JP4478411B2 - パターン形成方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、アクティブマトリクスの製造過程における、パターン作成方法に関する。詳しくは、伸縮率の大きい材料を基板として用いたときの、伸縮によるパターンの重ねずれを解消するデータ補正技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置等において、各画素をMIM(Metal-Insulator-Metal)素子やTFT(薄膜トランジスタ:Thin Film Transistor)等の能動素子でスイッチングするアクティブマトリクス方式が知られている。このような表示装置に用いられる基板上には複数の薄膜層をパターニングして構成される能動素子が、単体素子を構成すべきユニットが繰り返しパターン的に多数設けられている。薄膜層をパターニングする方法としては、フォトリソグラフィー法が一般に使用される。その工程は以下の通りである。
【0003】
(1)薄膜層を有する基板上にフォトレジスト層を塗布する(レジスト塗布)。
(2)加熱により溶剤を除去する(プリベーク)。
(3)パターンデータに従ってレーザーあるいは電子線を用いて描画されたハードマスクを通して紫外光を照射する(露光)。
(4)アルカリ溶液で露光部のレジストを除去する(現像)。
(5)加熱により未露光部(パターン部)のレジストを硬化する(ポストベーク)。
(6)エッチング液に浸漬またはエッチングガスに暴露し、レジストのない部分の薄膜層を除去する(エッチング)。
(7)アルカリ溶液または酸素ラジカルでレジストを除去する(レジスト剥離)。
薄膜層を形成後、上記の工程を繰り返すことによって能動素子が完成するが、高価な設備と工程の長さがコストを上昇させる原因となっている。
【0004】
近年、製造コストを低減するために印刷法によるパターン形成が試みられている。TFTを構成する薄膜層のパターニング工程の一部を、フォトリソグラフィー法の代わりに例えば凹版オフセット印刷法で行う方法が開示されている(例えば、特許文献1 参照。)。凹部にレジストが入った印刷版の上を転写体が回転することによってレジストを転写体に転写し、これを被転写層(薄膜層)が形成された基板上に印刷することによって被転写層上にレジストパターンが形成される。
【0005】
全ての層が有機材料で構成されるTFTの電極層を、インクジェット法で直接パターン形成する方法も提案されている(例えば、非特許文献1 参照。)。インクジェット法でパターン形成する際に、基板上に設けられた位置決めマークの位置情報に基づいて、吐出ヘッドまたは基板が固定されたステージの位置を補正し、基板上の所定の領域にインクを塗布する方法が提案されている(例えば、特許文献2 参照。)。これはパターン全体を基板上の正しい位置に配置するための補正方法を提供するものである。
【0006】
ところで、印刷におけるパターン補正方法については本出願人もいくつかの技術を開示している(例えば、特許文献3 参照。)。例えば、インクを噴出するノズルを有する複数のヘッドの位置補正を、各ヘッドの印字位置を検出する手段からの変位データに基づいて、ヘッド移動手段によって行うカラーインクジェットプリンタが開示されている。これはヘッド間の位置ずれによる色ずれ等を補正するためのものである。
【0007】
一方、携帯機器に用いる表示装置に対しては軽量化や耐衝撃性が求められており、従来のガラス基板に代わってプラスチック基板の使用が検討されている。しかしながら、プラスチック基板はガラス基板に比べて能動素子形成プロセス中における寸法変化が大きく、その結果、基礎パターン(下地パターン)に対する重ね合わせパターンの重ね位置がマージンを超えるユニットが発生し、不良素子となるという問題がある。
しかしながら、上記のいずれのパターン形成方法においてもこのような問題を解決する手段は提示されておらず、プラスチック基板を用いた大面積で高解像度の表示装置の実現は困難であった。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−268585号公報(第5頁、段落0019、図1)
