JP4478717B2 - カタラーゼ遺伝子及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、カタラーゼをコードする遺伝子及びその用途に関し、特に、香味に優れた酒類を製造する醸造酵母、該酵母を用いて製造した酒類、その製造方法などに関する。さらに具体的には、本発明は、醸造酵母のカタラーゼであるCtt1pをコードする遺伝子CTT1、特にビール酵母に特徴的なnonScCTT1遺伝子又はScCTT1遺伝子の発現量を高めることによって、製品の香味安定化に寄与する亜硫酸の生成能を向上させた酵母、当該酵母を用いた酒類の製造方法などに関する。
亜硫酸は抗酸化効果の高い化合物として知られ、食品や飲料、医薬品などの分野において酸化防止剤として広く使用されている(例えば特開平06-040907号公報、特開2000-093096号公報など)。酒類においても亜硫酸は酸化防止剤として利用されており、例えば長期間の熟成を必要とするワインではその品質保持に重要な役割を果たすことから、日本国内では厚生労働省により残留濃度350ppm以下までの添加が許可されている。また、ビール醸造においても製品に含まれる亜硫酸濃度に依存して品質保持期間が変化することが知られており、この物質を強化することは、香味安定性などの点で非常に重要である。
製品中の亜硫酸含量を増大させる最も簡単な方法は、亜硫酸を添加することであるが、その場合食品添加物としての扱いとなり、商品開発の自由度や食品添加物に対する消費者のマイナスイメージなどが問題となる。
醸造工程で発酵液中の亜硫酸濃度を上昇させる方法としては、1) プロセス制御による方法と、2) 酵母の育種による方法がある。プロセス制御による方法とは、醸造中の亜硫酸の生成が初期酸素供給量と逆比例することから、発酵液への酸素供給量を低減させ、亜硫酸の生成量を増加させるとともにその酸化を抑制する方法である。
一方、酵母の育種による方法では遺伝子操作技術が利用されている。酵母は自身の生命活動に必要な含硫化合物を生合成しており、亜硫酸はその中間代謝産物として生成される。すなわち、酵母のこの能力を利用することによって、外部から添加することなく、製品中の亜硫酸量を増加させることが可能である。MET3およびMET14は、培地から取り込んだ硫酸イオンから亜硫酸を生合成するステップに関与する還元酵素をコードする遺伝子である。コルヒらはこの2つの遺伝子の発現量を増加させることによって酵母の亜硫酸生成能を向上させることを試み、MET14の方がより効果的であることを明らかにした(C. Korch et al., Proc. Eur. Brew. Conv. Conger., Lisbon, 201-208, 1991)。また、ハンセンらは亜硫酸イオンの還元酵素をコードするMET10遺伝子を破壊し、生成した亜硫酸イオンの還元を防ぐことによって亜硫酸生成量を増加させることを試みた(J. Hansen et al., Nature Biotech., 1587-1591, 1996)が、その一方で発酵遅延や、好ましくない香味成分であるアセトアルデヒドおよび1-プロパノールの増加が認められた。
また藤村らは、酵母の亜硫酸イオン排出ポンプをコードするSSU1遺伝子のうち、特にビール酵母に特有なnonScSSU1遺伝子の発現量を高めることによって、菌体内に生成した亜硫酸の菌体外への排出を促進し、ビール中の亜硫酸濃度を増加させることを試みた(藤村ら、2003年度日本農芸化学会年次大会要旨集、159、2003)。
上述のとおり、製品中の亜硫酸含量を増大させる最も簡単な方法は亜硫酸を添加することであるが、近年消費者の間では無添加・天然素材志向が強く、食品添加物の使用は最低限とすることが望ましい。そこで、酵母自身の生命活動を利用して、亜硫酸を外部から添加することなく、香味安定性に有効な亜硫酸濃度を達成することが有効である。しかしながら、先に述べたプロセス制御による方法では酸素不足によって酵母の増殖速度が低下し、発酵遅延や品質の低下を引き起こす場合があるため、必ずしも実用的とはいえない。
また、遺伝子操作技術を利用した酵母の育種では親株の10倍以上の亜硫酸濃度を達成したという結果も報告されている(J. Hansen et al., Nature Biotech., 1587-1591, 1996)一方で、発酵遅延や、好ましくない香味成分であるアセトアルデヒドおよび1-プロパノールの増加が認められるなど、実用酵母とするには問題があった。これらのことから、発酵速度や製品の品質を損なうことなく、充分量の亜硫酸を生産できる酵母の育種方法が望まれていた。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ビール酵母からカタラーゼをコードする遺伝子を同定・単離することに成功した。また、得られた遺伝子を酵母に導入し発現させた形質転換酵母を作製し、亜硫酸生成量が増加することを確認して、本発明を完成した。
すなわち本発明は、ビール酵母に存在するカタラーゼ遺伝子、該遺伝子がコードするタンパク質、該遺伝子の発現が調節された形質転換酵母、該遺伝子の発現が調節された酵母を用いることによる製品中の亜硫酸生成量の制御方法などに関する。本発明は、具体的には、次に示すポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含有するベクター、該ベクターが導入された形質転換酵母、該形質転換酵母を用いる酒類の製造方法などを提供する。
(1)以下の(a)〜(f)からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
(a)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号:2のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号:2のアミノ酸配列に対して60%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号:1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
(f)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
(2)以下の(g)〜(i)からなる群から選択される上記(1)に記載のポリヌクレオチド:
(g)配列番号:2のアミノ酸配列又は配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(h) 配列番号:2のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
(i)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチド、又は配列番号:1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
