JP4484128B2 - 射出成形方法、射出成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の成形体、車両に取り付ける部品を例にしたときに、ウインカーやサイドウインカー、ヘッドランプ、あるいはドアミラー等の成形体を成形するための射出成形方法および成形装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来技術】
今日、この種の成形体を射出成形する場合、一対の製品半部を成形し、これら製品半部同志を突き合わせ固着して完成品を成形するようにしたものがあり、このようなものを成形する場合に、ダイスライド方式の射出成形装置が一般に知られている。そしてこのようなものとして、例えば特開昭62−87315号公報、特開平7−144334号公報、特開平11−162210号公報のものが知られているが、これらのものは、何れも固定金型と可動金型とを備え、これら金型を型合わせした後、第一の射出工程で製品半部同志を成形し、次いで可動金型を移動させて前記成形した各製品半部同志を突き合わせた後、第二の射出工程でこれら突き合わされた各半部同志を固着するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが今日、このような成形体においても、製品の多様化に加えてデザイン性に対する要求が強く、そのため、前述したような単純な金型同志の型合せではアンダーカットが強いもの(強アンダーカットのもの)は型抜きの点で難点があり、このため単純な金型同志の型合わせだけでは、形状の複雑化要求に追い付けず、これに対処するには、これら金型自体がますます複雑化することになって、成形装置が大型化するだけでなく、型成形の安定化が損なわれるなどの問題が残されており、ここに本発明の解決すべき課題がある。
さらに前述したダイスライド方式を採用して多数個の小型製品を一度に形成したり、大型製品を成形しようとしたときに、スライド分のスペースも必要になって金型が大型化し、それに伴って装置自身も大型になってしまうという問題もあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、一連状に隣接する三個の金型を備え、各隣接する金型同志を型合せする一次の型合せ工程、該各型合せされた金型に製品半部を一次射出用ノズルから射出成形する一次の射出工程、前記一次射出用ノズルの一方に設けられるバルブゲートピンが突出して二次射出用連通路Tを形成するための中側金型の雄型2eに当接するピン当接工程、これら各金型を製品半部が両側の金型に残る状態で離間させ、中側金型を前記型合わせ領域から退去させる金型退去工程、前記成形された製品半部同志を突き合わせるべく残りの両側金型同志を型合せする二次の型合わせ工程、前記バルブゲートピンを一方の一次射出用ノズル内まて引くピン引き工程、前記突き合わされた製品半部同志を組付けすべくバルブゲートピンが引かれた一次射出用ノズルで樹脂材を射出する二次の射出工程を備えて構成される射出成形方法である。
請求項2の発明は、一連状に隣接する三個の金型を備え、該各隣接する金型を型合せする一次の型合せ手段と、該型合せされたものに一次射出用ノズルから樹脂材を射出して製品半部を成形する一次の射出手段と、これら各金型を製品半部が両側の金型に残る状態で離間させ、中側金型を型合わせ領域から退去させる金型退去手段と、前記成形された製品半部同志を突き合わせるべく残りの両側金型同志を型合せする二次の型合わせ手段と、前記突き合わされた製品半部同志を組付けすべく樹脂材を射出する二次の射出工程とを備えて構成するにあたり、一方の一次射出用ノズルのバルブゲートピンは、一次射出した後には一次射出用ノズルから突出して二次射出用連通路Tを形成するための中側金型の雄型2eに当接し、二次射出する前には一次射出用ノズル内まで引かれるように制御されるものとし、前記バルブゲートピンが引かれた一次射出用ノズルは、二次射出するための二次射出用ノズルであることを特徴とする射出成形装置である。
そしてこのようにした場合には、強アンダーカット製品であっても、問題なくしかも効率よく成形することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
次ぎに、本発明の実施の形態について説明する。このものは図面において、左右に一連状に配された第一〜第三の金型1、2、3を備えて構成されるものとし、そのうちの第一金型1は、成形機の基台(ガイドポスト)Gに対して左右に移動する金型、第二金型2は、該基台Gに対して左右に移動するよう設けられた伸縮シリンダ4に取付けられることにより、上下および左右に移動する金型、そして第三の金型3は基台Gに対して動くことなく固定された金型となっている。そしてこのような金型の左右移動、上下移動の具体的手段については、従来公知の技術をそのまま採用することができるのでその詳細について説明することは省略する。因みに、本実施の形態の成形機は金型が左右方向(前後方向)に一連状に配されたものであるが、上下方向に一連状に配されたものであっても勿論よいのであって、金型の隣接方向については格別とらわれるものではない。
