JP4483214B2 - 電気光学装置、電子機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、R・G・B等といった複数のカラーフィルタを基板上に形成して成る半透過反射型カラーフィルタ基板及びその製造方法及び電気光学装置の製造方法に関する。また、本発明は、そのカラーフィルタ基板を用いて構成される電気光学装置及び電子機器に関する。
【0002】
【背景技術】
反射型の液晶表示装置は、バックライト等の光源を持たないために消費電力が小さく、また、薄型化を可能にするため、携帯性に優れているという利点を有する。そのため、以前から、種々の携帯型電子機器などの表示部などに多用されている。ところが、反射型の液晶表示装置は、自然光や照明光などの外光を利用して表示するため、暗い場所では表示の視認性が低下するという欠点があった。
【0003】
そこで、明るい場所では、通常の反射型の液晶表示装置と同様に外光を利用し、暗い場所では、表示装置に付属されたバックライトなどの光源を利用して視認性を向上させた液晶表示装置が提案されている。つまり、この液晶表示装置は、反射型と透過型を兼ね備えた表示方式を採用しており、周囲の明るさに応じて、反射表示モードまたは透過表示モードのいずれかの表示方式に切り替えることができる。反射型と透過型を兼ね備えた半透過反射型の液晶表示装置は、消費電力を低減しつつ、周囲が暗い場合でも、表示品位の高い表示を可能にしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、携帯型電子機器などの普及に伴って、液晶表示装置のカラー化の要求が高くなっている。これは、上記の半透過反射型液晶表示装置が備えられた電子機器においても同様である。この要求に対応したカラーの半透過反射型液晶表示装置として、カラーフィルタ基板を備えた半透過反射型液晶表示装置が用いられている。
【0005】
このような半透過反射型カラー液晶表示装置の場合、反射表示モードでは、液晶表示装置に入射した外光はカラーフィルタを通過し、カラーフィルタの下方に設置されている反射膜によって反射され、再びカラーフィルタを通過して観察者へ至るようになっている。要するに、2回カラーフィルタを通過することになる。また、透過表示モードでは、バックライト光源などからの光が、カラーフィルタを1度通過して観察者へ至ることになる。このため、透過表示モードと反射表示モードの両方で共通のカラーフィルタ基板を使用する場合、各モードにおける表示画像の彩度や明るさが不足するという問題がある。
【0006】
即ち、反射表示モードで最適な彩度が得られるように色素濃度が低めのカラーフィルタを使用すると、透過表示モードにおいては表示画像の彩度が不十分となってしまう。一方、透過表示モードで最適な彩度が得られるように色素濃度が高めのカラーフィルタを使用すると、反射表示モードでは表示画像の明るさが不足しがちになる。
【0007】
このため、カラーフィルタ基板自体は透過表示モードにおいて最適な彩度が得られるような濃度に設定し、かつ、反射表示領域内にカラーフィルタを設けない領域、即ち、反射膜がカラーフィルタにより覆われていない領域(本明細書では以下、「無着色反射領域」と呼ぶ。)を設けることにより、反射表示モードにおける明るさ不足を補うことが可能な半透過反射型液晶表示装置が提案されている。このような半透過反射型液晶表示装置は、液晶パネルを構成する一対のガラス基板のうちの一方のガラス基板上に反射膜を形成し、さらにその上にカラーフィルタをフォトリソグラフィー方式により作製する。しかし、この方法を用いて作製した無着色反射領域においてはカラーフィルタが凹部を有することになり、カラーフィルタの平坦性が損なわれるという欠点がある。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、インクジェット方式を利用し、反射型表示の明るさと透過型表示の彩度の向上、及び、低コスト化が可能なカラーフィルタ基板、電気光学装置及び電子機器、並びにそのようなカラーフィルタ基板の製造方法及び電気光学装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの観点によれば、一対の基板を備え、遮光領域によって囲まれた複数のドット部分に、光が透過可能な透過領域と、光を反射する反射層を有する反射領域と、を有する電気光学装置において、前記複数のドット部分は、それぞれ液滴材料で着色層が形成された着色された表示領域と、前記着色層が形成されない無着色の表示領域とを有し、前記複数のドット部分のうち、異なる色の前記着色層が形成された2つのドット部分の間の領域に形成された遮光領域と、当該遮光領域よりも広い面積を有し、当該遮光領域と重なる領域から当該遮光領域の両側の前記ドット部分に重なる領域にかけて形成され、2つの前記ドット部分に形成された前記着色層を区画する