JP4486829B2 - 生分解性ポリマー材料の加水分解性を促進する方法 - Google Patents

生分解性ポリマー材料の加水分解性を促進する方法 Download PDF

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Description

本発明は、生分解性ポリマー材料の加水分解性制御方法に関する。
近年、地球環境保護、従来の石油資源由来のプラスチックの廃棄物処理問題などの観点から、自然環境において分解する生分解性樹脂及び生分解性樹脂成形体の開発が行われている。「地球温暖化対策技術開発に関する調査・生分解性プラスチックの普及に関する調査研究」,平成14年3月,新エネルギー・産業技術総合開発機構,の「第3章 生分解性プラスチックの普及のための課題」p.54-55 には、生分解性プラスチックの物性の改善が必要であること、生分解速度の制御が必要であること、等が述べられている。また、同文献のp.49においては、生分解性プラスチックの水分存在下での耐久性試験の必要性に言及されている。
ポリ乳酸系の生分解性プラスチックに関するものとして、例えば、特開平2−117号公報には、ポリ−D,L−ラクチド担体物質中に、酢酸エステル等の可塑剤を含有させることが開示されている。
特開平4−335060号公報には、ポリ乳酸、又は乳酸とヒドロキシカルボン酸のコポリマー、ポリ乳酸とヒドロキシカルボン酸のポリマーの混合物を主成分とし、可塑剤を含む熱可塑性分解性ポリマー組成物が開示されている。可塑剤としては、フタル酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、リン酸エステル等が挙げられている。
特開平8−199052号公報には、ポリ乳酸と、ポリアルキレンエーテルとが共重合された共重合ポリ乳酸の中に、ポリアルキレンエーテルを主成分とする可塑剤が混合されている可塑化されたポリ乳酸組成物が開示されている。
特開平8−283557号公報には、乳酸を主成分とする重合体の中に、脂肪族ジカルボン酸及び鎖状分子ジオールを主成分とする脂肪族ポリエステルからなる可塑剤が混合されている可塑化されたポリ乳酸組成物が開示されている。
平成13年度調査報告書,「地球温暖化対策技術開発に関する調査・生分解性プラスチックの普及に関する調査研究」,平成14年3月,新エネルギー・産業技術総合開発機構,委託先 株式会社三菱総合研究所,[平成15年12月12日検索],インターネット<URL:http://www.nedo.go.jp/get/toppics_pdf/10.pdf> 特開平2−117号公報 特開平4−335060号公報 特開平8−199052号公報 特開平8−283557号公報
生分解性ポリマーには、それが用いられる用途に応じた加水分解性が要求される。本発明者らは、生分解性ポリマーに生分解性ポリマー以外のポリマー及び/又は相溶化剤(Compatibilizer)を配合することによって、生分解性ポリマーの加水分解性を制御することができることを見いだした。
本発明の目的は、生分解性ポリマー材料の加水分解性を制御する方法を提供することにある。
本発明には、以下の発明が含まれる。
(1) 生分解性ポリマーであるポリブチレンサクシネート(PBS)100重量部に対して、ポリエチレンテレフタレート(PET)0.1〜100重量部、及び相溶化剤としてエチレングリシジルメタクリレート共重合体0.1〜100重量部を配合して、生分解性ポリマー材料の加水分解性を促進する方法。
本発明によれば、生分解性ポリマー(a)に、前記ポリマー(a)以外のポリマー(b)及び/又は相溶化剤(c)を配合することによって、生分解性プラスチック材料の加水分解性を制御することができる。本発明を適用することによって、用途に適した加水分解性を有する生分解性ポリマー材料が提供される。
本発明が適用される生分解性ポリマー(a)としては、特に限定されることなく公知の種々の脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂が挙げられる。脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂としては、例えば、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)等のポリ(α−ヒドロキシ酸); ポリ−β−ヒドロキシ酪酸(PHB)等のポリ(β−ヒドロキシアルカノエート); ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)等のポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート); ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンサクシネート(PES)等のポリアルキレンアルカノエート等が挙げられる。これらの樹脂は、単独重合体であってもよく、共重合可能な成分との共重合体であってもよい。これらの樹脂は、公知の方法により合成することができる。
