JP4482775B2 - ロータリパーカッションドリル用ワイヤラインコア採取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤の状態を実際にコアで採取するためのワイヤラインコア採取装置に係り、特にコアビット周辺部における地層の土壌汚染調査に適したコア採取装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ワイヤラインコア採取装置は、図6に示すようになっている。即ち、10はアウタチューブアセンブリで、図7に示すアウタチューブ11の先端にコアビット1が螺着され、これでコアを切削するようになっている。また20はインナチューブアセンブリで図8の(a)(b)に示され、インナチューブ21の先端にインナリング2,3が螺着され、ここを経て採取されたコアがコアチューブ21a内に収容されるようになっている。図8の(a)にはコアが抜け落ちないようにコアトラップ4が装着されているが、(b)にはない。図6は左半分にコアトラップ4がない構造、右半分にコアトラップ4が装着された構造が示されている。インナチューブアセンブリ20は図6に示すように、アウタチューブアセンブリ10にその先端まで挿入され、その際にはラッチ22が拡開してアウタチューブアセンブリ10に係止される。
【0003】
そして、地上の掘削機にて回転、給進されるが、この時、先端のコアビット1は回転、給進する一方、インナリング2,3が先端に装着されたコアチューブ21aは、コアバレヘッド21bに内装されているベアリング(図示せず)に連結されているので、回転せず、コアビット1で切削された棒状のコアはインナリング2,3の開口からインナチューブ21aに収容される。
【0004】
前記コアの採取時には、掘削流体(掘削液の場合が多い)が図6に矢印で示すようにインナチューブアセンブリ20とアウタチューブアセンブリ10との隙間を通りコアビット1(従来のものを示す)の放出孔1aから出るようになっている。コアチューブ21aにコアが採取されると、地上よりワイヤに取り付けられた図示しないオーバショット(キャッチャー)を挿入して、オーバショット先端のラッチをインナチューブアセンブリ20の基端のスピア23に係合させ、ワイヤを地上から引張るとインナチューブアセンブリ20のラッチ22が閉止するので、引続きワイヤを引揚げると、インナチューブアセンブリ20は地上へ引揚げられる。
【0005】
図4は従来のコアビット1を示すが、これは先端の円環状面1bは外周の一部がテーパ面1cで、その他は平坦な面1dで形成され、コアビット1の先端に平坦部1eを残して軸線方向前方へ傾斜した掘り屑排出用の溝1fが後方へ向って4本設けられていた。溝1fの傾斜αはコアビット1の外側に対し鋭角(この図の場合10度)で軸線の方向に直線に形成され、そしてこの溝1fの底には軸線方向に直角よりも前方に向けた掘削流体の放出孔1aが設けられていた。そして、試料であるコアが貫入する試料採取孔1hの直径はカッタチップ1iの内接円直径より少し大きかった。
【0006】
さらに、インナリング2(図5に詳細を示す)外径とコアビット1との間には僅かな嵌合隙dがあり、掘り屑侵入防止のため掘削流体を掘削面に放出する通路になっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、従来のコア採取装置は、コアビット1の掘削流体の放出孔1aが掘削のための円環状面1bに近く、かつ掘り屑排出用の溝1fを介して直接円環状面1bに掘削流体が放出されるため、試料であるコアを採取すべき地層に掘削流体が放出されるので、コアを採取すべき地層に掘削流体が浸透してしまい、揮発性や揮水性の汚染物質を保存することができなかった。
【0008】
また、試料採取孔1hに掘削のための円環状面1bが近いため、掘削流体が浸透し易いだけでなく、掘削流体の影響を受けた掘り屑がコアチューブ21aに取り込まれることがあり、汚染物質の状態保存上好ましくなかった。
【0009】
さらに、インナリング2,3外径とコアビット1との間の嵌合隙d(図6)から掘削流体が円環状面1b(掘削面)に放出されるため、試料(コア)採取すべき地層に掘削流体が浸透してしまい汚染物質の状態を保存することができなかった。