透明な区画層と、を有し、前記区画層は前記一対の基板のうち一方の基板に形成され、前記着色層は、前記一方の基板の、前記区画層に区画された領域の前記区画層と重ならない領域に配置され、前記着色層が形成された領域を前記ドット部分における前記着色された表示領域とし、前記区画層の前記遮光領域の幅よりも広い領域を前記ドット部分における前記無色の表示領域とし、前記反射層は、前記着色層及び区画層に対して観察側とは反対側に配置され、前記無着色の表示領域に平面的に重なる領域から前記着色された表示領域に平面的に重なる領域にわたって形成されるとともに前記着色された表示領域に平面的に重なる領域の内側に形成された開口を有し、前記ドット部分において前記開口領域に平面的に重なる領域が前記透過領域、前記開口領域に平面的に重なる領域以外の領域が前記反射領域であり、前記着色層における前記区画層に接する部分の前記一方の基板からの高さは、前記区画層の前記一方の基板からの高さよりも低いことを特徴とする。
【0012】
上記のカラーフィルタ基板の他の一態様は、前記区画層は、前記遮光領域より広い面積を有し、かつ、前記遮光領域を覆うように設けられている。これにより、遮光領域よりも広い領域において、透明な区画層により無着色の明るい表示を得ることができる。
【0013】
前記区画層は、前記ドット部分の周辺領域上に設けることができる。さらに、前記区画層は、前記ドット周辺領域の周囲4辺のうち少なくとも対向する2辺における前記ドット周辺領域の内部に設けることができる。
【0015】
上記のいずれかに記載の電気光学装置は、前記複数のドット部分それぞれに平面的に重なるように設けられた第1の透明電極と、前記第1の透明電極に対向するように設けられた第2の透明電極と、を有する
【0016】
また、上記の電気光学装置を表示部として備える電子機器を構成することができる。
【0020】
また、本発明のさらに他の観点では、電気光学装置の製造方法は、上記のカラーフィルタ基板の製造方法を用いてカラーフィルタ基板を製造する工程を備える。
本発明のさらに他の観点では、電気光学装置の製造方法は、遮光領域によって囲カラーフィルタ基板を有し、第1の電極と第2の電極との重なる領域で規定される複数のドット部分が形成される電気光学装置の製造方法において、前記カラーフィルタ基板を形成する工程と、前記複数のドット部分に対応して、前記第1の電極及び前記第2の電極を形成する工程とを有し、前記カラーフィルタ基板を製造する工程は、前記複数のドット部分の間の領域であって、異なる色の着色層が配置される2つのドット部分を区画する透明な区画層を形成する工程と、前記2つのドット部分に液滴材料の吐出による成膜方式により液滴材料からなるそれぞれ異なる色の着色層を形成する工程と、を有し、前記区画層を形成する工程では、前記区画層を前記2つのドット部分の間の領域から当該2つのドット部分それぞれに重なる領域に延在させ、前記着色層を形成する工程では、前記着色層を前記2つのドット部分の前記区画層と重ならない領域に配置するとともに、前記着色層における前記区画層に接する部分の前記カラーフィルタ基板からの高さが、前記区画層の前記カラーフィルタ基板からの高さよりも低くなるように、前記着色層を形成することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0022】
[カラーフィルタ基板]
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるカラーフィルタ基板の平面図を示している。カラーフィルタ基板100は、複数のドット部分10を含む。各ドット部分10は、透明電極6とそれに対向する表示用電極(図示せず)とが平面的に重なる位置に対応して形成されている。各ドット部分10は、R、G、Bのいずれかに対応しており、図1の例では、同一色のドット部分10が縦方向に配列されている。図中横方向に繰り返し配列されたR、G、Bの3つのドット部分10により1つの画素が構成される。
【0023】
図2(a)は、図1に示すドット部分10の1つを拡大した平面図である。また、図2(b)は、図1に示すドット部分10の切断線A−A'による断面図である。図2(a)及び(b)に示すように、カラーフィルタ基板100は、ガラスやプラスチック等の透過性を有する基板1上に、Al膜(アルミニウム)などの反射膜2が形成されてなる。反射膜2は、1つのドット部分10の中央付近に透過領域としての開口11を有する。開口11は、透過表示モードにおいてバックライト光源などからの照明光を通過させる。
【0024】
反射膜2の上にはブラックマスク7が形成され、さらにブラックマスク7を覆うように反射膜2の上に区画材としての区画層3(以下、実施の形態においては、区画層をバンク層と記載する)が形成されている。相互に隣接するバンク層3によって囲まれる領域内には、後述するようにインクジェット方式によりR、G、Bいずれかの着色層5が形成される。バンク層3は、透明で溌インク性を有する感光性樹脂などにより形成され、インクジェット方式(液滴材料の吐出による成膜方式)により着色層5を形成する際に隣接する着色層5を構成するインク(液滴材料)が混ざり合うのを防止する役割を有する。
