先端の少し下方位置まで拡幅されている。
そして、この挿通孔62における正面から見た右側の拡幅部62Aにおける孔縁には、門形をなすガイド壁64が立てられている。このガイド壁64は、ムービングプレート50の周壁52とほぼ高さを持っており、ガイド壁64の内周面に、リブ45における拡幅部45Aの3側面が摺接されるようになっている。
また、このガイド壁65における左側壁の突出端には、上記した係止片47の係止面48Aに係止可能な被係止爪66が形成されている。
なお、この嵌入溝28における一隅(正面から見た右上隅部)には、上記したムービングプレート50に設けられた係止片47における係止突起48の解除面48Bに当接可能な解除部29が設けられている。すなわち、フード部32内に雌ハウジング10が進入して解除部29が係止突起48の解除面48Bを押圧すると、係止片47が強制的に撓み変形し、係止突起48の係止面48Aが被係止爪66から外れるようになっている。
また、雄ハウジング30におけるフード部32の内周面では、奥側の所定幅の部分が、C面を介して内方に張り出した縮径面とされており、この縮径面が、雄ハウジング30側のシール面71となっている。このシール面71は、ムービングプレート50が終端位置まで移動した場合に、ムービングプレート50の周壁52の外周面と、上記と同じ所定のクリアランスを介して対向するようになっている。
これらの内外のシールリング73,74は、二色成形によってムービングプレート50と一体に形成されている。これは例えば、二色射出成形機により異材質から一体成形品が成形されており、ムービングプレート50は硬質の合成樹脂材からなり、シールリング73,74はエラストマーからなっている。
これはすなわち、内シールリング73が雌ハウジング10側のシール面70に密着された場合に比べて、外シールリング74が雄ハウジング30側のシール面71に密着された場合の方が、リップ77の潰し量が少なく、したがって内シールリング73と雌ハウジング10側のシール面70との間の摩擦力よりも、外シールリング74と雄ハウジング30側のシール面71との間の摩擦力の方が小さくなる設定とされる。
このとき併せて、雄ハウジング30に設けられたフォロワピン39が、雌コネクタFに装着されたレバー22のカム溝25の始端位置に進入する。
この間、雄ハウジング30に収容された雄端子36L,36Sの各タブ34L,34Sは、ムービングプレート50の対応する保持孔54に貫通されることで真直姿勢に維持され、相手の雌端子16L,16Sとの間で正規に接続される。また、ムービングプレート50の周壁52の内外に設けられた内シールリング73と外シールリング74とは、それぞれ雌ハウジング10側のシール面70と雄ハウジング30側のシール面71とに弾性的に密着され、雌雄のハウジング10,30間のシールが取られる。
ここで、ムービングプレート50に設けられた内シールリング73と外シールリング74とは、リップ77の条数において3条と2条とに差が付けられ、内シールリング73と雌ハウジング10側のシール面70との間の摩擦力に比べて、外シールリング74と雄ハウジング30側のシール面71との間の摩擦力の方が小さい設定となっている。
図15は、本発明の実施形態2を示す。この実施形態2では、内外のシールリング80,81において、外周面に形成されたリップ82A,82Bの条数がともに3条と等しくされる一方で、内シールリング73のリップ82Aの高さaよりも、外シールリング74のリップ82Bの高さbの方が小さくなるように形成されている。これによっても、内シールリング73よりも外シールリング74の方が外周部の潰し量が少なくされ、結果、対向するシール面70,71との摩擦力を小さくすることができる。
図16は、本発明の実施形態3を示す。この実施形態3では、内外のシールリング90,91について、リップ92の条数も高さも等しくされている反面で、内シールリング90が密着する雌ハウジング10側のシール面70が、軸線と平行な真直面に形成されている一方、外シールリング91が密着する雄ハウジング30のフード部32側のシール面71Aは、前方すなわち外シールリング91が離脱する方向に対して先広がりとなった傾斜面として形成されている。これにより同様に、雌ハウジング10に引き抜き力が作用した場合に、内シールリング90よりも外シールリング91の方が、対向するシール面70,71Aとの間の摩擦力が小さくされる。