(3)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有する上記(1)に記載のポリヌクレオチド。
(4)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する上記(1)に記載のポリヌクレオチド。
(5)DNAである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質。
(7)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含有するベクター。
(7a)以下の(x)〜(z)の構成要素を含む発現カセットを含む上記(7)に記載のベクター:
(x)酵母細胞内で転写可能なプロモーター;
(y)該プロモーターにセンス方向又はアンチセンス方向で結合した、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリヌクレオチド;及び
(z)RNA分子の転写終結及びポリアデニル化に関し、酵母で機能するシグナル。
(8)以下の(j)〜(l)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有するベクター:
(j)配列番号:4のアミノ酸配列又は配列番号:4のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(k) 配列番号:4のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
(l)配列番号:3の塩基配列からなるポリヌクレオチド、又は配列番号:3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
(9)上記(7)又は(8)に記載のベクターが導入された酵母。
(10)亜硫酸生成能が向上した上記(9)に記載の酵母。
(11)上記(6)に記載のタンパク質の発現量を増加させることによって亜硫酸生成能が増強された上記(10)に記載の酵母。
(12)上記(9)〜(11)のいずれかに記載の酵母を培養することを含む酒類の製造方法。
(13)醸造する酒類が麦芽飲料である上記(12)に記載の酒類の製造方法。
(14)醸造する酒類がワインである上記(12)に記載の酒類の製造方法。
(15)上記(12)〜(14)のいずれかに記載の方法で製造された酒類。
(16)配列番号:1又は配列番号:3の塩基配列を有するカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列に基づいて設計したプライマー又はプローブを用いて、被検酵母の亜硫酸生成能について評価する方法。
(16a)上記(16)に記載の方法によって、亜硫酸生成能が増強された酵母を選別する方法。
(16b)上記(16a)に記載の方法によって選別された酵母を用いて酒類(例えば、ビール)を製造する方法。
(17) 被検酵母を培養し、配列番号:1又は配列番号:3の塩基配列を有するカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の発現量を測定することによって、被検酵母の亜硫酸生成能を評価する方法。
(17a)上記(17)に記載の方法で、被検酵母を評価し、カタラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の発現量が高い酵母を選別する、亜硫酸生成能の高い酵母を選別する方法。
(17b)上記(17a)に記載の方法によって選別された酵母を用いて酒類(例えば、ビール)を製造する方法。
(18) 被検酵母を培養して上記(6)に記載のタンパク質を定量、または配列番号:1又は配列番号:3の塩基配列を有するカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の発現量を測定し、目的とする亜硫酸生成能に応じた前記タンパク質量または前記遺伝子発現量の被検酵母を選択する、酵母の選択方法。
(19) 基準酵母および被検酵母を培養して配列番号:1又は配列番号:3の塩基配列を有するカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の各酵母における発現量を測定し、基準酵母よりも該遺伝子が高発現である被検酵母を選択する、上記(18)に記載の酵母の選択方法。
(20)基準酵母および被検酵母を培養して各酵母における上記(6)に記載のタンパク質を定量し、基準酵母よりも該タンパク質量の多い被検酵母を選択する、上記(18)に記載の酵母の選択方法。
(21)上記(9)〜(11)に記載の酵母および上記(18)〜(20)に記載の方法により選択された酵母のいずれかの酵母を用いて酒類製造のための発酵を行い、亜硫酸濃度を制御することを特徴とする、酒類の製造方法。
本発明の形質転換酵母を用いる酒類の製造法によれば、製品中で抗酸化作用をもつ亜硫酸含量を増大させることができるため、香味安定性に優れ、より品質保持期間の長い酒類を製造することが可能となる。
本発明者らは、特開2004-283169に開示の方法で解読したビール酵母ゲノム情報を基に、ビール酵母特有のカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードするnonScCTT1遺伝子を単離・同定した。この塩基配列を配列番号:1に示す。また、この遺伝子によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号:2に示す。さらに、ビール酵母のカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードするScCTT1遺伝子を単離・同定した。この塩基配列を配列番号:3に示す。また、この遺伝子によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号:4に示す。
1.本発明のポリヌクレオチド
まず、本発明は、(a)配列番号:1又は配列番号:3の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び(b)配列番号:2又は配列番号:4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドはDNAであってもRNAであってもよい。
本発明で対象とするポリヌクレオチドは、上記のビール酵母由来のカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドに限定されるものではなく、このタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードする他のポリヌクレオチドを含む。機能的に同等なタンパク質としては、例えば、(c)配列番号:2又は配列番号:4のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質を有するタンパク質が挙げられる。
