JP3812037B2 - 球帯状シール体ならびにその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に自動車排気管の球面管継手に使用される球帯状シール体ならびにその製造方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
自動車用排気管の球面管継手に使用される球帯状シール体としては、例えば特開昭54−76759号公報に開示されているものがある。この公報に開示されたシール体は耐熱性を有し、相手材とのなじみ性に優れ、また衝撃強度も著しく改善されているという反面、乾燥摩擦条件下の摩擦においては往々にして異常音を発生するという欠点がある。このシール体の欠点は該シール体を形成する耐熱材料(膨張黒鉛など)の静止摩擦係数と動摩擦係数との差が大きいこと及びこの耐熱材料から成るシール体のすべり速度に対する動摩擦抵抗が負性抵抗を示すこと等に起因するものと考えられる。
【0003】
そこで、本出願人は上述した欠点を解決するべく、特願平4−300551号(特開平6−123362号)に記載のシール体を提案した。このシール体は、相手材との摺動において、異常摩擦音を発生させることなくシール性に優れたもので、シール体に要求される性能を満足させるものである。
【0004】
しかしながら、上記の提案のシール体においても、近年の自動車エンジンの性能向上等に起因する新たな問題点が提起された。すなわち、自動車エンジンの性能向上に起因する排気ガス温度の上昇により又は自動車のNVH特性(車輛音響振動特性)の向上を目的として、排気ガスの出口(マニホールド)付近に球面管継手を配置する場合、球面管継手がエンジン側により近付くことに起因する排気ガス温度の上昇により、これまでのシール体では耐熱性の点で使用条件を満足し得ず、シール体自体の耐熱性の向上が余儀なくされている。
【0005】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、600℃ないし700℃に至る高温条件下においても、酸化消耗が少なく、異常摩擦音の発生がなく、シール性に優れ、シール体としての機能を満足することができる自動車排気管の球面管継手に使用される球帯状シール体ならびにその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば前記目的は、中央部に貫通孔を規定する円筒内面を備え、外面が部分凸球面状に形成され、この外面の大径側に環状の端面を備えた、とくに排気管継手に使用される球帯状シール体であって、該円筒内面から部分凸球面状の外面近傍にかけてのその内部では、圧縮された金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されて圧縮された耐熱材とを主として具備し、更に、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とリン酸アルミニウムとを、補強材及び耐熱材と混在一体化させて具備し、部分凸球面状の外面は、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とリン酸アルミニウムとからなる外面層とこの外面層に混在一体化された金網からなる補強材とが露出した平滑な面に形成されていることを特徴とする球帯状シール体によって達成される。
【0007】
また本発明によれば前記目的は、中央部に貫通孔を規定する円筒内面を備え、外面が部分凸球面状に形成され、この外面の大径側に環状の端面を備えた、とくに排気管継手に使用される球帯状シール体であって、該円筒内面から部分凸球面状の外面にかけてのその内部では、圧縮された金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されて圧縮された耐熱材とを主として具備し、更に、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とリン酸アルミニウムとを、補強材及び耐熱材と混在一体化させて具備し、部分凸球面状の外面は、少なくとも窒化ホウ素とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方とからなる潤滑組成物の外面層とこの外面層に混在一体化された金網からなる補強材とが露出した平滑な面に形成されていることを特徴とする球帯状シール体によっても達成される。
【0008】
さらに本発明によれば前記目的は、中央部に貫通孔を規定する円筒内面を備え、外面が部分凸球面状に形成され、この外面の大径側に環状の端面を備えた、とくに排気管継手に使用される球帯状シール体であって、該円筒内面から部分凸球面状の外面にかけてのその内部では、耐熱シートの表面全体に炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの混合物からなる耐熱被膜を備えた耐熱シート材と金網からなる補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されており、該部分凸球面状の外面は、耐熱被膜からなる外面層とこの外面層に混在一体化された金網からなる補強材とが露出した平滑な面に形成されていることを特徴とする球帯状シール体によっても達成される。
【0009】
さらにまた本発明によれば前記目的は、中央部に貫通孔を規定する円筒内面を備え、外面が部分凸球面状に形成され、この外面の大径側に環状の端面を備えた、とくに排気管継手に使用される球帯状シール体であって、該円筒内面から部分凸球面状の外面にかけてのその内部では、耐熱シートの表面全体に炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの混合物からなる耐熱被膜を備えてなる耐熱シート材と金網からなる補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されており、該部分凸球面状の外面は、少なくとも窒化ホウ素とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方とからなる潤滑組成物の外面層とこの外面層に混在一体化された金網からなる補強材とが露出した平滑な面に形成されていることを特徴とする球帯状シール体によっても達成される。
【0010】
また本発明によれば前記目的は更に、中央部に貫通孔を規定する円筒内面を備え、外面が部分凸球面状に形成され、この外面の大径側に環状の端面を備えた、とくに排気管継手に使用される球帯状シール体の製造方法であって、(a)耐熱シートの表面全体に一様な厚さの炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの混合物からなる耐熱被膜を備えてなる耐熱シート材を準備する工程と、(b)金属細線を織ったり、編んだりして得られる金網からなる補強材を準備し、該補強材を前記耐熱シート材に重ね合わせたのち、該耐熱シート材を内側にしてうず巻き状に捲回し、筒状母材を形成する工程と、(c)別の耐熱シートの表面全体に一様な厚さの炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの混合物からなる別の耐熱被膜を備えてなる別の耐熱シート材を準備し、該別の耐熱シート材と、該別の耐熱シート材の耐熱被膜を覆って配された金網からなる別の補強材とからなる外面層形成部材を形成する工程と、(d)該外面層形成部材を、前記筒状母材の外周面に捲回して予備円筒成形体を形成する工程と、(e)該予備円筒成形体を金型のコア外周面に挿入し、該コアを金型内に配置するとともに該金型内において予備円筒成形体をコア軸方向に圧縮成型する工程と、からなり、円筒内面から部分凸球面状の外面にかけての内部では、耐熱被膜を備えた耐熱シート材と金網からなる補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されており、該部分凸球面状の外面は、別の耐熱被膜が別の補強材の網目を充填して両者が混在一体となった平滑な面に形成されていることを特徴とする球帯状シール体の製造方法によっても達成される。
【0011】
さらに本発明によれば前記目的は更に、中央部に貫通孔を規定する円筒内面を備え、外面が部分凸球面状に形成され、この外面の大径側に環状の端面を備えた、特に排気管継手に使用される球帯状シール体の製造方法であって、(a)耐熱シートの表面全体に一様な厚さの炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの混合物からなる耐熱被膜を備えてなる耐熱シート材を準備する工程と、(b)金属細線を織ったり、編んだりして得られる金網からなる補強材を準備し、該補強材を前記耐熱シート材に重ね合わせたのち、該耐熱シート材を内側にしてうず巻き状に捲回し、筒状母材を形成する工程と、(c)別の耐熱シートの表面全体に一様な厚さの炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの混合物からなる別の耐熱被膜を備えてなる別の耐熱シート材を準備し、該別の耐熱シート材と該別の耐熱シート材の一方の面の耐熱被膜の表面に被覆された少なくとも窒化ホウ素とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方とからなる潤滑組成物の表面層と該表面層を覆って配された金網からなる別の補強材とからなる外面層形成部材を形成する工程と、(d)該外面層形成部材を、表面層の面を外側にして前記筒状母材の外周面に捲回して予備円筒成形体を形成する工程と、(e)該予備円筒成形体を金型のコア外周面に挿入し、該コアを金型内に配置するとともに該金型内において予備円筒成形体をコア軸方向に圧縮成型する工程と、からなり、円筒内面から部分凸球面状の外面にかけての内部では、耐熱被膜を備えた耐熱シート材と金網からなる補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されており、該部分凸球面状の外面は、潤滑組成物が補強材の網目を充填して両者が混在一体となった平滑な面に形成されていることを特徴とする球帯状シール体の製造方法によっても達成される。
【0012】
上記構成からなる球帯状シール体において、円筒内面から部分凸球面状の外面にかけての内部には、重量比率において、耐熱材100に対し、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とリン酸アルミニウムとが5〜45の割合で含まれている。
【0013】
また、円筒内面から部分凸球面状の外面にかけての内部には、(A)炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方並びに金属フッ化物、耐熱潤滑剤及び黒鉛と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で含まれており、この割合下における炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とにおいて、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合で含まれている。
【0014】
外面層は、(A)炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方並びに金属フッ化物、耐熱潤滑剤及び黒鉛と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で含まれており、この割合下における炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とにおいて、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合で含まれてなる混合物若しくはこの混合物からなる耐熱被膜から形成されるか、又は窒化ホウ素70〜90重量%とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方が10〜30重量%とからなる潤滑組成物若しくはこの潤滑組成物である混合物を100重量部とし、これに200重量部以下、好ましくは50〜150重量部のポリテトラフルオロエチレン樹脂が含有されてなる潤滑組成物から形成される。
【0015】
