しかし、ドリルにより穿孔すると絶縁性基材に埋設されているガラス繊維などの補強材を切断するため、絶縁性基材の機械的強度が低下したり、ドリルにより切削した面の表面が凸凹になり、ここからクラックが成長し易いという強度上の問題がある。
また、レーザー光線による穿孔では、ドリルによる穿孔と同様の機械的強度が低下するという問題に加え、補強材としてガラス繊維を含む絶縁性基材では穿孔し難いため、アラミド繊維などの有機系材料からなる繊維を使用しなければならず、使用できる絶縁性材料の種類が制限されるという問題がある。
更に、図18の構造では、第1の絶縁性基材201と第2の絶縁性基材202との接合面付近に導電性部材205と第1の配線層204との接合面と、第1の配線層204と金属層206との接合面という二つの接合面が存在する。一般にこのような接合面では電気的な接続障害が発生しやすいため、接合面が二つ存在する多層板200の構造では接合面が一つの場合の2倍の確率で接続障害が発生する可能性があり、接続信頼性が懸念されるという問題がある。
また、もうひとつ別の問題として、金属層206をスルホール207内に形成するスルホール法では、金属層206をメッキにより形成する前に、第1の配線層204の表面をアルカリと酸化剤とで処理する黒化処理を行って表面を粗化し、しかる後に表面状態を検査しているが、黒化処理するとスルホールが完全に穿孔されているか否かを検査により確認することが困難になるため、収率が低下するという問題がある。
本発明はこのような問題を解決するためになされた発明である。即ち、本発明は、使用できる材料の幅が広いプリント配線基板及びそのようなプリント配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、基板の厚さ方向の電気的導通に対する信頼性が高いプリント配線基板及びそのようなプリント配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
更に本発明は、スルホールメッキ前の検査を確実に行うことのできるプリント配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のプリント配線基板は、第1の絶縁性基材と、前記第1の絶縁性基材の第1の面に配設された第1の配線層と、前記第1の絶縁性基材の第2の面に配設された第2の配線層と、前記第1の絶縁性基材中に複数個圧入され、前記第1の配線層と前記第2の配線層とを電気的に接続する略台形の断面を有する導体バンプと、前記第1の配線層上に積層された第2の絶縁性基材と、前記第2の絶縁性基材の、前記第1の配線層に面する第1の面とこの第1の面と反対側の第2の面とを貫通し、前記第1の配線層を露出させる複数のスルホールと、前記スルホールの内壁面上に配設され、前記第1の配線層と前記第2の絶縁性基材の第2の面とを電気的に接続する金属層と、を具備する。
このプリント配線基板は下記の本発明の製造方法により製造される。
即ち、本発明のプリント配線基板の製造方法は、第1の導体板上に略円錐形の複数の導体バンプを形成する工程と、前記導体バンプ上に第1の絶縁性基材と、更にその上に第2の導体板とを配設する工程と、前記第1の導体板、前記第1の絶縁性基材、及び前記第2の導体板をプレスして前記導体バンプを前記第1の絶縁性基材内に圧入し、前記第1の導体板と前記第2の導体板とを電気的に接続する工程と、前記第1の導体板と前記第2の導体板とをパターニングしてそれぞれ第1の配線層と第2の配線層とを形成する工程と、前記第1の配線層上に第2の絶縁性基材を積層する工程と、前記第2の絶縁性基材にスルホールを穿孔して前記第1の配線層を露出させる工程と、前記スルホール内壁面上に、金属層を形成し、前記第1の配線層と前記第2の絶縁性基材の第2の面とを電気的に接続する工程と、を具備する。
このプリント配線基板の製造方法は、前記第1の配線層形成後、かつ、前記第1の配線層上に第2の絶縁性基材を積層する工程の前に、前記第1の配線層表面をエッチングして表面積を増大させる表面粗化工程を更に具備していても良い。
この表面粗化工程としては、例えば、蟻酸を含む処理液による方法が挙げられる。この処理液としては、例えば、メック社の製品である「メックエッチボンドCZ−8100(登録商標)」が挙げられ、この処理液を標準状態で使用するのが好ましい。例えば、この処理液をスプレーすることにより適用することが好ましい。
