JP2022161101A - モータ駆動装置およびモータ駆動方法 - Google Patents

モータ駆動装置およびモータ駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電流制御器でモータ電流を抑制して、特殊なPWM制御モードや電流検出処理を使用せず、モータ回転子の位置と速度を高精度に算出できる永久磁石同期モータ駆動装置およびモータ駆動方法を提供する。【解決手段】制御部5は、インバータ2の制御出力を与える第1の制御部と第2の制御部とを備え、第2の制御部は、永久磁石同期モータ3が空転状態である場合に、モータ電流を所定値にするように、フィードバック制御器を用いて、電流検出手段からの電流検出値によりインバータ2の出力電圧を調整して、出力電圧と電流検出値に基づいて、空転状態における永久磁石同期モータ3の空転状態の回転位置、回転速度及び回転方向を算出し、第1の制御部は、算出された空転状態の回転位置、回転速度及び回転方向に基づいて、永久磁石同期モータ3が空転状態から回転を開始するようにインバータ2を制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、モータが空転している状態から再始動する手段を備えるモータ駆動装置およびモータ駆動方法に関する。
直流を交流に変換するインバータと永久磁石同期モータから構成されるモータ駆動システムが家電製品や産業機器分野において広く普及している。
一般的に、永久磁石同期モータを高効率駆動するために、モータの回転子位置情報が必要となる。モータの回転子位置は、エンコーダなどの位置検出器を用いて直接的に検出することができるが、コストと信頼性の問題がある。そこで、近年、位置検出器を用いることなく永久磁石同期モータの回転子位置を検出する位置センサレス制御が、提案され、様々な製品に適用されている。
永久磁石同期モータの位置センサレス制御における課題の一つは、回転子が空転している状態から再始動する方法(「フリーラン起動」と呼ぶ)である。例えば、ファンなどのモータは、負荷の慣性や外力(外風)により、起動前に既に回転している場合がある。空転状態の回転子位置、回転速度および回転方向などの情報が無ければ、モータが停止するまで待つか、強制的にブレーキ制御をかけて回転を停止させ、その後停止状態から再起動しなければならないため、再起動までの時間が長くなる。
これに対し、永久磁石同期モータ空転時に発生する誘起電圧を利用して、モータの巻線をインバータによって短絡させ、このときに流れる電流に基づき回転子の位置などを推定する技術が、特許文献1および特許文献2に記載されている。
特許文献1に記載の技術では、モータ駆動用インバータを構成するスイッチング素子のうち、三つの上(下)アーム素子を同時にオンにして、モータ巻線に短絡電流を流して、三相のモータ電流の検出情報に基づいて回転子の位置と回転速度を算出する。
特許文献2に記載の技術では、モータ駆動用インバータの2相分の異なるアームの素子を同時にオンオフ動作させて、インバータの直流側の母線(シャント)電流を検出して、モータの回転子位置と回転速度を算出する。
特許第6317904号公報 特開2018-170928号公報
特許文献1に記載の技術においては、インバータが短絡動作時のモータ巻線の短絡電流がモータ誘起電圧と巻線抵抗及びインダクタンスにより決められるため、空転速度によって、短絡動作時の過電流が発生する恐れがある。
特許文献2に記載の技術においては、母線(シャント)抵抗に流す電流の検出により、特殊なPWM制御モードと電流検出処理を使うため、モータの回転子位置と回転速度を算出する演算が複雑になり、推定結果に誤差が発生しやすい。
そこで、本発明は、電流制御器でモータ電流を抑制して、特殊なPWM制御モードや電流検出処理を使用せず、モータ回転子の位置と速度を高精度に算出できるモータ駆動装置およびモータ駆動方法を提供する。
