JP4340584B2 - ガラス管の製造方法およびガラス管の製造装置 - Google Patents

ガラス管の製造方法およびガラス管の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス管の製造方法およびガラス管の製造装置に関する。
近年、光通信技術の進歩に伴い、光ファイバの利用が高まってきている。光ファイバの
主な製造方法としては、VAD法(Vapor phase Axial Deposition:気相軸付法)、OV
D法(Outer Vapor phase Deposition:外付け法)、MCVD法(Modified Chemical Va
por phase Deposition:内付法)がある。
光ファイバの製造に際しては、通常はプリフォームと呼ばれる成形体を高速で線引きす
ることによって所望の口径の光ファイバを得るという方法がとられている。従って、光フ
ァイバの形状は、プリフォームの形状および品質を引き継いでしまうため、プリフォーム
の形成に際しては、極めて高精度の形状および品質制御が求められている。
特に、高ビットレート化、波長多重度の高度化により、情報伝達容量の高密度化が高ま
っており、光ファイバの偏波分散の低減が強く望まれている。
例えばMCVD法は、ガラス管からなる肉付け用パイプの内壁にガラス微粒子(すす)
を堆積する方法であるが、このガラス管はそのまま用いられるため、非円率および偏心率
が小さく、肉厚が均一で、特性の優れたものである必要がある。非円率または偏肉の大き
なガラス管から作製された光ファイバは、偏波分散(PMD)が大きな値となってしまう
そこで、出発材料であるガラス素材を加熱して軟化領域を形成し、前記軟化領域に穿孔
部材(成形治具)を挿入することによって、所望サイズの内径を有するガラス管を成形す
るガラス管の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この穿孔部材を用いた穿孔方法は、例えば図5に示すように、出発材料である円柱状の
石英ガラスロッド101の先端(図中右端)と、片持ち支持された支持棒103の先端(
図中左端)に装備された穿孔部材105の先端とを互いに中心軸線を揃えて突き合わせ、
石英ガラスロッド101の先端側から加熱手段(ヒータ)107により加熱軟化させなが
ら穿孔部材105を石英ガラスロッド101に徐々に挿入させることで、石英ガラスロッ
ド101を所望サイズの内径を有した石英ガラス管に成形するものである。
図5に示した装置では、石英ガラスロッド101の先端に接合されたダミーシリンダ1
09と石英ガラスロッド101の基端101aとが、それぞれ送りテーブル111,11
3のチャックに把持されて両持ち状態に支持されている。
各送りテーブル111,113は、石英ガラスロッド101の中心軸線方向に移動可能
であり、これら送りテーブル111,113の移動によって、石英ガラスロッド101が
支持棒103に対して中心軸線方向に移動し、穿孔部材105の挿入を実現する。また、
各送りテーブル111,113には、把持した石英ガラスロッド101をその中心軸線回
りに回転させる回転駆動機構を内蔵している。
支持棒103は、棒支持台115のチャックに基端(図中右端)が把持されて片持ち状
態に支持されている。また、棒支持台115は、支持棒103を回転させる回転駆動機構
を内蔵しており、その下の基台117に固定されている。
そこで、上述したガラス管の製造装置では、石英ガラスロッド101の先端を加熱軟化
させた状態で、石英ガラスロッド101及び支持棒103をそれぞれ適宜回転させながら
、石英ガラスロッド101を徐々に支持棒103の基端側に移動させてゆくことで、穿孔
部材105を石英ガラスロッド101内に挿通させて石英ガラス管を成形する。
ところが、上述のように片持ち支持された支持棒103の先端に装備された穿孔部材1
05によって石英ガラスロッド101を穿孔する方法では、支持棒103の撓み等により
、穿孔部材105に中心軸線に直交する方向の振れが発生し易く、例えば、穿孔開始前に
