JP4480112B2 - 印刷版の製造方法並びにそれを用いて製造されたスクリーン印刷版及びグラビア印刷版 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷版の製造方法並びにそれを用いて製造されたスクリーン印刷版及びグラビア印刷版に関する。さらに詳しくは、本発明は、製版用のマスクフィルムを使用することなく、感光性版材に画像パターンを形成することにより印刷版を製造する方法並びにそれを用いて製造されたスクリーン印刷版及びグラビア印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、感光性版材(PS版等)に露光により画像パターンを形成して印刷版を製造する方法としては、従来からの製版用マスクフィルムを使用する方法に代わり、画像処理装置を用いて原図を読み込むと共にこれをX、Yの2値からなる画像データに変換し、これらのデジタルデータを利用することで、製版用マスクフィルムを用いずに選択露光を行い印刷版を製造する方法が各種提案されている。
【0003】
例えば、第1の方法としては、レーザー照射装置を用い、感光性版材に画像データに応じたレーザービームの点滅照射による選択露光を行なった後、現像し、画像パターンを形成して印刷版を製造する方法(例えば、特開平6−299894号に開示される。)、第2の方法としては、感光性版材に、遮光性物質としてワックスを画像データに応じて噴射装置等により塗布し、形成された遮光層を用いて選択露光を行なった後、現像し、画像パターンを形成して印刷版を製造する方法(例えば、特許第3022298号掲載公報に開示される。)、第3の方法としては、感光性版材に、遮光性インクを画像データに応じてインクジェット装置等により塗布し、形成された遮光層を用いて選択露光を行なった後、現像し、画像パターンを形成して印刷版を製造する方法(例えば特開平5−281748号及び特開平6−166162号に開示される。)を挙げることができる。
【0004】
しかしながら、前記第1の方法では、レーザービーム照射により画像形成可能な高感度の感光材料を用いて感光材層が形成された感光性版材を用いる必要があるので、感光性付与後の感光性版材の保存等には厳重な管理を行う必要があり、しかも前記レーザービーム照射に用いられるレーザー照射装置が非常に高価である等の問題がある。
前記第2の方法では、ワックスの貯蔵、塗布等における溶融を制御する必要がある。
さらに、前記第3の方法では、感光性版材における感光材層への遮光性インクの付着性が悪く、遮光性インクの滲みやはじき等により、付着した遮光性インクのドット径や形状が安定しないので、所要の画像パターンを精細に再現できず、これが印刷版における解像度(シャープさ)等の低下の原因となり易い。特に、遮光性インクが水性である場合は、塗布時の乾燥が遅く、しかも感光材層への吸収も遅いので感光性版材上での遮光性インクの垂れを生じやすく、したがって、インクジェット装置により遮光性インクを塗布する場合は、前記のような垂れを防止するため、噴射方向が下(垂直)方向に限定され、装置的にスペースをとってしまう等の問題が発生する。また、遮光性インクが油性である場合でも同様の問題点があり、また露光後の現像の際に遮光性インクが容易に剥離できず、現像不良を起こし易い等の問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、
(1)遮光性インクの感光性版材へのインク付着性を向上させることにより、安定且つ精細な画像パターンの再現を可能とする印刷版の製造方法を提供すること、
(2)遮光性インクとして水性のものを用いる場合であっても、インクの垂れの問題がなく、また水性現像を採用する場合であっても、剥離残りによる現像不良を起こさない印刷版の製造方法を提供すること、
(3)特にスクリーン印刷版やグラビア印刷版の製造に最適な製造方法を提供すること、及び
(4)前記製造方法により製造される高解像度で精細な画像を有するスクリーン印刷版、グラビア印刷版その他の印刷版を提供すること、
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題は本発明により解決することができる。
