JP4487494B2 - 球帯状シール体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車排気管の球面管継手に使用される球帯状シール体に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開昭54−76759号公報
【特許文献2】
特開昭58−24620号公報
【0003】
従来の自動車用排気管の球面管継手に使用される球帯状シール体は、耐熱性を有し、相手材とのなじみ性に優れ、また衝撃強度も著しく改善されているという反面、乾燥摩擦条件下の摩擦においては往々にして異常摩擦音を発生するという欠点がある(特許文献1所載)。このシール体の欠点は、該シール体を形成する耐熱材料(膨張黒鉛など)の静止摩擦係数と動摩擦係数との差が大きいこと及びこの耐熱材料から成るシール体がすべり速度に対して負性抵抗を示すこと等に起因するものと考えられる。
【0004】
そこで、本出願人は上述した欠点を解消するべく、相手材との摺動において、異常摩擦音を発生させることなくシール性に優れた、シール体に要求される性能を満足させたシール体を提案した(特許文献2所載)。この特許文献2に開示されたシール体は、膨張黒鉛、雲母、石綿の1種又は2種以上を混合した耐熱材を、金属細線を織ったり、編んだりして得られる金網からなる補強材と一緒に造形して得られるシール体であって、該シール体の表面には四ふっ化エチレン樹脂又は四ふっ化エチレンと六ふっ化プロピレンとの共重合体からなる潤滑組成物が被着形成されたものである。このシール体は表面に被着形成された潤滑組成物が、摩擦係数の低減、母材を形成する耐熱材の相手材表面への移着防止、静止摩擦係数と動摩擦係数との差の縮小などの作用効果を発揮するほか、四ふっ化エチレン樹脂はすべり速度に対する摩擦抵抗が負性抵抗を示さないので、上述した効果と相俟って「付着−すべり」に基づく自励振動の発生を抑え、異常音の発生防止に貢献するという効果を有するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特許文献2に開示されたシール体は、性能面で前記特許文献1に開示されたシール体の欠点を解消するものであったが、特許文献2に開示されたシール体の適用可能な雰囲気温度は表面に被着形成された潤滑組成物の耐熱性に委ねられ、自ずから300℃以下の雰囲気温度での使用に制限されるという問題がある。すなわち、自動車排気管の球面管継手に組込まれて300℃を超える雰囲気温度で使用された場合、排気管を流動する排気ガスの熱の作用により、シール体の表面に被着形成された潤滑組成物が溶融してシール体の表面から取除かれ、耐熱材と相手材との直接的な接触により摩擦トルクが上昇し、往々にして異常摩擦音を発生させるという問題である。
【0006】
本発明は前記諸点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、500℃を超える雰囲気温度においても適用可能なシール体であって、保持性に優れかつ耐久性に優れた外面とし得、その結果、初期はいうに及ばず長期の使用においても摺動特性の低下がなく、異常摩擦音の発生のない球帯状シール体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様の球帯状シール体は、部分凸球面状面と部分凸球面状面の大径側及び小径側の環状の端面と大径側の環状の端面から小径側の環状の端面まで伸びた貫通孔を規定する円筒内面とにより規定された球帯状基体と、この球帯状基体の部分凸球面状面に一体的に形成された外層とを備えており、一対の排気管の管端部を相互に接続する排気管継手に用いられる球帯状シール体であって、球帯状基体は、圧縮された金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されて圧縮された膨張黒鉛及び五酸化燐を含む耐熱材とを有しており、外層は、窒化ホウ素とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方と四ふっ化エチレン樹脂とを含む潤滑組成物と、この潤滑組成物に混在一体化された金網からなる補強材とを有しており、外層において外部に露出した部分凸球面状の外面は、潤滑組成物と補強材とが混在一体化された平滑な潤滑すべり面となっており、円筒内面は、球帯状基体の金網からなる補強材が外部に露出した面からなっていることを特徴とする。
【0008】
第一の態様の球帯状シール体によれば、円筒内面と部分凸球面状面と部分凸球面状面の大径側及び小径側の環状の端面とにより規定された球帯状基体は、圧縮された金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されて圧縮された膨張黒鉛及び五酸化燐を含む耐熱材とを具備しているため、耐熱材の主体をなす膨張黒鉛の酸化消耗は、五酸化燐の酸化抑制作用により500℃を超える高温においても低減され、結果として球帯状シール体の耐熱性が向上する。
【0009】
また、外層は、窒化ホウ素とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方と四ふっ化エチレン樹脂とを含んでいる潤滑組成物と、この潤滑組成物に混在一体化された金網からなる補強材とを有しており、外層の露出した部分凸球面状の外面は、潤滑組成物と補強材とが混在一体化された平滑な潤滑すべり面が露出した平滑な面に形成されているので、潤滑組成物と混在一体化された補強材が部分凸球面状の外面と相手材との連続した直接的な接触を防ぎ、相手材との摩擦において低い摩擦トルクにより、上、下流側排気管の相対角変位を許容することができる。
【0010】
潤滑すべり面を形成する外層では、潤滑組成物の成分中の窒化ホウ素とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方とが低摩擦性を発揮する四ふっ化エチレン樹脂の溶融軟化点を見掛け上高めることと、アルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方が球帯状基体の部分凸球面状面への外層の保持力を高めていることとにより、雰囲気温度の上昇に起因する部分凸球面状の外面の潤滑すべり面の溶融軟化が極力抑えられ、部分凸球面状面からの潤滑すべり面の脱落を生じさせることはない。
【0011】
更に、部分凸球面状の外面は潤滑組成物と金網からなる補強材とが混在一体となった平滑な潤滑すべり面であるが故に、換言すれば、金網からなる補強材が部分凸球面状の外面の一部を形成しているために、相手材の表面に潤滑組成物が過度に付着しても、これを部分凸球面状の外面の揺動とともに適度な薄い潤滑被膜を残して適度に掻き取る作用を発揮する結果、相手材表面に付着した潤滑組成物が相手材表面と部分凸球面状の外面との間の摺動面に堆積することを防ぐことができ、堆積した潤滑組成物の炭化等に起因する摺動性の劣化を防ぐことができる。
【0012】
また、円筒内面は、球帯状基体の金網からなる補強材の露出面からなっているので、球帯状シール体を排気管の外面に嵌合固定する際、円筒内面と排気管の外面との間の摩擦が高められ、結果として球帯状シール体が排気管の外面に強固に固定されることになる。したがって、排気管の外面に嵌合固定された球帯状シール体が排気管回りに回転することがなく、球帯状シール体の球帯状基体の大径側の環状端面と該環状端面が当接する排気管の外周面に形成されたフランジとの間での摺動に起因する摩擦異常音の発生はない。