上記構成からなる球帯状シール体においてまた、該貫通孔を規定する円筒内面及び部分凸球面状の外面の大径側の端面には、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とリン酸アルミニウムとを含む混合物からなる耐熱層又はこの混合物からなる耐熱被膜からなる耐熱層が露出している。
【0016】
また、貫通孔を規定する円筒内面及び部分凸球面状の外面の大径側の端面に露出した耐熱層は、(A)炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方並びに金属フッ化物、耐熱潤滑剤及び黒鉛と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で含まれており、この割合下における炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とにおいて、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合で含まれてなる混合物又はこの混合物からなる耐熱被膜から形成される。
【0017】
上述した製造方法において、両耐熱被膜のうちの少なくとも一方は、具体的には、▲1▼(A)炭化ホウ素と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合物であって、炭化ホウ素が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合の混合物と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で配合された混合物、▲2▼(A)金属ホウ化物と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合物であって、金属ホウ化物が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合の混合物と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で配合された混合物、又は▲3▼(A)炭化ホウ素と金属ホウ化物と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合物であって、炭化ホウ素が5〜20重量%、金属ホウ化物が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合の混合物と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で配合された混合物、から形成される。そして、この耐熱被膜は、耐熱シートの表面全体に0.1〜0.8g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さに形成される。
【0018】
上述した製造方法において、外面層形成部材は、▲1▼(A)炭化ホウ素と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合物であって、炭化ホウ素が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が55〜80重量%の割合の混合物と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で配合された混合物、▲2▼(A)金属ホウ化物と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合物であって、金属ホウ化物が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合の混合物と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で配合された混合物、又は▲3▼(A)炭化ホウ素と金属ホウ化物と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合物であって、炭化ホウ素が5〜20重量%、金属ホウ化物が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合の混合物と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で配合された混合物からなり、該耐熱シートの表面全体に0.1〜0.8g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜を備えてなる耐熱シート材と、この耐熱シート材を覆って配された金網からなる補強材とから形成される。
【0019】
上述した製造方法において、外面層形成部材は、▲1▼(A)炭化ホウ素と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合物であって、炭化ホウ素が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合の混合物と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で配合された混合物、▲2▼(A)金属ホウ化物と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合物であって、金属ホウ化物が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合の混合物と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で配合された混合物、又は▲3▼(A)炭化ホウ素と金属ホウ化物と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合物であって、炭化ホウ素が5〜20重量%、金属ホウ化物が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合の混合物と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で配合された混合物からなり、該耐熱シートの表面全体に0.1〜0.8g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜を備えてなる耐熱シート材と、この耐熱シート材の一方の面の耐熱被膜の表面に被覆された窒化ホウ素が70〜90重量%とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方が10〜30重量%とからなる潤滑組成物又はこの潤滑組成物である混合物を100重量部とし、これに200重量部以下、好ましくは50〜150重量部の割合のポリテトラフルオロエチレン樹脂が含有された潤滑組成物からなる表面層と、該表面層を覆って配された金網からなる補強材とから形成されてもよい。
【0020】
以下、上記球帯状シール体における構成材料並びに該シール体の製造方法について説明する。
【0021】
耐熱シートは、膨張黒鉛、マイカ及びアスベストのうちの一種又は二種以上から選択された耐熱材からなるシート材で形成され、耐熱被膜は、該シート材の表面全体に形成される。膨張黒鉛からなる耐熱シートには、特公昭44−23966号公報に開示されている米国ユニオンカーバイド社製の「グラフォイル(商品名)」あるいは日本カーボン社製の「ニカフィルム(商品名)」など、厚さ0.3〜1.0mmの膨張黒鉛シートが好適である。マイカからなるシート材としては、シリコン樹脂で接合したマイカペーパー、アスベストからなるシート材としては、クリソタイル又はアモサイト系のアスベストペーパー又はシートが使用される。
【0022】
耐熱シートの表面全体に形成される耐熱被膜は、▲1▼(A)炭化ホウ素、金属フッ化物、耐熱潤滑剤及び黒鉛の混合物と(B)リン酸アルミニウムとの混合物、▲2▼(A)金属ホウ化物、金属フッ化物、耐熱潤滑剤及び黒鉛の混合物と(B)リン酸アルミニウムとの混合物、▲3▼(A)炭化ホウ素、金属ホウ化物、金属フッ化物、耐熱潤滑剤及び黒鉛の混合物と(B)リン酸アルミニウムとの混合物、のいずれかが使用される。
【0023】
この耐熱被膜を具体的に説明する。
▲1▼(A)炭化ホウ素、金属フッ化物、耐熱潤滑剤及び黒鉛の混合物と(B)リン酸アルミニウムとの混合物からなる耐熱被膜:
(A)炭化ホウ素が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合の混合物と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で配合された混合物からなる耐熱被膜である。製造の一例を示すと、濃度25%の第一リン酸アルミニウム水溶液30gに、炭化ホウ素10重量%と金属フッ化物5重量%と耐熱潤滑剤10重量%と黒鉛75重量%との混合物7.5gを配合した混合物を耐熱シートの表面全体に、刷毛塗り、ローラ塗り、浸漬等の手段により被覆し、その後、これを乾燥させることにより、該耐熱シートの表面全体に、(A)と(B)との混合物であって、その重量比率が1:1の割合をもった耐熱被膜が形成される。
【0024】
▲2▼(A)金属ホウ化物、金属フッ化物、耐熱潤滑剤及び黒鉛の混合物と(B)リン酸アルミニウムとの混合物からなる耐熱被膜:
(A)金属ホウ化物が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合の混合物と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で配合された混合物からなる耐熱被膜である。製造の一例を示すと、濃度25%の第一リン酸アルミニウム水溶液30gに、金属ホウ化物10重量%と金属フッ化物5重量%と耐熱潤滑剤10重量%と黒鉛75重量%との混合物7.5gを配合した混合物を耐熱シートの表面全体に、刷毛塗り、ローラ塗り、浸漬等の手段により被覆し、その後、これを乾燥させることにより、該耐熱シートの表面全体に、(A)と(B)との混合物であって、その重量比率が1:1の割合をもった耐熱被膜が形成される。
【0025】
▲3▼(A)炭化ホウ素、金属ホウ化物、金属フッ化物、耐熱潤滑剤及び黒鉛の混合物と(B)リン酸アルミニウムとの混合物からなる耐熱被膜:
(A)炭化ホウ素が5〜20重量%、金属ホウ化物が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合の混合物と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で配合された混合物からなる耐熱被膜である。製造の一例を示すと、濃度25%の第一リン酸アルミニウム水溶液30gに、炭化ホウ素10重量%と金属ホウ化物10重量%と金属フッ化物5重量%と耐熱潤滑剤10重量%と黒鉛65重量%との混合物7.5gを配合した混合物を耐熱シートの表面全体に、刷毛塗り、ローラ塗り、浸漬等の手段により被覆し、その後、これを乾燥させることにより、該耐熱シートの表面全体に、(A)と(B)との混合物であって、その重量比率が1:1の割合をもった耐熱被膜が形成される。
【0026】
これら▲1▼、▲2▼及び▲3▼からなる耐熱被膜は、耐熱シートの表面全体に0.1〜0.8g/100cm2 、好ましくは0.2〜0.5g/100cm2 の量で、かつの一様な厚さに形成される。耐熱被膜の量が耐熱シートの表面全体に0.1g/100cm2 以下では膜厚の均一性が低下し、耐熱シートの高温酸化等に対する防御効果が十分得られず、また0.8g/100cm2 を超えた場合、耐熱シートの高温酸化等に対する防御効果の大きな変化がないばかりでなく、耐熱被膜を備えた耐熱シート材の巻き加工性に問題を生じることになる。
【0027】
このように形成された耐熱被膜において、リン酸アルミニウムはそれ自体耐熱性を有するものであり、かつその接着力が高いため、耐熱性を有する炭化ホウ素と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合粉末粒子同志、金属ホウ化物と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合粉末粒子同志、炭化ホウ素と金属ホウ化物と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合粉末粒子同志の接着性と、これらからなる耐熱被膜の該耐熱シート表面への接着性、換言すれば該耐熱シート表面への耐熱被膜の保持性を高める作用をなす。
【0028】