請求項1に記載の発明に係る印刷版の製造方法は、感光性版材の感光材層表面に遮光性インクを吸収、保持する透光性インク受容層を形成するインク受容層形成工程と、インク受容層形成工程後に感光性版材上のインク受容層表面に露光光を遮光する遮光性インクを付着させると共にそれによって遮光性インクの画像パターンを形成する遮光性物質付着工程と、遮光性物質付着工程後に感光性版材の感光材層を遮光性インクの画像パターンを介して露光する露光工程と、露光工程後に現像液を用いて感光性版材の感光材層を現像すると共にそれによって感光材層の画像パターンを形成する現像工程と、露光工程後で現像工程前に又は現像工程時に感光性版材上のインク受容層及び遮光性インクを除去するインク受容層等除去工程とからなり、前記インク受容層が、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアルコールを主体とする樹脂組成物やビニルアルコールとオレフィン又はスチレンと無水マレイン酸との共重合体、各種変性ポリビニルアルコール、カゼイン、澱粉、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、プルラン、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、アミノ基を有するアクリル系樹脂、四級化されたアミノ基を有するアクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、一部に架橋を有するアクリル系樹脂、ポリエチレンオキサイドとイソシアネートとの架橋物、カルボキシメチルセルロースとポリエチレンオキサイドとの混合物から選ばれた樹脂成分から形成されてなるものである。
【0007】
この製造方法によれば、感光性版材の感光材層表面に遮光性インクを吸収、保持する透光性インク受容層が形成され、遮光性インクは、滲みやはじきが小さく、径が比較的均一化され、形状が真円に近いドットで前記インク受容層表面に付着吸収されるので、露光マスクとしての機能を有する高解像度で精細な遮光性インクの画像パターンが感光材層上に形成され、それによって、製版用マスクフィルム等の中間材料を用いずに高解像度で精細な画像パターンを有する印刷版を製造することができ、コストの低減を図ることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明に係る印刷版の製造方法は、前記遮光性物質付着工程において、遮光性インクをインクジェット装置によりインク受容層表面に付着させるようにしたものである。これによれば、露光マスクとしての画像パターンの原図を画像処理装置により画像データに変換し、これを利用してインクジェット装置を制御すると共に感光性版材におけるインク受容層表面に遮光性インクの画像パターンを形成することができるので、高解像度で精細な画像パターンを有する印刷版を短時間で製造することができ、コストの低減及び必要に応じた製版(オンディマンド製版)が可能となる。
【0009】
請求項3に記載の発明に係る印刷版の製造方法は、前記遮光性インクが水性であるものであり、これによれば、水性現像時に感光材層と共に遮光性インクを除去でき、剥離残りによる現像不良を起こすことがない。
【0010】
請求項4に記載の発明に係る印刷版の製造方法は、前記インク受容層が吸水性の樹脂を含むものである。これによれば、インク受容層の吸水性が高くなるため、遮光性インクが水性である場合にインクの垂れの問題がなく、遮光性インクの噴射方向を水平方向にすることができるので小スペース化が図れ、しかも水性現像時に感光材層と共にこれらを除去できるので剥離残りによる現像不良を起こすこともない。
【0011】
請求項5に記載の発明に係る印刷版の製造方法は、前記感光性版材がスクリーン印刷版用感光性版材又はグラビア印刷版用感光性版材であるものであり、これにより、高解像度で精細な印刷が可能なスクリーン印刷版又はグラビア印刷版を最適下に製造することが可能になる。
【0012】
請求項6に記載の発明に係るスクリーン印刷版及び請求項7に記載の発明に係るグラビア印刷版は、前記のような印刷版の製造方法により製造されたものであり、これらの印刷版は、何れも、正確にデジタル画像が再現された画像パターンを有するので、高解像度で精細な印刷が可能である。
【0013】
請求項8に記載の発明に係るグラビア印刷版は、グラビア印刷版用感光性版材を用いた前記印刷版の製造方法により形成された感光材層の画像パターンからなるレジスト層をエッチングレジストとして、感光性版材におけるグラビア版基材表面の金属層をエッチングすることにより製造されたものである。これによれば、エッチングレジストとしての前記感光材層の画像パターンからなるレジスト層が高解像度で精細に感光性版材上に形成されると共にそれを用いてグラビア版基材表面の金属層にエッチングが施されるので、高解像度で精細な印刷が可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る印刷版の製造方法及それを用いて製造された印刷版の実施の形態について、特にスクリーン印刷版とグラビア印刷版の場合を取り上げ、図面を参照しながら説明する。前記説明は、ネガ型レジストを使用した場合について行われるが、本発明ではポジ型レジストを用いた場合についても同様に適用し得ることは言うまでもない。
【0015】
