JP4478877B2 - 柱状物の撤去方法及び装置 - Google Patents

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本発明は、電柱、立木、鯉のぼりの支柱、銅像のような柱状物を、クレーン車や大型トレーラー等の大型の設備機器を使用することなく、簡易な器具を用いるだけで簡単且つ迅速に撤去することのできる方法及び装置に関するものである。
例えば、古くなった電柱を撤去して新しい電柱を設置する場合において、当該場所へクレーン車や大型トレーラー等の大型の設備機器を搬入できないときがある。このような場合、通常は、図7の図(A)〜図(F)に示すように、電柱1の頂部側から所定寸法ずつ切断して撤去するようにしていた。すなわち、先ず同図の図(A)に示すように、電柱1の頂部から所定寸法下がった位置に滑車2を備えた吊下げ具3を取り付けると共に、前記滑車2に引っかけたロープ4の先端を電柱1の頂部に係止し、梯子5に昇った作業員が電柱1を頂部から所定寸法下がった位置で切断している。そして、同図の図(B)に示すように、電柱1の切除部6を吊下げた状態からロープ4を緩めて地上へ降ろしている。同様にして、同図の図(C)及び図(D)に示すように、以上の作業を繰り返し、順次切除部6を地上へ降ろすことで電柱1の高さを低くしている。最後に、図(E)に示すように、地上からの作業が可能となった段階で電柱1の根元部を切断し、同図の図(F)に示すように、残った電柱1を引き倒して撤去している。
ところが、このような電柱1の撤去作業であると、電柱1の高い部位に吊下げ具3を設置して電柱1の途中を切断する必要があること等の高所での作業時間が長く、危険度が高いという欠点があった。また同様の高所作業を数回行う必要があること等により、全体としての作業時間が長くなるという欠点があった。
そのため、従来にあっては、特許文献1に示すように、大型のクレーン車や大型トレーラーは入り込めないが、小型車両が入り込める場所に限って、電柱をクランプできる車両を搬入し、電柱の上部側をクランプした状態で根元部から所定寸法ずつ切断除去することで電柱の撤去を行うようにしている。
また従来にあっては、特許文献2に示すように、古い電柱の中間部を三脚状に支持するサポート具と、古い電柱の上部側を支持する突張具とで、古い電柱を支持し、その状態で古い電柱の地上面に近い根元部を切断し、これらの全体を横方向へスライドさせている。そして、古い電柱の中間部にチエーンブロックを取り付け、古い電柱の地中部を前記チエーンブロックを利用して引き抜いている。続いて、古い電柱の地中部を引き抜いた孔に、新しい電柱を立設し、新しい電柱の頂部に設置した滑車を利用して古い電柱を吊下げ、徐々に地上まで倒し込んで撤去するようにしている。
特開平6−58020号公報 特開平11−285122号公報
ところが、前記特許文献1に示す従来技術にあっては、小型車両が入り込める場所でなければならず、小型車両が入り込めない場合では適用できないという欠点があった。また電柱を立設した状態で電柱の頂部側をクランプ保持し、電柱の下部側から徐々に所定寸法ずつ切断除去するので、不安定なクランプ状態の時間が長く、車両自体にアウトリガー等の安全設備も必要であった。
特許文献2に示す従来技術にあっては、三脚状のサポート具及び突張具のみで古い電柱を支持しており、古い電柱の根元部を切断した後、全体を横方向へ移動させねばならず、危険度の高いものであった。また古い電柱の地中部を引き抜いた孔へ新しい電柱を立設し、新しい電柱の頂部に設けた滑車で古い電柱の頂部を吊下げて古い電柱を徐々に倒し込むようにしており、新しい電柱を古い電柱の地中孔を利用して立設することが必須であり、新しい電柱を立設することなく、古い電柱をそのまま撤去するだけの場合には適用できないという欠点があった。
本発明は従来の前記課題に鑑みてこれを改良除去したものであって、小型車両が入り込めない場所であっても、簡単な器具のみで電柱等の柱状物を切断撤去できる方法及び装置を提供せんとするものである。
而して、前記課題を解決するために本発明が採用した請求項1の手段は、柱状物の根元部寄りにバンド部材等により取り付けられるベースフレームと、該ベースフレームの外側面に取り付けられた固定ディスクと、先端側が柱状物におけるベースフレームの取付位置よりも上方にバンド部材等により取り付けられる回転フレームと、該回転フレームの基部側に固定され固定ディスクと向き合うように配設される可動ディスクと、可動ディスクを固定ディスクに対して回転させる回転軸と、前記固定ディスクと可動ディスクとの間に配設される制動力調整機構とを備え、前記制動力調整機構は、可動ディスクの回転角度が大きくなるに従って、可動ディスクと固定ディスクとの間の摩擦抵抗を増大させるように構成されていることを特徴とする柱状物の撤去装置である。
