JP4487115B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は空気入りタイヤに関し、更に詳しくは氷雪路での制動性能および駆動性能を向上した氷雪路用の空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、氷雪路用の空気入りタイヤは、トレッド面にタイヤ周方向に延びる複数本の主溝と、この主溝に交差する多数の副溝とにより区画した多数のブロックを形成し、これらブロックにサイプを設けた構成になっている。このような氷雪路用タイヤは、氷雪路上を走行する際の制動力や駆動力を、ブロック周縁やサイプによって形成されるエッジを氷雪路面に係合させる摩擦力により発生させるようになっている。
【0003】
従来、このようなブロックエッジやサイプエッジの作用により発生させる氷雪路性能を更に向上するため、例えばブロックに設けたサイプをジグザグ状にしたり、サイプの向きを限定したりする多数の試みが提案されているが、いずれも限界があり、一定以上のレベルにまで向上させるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、氷雪路での制動性能および駆動性能を一層向上するようにした空気入りタイヤを提供することにある。本発明の第2の目的は初期の制動性能および駆動性能をタイヤの摩耗に拘らず維持することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、トレッド面にブロック及び/又はリブを設けた空気入りタイヤにおいて、前記ブロック及び/又はリブの表面に、赤道面に平行な断面での断面形状がトレッド面方向に対して同一方向に傾斜した傾斜面をもつ多数の突起が直列に並ぶ鋸刃状の突起列と、前記傾斜面と反対方向に傾斜した傾斜面をもつ多数の突起が直列に並ぶ鋸刃状の突起列とを、タイヤ幅方向に混在するように複数列配置することを特徴とする。
【0006】
このように、ブロック及び/又はリブの表面に鋸刃状に形成した突起列の各突起はそれぞれ鋭角状のエッジを形成するため、氷雪路面に対する摩擦力が従来のブロックエッジやサイプエッジから得られる摩擦力よりも大きくすることができる。しかも、タイヤ周方向に対する傾斜方向が互いに反対方向の2種類の突起列を混在配置したため、制動時および駆動時の双方において大きなエッジ効果を発揮させることができる。
【0007】
上記第2の目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、上述の空気入りタイヤにおいて、各突起列にてタイヤ周方向に隣接する突起同士の境界にサイプを設けることを特徴とする。
【0008】
このように、ブロック及び/又はリブの表面でタイヤ幅方向に配列する鋸刃状の突起列の突起同士の間にサイプを配置したため、各突起の傾斜面の摩耗を同一の傾斜状態を維持したまま深さ方向に進行させることが可能になり、初期の制動性能および駆動性能を永続させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの一例であり、(A)はトレッド部の子午線断面、(B)はトレッド面の一部を示す展開図である。
【0011】
図1(A)(B)において、タイヤの内側にはカーカス層3が骨格として設けられ、このカーカス層3とトレッド部1との間に複数枚のベルト層4が設けられている。トレッド部1のトレッド面1aにはタイヤ周方向に延びる複数本の主溝2が設けられ、これら主溝2に交差するように副溝5が設けられ、上記主溝2と副溝5により多数のブロック6が区画形成されている。Tはタイヤ周方向を示し、CLはセンターラインである。
【0012】
各ブロック6の表面には、多数の突起7がタイヤ周方向Tに直列に並ぶ突起列と、多数の突起8が直列に並ぶ突起列とがタイヤ幅方向に交互に配置されている。また、各突起列において、タイヤ周方向に隣接する突起7同士の間及び突起8同士の間には、それぞれサイプ9が設けられている。
【0013】
図2に示すブロック6の拡大図において、赤道面に平行なX−X矢視断面図を図3(A)に、同じく赤道面に平行なY−Y矢視断面図を図3(B)にそれぞれ示すように、突起7と8とはそれぞれトレッド面方向Sに対して互いに反対方向に傾斜した傾斜面11,12を有し、かつそれぞれがタイヤ周方向に並ぶ鋸刃状の突起列を形成している。
【0014】
