JP4485758B2 - 液体噴出ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液体噴出ポンプに関し、詳しくは、液噴出後の液切れが良く、ヘッド内での液詰まり等がなく、また、液噴出の際の押し下げが容易であり、しかも収納する液への制限が少ない液体噴出ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
液体噴出ポンプとして、口頸部に装着キャップを嵌合して容器体に装着するとともに、装着キャップ上方に上方付勢状態で押し込み可能に突出したステムの上端に押下ヘッドを嵌着したものが知られている。また、これらのポンプの押下ヘッドとして、ステム内と連通する摺動筒を立設した装着筒部材と、摺動筒外周に嵌合させたシリンダ筒上方に、先端に噴出口を開口した弁室を備えるとともに、装着筒部材に対して押し下げ可能に設けた本体と、前方付勢状態で噴出口を閉塞し、シリンダ筒内より噴出口に至る流路を画成した弁部材と、弁部材と連繋させてヘッドの押し下げにより開弁させる特殊構成の梃部材とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これらの押下ヘッドを備えた液体噴出ポンプは常時安定した液の噴出を行えるとともに、液きれが良く、噴出口の密閉性に優れ、しかもヘッドの押し下げを容易に行え、また、長期の使用にも安定した液の噴出を行える優れたものである。
【0004】
これらの押下ヘッドを備えた液体噴出ポンプに於いて、そのステムの上方付勢の具体的方法として、容器体内に垂下させたシリンダ筒内に於いてステム下方に介在させたコイルスプリングにより行うことが一般に行われている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−326044号公報(第2−5頁,図1)
【特許文献2】
特開2001−171764号公報(第2−5頁,図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この種のポンプにおいて、コイルスプリングは金属製のものがその性能上から好ましく使用されるが、収納液によっては金属との接触を好まないものも存在するため、コイルスプリングを上記シリンダ内に介在させる場合に収納する液が制限される場合がある。
【0007】
本発明は上記した点に鑑みなされたもので、上記した特殊形態の押下ヘッドを備えたポンプであって、収納する液の選択の制限を出来るだけ無くし、しかもそれに付随するヘッドの抜け出し等の不都合を解消し、更に、従来のこの種のポンプが備える、常時安定した液の噴出、液切れの良さ、噴出口の良好な密閉性、、ヘッドの容易な押し下げ、耐久性等の効果を併せて発揮することのできる優れた液体噴出ポンプを提案するものである。
【0008】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、口頸部2に装着キャップ3を嵌合して容器体4に装着するとともに、装着キャップ3上方に上方付勢状態で押込み可能に突設したステム5の上端に押下ヘッド6を嵌着してなり、押下ヘッド6は、ステム5上端部に嵌着させるとともに、ステム5上に横設した頂板16よりステム5内と連通する摺動筒17を立設した装着筒部材12と、摺動筒17外周に摺動下降可能に嵌合させたシリンダ筒24上方に、先端に噴出口8を開口した弁室Aを備えるとともに、装着筒部材12に対して押し下げ可能に設けた本体13と、弁室A内において前方付勢状態で噴出口8を閉塞し、且つ、シリンダ筒24内より噴出口8に至る流路を画成してなる弁部材14と、装着筒部材12に対する本体13の押し下げ時に弁部材14を後方へ引き出す如く揺動可能に枢着した梃部材15とを備え、ステム5に対する本体13の押下抗力がステム5自体の押下抗力より小である液体噴出ポンプであって、ステム5の上方付勢が、装着キャップ3と装着筒部材12との間に介在させたコイルスプリング19による上方付勢であり、頂板16より垂設した装着筒20をステム5外周上端部に凹凸係合手段を介して嵌合させるとともに、頂板16より二重筒状に垂設した固定筒21をステム5内周上端部に嵌着して装着筒部材12の抜け出しを防止してなり、前記凹凸係合手段が、ステム5外周に周設した上下一対の係止突条22下面に、装着筒20内周に周設した上下一対の係合突条23をそれぞれ乗り越え係合させた。