【0006】
そして本実施の形態では、左右両側に位置する第一金型1と第三金型3には、それぞれ左右に対向するようにして複数個(本実施の形態では三個)雌型1a、3aが形成されている。一方、該両金型1、3により左右が挟まれる第二金型2には、前記雌型1a、3aに対応する雄型2a、2bがそれぞれ形成されている(図1(A))。そして、前記第一、第二金型1、2を左右に移動させて一次の型合せをし、この状態で一次の射出がなされ、これによって図1(B)に示すように各製品半部5、6が成形される。因みに、雄型、雌型は、説明の便宜上記載したもので、雄型と雌型が組み合わさったもの、雄型のみのもの、雌型のみのものもの等、製品の形状、種類によって種々の型が形成されることは言うまでもない。
次ぎに、これら型合せした金型1、2を前記とは左右逆方向に移動させて金型1、2、3を離間させ(図1(C))、しかる後、伸縮シリンダ4を縮小作動させて中央の第二金型2を型合わせ領域から除外させた(図1(D))後、これら残りの左右両金型1、3を二次の型合せをさせる(図1(E))べく一次金型1を左右方向に移動させる。その後、二次射出してこれら製品半部5、6を固着し、完成した複数の成形品7が脱型されることになる(図1(F))。尚、第二金型の型合わせ領域からの退去は、第一、第三金型に対して相対的な移動をすればよいものであって、前記実施の形態のように第二金型の移動によるもののほか、例えば第一、第三金型を移動させることによっても実施することができる。
【0007】
さて次ぎに、上記成形を可能にするための金型について、その実施の形態の一つを具体的に図2〜4を用いて説明するが、このものは、前記各成形される複数の製品半部5(5a、5b、5c)、6(6a、6b、6c)は、本実施の形態では有底半円筒状をしたもので、各一つの射出ノズル8、9からの射出で成形されると共に、後述する二次射出の工程では、接着剤となる二次射出材が製品内に埋設して外面に露出しないよう配慮されている。このためには、各製品半部5a、5b、5cおよび6a、6b、6c同志を連通させる必要があり、そこで連通するための連通路が必要になるが、本実施の形態では、第一、第三金型1、3の第二金型2との型合わせ面に凹溝状となる連通路1b、3bが形成されているが、さらに二次射出する場合の二次射出材の充填室Sと、これらを連通する連通路Tも併せて型成形される。つまりこのものでは、第二金型2の第一、第三金型1、3の対向面に、充填室Sを成形するための雄型2c、2dが形成されると共に、第二金型2の第一金型1の対向面に、前記各充填室Sを連通する連通路Tを形成するための雄型2eが形成される。そのため本実施の形態では、第一金型1側の連通路1bが第三金型3の連通路3bよりも深溝状に形成され、ここに第二金型2に形成の雄型2eが、連通路1bの溝底には至らない中間部分まで嵌合するように設定されていて、一次の型合せをした場合の連通路1b、3bが確保される。そして、前記連通路1b、3bが第一、第三金型1、3に形成のスプルー1c、3cに連通され、一次射出用の射出ノズル8、9から樹脂材が射出されることになるが、第一金型1側の射出ノズル8のバルブゲートピン10は、一次の射出材を射出後、第二金型2の雄型2eに当接する位置まで突出するよう制御される(図2)。因みに、ゲート位置は、各々のキャビティにそれぞれ設けることもでき、また、ランナーについても、ホットランナー、コールドランナー等、通常知られたものを必要において適宜採用できることはいうまでもない。
【0008】
つぎに、各金型1、2、3を離間させ、前述したように第二金型2を型合せ領域から退去した後、残った第一、第三金型1、3を型合せして各製品半部5、6同志を突き合わせる。そしてこの突き合わせをした状態では、図3に示すように、前述した雄型2e部分が空洞状になって連通路Tとなる一方、雄型2c、2d部分が空洞状となって充填室Sとなり、この状態でバルブゲートピン10をノズル内まで引いた状態で二次射出材の射出をすると、二次射出材11は、各充填室Sに充填されることになって、製品半部5、6同志が接着固定して完成品7が成形される。
