JP4481442B2 - 層間接続構造を有する配線板の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は,層間接続構造を有する配線板の製造方法に関する。さらに詳細には,下層の層間接続穴の直上の位置にさらに上層の層間接続穴を配置した層間接続構造を有する配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
導体層と絶縁層とを積層してなる配線板では従来から,下層の層間接続穴の直上の位置にさらに上層の層間接続穴を配置するスタック構造が使用されている。その製造に当たっては一般的に,下層の層間接続穴を形成してからその内部を充填し,ふためっきを被せてから上層の層間絶縁層および導体層を積層し,上層の層間接続穴を形成する方法が採られている。ここで下層の層間接続穴の形成後にふためっきを形成するのは,上層の層間接続穴の形成のためのレーザ加工の際のストッパとするためである。
【0003】
このようにして形成されたスタック層間接続構造の1例を図9に示す。この例では,コア絶縁層80にスルーホールが形成されており,その側面および上下面にかけてスルーホールめっき層81が形成されている。そして内部は充填物82で充填されている。そして,スルーホールめっき層81のランド部分と充填物82とを覆うふためっき層83が形成されている。そしてそれらの上に,上層絶縁層84が積層されている。上層絶縁層84には,下層のスルーホールの直上の位置にレーザで穴が開けられており,そこにビアめっき層85が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,前記した従来の技術には,次のような問題点があった。すなわち,図9中に矢印Bで示す中間の導体層が,スルーホールめっき層81とふためっき層83との2層(使用材料によってはさらに銅箔が入った3層)となってしまう。このためその導体層の厚さが厚く,パターン加工の精度が低いのである。ふためっき層83の形成を省略すれば導体層はその分薄くできるが,別の問題がある。上層絶縁層84のレーザ穴開けの際に充填物82も深く加工されてしまい,図10に示すように凹み86ができてしまうのである。このため,後のめっき工程(ビアめっき層85の形成等)でめっき不着の問題が生じる。あるいは,めっき液等の液体が残留して腐食による信頼性低下を引き起こすこともある。
【0005】
本発明は,前記した従来の技術によるスタック構造の形成が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,中間の導体層を過度に厚くすることなく形成でき,ファインパターンを容易に実現できる配線板の層間接続構造を提供することにある。そしてそれとともに,ストッパなくしても下層の穴の充填物に大きな凹みができない製造方法およびそのための層間絶縁層の穴開け装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題の解決を目的としてなされた本発明に係る層間接続構造を有する配線板の製造方法は,第1穴が形成された第1絶縁層の第1穴の壁面と第1絶縁層の上面とに第1めっき層を形成する工程と,第1穴を充填物で充填して第1絶縁層の上面の上に第2絶縁層を形成する工程と,第2絶縁層にリングモードのレーザビームを照射して,第1穴の真上の位置に第1絶縁層の上面の第1めっき層およびその内側の充填物を平坦面として露出させる第2穴を形成する工程と,第2穴の壁面および露出させた充填物の上面を覆うとともに,第1絶縁層の上面の第1めっき層に直接に接する第2めっき層を形成する工程とを有するものである。
【0007】
本発明により製造された層間接続構造を有する配線板では,第1穴の壁面を覆う第1めっき層により,第1絶縁層の上下面間の導通が取られている。そして,第2穴の壁面および第1穴の充填物の上面を覆う第2めっき層により,第2絶縁層の上下面間の導通が取られている。第2絶縁層の下面はすなわち第1絶縁層の上面であるから,計3層の導体層間の導通が取られている。ここで,第2めっき層は,第1めっき層のランド部分に直接に接している。このことは,第1穴の充填物上にふためっき層が形成されていないことを意味する。よって,第1絶縁層と第2絶縁層との間の導体層は,ふためっき層がない分薄い。このためこの導体層は,ファインパターンの形成に適している。
【0008】
ここで第2穴は,第2絶縁層にリングモードのレーザビームを照射して形成されたものであることが望ましい。第2穴をリングモードのレーザビームで形成すると,第1穴の充填物があまり加工されない。このため,その充填物に凹みが生じて液溜まり箇所をなすことがないからである。
【0009】
また,本発明に係る層間接続構造を有する配線板の製造方法は,第1穴を有するとともにその周囲の表面に導電性のランド部分を有する第1絶縁層に対し,表面の上に第2絶縁層を積層し,第2絶縁層における,第1穴の直上の位置に第2穴を形成してランド部分およびその内側の充填物をほぼ平坦な面として露出させ,第2穴の壁面および充填物の上面を覆うとともにランド部分に直接に接する第2めっき層を形成する方法である。これにより,前述の層間接続構造を有する配線板が製造される。