生分解性ポリマー(a)は、その種類によって、又は同種のものであってもその分子量等によって、加水分解性がある程度異なる。生分解性ポリマー(a)が用いられる用途に応じた加水分解性に制御するために、前記ポリマー(a)以外のポリマー(b)及び/又は相溶化剤(c)を配合する。
前記ポリマー(a)以外のポリマー(b)としては、特に限定されることなく公知の種々のポリマーを用いることができ、比較的親水的なポリマーを用いると生分解性ポリマー(a)の加水分解が促進され、比較的疎水的なポリマーを用いると生分解性ポリマー(a)の加水分解が抑制される。比較的親水的なポリマーとしての代表的なものを例示すれば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレートの共重合体、ポリブチレンテレフタレートの共重合体、ポリエチレンナフタレートの共重合体等のポリエステル系樹脂; ナイロン系樹脂等が挙げられる。比較的疎水的なポリマーとしての代表的なものを例示すれば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂; スチレン系樹脂等が挙げられる。ポリエチレンには、極低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが含まれる。ポリマー(b)は、次の相溶化剤(c)とは異なるものである。
相溶化剤(c)としては、アイオノマー樹脂(A)、オキサゾリン系相溶化剤(B)、エラストマー系相溶化剤(C)、反応性相溶化剤(D)、及び共重合体系相溶化剤(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種の相溶化剤を用いることができる。相溶化剤(c)は、前記ポリマー(a)及びポリマー(b)以外のものである。生分解性ポリマー(a)に相溶化剤(c)を配合すると、一般に生分解性ポリマー(a)の加水分解が抑制される。加水分解の抑制度合いは、上記相溶化剤(c)の種類によっても異なる。
前記ポリマー(b)と共に相溶化剤(c)を用いる場合においては、生分解性ポリマー(a)とポリマー(b)との相溶性が向上し、ポリマー(b)の作用がより発現しやすいと考えられる。そのため、前記ポリマー(b)としての比較的疎水的なポリマーと共に相溶化剤(c)を用いると、生分解性ポリマー(a)の加水分解が非常に抑制される。一方、前記ポリマー(b)としての比較的親水的なポリマーと共に相溶化剤(c)を用いると、親水的ポリマーによる加水分解促進作用と相溶化剤(c)による加水分解抑制作用との兼ね合いの結果が得られる。
アイオノマー樹脂(A)としては、種々のタイプのものが含まれる。典型的なアイオノマーは、(i)ホスト高分子の主鎖に部分的に側鎖イオン基が存在するものである(側鎖型)。別のタイプのアイオノマーは、(ii)両末端に例えばカルボン酸基が存在するホスト高分子あるいはオリゴマーに金属イオンが中和することより高分子化したものである(テレケリック型)。また別のタイプのアイオノマーは、(iii) 主鎖に陽イオンを有し、そこに陰イオンが結合したものである(アイオネン)。
Figure 0004486829
ホスト高分子のイオン基に対する対イオンとしては、Li+ 、Na+ 、K+ 等のアルカリ金属イオン、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+等のアルカリ土類金属イオン、Zn2+、Cu2+、Mn2+、Ni2+、Co2+、Co3+、Fe3+、Cr3+等の遷移金属イオンが用いられる。また、陽イオンホスト高分子に対しては、Cl- 、Br- 、I- 等の陰イオンが用いられる。
