JP4483899B2 - アキシャルギャップ型回転電機の交流制御装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の技術は、多相の交流回転電機の電機子コイルを流れる多相交流電流につき、基本周波数成分の次数を1とする場合に、前記基本周波数成分に対して逆の相順をもつn−1次(nは自然数)の高調波成分を前記多相交流電流に重畳することにより、n次の磁気音を増加または低減するというものである。このような特許文献1に記載の技術によれば、交流回転電機に発生する径方向磁気加振力のうちn次の高調波成分を減衰させることができるというものである。特許文献1に記載の技術を適用可能な交流回転電機のロータのみを図13の斜視図に示す。図13中、Rはロータ、Sはシャフト、矢は径方向磁気加振力の向きを示す。図13の斜視図に示す交流回転電機は、図示しないステータが、ロータRの外周を、径方向に開いた隙間であるエアギャップ(ラジアルギャップ)を介して包囲するラジアルギャップ型回転電機である。
コイルを巻かれたステータ鉄心を周方向に複数個配設したステータと、複数の極数を具えたロータとを軸線方向で対向配置したアキシャルギャップ型回転電機にあって、前記コイルを流れる単相あるいは多相交流を制御するアキシャルギャップ型回転電機の交流制御装置を前提とし、
1次となる基本波成分と、該基本波成分の整数倍の周波数であって前記整数倍の値に等しい次数となる複数の高調波成分と、からなる複数の周波数成分を重畳して前記単相あるいは多相交流を生成する重畳手段と、
前記複数の周波数成分の関係を、次数が2だけ異なる1対の周波数成分が2対揃うよう規定する高周波成分制御手段とを具えたことを特徴としたものである。
図3は本発明の一実施例になる交流制御装置を具えた2ロータ1ステータのアキシャルギャップ型回転電機を、軸線Oを含む平面で切断して見た状態を模式的に示す縦断面図である。円盤形状のロータ1は一点鎖線で示す軸線Oに沿って延在するロータ軸2に相対回転不能に結合する。軸2は回転自在に支持される。ロータ2の前面は、軸線方向に開いた空隙になるエアギャップ(アキシャルギャップ)4を介して、モータケース5に固定されたステータ6と対向する。ステータ6は中央部に孔7を具えた円環形状である。ロータ軸2は孔7を貫通し、ステータ6からみて軸線O方向両側でロータ1,1とそれぞれ結合する。
そこで、このロータ1の面モード共振の変形量(振幅)を許容変形以下におさえるべく、
1次となる基本波成分と、この基本波成分の整数倍の周波数であって前記整数倍の値に等しい次数となる複数の高調波成分と、からなる複数の周波数成分を重畳してコイル9の交流電流を生成し、
これら複数の周波数成分の関係を、次数が2だけ異なる1対の周波数成分が2対揃うよう規定する交流制御を行う。
I(t)=A1×sin(ωt+β1)+A3×sin(3ωt+β3)
+A5×sin(5ωt+β5)} ・・・(1)
ここで、tは時間、ωは角速度、A1は基本波成分の振幅になる係数、β1は基本波成分の位相になる係数、A3は3次高周波成分の振幅になる係数、β3は3次高周波成分の位相になる係数、A5は5次高周波成分の振幅になる係数、β5は5次高周波成分の位相になる係数である。
図5〜図10は、スロット数(ステータ鉄心8の数でもある)Sかつ極数Pのアキシャルギャップ型回転電機の上記係数の値を決定するためのマップであり、これら図5〜図10のマップはいずれも、横軸がスロット数を、縦軸が極数を表す。なおスロット数は、図3に示すステータ鉄心8の個数に等しい。
図5のマップを参照して面モード振動の低減効果が所定以上となる係数A1を決定する。
図6のマップを参照して面モード振動の低減効果が所定以上となる係数β1を決定する。
図7のマップを参照して面モード振動の低減効果が所定以上となる係数A3を決定する。
図8のマップを参照して面モード振動の低減効果が所定以上となる係数β3を決定する。
図9のマップを参照して面モード振動の低減効果が所定以上となる係数A5を決定する。
