JP4486195B2 - 位置センサレスモータ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、位置センサを用いることなくブラシレスモータをスムーズに起動させる位置センサレスモータ制御装置であり、特に、ロータが回転状態であっても、ブラシレスモータをスムーズに起動させることができる位置センサレスモータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラシレスモータは、界磁に永久磁石を使用するため高効率であり、機械的な転流機構を用いないため保守性に優れている。そのため、ブラシレスモータはファン用やポンプ用など様々な用途に使用されている。
しかし、ブラシレスモータは、ロータの回転に同期して、ステータの相巻線に電流を流す必要がある。
このようなブラシレスモータを駆動制御する従来のモータ制御装置においては、ブラシレスモータに取り付けられたホール素子、レゾルバ、あるいは光エンコーダなどの位置センサを用いてロータの角度情報を得ていた。したがって、このような位置センサを設ける必要がある分、従来のブラシレスモータはコストが上昇し、大型化していた。
【0003】
このような位置センサを省略することにより、低コスト化と小型化とを実現した従来の位置センサレスモータ制御装置としては、電気学会論文集、D117巻、1号、平成9年、98頁〜104頁に記載されたものと、電気学会研究会資料、半導体電力変換研究会、SPC−97−7、37頁〜42頁に記載されたものが知られている。以下、これらの従来の位置センサレスモータ制御装置について説明する。
【0004】
前者の従来の位置センサレスモータ制御装置は、ある程度の速さでの回転時において、ブラシレスモータのロータの角度を推定するものである。
この従来の位置センサレスモータ制御装置は、まず、相巻線に流れる相電流を検知し、これらの相電流値を座標変換して、γ軸電流値iγとδ軸電流値iδとを作成する。次に、ブラシレスモータのモデルを示すd軸とq軸の電圧方程式にモータ定数をあてはめ、γ軸電流モデル値iγmとδ軸電流モデル値iδmとを作成する。さらに、これらの電流値と電流モデル値との誤差であるγ軸電流誤差値Δiγとδ軸電流誤差値Δiδとを作成する。そして、これらの電流誤差値に基づき推定角度と推定誘起電圧とを補正する。このようにして作成した推定角度を用いて相巻線に所定の電流を流し、ロータを所定の向きに回転させていた。
【0005】
一方、後者の従来の位置センサレスモータ制御装置は、停止時、あるいは低速時において、突極性を有するブラシレスモータのロータの角度を推定するものである。
この従来の位置センサレスモータ制御装置は、まず、γ軸に電圧パルスを印加する。次に、この電圧パルスによる相電流の電流応答を検知し、これらの相電流の電流応答を座標変換して、γ軸電流応答Δiγとδ軸電流応答Δiδとを作成する。ところで、突極性を有するブラシレスモータは、ロータの回転に応じて、インダクタンスが変化する。そこで、インダクタンスにより電流応答が変化することを利用して、これらのγ軸電流応答Δiγとδ軸電流応答Δiδとに基づき推定角度を作成する。このようにして作成した推定角度を用いて相巻線に電流を流し、ロータを所定の向きに回転させていた。
【0006】
また、起動時に停止しているモータを高速で回転させるためには、以下の方法により駆動する。
まず、後者の従来の位置センサレスモータ制御装置で用いられる方式で起動する。次に、適宜、前者の従来の位置センサレスモータ制御装置で用いられる方式に切り替えて、高速まで加速して回転させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ブラシレスモータをファン用に使用した場合等において、起動時に強い風がふいているとき、その風の影響でモータが回転する場合がある。このようにモータが起動時に回転している場合、前述のように起動時に停止している場合と同様に、後者の従来の位置センサレスモータ制御装置に用いられている方式により起動すると、スムーズに起動させることはできなかった。
本発明は、起動時においてロータが回転している場合であっても、ブラシレスモータをスムーズに起動させることができる位置センサレスモータ制御装置を実現することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る第1の観点の位置センサレスモータ制御装置は、永久磁石が配置され回転自在に支持されたロータと、前記ロータに近接して配置されたステータと、前記ステータに巻回された相巻線と、を有するブラシレスモータを制御する位置センサレスモータ制御装置であって、
前記相巻線に印加する電圧の指令値を表す電圧指令値に基づき電圧を印加する駆動手段と、
前記ブラシレスモータを起動させるための複数の起動手段と、
前記相巻線に流れる電流を零に制御するための電圧指令値を作成する電流零制御部と、
前記電流零制御部の作成した前記電圧指令値に基づき前記複数の起動手段から1つの起動手段を選択する選択手段と、を具備し、
前記選択手段において選択された起動手段において、前記相巻線に流れる電流を零にする前記電圧指令値に基づき前記ロータの角度と速度とを演算するよう構成されている。
この構成により、第1の観点の位置センサレスモータ制御装置は、電流を零に制御したときの電圧指令値の大きさにより適切な起動部を選択し動作させることにより、ロータが回転していても、ブラシレスモータをスムーズに起動する位置センサレスモータ制御装置を実現することができる。また、第1の観点の位置センサレスモータ制御装置は、起動期間において、電流を零に制御することにより、トルクを発生しない位置センサレスモータ制御装置を実現することができる。
【0009】
本発明に係る第2の観点の位置センサレスモータ制御装置は、前記第1の観点における前記複数の起動手段が、高速時にブラシレスモータを起動させるための第1の起動手段と、低速時に前記ブラシレスモータを起動させるための第2の起動手段と、を有し、
前記選択手段は、前記相巻線に流れる電流を零に制御したときの前記電圧指令値がしきい値より大きいとき前記第1の起動手段を選択し、前記相巻線に流れる電流を零に制御したときの前記電圧指令値がしきい値より小さいとき前記第2の起動手段を選択するよう構成されている
この構成により、第2の観点の位置センサレスモータ制御装置は、誘起電圧と等価な電圧指令値により起動部を選択することにより、温度変化などで誘起電圧が変化しても、常に最適な起動部を選択することが可能な位置センサレスモータ制御装置を実現することができる。
【0010】
本発明に係る第3の観点の位置センサレスモータ制御装置は、前記第2の観点における前記第2の起動手段を、前記ブラシレスモータのロータの回転に伴うインダクタンスの変化を利用するよう構成してもよい。この構成により、起動期間において、電流を零に制御することにより、トルクを発生しない位置センサレスモータ制御装置を実現することができる。
【0011】
本発明に係る第4の観点の位置センサレスモータ制御装置は、前記第2の観点における前記第2の起動手段を、磁束の飽和を利用するよう構成してもよい。この構成により、起動期間において、電流を零に制御することにより、トルクを発生しない位置センサレスモータ制御装置を実現することができる。
【0012】
本発明に係る第5の観点の位置センサレスモータ制御装置は、前記第2の観点における前記第1の起動手段が、前記相巻線に流れる電流を零にするように前記電圧指令値を制御して、前記電圧指令値に基づき前記ロータの角度と速度とを演算し、
前記第2の起動手段が、前記相巻線に流れる電流を零にするように制御し、前記ロータの回転に伴うインダクタンスの変化を利用して前記ロータの角度と速度とを演算するよう構成されている