本発明の他のプリント配線基板は、第1の絶縁性基材と、前記第1の絶縁性基材の第1の面に配設された第1の配線層と、前記第1の絶縁性基材の第2の面に配設された第2の配線層と、前記第1の絶縁性基材中に複数個圧入され、前記第1の配線層と前記第1の絶縁性基材の第1の面側とを電気的に接続する略台形の断面を有する導体バンプと、前記第1の面上に積層された第2の絶縁性基材と、前記第2の絶縁性基材の、前記第1の絶縁性基材に接する第1の面と、この第1の面と反対側の第2の面とを貫通し、前記導体バンプを露出させる複数のスルホールと、前記スルホールの内壁面上に配設され、前記導体バンプ露出面と前記第2の絶縁性基材の第2の面とを電気的に接続する金属層と、を具備する。
このプリント配線基板は下記の本発明の製造方法により製造される。
即ち、本発明のプリント配線基板の製造方法は、第1の導体板上に略円錐形の複数の導体バンプを形成する工程と、前記導体バンプ上に第1の絶縁性基材と、更にその上に第2の導体板とを配設する工程と、前記第1の導体板、前記第1の絶縁性基材、及び前記第2の導体板をプレスして前記導体バンプを前記第1の絶縁性基材内に圧入し、前記第1の導体板と前記第2の導体板とを電気的に接続する工程と、前記第1の導体板と前記第2の導体板とをパターニングしてそれぞれ第1の配線層と第2の配線層とを形成すると同時に前記第1の導体板を部分的に除去して前記導体バンプの底面を露出させる工程と、前記第1の絶縁性基材上に第2の絶縁性基材を積層する工程と、前記第2の絶縁性基材にスルホールを穿孔して前記導体バンプを露出させる工程と、前記スルホール内壁面上に、金属層を形成し、前記導体バンプと前記第2の絶縁性基材の第2の面とを電気的に接続する工程と、を具備する。
上記プリント配線基板の製造方法において、前記スルホールを穿孔する工程では、前記導体バンプの一部を切削する深さまで穿孔することが好ましい。
また、本発明の別のプリント配線基板は、第1の絶縁性基材と、前記第1の絶縁性基材の第1の面に配設され、厚さ方向の貫通孔を有する第1の配線層と、前記第1の絶縁性基材の第2の面に配設された第2の配線層と、前記第1の絶縁性基材中に複数個圧入され、前記第1の配線層と前記第2の配線層とを電気的に接続する略台形の断面を有する導体バンプと、前記第1の配線層上に積層された第2の絶縁性基材と、前記第2の絶縁性基材の、前記第1の配線層に面する第1の面とこの第1の面と反対側の第2の面とを貫通し、前記第1の配線層及び前記貫通孔を露出させる複数のスルホールと、前記スルホールの内壁面上に配設され、前記第1の配線層と前記第2の絶縁性基材の第2の面との間、及び、前記貫通孔を介して前記導体バンプと前記第2の絶縁性基材の第2の面との間を電気的に接続する金属層と、を具備する。
このプリント配線基板は、下記の本発明の製造方法により製造される。
即ち、本発明のプリント配線基板の製造方法は、第1の導体板上に略円錐形の複数の導体バンプを形成する工程と、前記導体バンプ上に第1の絶縁性基材と、更にその上に第2の導体板とを配設する工程と、前記第1の導体板、前記第1の絶縁性基材、及び前記第2の導体板をプレスして前記導体バンプを前記第1の絶縁性基材内に圧入し、前記第1の導体板と前記第2の導体板とを電気的に接続する工程と、前記第1の導体板と前記第2の導体板とをパターニングしてそれぞれ第1の配線層と第2の配線層とを形成すると同時に前記第1の配線層が導体バンプと接触する位置に対応して貫通孔を形成する工程と、前記第1の配線層上に第2の絶縁性基材を積層する工程と、前記第2の絶縁性基材にスルホールを穿孔して前記第1の配線層及び前記貫通孔を露出させる工程と、前記スルホール内壁面上に、金属層を形成し、前記第1の配線層と前記第2の絶縁性基材の第2の面との間、及び、前記貫通孔を介して前記導体バンプと前記第2の絶縁性基材の第2の面との間、を電気的に接続する工程と、を具備する。
上記プリント配線基板の製造方法において、前記スルホールを穿孔する工程では、前記貫通孔を介して前記導体バンプの一部を切削する深さまで穿孔することが好ましい。
本発明の更に別のプリント配線基板製造方法は、第1の絶縁性基材の表面に配線層を形成する工程と、前記配線層表面をエッチング処理して表面を粗化する表面粗化工程と、前記配線層を介して前記第1の前記絶縁性基材に他の絶縁性基材を積層する工程と、前記他の絶縁性基材に穿孔して前記配線層表面が露出するスルホールを形成する工程と、前記スルホール表面に金属層を形成して前記配線層と前記他の絶縁性基材表面とを電気的に接続する工程と、を具備する。