このようなタンパク質としては、配列番号:2又は配列番号:4のアミノ酸配列において、例えば、1〜100個、1〜90個、1〜80個、1〜70個、1〜60個、1〜50個、1〜40個、1〜39個、1〜38個、1〜37個、1〜36個、1〜35個、1〜34個、1〜33個、1〜32個、1〜31個、1〜30個、1〜29個、1〜28個、1〜27個、1〜26個、1〜25個、1〜24個、1〜23個、1〜22個、1〜21個、1〜20個、1〜19個、1〜18個、1〜17個、1〜16個、1〜15個、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個(1〜数個)、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、1個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質が挙げられる。上記アミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/又は付加の数は、一般的には小さい程好ましい。また、このようなタンパク質としては、(d)配列番号:2又は配列番号:4のアミノ酸配列と約60%以上、約70%以上、71%以上、72%以上、73%以上、74%以上、75%以上、76%以上、77%以上、78%以上、79%以上、80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質が挙げられる。上記相同性の数値は一般的に大きい程好ましい。
なお、カタラーゼ活性は、例えばOsorio et al., Archives of Microbiology, 181(3), 231-236 (2004) に記載の方法で評価することができる。
また、本発明は、(e)配列番号:1又は配列番号:3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び(f)配列番号:2又は配列番号:4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドも包含する。
ここで、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、配列番号:1又は配列番号:3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド又は配列番号:2又は配列番号:4のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの全部又は一部をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法又はサザンハイブリダイゼーション法などを用いることにより得られるポリヌクレオチド(例えばDNA)をいう。ハイブリダイゼーションの方法としては、例えばMolecular Cloning 3rd Ed.、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons 1987-1997などに記載されている方法を利用することができる。
本明細書でいう「ストリンジェントな条件」は、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件である。また、「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃の条件である。これらの条件において、温度を上げるほど高い相同性を有するポリヌクレオチド(例えばDNA)が効率的に得られることが期待できる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、プローブ濃度、プローブの長さ、イオン強度、時間、塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
なお、ハイブリダイゼーションに市販のキットを用いる場合は、例えばAlkphos Direct Labelling Reagents(アマシャムファルマシア社製)を用いることができる。この場合は、キットに添付のプロトコルにしたがい、標識したプローブとのインキュベーションを一晩行った後、メンブレンを55℃の条件下で0.1% (w/v) SDSを含む1次洗浄バッファーで洗浄後、ハイブリダイズしたポリヌクレオチド(例えばDNA)を検出することができる。
これ以外にハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとしては、FASTA、BLASTなどの相同性検索ソフトウェアにより、デフォルトのパラメータを用いて計算したときに、配列番号:2又は配列番号:4のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドと約60%以上、約70%以上、71%以上、72%以上、73%以上、74%以上、75%以上、76%以上、77%以上、78%以上、79%以上、80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上の同一性を有するポリヌクレオチドをあげることができる。
なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、カーリン及びアルチュールによるアルゴリズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, 2264-2268, 1990; Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873, 1993)を用いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul SF, et al: J. Mol. Biol. 215: 403, 1990)。BLASTNを用いて塩基配列を解析する場合は、パラメータは、例えばscore=100、wordlength=12とする。また、BLASTXを用いてアミノ酸配列を解析する場合は、パラメータは、例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメータを用いる。
2.本発明のタンパク質
本発明は、上記ポリヌクレオチド(a)〜(l)のいずれかにコードされるタンパク質も提供する。本発明の好ましいタンパク質は、配列番号:2又は配列番号:4のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質である。