図1はスクリーン印刷版の製造方法に使用される感光性版材の処理前における断面図、図2は図1に示す感光性版材を使用したスクリーン印刷版の製造方法におけるインク受容層形成工程後の断面図、図3は図1に示す感光性版材を使用したスクリーン印刷版の製造方法における遮光性物質付着工程後の断面図、図4は図1に示す感光性版材を使用したスクリーン印刷版の製造方法における露光工程後の断面図、図5は図1に示す感光性版材を使用したスクリーン印刷版の製造方法における現像工程後の断面図である。
【0016】
また、図6はグラビア印刷版の製造方法に使用される感光性版材の処理前における断面図、図7は図6に示す感光性版材を使用したグラビア印刷版の製造方法におけるインク受容層形成工程後における断面図、図8は図6に示す感光性版材を使用したグラビア印刷版の製造方法における遮光性物質付着工程後の断面図、図9は図6に示す感光性版材を使用したグラビア印刷版の製造方法における露光工程後の断面図、図10は図6に示す感光性版材を使用したグラビア印刷版の製造方法における現像工程後の断面図、図11は図6に示す感光性版材を使用したグラビア印刷版の製造方法におけるエッチング工程後の断面図、図12は図6に示す感光性版材を使用したグラビア印刷版の製造方法におけるレジスト層剥離後の断面図である。
なお、本発明に係る印刷版の製造方法の適用は、以下に説明するスクリーン印刷版とグラビア印刷版に限定されるものではない。
【0017】
<感光性版材の準備>
スクリーン印刷版製造用の感光性版材1には、図1に示すように、スクリーン版基材である、版枠等に張られる等したスクリーン紗2に感光性材料により感光材層3を形成してなるものが使用される。前記スクリーン紗の種類として、例えば、シルク、ポリエステル、ナイロン、カーボン、ステンレス鋼、アモルファス金属、タングステンの線材やこれらの線材の上に金属メッキやセラミクス皮膜処理を施して耐膨潤性等の各種特性を高めた線材を使用したものを例示することができる。
【0018】
グラビア印刷版製造用の感光性版材11には、図6に示すように、グラビア版基材12に感光性材料により感光材層13を形成してなるものが使用される。前記グラビア版基材12として、特に限定されるものではないが、図示例のように、鉄、非鉄系金属又は合金製等のシリンダ基体12aの表面に、エッチングにより版面が形成される銅めっき層12b等を施したロール(理解を容易にするために平板状に展開して図示する。)を例示することができる。
【0019】
前記感光材層の形成に使用する感光性材料3、13としては、可視光、紫外線、遠紫外線等の放射線による光反応を利用する感光性レジストであって、現像可能なものを例示することができる。
ネガ型レジストとしては、例えば、スチルバゾリウム基やNメチロールアクリルアミドを付加してなる感光性PVAからなるレジスト、ジアゾ樹脂とPVAからなるレジスト、重クロム酸塩とPVAからなるレジスト、ゼラチンと重クロム酸塩からなるレジスト、グルーと重クロム酸塩からなるレジスト、アクリルモノマーと光重合開始剤からなるレジスト、アクリル系ポリマー、アクリルモノマー及び光重合開始剤からなるレジスト、ナイロン、アクリルモノマー及び光重合開始剤からなるレジスト、ポリケイ皮酸ビニルと増感剤からなるレジスト、感光性ポリイミドからなるレジスト等を挙げることができる。
また、ポジ型感光性レジストとしては、ノボラック樹脂とα−ナフトキノンジアジド化合物からなるレジスト、ノボラック樹脂とο−ナフトキノンジアジド化合物からなるレジスト等を挙げることができる。
【0020】
<インク受容層形成工程>
感光性版材1、11に形成された感光材層3、13表面には、図2及び図7に示すように、インク受容層4、14が形成される。
前記インク受容層4、14は、主として、後述する遮光性インクを吸収、保持する機能を有するものである。前記インク受容層の使用により、その表面に付着した遮光性インクの滲みやはじきが小さくなり、ドットの径が必要以上に大きくなったり、小さくなったりせず、しかもドットの形状が真円に近くなるので、優れた解像度の画像パターンを形成することが可能である。また、遮光性インクとして水性のものを使用した場合においても、短時間で水が吸収され、乾燥されるので、インクジェット装置による遮光性インクの噴射方向が水平方向であっても、インクの垂れの問題が生じない。さらに、露光後の現像工程では、遮光性インクをインク受容層ごと剥離できるので、遮光性インクの残存による現像不良の問題も生じない。
【0021】
前記インク受容層は、特に樹脂成分から形成され、そのような樹脂成分として、膨潤作用等によりインクを吸収、保持する機能に優れると共に、感光材層に対する密着性の良好なものを選択することが好ましい。