そして、これら突起7の突起列と突起8の突起列とは、タイヤ幅方向に交互に並んでいる。図3(A)(B)において、図の上方側を路面とし、タイヤが右方向に進行すると仮定すると、図3(A)の突起列の突起7は先端エッジ7eが氷雪路面に係合して駆動力を発生する。また、図3(B)の突起列の突起8は同じく先端エッジ8eが氷雪路面に係合して制動力発生する。この場合、突起7,8の先端エッジ7e,8eは鋭角であるため、従来のブロックエッジやサイプエッジよりも大きな制駆動力を発生する。
【0015】
突起7の突起列と突起8の突起列とは必ずしも1列ずつ交互に並ぶ必要はなく、2列以上の複数列ずつ交互であっても或いはランダム列ずつの交互であってもよい。しかし、図示の例のように1列ずつ交互に並べることにより、制動性能と駆動性能の双方が均等に働くようになるため好ましい。
【0016】
上述した構成において、突起7のタイヤ幅方向長さAおよび突起8のタイヤ幅方向長さBは同じであっても、異なっていてもよい。これらA,Bの大きさとしては、いずれも0.5〜10mmが好ましい。0.5mmより小さくては制駆動作用の向上効果が小さく、また10mmより大きいと制動力と駆動力とをバランスよく発揮することが難しい。
【0017】
また、突起7の高さDおよび突起8の高さEは同じでもよいし、異なっていてもよい。これら高さD,Eの大きさとしては、いずれも5μm〜1.0mmが好ましい。5μmよりも低いと十分なエッジ効果が得られなくなり、また1.0mmより大きくても突起の剛性不足から同じくエッジ効果が低下する。
【0018】
さらに、突起7のタイヤ周方向長さPおよび突起8のタイヤ周方向長さQは同じであってもよいし、異なってもよい。これらP,Qの大きさとしてはいずれも0.5〜10mmが好ましい。0.5mmよりも小さくてはエッジ効果が得られなくなり、また10mmより大きくてはエッジ数が少なくなって、制駆動性能が低下する。
【0019】
図2および図3(A)(B)に示したように、突起7の突起列及び突起8の突起列において、それぞれタイヤ周方向に隣接する突起−突起間の境界にサイプ9を設けると、各突起7,8の撓みを大きくすることにより制駆動力を増大するほか、さらに各突起7,8の傾斜面11,12の摩耗をほぼ同一の傾斜角度を維持して摩耗するようになる。したがって、タイヤの摩耗が進んでも初期の制動性能および駆動性能を維持することができる。
【0020】
以上は、トレッド面に主溝と副溝によりブロックを区画形成したブロックパターンの場合について説明したが、本発明はリブパターンやリブ/ブロック併合パターンのタイヤにも適用することができる。
【0021】
【発明の効果】
上述したように本発明の空気入りタイヤによれば、ブロック及び/又はリブの表面に鋸刃状に形成した突起列の各突起はそれぞれ鋭角状のエッジを形成するため、氷雪路面に対する摩擦力が従来のブロックエッジやサイプエッジから得られる摩擦力よりも大きくすることができる。しかも、タイヤ周方向に対する傾斜方向が互いに反対方向の2種類の突起列を混在配置したため、制動時および駆動時の双方において大きなエッジ効果を発揮させることができる。
【0022】
また、本発明では、ブロック及び/又はリブの表面でタイヤ幅方向に配列する鋸刃状の突起列の突起同士の間にサイプを配置することにより、各突起の傾斜面の摩耗を同一の傾斜状態を維持したまま深さ方向に進行させることが可能になり、初期の制動性能および駆動性能を永続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一例であり、(A)はトレッド部の子午線断面を示す断面図、(B)はトレッド面の一部を示す展開図である。
【図2】図1(B)のブロックを拡大した展開図である。
【図3】(A)は図2におけるX−X矢視断面図であり、(B)は図2におけるY−Y矢視断面図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
1a トレッド面
2 主溝
5 副溝
6 ブロック
7,8 突起
7e,8e (突起の)エッジ
9 サイプ
11,12 傾斜面
T タイヤ周方向
Claims (2)
- トレッド面にブロック及び/又はリブを設けた空気入りタイヤにおいて、前記ブロック及び/又はリブの表面に、赤道面に平行な断面での断面形状がトレッド面方向に対して同一方向に傾斜した傾斜面をもつ多数の突起が直列に並ぶ鋸刃状の突起列と、前記傾斜面と反対方向に傾斜した傾斜面をもつ多数の突起が直列に並ぶ鋸刃状の突起列とを、タイヤ幅方向に混在するように複数列配置した空気入りタイヤ。
- 各突起列においてタイヤ周方向に隣接する突起同士の境界にサイプを配置した請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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