また本発明が採用した請求項2の手段は、前記制動力調整機構は、固定ディスクに配置したブレーキパッドと、可動ディスクの固定ディスクと向き合う面に配置したディスクプレートとを有し、前記ディスクプレートは固定ディスクのブレーキパッドと接触する傾斜した摺動摩擦面を有し、可動ディスクの回転角度が大きくなるに従って、ブレーキパッドとディスクプレートとの間の摩擦抵抗が増大するように構成されている請求項に記載の柱状物の撤去装置である。
更に、本発明が採用した請求項3の手段は、柱状物の頂部寄りにロープ等の引っ張り具を係止すると共に、請求項1又は2に記載の撤去装置のベースフレームと回転フレームとをバンド部材を介して柱状物へ取り付け、制動力調整機構の固定ディスクと可動ディスクとの間の摩擦抵抗の大きさを設定することにより制動力を調整した後、ベースフレームと回転フレームとの間で柱状物を切断し、引っ張り具を引っ張っることにより、回転フレーム及び可動ディスクをベースフレーム及び固定ディスクに対して回転させて、回転フレームに取り付けた柱状物における切断箇所から上方の本体部分を傾斜させ、このとき制動力調整機構が、可動ディスクの回転角度が大きくなるに従って可動ディスクと固定ディスクとの間の摩擦抵抗を増大させることにより、柱状物の本体部分を、自らの荷重によっては倒れないように傾斜したままの姿勢に保持しつつ、次第に傾倒させて地上へ載置することを特徴とする柱状物の撤去方法である。
請求項1又は2に記載した本発明に係る撤去装置にあっては、柱状物に取り付けられる上下のフレームと、これらフレーム間に配設される固定ディスク及び可動ディスクと、両ディスクの間に配設された制動力調整機構とで構成されており、装置全体は極めて軽量且つ小型であって、シンプルである。またこれらの部品をバラバラにした状態で現場へ搬入し、現場で迅速に組み立てることも可能であり、作業性及び利便性に優れている。従って、小型車両が入り込めない場所であっても、柱状物を倒し込む幅のスペースさえあれば、柱状物の撤去作業を行うことが可能であり、作業員の負担も大幅に軽減することが可能である。
請求項3に記載した本発明は、前記請求項1又は2に記載の本発明に係る撤去装置を用いた柱状物の撤去方法であって、回転フレームとベースフレームとを柱状物へ取り付けた後、回転フレームとベースフレームとの間の柱状物を切断し、柱状物の頂部に係止したロープ等の引っ張り具を引くことで引く力に応じて制動力調整機構が対応し、切断した柱状物本体を徐々に傾倒させることができる。従って、切断した柱状物本体を引く力に応じてゆっくり地上へ倒伏させることができる。然る後は、地上で柱状物本体を必要に応じた任意寸法に切断し、搬出すればよい。
なお本発明に係る撤去装置を二つ準備して柱状物に対向配置させて取り付けるようにした柱状物の撤去方法も考えられ、この方法によれば、重たい柱状物や長尺の柱状物であっても、無理なく撤去でき、それぞれの撤去装置の負担を軽減させることが可能である。
以下に、本発明の構成を図面に示す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。図1乃至図6は本発明の一実施の形態に係るものであり、図1は柱状物の撤去装置10を電柱11へ取り付けた状態を示す左側面図、図2は電柱11を直角に傾倒させた場合を分解して示す平面図である。図3の図(A)は固定ディスク12の正面図及びこれに対応する平面図であり、図(B)は可動ディスク13の正面図及びこれに対応する平面図である。図4の図(A)〜図(D)はそれぞれ可動ディスクが所定角度だけ回転した場合の両ディスクの位置関係を示す正面図及びこれに対応する平面図である。図5は実線で示す状態から電柱11を傾倒させた場合を示す正面図であり、図6の図(A)〜図(C)は作業工程を示す正面図である。
図1及び図2に示す如く、この柱状物の撤去装置10は、電柱11の根元部寄りにバンド部材14等により取り付けられるベースフレーム15と、該ベースフレーム15と一部が重複配置され、同様に電柱11におけるベースフレーム15の取付位置よりも上方にバンド部材14等により取り付けられる回転フレーム16とを有している。
