JP4486965B2 - カーテンエアバッグ装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両の非常(ロールオーバ,側面衝突,横転等)時に、エアバッグ(バッグ本体)を窓の内側にカーテン状に展開して乗員を保護するカーテンエアバッグ装置に関する。
一般に、車室側方の窓ガラスの上部には、ヘッドライニング(ルーフ)で覆われたインナーパネル(ボディーパネル)が設けられている。ヘッドライニングとインナーパネルとで形成される空間には、ブラケットを備えたサイドレール(又はサイドレールを兼ねるブラケット)が設けられ、そのサイドレールにカーテンエアバッグのバッグ本体が収容される。サイドレールは、インナーパネルに対してボルト等で固定される。(特許文献1,特許文献2)。作動時においては、インフレータから供給されるガスによってバッグ本体が膨張し、ヘッドライニングの下縁を押し広げて車内に展開するようになっている。
特開2001−219807号公報(〔0002〕〜〔0008〕,〔0016〕、図2,3,4、図6(A),(B)、図9,10,11) 特開2002−187518号公報(〔0003〕,〔0004〕,〔0031〕、図1(A)〜(C)、図4(A),(B)、図10(A),(B))
しかしながら、車両が側面衝突(側突)した際に、ピラー(特に、センターピラー)が大きく変形し、バッグ本体が展開し難くい場合があった。すなわち、内部でバッグ本体が膨張しても、ヘッドライニングが外れ難くなり、バッグ本体の展開時間の遅延、乗員の拘束不十分という事態を招く恐れがあった。
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、バッグ本体が、より速やかに、且つ、確実に膨張展開できるカーテンエアバッグ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るカーテンエアバッグ装置は、車両の窓上縁に配置されたヘッドライニング内側に収容され、作動時に前記ヘッドライニング下端から車両内に向かって膨張展開するバッグ本体と;前記バッグ本体に膨張ガスを供給するガス供給装置とを備える。そして、前記バッグ本体は、作動時に膨張する複数のチャンバー部と;当該チャンバー部の上方において前記窓上縁に沿って延び、各チャンバー部に前記ガスを分配するダクト部とを有する。また、前記ダクト部は、展開時において、下端が前記ヘッドライニング下端よりも下側に配置される拡張領域を有する。
また、本発明の第2の態様に係るカーテンエアバッグ装置は、車両の窓上縁に配置されたヘッドライニング内側に収容され、作動時に前記ヘッドライニング下端から車両内に向かって膨張展開するバッグ本体と;前記バッグ本体に膨張ガスを供給するガス供給装置とを備える。そして、前記バッグ本体は、作動時に膨張する複数のチャンバー部と;当該チャンバー部の上方において前記窓上縁に沿って延び、各チャンバー部に前記ガスを分配するダクト部とを有する。また、前記ダクト部は、展開時にヘッドライニングを押し広げる拡張領域を有し、当該拡張領域が、展開時に前記ダクト部の下端より下側に延長されるように構成されている。
上記のように、エアバッグ本体において、展開時におけるダクト部の下端が前記ヘッドライニングの下端よりも下側に配置される構造であるため、ダクト部が膨張した時にヘッドライニングが車室側に大きく押し開かれる。このため、側面衝突の際に、ピラー(特に、センターピラー)が変形した場合にも、バッグ本体が速やか且つ、十分に展開可能となる。
好ましくは、前記拡張領域は、少なくとも前記車両の車体ピラー付近に形成する。また、前記ダクト部の一端から他端に向かって前記ガスを供給する構成の場合には、前記拡張領域は、少なくとも前記車両の車体ピラーと重なり、且つ、当該ピラーのガス上流側にはみ出した状態で大きめに形成されることが好ましい。
更に好ましくは、前記拡張領域は、少なくとも前記車両の車体ピラーと重なり、且つ、当該拡張領域のガス上流側に隣接する前記チャンバー部と当該拡張領域との境界が開口している構成とする。
また、前記拡張領域には、少なくとも前記車両の車体ピラーと重なり、且つ、当該拡張領域のガス下流側に隣接する前記チャンバー部と当該拡張領域との間にガスの流れをさえぎる境界を設けることが好ましい。