石英ガラスロッド101の先端中心と穿孔部材105の先端中心とを整合させる位置合わ
せ処理が困難になる虞があった。又、穿孔処理時には、支持棒103の撓みに起因した穿
孔部材105の振れによって、穿孔部材105が石英ガラスロッド101の中心軸線から
外れて、石英ガラスロッド101に穿設された孔が大きく偏心してしまう虞もあった。
そこで、このような不都合を解消する為、上記特許文献1には、図6に示すように、支
持棒103とダミーシリンダ109との間に円環状の振れ止め具(振れ止め治具)119
を嵌装することが提案されている。
また、片持ち支持された支持棒103の先端に装備された穿孔部材105を石英ガラス
ロッド101の中心軸線に簡単に位置合わせ可能にするため、石英ガラスロッド101と
穿孔部材105との突き合わせ部の近傍に、これらの相対位置関係を三次元的に検出する
三次元モニターを装備すると共に、支持棒103を支持する棒支持台115に、支持棒1
03の中心軸線の傾き角θの調整と中心軸線位置の3軸方向の調整とが可能な多軸の位置
調整装置を組み込む技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許第2798465号公報 特開2003−238177号公報
しかしながら、支持棒103に円環状の振れ止め具119を嵌装する上記特許文献1に
記載の装置では、穿孔部材105の振れを最小限に留めるために、振れ止め具119とダ
ミーシリンダ109との間のクリアランスを狭めると、振れ止め具119自体がダミーシ
リンダ109内に圧入固定された状態となり、振れ止め具119よりも先端側に突出した
支持棒103の先端に装備された穿孔部材105は満足な調心を行うことができないとい
う問題が生じる。
また、特許文献2に記載の穿孔方法では、突き合わせ部の相対的な位置関係を検出する
ための三次元モニターの組み込みや、支持棒103を位置調整する多軸の位置調整装置の
組み込みのために、装置構成が繁雑化して、コストアップを招く。
従って、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、偏心率が小さく、肉厚が均一
なガラス管を製造することができる安価なガラス管の製造方法およびガラス管の製造装置
を提供することである。
本発明のガラス管の製造方法では、出発材料であるガラス素材を加熱して軟化領域を形
成し、前記軟化領域に成形治具を挿入することによって、所望サイズの内径を有するガラ
ス管を成形するガラス管の製造方法であって、前記ガラス素材の成形開始端に接合される
筒状のダミーシリンダの内径よりも小さくかつ前記成形治具の外径よりも大きい外径を有
する振れ止め治具を前記成形治具の挿入方向後端に着脱自在に設け、前記ダミーシリンダ
内における前記成形治具の径方向の振れを抑制しながら前記成形治具を前記軟化領域に挿
入することを特徴とする。
望ましくは、前記軟化領域の外径を所望サイズの外径に成型する外径調整手段を設ける
と共に、前記外径調整手段の中心軸線と同心となるように前記ダミーシリンダの中心軸線
を位置調整することを特徴とする。
本発明のガラス管の製造装置では、出発材料であるガラス素材を加熱して軟化領域を形
成する加熱手段と、前記軟化領域に挿入されることによって、所望サイズの内径を有する
ガラス管を成形する成形治具と、前記ガラス素材の成形開始端に接合される筒状のダミー
シリンダの内径よりも小さくかつ前記成形治具の外径よりも大きい外径を有して前記成形
治具の挿入方向後端に着脱自在に取付けられる振れ止め治具と、前記ガラス素材と前記成
形治具とを相対的に移動する移動手段と、を備えることを特徴とする。
望ましくは、前記軟化領域の外側からガラス管材料の外径を所望サイズの外径に成型す
る外径調整手段を設けると共に、前記外径調整手段の中心軸線と同心となるように前記ダ
ミーシリンダの中心軸線を位置調整するダミーシリンダ位置調整機構を設けることを特徴
とする。
以上説明したように、本発明のガラス管の製造方法およびガラス管の製造装置によれば
、成形(穿孔)初期段階において成形治具をガラス材の軟化領域に挿入する際、該成形治