ベースフレーム15は、四角柱状の本体15Aと、本体15Aの外側面(図1の右側)に溶接などにより取り付けられた八角形状の取付プレート15Bとから成り、本体15A及び取付プレート15Bを貫通して回転軸17が取り付けられている。また取付プレート15Bの外側面には、埋め込みボルト(図示せず)等により図3の図(A)に示す固定ディスク12が固定されている。固定ディスク12は、その中心に回転軸17の挿通孔18が設けられており、摺動面には摺動摩擦抵抗による制動用のブレーキパッド19が同一円周上に三個均等配置されている。
一方、回転フレーム16は、ベースフレーム15との重複部分に、固定ディスク12と向き合って配設される可動ディスク13が埋め込みボルト(図示せず)等により取り付け固定されている。そして、可動ディスク13の固定ディスク12と向き合う面には、図3の図(B)及び図4の図(A)〜(D)に示す、傾斜した面を有するディスクプレート20が、前記固定ディスク12のブレーキパッド19に対応して同一円周上に三個均等配置されている。
また可動ディスク13及び回転フレーム16は、これを前記ベースフレーム15に取り付けられた回転軸17に装着するための挿通孔21及び22を有している。可動ディスク13と回転フレーム16とは、回転軸17に外嵌装着された後、回転軸17内に挿通配置された四本の接合ボルト23に対して接合ナット24を締結することにより緊締される。このとき接合ナット24の締付トルクを設定することにより、固定ディスク12のブレーキパッド19と、可動ディスク13のディスクプレート20との摺動摩擦抵抗の大きさを設定することができ、これらはいわゆる制動力調整機構25を構成する。尚、前記接合ボルト23の他端側は、ベースフレーム15に取り付け固定されている。
更に、回転フレーム16は、図1及び図2に示すように、ベースフレーム15との重複部分と、電柱11との接合部分とを接続する傾斜した部分を有し、該傾斜した部分によって電柱11との間に隙間(空間)26が形成されている。この空間26は、電柱11を切断するための作業用の空間である。
次に、このように構成された柱状物撤去装置10の動作態様を説明する。先ず、図1、図5及び図6の図(A)に示すように、柱状物撤去装置10のベースフレーム15と回転フレーム16とを電柱11の根元部にバンド部材14を介して固定する。そして、回転フレーム16を取り付けるための接合ナット24の締付トルクを、対象となる電柱11の大きさに応じて設定するまた電柱11の頂部には、ロープ27の一端側を係止させておく。
このような状態から、図1及び図6の図(B)に示すように、電柱11のベースフレーム15と回転フレーム16との間に形成される空間26に対応した位置で、ハンマーや電動カッター等の切断治具を用いてコンクリート電柱11を配筋と共に切断する。切断されたコンクリート電柱11は、切断箇所から上方の本体部11Aがそのままの直立した状態で回転フレーム16に支持されている。
然る後は、図5及び図6の図(C)に示すように、作業員がロープ27を引っ張って切断後の電柱本体部11Aを徐々に引き倒していく。このとき、図4に示す如く、可動ディスク13の傾斜した摺動摩擦面を有するディスクプレート20が、その傾斜面に沿って固定ディスク12側のブレーキパッド19と接触し、電柱本体部11Aの傾き度合い(可動ディスクの回転角度)が大きくなるに従い接触摩擦抵抗を増大させるようになる。これにより、電柱本体部11Aは、自らの荷重によっては倒れないように制動力調整機構25によって傾斜したままの姿勢が保持される。従って、電柱本体部11Aは、作業員がロープ27を引っ張って外力を与えた分だけ徐々に傾斜するようになる。そして、傾斜するに連れて固定ディスク12側のブレーキパッド19と可動ディスク13側のディスクプレート20との間の接触摩擦抵抗が増大するから、傾斜したその姿勢に電柱本体部11A保持される。このようにして、やがては図5の破線で示すように、電柱本体部11Aを水平状態に倒伏させて地上の架台28上に載置することができる。
そして、最後にベースフレーム15と回転フレーム16とを切断後の電柱本体部11A及び根元部11Bから取外し、電柱本体部11Aの部分にあっては、所定寸法に切断するか又は削岩ドリル等で破砕する。また根元部11Bにあっては、地上に出ている部分を切断するか又は削岩ドリル等で破砕すればよい。所定寸法に切断した場合は、これを産業廃棄物処理工場等へ搬出した後、クラッシャー等で破砕し、材料ごとに分別すればよい。更に、新しい電柱を建て替える場合は、根元部11Bを引き抜き、引き抜いた後の孔へ新しい電柱を立設すればよい。