加えて、前記拡張領域は、少なくとも前記車両の車体ピラーと重なり、且つ、当該拡張領域の車体ピラーと重なる部分の下端が、当該拡張領域の他の部分よりも更に下側に設けられている構成とすることが好ましい。
なお、上下方向は車両の中心から見て車体の天井方向を「上」とし、床方向を「下」とする。また、ガスの上流・下流とは、ガスの流れに対して、川の流れと同様に上流・下流を意味する。
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施例に係るカーテンエアバッグを備えた車室部分の断面図である。図1に示すように、例えば、乗用車タイプの車両において、車室の側方には窓ガラス12が設けられている。窓ガラス12の上部には、ヘッドライニング13に覆われたインナーパネル14が設けられている。インナーパネル14には、カーテンエアバッグ装置10が、ボルト15によって固定されている。
カーテンエアバッグ装置10は、車両の窓上縁に配置されたヘッドライニング13に覆われた状態で収容され、作動時にヘッドライニング13とインナーパネル14との隙間から下方に向かって膨張展開することで車両内の乗員Mを保護するバッグ本体18と;バッグ本体18に膨張ガスを供給するガス供給装置(図示せず)とを備えている。
カーテンエアバッグ装置10は、窓ガラス12上部に沿って設けられた横長のスリーブ状サイドレール16と、サイドレール16を支持するブラケット17とを更に備えている。バッグ本体18は、サイドレール16内部に収容される。バッグ本体18は、2枚のシートを重ね合わせて縫合、接着又は溶着により袋状にしたもの、または、1枚織りで袋部が形成されたものである。サイドレール16は、その底部中央にティアライン16aがレールに沿って形成されている。このティアライン16aは、車両の非常時、展開ガスの供給によるバッグ本体18の拡張展開によって開口され、バッグ本体18が開口されたサイドレール16底部から押し出されるようになっている。バッグ本体18を収容したサイドレール16は、ブラケット17を介してボルト15等でインナーパネル14に固定されている。本例では、このようにサイドレール16を用いているが、サイドレールを用いず、バッグ本体18に直接ブラケット17が固定されるような構成を採用することができる。
図2は、バッグ本体18を展開した状態を示す。バッグ本体18は、作動時に膨張する複数のチャンバー部24と;当該チャンバー部24の上方においてサイドレール16に沿って延び、各チャンバー部24にガスを分配するダクト部22とを有する。ダクト部22は、当該ダクト部の下端よりも下側に延長されるように構成される拡張領域22aを有する。より好ましくは、拡張領域22aの展開時の下端がヘッドライニング13の下端よりも下側に配置される(深さが大きい)。バッグ本体18の畳み方は、特に限定されず、所謂「蛇腹折り」、「ロール」等の様々な方法を採用することができる。
ここで、拡張領域22aとそのガス上流側に隣接するチャンバー24aとが実質的につながり、その境界部分22bが開口していると、早くガスが流入できることにより、この拡張領域22aが速やかに展開し、ヘッドライニング13をより確実に押し広げることができる。拡張領域22aはとそのガス下流側に隣接するチャンバー24bとの間に、ガスの流れをさえぎる境界22cを設けると、拡張領域22aに流入したガスが滞留しやすくなり、ヘッドライニング13の押し広げに対してより効果的である。拡張領域22aのピラー26と重なる部分22dが、拡張領域22aの他の部分よりも更に下側に延長され、その下端が、拡張領域22aのその他の下端部よりも更に下側に設けられると、ガスがより効果的に拡張領域22aに保持され、ヘッドライニングを更に確実に押し広げられるため、好ましい。
図3(A),(B)は、非作動時及び展開時のバッグ本体18の収容状態を各々示す。なお、説明の便宜上、サイドレール16等の部材の図示を省略する。(B)に示すように、ダクト部22の拡張領域22aは、展開時の下端B2がヘッドライニング13の下端B1よりもB3だけ下側に配置されている。図2にも示されているように、拡張領域22aは、少なくともピラー26と重なった位置にあり、好ましくは、ガスの上流側(図の右側)に延長して形成される。言い換えると、拡張領域22aの位置は、ガスの上流側に大きめにはみ出した格好となる。このように、拡張領域22aは、ピラー26の幅よりも大きめに成形することが好ましい。特に、ピラー26のガス上流側(図の右側)にはみ出した形状とすることにより、側面衝突でピラー26が変形したような場合にも、その影響を低減し、確実にヘッドライニング13を押し広げてスムーズに展開可能となる。なお、本実施例においては、下方向に幅の広い「拡張領域22a」をダクト部22の一部に形成しているが、ダクト部22の全体に渡って形成することもできる。