また、耐熱被膜を形成する混合物において、主成分をなす黒鉛はそれ自体耐熱性を有すると共に自己潤滑性を有するもので、シール体の円筒内面から部分凸球面状の外面にかけての内部ではその耐熱性が発揮され、また部分凸球面状の外面では耐熱性に加えて自己潤滑性が発揮される。そして、その配合量は50〜80重量%が適当である。
【0029】
この主成分をなす黒鉛に配合される金属フッ化物は黒鉛同様耐熱性を有し、とくに高温において優れた自己潤滑性を有する。この金属フッ化物は黒鉛に配合されることにより、黒鉛の自己潤滑性と協同して潤滑性を高める作用をなし、部分凸球面状の外面では黒鉛と協同して相手材(下流側排気管の凹球面部)との間の摺動摩擦抵抗を減ずる効果を発揮する。そして、金属フッ化物の黒鉛への配合量は3〜15重量%、就中5〜10重量%が適当である。配合量が3重量%以下では黒鉛の潤滑性を向上させる効果が発揮されず、また15重量%を超えて配合すると、却って黒鉛の潤滑性を損ない、黒鉛との協同作用が発揮されない。このような作用を発揮する金属フッ化物としては、フッ化カルシウム(CaF2 )、フッ化リチウム(LiF2 )、フッ化ナトリウム(NaF2 )及びフッ化バリウム(BaF2 )のうちの一種又は二種以上が選択されて使用される。
【0030】
上記主黒鉛と金属フッ化物に配合される耐熱潤滑剤はそれ自体耐熱性を有するとともに潤滑性を発揮するもので、黒鉛及び金属フッ化物の潤滑性と協同して一層潤滑性を高める作用をなす。とくに、部分凸球面状の外面では黒鉛及び金属フッ化物と協同して相手材との摩擦において、摺動摩擦抵抗を減ずる効果を発揮し、またシール体の成形時においては耐熱被膜の金型表面への付着を防止する離型剤としての作用をなす。そして、耐熱潤滑剤としてはタルク、非膨潤性の天然若しくは合成のマイカ及び窒化ホウ素のうちの一種又は二種以上から選択されて使用される。これら耐熱潤滑剤は層状構造を有し、摩擦方向に容易にせん断され易いため、上記作用をなすものである。その配合量は5〜25重量%、就中10〜20重量%が適当である。5重量%以下では上記作用が十分発揮されず、また25重量%を超えて配合すると、黒鉛及び金属フッ化物の潤滑性を損ない、黒鉛及び金属フッ化物との協同作用が発揮されない。
【0031】
さらに、上記黒鉛、金属フッ化物及び耐熱潤滑剤に配合される炭化ホウ素及び金属ホウ化物はそれ自体耐熱性を有するため、シール体の円筒内面から部分凸球面状の外面にかけての内部ではその耐熱性が発揮される。また、炭化ホウ素及び金属ホウ化物は上記黒鉛や金属フッ化物のような自己潤滑性を示さないが、黒鉛及び金属フッ化物に含有されることにより、相手材との摩擦において相手材表面に固体潤滑被膜(黒鉛、金属フッ化物及び耐熱潤滑剤)の造膜性を助長し、乾燥摩擦における被膜の耐久性を増大させる作用を発揮する。この作用は、特に部分凸球面状の外面において、相手材表面に固体潤滑被膜の造膜性を助長すると共に被膜の耐久性を増大させることになり、相手材との間の摩擦抵抗を低減させる効果に寄与する。そして、その配合量はそれぞれ5〜20重量%、就中10〜15重量%が適当である。配合量が5重量%以下では上記黒鉛、金属フッ化物及び耐熱潤滑剤からなる固体潤滑被膜の造膜性に効果が発揮されず、また20重量%を超えて配合すると、固体潤滑被膜の相手材表面への造膜量が過剰となり、却って摩擦抵抗を減ずる作用を低下させることになる。
【0032】
そして、金属ホウ化物としては、元素周期律表の第IVa族、第Va族及び第VIa族の中から選択された金属ホウ化物、具体的には、ホウ化チタン(TiB)、二ホウ化チタン(TiB2 )、二ホウ化ジルコニウム(ZrB2 )、十二ホウ化ジルコニウム(ZrB12)、二ホウ化ハフニウム(HfB2 )、二ホウ化バナジウム(VB2 )、二ホウ化ニオブ(NbB2 )、二ホウ化タンタル(TaB2 )、ホウ化クロム(CrB)、二ホウ化クロム(CrB2 )、ホウ化モリブデン(MoB)、二ホウ化モリブデン(MoB2 )、五ホウ化二モリブデン(Mo2 B5 )、ホウ化タングステン(WB)、二ホウ化タングステン(WB2 )、ホウ化二タングステン(W2 B)、五ホウ化二タングステン(W2 B5 )などが挙げられる。
【0033】
上述した耐熱被膜における黒鉛、金属フッ化物及び耐熱潤滑剤は円筒内面から部分凸球面状の外面にかけてのその内部ではその耐熱性により耐熱シートの高温酸化等に対する保護効果がいかんなく発揮され、部分凸球面状の外面においては耐熱性に加え自己潤滑性がいかんなく発揮される。また、炭化ホウ素及び金属ホウ化物は同様に円筒内面から部分凸球面状の外面にかけてのその内部ではその耐熱性により耐熱シートの高温酸化等に対する保護効果がいかんなく発揮され、部分凸球面状の外面においては耐熱性に加え金属フッ化物及び黒鉛の潤滑被膜の相手材表面への造膜性を助長し、固体潤滑被膜の耐久性を増大させる効果がいかんなく発揮される。
【0034】
補強材は、鉄系としてオーステナイト系のSUS304、SUS316、フェライト系のSUS430などのステンレス鋼線又は鉄線(JIS−G−3532)若しくは亜鉛メッキ鉄線(JIS−G−3547)、また銅系として銅−ニッケル合金(白銅)、銅−ニッケル−亜鉛合金(洋白)、黄銅、ベリリウム銅から成る線材を1本又は2本以上使用して織ったり、編んだりして形成される金網が使用される。該金網を形成する金属細線の線径は0.10〜0.32mm程度のものが使用され、該金網の網目は3〜6mm程度のものが使用されて好適である。
【0035】
外面層形成部材は、前述した耐熱シートの表面全体に耐熱被膜を備えた耐熱シート材と同様の耐熱シート材、すなわち耐熱シートの表面全体にわたって▲1▼(A)炭化ホウ素、金属フッ化物、耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合物と(B)リン酸アルミニウムとの混合物、▲2▼(A)金属ホウ化物、金属フッ化物、耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合物と(B)リン酸アルミニウムとの混合物、▲3▼(A)炭化ホウ素、金属ホウ化物、金属フッ化物、耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合物と(B)リン酸アルミニウムとの混合物、のいずれかの混合物からなる耐熱被膜を備えてなる耐熱シート材と、該耐熱シート材の耐熱被膜を覆って配された金網からなる補強材とからなるもの、又は耐熱シートの表面全体に該耐熱被膜を備えてなる耐熱シート材と該耐熱シート材の一方の面の耐熱被膜の表面に被覆された窒化ホウ素又は窒化ホウ素及びポリテトラフルオロエチレン樹脂とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方とからなる潤滑組成物の表面層とこの表面層を覆って配された金網からなる補強材とからなるものが使用される。後者の外面層形成部材は、相手材との摩擦初期における摩擦トルクの低減に効果を発揮する。この外面層形成部材における耐熱被膜及び金網からなる補強材は前述したものと同様のものを使用するため、その説明は省略する。
【0036】
前述した後者の外面層形成部材における潤滑組成物の作成に際しては、窒化ホウ素70〜90重量%とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方が10〜30重量%とからなる潤滑組成物を固形分として20〜50重量%分散含有した水性ディスパージョンが、またこれに代えて、窒化ホウ素70〜90重量%とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方が10〜30重量%とからなる混合物を100重量部とし、これに200重量部以下、好ましくは50〜150重量部の割合でポリテトラフルオロエチレン樹脂が含有された潤滑組成物を固形分として20〜50重量%分散含有した水性ディスパージョンが使用される。上記潤滑組成物の水性ディスパージョンは、後述する製造方法において、耐熱シート材の表面に形成された耐熱被膜に、刷毛塗り、ローラー塗り、スプレー等の手段によって被覆され、分散含有された潤滑組成物は、最終の圧縮工程においてシール体の部分凸球面状の外面に均一かつ微小厚さ(10〜300μm)に展延されて外面層を形成する。
【0037】
上記潤滑組成物中の窒化ホウ素は、とくに高温において優れた潤滑性を発揮するものであるが、窒化ホウ素単独では耐熱被膜への被着性、ひいては最終の圧縮工程におけるシール体の部分凸球面状の外面での被着性が劣り、部分凸球面状の外面から容易に剥離してしまうという欠点があるが、窒化ホウ素に対し一定量の割合でアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方を配合することにより、上記窒化ホウ素の欠点を回避し、耐熱被膜への被着性、ひいては最終の圧縮工程におけるシール体の部分凸球面状の外面での被着性を大幅に改善し、該シール体の部分凸球面状の外面での潤滑組成物からなる外面層の保持性を高めることができる。そして、窒化ホウ素に対するアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方の配合割合は、窒化ホウ素の具有する潤滑性を損なうことなく、かつ被着性を改善するという観点から決定され、10〜30重量%の範囲が好ましい。
【0038】
上述した窒化ホウ素70〜90重量%とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方が10〜30重量%とからなる混合物を100重量部とし、これに一定量の割合でポリテトラフルオロエチレン樹脂を含有した潤滑組成物において、ポリテトラフルオロエチレン樹脂は、それ自身低摩擦性を有するもので、窒化ホウ素とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方とからなる潤滑組成物に配合されることにより、該潤滑組成物の低摩擦性を向上させる作用と、圧縮成形時の該潤滑組成物の展延性を高める作用をなす。上記窒化ホウ素70〜90重量%とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方が10〜30重量%とからなる混合物100重量部に対し、ポリテトラフルオロエチレン樹脂の配合割合は、200重量部以下、好ましくは50〜150重量部の範囲である。このポリテトラフルオロエチレン樹脂の配合割合が200重量部を超えると、潤滑組成物中に占める割合が多くなり潤滑組成物の耐熱性を低下させる結果となり、また、ポリテトラフルオロエチレン樹脂の配合割合が50〜150重量部の範囲であれば、潤滑組成物の耐熱性を損なうことなく低摩擦性をいかんなく発揮させることができる。
【0039】
水性ディスパージョンを形成する窒化ホウ素、アルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方及びこれらに配合されるポリテトラフルオロエチレン樹脂は、可及的に微粉末であることが好ましく、これらには、平均粒径10μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下の微粉末が使用される。
【0040】
つぎに、上述した構成材料から成る球帯状シール体の製造方法について図面に基づき説明する。
【0041】
図3に示すように、所定の幅に切断した短冊状の膨張黒鉛シート、マイカシート又はアスベストシートからなる耐熱シート1を用意する。ついで、▲1▼所定濃度のリン酸アルミニウム水溶液に炭化ホウ素粉末、金属フッ化物粉末、耐熱潤滑剤粉末及び黒鉛粉末を配合した混合物、▲2▼所定濃度のリン酸アルミニウム水溶液に金属ホウ化物粉末、金属フッ化物粉末、耐熱潤滑剤粉末及び黒鉛粉末を配合した混合物、又は▲3▼所定濃度のリン酸アルミニウム水溶液に炭化ホウ素粉末、金属ホウ化物粉末、金属フッ化物、耐熱潤滑剤粉末及び黒鉛粉末を配合した混合物のいずれかを用意し、この混合物を耐熱シート1の表面全体に刷毛塗り、ローラ塗り又は浸漬等の手段により被覆し、その後乾燥させて、図4に示すように、耐熱シート1の表面全体(表、裏及び側面等全体)に0.1〜0.8g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜2を形成した耐熱シート材3を作製する。
【0042】