この構成により、電流を零に制御したときの電圧指令値の大きさにより適切な起動部を選択し動作させることにより、ロータが回転していても、ブラシレスモータをスムーズに起動する位置センサレスモータ制御装置を実現することができる。また、この構成により、誘起電圧と等価な電圧指令値により起動部を選択することにより、温度変化などで誘起電圧が変化しても、常に最適な起動部を選択する位置センサレスモータ制御装置を実現することができる。さらに、この構成により、起動期間において、電流を零に制御することにより、トルクを発生しない位置センサレスモータ制御装置を実現することができる。
【0013】
本発明に係る第6の観点の位置センサレスモータ制御装置は、前記第2の観点における前記第1の起動手段が前記相巻線に流れる電流を零にするように前記電圧指令値を制御して、前記電圧指令値に基づき前記ロータの角度と速度とを演算し、
前記第2の起動手段が前記相巻線に流れる電流を零にするように制御し、磁束の飽和を利用して前記ロータの角度と速度とを演算するよう構成されている
この構成により、電流を零に制御したときの電圧指令値の大きさにより適切な起動部を選択し動作させることにより、ロータが回転していても、ブラシレスモータをスムーズに起動する位置センサレスモータ制御装置を実現することができる。また、この構成により、誘起電圧と等価な電圧指令値により起動部を選択することにより、温度変化などで誘起電圧が変化しても、常に最適な起動部を選択する位置センサレスモータ制御装置を実現することができる。さらに、この構成により、起動期間において、電流を零に制御することにより、トルクを発生しない位置センサレスモータ制御装置を実現することができる。
本発明に係る第7の観点の位置センサレスモータ制御装置は、前記第2の観点における前記第1の起動手段を、前記電圧指令値に基づき誘起電圧を推定し、前記ロータの角度と速度とを演算するよう構成してもよい。
本発明に係る第8の観点の位置センサレスモータ制御装置は、前記第2の観点における前記第2の起動手段を、電圧パルスを印加したときの電流応答に基づき、前記ロータの角度と速度とを演算するよう構成してもよい。
本発明に係る第9の観点の位置センサレスモータ制御装置は、前記第2の観点における前記電流零制御部(60)が、前記相巻線に流れる電流値(id,iq)が零を示す電流指令値(id*,iq*)となるように比例積分制御を用いて電圧指令値を作成するよう構成された請求項2に記載の位置センサレスモータ制御装置。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る位置センサレスモータ制御装置の一実施の形態である具体的な実施例について添付の図面を参照して説明する。
【0015】
《実施例1》
以下、本発明の実施例1である位置センサレスモータ制御装置について説明する。実施例1の位置センサレスモータ制御装置は、電流を0に制御したときの電圧の大きさに基づき高速用起動部あるいは低速用起動部のうち1つを選択し動作させるものである。
【0016】
まず、実施例1の位置センサレスモータ制御装置の構成を説明する。図1は、実施例1における位置センサレスモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
ブラシレスモータ1には、電磁鋼板から構成されたステータ(図示せず)と、相電流が流れ被覆銅線から構成されステータに巻回された相巻線2u、2v、2wと、このステータに対向し近接して配置されたロータ3とが設けられている。ここで、相巻線2u、2v、2wはY結線(各相巻線2u、2v、2wの片端が1点で接続される結線)されている。ロータ3は、電磁鋼板から構成されたロータヨーク4とこのロータヨーク4の内部に配置された永久磁石5とロータヨーク4と同一の回転中心を持つシャフト6とから構成されている。このロータ3は回転自在に支持され、相電流により生成される磁束と永久磁石5による磁束との相互作用によりロータ3が回転する。
【0017】
実施例1の位置センサレスモータ制御装置は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称)10と、相巻線2u、2vに流れる相電流をそれぞれ検知してアナログu相電流値iuaとアナログv相電流値ivaをそれぞれ出力する電流センサ8u、8vと、スイッチング指令信号guh、gul、gvh、gvl、gwh、gwlが入力されて相巻線2u、2v、2wに印加する電圧を制御する駆動部9とを具備している。
【0018】
マイコン10には、アナログu相電流値iuaとアナログv相電流値ivaがそれぞれ入力され、u相電流値iuとv相電流値ivをそれぞれ出力するADC(アナログ・デジタル・コンバータ)11uとADC11vが設けられている。また、マイコン10は、u相電流値iuとv相電流値ivとが入力されてu相電圧指令値vu*とv相電圧指令値vv*とw相電圧指令値vw*とを出力するモータ制御部12と、u相電圧指令値vu*とv相電圧指令値vv*とw相電圧指令値vw*とが入力されてスイッチング信号guh、gul、gvh、gvl、gwh、gwlを出力するPWM制御部13とを有している。
【0019】
モータ制御部12は、機能的に、選択部20と、高速用起動部30と、低速用起動部40と、運転部50と、電流零制御部60とから構成される。このモータ制御部12は、ハード的に、CPU、ROM、RAM、タイマ、ポート、およびこれらをつなぐバスなどから構成される。
【0020】
図2は、実施例1における駆動部9の構成を示す回路図である。図2に示すように、駆動部9には、電源91と、コレクタが電源91の正極に接続され、エミッタが相巻線2u、2v、2wにそれぞれ接続された上側IGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)92u、92v、92wと、これらの上側IGBT92u、92v、92wにそれぞれ逆並列接続された上側フライホイールダイオード93u、93v、93wが設けられている。また、駆動部9には、コレクタがステータ巻線2u、2v、2wにそれぞれ接続され、エミッタが電源91の負極に接続された下側IGBT94u、94v、94wと、これらの下側IGBT94u、94v、94wにそれぞれ逆並列接続された下側フライホイールダイオード95u、95v、95wと、スイッチング指令信号guh、gul、gvh、gvl、gwh、gwlに基づきそれぞれ上側IGBT92u、92v、92wのゲート電圧と下側IGBT94u、94v、94wのゲート電圧とを制御するプリドライブ器96が設けられている。
【0021】
次に、実施例1の位置センサレスモータ制御装置の動作について説明する。
図1に示したマイコン10におけるモータ制御部12は、本発明の特徴であり、ブラシレスモータ5の起動制御および運転制御を行う。この動作の詳細については後述する。
【0022】
電流センサ8u、8vは、それぞれ相巻線2u、2vに流れる電流を検知し、アナログu相電流値iua、アナログv相電流値ivaを作成する。作成されたアナログu相電流値iuaとアナログv相電流値ivaは、ADC11uとADC11vに入力される。
ADC11u、ADC11vは、それぞれアナログ値であるアナログu相電流値iua、アナログv相電流値ivaをディジタル値であるu相電流値iu、v相電流値ivに変換する。
【0023】
マイコン10におけるPWM制御部13は、u相電圧指令値vu*とv相電圧指令値vv*とw相電圧指令値vw*とをパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)する。PWM制御部13においては、ある設定された周波数と振幅とを持つ三角波を発生し、この三角波とu相電圧指令値vu*とを比較する。そして、u相電圧指令値vu*のほうが大きいとき、スイッチング信号guhをH、スイッチング信号gulをLにする。一方、u相電圧指令値vu*のほうが小さいとき、スイッチング信号guhをL、スイッチング信号gulをHにする。なお、スイッチング信号guh、gulの状態が遷移するとき、スイッチング信号guh、gulを双方ともLにする短い時間を設ける(この短い時間はデッドタイムと呼ばれる)。また、v相、およびw相についても同様に、それぞれv相電圧指令値vv*、およびw相電圧指令値vw*に基づきスイッチング信号gvh、gvl、およびスイッチング信号gwh、gwlを作成する。