図10のマップを参照して面モード振動の低減効果が所定以上となる係数β5を決定する。
これらマップは実験またはシミュレーション演算により得られる。これらマップに基づき係数A1、β1、A3、β3、A5およびβ5を決定すると、面モード振動の変形(振幅)を所定以上(例えば100分の1)に低減する効果が得られる。なお、アキシャルギャップ型回転電機の体格が変更した場合は、これらマップも実験またはシミュレーション演算により改めて求める必要がある。
これにより、高調波周波数を低くすることが可能となり、制御が容易となる。
2 ロータ軸
3 永久磁石
4 アキシャルギャップ(エアギャップ)
5 モータケース
6 ステータ
8 ステータ鉄心
9 ステータコイル
Claims (6)
- コイルを巻かれたステータ鉄心を周方向に複数個配設したステータと、複数の極数を具えたロータとを軸線方向で対向配置したアキシャルギャップ型回転電機にあって、前記コイルを流れる単相あるいは多相交流を制御するアキシャルギャップ型回転電機の交流制御装置において、
1次となる基本波成分と、該基本波成分の整数倍の周波数であって前記整数倍の値に等しい次数となる複数の高調波成分と、からなる複数の周波数成分を重畳して前記単相あるいは多相交流を生成する重畳手段と、
前記複数の周波数成分の関係を、次数が2だけ異なる1対の周波数成分として2対規定する周波数成分制御手段とを具え、
前記周波数成分制御手段は、
前記ロータが軸線方向に変形する面モード振動のうち前記ステータ鉄心の個数と前記ロータの極数との差分に等しい次数となる面モード振動の低減効果が所定以上となるよう、前記重畳手段により重畳した前記交流電流における各周波数成分の振幅と位相とを、スロット数(ステータ鉄心数)と極数とに応じて決定することを特徴とするアキシャルギャップ型回転電機の交流制御装置。 - 請求項1に記載のアキシャルギャップ型回転電機の交流制御装置において、
前記高周波成分は、3次および5次であることを特徴とするアキシャルギャップ型回転電機の交流制御装置。 - 請求項2に記載のアキシャルギャップ型回転電機の交流制御装置において、
前記重畳手段により重畳した前記コイルの交流電流I(t)を、時間t、角速度ω、前記基本波成分の係数A1およびβ1、前記3次高周波成分の係数A3およびβ3、前記5次高周波成分の係数A5およびβ5からなる以下の式で規定し、
I(t)=A1×sin(ωt+β1)+A3×sin(3ωt+β3)
+A5×sin(5ωt+β5)}
前記周波数成分制御手段は、前記ロータが軸線方向に変形する面モード振動のうち、前記ステータ鉄心の個数と前記ロータの極数との差分に等しい次数となる面モード振動の低減効果が所定以上となるよう、前記係数A1およびβ1、前記係数A3およびβ3、前記係数A5およびβ5の値を決定することを特徴とするアキシャルギャップ型回転電機の交流制御装置。 - 請求項1に記載のアキシャルギャップ型回転電機の交流制御装置において、
前記高周波成分は、5次、7次、11次および13次であることを特徴とするアキシャルギャップ型回転電機の交流制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアキシャルギャップ型回転電機の交流制御装置において、
前記ロータが共振するロータ回転数のうち、ロータ軸線方向に変形する面モード共振が発生するロータ回転数付近で、前記重畳手段および前記周波数成分制御手段による交流制御を実行することを特徴とするアキシャルギャップ型回転電機の交流制御装置。 - 請求項5に記載のアキシャルギャップ型回転電機の交流制御装置において、
前記面モード共振が発生するロータ回転数を、通常使用する回転数領域のうち低い側の低回転数領域にするよう、前記アキシャルギャップ型回転電機の体格を設計することを特徴とするアキシャルギャップ型回転電機の交流制御装置。
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