このように耐熱シート1の表面全体に被覆された耐熱被膜2は、▲1▼(A)炭化ホウ素と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合物であって、炭化ホウ素が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤5〜25重量%及び黒鉛50〜80重量%の割合の混合物と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で配合された混合物、▲2▼(A)金属ホウ化物と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合物であって、金属ホウ化物が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合の混合物と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で配合された混合物、又は▲3▼炭化ホウ素と金属ホウ化物と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛との混合物であって、炭化ホウ素が5〜20重量%、金属ホウ化物が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合の混合物と(B)リン酸アルミニウムとが重量比率で(A):(B)=1:0.5〜3の割合で配合された混合物で形成されるように、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とのリン酸アルミニウム水溶液への配合割合、及びリン酸アルミニウム水溶液の濃度を適宜調整することにより行われる。なお、上述した耐熱被膜2の形成方法において、リン酸アルミニウム水溶液の濃度は10〜50%のものが使用可能であるが、耐熱シート1への被覆操作、その後の乾燥工程等を考慮すると、その濃度は20〜25%程度のものが好ましい。
【0043】
金属細線を織ったり、編んだりすることによって形成される金網を用意し、この金網を所定の幅(耐熱シート1の幅よりも幅狭)に切断して短冊状にするか、図5に示すように、金属細線を編んで円筒状金網5を形成したのち、これをローラ6及び7間に通して帯状金網8を作成し、これを短冊状に切断して補強材9として使用する。
【0044】
この帯状金網8からなる補強材9と耐熱シート材3とを重ね合わせるとともに、耐熱シート材3を内側にしてうず巻き状に捲回し、図6及び図7に示すように、筒状母材10を形成する。この筒状母材10においては、耐熱シート材3の幅方向の両端部はそれぞれ補強材9の幅方向に突出している。
【0045】
前記と同様の方法で作成した耐熱シート材3を別途用意する。先に図5において説明したように、金属細線を編んで円筒状金網5を形成した後、これをローラ6及び7間に通して作成した帯状金網8からなる補強材9を別途用意し、図8に示すように、帯状金網8内に、該耐熱シート材3を挿入すると共にこれらを図9に示すように、ローラ15及び16間に通して一体化させ、これを外面層形成部材21とする。この場合、耐熱シート材3の幅寸法は帯状金網8からなる補強材9の内側寸法より小さく形成されている。この外面層形成部材21を作製する別の方法としては、金属細線を円筒状金網に編むと同時に耐熱シート材3をその内側に挿入し、これをローラ15及び16間に通して一体化させたのち、所望の寸法に切断して作製する方法でもよい。
【0046】
このようにして得た外面層形成部材21を前記筒状母材10の外周面に捲回し、図10に示すような予備円筒成形体22を作成する。
【0047】
内面に円筒壁面31と円筒壁面31に連なる部分凹球壁面32と部分凹球壁面32に連なる貫通孔33とを備え、該貫通孔33に段付きコア34を嵌挿することによって内部に中空円筒部35と該中空円筒部35に連なる球帯状中空部36とが形成された図11に示すような金型37を用意し、該金型37の段付きコア34に予備円筒成形体22を挿入する。
【0048】
金型37の中空部35、36に位置せしめられた予備円筒成形体22をコア軸方向に1〜3トン/cm2 の圧力で圧縮成形し、図1に示すような、中央部に貫通孔51を規定する円筒内面52を備え、外面53が部分凸球面状に形成され、この外面53の大径側に環状の端面54を備えた球帯状シール体55を作成する。この圧縮成形により、円筒内面52から部分凸球面状の外面53にかけての球帯状シール体55の内部では、耐熱シート1の表面全体に耐熱被膜2を備えてなる耐熱シート材3と金網8からなる補強材9とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成され、部分凸球面状の外面53は、耐熱被膜2からなる外面層56の露出面からなり、該外面層56には、当該外面層56に一体化された金網8からなる補強材9が配されており、外面層56とこの外面層56に混在一体化された金網8からなる補強材9とが露出した該部分凸球面状の外面53は、平滑な面に形成され、貫通孔51を規定する円筒内面52及び球帯状シール体55の大径側の端面54は、耐熱被膜2からなる耐熱層が露出して形成される。
【0049】
上述した方法によって作成された図1及び図2に示す球帯状シール体55において、耐熱シート材3は、内部構造を形成する金網8から成る補強材9と絡み合って一体となっており、部分凸球面状の外面53は、外面層形成部材21によって形成された耐熱被膜2からなる外面層56の露出面と金網8からなる補強材9とが混在一体となった平滑な面に形成されている。
【0050】
次に、他の球帯状シール体55の製造方法を説明する。
【0051】
前記図3に示すように、所定の幅に切断した短冊状の膨張黒鉛シート、マイカシート又はアスベストシートからなる耐熱シート1を用意する。ついで、耐熱シート1の表面全体(表、裏及び側面等全体)に0.1〜0.8g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜2を形成し、これを耐熱シート材3(図4)とする。
【0052】
前記と同様にして、金属細線を織ったり、編んだりすることによって形成される金網を用意し、この金網を所定の幅(耐熱シート1の幅より幅狭)に切断して短冊状にするか、図5に示すように、金属細線を編んで円筒状金網5を形成した後、これをローラ6及び7間に通して帯状金網8を作成し、これを短冊状に切断して補強材9として使用する。
【0053】
この帯状金網8からなる補強材9と耐熱シート材3とを重ね合わせるとともに、耐熱シート材3を内側にしてうず巻き状に捲回し、図6及び図7に示すように、筒状母材10を形成する。この筒状母材10においては、耐熱シート材3の幅方向の両端部はそれぞれ補強材9の幅方向に突出している。
【0054】
前記と同様な耐熱シート材3を別途用意し、耐熱シート材3の一方の面の耐熱被膜2の表面に、窒化ホウ素70〜90重量%とアルミナ及びシリカのうちの少なくとも一方が10〜30重量%とからなる潤滑組成物を固形分として20〜50重量%分散含有した水性ディスパージョン、又は窒化ホウ素70〜90重量%とアルミナおよびシリカのうちの少なくとも一方が10〜30重量%とからなる混合物を100重量部とし、これに200重量部以下、好ましくは50〜150重量部の割合でポリテトラフルオロエチレン樹脂が含有されてなる潤滑組成物を固形分として20〜50重量%分散含有した水性ディスパージョンを、刷毛塗り、ローラ塗り又はスプレー等の手段で被覆し、これを乾燥させて、図12に示すような潤滑組成物の表面層11を形成する。
【0055】
前記図5において説明したように、金属細線を編んで円筒状金網5を形成した後、これをローラ6及び7間に通して作成した帯状金網8からなる補強材9を別途用意し、図13に示すように、帯状金網8内に、表面層11を備えた耐熱シート材3を挿入するとともに、これらを図14に示すように、ローラ15及び16間に通して一体化させ、これを外面層形成部材21とする。この外面層形成部材を作製する別の方法としては、前述した方法と同様、金属細線を円筒状金網に編むとと同時に耐熱シート材3をその内側に挿入し、これをローラ15及び16間に通して一体化させたのち、所望の寸法に切断して作製する方法でもよい。
【0056】
このようにして得た外面層形成部材21を表面層11を外側にして前記筒状母材10の外周面に捲回し、図15に示すような予備円筒成形体22を作成する。
【0057】
以下、前記図11に示す金型37を使用し同様な方法で圧縮成形し、図16及び17に示すような、中央部に貫通孔51を規定する円筒内面52を備え、外面53が部分凸球面状に形成され、外面53の大径側に環状の端面54を備えた球帯状シール体55を作成する。この圧縮成形により、円筒内面52から部分凸球面状の外面53にかけての球帯状シール体55の内部では、耐熱シート1の表面全体に耐熱被膜2を備えてなる耐熱シート材3と金網8からなる補強材9とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成され、部分凸球面状の外面53は、潤滑組成物の表面層11からなる外面層56の露出面からなり、該外面層56には、当該外面層56に一体化された金網8からなる補強材9が配されており、外面層56とこの外面層56に混在一体化された金網8からなる補強材9とが露出した該部分凸球面状の外面53は、平滑な面に形成され、貫通孔51における円筒内面52及び外面53の大径側の端面54は、耐熱被膜2からなる耐熱層が露出して形成される。
【0058】
上述した方法によって作成された図16及び図17に示す球帯状シール体55において、耐熱シート材3は、内部構造を形成する金網8から成る補強材9と絡み合って一体となっており、部分凸球面状の外面53は、外面層形成部材21によって形成された潤滑組成物の表面層11からなる外面層56の露出面と金網8からなる補強材9とが混在一体となった平滑な面に形成されている。
【0059】
上述した方法にて形成された球帯状シール体55は、例えば図18に示す排気管継手に組込まれて使用される。すなわち、エンジン側に連結された上流側排気管100の外周面には、管端部101を残してフランジ200が立設されており、該管端部101には、貫通孔51を規定する円筒内面52において球帯状シール体55が嵌合されており、大径側の端面54において球帯状シール体55がフランジ200に当接させて着座せしめられている。上流側排気管100と相対向してマフラー側に連結され、端部に凹球面部302と凹球面部302の開口部周縁にフランジ部303を備えた径拡大部301が一体に形成された下流側排気管300が凹球面部302を球帯状シール体55の部分凸球面状の外面53に摺接させて配置されている。
【0060】
一端がフランジ200に固定され、他端が径拡大部301のフランジ部303を挿通して配された一対のボルト400と、ボルト400とフランジ部303との間に配された一対のコイルバネ500とにより、下流側排気管300には常時、上流側排気管100方向にバネ力が付勢されている。そして、上、下流側排気管100、300に生ずる相対角変位は、球帯状シール体55の部分凸球面状の外面53と下流側排気管300の端部に形成された径拡大部301の凹球面部302との摺接で許容される。
【0061】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明及び本発明の実施の形態を、好ましい実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何等限定されないのである。
【0062】
【実施例】
<実施例1>
耐熱シートとして、幅55mm、長さ550mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(日本カーボン社製「ニカフィルム」(商品名)」(膨張黒鉛シートの重量11.6g)を用意した。濃度25%の第一リン酸アルミニウム水溶液(Al2 O3 ・3P2 O 5・6H2 O)を用意し、この水溶液30gに、平均粒径1.5μmの炭化ホウ素粉末10重量%と平均粒径4μmの金属フッ化物(フッ化カルシウム)粉末5重量%と平均粒径20μmの耐熱潤滑剤(タルク)粉末10重量%と平均粒径18μmの黒鉛粉末75重量%とからなる混合粉末を7.5g配合し混合物を得た。この混合物を前記膨張黒鉛シートの表面全体にローラ塗りし、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.3g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、フッ化カルシウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成し、これを耐熱シート材とした。