【0024】
駆動部9は、スイッチング信号guh、gul、gvh、gvl、gwh、gwlで表される電圧を相巻線2u、2v、2wに印加する。
電源91は、駆動部9に電力を供給する。
そして、プリドライブ器96は、スイッチング信号guhがHのとき上側IGBT92uが通電し、スイッチング信号guhがLのとき上側IGBT92uが非通電となるように、上側IGBT92uのゲート電圧を制御する。一方、スイッチング信号gulがHのとき下側IGBT94uが通電し、スイッチング信号gulがLのとき下側IGBT94uが非通電となるように、下側IGBT94uのゲート電圧を制御する。また、v相、およびw相についても同様に、スイッチング信号gvh、gvl、gwh、gwlに基づき上側IGBT92v、92w、下側IGBT94v、94wのゲート電圧を制御する。
【0025】
次に、実施例1の位置センサレスモータ制御装置の動作の原理について説明する。
まず、誘起電圧の大小により、起動方式を切り替える必要があることを説明する。
ブラシレスモータ1は回転すると誘起電圧が誘起される。そのため、高速時において、この誘起電圧を利用し、モータのモデル式を用いて、角度を推定する。
一方、停止時はもちろんのこと低速時においては、十分な誘起電圧が誘起されないため、高速時と同様の方法を用いることができない。ブラシレスモータ1は、永久磁石5がロータヨーク4の内部に埋め込まれた突極性を有するモータである。そのため、ロータ3が回転するとインダクタンスが変化する。そこで、このインダクタンスの変化を利用して、角度を推定する。
このように、誘起電圧の大小により、起動時の角度推定の方式を切り替える必要がある。そのため、起動時に誘起電圧が大きいときは、高速用の方式で起動する。一方、起動時に誘起電圧が小さいときは、低速用の方式で起動する。
【0026】
次に、誘起電圧の大小の求め方を説明する。
まず、電流指令値を0にし、電流が0になるように比例積分制御を用いて電圧指令値を制御する。そして、この電圧指令値で表される電圧を駆動部9により相巻線2u、2v、2wに印加する。
ここで、電流を0に制御するため、印加する電圧は誘起電圧に等しい。したがって、電流を0に制御したときの電圧指令値が誘起電圧を表す。
これらのことから、電流を0に制御したときの電圧指令値の大小により起動方式を切り替える。つまり、電圧指令値の大きさが大きいとき、高速用の方式で起動する。一方、電圧指令値の大きさが小さいとき、低速用の方式で起動する。
【0027】
次に、実施例1のモータ制御部12の動作の詳細を説明する。
まず、動作の流れを説明する。
図1に示すように、まず、モータ制御部12は選択部20を動作させる。次に、選択部20は、高速用起動部30と低速用起動部40のうちどちらを動作させるかを選択する。次に、高速用起動部30と低速用起動部40のうち選択されたものを動作させる。そして、次に、運転部50を動作させる。なお、選択部20、および高速用起動部30または低速用起動部40の内部において、電流零制御部60が実行される。
【0028】
モータ制御部12において、具体的に高速用起動部30又は低速用起動部40が選択されるときの動作について、以下に説明する。
まず、高速用起動部30が選択される場合には、選択部20を動作させて高速用起動部30が選択される。次に、高速用起動部30を動作させ、続いて運転部50を動作させる。
一方、低速用起動部40が選択されるときは、まず、選択部20を動作させて、低速用起動部40が選択される。次に、低速用起動部40を動作させ、続いて運転部50を動作させる。
【0029】
[選択部20の動作]
次に、選択部20の動作について説明する。
選択部20は、電流を0に制御し、一定時間経過後に、電圧指令値の大きさを判断する。そして、電圧指令値の大きさがしきい値に比べて大きいとき、高速用起動部30を選択する。一方、電圧指令値の大きさがしきい値に比べて小さいとき、低速用起動部40を選択する。
【0030】
図3は、実施例1における選択部20の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS201において、選択部20の動作を開始する。
次に、ステップS202を実行する。ステップS202においては、カウンタiを0にする。
次に、ステップS203を実行する。ステップS203においては、電流零制御部60を動作させる。この動作の詳細は後述する。
【0031】
次に、ステップS204を実行する。ステップS204において、カウンタiに1を加える。
次に、ステップS205を実行する。ステップS205において、カウンタiがある設定された値i020より小さいとき、次に、ステップS203を実行する。このようにして、ステップS203の電流零制御部60の動作をi020回だけ繰り返す。
一方、ステップS205において、カウンタiがある設定された値i020以上のとき、ステップS206を実行する。このように、ステップS205においては、カウンタiの値により分岐する。
【0032】
ステップS206においては、電圧指令値の二乗値v2を作成する。下記式(1)のように、d軸電圧指令値vd*とq軸電圧指令値vq*との二乗和を電圧指令値の二乗値v2とする。ここで、d軸電圧指令値vd*とq軸電圧指令値vq*は、電流零制御部60において求められる。
【0033】
v2 = vd*・vd* + vq*・vq* ・・・(1)
【0034】
次に、ステップS207を実行する。
ステップS207において、電圧指令値の二乗値v2の大小により何れかの起動部を選択する。電圧指令値の二乗値v2がある設定された値v020より大きいとき、高速用起動部30を選択するために、ステップS208を実行する。
また、ステップS207において、電圧指令値の二乗値v2がv020以下のとき、低速用起動部40を選択するために、ステップS209を実行する。
【0035】
ステップS208において、選択部20の動作を終了する。次に、ステップS301を実行して、高速用起動部30の動作を開始する。
一方、ステップS209において、選択部20の動作を終了する。次に、ステップS401を実行して、低速用起動部40の動作を開始する。
【0036】
次に、実施例1におけるモータ制御部12の電流零制御部60について説明する。
電流零制御部60は、電流を0に制御するための電圧指令値を作成する。なお、角度と電流指令値とを0にし、通常の電流制御をすることにより、制御ルーチンを共有化している。
【0037】
[電流零制御部60の構成]
まず、電流零制御部60の構成について説明する。
図4は、実施例1における電流零制御部60の構成を示すブロック図である。図4に示すように、電流零制御部60は、仮角度θtを出力する仮角度作成部61と、d軸電流指令値id*とq軸電流指令値iq*とを出力する電流指令値作成部62とを有している。また、電流零制御部60は、三相二相変換部63と電圧指令値作成部64と二相三相変換部65とを具備している。
三相二相変換部63は、角度θtとu相電流値iuとv相電流値ivとが入力され、d軸電流値idとq軸電流値iqとを出力する。電圧指令値作成部64は、d軸電流指令値id*とq軸電流指令値iq*とd軸電流値idとq軸電流値iqとが入力され、d軸電圧指令値vd*とq軸電圧指令値vq*とを出力する。二相三相変換部65は仮角度θtとd軸電圧指令値vd*とq軸電圧指令値vq*とが入力され、u相電圧指令値vu*とv相電圧指令値vv*とw相電圧指令値vw*とを出力する。
【0038】
[電流零制御部60の動作]
次に、電流零制御部60の動作について説明する。電流零制御部60は、仮角度作成部61、電流指令値作成部62、三相二相変換部63、電圧指令値作成部64、および二相三相変換部65の順に、各構成を動作させる。
仮角度作成部61は、下記式(2)のように、仮角度θtを0にする。これは、通常の電流制御と制御ルーチンを共有化するためである。電流零制御部60において、常に角度を0°とし、後述するように三相二相変換部63と二相三相変換部65において演算する。
電流指令値作成部62は、下記式(3)、(4)のように、d軸電流指令値id*、およびq軸電流指令値iq*を0にする。