【0010】
したがって第2穴の形成は,第2絶縁層にリングモードのレーザビームを照射することにより行うことが望ましい。そのためには,基板を保持する保持部と,基板にリングモードのレーザビームを照射するリングモードビーム照射手段とを有する層間絶縁層の穴開け装置を用いることが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施の形態は,内層に埋め込まれたスルーホール上に有底ビアホールを積み重ねてなるスタック構造の層間接続構造を有する配線板の製造方法である。
【0012】
本形態に係る配線板の層間接続構造は,図1に示す断面構造を有している。すなわち,コア絶縁層10が配線板のコア基板をなしている。そのコア絶縁層10には,スルーホール16が形成されている。スルーホール16の側面および上下面にかけてスルーホールめっき層11が形成されている。スルーホールめっき層11のうちコア絶縁層10の上下面上の部分を,ランド部という。スルーホール16の内部は絶縁性の樹脂12で充填されている。そして,コア絶縁層10の表裏面上に,上層絶縁層13,14が積層されている。これによりスルーホール16は,内層に埋め込まれた状態となっている。なお,スルーホール16の上下にふためっき層は形成されていない。
【0013】
そして上層絶縁層14には,スルーホール16の直上の位置にレーザで有底穴17が開けられており,そこにビアめっき層15が形成されている。ビアめっき層15は,有底穴17の底部および壁面を覆い,上層絶縁層14の上面に及んでいる。有底穴17の底部では,スルーホールめっき層11のランド部とビアめっき層15とが直接に接している。これにより,図1中に矢印A,B,Cで示す3層の導体層間の導通をとるスタック構造の層間接続構造をなしている。なお,有底穴17の底部で樹脂12は,ほぼ平坦な面をなしている。
【0014】
図1の層間接続構造では,矢印Bレベルの導体層が,ふためっき層との2重めっき層でなく,スルーホールめっき層11のみで構成されている。したがってこの導体層はあまり厚くないので,ファインパターンを精度よく形成することが可能である。また,有底穴17の底部で樹脂12が凹んでいないので,ビアめっき層15が不着を起こすこともなく良好に底部をも覆っている。また,めっき液等の残留による不具合が生じる余地もない。
【0015】
次に,図1の層間接続構造の製造方法について説明する。ここでは,図2に示す状態を出発状態として説明する。なお図2の状態は,コア基板10への貫通穴の形成,スルーホールめっきおよびそのパターニング,樹脂埋め込み,表裏の上層絶縁層の積層,といった公知技術により形成される。
【0016】
図2の状態の積層板に対してまず,レーザ加工により上層絶縁層14に有底穴17を開ける(図3)。すなわち,図4に示すように,レーザ穴開け機のテーブル30上に図2の状態の積層板31を載置し,位置決めした上でレーザ発信器32により積層板31にレーザビーム33を照射するのである。有底穴17を開ける位置は,スルーホール16の直上の位置である。加工の程度は,スルーホールめっき層11のランド部が露出する程度とする。このとき,加工のためのレーザビーム33として,図5に示す強度分布を有するいわゆるリングモードのレーザビームを用いる。言い換えると,レーザ発信器32は,リングモードに対応する光学系を備えたものである必要がある。そのようなレーザ発信器は,汎用品が各メーカから供給されている。リングモードのレーザビームは,ビームの中心軸では強度がさほど強くなく,中心軸からある程度離れたところが円形状に強度ピークをなす強度分布を有している。このため,有底穴17の中心が過度に加工されることがない。したがって,スルーホールめっき層11のランド部が露出するまでレーザビームを照射しても,樹脂12に凹みが生じないのである。
【0017】
もし,リングモードでなくシングルモードやトップハットモード(図8)のレーザビームを用いると,有底穴17の中心が過度に加工されて図10に示したような構造になってしまうのである。本実施の形態ではリングモードのレーザビームを用いることにより,このような事態を回避している。なお,好ましくは,レーザビームの強度ピーク円の径を,スルーホールめっき層11のランド部の内径から外径までの範囲内に調整して加工することが望ましい。リングモードのレーザビームは従来,溶接など熱処理はともかく穴開けには不向きであると考えられていた。しかしながら実は穴開けに適しているのである。
【0018】
そして,公知の無電解めっきおよび電気めっきによりビアめっき層15を形成する。これにより,図1に示した構造が得られる。このとき,有底穴17の底部で樹脂12が凹んでいないので,ビアめっき層15が不着を起こすこともなく良好に底部をも覆う。また,めっき液等の薬液が残留する余地もない。よって,残液によって後に周囲が腐食して不具合を生じることがなく,信頼性が高い。