【0063】
金属細線として、線径0.28mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を2本使用して網目4.0mmの円筒状編組金網を作成し、これをローラ間に通して幅36mm、長さ360mmの帯状金網(金網の重量21g)とし、これを補強材とした。
【0064】
前記耐熱シート材をうず巻き状に一周分巻回したのち、該耐熱シート材の内側に補強材を重ね合わせ、うず巻き状に捲回して最外周に耐熱シート材を位置させた筒状母材を作製した。この筒状母材においては、耐熱シート材の幅方向の両端部はそれぞれ補強材の幅方向に突出している。
【0065】
耐熱シートとして、幅48mm、長さ212mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量3.9g)を別途用意し、上記混合物を使用し、同様の方法にて該膨張黒鉛シートの表面全体に0.3g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、フッ化カルシウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成してなる耐熱シート材を別途作製した。
【0066】
上記と同様の金属細線を1本使用して、網目が4.0mmの円筒状編組金網を作製し、これをローラ間に通して幅53.5mm、長さ212mmの帯状金網(金網の重量10g)を作製し、該帯状金網内に該耐熱シート材を挿入するとともにこれらをローラ間に通して一体化させ、補強材と補強材の網目を充填した耐熱被膜とが混在した外面層形成部材を作製した。
【0067】
前記筒状母材の外周面に、この外面層形成部材を捲回して予備円筒成形体を作製した。この予備円筒成形体を図11に示す金型37の段付きコア34に挿入し、該予備円筒成形体を金型37の中空部に位置させた。
【0068】
金型37の中空部に位置させた予備円筒成形体をコア軸方向に2トン/cm2 の圧力で圧縮成形し、中央部に貫通孔51を規定する円筒内面52を備え、外面53が部分凸球面状であって、環状の端面54を備えた球帯状シール体55を作成した。この球帯状シール体における膨張黒鉛シートからなる耐熱材と、耐熱被膜を形成する炭化ホウ素、フッ化カルシウム、タルク、黒鉛及びリン酸アルミニウムとの重量比率は、耐熱材100に対し耐熱被膜15.8(炭化ホウ素0.79とフッ化カルシウム0.4とタルク0.79と黒鉛5.92との混合物:7.9、リン酸アルミニウム:7.9)の割合となる。
【0069】
このようにして作製した球帯状シール体において、円筒内面から部分凸球面状の外面にかけてのその内部では、耐熱シート材と金網からなる補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成され、部分凸球面状の外面は、耐熱被膜からなる外面層の露出面からなり、該外面層には、当該外面層に一体化された金網からなる補強材が配されており、外面層とこの外面層に混在一体化された金網からなる補強材とが露出した該部分凸球面状の外面は平滑な面に形成され、貫通孔を規定する円筒内面及び外面の大径側の端面には耐熱被膜からなる耐熱層が露出して形成されている。
【0070】
<実施例2>
耐熱シートとして、前記実施例1と同様の幅55mm、長さ550mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量11.6g)を用意した。この膨張黒鉛シートの表面全体に、前記実施例1と同様の混合物をローラ塗りするという操作を2回繰り返し、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.5g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、フッ化カルシウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成し、これを耐熱シート材とした。
【0071】
実施例1と同様の補強材を用意し、該補強材と該耐熱シート材とで実施例1と同様にして筒状母材を作製した。耐熱シートとして、実施例1と同様の幅48mm、長さ212mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量3.9g)を別途用意し、前記実施例1と同様の混合物を膨張黒鉛シートの表面全体にローラ塗りするという操作を2回繰り返し、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.5g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、フッ化カルシウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成してなる耐熱シート材を別途作製した。
【0072】
以下、実施例1と同様にして外面層形成部材を作製し、実施例1と同様の方法で球帯状シール体を作製した。この球帯状シール体における膨張黒鉛シートからなる耐熱材と、耐熱被膜を形成する炭化ホウ素、フッ化カルシウム、タルク、黒鉛及びリン酸アルミニウムとの重量比率は、耐熱材100に対し耐熱被膜26.32(炭化ホウ素1.32とフッ化カルシウム0.65とタルク1.32と黒鉛9.87との混合物:13.16、リン酸アルミニウム:13.16)の割合となる。
【0073】
<実施例3>
耐熱シートとして、前記実施例1と同様の幅55mm、長さ550mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量11.6g)を用意した。濃度25%の第一リン酸アルミニウム水溶液を用意し、この水溶液30gに、平均粒径1.5μmの炭化ホウ素粉末10重量%と平均粒径4μmの金属フッ化物(フッ化リチウム)粉末5重量%と平均粒径20μmの耐熱潤滑剤(タルク)10重量%と平均粒径18μmの黒鉛粉末75重量%とからなる混合粉末を7.5g配合し混合物を得た。この混合物を前記膨張黒鉛シートの表面全体にローラ塗り、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.3g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、フッ化リチウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成し、これを耐熱シート材とした。
【0074】
実施例1と同様の補強材を用意し、該補強材と該耐熱シート材とで実施例1と同様にして筒状母材を作製した。耐熱シートとして、実施例1と同様の幅48mm、長さ212mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量3.9g)を別途用意し、上記混合物を膨張黒鉛シートの表面全体にローラ塗りし、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.3g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、フッ化リチウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成してなる耐熱シート材を別途作製した。
【0075】
以下、実施例1と同様にして外面層形成部材を作製して、同じく実施例1と同様の方法で球帯状シール体を作製した。この球帯状シール体における膨張黒鉛シートからなる耐熱材と、耐熱被膜を形成する炭化ホウ素、フッ化リチウム、黒鉛及びリン酸アルミニウムとの重量比率は、耐熱材100に対し耐熱被膜15.8(炭化ホウ素0.79とフッ化リチウム0.4とタルク0.79と黒鉛5.92との混合物:7.9、リン酸アルミニウム:7.9)の割合となる。
【0076】
<実施例4>
耐熱シートとして、前記実施例1と同様の幅55mm、長さ550mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量11.6g)を用意した。濃度25%の第一リン酸アルミニウム水溶液を用意し、この水溶液30gに、平均粒径7μmの金属ホウ化物(二ホウ化クロム)粉末10重量%と平均粒径4μmの金属フッ化物(フッ化カルシウム)粉末5重量%と平均粒径20μmの耐熱潤滑剤(タルク)粉末10重量%と平均粒径18μmの黒鉛粉末75重量%とからなる混合粉末を7.5g配合し混合物を得た。この混合物を前記膨張黒鉛シートの表面全体にローラ塗りし、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.3g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成し、これを耐熱シート材とした。
【0077】
実施例1と同様の補強材を用意し、該補強材と該耐熱シート材とで実施例1と同様にして筒状母材を作製した。耐熱シートとして、実施例1と同様の幅48mm、長さ212mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量3.9g)を別途用意し、上記混合物を膨張黒鉛シートの表面全体にローラ塗りし、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.3g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成してなる耐熱シート材を別途作製した。
【0078】
以下、実施例1と同様にして外面層形成部材を作製して、同じく実施例1と同様の方法で球帯状シール体を作製した。この球帯状シール体における膨張黒鉛シートからなる耐熱材と、耐熱被膜を形成する二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク、黒鉛及びリン酸アルミニウムとの重量比率は、耐熱材100に対し耐熱被膜15.8(二ホウ化クロム0.79とフッ化カルシウム0.4とタルク0.79と黒鉛5.92との混合物:7.9、リン酸アルミニウム:7.9)の割合となる。
【0079】
<実施例5>
耐熱シートとして、幅55mm、長さ550mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量13.4g)を用意した。濃度25%の第一リン酸アルミニウム水溶液を用意し、この水溶液30gに、平均粒径7μmの金属ホウ化物(二ホウ化モリブデン:MoB2 )粉末10重量%と平均粒径4μmの金属フッ化物(フッ化リチウム)粉末5重量%と平均粒径10μmの耐熱潤滑剤(合成マイカ)粉末10重量%と平均粒径18μmの黒鉛粉末75重量%とからなる混合粉末を7.5g配合し混合物を得た。この混合物を前記膨張黒鉛シートの表面全体にローラ塗りし、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.3g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(二ホウ化モリブデン、フッ化リチウム、合成マイカ及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成し、これを耐熱シート材とした。
【0080】
実施例1と同様の補強材を用意し、該補強材と該耐熱シート材とで実施例1と同様にして筒状母材を作製した。耐熱シートとして、実施例1と同様の幅48mm、長さ212mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量3.9g)を別途用意し、上記混合物を膨張黒鉛シートの表面全体にローラ塗りし、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.3g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(二ホウ化モリブデン、フッ化リチウム、合成マイカ及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成してなる耐熱シート材を別途作製した。
【0081】