本発明に係るカーテンエアバッグ装置は、乗用車タイプの車両のみならず、ワンボックスタイプ等、種々のタイプの車両に適用できることは言うまでもない。
車両走行中に、ロールオーバ,側面衝突,横転等の非常事態になると、車両に備えられたセンサがその異常な振動をキャッチして、その信号を基に発火信号を図示せぬインフレータ(ガス発生装置)に送る。インフレータ内部には、センサからの発火信号を受けてインフレータを駆動させるプロペラントが備えられており、プロペラントによってインフレータが作動する。インフレータの作動によって、バッグ本体18のダクト部22の端部開口から展開ガスが供給される。
ダクト部22を図2の右から左方向に流れるガスは、途中に設けられたチャンバー部24に分配される。バッグ本体18が膨張すると、サイドレール16の底部に形成されたティアライン16aが開口され、またサイドレール16の直下に位置するヘッドライニング13が押し広げられる(弾き飛ばされる)。その後、バッグ本体18は、窓ガラス12を案内にして滑るように垂直に降下して、窓ガラス12の側面を覆うことにより、乗員(M)を保護する。
本実施例においては、ピラー26の周辺において、ダクト部22の深さD(図2)を大きくしているため、図3(B)に示すように、確実且つ、大きくヘッドライニング13を押し広げて、バッグ本体18が速やか、且つ、確実に展開可能となる。このため、側面衝突でピラー26が変形したような場合にも、その影響が低減され、エアバッグの展開動作の確実性・信頼性が向上する。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想を逸脱しない範囲で種々の設計変更等が可能である。
図1は、本発明の実施例に係るカーテンエアバッグ装置を備えた車室部分の断面図である。 図2は、実施例にかかるカーテンエアバッグ装置に使用されるエアバッグ本体の構造を示す縦断面図である。 図3(A),(B)は、実施例に係るカーテンエアバッグ装置の動作を示す断面図である。
符号の説明
10 カーテンエアバッグ装置
13 ヘッドライニング
14 インナーパネル
18 バッグ本体
22 ダクト部
22a 拡張領域
24 チャンバー部
26 ピラー

Claims (4)

  1. 車両の窓上縁に配置されたヘッドライニング内側に収容され、作動時に前記ヘッドライニング下端から車両内に向かって膨張展開するバッグ本体と;
    前記バッグ本体に膨張ガスを供給するガス供給装置とを備え、
    前記バッグ本体は、作動時に膨張する複数のチャンバー部と;当該チャンバー部の上方において前記窓上縁に沿って延び、各チャンバー部に前記ガスを分配するダクト部とを有し、
    前記ダクト部は、展開時において、下端が前記ヘッドライニング下端よりも下側に配置される拡張領域を有し
    前記ガス供給装置は、前記ダクト部の一端から他端に向かって前記ガスを供給する構成であり、
    前記拡張領域にガスが一時的に滞留するように、当該拡張領域のガス上流側が下流側よりも広く成形されていることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
  2. 前記拡張領域のガス上流側に隣接する前記チャンバー部と当該拡張領域との境界が、開口していることを特徴とする請求項1に記載のカーテンエアバッグ装置。
  3. 前記拡張領域は、少なくとも前記車両の車体ピラーと重なるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーテンエアバッグ装置。
  4. 前記拡張領域の車体ピラーと重なる部分の下端が、当該拡張領域の他の部分よりも更に下側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のカーテンエアバッグ装置。
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