【0009】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、一次の射出工程で複数の製品半部5、6を形成し、しかる後、第二金型2を型合わせ領域から退去させた後、残った第一、第三金型1、3同志を型合せして対応する各製品半部5、6同志を突き合わせ、しかる後、これら各突き合わせ面に形成される充填室Sに接着用の二次射出材11を二次射出することで複数個の成形品7が形成される。この結果、製品半部5、6について、樹脂材が異なったもの(素材自体が異なるだけでなく、色彩、密度等を異なったものを含む)であっても、簡単に成形できることになって、従来のダイスライド方式では成形が難しかった強アンダーカットを含む複雑な形状や組合せのものであっても容易に成形できることになる。
【0010】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、図5、6に示す第二の実施の形態のように、強アンダーカット製品の製造も簡単にできる。図面では、射出ノズル、樹脂通路、製品半部同志を接着するための充填室については第一の実施の形態と同様であるから省略してある。そしてこの場合に、第一、第三金型11、13に雌型11a、13aと雄型11b、13bを形成する一方、第二金型12に、上記雌型11a、13a、雄型11b、13bにそれぞれ対応するよう雄型12a、12b、雌型12c、12dが形成されている。そして本実施の形態では、図5に示すように、第一、第二、第三金型11、12、13を突き合わせて一次の型合せをし、この型合せ状態で一次射出をして各製品半部14、15を成形した後、第二金型12を退去させ、しかる後、図6に示すように、第一、第三金型11、13同志を突き合わせて二次の型合せをして二次射出をすることで、製品半部14、15の突き合わせ部同志の接着をし、脱型することで中空製品が成形されることになり、このようにしても実施することができる。
そして該第二の実施の形態のような金型を採用することで、強アンダーカット製品を容易に成形できることになる。尚、図6をみたときに、合わせ面に空間部分が多く、このままでは金型11、13の型合わせが不安定になるとの懸念があるが、その対策として、例えば図7に示す金型の突き合わせ態様にすることで解消できる。図7(A)のものは、第二金型12を、第一、第三金型11、13に内嵌する構造として一次の金型突き合わせを行い、第二金型12を退去した第二の金型突き合わせの段階で、一次の型合せでは互いに当接しないストッパー16、17同志を突き合わせるようにしたものであり、このようにすることで、第一、第三金型11、13の安定した突合せができる。この場合に、ストッパー16、17は、長リブ状や枠状になったものだけでなく、点在状にしてもよい。さらにまた、図7(B)のように、一次の型合わせ工程において、ストッパー16、17に当接する当接部18を第二金型12に形成しても勿論よい。
【0011】
さらにまた、図8に示す第三の実施の形態のように、ボスや溝、さらには孔のような凸部19、凹部20のあるものについても簡単に型成形することができる。そしてこのものでは、凸部19等については、図示するように途中で途切れたものであっても成形することができる。
さらには、図9に示す第4の実施の形態のように、一次の射出成形をし、第二金型を退去させた段階でインサート物21をインサートし、次いで二次の型合わせして加工することもできる。
またさらに、図10に示す第五の実施の形態のように、一次の型合わせをする前段階でインサート物22を金型に組込んでおき、このようにして一次の射出、第二金型の退去、そして二次の型合わせ、二次の射出をしても成形することができる。
【0012】
また、一次射出と二次射出をする場合の射出ノズルについては、第一の実施の形態のように同じものであるが、それぞれ専用のものを参考として実施してもよい。別のものとしては、例えば図11に示す第一の参考例のように、二次射出用の射出ノズル23を製品の側方に配したサイドゲート方式のものとすることもできる。
さらにまた、図12に示す第二の参考例のように、二次射出用の射出ノズル24のゲートピン24aを一次射出の際の射出経路に突出して二次射出用の流路を形成し、二次射出の際にゲートピン24aを一次射出の流路から没入させて二次射出するように構成してもよい。さらには一次射出をする場合に、第一金型側から第二金型に形成した流路を経て第三金型側に一次射出の樹脂材を供給するようにしても勿論よい。
【0013】
さらにまた、本発明の隣接する三個の金型の意義については、二次の射出工程において、中側の金型が退去され、両側の金型が互いに突き合わされるものであればよく、例えば図13に示す第六の実施の形態のように、一端から数えて1、2、3、4、5番の五個の金型が一連状に配設され、一次の射出工程では各隣接する金型同志で製品半部がそれぞれ形成され、二次の射出工程では2、4番目の金型を同時退去し、1、3、5番目の金型を突き合わせて完成品を二列で成形するようにしたものでもよく、この場合の金型群の単位としては、1、2、3番目の金型群と、3、4、5番目の金型群とがそれぞれ隣接する三個の金型に相当することになる。さらにこの展開として、前記二次の射出工程で形成された成形品について、さらに3番目の金型を退去させて1、5番目の金型を突き合わせ、三次の射出をするようにしてもよく、このような三次の射出をする場合も含むものである。