【0039】
θt = 0 ・・・(2)
id* = 0 ・・・(3)
iq* = 0 ・・・(4)
【0040】
三相二相変換部63は、ステータに固定された座標系上の値であるu相電流値iuとv相電流値ivとをdq軸上の値であるd軸電流値idとq軸電流値iqとに変換する。通常は、ロータ3の角度を求め、dq軸はロータ3の永久磁石5に固定された座標系として変換するが、ここでは、仮角度θt=0を用いて変換する。そのため、この三相二相変換において、実質的に、三相値が二相値に変換されるのみである。具体的には、下記式(5)、(6)のように変換する。以下の式において、aの平方根を√(a)と表示する。
【0041】
id={√(2)}・{iu・sin(θt+60°)+iv・sinθt}
・・・(5)
iq={√(2)}・{iu・cos(θt+60°)+iv・cosθt}
・・・(6)
【0042】
電圧指令値作成部64は、d軸電流値idがd軸電流指令値id*のとおりになるように比例積分制御(PI制御)を用いてd軸電圧指令値vd*を制御する。また、q軸電流値iqがq軸電流指令値iq*のとおりになるように比例積分制御を用いてq軸電圧指令値vq*を制御する。
下記式(7)のように、d軸電流指令値id*とd軸電流値idの差に比例ゲインKPDを乗じたものと、d軸電流指令値id*とd軸電流値idの差を積分したものに積分ゲインKIDを乗じたものとを加算した結果をd軸電圧指令値vd*とする。
また、下記式(8)のように、q軸電流指令値iq*とq軸電流値iqの差に比例ゲインKPQを乗じたものと、q軸電流指令値iq*とq軸電流値iqの差を積分したものに積分ゲインKIQを乗じたものとを加算した結果をq軸電圧指令値vq*とする。
【0043】
vd* = KPD・(id*−id)+KID・Σ(id*−id)・・・(7)
vq* = KPQ・(iq*−iq)+KIQ・Σ(iq*−iq)・・・(8)
【0044】
二相三相変換部65は、dq軸上の値であるd軸電圧指令値vd*とq軸電圧指令値vq*とをステータに固定された座標系上の値であるu相電圧指令値vu*とv相電圧指令値vv*とw相電圧指令値vw*とに変換する。通常は、ロータ3の角度を求め、dq軸はロータ3の永久磁石5に固定された座標系として変換するが、ここでは、仮角度θt=0を用いて変換する。そのため、この二相三相変換において、二相値が三相値に変換されるのみである。具体的には、下記式(9)、(10)、(11)のように変換する。
【0045】
vu* ={√(2/3)}・{vd*・cosθt−vq*・sinθt}
・・・(9)
vv* ={√(2/3)}・{vd*・cos(θt−120°)
−vq*・sin(θt−120°)} ・・・(10)
vw* ={√(2/3)}・{vd*・cos(θt+120°)
−vq*・sin(θt+120°)} ・・・(11)
【0046】
以上のように、実施例1におけるモータ制御部12の電流零制御部60は、電流が0になるように、電圧指令値を制御する。
このように、モータ制御部12における選択部20は、以上の動作をすることにより、電圧指令値の大きさが大きいとき高速用起動部30を選択し、電圧指令値の大きさが小さいとき低速用起動部40を選択する。
【0047】
[高速用起動部30の動作]
次に、実施例1におけるモータ制御部12の高速用起動部30の動作について説明する。
高速用起動部30は、誘起電圧が大きいときのための起動方式であり、電流を0に制御したときの電圧指令値に基づき推定角度θmと推定速度ωmとを作成する。
図5は、実施例1における高速用起動部30の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS301において、高速用起動部30の動作を開始する。次に、ステップS302を実行する。ステップS302において、カウンタiを0にする。
【0048】
次に、ステップS303を実行する。ステップS303において、電流零制御部60を動作させる。この電流零制御部60は前述の動作を行うため、その説明は省略する。
次に、ステップS304を実行する。ステップS304において、推定角度θmを作成する。電流を0に制御したときの電圧指令値は誘起電圧を表す。図6は、実施例1における高速用起動部30で電流を零に制御したときの電圧指令値の変化を示す波形図である。図6に示すように、角度θ(実際のロータの角度を示す)が変化すると、d軸電圧指令値vd*とq軸電圧指令値vq*とは互いに90°ずれて正弦波状に変化する。そこで、この関係より角度を推定する。具体的には、下記式(12)のように、逆正接関数atan(アークタンジェント)を用いて推定角度θmを求める。ここで、d軸電圧指令値vd*の符号により、推定角度θmを180°ずらす。
【0049】
θm = atan(vd*/vq*) (vd*≦0のとき)
θm = atan(vd*/vq*)+180° (vd*>0のとき)
・・・(12)
【0050】
次に、ステップS305を実行する。ステップS305において、推定速度ωmを作成する。下記式(13)のように、推定角度θmを差分し、ローパスフィルタを作用させたものを推定速度ωmとする。式(13)において、KW30はローパスフィルタの係数である。このKW30は、1以下の正値であり、小さいほどローパスフィルタの作用が大きくなる。また、θm(i)は今回にステップS304で作成された推定角度θmであり、θm(i−1)は前回にステップS304で作成された推定角度θmである。さらに、ΔT30は、ステップS305を動作させる周期である。
【0051】
ωm = KW30・{θm(i)−θm(i−1)}/ΔT30
+(1−KW30)・ωm ・・・(13)
【0052】
次に、ステップS306を実行する。ステップS306において、カウンタiに1を加える。
次に、ステップS307を実行する。ステップS307において、カウンタiがある設定された値i030より小さいとき、次に、ステップS303を実行する。このようにして、ステップS303の電流零制御部60の動作とステップS304の推定角度θmの作成とステップS305の推定速度ωmの作成とをi030回だけ繰り返す。
一方、ステップS307において、カウンタiがある設定された値i030以上のとき、ステップS308を実行する。このように、ステップS307においては、カウンタiの値により分岐する。ステップS308においては、高速用起動部30の動作を終了させる。
【0053】
次に、ステップS501を実行し、運転部50の動作を開始する。高速用起動部30において求められた推定角度θmと推定速度ωmとを初期値として、前述の従来の技術の欄で述べた前者の位置センサレスモータ制御装置で用いられる方式でブラシレスモータ1を駆動する。
【0054】
[低速用起動部40の動作]
次に、実施例1におけるモータ制御部12の低速用起動部40の動作について説明する。低速用起動部40は、誘起電圧が小さいときのための起動方式であり、ロータ2の回転に伴いインダクタンスが変化することを利用して推定角度θmと推定速度ωmとを作成する。
図7は、実施例1における低速用起動部40の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS401において、低速用起動部40の動作が開始する。次に、ステップS402を実行する。ステップS402において、カウンタiを0にする。
次に、ステップS403を実行する。ステップS403において、カウンタjを0にする。次に、ステップS404を実行する。ステップS404において、電流零制御部60を動作させる。この電流零制御部60は、前述と同様の動作を行うため、その説明は省略する。
【0055】
次に、ステップS405を実行する。ステップS405において、カウンタjに1を加える。
次に、ステップS406を実行する。ステップS406において、カウンタjがある設定された値j040より小さいとき、次に、ステップS404を実行する。このようにして、ステップS404の電流零制御部60の動作をj040回だけ繰り返す。