【0013】
また本発明の第一の態様の球帯状シール体では、前記貫通孔を規定する円筒内面は、球帯状基体の小径側の端部から大径側の端部に向かう方向において所定の幅を有した円筒面と、該円筒面の端部から球帯状基体の大径側の端部に向かうに連れて漸次拡径すると共に該円筒面の端部から球帯状基体の大径側の端部に向かう方向において所定の幅を有した截頭円錐面と、該截頭円錐面の大径側の端部から球帯状基体の大径側の端部に向かう方向において所定の幅を有していると共に一方の排気管の管端部の外径に相当する径をもった拡径円筒面とを有しており、円筒内面は、その両端部の間で同じ径をもって形成されており、截頭円錐面は、その小径側の端部で該円筒面の端部に連接している一方、その大径側の端部で拡径円筒面の端部に連接しており、拡径円筒面は、その両端部の間で同じ径をもって形成されている。
【0014】
斯かる球帯状シール体によれば、円筒内面は、所定の幅の円筒面と所定の幅の截頭円錐面と所定の幅の拡径円筒面とを有しており、拡径円筒面の径が排気管の外径に相当するものであることから、排気管によって所定の幅の截頭円錐面と所定の幅の円筒面とにおいて球帯状基体が強圧、圧縮されるので、該円筒内面と排気管の外面との間により強固な固定が生じ、結果として球帯状シール体は排気管の外面により強固に固定される。したがって、球帯状シール体の排気管回りの回転は確実に防止され、球帯状シール体の球帯状基体の大径側の環状端面と該環状端面が当接する排気管の外周面に形成されたフランジとの間での摺動に起因する摩擦異常音の発生はない。
【0015】
本発明の第二の態様の球帯状シール体では、第一の態様の球帯状シール体において、両環状の端面のうちの少なくとも一方の端面には、球帯状基体の膨張黒鉛及び五酸化燐を含む耐熱材が外部に露出している。
【0016】
第二の態様の球帯状シール体によれば、五酸化燐の酸化抑制作用により、環状の端面の耐熱材の主体をなす膨張黒鉛の酸化消耗が低減され、結果として当該環状の端面の耐熱性が向上される。
【0017】
本発明の第三の態様の球帯状シール体は、第一又は第二の態様の球帯状シール体において、耐熱材は、膨張黒鉛95.0〜99.9重量%及び五酸化燐0.1〜5.0重量%を含んでいる。
【0018】
第三の態様の球帯状シール体によれば、耐熱材は、主体をなす膨張黒鉛に対する酸化抑制作用を好ましく発揮するに必要な五酸化燐を0.1〜5.0重量%の割合で含有しているので、膨張黒鉛の酸化消耗が好ましく低減され、膨張黒鉛の酸化消耗に起因する球帯状シール体の重量減少が好ましく低減される。
【0019】
五酸化燐の含有量が0.1重量%未満では膨張黒鉛に対する酸化抑制作用の効果が好ましく発揮されず、また5.0重量%を超えて含有しても酸化抑制作用のそれ以上の効果が好ましく発揮されない上に、耐熱材としての膨張黒鉛シートの可撓性を損う虞があり、シール体の製造工程における曲げ工程等において往々にして膨張黒鉛シートの折損等を生じる。
【0020】
本発明の第四の態様の球帯状シール体は、第一から第三のいずれかの態様の球帯状シール体において、潤滑組成物は、窒化ホウ素を50〜70重量%とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方を5〜15重量%と四ふっ化エチレン樹脂を20〜40重量%とを含んでいる。
【0021】
第四の態様の球帯状シール体によれば、窒化ホウ素を50〜70重量%とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方を5〜15重量%と四ふっ化エチレン樹脂を20〜40重量%とを含んでいる潤滑組成物の外層と、この外層に混在一体化された金網からなる補強材とが露出した平滑な面に形成されており、とくに相手材との初期の摺動においては四ふっ化エチレン樹脂の低摩擦性により円滑な摺動が行われ、摺動初期に往々にして生じる摺動摩擦異音の発生は防止される。また、300℃を超える高温域では窒化ホウ素の低摩擦性により円滑な摺動が行われ、結果として、常温から500℃を超える広範囲にわたり相手材との摩擦において低い摩擦トルクを発揮して上、下流側排気管の相対角変位を低摩擦抵抗をもって許容する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
本発明の球帯状シール体における構成材料及び球帯状シール体の製造方法について説明する。
【0024】
<耐熱材について>
濃度98%の濃硫酸を撹拌しながら、酸化剤として過酸化水素の60%水溶液を加え、これを反応液とする。この反応液を冷却して10℃の温度に保持し、粒度30〜80メッシュの鱗片状天然黒鉛粉末を反応液に添加し、30分間反応を行う。反応後、吸引濾過して酸処理黒鉛を分離し、酸処理黒鉛を水で10分間撹拌して吸引濾過するという洗浄作業を2回繰り返し、酸処理黒鉛から硫酸分を十分除去する。ついで、硫酸分を十分除去した酸処理黒鉛を110℃の温度に保持した乾燥炉で3時間乾燥し、これを酸処理黒鉛原料とする。
【0025】
酸処理黒鉛原料を攪拌しながら、該酸処理黒鉛原料に所定量の燐酸水溶液を配合し、均一に攪拌して混合物を得る。この混合物を、900〜1200℃の温度で5秒間加熱(膨張)処理を施して、分解ガスを発生せしめ、そのガス圧により黒鉛層間を拡張して膨張倍率200〜300倍程度の膨張黒鉛粒子を形成する。この膨張黒鉛粒子を双ローラー装置にてロール成形し、所望の厚さの膨張黒鉛シートを作製し、これを耐熱材とする。
【0026】
上記耐熱材の製造方法において、酸処理黒鉛原料に配合される燐酸としては、オルト燐酸(HPO)、メタ燐酸(HPO)、ポリ燐酸、具体的にはピロ燐酸(H)、トリポリ燐酸(H10)等の鎖状縮合燐酸、ポリメタ燐酸、具体的にはトリメタ燐酸、テトラメタ燐酸等の環状縮合燐酸から選択され、通常水溶液の形態で使用される。これら燐酸の950〜1200℃の温度での加熱(膨張)処理過程での脱水反応により膨張黒鉛粒子中に五酸化燐(P)が生成される。
【0027】
このようにして作製した耐熱材は、五酸化燐(P)0.1〜5.0重量%及び膨張黒鉛95.0〜99.9重量%を含む可撓性を有するシート材である。
【0028】
耐熱材中に分散含有された五酸化燐は、膨張黒鉛の500℃を超える高温領域における酸化消耗を抑制する作用を発揮するものであり、五酸化燐の含有量は0.1〜5.0重量%、好ましくは0.5〜2.0重量%である。五酸化燐の含有量の多寡はシート材とした場合の可撓性に影響を及ぼすものであり、その含有量が5.0重量%を超えるとシート材が硬く、脆くなる傾向を示す。したがって、後述する球帯状シール体の製造方法におけるシート材の曲げ加工等の加工性を阻害することになる。
【0029】
<補強材について>
補強材は、鉄系としてオーステナイト系のSUS304、SUS316、フェライト系のSUS430などのステンレス鋼線又は鉄線(JIS−G−3532)もしくは亜鉛メッキ鉄線(JIS−G−3547)、また銅系として銅−ニッケル合金(白銅)、銅−ニッケル−亜鉛合金(洋白)、黄銅、ベリリウム銅からなると共に、線径が0.10〜0.32mm程度の細線材を1本又は2本以上使用して織ったり、編んだりして形成された網目が3〜6mm程度の金網を好適なものとして使用できる。