前記インク受容層を形成する樹脂成分としては、既述のように、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアルコールを主体とする樹脂組成物やビニルアルコールとオレフィン又はスチレンと無水マレイン酸との共重合体、ポリビニルアルコールにメタクリルアミドをグラフト化した樹脂等の各種変性ポリビニルアルコール、カゼイン、澱粉、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、プルラン、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、アミノ基を有するアクリル系樹脂、四級化されたアミノ基を有するアクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、一部に架橋を有するアクリル系樹脂、ポリエチレンオキサイドとイソシアネートとの架橋物、カルボキシメチルセルロースとポリエチレンオキサイドとの混合物から選択される。
【0022】
特に、後述する遮光性インクが水性である場合には、インク受容層として吸水性を有する樹脂成分を用いることが好ましく、特にPVAや変性PVA、或いは一部に架橋を有するアクリル樹脂、例えばアクリル酸重合体系の吸水性高分子等が好適である。また、前記水性の遮光性インクにスルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性基を有する遮光性染料等が使用されている場合には、インク受容層として、前記遮光性染料等と結合し得るカチオン性水溶性高分子を含有させた樹脂成分を用いることが特に有効である。
【0023】
感光材層3、13表面への前記インク受容層4、14の形成方法は、特に限定されるものではなく、公知、公用の方法により形成できる。それは、例えば、感光性版材1、11における感光材層3、13表面にインク受容樹脂の溶液を塗布し、熱乾燥させる等の方法であってもよい。
【0024】
また、インク受容層4、14の除去方法も特に限定されず、例えば現像工程前に水洗工程を導入し、インク受容層をその上の遮光性インクと共に除去してもよく、或いは現像工程で、インク受容層と遮光性インクを感光材層と共に同時に現像除去することもできる。
このように、インク受容層の除去に際しては、遮光性インクとインク受容層を感光材層ごと剥離できるので、遮光性インクの残存による現像不良の問題も生じない。
特に、感光材層用のレジストが水や希アルカリ水溶液等による水性現像を採用する場合であっても、親水性のインク受容層を用いることで、遮光性インクを現像工程時に感光材層と共に除去でき、遮光性インクの剥離残りによる現像不良を起こすこともない。
【0025】
<遮光性物質付着工程>
感光性版材1、11におけるインク受容層4、14表面には、図3及び図8に示すように、遮光性インク5、15を用いて、露光マスクとしての機能を有する画像パターンが形成される。
【0026】
前記遮光性インク5、15は、特に限定されるものではなく、例えばカーボンブラック、顔料、染料等を遮光性成分とし、露光光を遮断することで感光材層の光による反応を防止できる機能を有するものを好適に使用することができる。また、前記遮光性インクは、例えば米国特許第5,938,826号に開示されるようなワックスエマルジヨンを主成分とした遮光性のホットメルトインクであってもよい。
特に前記遮光性インクが水性である場合は、水性現像時に感光材層と共に遮光性インクを除去できるので、遮光性インクの残存による現像不良を起こすことがない。
【0027】
インク受容層4、14上に、前記遮光性インク5、15を用いて画像パターンを形成する方法は、特に限定されるものではないが、インクジェット装置を用いる方法が好適である。
前記インクジェット装置を用いる方法は、例えば、露光マスクとしての画像パターンの原図を画像処理装置により画像データに変換し、これを利用してインクジェット装置を制御すると共に感光性版材におけるインク受容層上に遮光性インクの画像パターンを形成する方法である。前記インクジェット装置としては、通常のインクジェット装置であればよく、例えば遮光性インクをノズルから液滴粒子として噴出させ、そのような粒子の噴出を電気的に制御して画像パターンを描くものである。
【0028】
遮光性インク5、15を従来のように感光性版材1、11の感光材層3、13表面に直接付着させるのではなく、本工程のように感光材層3、13上に形成したインク受容層4、14表面に付着吸収させることにより、既述のように、付着した遮光性インクの滲みやはじきが小さくなり、ドットの径が必要以上に大きくなったり、小さくなったりせず、しかもドットの形状が真円に近くなるので、優れた解像度の画像パターンを形成することが可能になる。
【0029】
<露光工程>
感光性版材1、11における感光材層3、13が、図4及び図9に示すように、遮光性物質を含む前記遮光性インク5、15により形成された画像パターンを露光マスクとして選択露光され、それによって、露光された感光材層3a、13aと遮光された感光材層3b、13bとが形成される。