以上のことから本発明においては、「直流電力から変換した交流電力を永久磁石同期モータに出力するインバータと、インバータの出力電流を検出する電流検出手段と、インバータの動作を制御する制御部とを備えるモータ駆動装置であって、制御部は、永久磁石同期モータの通常運転時にインバータの制御出力を与える第1の制御部と、永久磁石同期モータの空転時にインバータの制御出力を与える第2の制御部とを備え、第2の制御部は、永久磁石同期モータが空転状態である場合に、モータ電流を所定値にするように、フィードバック制御器を用いて、電流検出手段からの電流検出値によりインバータの出力電圧を調整して、出力電圧と電流検出値に基づいて、空転状態における永久磁石同期モータの空転状態の回転位置、回転速度及び回転方向を算出し、第1の制御部は、算出された空転状態の回転位置、回転速度及び回転方向に基づいて、永久磁石同期モータが空転状態から回転を開始するようにインバータを制御することを特徴とするモータ駆動装置」としたものである。
また本発明は、「直流電力から変換した交流電力を、インバータを介して永久磁石同期モータに出力するモータ駆動方法であって、永久磁石同期モータが空転状態である場合に、モータ電流を所定値にするように、インバータの出力電圧を調整し、インバータの出力電圧と電流検出値に基づいて、空転状態における永久磁石同期モータの空転状態の回転位置、回転速度及び回転方向を算出し、算出された空転状態の回転位置、回転速度及び回転方向に基づいて、永久磁石同期モータが空転状態から回転を開始するようにインバータを制御することを特徴とするモータ駆動方法」としたものである。
本発明によれば、電流制御器でモータ電流を抑制して、特殊なPWM制御モードや電流検出処理を使用せず、モータ回転子の位置と速度を高精度に算出できるモータ制御方法およびそれを用いるモータ駆動装置を提供することができる。
より詳細に述べると、空転中のモータの回転位相を検出するセンサや誘起電圧検出回路などが不要になることにより、回路コスト、基板面積およびマイコンのA/Dポート使用数の削減ができる。また、回転子位置と回転速度を算出する期間に過大なモータ電流を流すことなく、高精度に回転子の状態を算出できる。したがって、モータ駆動装置およびそれを用いるファンなど各種の機器の起動制御の信頼性が向上する。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の実施例に係るモータ駆動装置の全体構成例を示す図。 制御部の制御構成例を示すブロック図。 空転状態の永久磁石同期モータの回転子位置と回転速度を算出する空転状態検出器17の構成例を示す図。 電流制御器の構成例を示す図。 位相と速度算出時のモータ電流と出力電圧の時間波形例を示す図。 空転時におけるモータ駆動装置の運転状態の遷移を示す状態遷移例を示す図。 モータ起動時の電流指令値と回転速度指令値を示す概略波形例を示す図。 モータ起動時の電流指令値と回転速度指令値を示す概略波形例を示す図。
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお実施例1では、空転状態から通常運転状態に移行することについて説明し、実施例2では空転時に永久磁石同期モータを再起動する際のモータ駆動装置の運転状態の遷移について説明する。
実施例1では、空転状態から通常運転状態に移行することについて説明する。まずこれを可能とする装置の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施例に係るモータ駆動装置の全体構成例を示す図である。図1に示すモータ駆動装置は、直流電源1と、直流電源1からの直流電力を交流電力に変換するインバータ2と、駆動対象となる永久磁石同期モータ3と、永久磁石同期モータ3によって駆動される機械的なモータ負荷4と、インバータ2を制御する制御部5と、直流電源1とインバータ2の間にあるシャント抵抗6およびシャント抵抗6の信号を増幅する増幅器7とを備える。なお、本実施例において、モータ負荷4は送風機のファンである。
直流電源1としては、図示されない商用交流電源などの交流電源から受電する交流電力を直流電力に変換する電力変換装置(例えば、ダイオード整流器や安定化電源など)もしくは電池などが適用される。