このようなタンパク質としては、配列番号:2又は配列番号:4のアミノ酸配列において、上記したような数のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質が挙げられる。また、このようなタンパク質としては、配列番号:2又は配列番号:4のアミノ酸配列と上記したような相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつカタラーゼ活性を有するタンパク質が挙げられる。
このようなタンパク質は、「モレキュラークローニング第3版」、「カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー」、“Nuc. Acids. Res., 10, 6487 (1982)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409 (1982)”、“Gene, 34, 315 (1985)”、“Nuc. Acids. Res., 13, 4431 (1985)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)”等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、取得することができる。
本発明のタンパク質のアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入及び/又は付加されたとは、同一配列中の任意かつ1もしくは複数のアミノ酸配列中の位置において、1又は複数のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/又は付加があることを意味し、欠失、置換、挿入及び付加のうち2種以上が同時に生じてもよい。
以下に、相互に置換可能なアミノ酸残基の例を示す。同一群に含まれるアミノ酸残基は相互に置換可能である。A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、o-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン; B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸; C群:アスパラギン、グルタミン; D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸; E群:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン; F群:セリン、スレオニン、ホモセリン; G群:フェニルアラニン、チロシン。
また、本発明のタンパク質は、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t-ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法によっても製造することができる。また、アドバンスドケムテック社製、パーキンエルマー社製、ファルマシア社製、プロテインテクノロジーインストゥルメント社製、シンセセルーベガ社製、パーセプティブ社製、島津製作所社製等のペプチド合成機を利用して化学合成することもできる。
3.本発明のベクター及びこれを導入した形質転換酵母
次に、本発明は、上記したポリヌクレオチドを含有するベクターを提供する。本発明のベクターは、上記(a)〜(l)のいずれかに記載のポリヌクレオチド(DNA)を含有する。また、本発明のベクターは、通常、(x)酵母細胞内で転写可能なプロモーター;(y)該プロモーターにセンス方向又はアンチセンス方向で結合した、上記(a)〜(l)のいずれかに記載のポリヌクレオチド(DNA);及び(z)RNA分子の転写終結及びポリアデニル化に関し、酵母で機能するシグナルを構成要素として含む発現カセットを含むように構成される。
酵母に導入する際に用いるベクターとしては、多コピー型(YEp型)、単コピー型(YCp型)、染色体組み込み型(YIp型)のいずれもが利用可能である。例えば、YEp型ベクターとしてはYEp24 (J. R. Broach et al., Experimental Manipulation of Gene Expression, Academic Press, New York, 83, 1983) 、YCp型ベクターとしてはYCp50 (M. D. Rose et al., gene, 60, 237, 1987) 、YIp型ベクターとしてはYIp5 (K. Struhl et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USP, 76, 1035, 1979) が知られており、容易に入手することができる。
酵母での遺伝子発現を調節するためのプロモーター/ターミネーターとしては、醸造用酵母中で機能するとともに、もろみ中の成分に影響を受けなければ、任意の組み合わせでよい。例えばグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(TDH3)のプロモーター、3-ホスホグリセレートキナーゼ遺伝子(PGK1)のプロモーターなどが利用可能である。これらの遺伝子はすでにクローニングされており、例えばM. F. Tuite et al., EMBO J., 1, 603 (1982) に詳細に記載されており、既知の方法により容易に入手することができる。
形質転換の際に用いる選択マーカーとしては、醸造用酵母の場合は栄養要求性マーカーが利用できないので、ジェネチシン耐性遺伝子(G418r)、銅耐性遺伝子(CUP1)(Marin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 337 1984)、セルレニン耐性遺伝子(fas2m, PDR4)(それぞれ猪腰淳嗣ら, 生化学, 64, 660, 1992; Hussain et al., gene, 101, 149, 1991)などが利用可能である。
上記のように構築されるベクターは、宿主酵母に導入される。宿主酵母としては、醸造用に使用可能な任意の酵母、例えばビール,ワイン、清酒等の醸造用酵母等が挙げられる。具体的には、サッカロマイセス(Saccharomyces)属等の酵母が挙げられるが、本発明においては、ビール酵母、例えばサッカロマイセス パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)W34/70等、サッカロマイセス カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)NCYC453、NCYC456等、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)NBRC1951、NBRC1952、NBRC1953、NBRC1954等が使用できる。さらにウイスキー酵母、例えばサッカロマイセス セレビシエNCYC90等、ワイン酵母、例えば協会ぶどう酒用1号、同3号、同4号等、清酒酵母、例えば協会酵母 清酒用7号、同9号等も用いることができるが、これに限定されない。本発明においては、ビール酵母、例えばサッカロマイセス パストリアヌスが好ましく用いられる。