【0009】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、上記本体13の外周下部を、上記装着キャップ3より起立したカバー筒11内上部に抜け出しを防止して押し下げ可能に嵌合させてなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
本発明の液体噴出ポンプ1は、口頸部2に装着キャップ3を嵌合して容器体4に装着するとともに、上記装着キャップ3上方に上方付勢状態で押し込み可能に突設したステム5の上端に押下ヘッド6を嵌着したタイプのものである。また、押下ヘッド6を押し下げることにより容器体4内へ垂下したシリンダ7内の液がステム8を介して押下ヘッド6の噴出口8より噴出する如く構成したものである。
【0012】
図示例に於いて、装着キャップ3は口頸部2外周に螺合させた周壁9上端縁より、中央部が隆起した頂壁10を延設しており、頂壁10の隆起部分に開口した窓孔より、上記ステム5を突出している。また、頂壁周縁部よりカバー筒11を立設している。また、上記隆起部分の内周に上記シリンダ7上端を嵌着してその下部を容器体4内に垂下させている。
【0013】
本発明の液体噴出ポンプ1に於ける押下ヘッド6は、装着筒部材12と、本体13と、弁部材14と、梃部材15とを備えている。
【0014】
装着筒部材12は、上記ステム5上端部に嵌着させるとともに、上記ステム上に横設した頂板16よりステム内と連通する摺動筒17を立設している。また、頂板16周縁部からは下方へ案内筒18を垂設している。本発明では、上記ステム5の上方付勢をこの装着筒部材12と装着キャップ3との間に介在させたコイルスプリング19により行っている。このことにより、金属製のコイルスプリングを使用した場合でも、スプリングが直接液に触れることなく噴出操作することができる如く構成している。
【0015】
また、その様な構成を有することにより装着筒部材12には抜け出し方向に常時負荷が掛かるため、本発明ではこの装着筒部材12のステム5に対する抜け出しを防止した嵌着手段を採っている。その嵌着手段として、上記頂板16より垂設した装着筒20をステム5外周上端部に凹凸係合手段を介して嵌合させるとともに、頂板16より二重筒状に垂設した固定筒21をステム5内周上端部に嵌着して上記装着筒部材12の抜け出しを防止している。
【0016】
上記凹凸係合手段としては、例えばステム5外周に係止突条22を周設するとともに、装着筒20内周に係合突条23を周設し、係止突条22の下面に係合突条23乗り越え係合させる。この際、係止突条22はステム5外周であるため割型により例えば下向きの水平な係合面を備えた、大きな係合強度を現出できるものであるが、係合突条23の方は、内周面に形成している関係上型を強制的に抜き出して形成する所謂無理抜きで形成するため、突条先端が弯曲化する。従って、この係止突条22と係合突条23との係合強度では充分な抜け出し防止を図ることが難しい。そこで、本発明では、これら凹凸係合手段に加えて更に上記固定筒21を設けている。上記凹凸係合手段とこの固定筒21の存在により充分な嵌合強度を得られ、抜け出しを防止できるものである。
【0017】
本体13は、ステム5に装着筒部材12を介して押し下げ可能に連結したもので、上記摺動筒17外周に摺動下降可能に嵌合させたシリンダ筒24上方に、先端に上記噴出口8を開口した弁室Aを備えている。更に具体的には、周壁25a 上端縁より頂壁25b を延設した下端開口の有頂筒状をなすケーシング25を有し、また、周壁25a 前部に前端を開口した横筒26を後方へ突設し、更に、横筒26下面より上記シリンダ筒24を垂設しており、上記摺動筒17に摺動下降可能にシリンダ筒24を嵌合させて装着している。
【0018】
上記横筒26は後部に梃部材15の上部が収納できるスペースを設けており、また、後壁中央に窓孔を穿設し、その周囲の後壁前面より前方へシール筒27を突設し、更に、下部にはシリンダ筒24内と連通する連絡口を設けている。
【0019】
また、横筒26には噴出口部材28を嵌着させている。この噴出口部材28は先端に噴出口8を開口させて横筒とともに弁室Aを形成するもので、横筒26内前部に後部を液密に嵌着させるとともに、前部をテーパ状に縮径してその先端に噴出口8を開口している。また、外面より突設した環状突起を本体13前面に当接係止させ、内部には周方向複数のリブを突設している。