上記プリント配線基板の製造方法において、前記スルホールを穿孔する工程は、レーザー光線を照射することにより穿孔する工程であることが好ましい。
また、上記プリント配線基板の製造方法において、前記表面粗化工程が、蟻酸を含む処理液で処理する工程であることが好ましい。
この処理液としては、例えば、メック社の製品である「メックエッチボンドCZ−8100(登録商標)」が挙げられ、この処理液を標準状態で使用するのが好ましい。例えば、この処理液をスプレーすることにより適用することが好ましい。
本発明では、導体バンプを圧入する構成を採用しているので、使用できる絶縁性基材の種類の幅が広くなり、薄くて硬く、細かい配線パターンの形成が可能な絶縁性基材を使用することができ、集積度の向上を図ることができる。
また、絶縁性基材を積層する場合に、基板内に内蔵される配線層表面を、例えば蟻酸を含む処理液を用いてエッチング処理することにより配線層とスルホールメッキ層との接続信頼性を向上することができる。
更に、導体バンプとスルホールメッキ層とを直接接触させたり、配線層の一部に貫通孔を穿孔して導体バンプとスルホールメッキ層とを直接接触させることにより接合面の数を減らすことができるので、基板厚さ方向の電気的導通の信頼性を向上させることができる。
その場合、スルホールを穿孔するときにレーザー光線などを用い、絶縁性基材を貫通した後も更に穿孔を続け、導体バンプの一部を切削する深さまで穿孔することにより、完全に絶縁性基材を除去することができるので、より確実にスルホールメッキ層と導体バンプとの電気的導通を達成することができる。このことは配線層の一部に貫通孔を穿孔する場合にも同様に適用できる。
また、スルホールメッキ前の配線パターン表面の粗化に蟻酸を含む処理液でエッチングすることにより、黒化処理を省略することができるので、スルホールメッキ前の検査を確実に行うことができ、製品の収率を向上させることができる。
本発明によれば、導体バンプを圧入する構成を採用しているので、使用できる絶縁性基材の種類の幅が広くなり、薄くて硬く、細かい配線パターンの形成が可能な絶縁性基材を使用することができ、集積度の向上を図ることができる。
また、絶縁性基材を積層する場合に、基板内に内蔵される配線層表面を、例えば蟻酸を含む処理液を用いてエッチング処理することにより配線層とスルホールメッキ層との接続信頼性を向上することができる。
更に、導体バンプとスルホールメッキ層とを直接接触させたり、配線層の一部に貫通孔を穿孔して導体バンプとスルホールメッキ層とを直接接触させることにより接合面の数を減らすことができるので、基板厚さ方向の電気的導通の信頼性を向上させることができる。
その場合、スルホールを穿孔するときにレーザー光線などを用い、絶縁性基材を貫通した後も更に穿孔を続け、導体バンプの一部を切削する深さまで穿孔することにより、完全に絶縁性基材を除去することができるので、より確実にスルホールメッキ層と導体バンプとの電気的導通を達成することができる。このことは配線層の一部に貫通孔を穿孔する場合にも同様に適用できる。
また、スルホールメッキ前の配線パターン表面の粗化に蟻酸を含む処理液でエッチングすることにより、黒化処理を省略することができるので、スルホールメッキ前の検査を確実に行うことができ、製品の収率を向上させることができる。
(第1の実施の形態)
以下、本発明の一実施形態に係るプリント配線基板の製造方法について説明する。図1は本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法のフローを示したフローチャートであり、図2〜図5は同プリント配線基板の製造方法の各工程を模式的に示した垂直断面図である。
図2(a)に示したように、まず銅箔などの導体板1の表面に印刷技術を用いて複数個の略円錐形の導体バンプ2,2,…を形成する(STEP.1)。この導体バンプは、例えば銀粉などの導電性材料をエポキシ樹脂などに分散してペースト状にした銀ペーストなどにより構成される。