このようなアイオノマー樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン―アクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、ブチレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−ビニルスルホン酸共重合体アイオノマー、スチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、スルホン化ポリスチレンアイオノマー、フッ素系アイオノマー、テレケリックポリブタジエンアクリル酸アイオノマー、スルホン化エチレン−プロピレン−ジエン共重合体アイオノマー、水素化ポリペンタマーアイオノマー、ポリペンタマーアイオノマー、ポリ(ビニルピリジウム塩)アイオノマー、ポリ(ビニルトリメチルアンモニウム塩)アイオノマー、ポリ(ビニルベンジルホスホニウム塩)アイオノマー、スチレン−ブタジエンアクリル酸共重合体アイオノマー、ポリウレタンアイオノマー、スルホン化スチレン−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンサルフェイトアイオノマー、酸−アミンアイオノマー、脂肪族系アイオネン、芳香族系アイオネン等が挙げられる。
これらアイオノマー樹脂のうち、エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体アイオノマーが好ましく用いられる。エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマーとして、より具体的には、ハイミラン1554、ハイミラン1555、ハイミラン1557、ハイミラン1601、ハイミラン1605、ハイミラン1650、ハイミラン1652、ハイミラン1652 SR 、ハイミラン1652 SB 、ハイミラン1702、ハイミラン1705、ハイミラン1706、ハイミラン1707、ハイミラン1855、ハイミラン1856(以上、三井・デュポンポリケミカル株式会社製)が挙げられる。
これらアイオノマー樹脂のうちの1種のみを用いてもよく、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
オキサゾリン系相溶化剤(B)としては、例えば、次のB1〜B3の各タイプが挙げられる。
B1タイプとして、ビスオキサゾリン/スチレン/無水マレイン酸共重合体(OXZ;三国製薬製)等が挙げられる。
B2タイプとして、ビスオキサゾリン/無水マレイン酸変性ポリエチレン〔OXZ(三国製薬製)とPE(三洋化成製、ユーメックス2000)とのブレンド〕等が挙げられる。
B3タイプとして、ビスオキサゾリン/無水マレイン酸変性ポリプロピレン〔OXZ(三国製薬製)とPP(三洋化成製、ユーメックス1010)とのブレンド〕等が挙げられる。
これらオキサゾリン系相溶化剤のうちの1種のみを用いてもよく、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
エラストマー系相溶化剤(C)としては、例えば、次のC1〜C4の各タイプが挙げられる。
C1タイプとして、スチレンエチレンブタジエン共重合体(SEB;旭化成工業製、タフテック)等が挙げられる。
C2タイプとして、スチレンエチレンブタジエンスチレン共重合体(SEBS;旭化成工業製)等が挙げられる。
C3タイプとして、水添スチレンイソプロピレンスチレン共重合体(H−SIS)等が挙げられる。
C4タイプとして、芳香族系樹脂、石油樹脂(新日本石油製のネオポリマー)等が挙げられる。
これらエラストマー系相溶化剤のうちの1種のみを用いてもよく、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
反応性相溶化剤(D)は、二重結合、カルボキシル基、エポキシ基などを有するポリマーであって、成形加工工程で相溶化させようとするポリマーの一方または両方と反応してグラフトまたはブロック構造に基づく界面活性剤的な働きをして相溶化剤として機能するものである(参考文献:「ポリマーアロイ」基礎と応用、高分子学会編、1993年発行)。反応性相溶化剤(D)としては、例えば、次のD1〜D5の各タイプが挙げられる。
D1タイプ:
エチレングリシジルメタクリレート共重合体(E−GMA;共重合重量組成、例えばE/GMA=100/6〜12)、エチレングリシジルメタクリレート−ビニルアルコール共重合体(E−GMA−VA;共重合重量組成、例えばE/GMA/VA=100/3〜12/8〜5)、エチレングリシジルメタクリレート−メタクリレート共重合体(E−GMA−MA;共重合重量組成、例えばE/GMA/MA=100/3〜6/30)等が挙げられる。具体的には、住友化学製、ボンドファーストE、ボンドファースト2C;日本ポリオレフィン製、レクスパールRA、レクスパールET、レクスパールRCが挙げられる。