インバータ2においては、半導体スイッチング素子(IGBTやMOSFETなど)とダイオードが逆並列に接続される二つのアーム回路、すなわち上アームと下アームが直列に接続される直列接続回路が、直流電源1の一対の正負端子間に接続される。インバータ2は、3相インバータであるため、このような直列接続回路を交流の相数分すなわち3個備えている。ここで、上アームおよび下アームは、それぞれ、直流電源1の高電位側および低電位側に接続される。上下アームの直列接続点は交流端子に接続され、交流端子には永久磁石同期モータ3が接続される。
インバータ2の低電位側の母線は、電流検出用のシャント抵抗6を介して直流電源1の負端子に接続される。シャント抵抗6によって検出される電流検出信号は、増幅器7を介して制御部5に入力される。ここで、シャント抵抗6に代えて、電流センサなどの他の電流検出手段を用いても良い。なお、制御部5におけるデジタル演算のために、増幅器7の出力信号は、サンプリングおよびホールド回路とA/D変換器などにより、デジタル信号に変換される。
制御部5としては、マイクロコンピュータもしくはDSP(デジタルシグナルプロセッサ)などの半導体演算装置が用いられる。
なお、本実施例においては、後述するように制御部5が、位置検出器を用いることなく永久磁石同期モータの回転子位置を検出して同期を行う、位置センサレス制御を実行するため、永久磁石同期モータ3には、回転子や回転軸の位置を検出するホール素子などの磁極位置検出手段は設けていない。
次に全体制御について説明する。図2は、実施例に係る制御部5の制御構成例を示すブロック図である。制御部5は、計算機の演算装置が所定のプログラムを実行することにより、各ブロックが示す各機能を備える。
制御部5は、d-q軸ベクトル制御により、モータに印加する電圧指令信号を演算し、インバータのPWM(Pulse Width Modulation)制御信号を生成するものである。制御部5は、速度制御器10と、d軸電流指令発生器11と、電圧制御器12と、2軸/3相変換器13と、速度および位相推定器14と、3相/2軸変換器15と、電流再現演算器16と、空転状態算出器17と、電圧指令切替器18と、PWM制御器19とを備える。なお、空転時における起動制御に関連する機能である空転状態算出器17と、電圧指令切替器18については図3を用いて後述する。
図2の制御部5において、まず電流再現演算器16は、増幅器7から出力される電流検出信号ishと、三相電圧指令v 、v 、v を用いてインバータ2からの三相モータ電流i、i、iを再現する。シャント抵抗6の電流信号から三相モータ電流を再現する方法は公知であるため、ここでの詳細説明は省略する。なお、図1では、コスト低減のために、シャント抵抗6によって検出される電流検出信号ishから三相電流を再現する方式を採用しているが、特に実施形態を限定するものではない。したがって、シャント抵抗6に代えて電流センサなどの電流検出手段を用いてインバータ回路2の出力である交流電流を検出しても良く、この場合は、その電流検出手段が検出した三相電流を3相/2軸変換器15に入力すれば良い。
3相/2軸変換器15は、再現された三相出力電流i、i、iと、速度および位相推定器14によって推定された位相情報θdcに基づいて、dc軸電流idcとqc軸電流iqcとを(1)式および(2)式に基づいて演算する。(1)式は、いわゆる3相/2軸変換を表し、(2)式は回転座標系への変換を表す。
Figure 2022161101000002
Figure 2022161101000003
dc-qc軸は、推定位置情報に基づくベクトル制御系の推定軸、d-q軸はモータ回転子軸であり、ここではd-q軸とdc-qc軸との軸誤差はΔθcと定義する。
図2において、速度制御器10は、外部からの速度指令値ωに基づいて、速度指令値と、速度および位相推定器14によって推定される推定速度ωとの偏差を0に近づけるように、すなわち推定速度ωを速度指令値ωに近づけるように、qc軸電流指令値iqc を作成する。また、モータ電流を最小化するために、電流指令発生器11は、dc軸電流指令値idc を発生する。
図2における電圧制御器12は、電流指令発生器11から与えられるdc軸電流指令値idc と、速度制御器10から与えられるqc軸電流指令値iqc と、3相/2軸変換器15から与えられるdc軸電流検出値idcおよびqc軸電流検出値iqcと、速度指令値ωおよびモータ定数を用いて、dc軸電圧指令値vdc およびqc軸電圧指令値vqc を演算して出力する。