露光工程は特に限定されるものではなく、感光材層の形成に使用されたレジストの種類に応じ、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線等の所要の放射線照射装置により行うことができる。
【0030】
<現像工程及びインク受容層等除去工程>
感光性版材1、11における選択露光された感光材層3a、3b及び13a、13bが、図5及び図10に示すように現像され、前記感光材層の内、露光された感光材層3a、13aが残存し、遮光された感光材層3b、13bがインク受容層4、14及び遮光性インク5、15と一緒に除去されている。
前記現像工程も特に限定されるものではなく、公知、公用の方法にて行うことができる。現像液は、感光材層の形成に使用されたレジストの種類に応じ、水、希アルカリ、希酸等による水性現像や有機溶剤による現像が採用される。
前記工程において、水性現像を採用する場合には、親水性のインク受容層を用いることで、前記のように感光性版材上のインク受容層及び遮光性インクを現像時に感光材層と共に除去でき、それによって前記の各成分の剥離残りによる現像不良を防止することができる。なお、既述のように、インク受容層を、現像工程前に水洗工程等を設けて、遮光性インクと共に除去してもよい。
【0031】
<その他の工程>
スクリーン印刷版の製造は、図5に示す前記現像工程及びインク受容層等除去工程の終了により完成し得る。得られたスクリーン印刷版には、現像後に感光材層3aが残存してなる非開口部7aと、現像により感光材層3bが除去されてなる開口部7bとが形成され、それらによる画像パターンは、所望の画像が正確に再現され、高解像度で精細なものとなっている。このため、前記スクリーン印刷版を使用し、その開口部を介して印刷インクが被印刷物に転写された際には、精細な印刷物を得ることができる。
【0032】
また、グラビア印刷版の場合には、図10に示す現像工程及びインク受容層等除去工程の後、さらに、グラビア版基材12上に形成された感光材層13aの画像パターンからなるレジスト層16をエッチングレジストとして用い、図11に示すように、銅めっき層12b表面を、例えば塩化第二鉄溶液等のエッチング液を用いてエッチングすると共に該表面に所望の孔群を形成するエッチング工程と、エッチング工程後に、図12に示すように、前記レジスト層16を剥離除去するレジスト層剥離工程を経て、銅グラビア印刷版を製造してもよい。なお、必要に応じて、エッチング工程の前にエッチングレジストとしての前記レジスト層16を加熱硬化させる等して耐エッチング液性の向上を図ってもよい。
得られた銅グラビア印刷版には、レジスト層16のために銅めっき層12bがエッチングされずに残存してなる凸部17aと、レジスト層16がないために銅めっき層12bがエッチングされてなる凹部17bとが形成され、それらによる画像パターンは、所望の画像が正確に再現され、高解像度で精細なものとなっている。
【0033】
【発明の効果】
請求項1に係る発明による印刷版の製造方法では、感光性版材の感光材層表面に遮光性インクを吸収、保持する透光性インク受容層が形成され、遮光性インクは、滲みやはじきが小さく、径が比較的均一化され、形状が真円に近いドットで前記インク受容層表面に付着吸収されるので、露光マスクとしての機能を有する遮光性インクの高解像度で精細な遮光性インクの画像パターンが感光性版材の感光材層上に形成され、それによって、製版用マスクフィルム等の中間材料を用いずに高解像度で精細な画像パターンを有する印刷版を製造することができ、コストの低減を図ることができる。
【0034】
請求項2に係る発明による印刷版の製造方法では、露光マスクとしての画像パターンの原図を画像処理装置により画像データに変換し、これを利用してインクジェット装置を制御すると共に感光性版材におけるインク受容層上に遮光性インクの画像パターンを形成することができるので、高解像度で精細な画像パターンを有する印刷版を短時間で製造することができ、コストの低減及び必要に応じた製版(オンディマンド製版)が可能となる。
【0035】
請求項3に係る発明による印刷版の製造方法では、水性現像時に感光材層と共に遮光性インクを除去でき、剥離残りによる現像不良を起こすことがない。
請求項4に係る発明による印刷版の製造方法では、インク受容層の吸水性が高くなるため、遮光性インクが水性である場合にインクの垂れの問題がなく、遮光性インクの噴射方向を水平方向にすることができるので小スペース化が図れ、しかも水性現像時に感光材層と共にこれらを除去できるので剥離残りによる現像不良を起こすこともない。
【0036】
請求項5に係る発明による印刷版の製造方法では、高解像度で精細な印刷が可能なスクリーン印刷版又はグラビア印刷版を最適下に製造することが可能になる。請求項6に係る発明によるスクリーン印刷版及び請求項7に係る発明によるグラビア印刷版では、正確にデジタル画像が再現された画像パターンを有するので、高解像度で精細な印刷が可能である。
