JP4479215B2 - ガラス管の製造方法およびこれに用いられるガラス管の製造装置 - Google Patents

ガラス管の製造方法およびこれに用いられるガラス管の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス管の製造方法およびこれに用いられるガラス管の製造装置に関する。
近年、光通信技術の進歩に伴い、光ファイバの利用が高まってきている。光ファイバの主な製造方法としては、VAD法(Vapor phase Axial Deposition:気相軸付法)、OVD法(Outer Vapor phase Deposition:外付け法)、MCVD法(Modified Chemical Vapor phase Deposition:内付法)がある。
光ファイバの製造に際しては、通常はプリフォームと呼ばれる成形体を高速で線引きすることによって所望の口径の光ファイバを得るという方法がとられている。従って、光ファイバの形状は、プリフォームの形状および品質を引き継いでしまうため、プリフォームの形成に際しては、極めて高精度の形状および品質制御が求められている。
特に、高ビットレート化、波長多重度の高度化により、情報伝達容量の高密度化が高まっており、光ファイバの偏波分散の低減が強く望まれている。
例えばMCVD法は、ガラス管からなる肉付け用パイプ(クラッド用部材)の内壁にコア材となるガラス微粒子(すす)を堆積する方法であるが、このガラス管はそのままクラッド用部材として用いられるため、非円率および偏心率が小さく、肉厚が均一で、特性の優れたものである必要がある。非円率または偏肉の大きなガラス管(クラッド用部材)から作製された光ファイバは、偏波分散(PMD)が大きな値となってしまう。
そこで、円柱状の石英ガラスロッドを回転させながら、先端を加熱軟化させ、ロッド先端面の中心部に穿孔部材の先鋭端を係合させてこの先鋭端の周縁を穿孔部材に対して回転し、引き抜く方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この穿孔部材を用いた穿孔方法は、例えば図9に示すように、石英製のガラスロッド101を用意し、出口側をダミーシリンダー123で支持し回転しながら、ガラスロッド101の先端面の中心部に駒131等を備えた穿孔部材130をあて、駒131の先端の周囲のガラスロッド101を加熱手段140のヒータ支持台142にとりつけられたヒータ(発熱体)141で加熱軟化させる。
ここで、ガラスロッド101の両端は、第1の送りテーブル111のチャック112および、ダミーシリンダー123を介して第2の送りテーブル121のチャック122に取付けられる。また、これら第1および第2の送りテーブル111,121は、それぞれ入口側基台110および出口側基台120にとりつけられる。また、この穿孔部材130の駒131は、支持ロッド133を介して固定部材135によって出口側基台120に片持ち支持されている。
また、この他、加熱軟化させた石英ガラスインゴットに黒鉛プラグ等の穿孔部材を回転しつつ圧入して開口する際、開口部分を排気減圧しつつ開口する石英ガラスシリンダの減圧開口方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。 この減圧開口方法によれば、開口中のプラグと開けられた孔との隙間が減少し、この隙間が減少することにより、プラグの位置が安定し、開口の精度が向上する。
特許第2798465号公報 特開2002−12433号公報
しかしながら、このような従来の開口方法では、偏心がなく、肉厚が均一な品質のガラス管を安定して得ることは困難であるという問題があった。
例えば、穿孔部材を用いた穿孔方法は、ガラスロッドの先端面に、片持ち支持された穿孔部材の駒を押し付ける方法であるため、ガラスロッドの抵抗により支持ロッド133が座屈による撓みや振動を発生し易く、駒の先端すなわち、自由端側は、中心をはずれたりするため、中心が必ずしも一定位置になっていない場合がある。更に、開口が進むにつれて中心が外れてくることになり、孔が偏心し易いという問題もある。