一方、ステップS406において、カウンタjがある設定された値j040以上のとき、ステップS407を実行する。このように、ステップS406においては、カウンタjの値により分岐する。
ステップS407において、推定角度θmを作成する。このステップS407の動作の詳細は後述する。
【0056】
次に、ステップS408において、推定速度ωmを作成する。下記式(14)のように、推定角度θmを差分し、ローパスフィルタを作用させたものを推定速度ωmとする。式(14)において、KW40はローパスフィルタの係数である。このKW40は、1以下の正値であり、小さいほどローパスフィルタの作用が大きくなる。また、θm(i)は今回にステップS407で作成された推定角度θmであり、θm(i−1)は前回にステップS407で作成された推定角度θmである。さらに、ΔT40は、ステップS408を動作させる周期である。
【0057】
ωm = KW40・{θm(i)−θm(i−1)}/ΔT40
+(1−KW40)・ωm ・・・(14)
【0058】
次に、ステップS409を実行する。ステップS409において、カウンタiに1を加える。
次に、ステップS410を実行する。ステップS410において、カウンタiがある設定された値i040より小さいとき、次に、ステップS403を実行する。このようにして、ステップS407の推定角度θmの作成とステップS408の推定速度ωmの作成とをi040回だけ繰り返す。
一方、ステップS410において、カウンタiがある設定された値i040以上のとき、ステップS411を実行する。このように、ステップS410において、カウンタiの値により分岐する。
ステップS411においては、極性が判断される。このステップS411の動作の詳細については後述する。
【0059】
次に、ステップS412を実行する。ステップS412において、低速用起動部40の動作を終了する。
次に、ステップS502を実行し、運転部50の動作を開始する。低速用起動部40において求められた推定角度θmと推定速度ωmとを初期値として、前述の従来の技術の欄で述べた後者の位置センサレスモータ制御装置で用いられる方式によりブラシレスモータ1を駆動する。
【0060】
次に、推定角度θmを作成するステップS407の動作について説明する。
まず、推定角度θmを作成するステップS407の動作の原理を説明する。
図8は、実施例1における電圧パルスと電流応答との関係を示す波形図である。誘起電圧が小さいため、d軸電圧指令値vd*、およびq軸電圧指令値vq*は小さい。ここで、d軸電圧指令値vd*にパルス電圧を重畳する。この重畳により、パルス電圧に応答して、d軸電流値idがd軸電流応答Δidだけ変化する。また、q軸電流値iqがq軸電流応答Δiqだけ変化する。なお、演算における角度は仮角度θt=0として固定する。
【0061】
図9は、実施例1における角度と電流応答との関係を示す波形図である。ブラシレスモータ1は、突極性を有するため、角度θ(実際のロータの角度を示す)が変化すると、インダクタンスが変化する。そのため、角度θが変化すると、d軸電流応答Δidとq軸電流応答Δiqとが変化する。この関係から推定角度θmを求める。なお、インダクタンスの変化は、180°の周期を持つため、推定角度θmは0〜180°の範囲で求められるのみである。
【0062】
次に、推定角度θmを作成するステップS407の動作の詳細について説明する。
図10は、実施例1における低速用起動部40での推定角度θmを作成するステップS407の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS701において、推定角度θmを作成するステップS407の動作を開始する。
次に、ステップS702を実行する。ステップS702において、仮角度θtを0にする。次に、ステップS703を実行する。ステップS703において、電圧パルスの正パルス部を印加し、この状態をある設定された時間だけ保持する。下記式(15)、(16)、(17)のように、d軸電圧指令値vd*に電圧パルスを重畳し、二相三相変換したものをu相電圧指令値vu*、v相電圧指令値vv*、w相電圧指令値vw*とする。そして、この状態をある設定された時間だけ保持する。
【0063】
vu*={√(2/3)}・{(vd*+ΔV)・cosθt
−vq*・sinθt} ・・・(15)
vv*={√(2/3)}・{(vd*+ΔV)・cos(θt−120°)
−vq*・sin(θt−120°)} ・・・(16)
vw*={√(2/3)}・{(vd*+ΔV)・cos(θt+120°)
−vq*・sin(θt+120°)} ・・・(17)
【0064】
u相電圧指令値vu*、v相電圧指令値vv*、w相電圧指令値vw*が設定された時から、ある設定された時間だけ経過した後、ステップS704を実行する。
ステップS704において、u相電流値iu、およびv相電流値ivをそれぞれu相電流応答Δiu、およびv相電流応答Δivとして保存する。
【0065】
次に、ステップS705を実行する。ステップS705において、電圧パルスの負パルス部を印加し、この状態をある設定された時間だけ保持する。下記式(18)、(19)、(20)のように、d軸電圧指令値vd*に電圧パルスを重畳し、二相三相変換したものをu相電圧指令値vu*、v相電圧指令値vv*、w相電圧指令値vw*とする。そして、この状態をある設定された時間だけ保持する。
【0066】
vu*={√(2/3)}・{(vd*−ΔV)・cosθt
−vq*・sinθt} ・・・(18)
vv*={√(2/3)}・{(vd*−ΔV)・cos(θt−120°)
−vq*・sin(θt−120°)} ・・・(19)
vw*={√(2/3)}・{(vd*−ΔV)・cos(θt+120°)
−vq*・sin(θt+120°)} ・・・(20)
【0067】
その後、u相電圧指令値vu*、v相電圧指令値vv*、w相電圧指令値vw*を、それぞれ前述の式(9)、(10)、(11)で設定された、電圧パルスを印加する前の値に戻す。
次に、ステップS706を実行する。ステップS706において、ステータに固定された座標系上の値であるu相電流応答Δiuとv相電流応答Δivとをdq軸上の値であるd軸電流応答Δidとq軸電流応答Δiqとに変換する。ここで、q軸電流応答Δiqは、変換後、さらに、−1を乗じる。通常は、ロータ3の角度を求め、dq軸はロータ3の永久磁石5に固定された座標系として変換する。しかし、ここでは、仮角度θt=0とし変換する。そのため、この三相二相変換において、実質的に、三相値が二相値に変換されるのみである。具体的には、下記式(21)、(22)のように変換する。
【0068】
Δid={√(2)}・{Δiu・sin(θt+60°)
+Δiv・sinθt} ・・・(21)
Δiq= −{√(2)}・{Δiu・cos(θt+60°)
+Δiv・cosθt} ・・・(22)
【0069】
次に、ステップS707を実行する。ステップS707において、推定角度θmを演算する。角度θ(実際のロータ3の角度)と電流応答には、図9に示した関係がある。そのため、下記式(23)のように、逆正接関数atan(アークタンジェント)を用いて推定角度θmを求める。ここで、推定角度θmの範囲を0〜180°に限定する。
【0070】
θm = atan(Δiq/Δid)/2 (Δiq≧0のとき)
θm ={atan(Δiq/Δid)/2}+90° (Δiq<0のとき)
・・・(23)
【0071】
次に、ステップS708を実行する。ステップS708において、推定角度θmを作成するステップS407の動作を終了する。
【0072】
次に、極性を判断するステップS411の動作について説明する。
まず、推定角度θmの位置とこの位置と180°ずれた位置に電圧パルスを印加する。このように電圧パルスを印加することにより、2つの位置における電流応答の大きさが磁気飽和の影響により異なる。そこで、この大きさから極性を判断する。
【0073】
図11は、実施例1における低速起動部40での極性を判断するステップS411の動作を示すフローチャートである。