【0030】
補強材としては、上述した金網の他に、ステンレス鋼薄板又は燐青銅薄板に切込みを入れると同時に切込みを拡開して規則正しい網目列が形成された、所謂エキスパンドメタルを使用することもできる。ステンレス鋼薄板又は燐青銅薄板の厚さが0.3〜0.5mm程度のもの、エキスパンドメタルは、その網目が3〜6mm程度のものが好適である。
【0031】
<潤滑組成物について>
窒化ホウ素を50〜70重量%とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方を5〜15重量%と四ふっ化エチレン樹脂を20〜40重量%とを含む潤滑組成物であり、この潤滑組成物は、固形分として20〜50重量%分散含有した水性ディスパージョンの形態で使用される。
【0032】
上記潤滑組成物の水性ディスパージョンは、後述する製造方法において、耐熱シート材の表面に、刷毛塗り、ローラ塗り、スプレー等の手段によって適用され、耐熱シート材の表面を被覆して、耐熱シート材の表面に潤滑すべり層を形成するように用いられる。形成された潤滑すべり層は、最終の圧縮工程において均一かつ微小厚さ(10〜300μm)に展延されて球帯状シール体の外層を形成する。
【0033】
上記潤滑組成物中の窒化ホウ素は、とくに高温において優れた潤滑性を発揮するものであるが、窒化ホウ素単独では耐熱シートの表面への被着性、ひいては最終の圧縮工程における球帯状基体の部分凸球面状面への外層の被着性が劣り、部分凸球面状面から容易に剥離してしまうという欠点がある。この窒化ホウ素に対し一定量の割合でアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方を配合することにより、窒化ホウ素の欠点を解消し、耐熱シートの表面への被着性、ひいては最終の圧縮工程における球帯状基体の部分凸球面状面への外層の被着性を大幅に改善し、球帯状基体の部分凸球面状面での潤滑組成物からなる外層の保持性を高めることができ、結果として窒化ホウ素の高温領域での低摩擦性を充分発揮させるものである。窒化ホウ素の配合割合は、50〜70重量%が適当である。そして、上記窒化ホウ素に対するアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方の配合割合は、窒化ホウ素の具有する潤滑性を損うことなく、かつ被着性を改善するという観点から決定され、5〜15重量%の範囲が好ましい。
【0034】
四ふっ化エチレン樹脂は、それ自身低摩擦性を有するもので、窒化ホウ素とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方とに配合されることにより、とくに比較的低い温度領域、例えば室温から300℃での低摩擦性を向上させる作用と、圧縮成形時の潤滑組成物の展延性を高める作用をなす。そして、四ふっ化エチレン樹脂の配合割合は20〜40重量%の範囲が好適である。四ふっ化エチレン樹脂の配合割合の多寡は、潤滑組成物の低摩擦性、耐熱性及び溶融流動性に影響を及ぼすものであり、配合量が20重量%未満では潤滑組成物の低摩擦性及び潤滑組成物の展延性の向上に寄与せず、また40重量%を超えて配合すると潤滑組成物中に占める割合が多くなり、とくに300℃を超える高温領域において溶融軟化し、潤滑組成物の溶融流動性を惹起させる虞がある。
【0035】
次に、上述した構成材料からなる球帯状シール体の製造方法について図面に基づき説明する。
【0036】
<第一の製造方法>
(第一工程) 補強材として、図5に示すように、金属細線を円筒状に編んで形成された筒状金網1をローラ2及び3間に通して所定の幅Dの帯状金網4を作製し、帯状金網4を所定の長さLに切断した補強シート材5又は金属細線を織ったり、編んだりすることによって直接形成される帯状金網4を所定の幅Dと長さLとに切断した補強シート材5を準備する。
【0037】
(第二工程) 耐熱材として、図6に示すように、補強シート材5の幅Dに対して1.1×Dから2.1×Dの幅dを有すると共に、補強シート材5の長さLに対して1.30×Lから2.70×Lの長さlを有するように切断された五酸化燐0.1〜5.0重量%及び膨張黒鉛95.0〜99.9重量%を含む耐熱シート材7を準備する。
【0038】
(第三工程) 後述する球帯状シール体30(図1参照)において部分凸球面状面29の軸方向の少なくとも一方の端縁側の環状の端面である大径側の端面31に全体的に耐熱材が露出するようにするべく、図7に示すように、部分凸球面状面29の大径側の端面31となる補強シート材5の幅方向の少なくとも一方の端縁8から最大で0.1×Dから1.1×Dだけ耐熱シート材7が幅方向にはみ出すと共に、端縁8からの耐熱シート材7の幅方向のはみ出し量δ1が部分凸球面状面29の小径側の端面32となる補強シート材5の幅方向の他方の端縁9からのはみ出し量δ2よりも多くなるようにすると共に、補強シート材5の長さ方向の一方の端縁10から最大で0.30×Lから1.70×Lだけ耐熱シート材7が長さ方向にはみ出すと共に、補強シート材5の長さ方向の他方の端縁11と当該端縁11に対応する耐熱シート材7の長さ方向の端縁12とを実質的に一致させて、補強シート材5と耐熱シート材7との幅方向及び長さ方向を合致させて当該補強シート材5と耐熱シート材7とを互いに重ね合わせた重合体13を得る。
【0039】
(第四工程) 重合体13を図8に示すように補強シート材5を内側にしてうず巻き状であって耐熱シート材7が少なくとも1回多くなるように捲回して、内周側に補強シート材5が露出し、外周側に耐熱シート材7が露出した筒状母材14を形成する。耐熱シート材7としては、筒状母材14における耐熱シート材7の巻き回数が補強シート材5の巻き回数よりも多くなるように、補強シート材5の長さLに対して1.30×Lから2.70×Lの長さlを有したものが予め準備される。筒状母材14においては、図9に示すように、耐熱シート材7は、幅方向の一方の端縁側において補強シート材5の一方の端縁8から幅方向にδ1だけはみ出しおり、また耐熱シート材7の幅方向の他方の端縁側において補強シート材5の他方の端縁9から幅方向にδ2だけはみ出している。
【0040】
(第五工程) 前記耐熱シート材7と同様であるが、当該耐熱シート材7の幅dよりも小さく、幅Dと同じか又は幅Dよりも少し大きい幅dを有すると共に筒状母材14を1回巻きできる程度の長さlを有した図10に示すような耐熱シート材7を別途用意し、耐熱シート材7の一方の表面に、窒化ホウ素50〜60重量%とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方5〜15重量%と四ふっ化エチレン樹脂30〜40重量%とを含有する潤滑組成物を固形分として20〜50重量%分散含有した水性ディスパージョンを刷毛塗り、ローラ塗り、スプレー等の手段で被覆し、これを乾燥させて図11に示すような潤滑組成物からなる潤滑すべり層15を形成する。
【0041】