【特許文献2】
特開2002−347238号公報(第4頁、段落0022、図1)
【特許文献3】
特開平5−301353号公報(第3頁、段落0022、図2)
【非特許文献1】
SOCIETY FOR INFORMATION DISPLAY 2002 INTERNATIONAL SYMPOSIUM DIGEST OF TECHNICAL PAPER・VolumeXXXIII,p.1017〜1019
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、基板の寸法変化があってもパターンずれによる不良が発生しないパターン形成方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明では、繰り返しパターンである基礎パターンが形成された基板上に、前記基礎パターンの繰り返しパターンに対応するユニットの繰り返しパターンである所定の重ねパターンデータに従って複数の重ねパターンを形成するパターン形成方法において、前記所定の重ねパターンデータが前記ユニットの形状データとユニット間隔データとからなり、2番目以降の重ねパターンを形成するとき、それ以前の重ねパターン形成時と、基礎パターンの形成時のうちから選択する予め定められた時点からの基板の伸縮率を計測し、その計測値に従って前記所定の重ねパターンデータを前記ユニット間隔データの補正によって行う補正であって、前記両パターンの一端において所定の重ね合わせを行い、互いのずれ量が重ね合わせマージンを超え始めるユニットとその直前のユニットとの間隔のみを補正し、必要に応じてその手順を繰り返すことを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明では、請求項1に記載のパターン形成方法において、前記基礎パターン形成と同時に前記基板の伸縮率を計測するためのマークを形成することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明では、繰り返しパターンである基礎パターンが形成された基板上に、前記基礎パターンの繰り返しパターンに対応したユニットの繰り返しパターンである所定の重ねパターンデータに従って複数の重ねパターン形成物質を前記基板上に配置する手段を有するパターン形成装置において、前記所定の重ねパターンデータは、前記ユニットの形状データとユニット間隔データとからなり、2番目以降の重ねパターンを形成するとき、それ以前の重ねパターン形成時と、基礎パターンの形成時のうちから選択する予め定められた時点からの基板の伸縮率を計測し、その計測値に従って前記ユニット間隔データの補正によって行う補正であって、前記両パターンの一端において所定の重ね合わせを行い、互いのずれ量が重ね合わせマージンを超え始めるユニットとその直前のユニットとの間隔のみを補正し、必要に応じてその手順を繰り返すことを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明では、請求項3に記載のパターン形成装置において、前記基板は、前記基礎パターン形成と同時に前記基板の伸縮率を計測するためのマークが形成されたものであることを特徴とする。
請求項5の発明では、請求項3または4に記載のパターン形成装置において、前記所定の重ねパターンデータに従って液状物を吐出させるノズルを有することを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明では、請求項3ないし5のいずれか1つに記載のパターン形成装置において、該装置は、前記所定の重ねパターンデータに従って印刷版を製版する手段と、該印刷版に液状物を付着させて基板上に転写する手段とを有することを特徴とする。
請求項7の発明では、請求項6に記載のパターン形成装置において、前記印刷版上の液状物を一旦転写体に形成した後に、該転写体を基板に接触させることにより前記液状物を基板上に配置する手段を有することを特徴とする。
【0017】