なお図示はしないが、内外のシールリングについてリップの条数も高さも等しくし、また対応するシール面もともに軸線と平行な真直面とした条件のもとで、内シールリングより外シールリングの方を低硬度の素材で形成してもよい。同様に、内シールリングよりも外シールリング側の方が、摩擦力が小さくされる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、ムービングプレートが初期位置まで引き戻されたら、ムービングプレートを残して、雌ハウジングのみを引き抜けるようにしたが、ムービングプレートは雌ハウジングと一緒に外部に引き抜かられるものであってもよく、そのようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(2)シールリングをムービングプレートに設ける手段としては、上記実施形態に例示した二色成形に限らず、インサート成形で一体的に形成したり、別体として形成したものを溶着や嵌め込み等で後組みするようにしてもよい。
(4)またハイブリッド形式ではなく、1種類の端子金具を収容したコネクタにも同様に適用することができる。
16L,16S…雌端子
30…雄ハウジング
32…フード部
34L,34S…タブ
36L,36S…雄端子
43…第1係合孔(規制部)
50…ムービングプレート
52…周壁
54…保持孔
59…弾性係合片(規制部)
60…係合突起
70,71,71A…シール面
73…内シールリング(内シール部材)
74…外シールリング(外シール部材)
77…リップ
80…内シールリング(内シール部材)
81…外シールリング(外シール部材)
82A,82B…リップ
90…内シールリング(内シール部材)
91…外シールリング(外シール部材)
Claims (6)
- フード部を有し雄端子がそのタブを前記フード部内に突出させた状態で収容された雄ハウジングと、前記フード部内に嵌合可能で雌端子が収容された雌ハウジングと、前記雄端子のタブが貫通される保持孔が開口され前記フード部内に前記両ハウジングの嵌合方向に沿って移動可能に挿入されたムービングプレートとを具備したコネクタにおいて、
前記ムービングプレートは、前記雄端子のタブの先端が前記保持孔に臨んだ初期位置から前記フード部の奥側に押し込まれるようになっており、前記ムービングプレートの裏面における縁部に後側突壁を設け、この後側突壁に対応するフード部の奥面に挿入溝を設け、このフード部の奥面の中央部に撓み変形可能な係止片を設け、前記ムービングプレートには前記係止片と係止可能な被係止爪と前記係止片を挿通可能な挿通孔とが形成され、前記係止片が前記挿通孔に挿通されて前記被係止爪に係止することで前記ムービングプレートが前記初期位置から押し込まれることが規制されており、前記雌ハウジングが前記ムービングプレートに嵌合されると前記被係止爪と前記係止片との係止が解除されるようになっており、
前記ムービングプレートにおける前記雌ハウジングの外周面との対向面には内シール部材が、前記雄ハウジングのフード部の内周面との対向面には外シール部材がそれぞれ設けられ、かつ前記内シール部材と前記雌ハウジングの外周面との間の摩擦力よりも、前記外シール部材と前記フード部の内周面との間の摩擦力の方が小さく設定されていることを特徴とするコネクタ。 - 前記雄ハウジングと前記ムービングプレートとの間には、このムービングプレートが前記初期位置に引き戻された場合にそれ以上の戻し方向への移動を規制する規制部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
- 前記内シール部材のリップの条数よりも前記外シール部材のリップの条数の方が少ない設定とされることにより、前記内シール部材よりも前記外シール部材の方が、全リップの外周部の潰し量が少ない設定とされていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコネクタ。
- 前記内シール部材よりも前記外シール部材の方が、硬度が低く設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコネクタ。
- 前記内シール部材が密着する前記雌ハウジング側のシール面と比べて、前記外シール部材が密着する前記雄ハウジングのフード部側のシール面の方が、前方すなわち前記外シール部材が離脱する方向に対して先広がりとなった傾斜面として形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコネクタ。
- 前記シール部材は、多色成形により前記ムービングプレートと一体形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5記載のコネクタ。
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