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、偏心率が小さく、肉厚が均一なガラス管の製造方法およびこれに用いられるガラス管の製造装置を提供することを目的とする。
本発明のガラス管の製造方法では、出発材料であるガラス管材料を加熱し、前記ガラス管材料に軟化領域を形成し、前記軟化領域に含まれる前記ガラス管材料の孔に成形部材を当接せしめるとともに、前記成形部材を前記ガラス管材料に対して相対的に移動しつつ、前記ガラス管材料の内径を所望のサイズに成形するガラス管の製造方法であって、
前記成形部材を前記ガラス管材料を貫通した支持部材の一端部に該ガラス管材料に対する移動方向先方向きの力を受けるように取り付けるとともに、前記成形部材の前記ガラス管材料に対する移動方向後方側の端に調心部材を着脱可能に取り付ける工程と、前記調心部材を使用して前記ガラス管材料と前記成形材料とを調心する工程と、前記調心部材に対して前記成形部材を押す力を作用させずに前記ガラス管材料を加熱して該ガラス管材料と前記成形部材とを相対的に移動させる工程と、を備えることを特徴とする。
本発明のガラス管の製造方法では、出発材料であるガラス管材料を加熱し、前記ガラス管材料に軟化領域を形成し、前記軟化領域に含まれる前記ガラス管材料の孔に成形部材を当接せしめるとともに、前記成形部材を前記ガラス管材料に対して相対的に移動しつつ、前記ガラス管材料の内径を所望のサイズに成形するガラス管の製造方法であって、
前記成形部材を前記ガラス管材料を貫通した支持部材の一端部に該ガラス管材料に対する移動方向先方向きの力を受けるように取り付けるとともに、前記成形部材の前記ガラス管材料に対する移動方向後方側の端に、調心部材を着脱可能に取り付ける工程と、前記調心部材を使用して前記ガラス管材料と前記成形材料とを調心する工程と、前記調心する工程の終了後に前記成形部材から前記調心部材を取り外す工程と、前記ガラス管材料を加熱して該ガラス管材料と前記成形部材とを相対的に移動させる工程と、を備えることを特徴とする
本発明のガラス管の製造方法では、出発材料であるガラス管材料を加熱し、前記ガラス管材料に軟化領域を形成し、前記軟化領域に含まれる前記ガラス管材料の孔に成形部材を当接せしめるとともに、前記成形部材を前記ガラス管材料に対して相対的に移動しつつ、前記ガラス管材料の内径を所望のサイズに成形するガラス管の製造方法であって、
前記ガラス管材料を貫通した支持部材の一端部に取り付けられた前記成形部材が、該支持部材により前記成形部材の前記ガラス管材料に対する移動方向先方向きの力を受けるとともに、前記ガラス管材料の軟化領域の外周に外部成型部材を当接して前記ガラス管材料の外径を所望サイズに成形することを特徴とする。
本発明のガラス管の製造装置では、出発材料であるガラス管材料を加熱する加熱手段と、前記ガラス管材料の孔に当接する成形部材と、前記成形部材を支持する支持部材と、前記支持部材及び前記成形部材を前記ガラス管材料に対して相対的に移動させる移動手段と、を備えたガラス管の製造装置において、
前記支持部材が、前記ガラス管材料を貫通して前記成形部材の前記ガラス管材料に対する移動方向先方側に取り付けられるとともに、前記ガラス管材料の軟化領域の外周に当接して前記ガラス管材料の外径を所望のサイズに成型する外部成型部材を備えることを特徴とする。
望ましくは、前記成形部材の前記ガラス管材料に対する移動方向後方側に、前記ガラス管材料と前記成形部材とを調心する調心部材が取り付けられることを特徴とする。
以上説明したように、本発明のガラス管の製造方法およびこれに用いられるガラス管の製造装置によれば、ガラス管材料を貫通して取り付けられた支持部材によって成形部材にガラス管材料に対する移動方向先方向きの力をかけることにより、ガラス管材料の内径を所望のサイズに成形する。
そこで、片持ち支持された穿孔部材の駒を押し付ける方法のように支持部材が座屈による撓みや振動を発生して成形部材が中心をはずれたりすることがなく、ガラス管の非円や偏肉を抑制でき、高品質のガラス管を安定して得ることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るガラス管の製造方法を実施するためのガラス管の製造装置を概念的に示しており、図2はその要部拡大図である。