請求項8の発明では、請求項6または7に記載のパターン形成装置において、前記印刷版が、基体を有し、該基体上に、加熱状態で液体または固体と接触させたときに後退接触角が低下し、空気中で加熱すると後退接触角が上昇する性質を有する材料を含む表面層を少なくとも有するものであることを特徴とする。
【0021】
【実施例】
以下に実施例に従って本発明を説明する。
図1は本発明のパターン形成方法のプロセスを示す流れ図である。
同図において、符号D0は重ねパターンの設計上のパターンデータ、D0’は同修正パターンデータ、D1は基板伸縮率データ、D2はパターン補正データ、Sはフローチャートのステップをそれぞれ示す。
初めに、本流れ図に従ってプロセスの概要を説明する。
最初に基板の伸縮率を測定する。基準となる基板サイズの測定のタイミングは、予め設けられる基礎パターンを形成した時点とする。測定する部位は、後述するように、基板自身のサイズ、基礎パターン形成と同時に設ける伸縮測定用マークなどを利用する。いずれの場合も、得られる値は「測定値」であるが、実質的に設計値と同等である。重ねパターンを形成する直前に、比較すべき基板サイズの測定を行う。基準となるデータと、比較すべきデータの差を用いて基板の伸縮率D1を算出する(S1)。
【0022】
得られた伸縮率が、基礎パターンと重ねパターン相互の位置ずれの許容範囲に入っているかどうかを判定する(S2)。
許容範囲に入っていれば、設計値どおりのパターン作成を行っても構わないので、重ねパターンデータの設計値D0を呼び出す(S3)。
一方、許容範囲に入っていなければ、重ねパターンデータを修正する必要がある。そのため、計測データとして得られた伸縮率を、重ねパターンの、個別の繰り返しパターンに何らかの方法で誤差配分し、それぞれの個別パターンが基礎パターンに対して許容誤差範囲に収まるようにパターンの補正データD2を算出する(S4)。
その結果を用いて、重ねパターンに関し、新たな修正パターンデータD0’を作製する(S5)。誤差配分の方法については後に詳述する。
重ねパターンの設計パターンデータD0、もしくは修正パターンデータD0’を用いて基板上に重ねパターンを描画する(S6)。
【0023】
図2以下を用いて本発明の実施形態を説明する。
図2は基板の測定部位の一実施形態を説明するための図である。
同図において符号101は基板、A、B、C、Dは長方形基板の各頂点、X、Yは左上を原点とする座標軸をそれぞれ示す。
基準となる測定値を得る測定部位は、4辺AB、CD、AC、BDの長さとする。図示しない基礎パターン形成時にこの4辺の長さを測定し、それぞれの測定値を基準値AB1、CD1、AC1、BD1とする。
図示しない重ねパターン形成直前に、同様にこの4辺の長さを測定する。そのときのそれぞれの値を比較値AB2、CD2、AC2、BD2とする。
【0024】
ΔAB=AB2−AB1、ΔCD=CD2−CD1を求め、両者の平均値からX軸方向の伸縮率ΔX%を求める。伸縮率は正負いずれもあり得る。
同様に、ΔAC=AC2−AC1、ΔBD=BD2−BD1を求め、両者の平均値からY軸方向の伸縮率ΔY%を得る。
【0025】
図3は基板の測定部位の他の実施形態を説明するための図である。
同図において符号102は直線マーク、ab、ac、bd、cdは直線マークの長さをそれぞれ示す。
図示しない基礎パターンを形成するとき、同時に4本の直線マーク102を形成して、測定により、それぞれの長さab1、ac1、bd1、cd1を基準値として得ておく。
図示しない重ねパターン形成直前に、同様にこの4本の直線マーク102の長さを測定する。そのときのそれぞれの値を比較値ab2、ac2、bd2、cd2とし、前記と同様な手法により、X軸方向、Y軸方向の伸縮率ΔX%、ΔY%を算出する。
【0026】
図4は基板の測定部位のさらに他の実施形態を説明するための図である。
同図において符号102’は+マーク、ab’、ac’、bd’、cd’は+マーク間の距離をそれぞれ示す。