(第六工程) 第一工程で説明した帯状金網4からなり、かつ潤滑すべり層15を備えた耐熱シート材7の幅dに対して1.05×dから1.09×dの幅を有するとともに該耐熱シート材7の長さlとほぼ同じ長さの補強シート材5を別に準備し、図12に示すように、帯状金網4内に、潤滑すべり層15を備えた耐熱シート材7を挿入すると共に、これらを図13に示すように、ローラ16及び17間に通して一体化させ、耐熱シート材7と耐熱シート材7の一方の表面に被着形成された潤滑組成物からなる潤滑すべり層15と潤滑すべり層15及び耐熱シート材7に配された金網からなる補強シート材5とからなる外層形成部材18を形成する。
【0042】
(第七工程) このようにして得た外層形成部材18を、潤滑すべり層15を外側にして筒状母材14の外周面に捲回し、図14に示すような予備円筒成形体19を作製する。
【0043】
(第八工程) 内面に円筒壁面20と円筒壁面20に連なる部分凹球面壁面21と部分凹球面壁面21に連なる貫通孔22とを備え、貫通孔22に段付きコア23を嵌挿することによって内部に中空円筒部24と中空円筒部24に連なる球帯状中空部25とが形成された図15に示すような金型26を準備し、金型26の段付きコア23に予備円筒成形体19を挿入する。
【0044】
金型26の中空円筒部24及び球帯状中空部25に位置せしめられた予備円筒成形体19をパンチPによりコア軸方向に1〜3トン/cmの圧力で圧縮成形し、図1及び図2に示すような、中央部に貫通孔27を有すると共に、円筒内面28と部分凸球面状面29と部分凸球面状面29の大径側及び小径側の環状の端面31及び32とにより規定された球帯状基体33と、球帯状基体33の部分凸球面状面29に一体的に形成された外層34とを備えた球帯状シール体30を作製する。
【0045】
この圧縮成形により、球帯状基体33は、耐熱シート材7と金網からなる補強シート材5とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されて、圧縮された金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されて圧縮された五酸化燐及び膨張黒鉛を含む耐熱材とを有しており、外層34は、潤滑すべり層15と潤滑すべり層15に一体化された金網からなる補強シート5とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されて、窒化ホウ素を50〜70重量%とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方を5〜15重量%と四ふっ化エチレン樹脂を20〜40重量%とを有してなる潤滑組成物と、この潤滑組成物に混在一体化された金網からなる補強材とを有しており、外層34において外部に露出した部分凸球面状の外面35は、前記の潤滑組成物と補強材とが混在一体化された平滑な潤滑すべり層となり、貫通孔27を規定する円筒内面28は、球帯状基体33の圧縮された金網からなる補強材が外部に露出した面となり、環状の端面31及び32には、耐熱シート材7において補強シート材5から幅方向にはみ出した部分が曲折されかつ展延されて得られた、耐熱シート材7の素材であって圧縮された膨張黒鉛及び五酸化燐を含む耐熱材が外部に露出している。
【0046】
<第二の製造方法>
前記第一工程から第七工程まで同じ。
【0047】
(第八工程) 一方の端部に底部23aを有し、他方の端部に開口部23bを有する有底円筒状であって、該開口部23b側の外周面に端部から漸次拡径する截頭円錐面部23cを備えたキャップ23dを、一方の端部に着脱自在に被冠した段付きコア23を準備する。内面に円筒壁面20と円筒壁面20に連なる部分凹球面壁面21と部分凹球面壁面21に連なる貫通孔22とを備え、該貫通孔22に前記段付きコア23を嵌挿することによって内部に中空円筒部24と中空円筒部24に連なる略球帯状中空部25aとが形成された図16に示すような金型26aを準備し、金型26aの段付きコア23のキャップ23dの外周面に図17に示すように予備円筒成形体19を挿入する。
【0048】
金型26aの中空円筒部24及び略球帯状中空部25aに位置せしめられた予備円筒成形体19をパンチPによりコア軸方向に1〜3トン/cmの圧力で圧縮成形し、図3及び図4に示すような、中央部に貫通孔27を有すると共に、円筒内面28a、該円筒内面28aに連なる截頭円錐面28b及び該截頭円錐面28bに連なる拡径円筒内面28cを備えた円筒内面28と部分凸球面状面29と部分凸球面状面29の大径側及び小径側の環状の端面31及び32とにより規定された球帯状基体33と、球帯状基体33の部分凸球面状面29に一体的に形成された外層34とを備えた球帯状シール体30aを作製する。
【0049】
この圧縮成形により、球帯状基体33は、耐熱シート材7と金網からなる補強シート材5とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されて、圧縮された金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されて圧縮された五酸化燐及び膨張黒鉛からなる耐熱材とを有しており、外層34は、潤滑すべり層15と潤滑すべり層15に一体化された金網からなる補強シート5とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されて、窒化ホウ素を50〜70重量%とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方を5〜15重量%と四ふっ化エチレン樹脂を20〜40重量%とを有してなる潤滑組成物と、この潤滑組成物に混在一体化された金網からなる補強材とを有しており、外層34において外部に露出した部分凸球面状の外面35は、前記の潤滑組成物と補強材とが混在一体化された平滑な潤滑すべり層となり、貫通孔27を規定する円筒内面28は、球帯状基体33の小径側の端部32から大径側の端部31に向かう方向において所定の幅を有した円筒内面28aと、該円筒内面28aの端部から球帯状基体33の大径側の端部31に向かうに連れて漸次拡径すると共に当該円筒内面28aの端部から大径側の端部31に向かう方向において所定の幅を有した截頭円錐面28bと、該截頭円錐面28bの端部から大径側の端部31に向かう方向において所定の幅を有した拡径円筒内面28cとを具備すると共に球帯状基体33の圧縮された金網からなる補強材が外部に露出した面となり、円筒内面28aは、その両端部の間で同じ径をもって形成されており、截頭円錐面28bは、その小径側の端部で該円筒面28aの端部に連接している一方、その大径側の端部で拡径円筒面28cの端部に連接しており、拡径円筒面28cは、その両端部の間で同じ径をもって形成されており、環状の端面31及び32には、耐熱シート材7において補強シート材5から幅方向にはみ出した部分が曲折されかつ展延されて得られた、耐熱シート材7の素材であって圧縮された膨張黒鉛及び五酸化燐を含む耐熱材が外部に露出している。
【0050】