D2タイプ:
エチレン無水マレイン酸エチルアクリレート共重合体(E−MAH−EA;住友化学製、ボンダイン)等が挙げられる。
D3タイプ:
エチレングリシジルメタクリレート−アクリロニトリルスチレン(EGMA−AS;共重合重量組成、例えばEGMA/AS=70/30)、エチレングリシジルメタクリレート−ポリスチレン(EGMA−PS;共重合重量組成、例えばEGMA/PS=70/30)、エチレングリシジルメタクリレート−ポリメチルメタクリレート(EGMA−PMMA、例えばEGMA/PMMA=70/30)等が挙げられる。具体的には、日本油脂製、モディパーが挙げられる。
D4タイプ:
酸変性型ポリエチレンワックス(APEW;三井化学製、ハイワックス)等が挙げられる。
D5タイプ:
COOH化ポリエチレングラフトポリマー、COOH化ポリプロピレングラフトポリマー等が挙げられる。
これら反応性相溶化剤のうちの1種のみを用いてもよく、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
共重合体系相溶化剤(E)としては、例えば、ポリエチレン−ポリアミドグラフト共重合体(PE−PA GP)、ポリプロピレン−ポリアミドグラフト共重合体(PP−PA GP)等が挙げられる。また、アルコキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、エポキシ基、アセタール基、マレイン酸基、オキサゾリン基及びカルボン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を含み、メルトフローレートが1以上の低粘度の共重合体ポリマーが挙げられ、具体的には、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、EVA・PVC・グラフト共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、水添スチレン−イソプロピレン−ブロック共重合体等が挙げられる。具体的には、三井・デュポンポリケミカル製、エルバロイが例示される。
これら共重合体系相溶化剤のうちの1種のみを用いてもよく、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
生分解性ポリマー材料の加水分解性を制御するに際して、前記ポリマー(b)及び/又は前記相溶化剤(c)の配合量は任意であるが、生分解性ポリマー(a)が本来有している生分解性を損ねないように注意する。
前記ポリマー(b)を用いる場合においては、ポリマー(b)の配合量は、生分解性ポリマー(a)100重量部に対して、ポリマー(b)0.1〜100重量部の範囲とするとよい。ポリマー(b)を複数種用いる場合には、それらの合計量が前記範囲となるようにするとよい。ポリマー(b)の配合量が0.1重量部未満であると、ポリマー(b)による加水分解促進又は抑制効果は得られにくい。一方、ポリマー(b)が100重量部を超えると、得られる生分解性プラスチック材料としての生分解性が低下する。目的とする用途や、生分解性ポリマー(a)の種類も考慮して、最適の配合量を適宜決定することができる。
前記相溶化剤(c)を用いる場合においては、相溶化剤(c)の配合量は、生分解性ポリマー(a)100重量部に対して、前記相溶化剤(c)0.1〜100重量部の範囲とするとよい。相溶化剤(c)を複数種用いる場合には、それらの合計量が前記範囲となるようにするとよい。相溶化剤(c)の配合量が0.1重量部未満であると、相溶化剤(c)による加水分解抑制効果は得られにくい。また、ポリマー(b)も用いる場合には、生分解性ポリマー(a)とポリマー(b)との相溶化効果が得られにくい。一方、相溶化剤(c)が100重量部を超えると、得られる生分解性プラスチック材料としての生分解性が低下し、また、前記の相溶化効果は飽和する。目的とする用途や、生分解性ポリマー(a)の種類も考慮して、最適の配合量を適宜決定することができる。
本発明は、生分解性プラスチック材料に、さらに他の添加剤が適宜配合されている場合にも適用することができる。添加剤として、例えば、有機又は無機フィラー、難燃剤、アンチブロッキング剤、結晶化促進剤、ガス吸着剤、老化防止剤(エステル、アミド等)、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、粘着付与剤、可塑剤(ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸又はそれらの金属塩等)、軟化剤(鉱物油、ワックス、パラフィン類等)、安定剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、変性剤、着色剤、カップリング剤、防腐剤、防カビ剤等が挙げられる。