具自体が挿入方向後端に設けられた振れ止め治具を介してダミーシリンダ内における前記
成形治具の径方向の振れを抑制されるので、成形治具はガラス材の成形開始端における中
心軸線に対して良好に調心された状態で位置合わせされて挿入される。
そこで、三次元モニター等の高価な装置を使用せずとも、成形開始時にガラス素材の成
形開始端と成形治具の先端とを簡単に、且つ高精度に調心することができる。
そして、成形治具がガラス素材に挿入されても、該成形治具の挿入方向後端に着脱自在
に設けられて成形治具の外径よりも大きい外径を有する振れ止め治具は、ガラス素材の成
形開始端に当接するので、成形治具と一緒にガラス素材内に進入することがない。
従って、製造したガラス管の内面が振れ止め治具によって汚染されることもなく、偏心
率が小さく肉厚が均一なガラス管を安価に製造することができる。
以下、本発明に係るガラス管の製造方法およびガラス管の製造装置の好適な実施形態に
ついて、図面を参照して詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明に係るガラス管の製造方法を実施するガラス管の製造装置の実
施形態を示したものである。
本実施形態に係るガラス管の製造装置1は、図1に示すように、出発材料である円柱状
の石英ガラス素材(ガラス素材)3の中心軸線を水平に向けて支持するガラス支持手段5
と、先端に穿孔用の成形治具7が装備された支持棒9と、成形治具7の先端が石英ガラス
素材3の成形開始端(図1中右端)に対向するように支持棒9の基端を片持ち状態に支持
する棒支持手段11と、前記成形治具7の先端近傍の石英ガラス素材3を加熱軟化させる
加熱手段13と、石英ガラス素材3を成形治具7の中心軸線に沿って相対移動させるガラ
ス移動手段15と、を備える。
そして、加熱手段13により石英ガラス素材3の成形開始端近傍を加熱して軟化領域を
形成し、この軟化領域に成形治具7を徐々に挿入することで、石英ガラス素材3を所望サ
イズの内径を有する石英ガラス管に成形する。
前記ガラス支持手段5は、チャック51aを介して石英ガラス素材3の基端(図1中左
端)を把持する第1の送りテーブル51と、チャック53a介して石英ガラス素材3の先
端(成形開始端)に接合される円筒状のダミーシリンダ17を把持する第2の送りテーブ
ル53と、を備えた構成であり、これら第1及び第2の送りテーブル51,53によって
、石英ガラス素材3を両持ち状態に支持する。
また、これら第1及び第2の送りテーブル51,53は、石英ガラス素材3及び支持棒
9の中心軸線に沿って移動可能にそれぞれ基台55,57に配置されており、図示せぬモ
ータからの駆動力により所定速度で石英ガラス素材3を軸方向に移動させるガラス移動手
段15を構成している。
更に、第1及び第2の送りテーブル51,53のチャック51a,53aには、それぞ
れ支持した石英ガラス素材3をその中心軸線回りに所定の回転速度で回転させる回転駆動
機構が装備(図示略)されている。
前記棒支持手段11は、基台57に立設された支柱11aに装備したチャック11bに
よって、支持棒9の基端を把持するものである。チャック11bは、把持した支持棒9を
その中心軸回りに所定の回転速度で回転させる回転駆動機構(図示略)が装備されている
。尚、棒支持手段11は、先に説明した第1及び第2の送りテーブル51,53とは異な
り、支持棒9の中心軸線方向には移動しない。
更に、前記加熱手段13における発熱体13aの内側には、石英ガラス素材3の外径を
所望サイズの外径に成型する外径調整手段25が配設されている。
尚、この外径調整手段25としては、所望の間隔を持つように平行に配設された平板、
断面円形の穴を有するダイス、ガラス管の形状に合わせた断面円弧の溝が付された板など
が適用可能である。
そして本実施形態では、前記外径調整手段25の中心軸線と同心となるように前記ダミ
ーシリンダ17の中心軸線を位置調整するダミーシリンダ位置調整機構(図示せず)が、
前記第2の送りテーブル53に設けられている。