同様に基礎パターン形成時に+マーク102’を形成し、+マーク間の距離の測定値ab’1、ac’1、bd’1、cd’1を基準値として得ておく。重ねパターン形成直前に、+マーク間の距離を測定して比較値ab’2、ac’2、bd’2、cd’2を得て、前記と同様な手法により、X軸方向、Y軸方向の伸縮率ΔX%、ΔY%を算出する。
なお、図ではマークの形状を+の形状で示しているが、間隔を測定する用途に適していれば、その形状は問わない。
【0027】
以上の各方法のいずれかで求めた伸縮率から算出したパターン全長に対する誤差量が、基礎パターンと重ねパターンのそれぞれの一端を所定の重ね位置で重ね合わせたときに、他端において許容される誤差量より小さい場合は、重ねパターンとして、設計値どおりのパターンデータをそのまま用いることができる。
伸縮量が他端で許容される誤差量より大きい場合は、他端側のパターンは正しく重ね合わせができず、製品としては使えないものができてしまう。
ここでいう所定の重ね位置とは、伸縮率が正であれば、例えば、座標原点側のユニットをマージン内で正方向に寄せた位置をいう。こうすることで、基板の伸びに対する誤差を極力吸収することができる。伸縮率が負であれば、逆方向に寄せる。
このことを図を用いて詳しく説明する。
【0028】
図5は重ねパターンの一例を示す図である。
同図において符号103は基本パターン、a、bは基本パターンのそれぞれX方向、Y方向のサイズ、Lpx、Lpyはそれぞれの方向のユニット最大間隔、x、yはそれぞれの方向の繰り返しピッチをそれぞれ示す。
重ねパターンは基本パターン103(以下ユニットと称することもある)の縦横共に繰り返しのパターンであるとする。繰り返しの横ピッチをxとし、縦ピッチをyとする。重ねパターンデータD0は、ユニットの形状データa、bとユニット間隔データx、yから構成される。
1つの基礎パターンに対して、重ねパターンは1つと限らない。重ねパターンが複数有る場合、2番目以降の重ねパターンはそれ以前に形成されたどのパターンと密接な位置関係が有るかによって、伸縮率計測のための基準値をそれに対応させて選ぶ。
【0029】
図6は基礎パターンに重ねパターンが正しく重ねられた状態を示す図である。
同図において符号104は基礎パターン、αはX方向のマージン、βはY方向のマージンをそれぞれ示す。
ここでは説明の簡略化のため、マージンα、βはそれぞれ左右、上下に関し振り分けになっているものとする。このマージンα、βが許容誤差であるとする。すなわち、X方向、Y方向とも重ね合わせの許容誤差は正負とも等量であるとする。なお、α、βの大きさや位置等は、説明の便宜上の一例である。
【0030】
図7は伸縮量がX方向、Y方向とも許容値を超えた場合を示す図である。
同図において符号A、A’、B、B’は特定の基本パターンをそれぞれ示す。
この例は基礎パターン形成後、重ねパターン形成時点までに基板が伸びた場合に相当する。図において、左上部の基本パターン103をほぼ許容誤差いっぱいに右下に寄せて重ね合わせたとする。このとき、左上部の基本パターンの重ね誤差はX方向がほぼ+α、Y方向がほぼ+βである。
繰り返しピッチx、yがそのままであれば、X方向に関してAと名付けた基本パターン3までは重ね合わせ誤差がほぼ−αとなって許容限界に入るが、それより右のA’と名付けた基本パターン3は許容誤差限界−αに一致するかそれを超えてしまう。
同様にY方向に関してBと名付けた基本パターン3までは許容誤差限界−βに入るが、それを超えるB’と名付けた基本パターン3は許容誤差限界−βに一致するかそれを超えてしまう。
【0031】
このように、伸縮量が他端での重ね合わせの許容誤差量より大きいときは、何らかの工夫をして重ねパターンのパターンデータを補正しなければならない。
以下その方法を述べる。
一般に基礎パターンの伸縮率が分かれば、重ねパターンのパターンデータ全体をその伸縮率に合わせて伸縮させてやれば済むはずである。光学的投影によるパターンの伸縮であれば、この方法が一番簡単であるが、デジタルデータの場合は若干事情が異なる。すなわち、基板の伸び率は大きくとも0.1%程度であるため、ピッチx、y等が元々小さな値であることから、変化量がデジタル化の誤差に隠れてしまうこともある。