【0010】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、採取すべき地層に掘削流体の影響を与えることなく、汚染物質を含むコアを採取することができるコア採取装置を提供せんとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、アウタチューブ内にインナチユーブが着脱可能に挿入され、前記アウタチューブ先端にはコアビットが、前記インナチユーブ先端にはインナリングが、それぞれ取り付けられるロータリパーカッションドリル用ワイヤラインコア採取装置において、前記コアビットの先端部は、掘削すべき円環状面が少なくとも2段の円環状面で形成され、前記インナリングの先端は、前記コアビット先端の円環状面の内径が形成するコア入口にコアビット先端の円環状面よりコアビット基端側且つコアビット基端側の円環状面より先端側に位置した状態で嵌入されており、前記コアビットのビット径を有するビット胴体外周の円筒面には複数本のスパイラル状の溝が設けられ、前記コアビットの外周面には、前記インナリングとコアビットとの嵌合隙に連通する放出孔が設けられ、前記放出孔は、前記コアビットの軸線と直角方向から後方へ向う間の所定の角度で前記スパイラル状の溝底の途中に開口することを特徴とする。
【0012】
上記のようなロータリパーカッションドリル用ワイヤラインコア採取装置において、前記先端の円環状面には、この円環状面の内径ないし内径近くから軸線に対し後方に向って鋭角に複数本の溝が設けられていることが好ましく、また、前記コアビットとインナリングとの嵌合隙の掘削面への連通を遮断するシール部材が前記インナリングの円筒形外周の先端付近に装着されていることが好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のコアビットに本発明のインナリングが嵌入された状態を示し、図2は本発明のコアビットの図、図3は本発明のシール部材を有するインナリングを示す。コアビット30は、図6では従来のコアビット1の代りにアウタチューブ11の先端に螺着される。従って図7に示すアウタチューブ11の先に螺着される。コアビット30は、図1、図2に示すように、先端部は掘削すべき円環状面を、少なくとも2段の円環状面31,32で形成され(地盤の状態により3段以上にしても良い)、それぞれの凸形の円環状面31,32にはチップ33,34が植設されている。チップ33はボタン形、34はインナカッタ形である。
【0014】
そして、先端の円環状面31の内径31aは採取すべき試料であるコア(図示せず)の外径を切削するチップ34の内接円と同じである。但し僅かに大きい内径にしても良い。そして、先端の円環状面31からは、これにより掘削されて発生した掘り屑を後方へ排出するため、内径ないし内径近くから軸線に対し後方に向って鋭角に4本の溝35が設けられている。また、ビット胴体37外周の円筒面には、回転力により掘り屑が後方にスムーズに排出されるように、4本のスパイラル状の溝36が設けられ、この溝36の底の途中には、それぞれ放出孔37aが軸線と直角に設けられている。但し、この放出孔37aは軸線から後方へ向うように設けても良い。また、これらの溝の本数は2本以上であれば良い。
【0015】
放出孔37aが直角か、後方へ向けて設けられていることにより、掘削流体は地層の掘削面へ流れずに掘り屑を溝36にそってスムーズに後方へ運ぶ。図3に示すようにインナリング40は、これを経てコアチューブ21a(図6)にコアを収容するもので、その先端は、コアビット30先端の先端の円環状面31の内径31aに近接した状態で嵌入され、円筒形の外周の先端付近にはシール部材41が装着され、図1に示すインナリング40とコアビット30との嵌合隙dから先端の円環状面31の掘削面へ掘削流体が侵入しないようになっている。本実施形態ではシール部材としてOリングを用いた例を示した。
【0016】
但し、この侵入量は少ないので、場合によっては本発明のコアビット30として従来と同じシール部材が装着されていないインナリング2を用いても良い。また、コアビット30の先端の円環状面31の高さHと円環状面31の外径Dとの比H/D(図2)は1より小さい方が掘り屑の排出のためには好ましい。本発明のコア採取装置を用いたコア採取の工程は「従来の技術」で説明したのと同じである。
【0017】
【発明の効果】
以上詳細に説明した本発明によれば下記のような効果を奏するものである。
(1)流体の放出孔が掘削面から遠く、かつ、従来のように直接先端の掘削面である円環状面に放出孔を有する掘り屑排出用の溝が通じてないので、直接溝を介して流体が掘削面に放出されることがなく、従って試料であるコアを採取すべき地層に掘削流体が浸透せず、揮発性や揮水性の汚染物質に掘削流体が影響を与えることなくコアを採取することができる。