酵母の形質転換方法としては一般に用いられる公知の方法が利用できる。例えば、エレクトロポレーション法“Meth. Enzym., 194, p182 (1990)”、スフェロプラスト法“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 p1929(1978)”、酢酸リチウム法“J. Bacteriology, 153, p163(1983)”、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 p1929 (1978)、Methods in yeast genetics, 2000 Edition : A Cold Spring Harbor Laboratory Course Manualなどに記載の方法で実施可能であるが、これに限定されない。
より具体的には、宿主酵母を標準酵母栄養培地(例えばYEPD培地“Genetic Engineering. Vo1.1, Plenum Press, New York, 117(1979)”等)で、OD600nmの値が1〜6となるように培養する。この培養酵母を遠心分離して集め、洗浄し、濃度約1〜2Mのアルカリ金属イオン、好ましくはリチウムイオンで前処理する。この細胞を約30℃で、約60分間静置した後、導入するDNA(約1〜20μg)とともに約30℃で、約60分間静置する。ポリエチレングリコール、好ましくは約4,000ダルトンのポリエチレングリコールを、最終濃度が約20%〜50%となるように加える。約30℃で、約30分間静置した後、この細胞を約42℃で約5分間加熱処理する。好ましくは、この細胞懸濁液を標準酵母栄養培地で洗浄し、所定量の新鮮な標準酵母栄養培地に入れて、約30℃で約60分間静置する。その後、選択マーカーとして用いる抗生物質等を含む標準寒天培地上に植えつけ、形質転換体を取得する。
その他、一般的なクローニング技術に関しては、「モレキュラークローニング第3版」、“Methods in Yeast Genitics、A laboratory manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor, NY)”等を参照することができる。
4.本発明の酒類の製法及びその製法によって得られる酒類
上述した本発明のベクターを製造対象となる酒類の醸造に適した酵母に導入し、その酵母を用いることによって所望の酒類でかつ亜硫酸含量が増加し、香味安定性に優れた酒類を製造することができる。また、下記の本発明の酵母の評価方法によって選択された酵母も同様に用いることができる。対象となる酒類としては、これらに限定されないが、例えば、ビール、ワイン、清酒などが挙げられる。
これらの酒類を製造する場合は、親株の代わりに本発明において得られた醸造酵母を用いる以外は公知の手法を利用することができる。したがって、原料、製造設備、製造管理等は従来法と全く同一でよく、亜硫酸含量を増加させた酒類を製造するためのコストの増加はない。つまり、本発明によれば、香味安定性等に優れた酒類を、既存の施設を用い、コストを増加させることなく製造することができる。
5.本発明の酵母の評価方法
本発明は、配列番号:1又は配列番号:3の塩基配列を有するカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列に基づいて設計したプライマー又はプローブを用いて、被検酵母の亜硫酸生成能について評価する方法に関する。このような評価方法の一般的手法は公知であり、例えば、WO01/040514号公報、特開平8−205900号公報などに記載されている。以下、この評価方法について簡単に説明する。
まず、被検酵母のゲノムを調製する。調製方法は、Hereford法や酢酸カリウム法など、公知の如何なる方法を用いることができる(例えば、Methods in Yeast Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory Press, p130 (1990))。得られたゲノムを対象にして、カタラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列(好ましくは、ORF配列)に基づいて設計したプライマー又はプローブを用いて、被検酵母のゲノムにその遺伝子あるいはその遺伝子に特異的な配列が存在するか否かを調べる。プライマー又はプローブの設計は公知の手法を用いて行うことができる。
遺伝子又は特異的な配列の検出は、公知の手法を用いて実施することができる。例えば、特異的配列の一部又は全部を含むポリヌクレオチド又はその塩基配列に対して相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドを一つのプライマーとして用い、もう一方のプライマーとしてこの配列よりも上流あるいは下流の配列の一部又は全部を含むポリヌクレオチド又はその塩基配列に対して相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドを用いて、PCR 法によって酵母の核酸を増幅し、増幅物の有無、増幅物の分子量の大きさなどを測定する。プライマーに使用するポリヌクレオチドの塩基数は、通常、10bp以上であり、15〜25bpであることが好ましい。また、挟み込む部分の塩基数は、通常、300 〜2000bpが適当である。
PCR 法の反応条件は、特に限定されないが、例えば、変性温度:90〜95℃、アニーリング温度:40〜60℃、伸長温度:60〜75℃、サイクル数:10回以上などの条件を用いることができる。得られる反応生成物はアガロースゲルなどを用いた電気泳動法等によって分離され、増幅産物の分子量を測定することができる。この方法により、増幅産物の分子量が特異部分のDNA 分子を含む大きさかどうかによって、その酵母の亜硫酸生成能について予測・評価する。また、増幅物の塩基配列を分析することによって、さらに上記性能についてより正確に予測・評価することが可能である。