次いで図2(b)に示したように、こうして形成した導体バンプ2,2,…の先端側にエポキシ樹脂などの絶縁性材料中にガラス繊維などの補強繊維を含浸させて板状に成形した絶縁性基材のプリプレグ(以下、単に「プリプレグ」という。)3を前記導体板1と略平行にセットする(STEP.2)。この状態で例えば図示しない弾性材料シートに挟んでローラーがけなどすることによりプレスする(STEP.3)と、導体バンプ2,2,…がプリプレグ3を貫通するとともにプリプレグ3の反対側に突き抜けた導体バンプ2,2,…の先端は前記弾性材料シートに押圧されることにより先が平坦になり、図2(c)に示したような積層体10が得られる。
次に、同様にして積層体20を形成し、図3(a)に示したように、これら二つの積層体10,20を、配線パターンを形成したコア材30側に導体バンプ2,2,…及び導体バンプ12,12,…の先端側が向くように対向配置してセットする(STEP.4)。コア材30は絶縁性材料シートの上下各面に銅箔を積層した後に銅箔をエッチングなどによりパターニングして配線層23,24を形成したものである。
次に、積層体10と積層体20との間に配線パターンを形成したコア材30を挟んだ状態でプレスすると(STEP.5)、図3(b)に示したように導体バンプ2,2,…の各先端が配線層23,23,…と当接し電気的導通が形成され、同様に導体バンプ12,12,…の各先端が配線層24,24,…と当接し電気的導通が形成されて多層板の中間体40が形成される。
次にこの中間体40の導体板1,11にエッチングなどを施すことによりパターニングして(STEP.6)、図4(a)に示したような配線層1a,1a,…及び配線層11a,11a,…を形成する。
次いで図4(b)に示すように、この配線層11a,11a,…の上にプリプレグ50を載置してセットする(STEP.7)。
この状態でプレスすると(STEP.8)、図4(c)に示したような配線層11a,11a,…の上に絶縁層50aが積層された多層板の中間体60が形成される。
次に、中間体60の絶縁層50aの所定位置に対して穴あけを行う(STEP.9)。この穴あけは配線層11a,11a,…を露出させる目的で行う操作であるため、配線層11a,11a,…の存在する位置に対応して穴あけする。このときの穴あけはレーザー光線を照射することにより行うのが好ましい。ドリルによる穴あけに比べて形成された穴の内壁面が平滑になり、また、ドリルよりも微細な径の穴を正確かつ短時間に穴あけすることができるためである。この穴あけにより、図5(a)に示したように、絶縁層50a上に穴51,51,…が形成される。
こうして得た穴51,51,…の底には配線層11a,11a,…の金属表面が露出する。次にこの配線層11a,11a,…の表面に表面処理を行う(STEP.10)。この表面処理は、配線層11a,11a,…の表面に細かい凹凸を形成せしめ、表面積を増大させることにより後続の例えばメッキ工程により形成されたる金属層との接続性を良好にするために行う処理である。この表面処理はエッチング処理により行うことが好ましく、更に好ましくは蟻酸を含む処理剤を用いて行なうのが好ましい。処理剤としては例えばメック社製の「メックエッチボンドCZ−8100」(登録商標)を用いるのが好ましい。また、この処理剤の使用方法としては、処理剤を被処理面に対してスプレーすることにより適用する方法が好ましい。この表面処理により、図5(b)に示したように、配線層11a,11a,…の表面が薄くエッチングされて微細な凹凸が形成される。
次に、表面処理が施された配線層11a,11a,…が底部として形成された穴51,51,…に対して、例えば無電解メッキなどを施すことにより金属層52,52,…を形成する(STEP.11)。図5(c)に示したように、このメッキ処理により穴51,51,…の底部から側壁部分、ひいては絶縁層50aの表面に至るまで金属層52を形成させる。このようにして絶縁層50aの上下各面間での電気的導通が形成され、更に配線層11a、導体バンプ12、配線層23を介して多層板の厚さ方向の電気的導通が形成される。なお、図面では省略したが、配線層23と配線層24との間で電気的導通を形成するにはスルホール(図示書略)を厚さ方向に貫通してそのスルホール内面にメッキなどにより金属層を形成することにより厚さ方向の電気的導通を形成することができる。
以上説明したように、本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法によれば、積層体10や積層体20の厚さ方向の電気的導通を、導体バンプ2,2,…や導体バンプ12,12,…を圧入することにより形成しているので、ガラス繊維強化型エポキシ樹脂基板のような補強材を含んだ基板を用いることができる。そのため、薄くて、強度が大きく、精密な配線加工が可能な多層板を製造することができる。