以下、実施例1と同様にして外面層形成部材を作製して、同じく実施例1と同様の方法で球帯状シール体を作製した。この球帯状シール体における膨張黒鉛シートからなる耐熱材と、耐熱被膜を形成する二ホウ化モリブデン、フッ化リチウム、合成マイカ、黒鉛及びリン酸アルミニウムとの重量比率は、耐熱材100に対し耐熱被膜15.8(二ホウ化モリブデン0.79とフッ化リチウム0.4と合成マイカ0.79及び黒鉛5.92の混合物:7.9、リン酸アルミニウム:7.9)の割合となる。
【0082】
<実施例6>
耐熱シート材として、前記実施例1と同様の幅55mm、長さ550mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量11.6g)を用意した。濃度25%の第一リン酸アルミニウム水溶液を用意し、この水溶液30gに、平均粒径1.5μmの炭化ホウ素粉末10重量%と平均粒径7μmの金属ホウ化物(二ホウ化クロム)粉末15重量%と平均粒径4μmの金属フッ化物(フッ化カルシウム)粉末5重量%と平均粒径20μmの耐熱潤滑剤(タルク)粉末10重量%と平均粒径18μmの黒鉛粉末60重量%とからなる混合粉末を7.5g配合し混合物を得た。この混合物を前記膨張黒鉛シートの表面全体にローラー塗りし、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.3g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成し、これを耐熱シート材とした。
【0083】
実施例1と同様の補強材を用意し、該補強材と該耐熱シート材とで実施例1と同様にして筒状母材を作製した。耐熱シートとして、実施例1と同様の幅48mm、長さ212mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量3.9g)を別途用意し、上記混合物を膨張黒鉛シートの表面全体にローラ塗りし、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.3g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成してなる耐熱シート材を別途作製した。
【0084】
以下、実施例1と同様にして外面層形成部材を作製して、同じく実施例1と同様の方法で球帯状シール体を作製した。この球帯状シール体における膨張黒鉛シートからなる耐熱材と、耐熱被膜を形成する炭化ホウ素、二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、黒鉛及びリン酸アルミニウムとの重量比率は、耐熱材100に対し耐熱被膜15.8(炭化ホウ素0.79と二ホウ化クロム1.18とフッ化カルシウム0.4とタルク0.79と黒鉛4.74との混合物:7.9、リン酸アルミニウム:7.9)の割合となる。
【0085】
<実施例7>
耐熱シートとして、前記実施例1と同様の幅55mm、長さ550mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量11.9g)を用意した。この膨張黒鉛シートの表面全体に、前記実施例6と同様の混合物をローラ塗りするという操作を2回繰り返し、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.5g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成し、これを耐熱シート材とした。
【0086】
実施例1と同様の補強材を用意し、該補強材と該耐熱シート材とで実施例1と同様にして筒状母材を作製した。耐熱シートとして、実施例1と同様の幅48mm、長さ212mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量3.9g)を別途用意し、前記実施例6と同様の混合物を膨張黒鉛シートの表面全体にローラ塗りするという操作を2回繰り返し、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.5g/100cm2 の一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成してなる耐熱シート材を別途作製した。
【0087】
以下、実施例1と同様にして外面層形成部材を作製して、同じく実施例1と同様の方法で球帯状シール体を作製した。この球帯状シール体における膨張黒鉛シートからなる耐熱材と、耐熱被膜を形成する炭化ホウ素、二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク、黒鉛及びリン酸アルミニウムとの重量比率は、耐熱材100に対し耐熱被膜26.32(炭化ホウ素1.32と二ホウ化クロム1.97とフッ化カルシウム0.65とタルク1.32と黒鉛7.9との混合物:13.16、リン酸アルミニウム:13.16)の割合となる。
【0088】
<実施例8>
耐熱シート材として、前記実施例1と同様の幅55mm、長さ550mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量11.6g)を用意した。濃度25%の第一リン酸アルミニウム水溶液を用意し、この水溶液30gに、平均粒径1.5μmの炭化ホウ素粉末10重量%と平均粒径7μmの金属ホウ化物(二ホウ化クロム)粉末15重量%と平均粒径4μmの金属フッ化物(フッ化カルシウム)粉末5重量%と平均粒径20μmの耐熱潤滑剤(タルク)粉末5重量%と平均粒径10μmの耐熱潤滑剤(合成マイカ)粉末5重量%と平均粒径18μmの黒鉛粉末60重量%とからなる混合粉末を7.5g配合し混合物を得た。この混合物を前記膨張黒鉛シートの表面全体にローラ塗りするという操作を2回繰り返し、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.5g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク、合成マイカ及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成し、これを耐熱シート材とした。
【0089】
実施例1と同様の補強材を用意し、該補強材と該耐熱シート材とで実施例1と同様にして筒状母材を作製した。耐熱シートとして、実施例1と同様の幅48mm、長さ212mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量3.9g)を別途用意し、上記混合物を膨張黒鉛シートの表面全体にローラ塗りするという操作を2回繰り返し、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.5g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク、合成マイカ及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成してなる耐熱シート材を別途作製した。
【0090】
以下、実施例1と同様にして外面層形成部材を作製して、同じく実施例1と同様の方法で球帯状シール体を作製した。この球帯状シール体における膨張黒鉛シートからなる耐熱材と、耐熱被膜を形成する炭化ホウ素、二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク、合成マイカ、黒鉛及びリン酸アルミニウムとの重量比率は、耐熱材100に対し耐熱被膜26.32(炭化ホウ素1.32と二ホウ化クロム1.97とフッ化カルシウム0.65とタルク0.65と合成マイカ0.65と黒鉛7.9との混合物:13.16、リン酸アルミニウム:13.16)の割合となる。
【0091】
<実施例9>
耐熱シートとして、前記実施例1と同様の幅55mm、長さ550mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量11.6g)を用意した。濃度25%の第一リン酸アルミニウム水溶液を用意し、この水溶液30gに、平均粒径1.5μmの炭化ホウ素粉末10重量%と平均粒径7μmの金属ホウ化物(二ホウ化タングステン)粉末15重量%と平均粒径4μmの金属フッ化物(フッ化リチウム)粉末5重量%と平均粒径7μmの耐熱潤滑剤(窒化ホウ素)粉末10重量%と平均粒径18μmの黒鉛粉末60重量%とからなる混合粉末を7.5g配合し混合物を得た。この混合物を前記膨張黒鉛シートの表面全体にローラー塗りするという操作を2回繰り返し、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.5g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、二ホウ化タングステン、フッ化リチウム、窒化ホウ素及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成し、これを耐熱シート材とした。
【0092】
実施例1と同様の補強材を用意し、該補強材と該耐熱シート材とで実施例1と同様にして筒状母材を作製した。耐熱シートとして、実施例1と同様の幅48mm、長さ212mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量3.9g)を別途用意し、上記混合物を膨張黒鉛シートの表面全体にローラ塗りするという操作を2回繰り返し、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.5g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、二ホウ化タングステン、フッ化リチウム、窒化ホウ素及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成した耐熱シート材を別途作製した。
【0093】
以下、実施例1と同様にして外面層形成部材を作製して、同じく実施例1と同様の方法で球帯状シール体を作製した。この球帯状シール体における膨張黒鉛シートからなる耐熱材と、耐熱被膜を形成する炭化ホウ素、二ホウ化タングステン、フッ化リチウム、窒化ホウ素、黒鉛及びリン酸アルミニウムとの重量比率は、耐熱材100に対し耐熱被膜26.32(炭化ホウ素1.32と二ホウ化タングステン1.97とフッ化カルシウム0.65と窒化ホウ素1.32と黒鉛7.9との混合物:13.16、リン酸アルミニウム:13.16)の割合となる。
【0094】
<実施例10>
前記実施例8と同様の筒状母材を作製した。
【0095】
耐熱シートとして、前記実施例1と同様の幅48mm、長さ212mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量3.9g)を別途用意し、この膨張黒鉛シートの表面全体に、前記実施例1と同様の混合物をローラ塗りするという操作を2回繰り返し、その後、乾燥炉にて230℃の温度で20分間乾燥させて、該膨張黒鉛シートの表面全体に0.5g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、フッ化カルシウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成した耐熱シート材を別途作製した。
【0096】
以下、実施例1と同様にして外面層形成部材を作製して、同じく実施例1と同様の方法で球帯状シール体を作製した。この球帯状シール体における膨張黒鉛シートからなる耐熱材と、耐熱被膜を形成する炭化ホウ素、二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク、黒鉛及びリン酸アルミニウムとの重量比率は、耐熱材100に対し耐熱被膜26.32(炭化ホウ素1.32、二ホウ化クロム1.47、フッ化カルシウム0.66、タルク1.32及び黒鉛8.39の混合物:13.16、リン酸アルミニウム:13.16)の割合となる。
【0097】
このようにして作製した球帯状シール体において、円筒内面から部分凸球面状の外面にかけてのその内部では、耐熱シートの表面全体に炭化ホウ素、二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとからなる耐熱被膜を備えてなる耐熱シート材と金網からなる補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成され、部分凸球面状の外面は、該耐熱被膜からなる外面層の露出面からなり、該外面層には、当該外面層に一体化された金網からなる補強材が配されており、外面層とこの外面層に混在一体化された金網からなる補強材とが露出した該部分凸球面状の外面は平滑な面に形成され、貫通孔を規定する円筒内面及び外面の大径側の端面には、該耐熱被膜からなる耐熱層が露出して形成されている。