また、本発明においては、被検酵母を培養し、配列番号:1又は配列番号:3の塩基配列を有するカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の発現量を測定することによって、被検酵母の亜硫酸生成能を評価することもできる。なお、カタラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の発現量の測定は、被検酵母を培養し、カタラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の転写産物であるmRNA又はタンパク質を定量することによって可能である。mRNA又はタンパク質の定量は、公知の手法を用いて行うことができる。mRNAの定量は例えばノーザンハイブリダイゼーションや定量的RT-PCRによって、タンパク質の定量は例えばウエスタンブロッティングによって行うことができる(Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons 1994-2003)。なお、被検酵母を培養した際に得られる発酵液中の亜硫酸濃度を測定することによって、その被検酵母における上記遺伝子の発現量を予測することも可能である。
さらに、被検酵母を培養して、配列番号:1または配列番号:3の塩基配列を有するカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の発現量を測定し、目的とするカタラーゼ活性に応じた前記遺伝子発現量の酵母を選択することによって、所望の酒類の醸造に好適な酵母を選択することができる。また、基準酵母および被検酵母を培養し、各酵母における前記遺伝子発現量を測定し、基準酵母と被検酵母の前記遺伝子発現量を比較して、所望の酵母を選択してもよい。具体的には、例えば、基準酵母および被検酵母を培養して配列番号:1または配列番号:3の塩基配列を有するカタラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の各酵母における発現量を測定し、基準酵母よりも該遺伝子が高発現である被検酵母を選択することによって、所望の酒類の醸造に好適な酵母を選択することができる。
あるいは、被検酵母を培養して、カタラーゼ活性の高い酵母を選択することによって、所望の酒類の醸造に好適な被検酵母を選択することができる。
これらの場合、被検酵母又は基準酵母としては、例えば、上述した本発明のベクターを導入した酵母、突然変異処理が施された酵母、自然変異した酵母などが使用され得る。カタラーゼ活性は、例えばOsorio et al., Archives of Microbiology, 181(3), 231-236 (2004) に記載の方法で評価することができる。突然変異処理は、例えば、紫外線照射や放射線照射などの物理的方法、EMS(エチルメタンスルホネート)、N-メチル-N-ニトロソグアニジンなどの薬剤処理による化学的方法など、いかなる方法を用いてもよい(例えば大嶋泰治編著、生物化学実験法39 酵母分子遺伝学実験法、p67-75、学会出版センターなど参照)。
なお、基準酵母、被検酵母として使用され得る酵母としては、醸造用に使用可能な任意の酵母、例えばビール、ワイン、清酒等の醸造用酵母などが挙げられる。具体的には、サッカロマイセス(Saccharomyces)属等の酵母(例えば、サッカロマイセス パストリアヌス、サッカロマイセス セレビシエ、およびサッカロマイセス カールスベルゲンシス)が挙げられるが、本発明においては、ビール酵母、例えばサッカロマイセス パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)W34/70等、サッカロマイセス カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)NCYC453、NCYC456等、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)NBRC1951、NBRC1952、NBRC1953、NBRC1954等が使用できる。さらにウイスキー酵母、例えばサッカロマイセス セレビシエNCYC90等、ワイン酵母、例えば協会ぶどう酒用1号、同3号、同4号等、清酒酵母、例えば協会酵母 清酒用7号、同9号等も用いることができるが、これに限定されない。本発明においては、ビール酵母、例えばサッカロマイセス パストリアヌスが好ましく用いられる。基準酵母、被検酵母は、上記酵母群から任意の組合せで選択してもよい。
以下、実施例によって本発明の詳細を述べるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1:ビール酵母のカタラーゼをコードする遺伝子(nonScCTT1)のクローニング
特開2004-283169に記載の比較データベースを用いて検索した結果、ビール酵母に特有のカタラーゼをコードする遺伝子、nonScCTT1を見出した(配列番号:1)。得られた塩基配列情報を基に、それぞれ全長遺伝子を増幅するためのプライマーnonScCTT1_for(配列番号:5)/nonScCTT1_rv(配列番号:6)を設計し、ゲノム解読株サッカロマイセス パストリアヌス バイヘンステファン34/70株(「W34/70株」と略記する場合がある。)の染色体DNAを鋳型としたPCRによってnonScCTT1の全長遺伝子を含むDNA断片を取得した。
上記のようにして得られたnonScCTT1遺伝子断片を、TAクローニングによってpCR2.1-TOPOベクター(インビトロジェン社製)に挿入した。nonScCTT1遺伝子の塩基配列をサンガーの方法 (F. Sanger, Science, 214, 1215, 1981) で分析し、塩基配列を確認した。
実施例2:ビール試醸中のnonScCTT1遺伝子発現解析
ビール酵母サッカロマイセス パストリアヌスW34/70株を用いてビール試醸を行い、発酵中のビール酵母菌体から抽出したmRNAをビール酵母DNAマイクロアレイで検出した。

麦汁エキス濃度 12.69%
麦汁容量 70L
麦汁溶存酸素濃度 8.6ppm
発酵温度 15℃
酵母投入量 12.8×106cells/mL

発酵液を経時的にサンプリングし、酵母増殖量(図1)、外観エキス濃度(図2)の経時変化を観察した。またこれと同時に酵母菌体をサンプリングし、調製したmRNAをビオチンラベルして、ビール酵母DNAマイクロアレイにハイブリダイズさせた。シグナルの検出はジーンチップオペレーティングシステム(GCOS;GeneChip Operating Software 1.0、アフィメトリクス社製)を用いて行った。nonScCTT1遺伝子の発現パターンを図3に示す。この結果より、通常のビール発酵においてnonScCTT1遺伝子が発現していることが確認できた。
実施例3:nonScCTT1高発現株の作製