2軸/3相変換器13は、電圧制御器12によって算出されたdc-qc軸の電圧指令vdc 、vqc と速度および位相推定器14からの位相情報θdcを用いて、(3)式および(4)に基づいて、三相電圧指令v 、v 、v を算出して出力する。なお、(3)式は、回転座標系から固定座標系への変換を表す。また、(4)式は、いわゆる2軸/3相変換を表す。
Figure 2022161101000004
Figure 2022161101000005
なお、速度および位相推定器14は、dc軸電流検出値idcおよびqc軸電流検出値iqcと、dc-qc軸の電圧指令vdc 、vqc とを用いて、回転子の位置や回転速度を推定し、位相情報θdcおよび推定速度ωとして出力する。
これにより、本実施例では、位置センサレス制御が可能になり、駆動システム全体のコストが低減できる。なお、速度および位相推定器14における具体的な推定手段は公知であるため、ここでの詳細説明は省略する。
図2における以上の説明は、通常運転状態におけるモータ制御の考え方を示したものであり、通常運転状態では電圧指令切替器18は、2軸/3相変換器13側に切り替えられて電圧制御器12の出力によるモータ制御を行っている。これに対し、以下に示す本発明に係る動作では、空転時の動作を取り扱い、この状態では電圧指令切替器18は空転状態算出器17側に切り替えられて空転状態検出器17の出力によりモータ制御を行っている。
次に、空転時の位相検出について説明する。永久磁石同期モータ3が空転状態から再始動する場合、永久磁石同期モータ3の回転速度によっては、回転子位置と回転速度情報を取得しなければ、図2に示した制御によるモータ起動が難しくなる。
これに対し、本実施例は、永久磁石同期モータ3が空転状態での回転子位置と回転速度を算出する手段を備えている。以下では、その手段について説明する。
永久磁石同期モータ3が空転すると巻線から誘起電圧を生じる。誘起電圧は、永久磁石同期モータ3とインバータの接続部であるU相、V相、W相の交流端子に印加される。永久磁石同期モータ3の電気位相θの基準をU相巻線位置とし、また、永久磁石同期モータ3の三相巻線の中性点を基準電位とすれば、U相、V相、W相の相誘起電圧e、e、eは、(5)式で表される。(5)式のωはモータ速度であり、Keはモータ誘起電圧定数である。
Figure 2022161101000006
図3は、空転状態の永久磁石同期モータの回転子位置と回転速度を算出する空転状態検出器17の構成例を示す図である。空転状態検出器17は、電流指令20と、電流制御器21、誘起電圧位相演算器22と、速度演算器23と、初期位相演算器24から構成される。ここで求められた三相電圧指令v 、v 、v は、電圧指令切替器18を介してPWM制御器19に与えられ、空転状態のモータ制御を実行する。またここで求められた初期速度と、初期位相は速度&位相推定器14に与えられる。
図3において電流指令20では、一定の電流指令として例えば電流指令値0を出して、検出した三相電流i、i、iとの差分を電流制御器21に入力して、電流制御器21から三相電圧指令v 、v 、v を出力する。この三相電圧指令v 、v 、v は電圧指令切替器18を介してPWM制御器19に与えられ、これに従ってインバータ2から電圧を出力してモータ3に印加する。このとき、モータ3の三相電流i、i、iと三相電圧指令v 、v 、v および誘起電圧e、e、eの関係が(6)式により表される。(6)式のRはモータ巻線抵抗値、Lはモータ巻線インダクタンス値である。
Figure 2022161101000007
ゆえに、(7)式により、電圧指令v 、v 、v と検出電流i、i、i及びモータ定数から、空転中のモータ誘起電圧e、e、eを算出できる。
Figure 2022161101000008
また、(6)式から分かるように、電圧指令v 、v 、v と誘起電圧e、e、eの差がモータ電流i、i、iを決める。この場合にモータ電流が過大にならないように、電圧指令v 、v 、v を誘起電圧e、e、eに近づける制御が必要である。