球帯状シール体30又は30aは、例えば図18に示す排気管球面継手に組込まれて使用される。すなわち、エンジン側に連結された上流側排気管100の外周面には、管端部101を残してフランジ200が立設、固着されており、管端部101には、球帯状シール体30又は30aが貫通孔27を規定する円筒内面28において嵌合されており、大径側端面31において球帯状シール体30又は30aがフランジ200に当接されて着座せしめられている。上流側排気管100と相対峙してマフラー側に連結され、端部に凹球面部302と凹球面部302の開口部周縁にフランジ部303とを備えた径拡大部301が一体に形成された下流側排気管300が凹球面部302を球帯状シール体30又は30aの部分凸球面状の外面35に摺接させて配置されている。球帯状シール体30aの場合には、円筒内面28の拡径円筒面28cの径が上流側排気管100の管端部101の外径に相当するようになっているために、上流側排気管の管端部101によって所定の幅の截頭円錐面28bと所定の幅の円筒面28aとにおいて球帯状基体33が強圧、圧縮される。
【0051】
図18に示す排気管球面継手において、一端がフランジ200に固定され、他端が径拡大部301のフランジ部303を挿通して配された一対のボルト400とボルト400の膨大頭部及びフランジ部303の間に配された一対のコイルバネ500とにより、下流側排気管300には、常時、上流側排気管100方向にバネ力が付勢されている。そして、排気管球面継手は、上、下流側排気管100、300に生じる相対角変位に対しては、球帯状シール体30又は30aの部分凸球面状の外面35と下流側排気管300の端部に形成された径拡大部301の凹球面部302との摺接でこれを許容するように構成されている。
【0052】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何等限定されないのである。
【0053】
<耐熱シート材の作製>
濃度98%の濃硫酸300重量部を撹拌しながら、酸化剤として過酸化水素の60%水溶液5重量部を加え、これを反応液とした。この反応液を冷却して10℃の温度に保持するとともにこの反応液に粒度30〜80メッシュの鱗片状天然黒鉛粉末100重量部を添加し、30分間反応を行った。反応後、吸引濾過して酸処理黒鉛を分離し、酸処理黒鉛を300重量部の水で10分間撹拌して吸引濾過するという洗浄作業を2回繰り返し、酸処理黒鉛から硫酸分を十分除去した。ついで、硫酸分を十分除去した酸処理黒鉛を110℃の温度に保持した乾燥炉で3時間乾燥し、これを酸処理黒鉛原料とした。
【0054】
この酸処理黒鉛原料100重量部を攪拌しながら、該酸処理黒鉛原料に燐酸として濃度84%のオルト燐酸水溶液を▲1▼0.82重量部、▲2▼1.66重量部、▲3▼3.35重量部それぞれ配合し、均一に攪拌して湿潤性を有する3種類の混合物を得た。これら湿潤性を有する混合物をそれぞれ120℃の温度に保持した乾燥炉で2時間乾燥しそれぞれの混合物を得た。これらの混合物をそれぞれ1000℃の温度で5秒間処理して分解ガスを発生せしめ、そのガス圧により黒鉛層間を拡張して膨張倍率240倍の膨張黒鉛粒子を得た。この膨張処理工程において、成分中のオルト燐酸は脱水反応を生じて五酸化燐を生成し、膨張黒鉛粒子中に含有される。この膨張黒鉛粒子を双ロールの圧延装置にてロール成形し、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シートを作製し、これを耐熱シート材7とした。この3種類の耐熱シート材は、▲1▼五酸化燐0.5重量%及び膨張黒鉛99.5重量%、▲2▼五酸化燐1.0重量%及び膨張黒鉛99.0重量%、▲3▼五酸化燐2.0重量%及び膨張黒鉛98.0重量%を含んでいる。
【0055】
<補強シート材の作製>
金属細線として、線径0.28mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を2本使用して網目4.0mmの筒状金網1を作製し、これをローラ2及び3間に通して帯状金網4とし、これを補強シート材5とした。
【0056】
実施例1〜4
幅52mm、長さ795mmに切断した五酸化燐0.5重量%及び膨張黒鉛99.5重量%とを含む耐熱シート材7と、幅38mm、長さ395mmに作製した帯状金網4からなる補強シート材5とを準備し、補強シート材5の幅方向の両端縁8、9から耐熱シート材7が幅方向にはみ出すと共に、補強シート材5の長さ方向の一方の端縁10から耐熱シート材7が長さ方向にはみ出すと共に、補強シート材5の長さ方向の他方の端縁11と当該端縁11に対応する耐熱シート材7の長さ方向の端縁12とを実質的に一致させて、当該補強シート材5と耐熱シート材7とを互いに重ね合わせた重合体13を得た。
【0057】
重合体13を補強シート材5を内側にしてうず巻き状であって耐熱シート材7が1回多くなるように捲回して、内周側に補強シート材5が露出し、外周側に耐熱シート材7が露出した筒状母材14を作製した。この筒状母材14においては、耐熱シート材7の両端部はそれぞれ補強シート材5の幅方向にはみ出している(図9参照)。
【0058】
上記の耐熱シート材7と同様であって幅48mm、長さ225mmに切断した耐熱シート材7を別途準備し、この耐熱シート材7の一方の表面に、平均粒径7μmの窒化ホウ素を80重量%と平均粒径0.6μmのアルミナ粉末を20重量%とを100重量部とし、これに平均粒径0.3μmの四ふっ化エチレン樹脂を45〜60重量部含有した潤滑組成物(窒化ホウ素50.0〜55.2重量%、アルミナ12.5〜13.8、四ふっ化エチレン樹脂31.0〜37.5重量%)を固形分として30重量%分散含有した水性ディスパージョン(窒化ホウ素15.4〜16.6重量%、アルミナ3.9〜4.1重量%、四ふっ化エチレン樹脂9.3〜10.7重量%及び水分70重量%)をローラ塗りし、乾燥するという被覆操作を3回繰り返して潤滑組成物の潤滑すべり層15を形成した。
【0059】
金属細線として線径0.28mmのオーステナイト系ステンレス鋼線を1本使用して網目4.0mmの筒状金網1を作製したのち、これをローラ2及び3間に通して作製した幅52mm、長さ225mmの帯状金網4を別途準備し、帯状金網4内に前記潤滑すべり層15を備えた耐熱シート材7を挿入すると共にこれらをローラ16及び17間に通して一体化させ、一方の面に潤滑すべり層15と金網とが混在した外層形成部材18を作製した。
【0060】
筒状母材14の外周面に、外層形成部材18を潤滑すべり層15と金網とが混在した面を外側にして巻き付けて予備円筒成形体19を作製した。内面に円筒壁面20と円筒壁面20に連なる部分凹球面壁面21と部分凹球面壁面21に連なる貫通孔22とを備え、貫通孔22に段付きコア23を嵌挿することによって内部に中空円筒部24と中空円筒部24に連なる略球帯状中空部25とが形成された金型26を準備し、金型26の段付きコア23の外周面に予備円筒成形体19を挿入し、該予備円筒成形体19を金型26の中空部に位置させた。
【0061】
金型26の中空部に位置させた予備円筒成形体19をパンチPによりコア軸方向に3トン/cmの圧力で圧縮成形し、中央部に貫通孔27を有すると共に、円筒内面28と部分凸球面状面29と部分凸球面状面29の大径側及び小径側の環状の端面31及び32とにより規定された球帯状基体33と、球帯状基体33の部分凸球面状面29に一体的に形成された外層34とを備えた球帯状シール体30を作製した。
【0062】