また、最外部に位置する絶縁層50aに穴51,51,…を穿孔後、穴の内壁に金属層52を形成する前に穴51,51,…の底部に露出する配線層11a,11a,…表面を蟻酸を含む処理剤で薄くエッチング処理することにより、配線層11a,11a,…の表面に微細な凹凸を形成させ、その表面積を大きくできる。そのため、同配線層11a,11a,…表面とその上に適用される金属層52,52,…との接続性が高くなり、電気的導通が確実に形成されるので、多層板の厚さ方向の電気的導通の信頼性を向上させることができる。
なお、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではない。
例えば、本実施形態において、導体バンプを貫通させるのに使用する絶縁性基材としては、ガラスクロスやマット、有機合成繊維布やマット、或いは紙などの補強材で強化された合成樹脂系シートが挙げられる。その厚さは20〜400μm程度が好ましい。ここで、合成樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリ4フッ化エチレン6フッ化プロピレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂、あるいはブタジエンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴムなどのゴム類が挙げられる。
そして、前記略円錐形の導体バンプの形成は、導電性組成物で形成する場合、例えば比較的厚いメタルマスクを用いた印刷法で、アスペクト比の高い略円錐形の導体バンプ群を形成できる。また、前記略円錐形の導体バンプ群の高さは、一般的に、20〜500μm程度が可能である。
本発明において、略円錐形の導体バンプ群を導電性金属で形成する手段としては、例えば、銅箔などの支持基体面の所定位置に、金もしくは銅のボールを押し付け、しかる後に引き離すことにより先端が尖った略円錐形の導体(素子)群を形成できる。また予め、略円錐形の導体の形に対応する凹部を形成したプレートに溶融金属を注入し、略円錐形の導体バンプ群を形成することも可能である。更に他の手段として、支持フィルム面上に感光性レジストを厚めに塗布し、支持フィルム側から露光することにより先端が尖った台形の凹部を持った窪み群を形成した後、前記支持フィルムを除去し、この支持フィルム除去面に金属膜を張り、銅、金、銀、半田などをメッキして所定位置に微小な略円錐形の導体バンプ群を形成してもよい。
また、本発明において、前記略円錐形の導体バンプ群を支持する基体としては、離形性のあるフィルムあるいは金属箔などが挙げられ、この支持基体は1枚のシートであってもよく、パターン化されたものでもよく、その形状は特に限定されない。
更に本発明において、前記略円錐形の導体バンプを合成樹脂系シートに貫通させる手段として、例えば、略円錐形の導体バンプ群を形成した支持基体、及び合成樹脂系シートなどをロールから巻き戻しながら、加熱して樹脂分を柔らかくし、例えば、寸法や変形の少ない金属製、硬質な耐熱性樹脂製、もしくはセラミック製のローラと、合成樹脂側には加圧したとき弾性的に変形するローラ、例えば前記のようなゴム製のローラとの間を通過させることにより、略円錐形の導体バンプが貫通し、合成樹脂系シート表面に両端側が露出してなる多層板を連続的に製造することができる。
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態以降の実施形態のうち、先行する実施形態と重複する部分については説明を省略する。
図6は本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法のフローを示したフローチャートであり、図7及び図8は同プリント配線基板の製造方法の各工程を模式的に示した垂直断面図である。
図6のフローチャートに示した各工程のうち、STEP.1a〜STEP.5aは上記第1の実施形態に係る図1のフローチャートのSTEP.1〜STEP.5と同じである。STEP.5aにより上下最外層に導体板1,11が積層された多層板の中間体40が得られる。
本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法では、この中間体40についてパターニングを行ない(STEP.6a)、図7(a)に示すように、導体板11を除去して導体バンプ12,12,…の底面を露出させる。