【0025】
バンク層3及び着色層5の上には、アクリル樹脂などの透明樹脂によるオーバーコート層(保護膜)4が形成されている。但し、本実施形態はいわゆるマルチギャップ方式の液晶パネルに適用可能なカラーフィルタであるため、開口11に対応する透過領域においては、着色層5上にオーバーコート層4は形成されない。マルチギャップ方式の液晶パネルについては後述する。そして、オーバーコート層4上には、例えばITO電極などの透明電極6が形成される。
【0026】
前述のように、バンク層3は、インクジェット方式で着色層5を形成する際の区画材としての役割を有する。一般的には、バンク層3は、各色のドット部分10の境界を規定するブラックマスク7上にのみ形成されるのであるが、本実施形態では、バンク層3の幅を増加し、ブラックマスク7よりも広い幅でバンク層3を形成している点に1つの特徴を有する。図2(a)及び(b)から理解されるように、バンク層3が形成された領域にはカラーフィルタの着色層5は形成されない。オーバーコート層4及び透明電極6はいずれも透明な材料により構成されるので、バンク層3で覆われた領域のうち、ブラックマスク7が形成されている領域以外の領域は、光の着色という観点からは反射膜2が露出しているのと同等となる。即ち、バンク層3の領域内でブラックマスク7が形成されていない領域では、図2(b)の上方から下方へ進む外光L1は着色層5を通過することなく反射膜2で反射され、無着色の明るい反射光L1'としてカラーフィルタ基板100の外部へ至る。
【0027】
一方、反射領域のうち、着色層5が形成された領域では、外光L2は着色層5を通過して反射膜2に至り、反射膜2で反射されて再度着色層5を通過して反射光L2'としてカラーフィルタ基板100の外部へ至る。従って、外光L2は、着色層5の色に応じた着色光として観察者17により認識される。また、透過領域においては、図示しないバックライト光源などからの照明光(透過光)L3は、開口11を通過し、着色層5を1回通過して、着色層5の色に応じた着色光として観察者17により認識される。
【0028】
図2に示すカラーフィルタ基板100では、着色層5の色素濃度は、透過光L3が最適な彩度を示すように設定される。従って、反射光L2'は、透過光に対して最適に設定された着色層5を2回通過する分、明るさが不足する傾向がある。しかし、反射領域のうちバンク層3が形成された領域内のブラックマスク7以外の領域では、外光L1は着色層5を通ることなく反射膜2で反射され、無着色の明るい反射光L1'として出射するので、この反射光L1'により反射領域全体としての反射光の明るさ不足を補うことができる。
【0029】
バンク層3の面積、より詳細にはバンク層3が形成される領域のうちブラックマスク7以外の領域の面積は、反射領域全体でどの程度の明るさを必要とするかを考慮して決定される。即ち、バンク層3の面積が小さければ、反射領域全体としての反射光の明るさが不足し、表示画像の明るさが不足する。一方、バンク層3の面積を大きくしすぎると、反射領域全体としての明るさが増加しすぎ、反射表示モードにおける表示画像が単に明るいだけで彩度が不足した画像となってしまう。よって、反射表示モードにおいて適当とされる程度の明るさが得られるように、バンク層3の面積、即ち、バンク層3をブラックマスク7の幅よりもどれだけ広く形成すべきかを決定すればよい。
【0030】
このように、本実施形態では、インクジェット方式でカラーフィルタの各色着色層を形成する際に、バンク層3をブラックマスク7よりも広く形成する。これにより、バンク層3がブラックマスク7よりも広がった部分では、反射光L1'が着色層5を通過しない明るい光となるので、反射表示モードにおける表示画像の明るさ不足を解消することができる。
【0031】
(第2実施形態)
次に、本発明によるカラーフィルタ基板の第2実施形態について説明する。図3は第2実施形態に係るカラーフィルタ基板110の平面図である。図4(a)は、図3に示すカラーフィルタ基板110の1つのドット部分20の平面図であり、図4(b)はその切断線B−B'による断面図である。
【0032】
第2実施形態のカラーフィルタ基板110は、ブラックマスクレスの構造となっている点で第1実施形態のカラーフィルタ基板100と異なる。即ち、図3及び図4から分かるように、カラーフィルタ基板110のドット部分20は、反射膜2上にブラックマスクが形成されておらず、バンク層3が形成されている。それ以外の点は、全て第1実施形態のカラーフィルタ基板100と同様である。
【0033】