【0018】
(2)ビットの形状が、掘削すべき円環状面を少なくとも2段に分けて配列しているので、先端の掘削面である円環状面の面積が従来より小さく、コアが導入される円環状面の内径付近に発生する掘り屑が少ない。従来のビットの溝は掘削面である先端の円環状面の内径に近くに平坦部を残した位置から後方へ向って設けられているが、本発明のビットの先端の掘削面に至る溝は内径ないし内径の近くから後方へ向って設けられているので、掘り屑がインナチューブに取り込まれることがなく、掘り屑が汚染地盤及びコアの物質に影響を与えることがない。
【0019】
(3)掘り屑排出用の溝がスパイラル状であるため、回転力によって掘り屑が後方へ排出され、掘り屑及び流体による地層の汚染物質に悪影響を与えることがない。
【0020】
(4)インナリング外径にシール部材が設けてあるので、嵌め合いへの掘り屑の侵入がない。このため、インナリングとコアビットによるかみこみが防止され、インナチューブアセンブリの引き抜きが阻害されることがない。また、インナチューブアセンブリとアウタチューブアセンブリとの隙間を経てインナリングとコアビットの隙間から掘削面へ掘削流体が出ることがないので、地層の汚染物質に影響を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示し、インナリングがコアビットに嵌入された状態を示す1/2切断の断面図である。
【図2】 本発明の一実施の形態を示すコアビットの図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は一部の断面図をそれぞれ示す。
【図3】 本発明の一実施の形態を示すインナリングの図で、(a)は(b)のA−A線断面図、(b)は1/2切断した断面図を示す。
【図4】 従来のコアビットの図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は断面図をそれぞれ示す。
【図5】 従来のインナリングの図で、(a)は平面図、(b)は1/2切断した断面図を示す。
【図6】 ワイヤラインコア採取装置の説明図である。
【図7】 アウタチューブの断面図である。
【図8】 インナチューブアセンブリの一部断面図で、(a)はコアトラップ装着形の全体の断面図、(b)はコアトラップを使用しない形の先端部の断面図をそれぞれ示す。
【符号の説明】
2,3,40 インナリング
10 アウタチューブアセンブリ
11 アウタチューブ
20 インナチューブアセンブリ
21 インナチューブ
30 コアビット
31,32 円環状面
31a 内径
33,34 チップ
35,36 溝
37 胴体
37a 放出孔
41 シール部材
Claims (3)
- アウタチューブ内にインナチユーブが着脱可能に挿入され、前記アウタチューブ先端にはコアビットが、前記インナチユーブ先端にはインナリングが、それぞれ取り付けられるロータリパーカッションドリル用ワイヤラインコア採取装置において、
前記コアビットの先端部は、掘削すべき円環状面が少なくとも2段の円環状面で形成され、
前記インナリングの先端は、前記コアビット先端の円環状面の内径が形成するコア入口にコアビット先端の円環状面よりコアビット基端側且つコアビット基端側の円環状面より先端側に位置した状態で嵌入されており、
前記コアビットのビット径を有するビット胴体外周の円筒面には複数本のスパイラル状の溝が設けられ、
前記コアビットの外周面には、前記インナリングとコアビットとの嵌合隙に連通する放出孔が設けられ、
前記放出孔は、前記コアビットの軸線と直角方向から後方へ向う間の所定の角度で前記スパイラル状の溝底の途中に開口することを特徴とするロータリパーカッションドリル用ワイヤラインコア採取装置。 - 前記先端の円環状面には、この円環状面の内径ないし内径近くから軸線に対し後方に向って鋭角に複数本の溝が設けられたことを特徴とする請求項1記載のロータリパーカッションドリル用ワイヤラインコア採取装置。
- 前記コアビットとインナリングとの嵌合隙の掘削面への連通を遮断するシール部材が前記インナリングの円筒形外周の先端付近に装着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリパーカッションドリル用ワイヤラインコア採取装置。
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