また、図14に示す第七の実施の形態のように、1、2、3、4番の四個の金型が一連状に配され、一次の射出工程では各隣接する金型同志で製品半部が形成され、二次の射出工程では2番目の金型が退去され1,3番目の金型同志を突き合わせて半製品同志の射出成形が行われ(3番目、4番目の金型で成形された製品半部は4番目の金型にセットされた状態で該二次の射出成形には参加しない)、次ぎの三次の射出工程では、3番目の金型が退去されて1番目と4番目の金型が突き合わされて射出成形するようにしてもよい。そしてこの場合、1、2、3番目の金型群での成形だけでなく、1、4番目の金型を突き合わせたものも含むものである。
【0014】
さらに第二の金型を突き合わせることの意義については、外周が相互にすべて突き合わされるものに限定されず、図15に示す第八の実施の形態のように、一部が突き合うもの(端部同志の突き合わせも含む)、図16の第九の実施の形態のように、第一、第三金型の少なくとも一方を位置づれさせた状態で突き合わせる(端部同志の突き合わせも含む)ようにしたものとしてもよく、このようなものも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)〜(F)は第一の実施の形態の射出成形過程の状態を示す概略説明図である。
【図2】 一次射出したときの金型状態を示す要部拡大断面図である。
【図3】 二次の型合せした状態を示す要部拡大断面図である。
【図4】 二次射出したときの金型状態を示す要部拡大断面図である。
【図5】 第二の実施の形態の一次の射出成形過程の状態を示す概略説明図である。
【図6】 第二の実施の形態の二次の射出成形過程の状態を示す概略説明図である。
【図7】 (A)、(B)は、それぞれ一次と二次の型合わせをしたときの金型の突き合わせ状態を示す概略説明図である。
【図8】 第三実施の形態の射出成形過程の状態を示す概略説明図である。
【図9】 第四の実施の形態の射出成形過程の状態を示す概略説明図である。
【図10】 第五の実施の形態の射出成形過程の状態を示す概略説明図である。
【図11】 第一の参考例の射出成形過程の状態を示す概略説明図である。
【図12】 第二の参考例の射出成形過程の状態を示す概略説明図である。
【図13】 第六の実施の形態の射出成形過程の状態を示す概略説明図である。
【図14】 第七の実施の形態の射出成形過程の状態を示す概略説明図である。
【図15】 第八の実施の形態の射出成形過程の状態を示す概略説明図である。
【図16】 第九の実施の形態の射出成形過程の状態を示す概略説明図である。
【符合の説明】
1、11 第一金型
2、12 第二金型
3、13 第三金型
5、6製品半部
Claims (2)
- 一連状に隣接する三個の金型を備え、
各隣接する金型同志を型合せする一次の型合せ工程、
該各型合せされた金型に製品半部を一次射出用ノズルから射出成形する一次の射出工程、
前記一次射出用ノズルの一方に設けられるバルブゲートピンが突出して二次射出用連通路Tを形成するための中側金型の雄型に当接するピン当接工程、
これら各金型を製品半部が両側の金型に残る状態で離間させ、中側金型を前記型合わせ領域から退去させる金型退去工程、
前記成形された製品半部同志を突き合わせるべく残りの両側金型同志を型合せする二次の型合わせ工程、
前記バルブゲートピンを一方の一次射出用ノズル内まて引くピン引き工程、
前記突き合わされた製品半部同志を組付けすべくバルブゲートピンが引かれた一次射出用ノズルで樹脂材を射出する二次の射出工程を備えて構成される射出成形方法。 - 一連状に隣接する三個の金型を備え、
該各隣接する金型を型合せする一次の型合せ手段と、
該型合せされたものに一次射出用ノズルから樹脂材を射出して製品半部を成形する一次の射出手段と、
これら各金型を製品半部が両側の金型に残る状態で離間させ、中側金型を型合わせ領域から退去させる金型退去手段と、
前記成形された製品半部同志を突き合わせるべく残りの両側金型同志を型合せする二次の型合わせ手段と、
前記突き合わされた製品半部同志を組付けすべく樹脂材を射出する二次の射出工程とを備えて構成するにあたり、
一方の一次射出用ノズルのバルブゲートピンは、一次射出した後には一次射出用ノズルから突出して二次射出用連通路を形成するための中側金型の雄型に当接し、二次射出する前には一次射出用ノズル内まで引かれるように制御されるものとし、
前記バルブゲートピンが引かれた一次射出用ノズルは、二次射出するための二次射出用ノズルであることを特徴とする射出成形装置。
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