そこで、ガラス管の成形処理を開始する前の位置調整時には、ダミーシリンダ位置調整
機構が図1の上下方向または図1の紙面に垂直な方向に動き、ダミーシリンダ17の中心
軸線が外径調整手段25の中心軸線と同心となるように位置調整された後、該ダミーシリ
ンダ17が石英ガラス素材3の成形開始端に接合される。
前記加熱手段13は、石英ガラス素材3の成形開始端近傍を誘導加熱によって部分的に
加熱するもので、石英ガラス素材3を囲繞するように配置したカーボンチューブからなる
発熱体13aとその周囲に配置されたコイル13bとを有している。コイル13bに通電
されると発熱体13aに誘導電流が生じ、発熱体13aが発熱する。この発熱体13aは
ヒータ支持台14に固定されている。
ここで、加熱手段13の加熱温度は、石英ガラス素材3が軟化するガラス軟化点(例え
ば、1600℃)以上で加熱されるように設定されている。
また、本実施形態に係るガラス管の製造装置1では、前記石英ガラス素材3の成形開始
端に溶着して接合されるダミーシリンダ17の内径よりも小さくかつ前記成形治具7の外
径よりも大きい外径を有した振れ止め治具21が、前記成形治具7の挿入方向後端(図1
中右端)に着脱自在に設けられている。
この有底円筒状の振れ止め治具21は、ダミーシリンダ17内を挿通する支持棒9によ
って底部を貫通されて摺動可能とされると共に、成形治具7の挿入方向後端に嵌合して取
付けられている。
そこで、成形治具7は、挿入方向後端に設けられた振れ止め治具21を介してダミーシ
リンダ17内における径方向の振れを抑制されている。
次に、上述したガラス管の製造装置1によって、石英ガラス素材3から所望サイズの内
径を有するガラス管を成形するガラス管の製造方法について説明する。
先ず、図1に示すように、第1の送りテーブル51のチャック51aに出発材料として
の石英ガラス素材3の一端を固定する。
一方、棒支持手段11により片持ち支持された支持棒9の先端に装備した成形治具7と
、該成形治具7の挿入方向後端に取付けられた振れ止め治具21とを、第2の送りテーブ
ル53に把持されたダミーシリンダ17内に配置する。
次いで、ダミーシリンダ17を回転させ、該ダミーシリンダ17の中心軸線を調整する
ことで、第2の送りテーブル53に支持されたダミーシリンダ17の中心軸線が外径調整
手段25の中心軸線と同心となるように位置調整する。位置調整された状態で、前記第2
の送りテーブル53を第1の送りテーブル51側(図中左方向)に移動し、ダミーシリン
ダ17の一端を石英ガラス素材3の成形開始端に溶着する。
次に、石英ガラス素材3の成形開始端面中心に成形治具7の先端当接部を当接させ、そ
の当接領域近傍がガラス軟化点(例えば、1600℃)以上の軟化領域となるように加熱
する。
そして、第1及び第2の送りテーブル51,53と棒支持手段11の回転駆動機構をそ
れぞれ駆動し、石英ガラス素材3及び成形治具7を同軸的にそれぞれ1〜40rpm、1
〜50rpmで同一方向に回転させるとともに、第1及び第2の送りテーブル51,53
をそれぞれ所望の速度で図中右方向へ移動させる。また、加熱手段13の内側に取付けら
れた外径調整手段25を中心軸線がずれないようにして成型位置にセットして石英ガラス
素材3の軟化領域の外周に当接させる。
すると、図2(a)に示すように、軟化された石英ガラス素材3内に成形治具7が相対
的に挿入されて所望サイズの内径を有する孔を穿設すると共に、外径調整手段25が石英
ガラス素材3の外周を所望サイズの外径に成型する。
この成形(穿孔)初期段階において、成形治具7を石英ガラス素材3の軟化領域に挿入
する際、該成形治具7自体が挿入方向後端に嵌装された振れ止め治具21を介してダミー
シリンダ17内における径方向の振れを抑制される。
即ち、成形治具7は、ダミーシリンダ17の内周面と振れ止め治具21の外周面との間
のクリアランス分しか径方向に移動できず、このクリアランス分に相応する精度で自動的
に成形治具7の径方向への振れが規制され、石英ガラス素材3と成形治具7とは調心され
た状態になる。
そこで、成形治具7は石英ガラス素材3の成形開始端における中心軸線に対して良好に