ステップS801において、極性を判断するステップS411の動作を開始する。
次に、ステップS811を実行する。ステップS811において、カウンタiを0にする。次に、ステップS812を実行する。ステップS812において、電流零制御部60を動作させる。この電流零制御部60は、前述の動作と同様に動作するため、その説明は省略する。
【0074】
次に、ステップS813を実行する。ステップS813において、カウンタiに1を加える。
次に、ステップS814を実行する。ステップS814において、カウンタiがある設定された値i080より小さいとき、次に、ステップS812を実行する。このようにして、ステップS812の電流零制御部60の動作をi080回だけ繰り返す。
一方、ステップS814において、カウンタiがある設定された値i080以上のとき、ステップS821を実行する。このように、ステップS814においては、カウンタiの値により分岐する。
ステップS821において、仮角度θtを推定角度θmとする。次に、ステップS822を実行する。ステップS822からステップS824までは、前述のステップS703からステップS705までと同様の内容を実行する。そのため、その実行内容の説明は、前述のステップS703からステップS705までの説明を援用して、ここでは省略する。
【0075】
次に、ステップS825を実行する。ステップS825において、ステータに固定された座標系上の値であるu相電流応答Δiuとv相電流応答Δivとをdq軸上の値であるd軸電流応答Δidに変換する。この変換は、前述のステップS706においてなされたものと同様であり、その説明は省略する。
【0076】
次に、ステップS826を実行する。ステップS826において、d軸電流応答Δidを第1のd軸電流応答Δid1として保存する。次に、ステップS831を実行する。ステップS831において、カウンタiを0にする。次に、ステップS832を実行する。ステップS832において、電流零制御部60を動作させる。この電流零制御部60の動作は、前述の動作と同様であるため、その説明は省略する。
【0077】
次に、ステップS833を実行する。ステップS833において、カウンタiに1を加える。
次に、ステップS834を実行する。ステップS834において、カウンタiがある設定された値i080より小さいとき、次に、ステップS832を実行する。このようにして、ステップS832の電流零制御部60の動作をi080回だけ繰り返す。
【0078】
一方、ステップS834において、カウンタiがある設定された値i080以上のとき、ステップS841を実行する。このように、ステップS834においては、カウンタiの値により分岐する。
ステップS841においては、仮角度θtを推定角度θm+180°とする。
次に、ステップS842を実行する。ステップS842からステップS845までは、前述のステップS822からステップS825までと同様の内容を実行する。このため、その実行内容の説明を省略する。
【0079】
ステップS846において、d軸電流応答Δidを第2のd軸電流応答Δid2として保存する。次に、ステップS851を実行する。ステップS851において、第1のd軸電流応答Δid1と第2のd軸電流応答Δid2とを比較し、分岐する。第1のd軸電流応答Δid1が第2のd軸電流応答Δid2以上のとき、ステップS852を実行する。ステップS852において、推定角度θmを推定角度θmとする。次に、ステップS861を実行する。
【0080】
一方、ステップS851において、第1のd軸電流応答Δid1が第2のd軸電流応答Δid2未満のとき、ステップS853を実行する。ステップS853において、推定角度θmを推定角度θm+180°とする。次に、ステップS861を実行する。
ステップS861において、極性を判断するステップS411の動作を終了する。
以上のように、実施例1の位置センサレスモータ制御装置を構成して、動作させることにより、ロータ2が回転していても、ブラシレスモータ5のスムーズな起動が実現可能となる。
【0081】
次に、実施例1の位置センサレスモータ制御装置の効果について説明する。
従来の位置センサレスモータ制御装置においては、前述の従来の技術の欄で述べたように、ロータ3が停止しているとして、後者の従来の位置センサレスモータ制御装置で用いられる方式により起動する。そして、適宜、前者の従来の位置センサレスモータ制御装置で用いられている方式に切り替えて、高速まで加速させていた。
そのため、起動直前にロータ3が回転しているとき、前述のように起動時に停止しているとして、後者の従来の位置センサレスモータ制御装置で用いられる方式で起動させると、スムーズに起動できないという問題があった。
【0082】
実施例1の位置センサレスモータ制御装置は、まず、電流を零に制御する。このときの電圧指令値は、誘起電圧と等価になるため、この電圧指令値の大きさにより起動方式を選択する。すなわち、電圧指令値の大きさが大きいとき、電圧指令値に基づき角度と速度とを推定する高速用起動部を動作させる。一方、電圧指令値の大きさが小さいとき、ロータ3の回転に伴うインダクタンスの変化を利用して角度と速度とを推定する低速用起動部を動作させる。
このように、実施例1の位置センサレスモータ制御装置は、電流を零に制御したときの電圧指令値の大きさにより適切な起動部を選択し動作させることで、ロータ3が回転していても、ブラシレスモータ1のスムーズな起動を実現している。
【0083】
次に、回転数により起動方式を選択することを考える。誘起電圧は、ブラシレスモータ1の製造のばらつきにより、個体差がある。また、永久磁石5の温度が変化すると誘起電圧の大きさが変化する。そのため、回転数により起動方式を選択する場合には、常に最適な起動部を選択することができなかった。
実施例1の位置センサレスモータ制御装置は、まず、電流を零に制御する。このときの電圧指令値は、誘起電圧と等価になるため、この電圧指令値の大きさにより起動方式を選択する。
このように、実施例1の位置センサレスモータ制御装置は、誘起電圧と等価な電圧指令値により起動部を選択することで、温度変化などで誘起電圧が変化しても、常に最適な起動部の選択を実現する。
【0084】
次に、起動期間中に電流を流すことを考える。起動期間中は、角度を正確に推定することができない。このため、ある電流を流すためにある電流指令値を与えても、この電流指令値のとおりに電流を流すことができなかった。そのため、起動期間中に電流を流すと、不適切な電流が流れ、振動や異音が発生する場合があった。
実施例1の位置センサレスモータ制御装置は、選択部20において電流を零に制御し、トルクを発生させない。また、高速用起動部30において電流を零に制御し、トルクを発生させない。同様に、低速用起動部40において電流を零に制御し、トルクを発生させない。このように、実施例1の位置センサレスモータ制御装置は、起動期間において、電流を零に制御することにより、トルクを発生させない構成である。このため、実施例1の位置センサレスモータ制御装置は、起動期間中に電流を流しても、異常な電流が流れることがなく、振動や異音の発生が防止されている。
【0085】
《実施例2》
次に、本発明に係る実施例2の位置センサレスモータ制御装置について添付の図面を参照しつつ説明する。
前述の実施例1の位置センサレスモータ制御装置において、低速用起動部40は、ロータ3の回転に伴うインダクタンスの変化を利用して角度と速度とを推定した。実施例2の位置センサレスモータ制御装置においては、低速用起動部2040が磁束の飽和を利用して角度と速度とを推定するものである。
また、実施例1の位置センサレスモータは、永久磁石5がロータヨーク4の内部に埋め込まれた埋込磁石型モータを制御する構成である。実施例2の位置センサレスモータは、永久磁石2005がロータヨーク2004の表面に配置された表面磁石型モータを制御するものである。
【0086】
以下、実施例2の位置センサレスモータ制御装置の構成について説明する。図12は、実施例2における位置センサレスモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