【0098】
<実施例11>
前記実施例2と同様の筒状母材を作製した。
【0099】
耐熱シートとして、実施例1と同様の幅48mm、長さ212mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量3.9g)を別途用意し、前記実施例1と同様の混合物を使用し、同様の方法にて該膨張黒鉛シートの表面全体に0.5g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、フッ化カルシウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成してなる耐熱シート材を別途作製した。
【0100】
該耐熱シート材の一方の面の耐熱被膜の表面に、平均粒径7μmの窒化ホウ素85重量%、平均粒径0.6μmのアルミナ粉末15重量%からなる潤滑組成物を固形分として30重量%分散含有した水性ディスパージョン(窒化ホウ素25.5重量%、アルミナ4.5重量%及び水分70重量%)をローラ塗りし、乾燥するという被覆操作を3回繰り返して該潤滑組成物の表面層を形成し、以下、実施例1と同様の方法で表面層形成部材を作製した。
【0101】
以下、実施例1と同様の方法で球帯状シール体を作製した。この球帯状シール体における膨張黒鉛シートからなる耐熱材と、耐熱被膜を形成する炭化ホウ素、フッ化カルシウム、タルク、黒鉛及びリン酸アルミニウムとの重量比率は、耐熱材100に対し耐熱被膜26.32(炭化ホウ素1.32とフッ化カルシウム0.65とタルク1.32と黒鉛9.87との混合物:13.16、リン酸アルミニウム:13.16)の割合となる。
【0102】
このようにして作製した球帯状シール体において、円筒内面から部分凸球面状の外面にかけてのその内部では、耐熱シートの表面全体に耐熱被膜を備えてなる耐熱シート材と金網からなる補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成され、部分凸球面状の外面は、潤滑組成物の表面層からなる外面層の露出面からなり、該外面層には、当該外面層に一体化された金網からなる補強材が配されており、外面層とこの外面層に混在一体化された金網からなる補強材とが露出した該部分凸球面状の外面は平滑な面に形成され、貫通孔を規定する円筒内面及び部分凸球面状の外面の大径側の端面には、耐熱被膜からなる耐熱層が露出して形成されている。
【0103】
<実施例12>
前記実施例6と同様の筒状母材を作製した。
【0104】
耐熱シートとして、実施例1と同様の幅48mm、長さ212mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量3.9g)を別途用意し、前記実施例6と同様の混合物を使用し、同様の方法にて該膨張黒鉛シートの表面全体に0.3g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成し、これを耐熱シート材を別途作製した。
【0105】
該耐熱シート材の一方の面の耐熱被膜の表面に、平均粒径7μmの窒化ホウ素85重量%、平均粒径0.6μmのアルミナ粉末15重量%からなる混合物を100重量部とし、これに平均粒径0.3μmのポリテトラフルオロエチレン樹脂を50重量部含有した潤滑組成物(窒化ホウ素56.7重量%、アルミナ10重量%及びポリテトラフルオロエチレン樹脂33.3重量%)を固形分として30重量%分散含有した水性ディスパージョン(窒化ホウ素17重量%、アルミナ10重量%、ポリテトラフルオロエチレン樹脂10重量%及び水分70重量%)をローラ塗りし、乾燥するという被覆操作を3回繰り返して該潤滑組成物の表面層を形成し、以下、実施例1と同様の方法で外面層形成部材を作製した。
【0106】
以下、実施例1と同様の方法で球帯状シール体を作製した。この球帯状シール体における膨張黒鉛シートからなる耐熱材と、耐熱被膜を形成する炭化ホウ素、二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク、黒鉛及びリン酸アルミニウムとの重量比率は、耐熱材100に対し耐熱被膜15.8(炭化ホウ素0.79と二ホウ化クロム1.18とフッ化カルシウム0.4とタルク0.79と黒鉛4.74との混合物:7.9、リン酸アルミニウム:7.9)の割合となる。
【0107】
このようにして作製した球帯状シール体において、円筒内面から部分凸球面状の外面にかけてのその内部では、耐熱シートの表面全体に耐熱被膜を備えてなる耐熱シート材と金網からなる補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成され、部分凸球面状の外面は、潤滑組成物の表面層からなる外面層の露出面からなり、該外面層には、当該外面層に一体化された金網からなる補強材が配されており、外面層とこの外面層に混在一体化された金網からなる補強材とが露出した該部分凸球面状の外面は平滑な面に形成され、貫通孔を規定する円筒内面及び部分凸球面状の外面の大径側の端面には耐熱被膜からなる耐熱層が露出して形成されている。
【0108】
<実施例13>
前記実施例7と同様の筒状母材を作製した。
【0109】
耐熱シートとして、実施例1と同様の幅48mm、長さ212mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(膨張黒鉛シートの重量3.9g)を別途用意し、前記実施例6と同様の混合物を使用し、前記実施例7と同様の方法にて該膨張黒鉛シートの表面全体に0.5g/100cm2 の量で、かつ一様な厚さの耐熱被膜(炭化ホウ素、二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの重量比率は1:1)を形成してなる耐熱シート材を別途作製した。
【0110】
該耐熱シート材の一方の面の耐熱被膜の表面に、平均粒径7μmの窒化ホウ素85重量%、平均粒径0.6μmのアルミナ粉末15重量%からなる混合物を100重量部とし、これに平均粒径0.3μmのポリテトラフルオロエチレン樹脂を50重量部含有した潤滑組成物(窒化ホウ素56.7重量%、アルミナ10重量%及びポリテトラフルオロエチレン樹脂33.3重量%)を固形分として30重量%分散含有した水性ディスパージョン(窒化ホウ素17重量%、アルミナ10重量%、ポリテトラフルオロエチレン樹脂10重量%及び水分70重量%)をローラ塗りし、乾燥するという被覆操作を3回繰り返して該潤滑組成物の表面層を形成し、以下、実施例1と同様の方法で外面層形成部材を作製した。
【0111】
以下、実施例1と同様の方法で球帯状シール体を作製した。この球帯状シール体における膨張黒鉛シートからなる耐熱材と、耐熱被膜を形成する炭化ホウ素、二ホウ化クロム、フッ化カルシウム、タルク、黒鉛及びリン酸アルミニウムとの重量比率は、耐熱材100に対し耐熱被膜26.32(炭化ホウ素1.32と二ホウ化クロム1.97とフッ化カルシウム0.65とタルク1.32及び黒鉛7.9の混合物:13.16、リン酸アルミニウム:13.16)の割合となる。
【0112】
<比較例1>
耐熱シート材として、幅55mm、長さ550mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(前記実施例1と同じ)を、補強材として前記実施例1と同様の帯状金網(幅36mm、長さ360mm)を用意し、これらを重ね合わせるとともに該膨張黒鉛シート側を内側にしてうず巻き状に捲回し、最外周に膨張黒鉛シートが位置した筒状母材を作製した。
【0113】
幅48mm、長さ212mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(前記実施例1と同じ)の一方の表面に、平均粒径7μmの窒化ホウ素粉末85重量%、平均粒径0.6μmのアルミナ粉末15重量%から成る潤滑組成物を固形分として30重量%分散含有した水性ディスパージョン(窒化ホウ素25.5重量%、アルミナ4.5重量%、水分70重量%)をローラ塗りし、乾燥するという被覆操作を3回繰り返して該潤滑組成物の表面層を形成したのち、別途作製した帯状金網(幅53.5mm、長さ212mm)内に前記表面層を備えた膨張黒鉛シートを挿入すると共にこれらをローラ間に通して一体化させ、一方の面に潤滑組成物と金網とが混在した外面層形成部材を作製した。
【0114】
前記筒状母材の外周面に、この外面層形成部材を表面層側を外側にして捲回し、予備円筒成形体を作成したのち、前記実施例1と同様の方法で、内面に貫通孔を規定する円筒内面を備え、外面が部分凸球面状であって、この外面の大径側に環状の端面を備えた球帯状シール体を作製した。
【0115】
<比較例2>
前記比較例1と同様の筒状母材を作製した。幅48mm、長さ212mm、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(前記実施例1と同じ)の一方の表面に、平均粒径7μmの窒化ホウ素粉末85重量%、平均粒径0.6μmのアルミナ粉末15重量%から成る混合物を100重量部とし、これに平均粒径0.3μmのポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末を50重量部含有した潤滑組成物(窒化ホウ素56.7重量%、アルミナ10重量%、ポリテトラフルオロエチレン樹脂33.3重量%)を固形分として30重量%分散含有した水性ディスパージョン(窒化ホウ素17.0重量%、アルミナ3.0重量%、ポリテトラフルオロエチレン樹脂10.0重量%、水分70重量%)をローラ塗りし、乾燥するという操作を3回繰り返して該潤滑組成物の表面層を形成したのち、別途作製した帯状金網(幅53.5mm、長さ212mm)内に前記表面層を備えた膨張黒鉛シートを挿入すると共にこれらをローラ間に通して一体化させ、一方の面に潤滑組成物と金網とが混在した外面層形成部材を作製した。
【0116】
前記筒状母材の外周面に、この外面層形成部材を表面層を外側に巻き付けて予備円筒体を作製したのち、前記実施例1と同様の方法で、内面に貫通孔を規定する円筒内面を備え、外面が部分凸球面状であって、この外面の大径側に環状の端面を備えた球帯状シール体を作製した。
【0117】
つぎに、上述した実施例及び比較例からなる球帯状シール体について、図12に示す排気管継手を使用して、該シール体の1サイクル毎における摩擦トルク(kgf・cm)、異常音の発生の有無、ガス漏れ量及び球帯状シール体の酸化減量について試験した結果を説明する。
<試験方法>(試験I、試験IIとも)
室温において12ヘルツの振動数で±3°の揺動運動を1回として45,000回行なったのち、該揺動運動を継続しながら雰囲気温度を500℃(試験I)、700℃(試験II)まで昇温し(昇温中の揺動回数45,000回)、該雰囲気温度が500℃、700℃に到達した時点で115,000回の揺動運動を行い、ついで該揺動運動を継続しながら雰囲気温度を室温まで降温(降温中の揺動回数45,000回)するという全揺動回数250,000回を1サイクルとして4サイクル行う。
【0118】
また、異常音の発生の有無の評価はつぎのようにして行なった。
評価記号I :異常音の発生のないもの。
評価記号II :試験片に耳を近づけた状態で、かすかに異常音が聴こえるもの。
評価記号III:定位置(試験片から1.5m離れた位置)では生活環境音に消され、一般には判別しがたいが試験担当者には異常音として判別できるもの。
評価記号IV :定位置で誰でも異常音(不快音)として識別できるもの。
【0119】
ガス漏れ量(リットル/min)は、図18に示す排気管継手の一方の排気管100の開口部を閉塞し、他方の排気管300側から、0.5kgf/cm2 の圧力で乾燥空気を流入し、継手部分(球帯状シール体55の外面53と径拡大部301の凹球面部302との摺接部、球帯状シール体55の円筒内面52と排気管100の管端部101との嵌合部及び端面54と排気管100に立設されたフランジ200との当接部)からの漏れ量を流量計にて、試験初期、250,000回後、500,000回後及び1,000,000回後の4回測定した。
【0120】
酸化減量は、試験前、後の球帯状シール体の重量の変化を測定した。実施例及び比較例の球帯状シール体の試験前の重量(g)を表1に示す。
(以下余白)
【0121】