実施例1に記載のnonScCTT1/pCR2.1-TOPOを制限酵素SacIおよびNotIで消化し、nonScCTT1遺伝子を含むDNA断片を調製した。これを制限酵素SacIおよびNotI処理したpUP3GLP2に連結させ、nonScCTT1高発現ベクターpUP-nonScCTT1を構築した。pUP3GLP2とは相同組換え部位としてオロチジン5リン酸デカルボキシラーゼ遺伝子URA3を含むYIp型(染色体組み込み型)の酵母発現ベクターであり、導入された遺伝子はグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子TDH3のプロモーター/ターミネーターによって高発現される。酵母での選択マーカーとして、ガラクトキナーゼ遺伝子GAL1のプロモーター/ターミネーターの制御下に薬剤耐性遺伝子YAP1が組み込まれており、ガラクトースを含む培地で発現が誘導される。また大腸菌での選択マーカーとしてアンピシリン耐性遺伝子Amprを含んでいる。
上述の方法で作製した高発現ベクターを用い、特開平07-303475に記載された方法でサッカロマイセス パストリアヌス バイヘンステファン164株を形質転換してセルレニン1.0mg/Lを含むYPGal平板培地(1%酵母エキス、2%ポリペプトン、2%ガラクトース、2%寒天)でセルレニン耐性株を選択した。
実施例4:ビール試験醸造における亜硫酸生成量の解析
親株ならびに実施例3で得られたnonScCTT1高発現株を用いた発酵試験を以下の条件で行った。

麦汁エキス濃度 12.78%
麦汁容量 2L
麦汁溶存酸素濃度 約8ppm
発酵温度 15℃一定
酵母投入量 10.5g湿酵母菌体/2L麦汁

発酵醪を経時的にサンプリングし、酵母増殖量(OD660)(図4)、エキス消費量(図5)の経時変化を調べた。発酵終了時における亜硫酸濃度の定量は、酸性下で蒸留により亜硫酸を過酸化水素水に捕集した後、アルカリで滴定することによって行った((財)日本醸造協会 改訂BCOJビール分析法)。
図6に示すとおり、nonScCTT1高発現株では親株の約2.1倍の亜硫酸を生成することが明らかとなった。またこのとき、親株と高発現株の間で、増殖速度およびエキス消費速度に有意な差はみられなかった。
実施例5:カタラーゼをコードする遺伝子(ScCTT1)のクローニング
特開2004-283169に記載の比較データベースを用いて検索した結果、ビール酵母特有のカタラーゼをコードする遺伝子、ScCTT1を見出した(配列番号:3)。得られた塩基配列情報を基に、それぞれ全長遺伝子を増幅するためのプライマーScCTT1_for(配列番号:7)/ScCTT1_rv(配列番号:8)を設計し、ゲノム解読株サッカロマイセス パストリアヌス バイヘンステファン34/70株の染色体DNAを鋳型としたPCRによってScCTT1の全長遺伝子を含むDNA断片を取得した。
上記のようにして得られたScCTT1遺伝子断片を、TAクローニングによってpCR2.1-TOPOベクター(インビトロジェン社製)に挿入した。ScCTT1遺伝子の塩基配列をサンガーの方法 (F. Sanger, Science, 214, 1215, 1981) で分析し、塩基配列を確認した。
実施例6:ビール試醸中のScCTT1遺伝子発現解析
ビール酵母サッカロマイセス パストリアヌスW34/70株を用いてビール試醸を行い、発酵中のビール酵母菌体から抽出したmRNAをビール酵母DNAマイクロアレイで検出した。

麦汁エキス濃度 12.69%
麦汁容量 70L
麦汁溶存酸素濃度 8.6ppm
発酵温度 15℃
酵母投入量 12.8×106cells/mL

発酵液を経時的にサンプリングし、酵母増殖量(図7)、外観エキス濃度(図8)の経時変化を観察した。またこれと同時に酵母菌体をサンプリングし、調製したmRNAをビオチンラベルして、ビール酵母DNAマイクロアレイにハイブリダイズさせた。シグナルの検出はジーンチップオペレーティングシステム(GCOS;GeneChip Operating Software 1.0、アフィメトリクス社製)を用いて行った。ScCTT1遺伝子の発現パターンを図9に示す。この結果より、通常のビール発酵においてScCTT1遺伝子が発現していることが確認できた。
実施例7: ScCTT1高発現株の作製
実施例5に記載の方法によって得られたScCTT1/pCR2.1-TOPOを制限酵素SalIおよびNotIで消化し、ScCTT1遺伝子を含むDNA断片を調製した。これを制限酵素SalIおよびNotI処理したpUP3GLP2に連結させ、ScCTT1高発現ベクターpUP-ScCTT1を構築した。
上述の方法で作製した高発現ベクターを用い、特開平07-303475に記載された方法でサッカロマイセス パストリアヌス バイヘンステファン164株を形質転換してセルレニン1.0mg/Lを含むYPGal平板培地(1%酵母エキス、2%ポリペプトン、2%ガラクトース、2%寒天)でセルレニン耐性株を選択した。
実施例8:ビール試験醸造における亜硫酸生成量の解析
親株ならびに実施例7に記載の方法によって得られたScCTT1高発現株を用いた発酵試験を以下の条件で行った。

麦汁エキス濃度 12.78%
麦汁容量 2L
麦汁溶存酸素濃度 約 8ppm
発酵温度 15℃一定
酵母投入量 10.5g湿酵母菌体/2L麦汁

発酵醪を経時的にサンプリングし、酵母増殖量(OD660)(図10)、エキス消費量(図11)の経時変化を調べた。発酵終了時における亜硫酸濃度の定量は、酸性下で蒸留により亜硫酸を過酸化水素水に捕集した後、アルカリで滴定することによって行った((財)日本醸造協会 改訂BCOJビール分析法)。図12に示すとおり、ScCTT1高発現株では親株の約1.7倍の亜硫酸を生成することが明らかとなった。またこのとき、親株と高発現株の間で、増殖速度およびエキス消費速度に有意な差はみられなかった。
本発明の酒類製造法によれば、製品中で抗酸化作用をもつ亜硫酸含量が増大するため、香味安定性に優れ、より品質保持期間の長い酒類を製造することが可能となる。
図1は、ビール試験醸造における酵母増殖量の経時変化を示す図である。横軸は発酵時間を、縦軸はOD660の値を示している。 図2は、ビール試験醸造におけるエキス消費量の経時変化を示す図である。横軸は発酵時間、縦軸は外観エキス濃度(w/w%)を示している。 図3は、ビール試験醸造中の酵母におけるnonScCTT1遺伝子の発現挙動を示す図である。横軸は発酵時間、縦軸は検出されたシグナル輝度を示している。 図4は、nonScCTT1高発現株を用いたビール試験醸造における酵母増殖量の経時変化を示す図である。横軸は発酵時間を、縦軸はOD660の値を示している。 図5は、nonScCTT1高発現株を用いたビール試験醸造におけるエキス消費量の経時変化を示す図である。横軸は発酵時間、縦軸は外観エキス濃度(w/w%)を示している。 図6は、nonScCTT1高発現株を用いたビール試験醸造の醗酵終了時における亜硫酸濃度を示す図である。 図7は、ビール試験醸造における酵母増殖量の経時変化を示す図である。横軸は発酵時間を、縦軸はOD660の値を示している。 図8は、ビール試験醸造におけるエキス消費量の経時変化を示す図である。横軸は発酵時間、縦軸は外観エキス濃度(w/w%)を示している。 図9は、ビール試験醸造中の酵母におけるScCTT1遺伝子の発現挙動を示す図である。横軸は発酵時間、縦軸は検出されたシグナル輝度を示している。 図10は、ScCTT1高発現株を用いたビール試験醸造における酵母増殖量の経時変化を示す図である。横軸は発酵時間を、縦軸はOD660の値を示している。 図11は、ScCTT1高発現株を用いたビール試験醸造におけるエキス消費量の経時変化を示す図である。横軸は発酵時間、縦軸は外観エキス濃度(w/w%)を示している。 図12は、ScCTT1高発現株を用いたビール試験醸造の醗酵終了時における亜硫酸濃度を示す図である。