即ち、透過領域においては、バックライト光源などからの照明光が開口11及び着色層5を通過して透過光L3として観察者17へ至る。着色層5は、透過表示モードにおいて最適な彩度が得られる濃度に設定されているので、透過光L3により表示される画像は最適な彩度となる。一方、反射領域のうち着色層5が形成されている領域で入射する外光L2は、反射膜2により反射される前後で着色層5を2回通過して反射光L2'として出射するので、明るさが不足する。しかし、反射領域のうちバンク層3の領域では着色層5を通らない無着色の反射光L1'が得られるので、全体として反射表示モードにおける明るさを補うことができる。
【0034】
(第3実施形態)
次に、本発明によるカラーフィルタ基板の第3実施形態について説明する。図5は第2実施形態に係るカラーフィルタ基板120の平面図である。図6(a)は、図5に示すカラーフィルタ基板120の1つのドット部分30の平面図であり、図6(b)はその切断線C−C'による断面図であり、図6(c)はその切断線D−D'による断面図である。
【0035】
第3実施形態のカラーフィルタ基板120の特徴は、バンク層3の形成と同時に、反射膜2上に島状バンク領域12を形成することにある。即ち、図6(a)に示すように、カラーフィルタの着色層5の領域内に島状バンク領域12を形成し、その島状バンク領域12には領域に着色層5を形成しないようにする。その結果、島状バンク領域12は無着色反射領域として機能する。即ち、第1及び第2実施形態におけるバンク層3の領域と同様に、島状バンク領域12からの反射光は着色層5を通過しないことになり、無着色の明るい反射光が得られることになる。
【0036】
具体的には、図6(b)の断面図に示すように、ドット部分30は、ガラスやプラスチック等の透過性を有する基板1上に、AL膜(アルミニウム)などの反射膜2が形成されてなる。反射膜2は、1つのドット部分10の中央付近に開口11を有する。開口11は、透過表示モードにおいてバックライト光源などからの照明光を通過させる役割を有する。
【0037】
反射膜2の上にはブラックマスク7が形成され、さらにブラックマスク7を覆うように反射膜2の上に区画材としてのバンク層3が形成されている。なお、本実施形態では、バンク層3はブラックマスク7上に形成される。相互に隣接するバンク層3によって囲まれる領域内には、後述するようにインクジェット方式によりR、G、Bいずれかの着色層5が形成される。バンク層3は、インクジェット方式により着色層5を形成する際に、隣接する着色層5を構成するインクが混ざり合うのを防止する役割を有する。
【0038】
バンク層3及び着色層5の上には、アクリル樹脂などの透明樹脂によるオーバーコート層(保護膜)4が形成されている。但し、本実施形態では、いわゆるマルチギャップ方式のカラーフィルタであるため、開口11に対応する透過領域においては、着色層5上にオーバーコート層4は形成されない。そして、オーバーコート層4上には、例えばITO電極などの透明電極6が形成される。
【0039】
図6(c)に、図6(a)のD−D'による断面を示す。図示のように、ドット部分30において、基板1上の開口11を除いた領域に反射膜2が形成されている。また、反射膜2上には、隣接するドット部分30との境界を規定するブラックマスク7が形成され、ブラックマスク7上にバンク層3が形成されている。そして、反射領域、即ち反射膜2上の所定位置に、バンク層3の形成と同時に、島状バンク領域12が形成される。その後、インクジェット方式によりバンク層3で区画された領域内に着色層5が形成されるが、島状バンク領域12はバンク層3と同じ溌インク性の樹脂などにより形成されるため、島状バンク領域12上には着色層5は形成されない。そして、開口11に対応する透過領域を除いてオーバーコート層4が形成され、その上にITOなどの透明電極6が形成される。
【0040】
島状バンク領域12は反射膜2上に形成されており、島状バンク領域12上には着色層5は形成されない。よって、島状バンク領域12内では、外光L4は無着色のまま反射膜2により反射されて観察者に認識されることになる。着色層5は、第1及び第2の実施形態の場合と同様に、透過光に対して最適な彩度が得られるような色素濃度に設定されているので、その分反射光は明るさが不足することとなるが、反射領域のうち島状バンク領域12では無着色の明るい反射光が得られるので、反射領域全体としては十分な明るさの反射光を得ることができる。即ち、第1及び第2実施形態においては隣接するドット部分10又は20の境界部分にバンク層3を設けて無着色反射領域として機能させ、無着色の明るい反射光を得ていたが、本実施形態では、その代わりに、反射領域内の所定位置に所定面積の島状バンク領域12を設けて無着色反射領域として機能させ、無着色の明るい反射光を得る構成としているのである。
【0041】