【0020】
弁部材14は、上記弁室A内において前方付勢状態で上記噴出口を閉塞し、且つ、上記シリンダ筒24内より上記噴出口8に至る流路を画成したもので、更にいえば上記シール筒27内周に後部外周を摺動可能に嵌合させるとともに、前方付勢状態で噴出口8を閉塞して上記連絡口より噴出口8に至る流路を画成したものである。
【0021】
図示例では、横棒状をなし、外周前後方向中間部より後方へスカート状部を延設するとともに、スカート状部後端縁より折り返した逆スカート状部の外周縁をシール筒27内周に摺動可能に嵌合させている。また、横筒26の後壁前面とスカート状部の分岐部分とに介在させたコイルスプリング29により前方へ付勢して先端を噴出口8に圧接して閉塞している。また、後端を上記窓孔より突出させ、突出部分に梃部材係合用の環状凹部を凹設している。これにより、シリンダ筒24内から連絡口を介して横筒26内を通り噴出口8に至る流路を画成している。
【0022】
梃部材15は、上記装着筒部材12に対する本体13の押し下げ時に上記弁部材14を後方へ引き出す如く揺動可能に枢着したもので、上記窓孔を介してその後方へ突出した弁部材14後端部に上端を連係させるとともに、下端部を上記頂板16上面に当接係止させている。
【0023】
図示例に於ける梃部材15は、図3に示す如く、上端部を弁部材14の後端部に連係した垂直板部30下端部より前方へ下る二股の傾斜板部31を延設するとともに、各傾斜板部31の下端部を摺動筒17両側の頂板16上面に当接係止させている。本実施例に於ける梃部材15と弁部材14との連係は、垂直板部30の上端部中央に設けた切欠部に弁部材14の上記環状凹部を嵌合させている。
【0024】
また、屈折部分両側に突設した枢着軸32を、それぞれ両側の軸受に回動可能に嵌合させている。本実施例に於ける軸受は、横筒26直下に嵌着させた取付板34の下面後部より所定間隔をあけて一対垂設したもので、それぞれ内側面下端より下方が広いテーパ状の導入凹部を介して軸受凹部を凹設している。また、取付板34は、シリンダ筒24を嵌着させる嵌合孔と、梃部材15の垂直板部30を揺動可能に挿通する窓孔とを備え、周縁部をケーシング周壁25a に嵌合させている。
【0025】
そして、コイルスプリング29により前方付勢された弁部材14により垂直板部30上部の連係部分を常時前方へ付勢させており、本体13の押し下げにより、装着筒部材12の頂板16が傾斜板部31を押し上げて梃部材15を回動させ、コイルスプリング29の前方付勢力に抗して弁部材14を後方へ引き出す如く構成している。
【0026】
本発明では、またステム5に対する本体13の押下抗力がステム自体の押下抗力より小になる様に構成している。この様に構成するために、基本的にはステム5を上方付勢させるためのコイルスプリング19よりも、弁部材14を前方付勢させるためのコイルスプリング29の弾発力を小さく選択すれば良く、その他摺動筒とシリンダ筒との摩擦力,梃部材の揺動時の摩擦力等を考慮してこれらを選択すれば良い。
【0027】
上記の如く構成した液体噴出ポンプ1は、図1の状態からカバーキャップを外して押下ヘッド6を押し下げると、ステム5自体の押下抗力の方が本体13のステム5に対する押下抗力より大きいため、最初ステム5は下がらず、装着筒部材12に対して本体13が下降する。この際、梃部材15の下端部が装着筒部材12の頂板16上面に押し上げられて枢着軸32を中心に回動し、その上端部が後方へ回動して弁部材14をコイルスプリング29の弾発力に抗して後方へ移行させ、噴出口8が開く。次いでステム5が下降し、該ステムの下降によりポンプ内の液がステム5よりシリンダ筒24を通り、連絡口から流路を介して噴出口8より外部へ噴出する。
【0028】
次に押下ヘッド6の押圧を解除すると、最初ステムの上方付勢力によりヘッドが上昇する。この際、例えば押下ヘッド6上面を押圧した手が離れないうちにステムの上昇が行われ、噴出口8は開いたままの状態で行われる。従って、この時点で横筒26内は負圧状態となる。次いで、手を離す余地ができ、コイルスプリング29の弾発力により弁部材14が前方へ移行して噴出口8を閉塞し、それに伴い梃部材15により本体13を装着筒部材12に対して上方へ押上げ、元の状態に戻る。