この圧縮成形により、球帯状基体33は、耐熱シート材7と金網からなる補強シート材5とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されて、圧縮された金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されて圧縮された五酸化燐及び膨張黒鉛を含む耐熱材とを有しており、外層34は、潤滑すべり層15と潤滑すべり層15に一体化された金網からなる補強シート材5とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されて、窒化ホウ素51.6〜55.2重量%とアルミナ12.9〜13.8重量%と四ふっ化エチレン樹脂31.0〜35.8重量%とを有してなる潤滑組成物と、この潤滑組成物に混在一体化された金網からなる補強材とを有しており、外層34において外部に露出した部分凸球面状の外面35は、前記の潤滑組成物と補強材とが混在一体化された平滑な潤滑すべり面となり、貫通孔27を規定する円筒内面28は、球帯状基体33の圧縮された補強シート材5が外部に露出した面となり、環状端面31及び32には、耐熱シート材7において補強シート材5から幅方向にはみ出した部分が曲折されかつ展延されて得られた、耐熱シート材7の素材であって圧縮された膨張黒鉛及び五酸化燐を含む耐熱材が外部に露出している。
【0063】
実施例5〜8
幅52mm、長さ795mmに切断した五酸化燐1.0重量%及び膨張黒鉛99.0重量%とを含む耐熱シート材7を使用し、以下前記実施例1〜4と同様の方法で球帯状シール体30を作製した。
【0064】
実施例9〜12
幅52mm、長さ795mmに切断した五酸化燐2.0重量%及び膨張黒鉛98.0重量%とを含む耐熱シート材7を使用し、以下前記実施例と同様の方法で球帯状シール体30を作製した。
【0065】
実施例13〜16
前記実施例1〜4と同様の耐熱シート材7及び補強シート材5を使用して筒状母材14を作製した。耐熱材として前記実施例1〜4と同様の耐熱シート材7を別途用意し、該耐熱シート材7の一方の表面に、平均粒径7μmの窒化ホウ素を90重量%と平均粒径0.6μmのアルミナ粉末を10重量%とを100重量部とし、これに平均粒径0.3μmの四ふっ化エチレン樹脂を30〜60重量部含有した潤滑組成物(窒化ホウ素56.2〜69.2重量%、アルミナ6.3〜7.7、四ふっ化エチレン樹脂23.1〜37.5重量%)を固形分として30重量%分散含有した水性ディスパージョン(窒化ホウ素16.9〜20.8重量%、アルミナ1.9〜2.3重量%、四ふっ化エチレン樹脂6.9〜11.2重量%及び水分70重量%)をローラ塗りし、乾燥するという被覆操作を3回繰り返して潤滑組成物の潤滑すべり層15を形成した。以下、前記実施例1〜4と同様の方法で球帯状シール体30を作製した。
【0066】
実施例17〜20
前記実施例5〜8と同様の耐熱シート材7及び補強シート材5を使用して筒状母材14を作製した。以下、前記実施例13〜16と同様の方法で球帯状シール体30を作製した。
【0067】
実施例21〜24
前記実施例9〜12と同様の耐熱シート材7及び補強シート材5を使用して筒状母材14を作製した。以下、前記実施例13〜16と同様の方法で球帯状シール体30を作製した。
【0068】
比較例1
耐熱シート材7として、幅52mm、長さ795mmに切断した膨張黒鉛シートを、補強シート材5として、幅38mm、長さ395mmに作製した帯状金網4をそれぞれ使用し、該耐熱シート材7をうず巻き状に一周分捲回したのち、該耐熱シート材7の内側に補強シート材5を重ね合わせ、うず巻き状に捲回して最外周に耐熱シート材7を位置させた筒状母材14を作製した。この筒状母材14においては、耐熱シート材7の幅方向の両端部はそれぞれ補強シート材5の両端部から幅方向に突出している。
【0069】
耐熱シート材7と同様であって幅48mm、長さ225mmに切断した耐熱シート材7を別途準備し、この耐熱シート材7の一方の表面に、平均粒径0.3μmの四ふっ化エチレン樹脂を固形分として30重量%分散含有した水性ディスパージョン(四ふっ化エチレン樹脂30重量%、水分70重量%)をローラ塗りし、乾燥するという被覆操作を3回繰り返して四ふっ化エチレン樹脂の潤滑すべり層15を形成し、これを外層形成部材18とした。
【0070】
筒状母材14の外周面に、この外層形成部材18を潤滑すべり層15が被着形成された面を外側にして巻き付けて予備円筒成形体19を作製した。内面に円筒壁面20と円筒壁面20に連なる部分凹球面壁面21と部分凹球面壁面21に連なる貫通孔22とを備え、貫通孔22に段付きコア23を嵌挿することによって内部に中空円筒部24と中空円筒部24に連なる球帯状中空部25とが形成された金型26を準備し、金型26の段付きコア23の外周面に予備円筒成形体19を挿入し、該予備円筒成形体19を金型26の中空部に位置させた。
【0071】
金型26の中空部に位置させた予備円筒成形体19をパンチPによりコア軸方向に3トン/cmの圧力で圧縮成形し、中央部に貫通孔27を有すると共に、円筒内面28と部分凸球面状面29と部分凸球面状面29の大径側及び小径側の環状の端面31及び32とにより規定された球帯状基体33と、球帯状基体33の部分凸球面状面29に一体的に形成された外層34とを備えた球帯状シール体30を作製した。この圧縮成形により、球帯状基体33は、耐熱シート材7と金網からなる補強シート材5とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されて、圧縮された金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されて圧縮された膨張黒鉛からなる耐熱材とを有しており、外層34は、四ふっ化エチレン樹脂を有しており、外層34において外部に露出した部分凸球面状の外面35は、前記の四ふっ化エチレン樹脂の平滑な潤滑すべり面となり、貫通孔27を規定する円筒内面28には、球帯状基体33を形成する膨張黒鉛からなる耐熱材が露出する結果、当該円筒内面28は球帯状基体33の圧縮された耐熱材が露出した面となり、環状端面31及び32には、耐熱シート材7において補強シート材5から幅方向にはみ出した部分が曲折されかつ展延されて得られた、耐熱シート材7の素材であって圧縮された膨張黒鉛が外部に露出している。
【0072】
比較例2
上記比較例1と同様の筒状母材14を作製した。耐熱シート材7と同様であって幅48mm、長さ225mmに切断した耐熱シート材7を別途準備し、この耐熱シート材7の一方の表面に、平均粒径0.3μmの四ふっ化エチレン樹脂を固形分として30重量%分散含有した水性ディスパージョン(四ふっ化エチレン樹脂30重量%、水分70重量%)をローラ塗りし、乾燥するという被覆操作を3回繰り返して四ふっ化エチレン樹脂の潤滑すべり層15を形成した。前記実施例と同様の筒状金網1を作製したのち、これをローラ2及び3間に通して作製した帯状金網4を別途準備し、該帯状金網4内に、四ふっ化エチレン樹脂からなる潤滑すべり層15を備えた耐熱シート材7を挿入すると共にこれらをローラ16及び17間に通して一体化し、一方の面に四ふっ化エチレン樹脂からなる潤滑すべり層15と金網とが混在した外層形成部材18を作製した。
【0073】