島状バンク領域12の面積は、反射領域全体でどの程度の明るさを必要とするかを考慮して決定される。即ち、島状バンク領域12の面積が小さければ、反射領域全体としての反射光の明るさが不足し、表示画像の明るさが不足する。一方、島状バンク領域12の面積を大きくしすぎると、反射領域全体としての明るさが増加しすぎてしまい、反射表示モードにおける表示画像が、ただ明るいだけで彩度が不足した画像となってしまう。よって、反射表示モードにおいて必要とされる程度の明るさが得られるように、島状バンク領域12の面積を決定する。
【0042】
なお、本実施形態では、図6(b)及び(c)に示すように、ブラックマスク7上にのみバンク層3を形成しているが、図2(b)に示す第1実施形態と同様に、ブラックマスク7より広い幅にわたってバンク層3を形成して、ブラックマスク7の内側の環状部分におけるバンク層3及び島状バンク領域12の両方で無着色の明るい反射光を得るように構成することも可能である。
【0043】
従来のフォトリソグラフィー方式による無着色部分は着色層が欠落した凹部ができるため、カラーフィルタ全体を平坦化することができず、その凹部の領域だけオーバーコート層4も平坦にならないなどの不具合が生じうる。この点、島状バンク領域12を形成する方法では、その領域にはバンク材が形成されているため、凹部は形成されない。よって、カラーフィルタを平坦化することができるという利点がある。
【0044】
(カラーフィルタ基板の変形例)
第1実施形態のカラーフィルタ基板100では、図2(a)に示すように、環状のブラックマスク7の内側に形成される無着色反射領域(バンク層3)の領域は、その4つの辺においてほぼ同一の幅だけブラックマスク7よりも内側に形成されている。その代わりに、図7(a)に例示するように、ブラックマスク7の内側の無着色反射領域を、上下辺と左右辺において異なる幅に形成することができる。図7(a)の例では、環状の無着色反射領域の左右方向の幅Xが、上下方向の幅Yよりも大きい場合を示している。なお、逆に左右方向の幅Xが上下方向の幅Yより小さくなるようにバンク層3を形成することもできる。
【0045】
また、第1実施形態のカラーフィルタ基板100では、図2(b)の断面図からわかるように、バンク層3内におけるブラックマスク7の位置はバンク層3の幅方向のほぼ中央であった。即ち、バンク層3は、ブラックマスク7の両側にほぼ同一幅だけ広がっている。そのかわりに、図7(b)に示すように、ブラックマスク7のバンク層3に対する位置を、バンク層3のいずれかの端部に寄せて配置することができる。図7(b)の例では、バンク層3内の左側端部にブラックマスク7が位置するようにバンク層3とブラックマスク7とを相対配置している。
【0046】
また、上述したカラーフィルタ基板の第1乃至第3の実施形態では、1つのドット部分の上下及び左右の4辺に対応する位置にバンク層3が形成されているが、図8に示すように、同一の着色層を形成すべきドット部分の境界ではバンク層3を省略することができる。図8の例では、R、G、Bの各色のドット部分が横方向に配列されており、縦方向に配列されたドット部分は同一の着色層が形成される。よって、上下方向において隣接するドット部分の境界にはバンク層3を設けなくても、着色層の色が同一であるので、インクの混色の問題は生じない。
【0047】
また、上記の各実施形態では、ドット部分の色(R、G、B)にかかわらずバンク層3の幅や面積を同一としているが、反射表示モードにおける明るさを色毎に調整する必要がある場合には、各色毎にドット部分内に形成するバンク層3の幅や面積を異ならせることができる。
【0048】
なお、バンク層3の幅は、隣接する異色のドット部分の境界におけるインクの混色を防止するために、一般的には最低6μm程度が必要となる。よって、第1実施形態のようにバンク層3内にブラックマスク7がある場合でも、第2実施形態のようにブラックマスクレスの場合でも、バンク層3の幅は約6μm以上とすることが好ましい。なお、第1実施形態のようにブラックマスク7がある場合には、当然、バンク層3の幅はブラックマスク7の幅よりも大きくなる。
【0049】
[液晶表示パネル]
次に、上記のカラーフィルタ基板を利用した液晶表示パネルの構成について説明する。
【0050】
図9において、液晶表示パネル200は、ガラスやプラスチック基板などからなる基板31と基板32とが、シール材33を介して貼り合わせられ、内部に液晶34が封入されている。また、基板32の外面上には、位相差板35および偏光板36が順に配置され、基板31の外面上には、位相差板37および偏光板38が配置される。なお、偏光板の下方には、透過型表示を行う際に照明光を発するバックライト39が配置される。また、複数のドット部分(図示省略)のそれぞれは、透明電極(表示用電極)6とそれに対向する表示用電極106の重なり位置に対応して形成されている。
【0051】
図9に示すようなマルチギャップタイプの液晶装置は、マルチギャップタイプ構造を採用することにより、透過表示領域と反射表示領域とで液晶層の膜厚を調整して、液晶表示の明るさおよび色調の向上を図っている。