そこで、誤差を均等に配分する考え方ではなく、誤差の大小はあっても誤差の絶対値が許容値αあるいはβを超えないようにするという考え方に基づいて補正方法を考える。
【0032】
図8はパターンデータ補正の一実施形態を説明するための図である。
同図において符号x’、y’はそれぞれX方向、Y方向の補正用ピッチデータを示す。
図7に示したのと同様に、図の左上の基本パターン3を許容誤差いっぱいに右下に寄せて重ね合わせをし、A、Bで示すユニットまではX方向、Y方向ともそのまま設計値どおりのデータを用いる。そして、次のユニットA’、B’に移るとき、それまでx、yであったピッチを一時的にそれぞれx’、y’に変更する。
ここで、ユニットAのX方向の位置が左からN番目であるとしたとき、Nは
n×x×(ΔX/100)≧2α・・・(1)
を満足する最小の整数nに等しい。そして、N+1番目であるユニットA’との間のピッチx’は、
x’=x+2α・・・(2)
とすればよい。
【0033】
以後のピッチは再びxとして良い。
なお、ユニットのX方向の繰り返し総数をMとすると、
Lpx=M×x・・・(3)
であるから、
Lpx×(ΔX/100)≧4α・・・(4)
を満足するときは、同様の考え方を繰り返し適用すればよい。
Y方向に関しても基本的には全く同様に処置すればよい。
以上のようにすれば、X方向においても、Y方向においても重ね合わせ誤差の絶対値は最大でもそれぞれのマージンα、β以下に収まる。
以上の説明は、基板が延びた場合を前提としているが、逆に基板が収縮した場合は当然、伸縮率の符号を考慮しなければならない。すなわち、伸縮率の正負に関わりなく式を表現するためには(1)、(4)式は左辺を絶対値表現する必要がある。また、(2)式の右辺の「+」は「±」に置き換える。
【0034】
本来なら基本パターン3自身の伸縮も考慮に入れるべきであるが、ピッチに関しては誤差が累積されるのに対し、パターン寸法は累積されないことと、パターンの絶対寸法が小さいため、伸縮によって発生する寸法差の実寸は非常に僅かであることから、これを無視しても実用上は差し支えない。
【0035】
この考え方を適用すれば、もう一つの補正方法として、伸縮量をユニット間隔データに均等配分し、ユニット形状データは補正しないという方法も採用できる。この場合、ピッチx、yを伸縮率で補正した値をx”、y”とすると、そこには装置の送り量の量子化による誤差が含まれる。x”、y”に対応する送り量をu”、v”としたとき、これらが結果的にx、yに対応する送り量をu、vとしてそれらに一致してしまう場合はこの方法は使えない。送り量u”、v”がu、vと異なる値になる場合はこの方法も効果があるので、X方向の最大ユニット間隔を用いて、 δ=|Lpx×(ΔX/100)|−|Mu”|・・・(5)
とおくと、δは一般に絶対値がαより小さい値ではあるが、0になるとは限らない。δは正負ともに取り得る値であり、+または−の符号を含んでいる。
この場合、基礎パターンに対する重ねパターンの左端のユニットを設計位置から−δ/2だけずらして配置すれば、右端のユニットで+δ/2の誤差となり、全体として各ユニットのずれ量は|δ|/2の範囲に収まる。Y方向に関しても同様の考え方で補正することは言うまでもない。
【0036】
以上説明したパターン形成方法によれば、重ねパターン形成前に予め定められた時点からの基板の伸縮率を計測し、その計測値に従ってパターンデータD0を補正するようにしたので、基板の寸法変化があってもパターンずれによる不良が発生しないパターン形成方法を提供することができる。
パターンデータD0が繰り返しユニットの形状データとユニット間隔データとからなる場合、パターンデータD0の補正がユニット間隔データx、yの補正であるようにしたので、簡便な演算処理で補正が実行できるパターン形成方法を提供することができる。
ユニット間隔データを均等に補正し、デジタル化による累積誤差を両端で均等配分したので、精度の良い重ね合わせができる。
【0037】