Claims (20)

  1. 以下の(a)〜(d)からなる群から選択されるポリヌクレオチド:
    (a)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
    (b)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
    (c)配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜15個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ亜硫酸生成能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
    (d) 配列番号:2のアミノ酸配列に対して97%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ亜硫酸生成能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  2. 以下の(g)〜(h)からなる群から選択される請求項1に記載のポリヌクレオチド:
    (g)配列番号:2のアミノ酸配列又は配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ亜硫酸生成能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
    (h) 配列番号:2のアミノ酸配列に対して98%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ亜硫酸生成能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  3. 配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有する請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  4. 配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  5. DNAである、請求項1〜4のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含有するベクター。
  8. 以下の(j)〜(l)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有するベクターが導入され、亜硫酸生成能が増大した酵母
    (j)配列番号:2もしくは4のアミノ酸配列又は配列番号:4のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ亜硫酸生成能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
    (k) 配列番号:2もしくは4のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ亜硫酸生成能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
    (l)配列番号:1もしくは3の塩基配列からなるポリヌクレオチド、又は配列番号:1もしくは3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ亜硫酸生成能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  9. 請求項7に記載のベクターが導入された酵母。
  10. 亜硫酸生成能が増大した請求項9に記載の酵母。
  11. 請求項6に記載のタンパク質の発現量を増加させることによって、亜硫酸生産能が増強された請求項10に記載の酵母。
  12. 請求項9〜11のいずれかに記載の酵母を培養することを含む酒類の製造方法。
  13. 醸造する酒類が麦芽飲料である請求項12に記載の酒類の製造方法。
  14. 醸造する酒類がワインである請求項12に記載の酒類の製造方法。
  15. 配列番号:1又は配列番号:3の塩基配列を有する亜硫酸生成能を有するタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列に基づいて設計したプライマー又はプローブを用いて、被検酵母の亜硫酸生成能について評価する方法。
  16. 被検酵母を培養し、配列番号:1又は配列番号:3の塩基配列を有する亜硫酸生成能を有するタンパク質をコードする遺伝子の発現量を測定することによって、被検酵母の亜硫酸生成能を評価する方法。
  17. 被検酵母を培養して請求項6に記載のタンパク質を定量、または配列番号:1もしくは配列番号:3の塩基配列を有する亜硫酸生成能を有するタンパク質をコードする遺伝子の発現量を測定し、目的とする亜硫酸生成能に応じた前記タンパク質量または前記遺伝子発現量の被検酵母を選択する、酵母の選択方法。
  18. 基準酵母および被検酵母を培養して配列番号:1又は配列番号:3の塩基配列を有する亜硫酸生成能を有するタンパク質をコードする遺伝子の各酵母における発現量を測定し、基準酵母よりも該遺伝子が高発現である被検酵母を選択する、請求項17に記載の酵母の選択方法
  19. 基準酵母および被検酵母を培養して各酵母における請求項6に記載のタンパク質を定量し、基準酵母よりも該タンパク質量の多い被検酵母を選択する、請求項18に記載の酵母の選択方法。
  20. 請求項9〜11に記載の酵母および請求項17〜19に記載の方法により選択された酵母のいずれかの酵母を用いて酒類製造のための発酵を行い、亜硫酸濃度を制御することを特徴とする、酒類の製造方法。
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