本発明の第1の実施の形態に係るガラス管の製造方法は、出発材料であるガラス管材料1の孔内を貫通した支持部材32の一端部に成形部材31を取付け、この成形部材31を前記ガラス管材料1の孔に当接した状態で、このガラス管材料1を加熱し、前記支持部材32により前記成形部材31に前記ガラス管材料1に対する移動方向先方向きの力をかけることによって、前記孔の内径を拡大しながらこのガラス管材料1と成形部材31とを相対的に移動させて所望の孔径のガラス管を形成するものである。尚、本実施形態においては、成形部材31を固定し、ガラス管材料1を移動させている。
この出発材料としてのガラス管材料1は、例えば引き抜きロッドのまわりにOVD法またはVAD法によりガラス微粒子を堆積し、微粒子堆積体を形成し、この微粒子堆積体を冷却して引き抜きロッドを引き抜き、中空体を形成し、この中空体を焼結して得たものである。
第1の実施の形態に係るガラス管の製造装置では、図2に要部拡大図を示すように、ガラス管材料1を加熱手段40で順次加熱しながら、軟化された領域に、成形部材31を押し当てることによって、ガラス管材料1の内径を拡大、成形するものである。
この成形部材31は、カーボン等の材質から成り、ガラス管材料1の開口縁に当接して孔を拡大する円錐台状の当接部31aを先端側(図2中、左端側)に備えると共に、ガラス管材料1の孔内を貫通した支持部材32の一端部に取付けられて支持されている。そして、ガラス管材料1を10rpmで回転するとともに、成形部材31を支持部材32とともに、これと同じ方向に回転数7rpmで回転しつつ孔の拡径を行う。
又、図3に示すように、成形部材31は、成形部材31の当接部31aに形成された螺子穴37に支持部材32の先端に突出して形成された螺子部38を螺合することにより、カーボンやセラミック等の材質から成る丸棒状の支持部材32と着脱可能に構成されている。
そして、この製造装置では、入口側基台10と、出口側基台20と、これらの間に位置して発熱体41を支持するヒータ支持台42を具備した加熱手段40と、入口側基台10及び出口側基台20上に配置された搬送手段及びガラス管支持部を具備した移動手段と、を備えている。支持部材32の他端部は、回転可能に入口側固定部材36に固定されている。また、入口側固定部材36は、回転駆動可能に入口側基台10に固定されている。
一方、ガラス管材料1の両端は、それぞれダミーパイプ13および23を介して、搬送手段である第1の送りテーブル11および第2の送りテーブル21に固定され、前記成形部材31と同軸上を、軸方向に所望の速度で矢印A方向に移動されるようになっている。ここで、第1の送りテーブル11および第2の送りテーブル21は、モータ(図示せず)を備えており、同期して(但し、等速度とは限らない)移動されるようになっている。
ここで、拡径終了端側のダミーパイプ13は、第1のチャック12を介して第1の送りテーブル11に固定されている。また拡径開始端側のダミーパイプ23は、第2のチャック22を介して第2の送りテーブル21に固定されている。また、ガラス管支持部としてのこれら第1のチャック12および第2のチャック22は、モータに接続されており、同期して(等速度であってもなくても良い)回転せしめられる。この第1および第2のチャックの回転により、それぞれダミーパイプ13および23を介してガラス管材料1は所定の回転速度で回転される。
入口側固定部材36は、モータ(図示せず)を備えており、該モータによって支持部材32を介して成形部材31を回転させる。
加熱手段40は、ガラス管材料1を誘導加熱によって部分的に加熱するもので、ガラス管材料1を囲繞するように配置したカーボンチューブからなる発熱体41を有している。この発熱体41はヒータ支持台42に固定されている。
次に、このガラス管の製造装置を用いて、所望の孔径を有するガラス管(石英パイプ)を製造する方法について説明する。