【0052】
なお、本発明では、カラーフィルタの各着色層の配列は、図1、図3、図5、図8に示す配列には限られない。即ち、ストライプ配列だけでなく、デルタ配列、ダイヤゴナル配列などの各種の配列に構成することが可能である。透過用カラーフィルタと反射用カラーフィルタとを同一の材料に形成することも可能であり、また、別個の材料により独立に形成することも可能である。他の応用例として、透過表示領域と反射表示領域とでカラーフィルタの厚さを変化させたタイプのカラーフィルタにも適用可能である。
【0053】
[カラーフィルタ基板の製造方法]
図10に、本発明の第1実施形態に示すカラーフィルタ基板100の製造方法を模式的に示している。ガラス基板またはプラスチック基板等のマザー基板1の表面に金属材料、例えば、Al(アルミニウム)によって、反射膜2を図中の観察方向から見て格子状パターンを形成する。
【0054】
この反射膜2は、任意の成膜手法、例えば、スパッタリングによって、好ましい膜厚を均一に形成した後、適宜のパターニング手法、例えば、フォトリソグラフィー法によって格子状に形成される(工程P1)。
【0055】
反射膜2の形成後、工程P2において、ブラックマスク7を形成する。このブラックマスク7は、画面表示のコントラストを良くするために、設けられたもので、このブラックマスク7は、各ドット領域に対応する部分が開口する格子状パターンに形成されている。なお、このブラックマスクは、Cr(クロム)等の金属膜で形成してもよいし、黒色または黒色に近い色の顔料を添加した樹脂で形成してもよい。
【0056】
次に、工程P3においてバンク層3を形成する。具体的には、望ましくは、撥インク性の樹脂を、例えばスピンコート法を用いて所定の厚さに塗布し、さらに適宜のパターニング手法、例えばフォトリソグラフィー法を用いて所定の格子状を形成する。このとき、バンク層3の幅は、Al膜である反射膜2の幅よりも小さくなるようにする。
【0057】
その後、工程P4において、バンク層3によって区画された各領域内にインクジェット法を用いてR・G・Bの着色層5を形成する。具体的には、インクジェットヘッド21によってマザー基板1の表面を走査しながら、インクジェットヘッド21に設けたノズル22からカラーフィルタ材料23を配列パターンに対応した所定の位置にインク滴として吐出してマザー基板1及び反射膜2上に付着させる。そして、焼成処理、紫外線照射処理、又は真空乾燥処理によりカラーフィルタ材料23を固化して着色層5を形成する。この処理を各カラーフィルタR・G・Bごとに繰り返すことによって希望の配列のカラーフィルタパターンを形成する。
【0058】
その後、工程P5において、バンク層3によって区画された各領域内であって着色層5の上にインクジェット法を用いてオーバーコート層4を形成する。具体的には、カラーフィルタの場合と同様にして、インクジェットヘッド21によってマザー基板1の表面を走査しながら、インクジェットヘッド21に設けたノズル22から、オーバーコート材料24を所定の位置に吐出してマザー基材1上の各着色層5の上に付着させる。そして、その後、例えば、200℃、30分〜60分の焼成処理によりオーバーコート材料24を固化してオーバーコート層4を形成する。
【0059】
このオーバーコート層4は、フォトリソグラフィー工程でパターニングを行い、反射膜2の設けられた反射領域における液晶層厚を透過領域における液晶層のセル厚よりも小さく形成して、いわゆるマルチギャップタイプの液晶表示パネルとすることができる。
【0060】
以上が第1実施形態によるカラーフィルタ基板の製造方法であるが、図4に示す第2実施形態のカラーフィルタ基板110は、上記工程のうち、ブラックマスクを形成する工程P2を省略する以外は同様の工程により製造することができる。また、図6に示す第3実施形態のカラーフィルタ基板120は、バンクを形成する工程P3において、図6に示す島状バンク領域12を形成する以外は、同様の工程により製造することができる。
【0061】
[液晶表示パネルの製造方法]
次に、こうして得られたカラーフィルタ基板を用いて、図9に示す液晶表示パネルを製造する方法について、図11を参照して説明する。図11は、表示パネル200の製造工程を示すフローチャートである。
【0062】
まず、上記方法により、上記いずれかの実施形態によるカラーフィルタ基板が形成された基板31が製造され(工程S1)、さらにオーバーコート層の上に透明導電膜をスパッタリング法により成膜し、フォトリソグラフィー法によってパターニングすることにより、透明電極6を形成する(工程S2)。この透明電極6は、図2(b)に示すように、区画材として形成されているバンク層3とオーバーコート層4の積層上にも設けられ、この領域にて、無着色の明るい反射光が得られる。その後、透明電極上にポリイミド樹脂などからなる配向膜を形成し、ラビング処理などを施す(工程S3)。