この露出した導体バンプ12,12,…の底面側にプリプレグ80を重ねてセットする(STEP.7a)。
この状態で加熱下にプレスすると(STEP.8a)、図7(b)に示したような、絶縁層80が積層された多層板の中間体90が形成される。
次にこの中間体90の絶縁層80の所定位置、即ち導体バンプ12,12,…の配設位置に対応する位置に例えばレーザー光線を照射することにより穴81,81,…を穿孔する(STEP.9a)。このとき、図8(a)に示したように、レーザー光線の強さや照射する時間を調節して穴81,81…の底面が絶縁層80を完全に突き抜け、導体バンプ12,12,…の底部に一部侵入する深さまでレーザー光線による穴あけを行なうのが好ましい。このように穴81,81,…を深めに掘り下げることにより、絶縁層80が完全に除去され、後続の処理で金属層を形成する際に電気的接続の信頼性が向上するからである。
レーザー光線による穴あけが完了したら、穴81,81,…の内壁面に対して例えば、無電解メッキ処理を施すことにより金属層82,82,…を形成する(STEP.10a)。
この金属層82,82,…を形成することにより、絶縁層80の上下各面間を電気的に接続することができる。
本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法によれば、金属層82と導体バンプ12との間に配線パターンなどが介在しておらず、金属層82と導体バンプ12とが直接接触しているので。異なる導体層の接合面で生じる接続不良が起こる可能性が、接合面の数が少ない分低くなり、多層板の厚さ方向の電気的導通の信頼性が向上する、という特有の効果が得られる。
更に、この方法では、導体バンプ12,12,…底面側の導体層11を取り除いてしまうので、導体バンプ12どうしの間隔を小さくすることができる。そのため、基板全体として配線パターンの高密度化を図ることができ、集積度の高い配線基板を形成することができる。
また、上記したように絶縁層80に穿孔する際にいわゆる深堀する操作は必須ではないが、このような深堀りすることにより更に多層板の厚さ方向の電気的導通の信頼性を向上させることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、導体バンプ12の底面側、即ち、半径の大きい面に絶縁層80を積層して穴81を穿孔し、穴81の内壁面に金属層82を適用する構成を例にして説明したが、これとは反対に導体バンプの先端側に絶縁層を積層した後に穴を穿孔し、その穴の内壁面に金属層を適用する構成にすることも可能である。
図9及び図10は上記第2の実施形態の変形例の工程を模式的に示した垂直断面図である。
即ち、図9(a)〜(c)に示したようにして上記第1の実施形態の図2(c)に示したのと同じ積層体10を形成する。この積層体10の導体バンプ2,2,…の先端側にプリプレグ70を配設し、この状態で加熱下にプレスしてプリプレグ70を硬化して絶縁層70aを形成すると同時に積層する。
次に図10に示したように、この絶縁層70aの所定位置、即ち導体バンプ2,2,…が形成されている位置に対応して、例えばレーザー光線を照射するなどにより穿孔し、底部に導体バンプの先端側の面が露出した穴71,71,…を形成する(図10(b))。しかる後にこれらの穴71,71,…の内壁面に例えば無電解メッキなどを施して金属層72,72,…を形成する(図10(c))。
この変形例では、半径の小さい導体バンプの先端側に金属層72,72,…を形成する構成としたので、隣接する金属層72と金属層72との間隔を小さくすることができる。そのため、基板全体として配線パターンの高密度化を図ることができ、集積度の高い配線基板を形成することができる、という特有の効果が得られる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図11は本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法のフローを示したフローチャートであり、図12及び図13は同プリント配線基板の製造方法の各工程を模式的に示した垂直断面図である。