そこで、本実施例において、電流制御器21は、PI制御器を用いて電圧指令v 、v 、v を作成する。なお三相電圧指令v 、v 、v を生成する方法としては図4に示すようないくつかの手法が知られており、各相の電流差Δi、Δi、Δiを入力とする相ごとの三つのPI制御器25a、25b、25cを備える図4上段の手法でも良いが、例えばu相とw相の2相の電流差Δiu、Δiを入力としてこの相の三つのPI制御器25a、25cを備え、v相については合成加算により求める図4中段の手法、あるいは(1)式と(3)式の3相/2軸変換処理を備える図4下段の手法を使っても良い。
また、図4におけるこれらのPI制御器25のゲインは、最大モータ電流が過電流とならないように設定すればよい。ただし、直流電源として充電電池を使用する場合、充電電池への回生電流(充電電流)が上限値以下になるように、PI制御器のゲインを調整しても良い。
次に、位相を算出することについて説明する。図3の誘起電圧位相演算器22では、(7)式から算出された誘起電圧e、e、eより、(8)式を用いて誘起電圧位相θを演算する。
Figure 2022161101000009
また位相差から速度を演算することについて説明する。誘起電圧位相θ演算の2回目以降は、(9)式に示すように、前後の誘起電圧位相θe1とθe0の差分と時間差Δtから、速度演算器23で初期回転速度ωe0を演算する。
Figure 2022161101000010
さらに、回転速度の正負から、モータの回転方向を判定して、(10)式を用いて、初期位相演算器24でモータ回転子の初期位相θd0を演算する。
Figure 2022161101000011
また、回転速度の演算精度向上のため、複数回の演算結果を平均化するなど、各種の統計的な処理をしても良い。
速度演算器23と初期位相演算器24からの初期回転速度ωe0とモータ回転子の初期位相θd0は、図2にある速度&位相推定器14の初期値に設定して、図2の制御を起動する。
図5は、以上説明した制御の動作波形の一例である。ここでは図5の上段から順に、空転中のモータ誘起電圧30(e、e、e)、電圧指令31(v 、v 、v )、検出電流32(i、i、i)、推定された位相情報33(θdc)、モータ回転子の初期位相34(θd0)、初期回転速度35(ωe0)の時間経緯を横軸の時間軸に沿って示している。
この例では、時間軸の0.05秒から0.1秒まで、空転状態検出器17が動作する。つまり、0.05秒から0.1秒までは、電圧指令切替器18は空転状態検出器17側に切り替えられて空転時の運転を行っており、0.1秒経過後は電圧指令切替器18が2軸/3相変換器13側に切り替えられて、いわゆる通常運転時のモータ制御に切り替えられる。
ここでは0.05秒以前の状態では電圧指令31(v 、v 、v )の初期値(0.05秒以前)が0であるため、空転状態検出器17が動作開始時の時刻(0.05秒以後)に、検出電流32(i、i、i)が急増しているが、電流制御器21の動作により電圧指令31(v 、v 、v )が立ち上がって、その後のモータ電流(検出電流32(i、i、i))が0.5A以下に抑制されている。電流制御器21の動作が安定した後(例えば図の例では時刻0.06秒から)、(8)式と(9)式を用いて、誘起電圧位相34(θd0)と初期回転速度35(ωe0)を算出する。
この誘起電圧位相34(θd0)と初期回転速度35(ωe0)を用いて、図2の速度&位相推定器14は(10)式により、通常運転開始時の誘起電圧位相θdcと推定速度ωを設定して、図2の制御を起動する。以上の実施例1で説明したところのモータ駆動装置は、要するに、「直流電力から変換した交流電力を永久磁石同期モータ3に出力するインバータ2と、インバータ2の出力電流を検出する電流検出手段7と、インバータ2の動作を制御する制御部5とを備えるモータ駆動装置であって、制御部5は、永久磁石同期モータ3の通常運転時に前記インバータの制御出力を与える第1の制御部(電圧制御部12を含む制御系)と、永久磁石同期モータ3の空転時に前記インバータ2の制御出力を与える第2の制御部(空転状態推定器17)とを備え、記第2の制御部(空転状態推定器17)は、永久磁石同期モータ3が空転状態である場合に、モータ電流を所定値にするように、フィードバック制御器(電流制御器21)を用いて、電流検出手段7からの電流検出値により前記インバータの出力電圧を調整して、出力電圧と電流検出値に基づいて、空転状態における永久磁石同期モータ3の空転状態の回転位置、回転速度及び回転方向を算出し、第1の制御部(電圧制御部12を含む制御系)は、算出された空転状態の回転位置、回転速度及び回転方向に基づいて、永久磁石同期モータが空転状態から回転を開始するように前記インバータ2を制御することを特徴とするモータ駆動装置。」のように構成したものである。