【0063】
一方、反対側の基板を製作し(工程S4)、同様の方法で透明電極を形成し(工程S5)、さらに透明電極上に図示しない配向膜を形成し、ラビング処理などを施す(工程S6)。
【0064】
そして、シール材33を介して、上記の基板31と基板32を貼り合わせて、パネル構造を構成する(工程S7)。基板31と基板32とは、基板間に分散配置された図示しないスペーサーなどによって、ほぼ規定の基板間隔となるように貼り合わせられる。
【0065】
その後、シール材の開口部から液晶を注入し、シール材の開口部を紫外線硬化性樹脂などの封止材によって封止する(工程S8)。こうして主要なパネル構造が完成した後に、位相差板や偏光板などを必要に応じてパネル構造の外面上に貼着などの方法によって取り付け(工程S9)、図9に示す液晶表示パネル200が完成する。
【0066】
[電子機器]
次に、本発明による高品位カラーフィルタを用いた液晶表示パネルを電子機器の表示装置として用いる場合の実施形態について説明する。図12は、本実施形態の全体構成を示す概略構成図である。ここに示す電子機器は、上記の液晶表示パネル200と同様の液晶表示パネル200と、これを制御する制御手段210を有する。ここでは、液晶表示パネル200を、パネル構造体200Aと、半導体ICなどで構成される駆動回路200Bとに概念的に分けて描いてある。また、制御手段210は、表示情報出力源211と、表示情報処理回路212と、電源回路213と、タイミングジェネレータ214と、を有する。
【0067】
表示情報出力源211は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などからなるメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスクなどからなるストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを備え、タイミングジェネレータ214によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号などの形で表示情報を表示情報処理回路212に供給するように構成されている。
【0068】
表示情報処理回路212は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路などの周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKとともに駆動回路200Bへ供給する。駆動回路200Bは、走査線駆動回路、データ線駆動回路及び検査回路を含む。また、電源回路213は、上述の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する。
【0069】
次に、本発明に係る液晶表示パネルを適用可能な電子機器の具体例について図13を参照して説明する。
【0070】
まず、本発明に係る液晶表示パネルを、可搬型のパーソナルコンピュータ(いわゆるノート型パソコン)の表示部に適用した例について説明する。図13(a)は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。同図に示すように、パーソナルコンピュータ310は、キーボード311を備えた本体部312と、本発明に係る液晶表示パネルを適用した表示部313とを備えている。
【0071】
続いて、本発明に係る液晶表示パネルを、携帯電話機の表示部に適用した例について説明する。図13(b)は、この携帯電話機の構成を示す斜視図である。同図に示すように、携帯電話機320は、複数の操作ボタン321のほか、受話口322、送話口323とともに、本発明に係る液晶表示パネルを適用した表示部324を備える。
【0072】
なお、本発明に係る液晶表示パネルを適用可能な電子機器としては、図13(a)に示したパーソナルコンピュータや図13(b)に示した携帯電話機の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラなどが挙げられる。
【0073】
[各種の変形例]
また、本発明の電気光学装置は、パッシブマトリクス型の液晶表示パネルだけではなく、アクティブマトリクス型の液晶表示パネル(例えば、TFT(薄膜トランジスタ)やTFD(薄膜ダイオード)をスイッチング素子として備えた液晶表示パネル)にも同様に適用することが可能である。また、液晶表示パネルだけでなく、エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置、プラズマディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、フィールド・エミッション・ディスプレイ(電子放出表示装置)、サーフェス・コンダクション・エレクトロン・エミッタ・ディスプレイ(Surface-Conduction Electron-Emitter Display)などの各種の電気光学装置においても本発明を同様に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のカラーフィルタ基板の平面図である。