このように、本案の柱状物撤去装置10は、これを単独で使用しているが、撤去対象物の大きさや重量如何によっては、当該柱状物撤去装置10を柱状物の左右両サイドに対向して二台設置して柱状物を撤去するようにしてもよい。なお、この場合、可動ディスク13のディスクプレート20の傾斜面は、左右両サイドのものが面対象となるように配設することが必要である。つまり、切断後の柱状物本体を傾倒させたとき、その傾斜度合いに応じて制動力調整機構25の制動力が増大するようにすればよい。
ところで、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、適宜の変更が可能である。例えば、ベースフレーム15及び回転フレーム16を電柱11等の柱状物へ取り付ける部材は、バンド部材以外にもワイヤ、ロープなどであってもよく、ボルト及びナットによる締結方式であってもよい。
また柱状物として電柱11の場合を説明したが、その他にも立木、鯉のぼりの支柱、銅像、各種モニュメントの構築物等のその他の柱状のものへ適用することが可能である。
本発明の一実施の形態に係る柱状物撤去装置を、電柱へ取り付けた状態を示す左側面図である。 本発明の一実施の形態に係る柱状物撤去装置を電柱へ取り付け、これを直角に傾倒させた場合を分解して示す平面図である。 本発明の一実施の形態に係るものであり、図(A)は固定ディスクの正面図及びこれに対応する平面図であり、図(B)は可動ディスクの正面図及びこれに対応する平面図である。 本発明の一実施の形態に係るものであり、図(A)〜図(D)はそれぞれ可動ディスクが所定角度だけ回転した場合の両ディスクの位置関係を示す正面図及びこれに対応する平面図である。 本発明の一実施の形態に係る柱状物撤去装置を電柱へ取り付け、これを実線で示す状態から段階的に傾倒させた場合を示す正面図である。 本発明の一実施の形態に係るものであり、図(A)〜図(C)はそれぞれ作業工程を示す正面図である。 従来技術に関するものであり、図(A)〜図(F)はそれぞれ作業工程を示す正面図である。
符号の説明
10…柱状物の撤去装置、11…電柱(柱状物)、11A…切断後の電柱本体、11B 根元部、12…固定ディスク、13…可動ディスク、14…バンド部材、15…ベース フレーム、16…回転フレーム、17…回転軸、19…ブレーキパッド、20…ディス クプレート、23…接合ボルト、24…接合ナット、25…制動力調整機構

Claims (3)

  1. 柱状物の根元部寄りにバンド部材等により取り付けられるベースフレームと、該ベースフレームの外側面に取り付けられた固定ディスクと、先端側が柱状物におけるベースフレームの取付位置よりも上方にバンド部材等により取り付けられる回転フレームと、該回転フレームの基部側に固定され固定ディスクと向き合うように配設される可動ディスクと、可動ディスクを固定ディスクに対して回転させる回転軸と、前記固定ディスクと可動ディスクとの間に配設される制動力調整機構とを備え、前記制動力調整機構は、可動ディスクの回転角度が大きくなるに従って、可動ディスクと固定ディスクとの間の摩擦抵抗を増大させるように構成されていることを特徴とする柱状物の撤去装置。
  2. 前記制動力調整機構は、固定ディスクに配置したブレーキパッドと、可動ディスクの固定ディスクと向き合う面に配置したディスクプレートとを有し、前記ディスクプレートは固定ディスクのブレーキパッドと接触する傾斜した摺動摩擦面を有し、可動ディスクの回転角度が大きくなるに従って、ブレーキパッドとディスクプレートとの間の摩擦抵抗が増大するように構成されている請求項に記載の柱状物の撤去装置
  3. 柱状物の頂部寄りにロープ等の引っ張り具を係止すると共に、請求項1又は2に記載の撤去装置のベースフレームと回転フレームとをバンド部材を介して柱状物へ取り付け、制動力調整機構の固定ディスクと可動ディスクとの間の摩擦抵抗の大きさを設定することにより制動力を調整した後、ベースフレームと回転フレームとの間で柱状物を切断し、引っ張り具を引っ張っることにより、回転フレーム及び可動ディスクをベースフレーム及び固定ディスクに対して回転させて、回転フレームに取り付けた柱状物における切断箇所から上方の本体部分を傾斜させ、このとき制動力調整機構が、可動ディスクの回転角度が大きくなるに従って可動ディスクと固定ディスクとの間の摩擦抵抗を増大させることにより、柱状物の本体部分を、自らの荷重によっては倒れないように傾斜したままの姿勢に保持しつつ、次第に傾倒させて地上へ載置することを特徴とする柱状物の撤去方法。
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