先ず、入口側基台10に固定された入口側固定部材36に、予め成形部材31が取り外された支持部材32の他端部を固定する。このとき、入口側基台10上の第1の送りテーブル11は、入口側基台10の左端まで移動されているが、チャック12は開放状態に維持され、チャック12内を支持部材32が貫通している。また、出口側基台20上の第2の送りテーブル21は、出口側基台20の右端まで移動されている。
次に、第2の送りテーブル21の第2のチャック22にダミーパイプ23を介して出発材料としてのガラス管材料1の一端を固定し、ガラス管材料1の他端側から、左方向に第2の送りテーブル21を移動していく。
そして、第1のチャック12の位置までガラス管材料1の他端が到達すると、ガラス管材料1が水平となるように高さ調整を行い、ダミーパイプ13を介して第1の送りテーブル11上の第1のチャック12に固定する。
この時、支持部材32はガラス管材料1の孔内を貫通していく。そして、前記ガラス管材料1を貫通した先端部の螺子部38には、螺子穴57を螺合して成形部材31が固定される。
入口側固定部材36は、支持部材32を介して成形部材31の支持方向を3次元的に調整可能なように構成されており、このとき、入口側固定部材36を微調整しながら、ガラス管材料1の外径中心と、支持部材32及び成形部材31の回転中心軸とが一致するように、支持位置を決定する。
この例では、ガラス管材料1を固定し、このガラス管材料1の外径中心に合わせて成形部材31の位置を調整したが、成形部材31の位置を調整して水平となるように固定し、この後さらにガラス管材料1の拡径開始側端部をダミーパイプ23を介して第2の送りテーブル21のチャック22に装着し、成形部材31とガラス管材料1とが同軸上に保持されるようにガラス管材料1の位置を調整して固定してもよい。
次に、加熱手段40をオンにする。つまり、コイル43に通電して発熱体41に誘導電力を生じさせて該発熱体41を発熱させる。そして、ガラス管材料1の先端面中心に成形部材31の当接部31aを当接させ、その当接領域近傍がガラス軟化点(例えば、1600℃)となるように加熱する。
そして更に、モータを駆動し、ガラス管材料1及び成形部材31を同軸的にそれぞれ1〜50rpm、1〜20rpmで回転させるとともに、第1及び第2の送りテーブル11,21をそれぞれ所望の速度で矢印A方向へ移動させる。
その際、ガラス管材料1および成形部材31は同一方向に、それぞれ所定の速度で回転される。又、第1及び第2の送りテーブル11,21の移動速度は、入口側固定部材36に取付けられたロードセル(図示せず)で測定される支持部材32の張力の値をフィードバックすることより適宜制御することができる。例えば、一定速度(ベース速度)で移動する第2の送りテーブル21を支持部材32の張力の増減に応じて減速又は加速し、第1の送りテーブル11の移動速度を第2の送りテーブル21の移動速度の一定比率(成形比)でコントロールする。
このようにして、ガラス管材料1は、第1及び第2のチャック12,22を介して回転せしめられつつ、加熱手段40により加熱されて軟化される。
図2に示すように、成形部材31は、この軟化している部分(軟化領域)内で、ガラス管材料1の孔に当接する。ガラス管材料1が図2中左から右へ移動するときに、軟化されたガラスが成形部材31によって押し広げられる。こうして、ガラス管材料1の孔は漸次拡径される。
かかる方法によれば、前記ガラス管材料1を貫通した支持部材32の一端部に取り付けられた前記成形部材31は、該支持部材32により中心軸に沿って引っ張られることにより、ガラス管材料1に対して相対的に移動しつつ、該ガラス管材料1の内径を所望のサイズに成形する。
そこで、拡径中に成形部材31に移動方向先方向きの力をかけて引っ張ることによりガラス管材料1に対して相対的に移動させる支持部材32は、片持ち支持されて押し付けられる従来の支持ロッド33(図9、参照)のような座屈による撓みや振動による位置ズレを生じる虞がないので、ガラス管材料1の孔を押し広げながら移動する成形部材31がガラス管材料1の外径中心をはずれたりすることなく、精度よく位置を保持される。その結果、ガラス管の非円率や偏肉を抑制でき、高品質のガラス管を安定して得ることが可能となる。