該筒状母材14の外周面に、この外層形成部材18を潤滑すべり層15と金網とが混在した面を外側にして巻き付けて予備円筒成形体19を作製した。以下、比較例1と同様の方法で球帯状シール体30を作製した。この圧縮成形により、球帯状シール体30の球帯状基体33は、耐熱シート材7と金網からなる補強シート材5とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されて、圧縮された金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されて圧縮された膨張黒鉛からなる耐熱材とを有しており、外層34は、四ふっ化エチレン樹脂からなる潤滑すべり層15と潤滑すべり層15に一体化された金網からなる補強材5とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されて、四ふっ化エチレン樹脂からなる潤滑すべり層15と、この潤滑すべり層15に混在一体化された金網からなる補強材とを有しており、斯かる外層34において外部に露出した部分凸球面状の外面35は、四ふっ化エチレン樹脂と補強材とが混在一体化された平滑な潤滑すべり面となり、貫通孔27を規定する円筒内面28には、球帯状基体33を形成する圧縮された膨張黒鉛からなる耐熱材が露出する結果、当該円筒内面28は球帯状基体33の圧縮された耐熱材が露出した面となり、環状端面31及び32には、耐熱シート材7において補強シート材5から幅方向にはみ出した部分が曲折されかつ展延されて得られた、耐熱シート材7の素材であって圧縮された膨張黒鉛が外部に露出している。
【0074】
次に、上述した各実施例からなる球帯状シール体30及び各比較例からなる球帯状シール体30について、図18に示す排気管球面継手を使用して、該球帯状シール体の1サイクル毎における摩擦トルク(N・m)、異常摩擦音の発生の有無及び球帯状シール体の重量(g)の酸化減量(重量減少)について試験した結果を説明する。
【0075】
<試験1:300℃耐久試験>
<試験条件>
コイルばねによる押圧力(スプリングセットフォース):706N
揺動角:±3°
揺動周波数:12ヘルツ(Hz)
雰囲気温度(図18に示す凹球面部302の外表面温度):300℃
【0076】
<試験2:600℃耐久試験>
<試験条件>
コイルばねによる押圧力(スプリングセットフォース):706N
揺動角:±3°
揺動周波数:12ヘルツ(Hz)
雰囲気温度(上記に同じ):600℃
【0077】
<試験方法(試験1、試験2とも)>
室温において12Hzの振動数で±3°の揺動運動を1回として45,000回行ったのち、該揺動運動を継続しながら雰囲気温度を300℃(試験1)、600℃(試験2)に昇温し(昇温中の揺動回数45,000回)、300℃(試験1)、600℃(試験2)の温度に到達した時点で115,000回の揺動運動を行い、ついで該揺動運動を継続しながら雰囲気温度を室温まで降温する(降温中の揺動回数45,000回)という全揺動回数250,000回を1サイクルとして4サイクル行う。
【0078】
異常摩擦音の発生の有無の評価は、試験1及び試験2とも次のようにして行った。
評価記号A:異常摩擦音の発生のないもの。
評価記号B:試験片に耳を近づけた状態で、かすかに異常摩擦音が聴こえるも
の。
評価記号C:定位置(試験片から1.5m離れた位置)では生活環境音に掻き消され、一般には判別し難いが試験担当者には異常摩擦音として
判別できるもの。
評価記号D:定位置で誰でも異常摩擦音(不快音)として識別できるもの。
【0079】
上記試験方法によって得られた実施例1から実施例4の球帯状シール体の試験1及び試験2の試験結果を表1に、実施例5から実施例8の球帯状シール体の試験1及び試験2の試験結果を表2に、実施例9から実施例12の球帯状シール体の試験1及び試験2の試験結果を表3に、実施例13から実施例16の球帯状シール体の試験1及び試験2の試験結果を表4に、実施例17から実施例20の球帯状シール体の試験1及び試験2の試験結果を表5に、実施例21から実施例24の球帯状シール体の試験1及び試験2の試験結果を表6に、比較例1及び比較例2の球帯状シール体の試験1及び試験2の試験結果を表7に示す。なお、表1から表7において、BNは窒化ホウ素を、Alはアルミナを、PTFEは四ふっ化エチレン樹脂をそれぞれ示す。
【0080】
【表1】
Figure 0004487494
【0081】
【表2】
Figure 0004487494
【0082】
【表3】
Figure 0004487494
【0083】
【表4】
Figure 0004487494
【0084】
【表5】
Figure 0004487494
【0085】
【表6】
Figure 0004487494
【0086】
【表7】
Figure 0004487494
【0087】
上表に示す試験結果から、試験1の条件では、実施例1から実施例5と比較例1及び比較例2との間に性能の差は認められず、異常摩擦音の発生も認められなかった。一方、試験2の条件では、比較例からなる球帯状シール体は異常摩擦音の発生が認められた。とくに比較例1の球帯状シール体は、試験2の条件では雰囲気温度が300℃を超えるとその外層の四ふっ化エチレン樹脂が溶融軟化し、その状態で継続する揺動運動により該四ふっ化エチレン樹脂が部分凸球面状の外面35から流動排出され、球帯状シール体30と相手材との摩擦が耐熱材(膨張黒鉛)との摩擦に移行し、異常摩擦音の発生を引き起こしたものである。また、比較例2の球帯状シール体は、その部分凸球面状の外面35が四ふっ化エチレン樹脂と金網からなる補強材とが混在したものであるため、比較例1の球帯状シール体30における外層34の四ふっ化エチレン樹脂が部分凸球面状の外面35から流動排出されるという現象は生じないが、雰囲気温度が500℃においては四ふっ化エチレン樹脂の具有する低摩擦性は消失し、球帯状シール体30と相手材との摩擦が補強材(金網)との金属同士の摩擦に移行し、異常摩擦音の発生を引き起こした。
【0088】
これに対し、実施例からなる球帯状シール体30は外層34の部分凸球面状の外面35を形成する潤滑組成物中に配合された窒化ホウ素及び黒鉛により、潤滑組成物、ひいては外層34の部分凸球面状の外面35の耐熱性及び耐久性が向上されていることから、500℃の雰囲気温度においても部分凸球面状の外面35の潤滑性は損われない。そして、球帯状シール体30と相手材との摩擦においては、相手材表面に部分凸球面状の外面35の潤滑組成物が移着されてそこに潤滑被膜が形成される結果、球帯状シール体30は、潤滑組成物と金網からなる補強材とが混在一体となった部分凸球面状の外面35においてこの移着形成された潤滑被膜と摺動するので、摩擦トルクが安定しており、異常摩擦音の発生は起こらない。
【0089】
以上の試験結果から、実施例の球帯状シール体30は、雰囲気温度が室温から500℃の広い範囲において、上、下流側排気管の相対角変位に対し安定した摩擦トルクで、かつ異常摩擦音の発生もなく許容することができるのに対し、比較例からなる球帯状シール体は、雰囲気温度が室温から300℃の範囲に限られ、自ずから使用条件、使用部位に制約を受けることになる。
【0090】
つぎに、図18に示す排気管球面継手において、上流側排気管100を固定し、下流側排気管300に該排気管軸線回りの捩り方向に加振し、上流側排気管100の外周面に配された球帯状シール体30又は30aの該排気管外周面への結合度合い(結合強度)について試験した結果について説明する。
【0091】
<試験条件>
Figure 0004487494