調心された状態で位置合わせされて挿入される。
従って、三次元モニター等の高価な装置を使用せずとも、成形開始時に石英ガラス素材
3の成形開始端と成形治具7の先端とを簡単に、且つ高精度に調心することができる。
そして、加熱軟化している石英ガラス素材3の軟化領域に成形治具7を更に挿通させる
と、該成形治具7の挿入方向後端に着脱自在に設けられて成形治具7の外径よりも大きい
外径を有する振れ止め治具21は、図2(b)に示すように、石英ガラス素材3の成形開
始端に当接して成形治具7から脱落するので、成形治具7と一緒に石英ガラス素材3内に
進入することがない。
従って、製造したガラス管の内面が振れ止め治具21によって汚染されることもなく、
偏心率が小さく肉厚が均一なガラス管を安価に製造することができる。
尚、最初に成形治具7をガラス素材3に挿入するときに最も偏心し易いが、振れ止め治
具21によりそれが抑制されて、まっすぐに成形治具7がガラス素材3に挿入される。そ
して、図2(b)のように、成形治具7がガラス素材3の中に入り込んだときは、ガラス
素材3の先端側が冷えて固くなっているので、振れ止め治具21がなくても成形治具7の
後端側がガラス素材3に押さえられて、偏心することがない。
また、成形治具7と振れ止め治具21の形状は、図2に記載したものだけでなく、図3
(a),(b)に示すように、嵌め合わせの部分をテーパー形状にしても良い。
図3(a),(b)に示すように、嵌め合わせの部分をテーパー形状にすることで、成
形治具7a(7b)と振れ止め治具21a(21b)のクリアランスを狭くすることがで
き、且つ成形開始とともに振れ止め治具21a(21b)を容易に脱落させられる。この
場合、振れ止め治具21a(21b)の挿入方向後端に脱落防止用治具22を装着して、
成形加工前に振れ止め治具21a(21b)と成形治具7a(7b)のズレを防ぐように
することが好ましい。
更に、本実施形態のガラス管の製造装置1によるガラス管の製造方法では、石英ガラス
素材3の軟化領域に挿入されて石英ガラス素材3を穿孔する成形治具7が、成形開始時に
ダミーシリンダ17により径方向の振れが規制されて所定の寸法精度に調心される一方、
石英ガラス素材3の軟化領域もダミーシリンダ17の中心軸線が外径調整手段25の中心
軸線と同心となるように位置調整されており、該外径調整手段25によって外径がダミー
シリンダ17と同心に成型される。
そこで、穿孔される石英ガラス素材3は、中心軸線上の穿孔位置及び外周面が、いずれ
も共通のダミーシリンダ17を基準に心出しされることになるため、成形されたガラス管
は、中心孔と外周面とが高精度の同心状態になり、偏肉の無い高精度な円筒となる。
即ち、例えば石英ガラス素材3の中心軸線と外径調整手段25の中心軸線とがズレてし
まうと、石英ガラス素材3の中心軸線に成形治具7の中心軸線を合わせても、ガラス管に
は偏肉が生じてしまうが、本実施形態によればガラス管の偏肉が防止される。
従って、偏心率が小さく肉厚が均一なガラス管を安価に製造することができる。
尚、上記実施形態では、出発材料である石英ガラス素材3としては、VAD法等の方法
で作製した中実の円柱状のものを使用したが、OVD法等で作製した中心に成形治具7よ
りも小径の孔が穿設された円筒状のものを出発材料として利用することも可能である。ま
た、純石英に加え、フッ素や塩素を添加したガラス素材でも良い。
また、上記実施形態においては、中実の石英ガラス素材3の成形開始端面に挿入穿孔す
る成形治具7を使用してガラス管を作製する例を示したが、中空のガラス素材の開口内に
成形治具を挿入し、開口を所望の内径に拡径又は縮径してガラス管を作製するガラス管の
製造方法にも適用できる。
以下、上記実施形態に係るガラス管の製造装置1の具体的な実施例を示す。
石英ガラス素材3には、外径が180mm、長さが2000mmの丸棒状の無垢材を使
用した。又、ダミーシリンダ17には、内径が100mmの石英ガラス管を使用し、外径
調整手段25の内径を140mm、成形治具7の外径を80mmとした。