生分解性ポリマー(a)への前記ポリマー(b)及び/又は前記相溶化剤(c)の配合は、特に限定されることなく、通常の溶融混練方法により行うことができる。例えば、生分解性ポリマー(a)、前記ポリマー(b)及び/又は前記相溶化剤(c)、及びその他の任意成分を、ロールニーダー、バンバリーミキサー、インターミックス、1軸押出機、2軸押出機などの混練機で混練すると良い。混練は、前記混練機のうちから選ばれる1種の混練機を用いて行ってもよく、又は2種以上の混練機を用いて行ってもよい。
本発明によれば、生分解性ポリマー(a)に、前記ポリマー(a)以外のポリマー(b)及び/又は相溶化剤(c)を配合することによって、生分解性プラスチック材料の加水分解性を制御することができ、用途に適した加水分解性を有する生分解性ポリマー材料が提供される。得られた生分解性プラスチック材料を用いて、常法の成形法により各種成形品を成形することができる。成形品としては、例えば、押出成形品、射出成形品、ブロー成形品、Tダイから押出成形されたシート或いはフィルム、インフレーションフィルム、溶融紡糸法によるマルチフィラメント、モノフィラメント、フラットヤーン、ステープルファイバー、スパンボンド不織布、フラッシュ紡糸不織布等の繊維状構造物、各種発泡成形品が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1:ポリブチレンサクシネートの加水分解性制御]
(試験片No.1の作製)
ポリブチレンサクシネートPBS(ビオノーレ、昭和高分子製)90重量部、ポリエチレンテレフタレートPET(ダイヤナイトPA−500、三菱レイヨン製)10重量部、及びエチレングリシジルメタクリレート共重合体E−GMA(反応性相溶化剤、ボンドファーストE、住友化学製)2重量部を、2軸押出機(株式会社テクノベル製、KZW15−30MG)を用いて、130℃にて常法にて溶融混練し、約3mmの直径で水中に押し出し・固化し、次いで3mm長に切断し、樹脂チップを得た。この際の押出条件は以下の通りであった。
<押出条件>
温度設定:フィード 100℃、混練部 130℃、ヘッド 130℃
回転数:60rpm
得られたチップをプレス成形(プレス成形機:株式会社神藤金属工業所製)して、JIS K−7113に準拠した2号試験片No.1を作製した。
<プレス成形条件>
160℃のプレス温度で、10MPaで1分間加圧した後に、20MPaで2分間加圧した。その後、冷却プレスにて3分間冷却した。
(試験片No.2の作製)
前記反応性相溶化剤を配合しなかった以外は、試験片No.1の作製と同様にして試験片No.2を作製した。
(試験片No.3の作製)
前記PETを配合せずに、PBS(ビオノーレ、昭和高分子製)100重量部、及びE−GMA(反応性相溶化剤、ボンドファーストE、住友化学製)2重量部の配合とした以外は、試験片No.1の作製と同様にして試験片No.3を作製した。
(試験片No.4の作製)
PBS(ビオノーレ、昭和高分子製)のみを用いて、試験片No.1の作製と同じ条件でプレス成形し、試験片No.4を作製した。
(試験片No.5の作製)
ポリブチレンサクシネートPBS(ビオノーレ、昭和高分子製)90重量部、ポリエチレンPE(118WJ、SABIC社製)10重量部、及びエチレングリシジルメタクリレート共重合体E−GMA(反応性相溶化剤、ボンドファーストE、住友化学製)2重量部を、2軸押出機(株式会社テクノベル製、KZW15−30MG)を用いて、130℃にて常法にて溶融混練し、約3mmの直径で水中に押し出し・固化し、次いで3mm長に切断し、樹脂チップを得た。この際の押出条件は以下の通りであった。
<押出条件>
温度設定:フィード 100℃、混練部 130℃、ヘッド 130℃
回転数:60rpm
得られたチップをプレス成形(プレス成形機:株式会社神藤金属工業所製)して、JIS K−7113に準拠した2号試験片No.5を作製した。
<プレス成形条件>
160℃のプレス温度で、10MPaで1分間加圧した後に、20MPaで2分間加圧した。その後、冷却プレスにて3分間冷却した。
(試験片No.6の作製)
前記反応性相溶化剤を配合しなかった以外は、試験片No.5の作製と同様にして試験片No.6を作製した。
[実施例2:ポリ−ε−カプロラクトンの加水分解性制御]−参考例
(試験片No.11の作製)