なお、前記第1の実施の形態では、成形部材31もガラス管材料1も両方が回転するようにしたが、いずれか一方でもよいし、また回転しなくてもよい。更に、ガラス管材料1を移動させずに、支持部材32及び成形部材31を移動させても良い。この場合も、成形部材31に移動方向先方向きの力がかかる。
また、成形部材、先端支持部材及び後端支持部材等の形状についても適宜変更可能であり、これら支持部材としては中実部材又は中空部材のいずれを用いても良い。
更に、ダミーパイプの内径を目的とするガラス管の孔径にほぼ等しくすれば、ガラス管材料とダミーパイプとが同心になるようにすることで、成形部材を挿通するときに、成形部材の中心軸とガラス管材料の中心軸とを一致させることが容易となり、偏心率を小さくすることがさらに容易となる。
加えて、出発材料であるガラス管材料は、上記方法以外の方法で形成されたものであってもよい。
(第2の実施の形態)
また、前記第1の実施の形態では、螺子穴37に支持部材32の螺子部38を螺合することにより、支持部材32と着脱可能に構成された成形部材31を用いたが、本第2の実施の形態では、図4に断面拡大図を示すように、成形部材51に貫通形成した挿通孔57に支持部材52を挿通し、該支持部材52の一端部に設けたフランジ状のストッパ部58で成形部材51の後端側面(図4中、右端側面)を係止して抜け止めとすることで、該支持部材52の一端部に成形部材51を一体とするように構成しても良い。
前記成形部材51は、成形するガラス管の内径に合わせて適宜外径の異なるものと交換が容易であり、支持部材52はサイズを変更する必要がないので共用できる。
尚、互いに対向する成形部材51の後端側面とストッパ部58との間には、それぞれ円錐状のテーパ嵌合部53及び59が設けられており、該成形部材51は支持部材52に対する径方向のガタつきが防止されると共に、自動的にセンタリングが可能とされる。
(第3の実施の形態)
図5は本発明の第3の実施の形態に係るガラス管の製造方法を実施するための装置を概念的に示しており、図6及び図7はその要部拡大図及び要部分解断面図である。尚、上記第1の実施の形態に係るガラス管の製造装置と略同様の構成部材については、同符号を付して詳細な説明を省略する。
本発明の第3の実施の形態に係るガラス管の製造方法は、出発材料であるガラス管材料1の孔内を貫通した支持部材62の一端部に成形部材61を取付けると共に、該成形部材61の前記ガラス管材料1に対する移動方向後方側(図5中、右方側)に丸棒状の調心部材63を着脱可能に取り付け、この成形部材61を前記ガラス管材料1の孔に当接させた状態で調心した後、このガラス管材料1を加熱し、孔の径を拡大しながら、このガラス管材料1と成形部材61とを相対的に移動させることにより、所望の孔径のガラス管を形成するものである。
第3の実施の形態に係るガラス管の製造装置では、図6に要部拡大図を示すように、ガラス管材料1を加熱手段40で順次加熱し、軟化された領域に、調心した成形部材61を押し当てることによって、ガラス管材料1の内径を拡大するものである。
この成形部材61は、ガラス管材料1の開口縁に当接して孔を拡大する円錐台状の当接部61aを先端側(図6中、左端側)に備えると共に、ガラス管材料1の孔内を貫通した支持部材62の一端部に取付けられて支持されている。更に、成形部材61の後端側(図6中、右端側)には、支持部材62の一端部に形成されたフランジ状のストッパ部64を介して調心部材63が着脱可能に取り付けられており、該調心部材63によってガラス管材料1の外径中心に調心される。そして、ガラス管材料1を10rpmで回転するとともに、成形部材61を支持部材62及び調心部材63とともに、これと同じ方向に回転数7rpmで回転しつつ孔の拡径を行う。
又、本実施形態の成形部材61は、図7に示すように、貫通形成した挿通孔67に支持部材62を挿通し、該支持部材62の一端部に設けたストッパ部64で成形部材61の後端側面(図7中、右端側面)を係止して抜け止めとすることで
、該支持部材62の一端部に成形部材61を一体とするように構成されている。
更に、前記ストッパ部64は、調心部材63の先端部に形成されたほぞ穴65に嵌合されることで、支持部材62と調心部材63とを一体にすることができる。