そして、ダミーシリンダ17の内側に挿入される振れ止め治具21は、ダミーシリンダ
17との間のクリアランスを0.1mm、嵌合する成形治具7の挿入方向後端との間のク
リアランスを0.05mmに設定し、ダミーシリンダ17を回転させながら中心軸線を調
整することで、振れ回りを0.3mm以内に抑えた。
更にこの状態で、ダミーシリンダ17を回転軸に対して直交する方向に動かして、外径
調整手段25との回転中心のズレを0.4mm以内に調整した。
以上の寸法構成の上記ガラス管の製造装置1によって、石英ガラス素材3によるガラス
管の成形を実施し、成形したガラス管の長手位置における偏肉率を測定した。結果を図4
に示す。
また、比較の為に図5及び図6に示した従来装置で同寸法のガラス管の成形を実施し、
成形したガラス管の長手位置における偏肉率を測定した。結果を図4に示す。
図4に示したように、従来の方法では、石英ガラス素材3の加工長さが増大するに従っ
て、偏肉率が増大(最大、10%弱)するが、本実施例の場合は、略一定の偏肉率(最大
、2%強)で、偏肉率の小さい高精度なガラス管を製造できることが確認できた。
本発明に係るガラス管の製造装置の実施形態を示す概略構成図である。 (a)は図1に示したガラス管の製造装置における穿孔開始時の石英ガラス素材と成形治具との調心状態を示す拡大断面図、(b)は図1に示したガラス管の製造装置における穿孔処理中の拡大断面図である。 図2に示した成形治具及び振れ止め治具の変形例を示す要部拡大断面図である。 図1に示したガラス管の製造装置と従来のガラス管の製造装置とでの偏肉率の比較図である。 従来のガラス管の製造装置の概略構成図である。 図5に示したガラス管の製造装置における穿孔用治具の振れ防止構造を示す要部拡大図である。
符号の説明
1 ガラス管の製造装置
3 石英ガラス素材(ガラス素材)
5 ガラス支持手段
7 成形治具
9 支持棒
11 棒支持手段
13 加熱手段
15 ガラス移動手段
17 ダミーシリンダ
21 振れ止め治具
25 外径調整手段
51 第1の送りテーブル
53 第2の送りテーブル
55,57 基台

Claims (4)

  1. 出発材料であるガラス素材を加熱して軟化領域を形成し、前記軟化領域に成形治具を挿
    入することによって、所望サイズの内径を有するガラス管を成形するガラス管の製造方法
    であって、
    前記ガラス素材の成形開始端に接合される筒状のダミーシリンダの内径よりも小さくか
    つ前記成形治具の外径よりも大きい外径を有する振れ止め治具を前記成形治具の挿入方向
    後端に着脱自在に設け、前記ダミーシリンダ内における前記成形治具の径方向の振れを抑
    制しながら前記成形治具を前記軟化領域に挿入することを特徴とするガラス管の製造方法
  2. 前記軟化領域の外径を所望サイズの外径に成型する外径調整手段を設けると共に、前記
    外径調整手段の中心軸線と同心となるように前記ダミーシリンダの中心軸線を位置調整す
    ることを特徴とする請求項1に記載のガラス管の製造方法。
  3. 出発材料であるガラス素材を加熱して軟化領域を形成する加熱手段と、前記軟化領域に
    挿入されることによって、所望サイズの内径を有するガラス管を成形する成形治具と、前
    記ガラス素材の成形開始端に接合される筒状のダミーシリンダの内径よりも小さくかつ前
    記成形治具の外径よりも大きい外径を有して前記成形治具の挿入方向後端に着脱自在に取
    付けられる振れ止め治具と、前記ガラス素材と前記成形治具とを相対的に移動する移動手
    段と、
    を備えることを特徴とするガラス管の製造装置。
  4. 前記軟化領域の外側からガラス管材料の外径を所望サイズの外径に成型する外径調整手
    段を設けると共に、前記外径調整手段の中心軸線と同心となるように前記ダミーシリンダ
    の中心軸線を位置調整するダミーシリンダ位置調整機構を設けることを特徴とする請求項
    3に記載のガラス管の製造装置。
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