【0037】
請求項8に係る発明によるグラビア印刷版では、エッチングレジストとしての前記感光材層の画像パターンからなるレジスト層が高解像度で精細に感光性版材上に形成されると共に、それを用いてグラビア版基材表面の金属層に高解像度で精細な画像パターンのエッチングが施されるので、高解像度で精細な印刷が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクリーン印刷版の製造方法に使用される感光性版材の処理前における断面図である。
【図2】図1に示す感光性版材を使用したスクリーン印刷版の製造方法におけるインク受容層形成工程後の断面図である。
【図3】図1に示す感光性版材を使用したスクリーン印刷版の製造方法における遮光性物質付着工程後の断面図である。
【図4】図1に示す感光性版材を使用したスクリーン印刷版の製造方法における露光工程後の断面図である。
【図5】図1に示す感光性版材を使用したスクリーン印刷版の製造方法における現像工程後の断面図である。
【図6】グラビア印刷版の製造方法に使用される感光性版材の処理前における断面図である。
【図7】図6に示す感光性版材を使用したグラビア印刷版の製造方法におけるインク受容層形成工程後の断面図である。
【図8】図6に示す感光性版材を使用したグラビア印刷版の製造方法における遮光性物質付着工程後の断面図である。
【図9】図6に示す感光性版材を使用したグラビア印刷版の製造方法における露光工程後の断面図である。
【図10】図6に示す感光性版材を使用したグラビア印刷版の製造方法における現像工程後の断面図である。
【図11】図6に示す感光性版材を使用したグラビア印刷版の製造方法におけるエッチング工程後の断面図である。
【図12】図6に示す感光性版材を使用したグラビア印刷版の製造方法におけるレジスト層剥離後の断面図である。
【符号の説明】
1 感光性版材
3 感光材層
3a 露光された感光材層
3b 遮光された感光材層
4 インク受容層
5 遮光性インク
Claims (8)
- 感光性版材の感光材層表面に遮光性インクを吸収、保持する透光性インク受容層を形成するインク受容層形成工程と、インク受容層形成工程後に感光性版材上のインク受容層表面に露光光を遮光する遮光性インクを付着させると共にそれによって遮光性インクの画像パターンを形成する遮光性物質付着工程と、遮光性物質付着工程後に感光性版材の感光材層を遮光性インクの画像パターンを介して露光する露光工程と、露光工程後に現像液を用いて感光性版材の感光材層を現像すると共にそれによって感光材層の画像パターンを形成する現像工程と、露光工程後で現像工程前に又は現像工程時に感光性版材上のインク受容層及び遮光性インクを除去するインク受容層等除去工程とからなり、前記インク受容層が、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアルコールを主体とする樹脂組成物やビニルアルコールとオレフィン又はスチレンと無水マレイン酸との共重合体、各種変性ポリビニルアルコール、カゼイン、澱粉、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、プルラン、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、アミノ基を有するアクリル系樹脂、四級化されたアミノ基を有するアクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、一部に架橋を有するアクリル系樹脂、ポリエチレンオキサイドとイソシアネートとの架橋物、カルボキシメチルセルロースとポリエチレンオキサイドとの混合物から選ばれた樹脂成分から形成されてなる印刷版の製造方法。
- 前記遮光性物質付着工程において、遮光性インクをインクジェット装置によりインク受容層表面に付着させるようにした請求項1に記載の印刷版の製造方法。
- 前記遮光性インクが水性である請求項1又は2に記載の印刷版の製造方法。
- 前記インク受容層が吸水性の樹脂を含む請求項1乃至3の何れか1項に記載の印刷版の製造方法。
- 前記感光性版材がスクリーン印刷版用感光性版材又はグラビア印刷版用感光性版材である請求項1乃至4の何れか1項に記載の印刷版の製造方法。
- 請求項1乃至5の何れか1項に記載の印刷版の製造方法により製造されたスクリーン印刷版。
- 請求項1乃至5の何れか1項に記載の印刷版の製造方法により製造されたグラビア印刷版。
- 請求項5に記載のグラビア印刷版用感光性版材を用いた印刷版の製造方法により形成された感光材層の画像パターンからなるレジスト層をエッチングレジストとして、感光性版材におけるグラビア版基材表面の金属層をエッチングすることにより製造されたグラビア印刷版。
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