そして、このガラス管の製造装置では、入口側基台10と、出口側基台20と、これらの間に位置して発熱体41を支持するヒータ支持台42を具備した加熱手段40と、入口側基台10及び出口側基台20上に配置された搬送手段及びガラス管支持部を具備した移動手段と、を備えている。支持部材62の他端部及び調心部材63の後端部は、それぞれ回転可能に入口側固定部材36及び出口側固定部材35に固定される。
また、入口側固定部材36は、回転駆動可能に入口側基台10に固定されており、モータ(図示せず)によって支持部材62を介して成形部材61を回転させる。出口側固定部材35は、出口側基台20に移動可能に設けられている。
次に、このガラス管の製造装置を用いて、所望の孔径を有するガラス管を製造する方法について説明する。
先ず、出口側基台20の右端まで移動されている出口側固定部材35に、成形部材61と共に支持部材62に一体とされた調心部材63の後端部を固定する。このとき、入口側基台10上の第1の送りテーブル11は、入口側基台10の左端まで移動されている。また、第2の送りテーブル21は、出口側基台20の拡径開始位置に固定されているが、チャック22は開放状態に維持され、チャック22内を調心部材63が貫通している。
そして、第1の送りテーブル11に第1のチャック12を介して出発材料としてのガラス管材料1の一端を固定し、支持部材62の他端部から、矢印A方向に第1の送りテーブル11を移動していく。そして、第2のチャック22の位置までガラス管材料1の他端が到達すると、ガラス管材料1が水平となるように高さ調整を行い、ダミーパイプ23を介して第2の送りテーブル21上の第2のチャック22に固定する。
このとき、支持部材62はガラス管材料1内を貫通していく。そして、出口側固定部材35を移動させ、入口側固定部材36を支持部材62の他端部まで移動し、該入口側固定部材36で固定する。
入口側固定部材36は、支持部材62を介して成形部材61の支持方向を3次元的に調整可能なように構成されており、該入口側固定部材36を微調整しながら、ガラス管材料1と、支持部材62及び成形部材61の中心軸とが一致するように、位置を決定する。
更に、出口側固定部材35は、調心部材63を介して成形部材61を2次元的に調心可能なように構成されており、調心部材63の径方向位置を微調整しながら、ガラス管材料1と、成形部材61の中心軸とが一致するようにセンタリングするものであり、調心部材63を軸方向に移動可能とする。
そして、加熱手段40をオンにし、ガラス管材料1の先端面中心に成形部材61の当接部61aを当接させ、その当接領域近傍がガラス軟化点(例えば、1600℃)となるように加熱する。
そして、モータを駆動し、ガラス管材料1及び成形部材51を同軸的にそれぞれ10rpm、7rpmで回転させるとともに、第1および第2の送りテーブル11,21をそれぞれ所望の速度で矢印A方向へ移動させる。
その際、ガラス管材料1および成形部材61は同一方向に、それぞれ所定の速度で回転される。又、第1及び第2の送りテーブル11,21の移動速度は、少なくとも入口側固定部材36に取付けられたロードセル(図示せず)で測定される支持部材62の張力の値をフィードバックすることより適宜制御される。
又、出口側固定部材35は、調心部材63を軸方向移動可能に保持しているので、該調心部材63に対して成形部材61を押す力を作用させることはなく、該成形部材61には実質的に支持部材62の引張り力のみが作用する。
尚、出口側固定部材35がチャック式だと思わぬ力がかかるので、単に置くだけでも良い。或いは、出口側固定部材35の移動をフリーにすることでも構わない。
このようにして、ガラス管材料1は、第1及び第2のチャック12,22を介
して回転せしめられつつ、加熱手段40によって加熱されるとともに軟化され、図
6に示したように、成形部材61の当接部61aによって漸次拡径される。
そして、成形部材61がガラス管材料1のダミーパイプ13側に貫通した後、支持部材62のストッパ部64と調心部材63のほぞ穴65との嵌合を外し、調心部材63をガラス管材料1から抜き取る。