【0019】
なお,穴17を開ける際,リングモードとはいえさほど顕著でない図6のような強度分布のレーザビームを用いてもよい。以下,図6のようなモードを弱リングモードといい,図5のようなモードを強リングモードという。弱リングモードのレーザビームを用いると,図7に示すように,有底穴17の底部で樹脂12がわずかに凹んだ構造となる。しかしこの程度の凹み具合ならば,ビアめっき層15の不着や液残り等の問題が生じることはない。
【0020】
以上詳細に説明したように本実施の形態では,リングモードのレーザビームにより上層絶縁層14を加工し,スルーホール16の直上の位置に有底穴17を形成することとしている。これにより,スルーホール16のふためっき(レーザ加工のストッパ)を形成しなくても,有底穴17の底部で樹脂12がほぼ平坦な面をなすようにしている。かくして,スルーホール16の直上に有底穴17をスタックした3層の層間接続構造において,中間の導体層(図1中矢印Bレベル)を必要以上に厚くしなくても済むようにしている。したがって,当該導体層においてファインパターンを形成できる配線板の層間接続構造およびその製造方法が実現されている。また,そのために用いる層間絶縁層の穴開け装置も実現されている。
【0021】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば本実施の形態では,埋め込みスルーホールの上に有底穴をスタックした構造に本発明を適用したものであるが,有底穴の上にさらに有底穴をスタックして構造に対しても適用可能である。本実施の形態ではまた,図1中矢印Bレベルの導体層が,スルーホールめっき層11のみで構成される構造としたが,銅箔とスルーホールめっき層とにより構成される構造でもよい。この場合矢印Bレベルの導体層は銅箔の分厚いものとなってしまうが,ふためっき層をも有する3層構造のものに比べればファイン化が可能である。また本実施の形態では,穴を充填する樹脂をエポキシ等の絶縁性樹脂としたが,レーザ加工されやすい樹脂系の銅ペースト等でも同様の効果を期待できる。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば,中間の導体層を過度に厚くすることなく形成でき,ファインパターンを容易に実現できる配線板の層間接続構造が提供されている。そしてそれとともに,ストッパなくしても下層の穴の充填物に大きな凹みができない製造方法およびそのための層間絶縁層の穴開け装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る層間接続構造の断面図である。
【図2】図1の層間接続構造の製造途上の状態を示す断面図である。
【図3】図2の状態に対しレーザビームで穴開けした状態を示す断面図である。
【図4】実施の形態で用いる穴開け機の概念図である。
【図5】リングモードのレーザビームの強度分布を示す図である。
【図6】弱リングモードのレーザビームの強度分布を示す図である。
【図7】弱リングモードのレーザビームにより形成した層間接続構造の断面図である。
【図8】シングルモードおよびトップハットモードのレーザビームの強度分布を示す図である。
【図9】従来の層間接続構造(ふためっきあり)の断面図である。
【図10】従来の層間接続構造(ふためっきなし)の断面図である。
【符号の説明】
10 コア絶縁層(第1絶縁層)
11 スルーホールめっき層(第1めっき層)
12 樹脂(充填物)
14 上層絶縁層(第2絶縁層)
15 ビアめっき層(第2めっき層)
16 スルーホール(第1穴)
17 有底穴(第2穴)
30 テーブル
33 レーザ発信器
Claims (1)
- 第1穴が形成された第1絶縁層の前記第1穴の壁面と前記第1絶縁層の上面とに第1めっき層を形成する工程と,
前記第1穴を充填物で充填するとともに前記第1絶縁層の上面の上に第2絶縁層を形成する工程と,
前記第2絶縁層にリングモードのレーザビームを照射して,前記第1穴の真上の位置に前記第1絶縁層の上面の第1めっき層およびその内側の充填物を平坦面として露出させる第2穴を形成する工程と,
前記第2穴の壁面および露出させた充填物の上面を覆うとともに,前記第1絶縁層の上面の第1めっき層に直接に接する第2めっき層を形成する工程とを有することを特徴とする層間接続構造を有する配線板の製造方法。
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JP2000194348A JP4481442B2 (ja) | 2000-06-28 | 2000-06-28 | 層間接続構造を有する配線板の製造方法 |
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JP2002016331A JP2002016331A (ja) | 2002-01-18 |
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