【図2】図1に示すカラーフィルタ基板のドット部分の平面図及び断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態のカラーフィルタ基板の平面図である。
【図4】図3に示すカラーフィルタ基板のドット部分の平面図及び断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態のカラーフィルタ基板の平面図である。
【図6】図5に示すカラーフィルタ基板のドット部分の平面図及び断面図である。
【図7】カラーフィルタ基板の変形例におけるドット部分の平面図である。
【図8】カラーフィルタ基板の他の変形例を示す平面図である。
【図9】本発明のカラーフィルタ基板を利用した液晶表示パネルの構成を示す断面図である。
【図10】本発明のカラーフィルタ基板の製造工程を示す工程図である。
【図11】本発明のカラーフィルタ基板を備える液晶表示パネルの製造方法を示す工程図である。
【図12】本発明に係る電子機器の実施形態における構成ブロックを示す概略構成図である。
【図13】本発明の実施形態に係る液晶表示パネルを適用した電子機器の例を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 反射膜(AL膜)
3 バンク層(区画層)
4 オーバーコート層(保護膜)
5 着色層 カラーフィルタ
5R 赤カラーフィルタ
5G 緑カラーフィルタ
5B 青カラーフィルタ
6 透明電極(ITO膜)
7 ブラックマスク
11 開口
12 島状バンク領域
21 インクジェットヘッド
22 ノズル
23 カラーフィルタ材料
24 保護膜材料(オーバーコート材料)
31 32 基板
33 シール材
34 液晶
35 37 位相差板
36 38 偏光板
39 バックライト

Claims (5)

  1. 一対の基板を備え、遮光領域によって囲まれた複数のドット部分に、光が透過可能な透過領域と、光を反射する反射層を有する反射領域と、を有する電気光学装置において、
    前記複数のドット部分は、それぞれ液滴材料で着色層が形成された着色された表示領域と、前記着色層が形成されない無着色の表示領域とを有し、
    前記複数のドット部分のうち、異なる色の前記着色層が形成された2つのドット部分の間の領域に形成された遮光領域と、
    当該遮光領域よりも広い面積を有し、当該遮光領域と重なる領域から当該遮光領域の両側の前記ドット部分に重なる領域にかけて形成され、2つの前記ドット部分に形成された前記着色層を区画する透明な区画層と、を有し、
    前記区画層は前記一対の基板のうち一方の基板に形成され、
    前記着色層は、前記一方の基板の、前記区画層に区画された領域の前記区画層と重ならない領域に配置され、
    前記着色層が形成された領域を前記ドット部分における前記着色された表示領域とし、
    前記区画層の前記遮光領域の幅よりも広い領域を前記ドット部分における前記無色の表示領域とし、
    前記反射層は、前記着色層及び区画層に対して観察側とは反対側に配置され、前記無着色の表示領域に平面的に重なる領域から前記着色された表示領域に平面的に重なる領域にわたって形成されるとともに前記着色された表示領域に平面的に重なる領域の内側に形成された開口を有し、前記ドット部分において前記開口領域に平面的に重なる領域が前記透過領域、前記開口領域に平面的に重なる領域以外の領域が前記反射領域であり、
    前記着色層における前記区画層に接する部分の前記一方の基板からの高さは、前記区画層の前記一方の基板からの高さよりも低いことを特徴とする電気光学装置。
  2. 前記区画層は、前記ドット部分の周辺領域上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
  3. 前記区画層は、前記周辺領域の周囲4辺のうち少なくとも対向する2辺における前記周辺領域上に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
  4. 前記複数のドット部分それぞれに平面的に重なるように設けられた第1の電極と、前記第1の電極に対向するように設けられた第2の電極と、を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置を表示部として備えた電子機器。
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