かかる方法によれば、前記ガラス管材料1を貫通した支持部材62の一端部に取り付けられた前記成形部材61は、該支持部材62により中心軸に沿って引っ張られることにより、ガラス管材料1に対して相対的に移動しつつ、該ガラス管材料1の内径を所望のサイズに成形する。
そこで、拡径中に成形部材61に移動方向先方向きの力をかけて引っ張ることによりガラス管材料1に対して相対的に移動させる支持部材62は、座屈による撓みや振動による位置ズレを生じる虞がないので、ガラス管材料1の孔を押し広げながら移動する成形部材61がガラス管材料1の外径中心をはずれたりすることなく、精度よく位置を保持される。その結果、ガラス管の非円率や偏肉を抑制でき、高品質のガラス管を安定して得ることが可能となる。
更に、前記成形部材61は、成形開始時に調心部材63により調心されるので、ガラス管材料1の先端面中心に正確に当接することができる。
そこで、支持部材62に張力が作用していない際、該支持部材62が撓みを生じて成形部材61がガラス管材料1の外径中心をはずれたりすることがないように支持部材62の径を太くして曲げ剛性を上げる必要がなくなり、軽量化が可能となる。
なお、前記第3の実施の形態では、調心終了後に、調心部材63を取り付けたまま支持部材62及び成形部材61をガラス管材料1に対して相対的に移動させる場合について説明したが、調心終了後に、成形部材から調心部材を取り外してから支持部材62及び成形部材61をガラス管材料1に対して相対的に移動させることもできる。
又、調心終了後にも調心部材を取り付けたまま支持部材及び成形部材をガラス管材料に対して相対的に移動させる場合には、成形部材に設けた複数の吸引口に連通する貫通孔を調心部材に設け、該貫通孔を真空ポンプに連結することによって、ガラス管材料の孔内壁と成形部材の側面との間を減圧しながら成形部材を移動させることができるので、拡径中の成形部材と孔内壁との隙間が減少して成形部材の位置が安定し、更に精度良く位置を保持することができる。
(第4の実施の形態)
前記第1乃至3の実施の形態では、ガラス管材料1の内側から拡径するのみであるが、図8に示すようにガラス管材料1の外径を規制するように軟化領域内に外部成型部材70を設けても良い。
本第4の実施の形態では、外部成型部材70は加熱手段の発熱体41の内側に取付けられている。ガラス管材料1の軟化領域の外周に当接して前記ガラス管材料1の外径を所望のサイズに成型する外部成型部材70としては、所望の間隔を持つように平行に配設された平板、断面円形の穴を有するダイス、ガラス管の形状に合わせた断面円弧の溝が付された板などが適用可能である。
本第4の実施の形態によれば、特にガラス管材料1の外径寸法の制御がなされることにより、偏肉がなくかつ偏心のない孔をもつガラス管を形成することが可能となる。
特に、加熱温度が1800℃を越える場合には、ガラス管が柔らかくなり孔径拡大時に外径寸法が変動し易いため、上述したように成形冶具を用いることによって、外径を規制しながら拡径を行うことにより、より確実にガラス管の形状を維持することができる。1800℃を越えない場合は、必ずしも外部成型部材を用いる必要はない。
なお、上記した各実施の形態における製造装置は、本発明に係るガラス管の製造方法を実施するための製造装置の一例であって、ガラス管の製造装置としては、他の構造のものを使用してもよいことはいうまでもない。
又、上述した各成形部材には、カーボンを用いるのが望ましい。あるいは、シリコンカーバイド(SiC)、ボロンナイトライド(BN)、アルミナで構成されたものあるいは表面がこれらの材料で被覆されたものでもよい。また、成形部材の当接部は直接ガラスと接触するため、その表面を高純度化処理した材料を用いるのが望ましい。
更に、本発明における軟化領域とは、必ずしもガラスの軟化点以下となっている領域に限定されるものではなく、成形に際してガラス管材料が、変形しうる状態に軟化していればよい。
本発明の第1の実施の形態のガラス管の製造装置を示す図である。 図1に示したガラス管の製造装置の要部拡大図である。 図2に示した成形部材の断面図である。 本発明の第2の実施の形態の成形部材を示す図。 本発明の第3の実施の形態のガラス管の製造装置を示す図である。 図5に示したガラス管の製造装置の要部拡大図である。 図6に示した成形部材の断面図である。 本発明の第4の実施の形態のガラス管の製造装置の要部を示す図である。 従来例のガラス管の製造装置を示す図である。