実施例2では空転時に永久磁石同期モータを再起動する際の運転状態の遷移について説明する。図6は、空転時に永久磁石同期モータ3を再起動する際のモータ駆動装置2の運転状態の遷移を示す状態遷移例を示す図である。
空転状態では上述したように回転子情報(回転子位相、回転速度と回転方向)が算出され、算出された回転速度ωに応じて運転状態が遷移する。空転状態算出モードmd1の判断において回転子が逆転している場合は、例えば、回転速度ωの大きさが事前に設定した位置センサレス最低速度値ωth1を超えれば、算出された回転子位相と速度を速度および位相推定器14の初期値に設定して、図2の制御を起動して、逆転位置センサレス運転モードmd2、逆転同期運転モードmd3、正転同期運転モードmd4、正転位置センサレス運転モードmd5の順で、図中の矢印が示すように、逐次、運転状態が遷移するように制御する。例えば、空転状態にあるモータが、第1の閾値ωth1以上の回転速度ωで逆回転していると算出された場合には、逆転位置センサレス運転モードに遷移し、その後順次他の運転モードに遷移するように制御する。
また空転状態算出モードmd1の判断において、空転状態にあるモータが、第2の閾値ωth2よりも大きく、第1の閾値ωth1よりも小さい回転速度ωで逆回転していると算出された場合には、逆転同期運転モードmd3に遷移し、その後順次他の運転モードに遷移させる。
また空転状態算出モードmd1の判断において、空転状態にあるモータが、第2の閾値ωth2よりも大きく、第1の閾値ωth1よりも小さい回転速度ωで正回転していると算出された場合には、正転同期運転モードmd4に遷移し、その後順次他の運転モードに遷移させる。
また空転状態算出モードmd1の判断において、空転状態にあるモータが、第1の閾値ωth1以上の回転速度ωで正回転していると算出された場合には、正転位置センサレス運転モードmd5に遷移させる。
図7は、モータが正転中に算出された回転速度が位置センサレス最低速度値を超える場合に対応するモータ起動時の電流指令値Idc 、Iqc と回転速度指令値ωを示す概略波形図である。空転状態の回転速度ωが位置センサレス最低速度値ωth1を超える場合、図7に示すように、空転状態算出モードmd1から正転位置センサレス運転モードmd5に遷移する。このとき、dc軸電流指令値Idc は0で推移し、正転位置センサレス運転モードmd5に移行するとqc軸電流指令値Iqc が与えられ、モータは所定の回転速度で回転する。
また、算出された回転速度が設定した最低レベル(第2の閾値ωth2)以下である場合(例えば空転状態における回転速度が正転・逆転を問わずほぼゼロである場合など)には、運転状態は、まず位置決めモードmd6に遷移し、その後、正転同期運転モードmd4、正転位置センサレス運転モードmd5の順に遷移する。
図8は、このケースのモータ起動時の電流指令値と回転速度指令値を示す概略波形図である。図8に示すように、運転モードは、所定のモータ巻線に流れるdc軸電流指令値Idc を徐々に増加することにより、回転子を所定の回転位置に固定させる位置決めモードmd6と、所定のdc軸電流指令値Idc と回転速度指令値ω1とにしたがって永久磁石同期モータ3に印加する印加電圧を制御する同期運転モードmd4と、dc軸電流指令値Idc は0へ減衰させ、軸誤差Δθcが所定値になるようにqc軸電流指令値Iqc とインバータ周波数とを調整する位置センサレスモードmd5との3種類の運転モードが、この順に設定され実行される。