実施例2のブラシレスモータ2001には、電磁鋼板から構成されたステータ(図示せず)と、被覆銅線から構成され相電流が流れるステータに巻回された相巻線2u、2v、2wと、このステータに対向し近接して配置されたロータ2003とが設けられている。相巻線2u、2v、2wはY結線されている。ロータ2003は、電磁鋼板から構成されたロータヨーク2004とこのロータヨーク2004の表面に配置された永久磁石2005とロータヨーク2004と同一の回転中心を持つシャフト2006とから構成される。このロータ2003は回転自在に支持され、相電流により生成される磁束と永久磁石2005による磁束との相互作用によりロータ2003が回転する。
【0087】
実施例2の位置センサレスモータ制御装置に含まれる構成のうち、マイコン2010が実施例1と異なる。このマイコン2010に含まれる構成のうち、モータ制御部2012が実施例1と異なる。このモータ制御部2012に含まれる構成のうち、低速用起動部2040が実施例1と異なる。その他の構成は、実施例1と同様であるため、それらの構成と動作の説明は実施例1の説明を援用して、実施例2においては省略する。
【0088】
次に、実施例2における低速用起動部2040の動作について説明する。
低速用起動部2040は、誘起電圧が小さいときのための起動方法であり、磁束の飽和を利用して推定角度θmと推定速度ωmとを作成する。
まず、低速用起動部2040の動作の原理について説明する。
図8に示したように、誘起電圧は小さいため、d軸電圧指令値vd*、およびq軸電圧指令値vq*は小さい。ここで、d軸電圧指令値にパルス電圧を重畳すると、この電圧パルスに応答して、d軸電流値idがd軸電流応答Δidだけ変化する。なお、演算における角度は仮角度θt=0として固定する。
【0089】
図13は、実施例2における角度(横軸)と電流応答(縦軸)との関係を示す波形図である。角度θ(実際のロータ2003の角度)が0のとき、電圧パルスにより、永久磁石2005が発生する磁束を強める方向に磁束が発生する。このように磁束が発生すると、ステータにおいて磁束飽和が発生するため、電流応答が大きくなる。したがって、電流応答が一番大きくなるとき、推定角度θm=0とすればよい。
【0090】
次に、低速用起動部2040の動作の詳細について説明する。
図14は、実施例2における低速用起動部2040の動作を示すフローチャートである。
ステップS2401において、低速用起動部2040の動作を開始する。
次に、ステップS2402を実行する。ステップS2402において、カウンタiの値を0にする。次に、ステップS2403を実行する。ステップS2403において、カウンタjの値を0にする。
次に、ステップS2404を実行する。ステップS2404において、電流零制御部60を動作させる。この電流零制御部60の動作は、前述の実施例1における電流零制御部60の動作と同様であるため、その説明は省略する。
【0091】
次に、ステップS2405を実行する。ステップS2405において、カウンタjに1を加える。
次に、ステップS2406を実行する。ステップS2406において、カウンタjがある設定された値j02040より小さいとき、次に、ステップS2404を実行する。このようにして、ステップS2404の電流零制御部60の動作をj02040回だけ繰り返す。
一方、ステップS2406において、カウンタjがある設定された値j02040以上のとき、ステップS2407を実行する。このように、ステップS2406においては、カウンタjの値により分岐する。
ステップS2407からステップS2410までは、前述の図10に示した実施例1におけるステップS702からステップS705までの動作と同様の内容を実行する。このため、その実行内容の説明は省略する。
【0092】
ステップS2411において、ステータに固定された座標系上の値であるu相電流応答Δiuとv相電流応答Δivとをdq軸上の値であるd軸電流応答Δidに変換する。この変換は、前述の実施例1におけるステップS825の動作と同様であり、その説明は省略する。
次に、ステップS2412を実行する。ステップS2412において、d軸電流応答Δidが極大か否かを判断して分岐する。d軸電流応答Δidが極大のとき、ステップS2413を実行する。一方、d軸電流応答Δidが極大でないとき、ステップS2403を実行する。なお、d軸電流応答Δidの傾きが正から負に転じたとき、d軸電流応答Δidが極大であると判断する。このようにして、ステップS2411のd軸電流応答Δidの演算をd軸電流応答Δidが極大となるまで繰り返す。
【0093】
ステップS2413において、推定角度θmを0にする。次に、ステップS2414を実行する。ステップS2414において、推定速度ωmを作成する。ステップS2414は、電気角で360°おきに実行される。そのため、速度は、360°をステップS2414が実行される時間間隔で除算したものとなる。そして、この除算結果にローパスフィルタを作用させたものを推定速度ωmとする。具体的には、下記式(24)のようにする。式(24)において、KW2040はローパスフィルタの係数である。このKW2040は、1以下の正値であり、小さいほどローパスフィルタの作用が大きくなる。また、ΔT2040は、前回ステップS2414が実行されたときから今回ステップS2414が実行されるまでの時間である。
【0094】
ωm = KW2040・360°/ΔT2040
+(1−KW2040)・ωm ・・・(24)
【0095】
次に、ステップS2415を実行する。ステップS2415において、カウンタiに1を加える。
次に、ステップS2416を実行する。ステップS2416において、カウンタiがある設定された値i02040より小さいとき、次に、ステップS2403を実行する。このようにして、ステップS2413の推定角度θmの作成とステップS2414の推定速度ωmの作成とをi02040回だけ繰り返す。
一方、ステップS2416において、カウンタiがある設定された値i02040以上のとき、ステップS2417を実行する。このように、ステップS2416においては、カウンタiの値により分岐する。ステップS2417においては、低速用起動部2040の動作を終了させる。
【0096】
次に、ステップS503を実行して、運転部50の動作を開始する。低速用起動部2040において求められた推定角度θmと推定速度ωmとを初期値として、例えば、特願平10−329049号公報に示される位置センサレスモータ制御装置で用いられる方式によりブラシレスモータ2001を駆動する。
【0097】
以上のように、実施例2の位置センサレスモータ制御装置を構成して動作させることにより、起動時にロータ2003が回転していても、ブラシレスモータ2001のスムーズな起動を実現することができる。
また、実施例2の位置センサレスモータ制御装置は、実施例1の位置センサレスモータ制御装置と同様の作用を有し、実施例1と同様の効果を実現することができる。
【0098】
なお、実施例1においては埋込磁石型モータ(ブラシレスモータ1)を制御し、実施例2においては表面磁石型モータ(ブラシレスモータ2001)を制御する構成の例で説明した。しかし、実施例1の方式により表面磁石型モータを制御し、実施例2の方式により埋込磁石型モータを制御する構成でもよい。
一般に、表面磁石型モータは、ロータの回転に伴うインダクタンスの変化が小さい。しかし、特定の表面磁石型モータにおいては、比較的インダクタンスの変化に富むものがある。このような表面磁石型モータにおいては、実施例2の方式よりも実施例1の方式のほうが有効である。
また、一般に、埋込磁石型モータは、ロータの回転に伴うインダクタンスの変化が大きい。しかし、特定の埋込磁石型モータにおいては、インダクタンスの変化が乏しいものがある。このような埋込磁石型モータにおいては、実施例1の方式よりも実施例2の方式がほうが有効である。
【0099】