符号の説明
1 ガラス管材料
10 入口側基台
11 第1の送りテーブル(移動手段)
12 チャック
13 ダミーパイプ
20 出口側基台
21 第2の送りテーブル(移動手段)
22 チャック
23 ダミーパイプ
31 成形部材
32 支持部材
36 入口側固定部材
40 加熱手段

Claims (5)

  1. 出発材料であるガラス管材料を加熱し、前記ガラス管材料に軟化領域を形成し、前記軟化領域に含まれる前記ガラス管材料の孔に成形部材を当接せしめるとともに、前記成形部材を前記ガラス管材料に対して相対的に移動しつつ、前記ガラス管材料の内径を所望のサイズに成形するガラス管の製造方法であって、
    前記成形部材を前記ガラス管材料を貫通した支持部材の一端部に該ガラス管材料に対する移動方向先方向きの力を受けるように取り付けるとともに、前記成形部材の前記ガラス管材料に対する移動方向後方側の端に調心部材を着脱可能に取り付ける工程と、
    前記調心部材を使用して前記ガラス管材料と前記成形材料とを調心する工程と、
    前記調心部材に対して前記成形部材を押す力を作用させずに前記ガラス管材料を加熱して該ガラス管材料と前記成形部材とを相対的に移動させる工程と、
    を備えることを特徴とするガラス管の製造方法。
  2. 出発材料であるガラス管材料を加熱し、前記ガラス管材料に軟化領域を形成し、前記軟化領域に含まれる前記ガラス管材料の孔に成形部材を当接せしめるとともに、前記成形部材を前記ガラス管材料に対して相対的に移動しつつ、前記ガラス管材料の内径を所望のサイズに成形するガラス管の製造方法であって、
    前記成形部材を前記ガラス管材料を貫通した支持部材の一端部に該ガラス管材料に対する移動方向先方向きの力を受けるように取り付けるとともに、前記成形部材の前記ガラス管材料に対する移動方向後方側の端に、調心部材を着脱可能に取り付ける工程と、
    前記調心部材を使用して前記ガラス管材料と前記成形材料とを調心する工程と、
    前記調心する工程の終了後に前記成形部材から前記調心部材を取り外す工程と、
    前記ガラス管材料を加熱して該ガラス管材料と前記成形部材とを相対的に移動させる工程と、
    を備えることを特徴とするガラス管の製造方法。
  3. 出発材料であるガラス管材料を加熱し、前記ガラス管材料に軟化領域を形成し、前記軟化領域に含まれる前記ガラス管材料の孔に成形部材を当接せしめるとともに、前記成形部材を前記ガラス管材料に対して相対的に移動しつつ、前記ガラス管材料の内径を所望のサイズに成形するガラス管の製造方法であって、
    前記ガラス管材料を貫通した支持部材の一端部に取り付けられた前記成形部材が、該支持部材により前記成形部材の前記ガラス管材料に対する移動方向先方向きの力を受けるとともに、
    前記ガラス管材料の軟化領域の外周に外部成型部材を当接して前記ガラス管材料の外径を所望サイズに成形することを特徴とするガラス管の製造方法。
  4. 出発材料であるガラス管材料を加熱する加熱手段と、前記ガラス管材料の孔に当接する成形部材と、前記成形部材を支持する支持部材と、前記支持部材及び前記成形部材を前記ガラス管材料に対して相対的に移動させる移動手段と、を備えたガラス管の製造装置において、
    前記支持部材が、前記ガラス管材料を貫通して前記成形部材の前記ガラス管材料に対する移動方向先方側に取り付けられるとともに、前記ガラス管材料の軟化領域の外周に当接して前記ガラス管材料の外径を所望のサイズに成型する外部成型部材を備えることを特徴とするガラス管の製造装置。
  5. 前記成形部材の前記ガラス管材料に対する移動方向後方側に、前記ガラス管材料と前記成形部材とを調心する調心部材が取り付けられることを特徴とする請求項4に記載のガラス管の製造装置。
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