【表1】
【0122】
表2〜表9は、上記試験方法によって得られた試験I及び試験IIの試験結果である。
(以下余白)
【0123】
【表2】
(以下余白)
【0124】
【表3】
(以下余白)
【0125】
【表4】
(以下余白)
【0126】
【表5】
(以下余白)
【0127】
【表6】
(以下余白)
【0128】
【表7】
(以下余白)
【0129】
【表8】
(以下余白)
【0130】
【表9】
【0131】
表中、1は揺動回数0(試験開始初期)での結果、2は揺動回数25万回での結果、3は揺動回数50万回での結果、4は揺動回数100万回での結果を示したものである。試験Iの結果からは実施例と比較例との間に性能の差は認められず、両者とも摩擦トルクが低く、かつ異常摩擦音の発生も認められず、ガス漏れ量も0.15リットル/min以下という良好な性能を発揮した。
【0132】
しかし、試験IIの結果からは実施例と比較例との間に歴然とした性能の差が認められた。すなわち、比較例からなる球帯状シール体は凹球面部の外表面温度が700℃という高温条件では、ガス漏れ量及び酸化減量の結果から明らかなように、揺動回数の増加に伴い耐熱シートである膨張黒鉛の酸化が進行し、揺動回数が50万回を超えると急激に膨張黒鉛に酸化による消耗が認められ、形崩れ等を生じ、シール体としての機能が消滅した。一方、実施例からなる球帯状シール体は、耐熱シートの表面全体に耐熱被膜が形成されており、シール体自体の耐熱性が高められているため、凹球面部の外表面温度が700℃という高温条件においても膨張黒鉛の酸化消耗は低く抑えられ、シール体としての機能は揺動回数が100万回を超えても依然発揮されるものであった。
【0133】
また、球帯状シール体の酸化減量の結果から明らかなように、実施例1〜実施例13の球帯状シール体は700℃という高温条件下においても、耐熱被膜成分の効果により耐熱材である膨張黒鉛の酸化消耗は低く抑えられており、シール体自体の酸化減量は低い値を示した。
【0134】
【発明の効果】
本発明の球帯状シール体は、円筒内面から部分凸球面状の外面にかけてのその内部では、耐熱シートの表面全体に耐熱被膜を備えてなる耐熱シート材と金網からなる補強材とが互いに絡み合って構造的一体性を有し、該シール体自体の耐熱性が高められているので、700℃という高温条件においてもシール体としての機能を十分発揮するものである。また、製造方法においては、耐熱被膜中に耐熱潤滑剤が配合されているため、成形時、該耐熱被膜の金型表面への付着を防止する離型剤的な役割を発揮するため、成形時及び成形後の取り出し操作を円滑に行うことができる。さらに、製造方法においては、膨張黒鉛シート等の表面全体に耐熱被膜を形成するという工程が加わるだけで、従来の製造方法における製造工程を大幅に変更する必要を生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の球帯状シール体を示す縦断面説明図である。
【図2】本発明の球帯状シール体の部分凸球面状の外面の部分拡大断面説明図である。
【図3】本発明の球帯状シール体の製造工程における耐熱シートの斜視図である。
【図4】本発明の球帯状シール体の製造工程における耐熱被膜が形成された耐熱シート材の断面図である。
【図5】本発明の球帯状シール体の製造工程における金網からなる補強材の形成方法の説明図である。
【図6】本発明の球帯状シール体の製造工程における筒状母材の平面説明図である。
【図7】本発明の球帯状シール体の製造工程における筒状母材の縦断面説明図である。
【図8】本発明の球帯状シール体の製造工程における表面層形成部材の形成方法の説明図である。
【図9】本発明の球帯状シール体の製造工程における表面層形成部材の形成方法の説明図である。
【図10】本発明の球帯状シール体の製造工程における予備円筒成形体の平面説明図である。
【図11】本発明の球帯状シール体の製造工程における金型中に予備円筒成形体を挿入した状態を示す縦断面説明図である。
【図12】本発明の球帯状シール体の製造工程における潤滑組成物からなる表面層を形成した耐熱シート材の断面説明図である。
【図13】本発明の球帯状シール体の製造工程における表面層形成部材の形成方法の説明図である。
【図14】本発明の球帯状シール体の製造工程における表面層形成部材の形成方法の説明図である。
【図15】本発明の球帯状シール体の製造工程における予備円筒成形体の平面説明図である。
【図16】本発明の球帯状シール体を示す縦断面説明図である。
【図17】本発明の球帯状シール体の部分凸球面状の外面の部分拡大断面説明図である。
【図18】本発明の球帯状シール体を組込んだ排気管継手の縦断面説明図である。
【符号の説明】
51 貫通孔
52 円筒内面
53 外面
54 端面
55 球帯状シール体
Claims (16)
- 中央部に貫通孔を規定する円筒内面を備え、外面が部分凸球面状に形成され、この外面の大径側に環状の端面を備えた、とくに排気管継手に使用される球帯状シール体であって、該円筒内面から部分凸球面状の外面にかけてのその内部では、圧縮された金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されて圧縮された耐熱材とを主として具備し、更に、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と黒鉛及び耐熱潤滑剤とリン酸アルミニウムとを、補強材及び耐熱材と混在一体化させて具備し、部分凸球面状の外面は、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とリン酸アルミニウムとからなる外面層とこの外面層に混在一体化された金網からなる補強材とが露出した平滑な面に形成されていることを特徴とする球帯状シール体。
- 外面層には、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方並びに金属フッ化物、耐熱潤滑剤及び黒鉛と、リン酸アルミニウムとが重量比率で1:0.5〜3の割合で含まれており、この割合下における炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とにおいて、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合で含まれている請求項1に記載の球帯状シール体。
- 円筒内面から部分凸球面状の外面にかけての内部には、重量比率において、耐熱材100に対し、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とリン酸アルミニウムとが5〜45の割合で含まれている請求項1又は2に記載の球帯状シール体。
- 円筒内面から部分凸球面状の外面にかけての内部には、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方並びに金属フッ化物、耐熱潤滑剤及び黒鉛と、リン酸アルミニウムとが重量比率で1:0.5〜3の割合で含まれており、この割合下における炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とにおいて、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合で含まれている請求項1から3のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
- 該貫通孔を規定する円筒内面及び部分凸球面状の外面の大径側の端面には、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と黒鉛及び耐熱潤滑剤とリン酸アルミニウムとからなる耐熱層が露出している請求項1から4のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
- 耐熱層には、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方並びに金属フッ化物、耐熱潤滑剤及び黒鉛と、リン酸アルミニウムとの重量比率が1:0.5〜3の割合で含まれており、この割合下における炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とにおいて、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合で含まれている請求項5に記載の球帯状シール体。
- 耐熱材は、膨張黒鉛、マイカ及びアスベストのうちの一種又は二種以上から選択されたものである請求項1から6のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
- 中央部に貫通孔を規定する円筒内面を備え、外面が部分凸球面状に形成され、この外面の大径側に環状の端面を備えた、とくに排気管継手に使用される球帯状シール体であって、該円筒内面から部分凸球面状の外面にかけてのその内部では、耐熱シートの表面全体に炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とリン酸アルミニウムとの混合物からなる耐熱被膜を備えた耐熱シート材と金網からなる補強材とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されており、該部分凸球面状の外面は、耐熱被膜からなる外面層とこの外面層に混在一体化された金網からなる補強材とが露出した平滑な面に形成されていることを特徴とする球帯状シール体。
- 該貫通孔を規定する円筒内面及び部分凸球面状の外面の大径側の端面には、該耐熱被膜からなる耐熱層が露出している請求項8に記載の球帯状シール体。
- 耐熱シートと耐熱被膜との重量比率が、耐熱シート100に対し耐熱被膜5〜45の割合である請求項8又は9に記載の球帯状シール体。
- 耐熱被膜は、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方並びに金属フッ化物、耐熱潤滑剤及び黒鉛と、リン酸アルミニウムとが重量比率で1:0.5〜3の割合で含まれており、この割合下における炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方と金属フッ化物と耐熱潤滑剤及び黒鉛とにおいて、炭化ホウ素及び金属ホウ化物のうちの少なくとも一方が5〜20重量%、金属フッ化物が3〜15重量%、耐熱潤滑剤が5〜25重量%、黒鉛が50〜80重量%の割合で含まれてなる混合物からなる請求項8から10のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
- 耐熱シートは、膨張黒鉛、マイカ及びアスベストのうちの一種又は二種以上から選択されたものである請求項8から11のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
- 金属ホウ化物は、元素周期律表の第IVa族、第Va族及び第VIa族の中から選択されたものである請求項1から12のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
- 金属ホウ化物は、ホウ化チタン、二ホウ化チタン、二ホウ化ジルコニウム、十二ホウ化ジルコニウム、二ホウ化ハフニウム、二ホウ化バナジウム、二ホウ化ニオブ、二ホウ化タンタル、ホウ化クロム、二ホウ化クロム、ホウ化モリブデン、二ホウ化モリブデン、ホウ化二モリブデン、五ホウ化二モリブデン、ホウ化タングステン、二ホウ化タングステン、ホウ化二タングステン及び五ホウ化二タングステンから選択されたものである請求項1から13のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
- 金属フッ化物は、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム及びフッ化バリウムのうちの一種又は二種以上から選択されたものである請求項1から14のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
- 耐熱潤滑剤は、タルク、マイカ及び窒化ホウ素のうちの一種又は二種以上から選択されたものである請求項1から15のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
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