ポリ−ε−カプロラクトンPCL(セルグリーン、ダイセル化学工業製)90重量部、ポリエチレンテレフタレートPET(ダイヤナイトPA−500、三菱レイヨン製)10重量部、及びエチレングリシジルメタクリレート共重合体E−GMA(反応性相溶化剤、ボンドファーストE、住友化学製)2重量部を、2軸押出機(株式会社テクノベル製、KZW15−30MG)を用いて、110℃にて常法にて溶融混練し、約3mmの直径で水中に押し出し・固化し、次いで3mm長に切断し、樹脂チップを得た。この際の押出条件は以下の通りであった。
<押出条件>
温度設定:フィード 60℃、混練部 110℃、ヘッド 110℃
回転数:60rpm
得られたチップをプレス成形(プレス成形機:株式会社神藤金属工業所製)して、JIS K−7113に準拠した2号試験片No.11を作製した。
<プレス成形条件>
160℃のプレス温度で、10MPaで1分間加圧した後に、20MPaで2分間加圧した。その後、冷却プレスにて3分間冷却した。
(試験片No.12の作製)
前記反応性相溶化剤を配合しなかった以外は、試験片No.11の作製と同様にして試験片No.12を作製した。
(試験片No.13の作製)
前記PETを配合せずに、PCL(セルグリーン、ダイセル化学工業製)100重量部、及びE−GMA(反応性相溶化剤、ボンドファーストE、住友化学製)2重量部の配合とした以外は、試験片No.11の作製と同様にして試験片No.13を作製した。
(試験片No.14の作製)
PCL(セルグリーン、ダイセル化学工業製)のみを用いて、試験片No.11の作製と同じ条件でプレス成形し、試験片No.14を作製した。
(試験片No.15の作製)
ポリ−ε−カプロラクトンPCL(セルグリーン、ダイセル化学工業製)90重量部、ポリエチレンPE(118WJ、SABIC社製)10重量部、及びエチレングリシジルメタクリレート共重合体E−GMA(反応性相溶化剤、ボンドファーストE、住友化学製)2重量部を、2軸押出機(株式会社テクノベル製、KZW15−30MG)を用いて、110℃にて常法にて溶融混練し、約3mmの直径で水中に押し出し・固化し、次いで3mm長に切断し、樹脂チップを得た。この際の押出条件は以下の通りであった。
<押出条件>
温度設定:フィード 60℃、混練部 110℃、ヘッド 110℃
回転数:60rpm
得られたチップをプレス成形(プレス成形機:株式会社神藤金属工業所製)して、JIS K−7113に準拠した2号試験片No.15を作製した。
<プレス成形条件>
160℃のプレス温度で、10MPaで1分間加圧した後に、20MPaで2分間加圧した。その後、冷却プレスにて3分間冷却した。
(試験片No.16の作製)
前記反応性相溶化剤を配合しなかった以外は、試験片No.15の作製と同様にして試験片No.16を作製した。
[生分解性プラスチック材料の耐加水分解性の測定]
得られた各試験片を95℃に維持された1重量%水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬した。浸漬前の試験片重量(w1 )と浸漬後の試験片重量(w2 )とから、減量率(%)を求めた。なお、浸漬後の試験片重量(w2 )は、浸漬後の試験片を水洗し、乾燥した後に測定した。
減量率(%)=[(w2 −w1 )/w1 ]×100
Figure 0004486829
以上の測定結果を表1に示す。
表1から、実施例1において、PBSへのPETの配合により加水分解が促進され(No.2)、反応性相溶化剤の配合により、あるいはPE及び反応性相溶化剤の両者の配合により加水分解が抑制された(No.3,5)ことが分かる。
実施例2において、PCLへのPETの配合により加水分解が促進され(No.12)、PE単独(No.16)、反応性相溶化剤単独(No.13)、PE及び反応性相溶化剤の両者(No.15)の配合により加水分解が抑制されたことが分かる。

Claims (1)

  1. 生分解性ポリマーであるポリブチレンサクシネート(PBS)100重量部に対して、ポリエチレンテレフタレート(PET)0.1〜100重量部、及び相溶化剤としてエチレングリシジルメタクリレート共重合体0.1〜100重量部を配合して、生分解性ポリマー材料の加水分解性を促進する方法。
JP2004030142A 2004-02-06 2004-02-06 生分解性ポリマー材料の加水分解性を促進する方法 Expired - Fee Related JP4486829B2 (ja)

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