図11のフローチャートに示した各工程のうち、STEP.1b〜STEP.5bは上記第1の実施形態に係る図1のフローチャートのSTEP.1〜STEP.5と同じである。STEP.5bにより上下最外層に導体板1,11が積層された多層板の中間体40が得られる。
本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法では、この中間体40についてパターニングを行ない(STEP.6b)、図12(a)に示すように、導体板11をエッチングなどにより配線層11a,11a,…を形成する。このとき、配線層11aの一部もエッチングにより除去して貫通孔14を形成し、この貫通孔14を介して導体バンプ12の底面を部分的に露出させる。
この部分的に露出した導体バンプ12,12,…の底面を含む配線層11a上にプリプレグ100を重ねてセットする(STEP.7b)。
この状態で加熱下にプレスすると(STEP.8b)、図12(b)に示したような、絶縁層100が積層された多層板の中間体110が形成される。
次にこの中間体110の絶縁層100の所定位置、即ち導体バンプ12,12,…の配設位置に対応する位置に例えばレーザー光線を照射することにより穴111,111,…を穿孔する(STEP.9b)。このとき、図13(a)に示したように、レーザー光線の強さや照射する時間を調節して配線層11a,11a,…の貫通孔14,14…の底面が絶縁層100を完全に突き抜け、導体バンプ12,12,…の底部を一部切削する深さまでレーザー光線による穴あけを行なうのが好ましい。このように穴111,111,…を深めに掘り下げることにより、絶縁層100が完全に除去され、後続の処理で金属層を形成する際に電気的接続の信頼性が向上するからである。
レーザー光線による穴あけが完了したら、穴111,111,…の内壁面に対して例えば、無電解メッキ処理を施すことにより金属層112,112,…を形成する(STEP.10b)。
この金属層112,112,…を形成することにより、絶縁層100の上下各面間を電気的に接続することができる。
本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法によれば、金属層112と導体バンプ12との間に配線層などが介在しておらず、金属層112と導体バンプ12とが直接接触する部分が形成されているので。異なる導体層の接合面で生じる接続不良が起こる可能性が、接合面の数が少ない分低くなり、多層板の厚さ方向の電気的導通の信頼性が向上する、という特有の効果が得られる。
更に、この方法では、導体バンプ12,12,…底面側の導体層11を取り除いてしまうので、導体バンプ12どうしの間隔を小さくすることができる。そのため、基板全体として配線パターンの高密度化を図ることができ、集積度の高い配線基板を形成することができる。
また、上記したように絶縁層100に穿孔する際に配線層11aに穿孔した貫通孔14の部分についていわゆる深堀りする操作は必須ではないが、このような深堀りすることにより更に多層板の厚さ方向の電気的導通の信頼性を向上させることができる、という特有の効果が得られる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図14は本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法のフローを示したフローチャートであり、図15〜図17は同プリント配線基板の製造方法の各工程を模式的に示した垂直断面図である。
本実施形態に係るプリント配線基板を製造するには、まず、例えばガラス繊維をエポキシ樹脂で含浸したガラス−エポキシ型の絶縁性基材120の両面に銅箔などの導体板121,122を積層した両面型のコア材150を用意し(図15(a))、このコア材150の導体層121,122について例えばエッチング処理を施すことにより(STEP.1c)、配線パターン121a,122aを形成する(図15(b))。
次に絶縁性基材120上に形成された配線パターン121a,122bについて表面処理を行なう(STEP.2c)。
この表面処理は、配線層121a,122aの表面に細かい凹凸を形成せしめ、表面積を増大させることにより後続の例えばメッキ工程により形成されたる金属層との接続性を良好にするために行う処理である。この表面処理はエッチング処理により行うことが好ましく、更に好ましくは蟻酸を含む処理剤を用いて行なうのが好ましい。処理剤としては例えばメック社製の「メックエッチボンドCZ−8100」(登録商標)を用いるのが好ましい。