以上説明したように、本実施例によれば、空転中の位相検出時に、電流制御器21を使って、インバータ出力電圧の調整により、モータ電流を抑制することができる。したがって、過大な電流を流すことなく、センサレスで高精度に回転子の回転状態を算出できる。また、算出された回転子の状態に基づいて、インバータを制御することで、永久磁石同期モータは、効率的に空転状態から回転を開始できる。
また、本実施例においては、空転時起動制御のために、PWM制御信号発生および回転子情報推定機能を加える程度の小規模の機能追加(プログラム追加)がなされるだけであり、大幅な回路追加を要しない。したがって、装置サイズやコストの増大を伴うことなく、起動性能を向上することができる。
以上、説明した本発明の実施形態によれば、過大な短絡電流を流すことなく、高精度に回転子の状態を算出できるモータ駆動装置およびそれを用いたファンなど機器を提供することができる。
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置き換えをすることが可能である。
例えば、電流検出手段は、シャント抵抗に代えて、電流トランス(CT)によって検出しても良い。この場合、電流検出箇所をインバータ出力部としても良い。また、永久磁石同期モータは、埋め込み磁石型でも良いし、表面磁石型でも良い。
1…直流電源、2…インバータ、3…永久磁石同期モータ、4…モータ負荷、5…制御部、6…シャント抵抗、7…増幅器、10…速度制御器、11…d軸電流指令発生器、12…電圧制御器、13…2軸3相変換器、14…速度および位相推定器、15…3相2軸変換器、16…電流再現演算器、17…空転状態検出器、18…電圧指令切替器、19…PWM制御器、20…電流指令生成器、21…電流制御器、22…誘起電圧位相演算器、23…速度演算器、24…初期位相演算器、30…モータ電流波形、31…電圧指令波形、32…誘起電圧位相波形、33…回転速度波形、40…dc軸電流指令波形、41…qc軸電流指令波形、42…回転速度指令波形

Claims (4)

  1. 直流電力から変換した交流電力を永久磁石同期モータに出力するインバータと、前記インバータの出力電流を検出する電流検出手段と、前記インバータの動作を制御する制御部とを備えるモータ駆動装置であって、
    前記制御部は、前記永久磁石同期モータの通常運転時に前記インバータの制御出力を与える第1の制御部と、前記永久磁石同期モータの空転時に前記インバータの制御出力を与える第2の制御部とを備え、
    前記第2の制御部は、前記永久磁石同期モータが空転状態である場合に、モータ電流を所定値にするように、フィードバック制御器を用いて、前記電流検出手段からの電流検出値により前記インバータの出力電圧を調整して、
    前記出力電圧と電流検出値に基づいて、前記空転状態における前記永久磁石同期モータの空転状態の回転位置、回転速度及び回転方向を算出し、
    前記第1の制御部は、算出された空転状態の回転位置、回転速度及び回転方向に基づいて、前記永久磁石同期モータが前記空転状態から回転を開始するように前記インバータを制御することを特徴とするモータ駆動装置。
  2. 請求項1に記載のモータ駆動装置であって、
    前記第2の制御部は、モータ電流指令値と前記電流検出手段からの電流検出値との差を求めて、PI制御器を用いて、前記インバータの出力電圧を調整することを特徴とするモータ駆動装置。
  3. 請求項2に記載のモータ駆動装置であって、
    前記PI制御器は、モータ電流を所定値以下になるように、PI制御器のゲインを設定することを特徴とするモータ駆動装置。
  4. 直流電力から変換した交流電力を、インバータを介して永久磁石同期モータに出力するモータ駆動方法であって、
    前記永久磁石同期モータが空転状態である場合に、モータ電流を所定値にするように、前記インバータの出力電圧を調整し、インバータの出力電圧と電流検出値に基づいて、前記空転状態における前記永久磁石同期モータの空転状態の回転位置、回転速度及び回転方向を算出し、
    算出された空転状態の回転位置、回転速度及び回転方向に基づいて、前記永久磁石同期モータが前記空転状態から回転を開始するように前記インバータを制御することを特徴とするモータ駆動方法。
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