【0029】
図4は本発明の他の実施例を示すもので、本実施例では本体13の外周下部を、装着キャップ3より起立したカバー筒11内上部に抜け出しを防止して押し下げ可能に嵌合させている。本実施例に於いてカバー筒11は、隆起部分外方の頂壁10より立設しており、その内周上端部に係止突部35を突設している。一方、押下ヘッド6の周壁外周下部に上記係止突部35と係合可能な係合突部36を突設している。これら係止突部35及び係合突部36の存在で押下ヘッド6を無理やり取り外そうとしても取り外すことが困難に構成している。他の構成は図1の実施例と同様である。
【0030】
図5は更に他の実施例を示すもので、装着キャップ3とは別体に形成したカバー筒11を装着キャップ3に嵌着固定した例を示す。その他は図4の実施例と同様である。
【0031】
尚、上記各部材は特に断りが無い限り主として合成樹脂により形成され、必要に応じて、金属,エラストマー等を併用して形成することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明の液体噴出ポンプは、容器体内に垂下したシリンダ内から噴出口に至るまでの間の液の流路にコイルスプリング等の金属材を使用せずに液の円滑な噴出を行えるため、収納する液の種類に制限がきわめて少なく、しかもそれに付随するヘッドの抜け出し等の不都合を解消し、更に従来のこの種のポンプが備える液の噴出及び液切れの良さ、噴出口の良好な密閉性、ヘッドの容易な押し下げ、耐久性等の効果を併せて発揮するものである。
【0033】
また、第2の手段の液体噴出ポンプは、それに加え、本体の装着筒部材からの抜け出しを防止しており、無理に本体を引き抜こうとしても外れずに、悪戯の防止等に役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】同実施例のステム連結部分の要部拡大断面図である。
【図3】同実施例の梃部材を示す斜視図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す縦断面図である。
【図5】本発明の更に他の実施例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
2…口頸部,3…装着キャップ,4…容器体,5…ステム,
6…押下ヘッド,8…噴出口,11…カバー筒,12…装着筒部材,13…本体,
14…弁部材,15…梃部材,17…摺動筒,19…コイルスプリング,
21…固定筒,24…シリンダ筒,A…弁室

Claims (2)

  1. 口頸部2に装着キャップ3を嵌合して容器体4に装着するとともに、装着キャップ3上方に上方付勢状態で押込み可能に突設したステム5の上端に押下ヘッド6を嵌着してなり、押下ヘッド6は、ステム5上端部に嵌着させるとともに、ステム5上に横設した頂板16よりステム5内と連通する摺動筒17を立設した装着筒部材12と、摺動筒17外周に摺動下降可能に嵌合させたシリンダ筒24上方に、先端に噴出口8を開口した弁室Aを備えるとともに、装着筒部材12に対して押し下げ可能に設けた本体13と、弁室A内において前方付勢状態で噴出口8を閉塞し、且つ、シリンダ筒24内より噴出口8に至る流路を画成してなる弁部材14と、装着筒部材12に対する本体13の押し下げ時に弁部材14を後方へ引き出す如く揺動可能に枢着した梃部材15とを備え、ステム5に対する本体13の押下抗力がステム5自体の押下抗力より小である液体噴出ポンプであって、ステム5の上方付勢が、装着キャップ3と装着筒部材12との間に介在させたコイルスプリング19による上方付勢であり、頂板16より垂設した装着筒20をステム5外周上端部に凹凸係合手段を介して嵌合させるとともに、頂板16より二重筒状に垂設した固定筒21をステム5内周上端部に嵌着して装着筒部材12の抜け出しを防止してなり、前記凹凸係合手段が、ステム5外周に周設した上下一対の係止突条22下面に、装着筒20内周に周設した上下一対の係合突条23をそれぞれ乗り越え係合させてなることを特徴とする液体噴出ポンプ。
  2. 上記本体13の外周下部を、上記装着キャップ3より起立したカバー筒11内上部に抜け出しを防止して押し下げ可能に嵌合させてなる請求項1記載の液体噴出ポンプ。
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