また、この処理剤の使用方法としては、処理剤を被処理面に対してスプレーすることにより適用する方法が好ましい。この表面処理により、図15(c)に示したように、配線層121a,122aの表面が薄くエッチングされて微細な凹凸が形成される。
次に絶縁性基材120の両面に対して、前記表面処理された配線層121a,122aの上から絶縁性基材のプリプレグ123,124と更にその上に導体板125,126を積層し(STEP.3c)、この状態で加熱下にプレスする(STEP.4c)ことにより図16(a)に示したような積層体151を得る。
次いで最外部に位置する導体板125,126についてエッチングなどによるパターニングを行ない(STEP.5c)、所定の配線パターンを形成する。このときに図16(b)に示したように配線層121a,122aの位置に対応して開口部127,128を導体板125,126上に形成する。
次にこの開口部127,128から例えばレーザー光線を照射することにより穴あけを行ない(STEP.6c)、図17(a)に示したように積層体151の最外部から配線層121a,122aに到達する深さの穴129,130を穿孔する。
この穴あけにより配線層121a,122aの表面のうち、穴129,130の底部にあたる部分が露出する。
またこの時、同時に後続のスルホールメッキを行なうための貫通孔131をドリル穴あけやレーザー光線による穴あけなど既知の方法で穿孔する。
次に穴129,130の底部で配線層121a,122aが露出しているかどうかを確認するための検査を行う(STEP.7c)。このとき、配線層121a,22aの表面には前述した表面処理により微細な凹凸が形成されており、この微細な凹凸はエッチングにより形成されたものであるから、表面が露出しているか否かの確認を確実かつ容易に行なうことができる。
次いで穴129,130の底部に配線層121a,122aが露出しており、穴129,130が首尾よく形成されていることが確認されたら、穴129,130,及び貫通孔131に対して、例えば無電解メッキなどの処理を施すことにより図17(b)に示したような金属層132,133,134を形成する(STEP.8c)。こうして金属層132,133及び134の形成により基板の厚さ方向の電気的導通が形成された多層板152が形成される。
以上説明したように、本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法によれば、配線層121a,122aの表面粗化処理にエッチング処理を用いているので、積層後の穿孔が首尾よく行なわれたか否かの検査を容易かつ確実に行なうことができる。
また、本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法によれば、配線層121a,122aの全面にエッチング処理による表面粗化を行なった後に絶縁性基材プリプレグ123,124を積層しているので、配線層121a,122aとの密着性が向上するという効果も得られる。
(実施例)
以下に本実施形態に従ってプリント配線基板を製造する実施例について説明する。
絶縁性基材の上下2層にそれぞれ配線パターンが形成されたいわゆる2層構造のコア材に処理液としてのメック社製の処理剤「メックエッチボンドCZ−8100」(登録商標)の標準条件で、前記配線パターンを形成している銅箔の表面粗化処理を行なった。次に三井金属株式会社製の樹脂付銅箔「MR−600」(商品名)を、表面粗化した基板の両面にセットして温度180℃、90分、圧力40kg/cm2の条件で積層プレスを行ない、多層化した。次にこの多層化した基板の表層を形成する銅箔の所定の位置にエッチングを施して直径0.1mmの開口部を形成した。次にこの銅箔上に形成した開口部にCO2レーザー光線を使用し、18J/cm2、2ショットの条件で絶縁性基材に穴あけを行なった。基板にレーザー光線を照射して穴あけした部分について光学顕微鏡で検査したところ、樹脂残りのない穴が形成できたことが確認された。次いでこの多層板の所定の位置にドリルで穴あけを行ない、穴の内壁にスルホールメッキを施し、しかる後に表層のパターニングを行ない、表層IVH基板を得た。
この基板の初期導通性を検査したところ、全て導通が形成されていることが確認された。また、ハンダ耐熱テストを260℃、20秒の条件で行なったところ、抵抗値の変化率は±10%以下であることが確認された。