【0092】
上記試験条件による試験結果を表8に示す。
【0093】
【表8】
Figure 0004487494
【0094】
表8において、評価は異常摩擦音の発生の有無の評価で、評価記号は前記試験と同様の評価記号で示した。また表8において、凸球面状外面は球帯状シール体の部分凸球面状の外面と下流側排気管の径拡大部との摺動部位を、大径側端面は、球帯状シール体の球帯状基体の大径側の環状の端面と上流側排気管の外周面に設けられたフランジとの当接面の摺動部位を示す。
【0095】
試験結果から、球帯状シール体の球帯状基体の貫通孔を規定する円筒内面に金網からなる補強材が露出した球帯状シール体は、該球帯状シール体と排気管との結合力(固定力)が高く、とくに供試体(2)の球帯状シール体においては、部分凸球面状の外面と下流側排気管の径拡大部との正規の摺動部位での摺動を示した。一方、供試体(3)の球帯状シール体においては、1サイクル終了と同時に球帯状シール体の球帯状基体の大径側の環状の端面と上流側排気管の外周面に設けられたフランジとの当接面での摺動に移行し、異常摩擦音の発生が確認された。この供試体(3)の球帯状シール体は、室温から400℃の熱履歴を受けることにより応力緩和が起こり、円筒内面に付与された組込み時の圧入力が次第に低下したためと、耐熱材の酸化消耗に起因する重量減少とが原因であると推察される。これに対し、円筒内面に補強材が露出した供試体(1)及び(2)の球帯状シール体においても室温から400℃の熱履歴を受けることにより応力緩和が同様に起こっているにも拘らず、3サイクル乃至それ以上の試験においても部分凸球面状の外面と下流側排気管の径拡大部との正規の摺動部位での摺動を示したのは、耐熱材の耐熱性が高められているためと、補強材が露出した円筒面面と排気管外周面との金属同志の結合により、円筒内面に付与された組込み時の圧入力の低下の度合いが低いためとであると推察される。
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば、500℃を超える雰囲気温度においても適用可能なシール体であって、保持性に優れかつ耐久性に優れた外面とし得、その結果、初期はいうに及ばず長期の使用においても摺動特性の低下がなく、異常摩擦音の発生のない球帯状シール体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の球帯状シール体の縦断面図である。
【図2】図1に示す球帯状シール体の部分凸球面状の外面の部分拡大断面図である。
【図3】本発明の球帯状シール体の縦断面図である。
【図4】図3に示す球帯状シール体の部分拡大断面図である。
【図5】本発明の球帯状シール体の製造工程における金網からなる補強シート材の形成方法の説明図である。
【図6】本発明の球帯状シール体の製造工程における耐熱シート材の斜視図である。
【図7】本発明の球帯状シール体の製造工程における重合体の斜視図である。
【図8】本発明の球帯状シール体の製造工程における筒状母材の平面図である。
【図9】図8に示す筒状母材の縦断面図である。
【図10】本発明の球帯状シール体の製造工程における耐熱シート材の斜視図である。
【図11】本発明の球帯状シール体の製造工程における潤滑すべり層を形成した耐熱シート材の縦断面図である。
【図12】本発明の球帯状シール体の製造工程における外層形成部材の形成方法の説明図である。
【図13】本発明の球帯状シール体の製造工程における外層形成部材の形成方法の説明図である。
【図14】本発明の球帯状シール体の製造工程における予備円筒成形体の平面図である。
【図15】本発明の球帯状シール体の製造工程における金型中に予備円筒成形体を挿入した状態を示す縦断面図である。
【図16】本発明の球帯状シール体の製造工程における金型を示す縦断面図である。
【図17】図16に示す金型中に予備円筒成形体を挿入した状態を示す縦断面図である。
【図18】本発明の球帯状シール体を組込んだ排気管球面継手の縦断面図である。
【符号の説明】
27 貫通孔
28 円筒内面
29 部分凸球面状面
30 球帯状シール体
31、32 端面
33 球帯状基体
34 外層
35 外面

Claims (4)

  1. 部分凸球面状面と部分凸球面状面の大径側及び小径側の環状の端面と大径側の環状の端面から小径側の環状の端面まで伸びた貫通孔を規定する円筒内面とにより規定された球帯状基体と、この球帯状基体の部分凸球面状面に一体的に形成された外層とを備えており、一対の排気管の管端部を相互に接続する排気管継手に用いられる球帯状シール体であって、球帯状基体は、圧縮された金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されて圧縮された膨張黒鉛及び五酸化燐を含む耐熱材とを有しており、外層は、窒化ホウ素とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方と四ふっ化エチレン樹脂とを含む潤滑組成物と、この潤滑組成物に混在一体化された金網からなる補強材とを有しており、外層において外部に露出した部分凸球面状の外面は、潤滑組成物と補強材とが混在一体化された平滑な潤滑すべり面となっており、円筒内面は、球帯状基体の金網からなる補強材が外部に露出した面からなっており、前記貫通孔を規定する円筒内面は、球帯状基体の小径側の端部から大径側の端部に向かう方向において所定の幅を有していると共に両端部の間で同じ径をもって形成された円筒面と、該円筒面の端部から球帯状基体の大径側の端部に向かうに連れて漸次拡径すると共に該円筒面の端部から球帯状基体の大径側の端部に向かう方向において所定の幅を有した截頭円錐面と、該截頭円錐面の大径側の端部から球帯状基体の大径側の端部に向かう方向において所定の幅を有していると共に一方の排気管の管端部の外径に相当する径をもった拡径円筒面とを有しており、円筒面は、その一方の端部で球帯状基体の小径側の端部に連接しており、截頭円錐面は、その小径側の端部で該円筒面の他方の端部に連接している一方、その大径側の端部で拡径円筒面の一方の端部に連接しており、拡径円筒面は、その他方の端部で球帯状基体の大径側の端部に連接していると共にその両端部の間で同じ径をもって形成されており、円筒内面での一方の排気管の管端部の円筒外面への嵌合において、球帯状基体は、当該管端部の円筒外面によって截頭円錐面と内筒面とにおいて強圧、圧縮されるようになっている球帯状シール体。
  2. 両環状の端面のうちの少なくとも一方の端面には、球帯状基体の膨張黒鉛及び五酸化燐を含む耐熱材が外部に露出している請求項1に記載の球帯状シール体。
  3. 耐熱材は、膨張黒鉛95.0〜99.9重量%及び五酸化燐0.1〜5.0重量%を含んでいる請求項1又は2に記載の球帯状シール体。
  4. 潤滑組成物は、窒化ホウ素を50〜70重量%とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方を5〜15重量%と四ふっ化エチレン樹脂を20〜40重量%とを含んでいる請求項1から3のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
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