また、前述の実施例の低速用起動部40、2040において、電圧パルスを印加する方式を用いたが、本発明はこの方式に限定されるものではない。例えば、高周波電圧や高周波電流を重畳し、その電流応答や電圧応答により角度を推定する方式を用いてもよい。また、PWMキャリア内での電流応答から角度を推定してもよい。
同様に、前述の実施例の高速用起動部30においては、実施例1の方式に限定されるものではなく、電流を制御して、このときの電圧指令値を用いる構成のものであれば本発明に含まれる。
【0100】
さらに、本発明は起動時に正転している場合のみに限定されるものではなく、起動時に逆転している場合でもよい。
起動時に逆転の向きに低速で回転しているとき、正転の向きに高速で回転させるために、本発明の位置センサレスモータ制御装置は、以下のように動作する。
まず、選択部20が動作し、低速用起動部40、2040を選択し、低速用起動部40、2040が動作する。低速用起動部40、2040は、推定角度θmと負の推定速度ωmを作成し、これらに基づき運転部50が動作する。そして、運転部50は、低速用の角度推定を行い、正の向きのトルクを発生する。やがて、逆転の向きで回転していたものが、正転の向きに回転し始める。さらに、適宜、高速用の角度推定を行い、高速まで加速する。
【0101】
一方、起動時に逆転の向きに高速で回転しているとき、正転の向きに高速で回転させるために、本発明の位置センサレスモータ制御装置は、以下のように動作する。
まず、選択部20が動作して、高速用起動部30を選択し、高速用起動部30を動作させる。高速用起動部30は、推定角度θmと負の推定速度ωmを作成し、これらに基づき運転部50が動作する。そして、運転部50は、高速用の角度推定を行い、正の向きのトルクを発生する。やがて、減速され、適宜、低速用の角度推定を行い、逆転の向きで回転していたものが、正転の向きに回転し始める。さらに、適宜、高速用の角度推定を行い、高速まで加速する。
なお、電流零制御部60において、仮角度θtを0としたが、その他の角度にしてもよい。この場合、高速起動部30のステップS304における推定角度θmの作成を適切に変更する必要がある。
【0102】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、電流を零に制御したときの電圧指令値の大きさにより適切な起動部を選択し動作させることにより、ロータが回転していても、ブラシレスモータをスムーズに起動させる位置センサレスモータ制御装置を実現することができる。
また、本発明によれば、誘起電圧と等価な電圧指令値により起動部を選択することにより、温度変化などで誘起電圧が変化しても、常に最適な起動部を選択する位置センサレスモータ制御装置を実現することができる。
また、本発明によれば、起動期間において、電流を零に制御することにより、トルクが発生せず、スムーズな起動が可能となる位置センサレスモータ制御装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例1の位置センサレスモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1における駆動部の構成を示す回路図である。
【図3】実施例1における選択部の動作を示すフローチャートである。
【図4】実施例1における電流零制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】実施例1における高速用起動部の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施例1における高速用起動部で電流を零に制御したときの電圧指令値の変化を示す波形図である。
【図7】実施例1における低速用起動部の動作を示すフローチャートである。
【図8】実施例1における電圧パルスと電流応答との関係を示す波形図である。
【図9】実施例1における角度と電流応答との関係を示す波形図である。
【図10】実施例1における低速用起動部での推定角度を作成するステップの動作を示すフローチャートである。
【図11】実施例1における低速用起動部での極性を判断するステップの動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る実施例2における位置センサレスモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図13】実施例2における角度と電流応答との関係を示す波形図である。
【図14】実施例2における低速用起動部の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ブラシレスモータ
2u、2v、2w 相巻線
3 ロータ
5 永久磁石
8u、8v 電流センサ
9 駆動部
10 マイコン
12 モータ制御部
20 選択部
30 高速用起動部
40 低速用起動部

Claims (9)

  1. 永久磁石が配置され回転自在に支持されたロータと、前記ロータに近接して配置されたステータと、前記ステータに巻回された相巻線と、を有するブラシレスモータを制御する位置センサレスモータ制御装置であって、
    前記相巻線に印加する電圧の指令値を表す電圧指令値に基づき電圧を印加する駆動手段と、
    前記ブラシレスモータを起動させるための複数の起動手段と、
    前記相巻線に流れる電流を零に制御するための電圧指令値を作成する電流零制御部と、
    前記電流零制御部の作成した前記電圧指令値に基づき前記複数の起動手段から1つの起動手段を選択する選択手段と、を具備し、
    前記選択手段において選択された起動手段において、前記相巻線に流れる電流を零にする前記電圧指令値に基づき前記ロータの角度と速度とを演算するよう構成された位置センサレスモータ制御装置。
  2. 前記複数の起動手段は、高速時にブラシレスモータを起動させるための第1の起動手段と、低速時に前記ブラシレスモータを起動させるための第2の起動手段と、を有し、
    前記選択手段は、前記相巻線に流れる電流を零に制御したときの前記電圧指令値がしきい値より大きいとき前記第1の起動手段を選択し、前記相巻線に流れる電流を零に制御したときの前記電圧指令値がしきい値より小さいとき前記第2の起動手段を選択するよう構成された請求項1に記載の位置センサレスモータ制御装置。
  3. 前記第2の起動手段が前記ブラシレスモータのロータの回転に伴うインダクタンスの変化を利用するよう構成された請求項2に記載の位置センサレスモータ制御装置。
  4. 前記第2の起動手段が磁束の飽和を利用するよう構成された請求項2に記載の位置センサレスモータ制御装置。
  5. 前記第1の起動手段が、前記相巻線に流れる電流を零にするように前記電圧指令値を制御して、前記電圧指令値に基づき前記ロータの角度と速度とを演算し、
    前記第2の起動手段が、前記相巻線に流れる電流を零にするように制御し、前記ロータの回転に伴うインダクタンスの変化を利用して前記ロータの角度と速度とを演算するよう構成された請求項2に記載の位置センサレスモータ制御装置。
  6. 前記第1の起動手段が前記相巻線に流れる電流を零にするように前記電圧指令値を制御して、前記電圧指令値に基づき前記ロータの角度と速度とを演算し、
    前記第2の起動手段が前記相巻線に流れる電流を零にするように制御し、磁束の飽和を利用して前記ロータの角度と速度とを演算するよう構成された請求項2に記載の位置センサレスモータ制御装置。
  7. 前記第1の起動手段は、前記電圧指令値に基づき誘起電圧を推定し、前記ロータの角度と速度とを演算するよう構成された請求項2に記載の位置センサレスモータ制御装置。
  8. 前記第2の起動手段は、電圧パルスを印加したときの電流応答に基づき、前記ロータの角度と速度とを演算するよう構成された請求項2に記載の位置センサレスモータ制御装置。
  9. 前記電流零制御部が、前記相巻線に流れる電流値が零を示す電流指令値となるように比例積分制御を用いて電圧指令値を作成するよう構成された請求項2に記載の位置センサレスモータ制御装置。
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