重ねパターンが基板101上に予め設けられた基礎パターンに対して所定の位置で重ね合わせるものであって、ずれ量が重ね合わせマージンを超え始めるユニットとその直前のユニットとの間隔のみを補正するようにしたので、補正量が現実的な手段で容易に実施できる値となるとともに、さらに簡便な演算処理で補正が実行できるパターン形成方法を提供することができる。
前記予め設けられた基礎パターンと同時に基板の伸縮率を計測するためのマークを形成するようにしたので、予め定める時点を自動的に決定することができるパターン形成方法を提供することができる。
【0038】
図9は本発明にかかわるパターン形成装置の一例を示す概略図である。
同図において符号105は単数または複数のノズルを有するヘッド、106は基板を保持するステージ、201はインク吐出コントローラ、202はステージコントローラをそれぞれ示す。
ヘッド105は、インク等の液状物を例えば吐出量がpl(ピコリットル)単位で吐出制御可能な、ピエゾ駆動のインクジェットヘッド等で構成され、ステージ106は、基板101を保持して、ヘッド105との間で2次元的に相対移動ができるように構成されている。
ステージ106を可動に構成する場合、例えば、精密駆動モータとリニアエンコーダによる1μm単位の位置決めが可能な走査システムを備えたものを用いるのが望ましい。
【0039】
基板伸縮率の計測データD1から作製されたパターン補正データD2を基に、設計済みのパターンデータD0を修正した修正パターンデータD0’を生成し、それに従ってインク吐出コントローラ201によって吐出タイミングを制御し、ステージコントローラ202によって基板位置を制御する。これによって、所定のパターンを許容誤差範囲内で基板に形成する。ただし、前述のように、伸縮量が許容誤差以内であればパターンデータD0を用いるのは前述の通りである。
【0040】
基板伸縮率の測定は別の場所で行ってもよいし、この装置内で行ってもよい。測定は光学的あるいはCCD等による画像の認識手段と、該手段の移動距離を計測する手段とを備えた測長システムを用いて行うことができる。補正データD2の作成は前述の方法で行うことができる。これらは基板伸縮率の計測からコントローラへの指令までをプログラムした演算システムによって速やかに実行されるのが望ましい。なお、基板101とヘッド105の相対位置の制御は、ステージ106の移動の代わりにヘッド105の移動によって行ってもよい。あるいは、ピッチx、yの移動はステージ106により、±2α、±2βの移動をヘッド105が分担するようにすれば、それぞれの移動ピッチが固定的になるので精度向上が望める。
【0041】
以上によって、基板の寸法変化があってもパターンずれによる不良が発生しないパターン形成装置を提供することができる。
パターンデータが繰り返しユニットの形状データとユニット間隔データとからなり、パターンデータは、ユニット間隔データx、yを補正したものであるようにしたので、簡便な演算処理で補正が実行できるパターン形成装置を提供することができる。
重ねパターンが基板上に予め設けられた基礎のパターンに対して所定の位置で重ね合わせるものであって、パターンデータD0は、ずれ量が重ね合わせマージンを超え始めるユニットとその直前のユニットとの間隔のみを補正したものであるようにしたので、補正量が現実的な手段で容易に実施できる値となるとともに、さらに簡便な演算処理で補正が実行できるパターン形成装置を提供することができる。
【0042】
前記予め設けられた基礎パターン形成と同時に基板の伸縮率を計測するためのマークが形成されたものであるようにしたので、予め定める時点を自動的に決定することができるパターン形成装置を提供することができる。
また、所定のパターンデータD0もしくはD0’に従って液状物を吐出させるノズルを有するようにしたので、微細なパターンを高精度に形成できるパターン形成装置を提供することができる。
【0043】
図10は本発明にかかわる他のパターン形成装置を示す概略図である。
同図において符号107は記録体としての印刷版、108は回転ドラム、109は書き込み手段、110は現像ローラ、111は液層形成手段、112はクリーニングローラ、113は初期化用の赤外線ヒータ、114は加圧ローラ、203はビームコントローラ、204はドラムコントローラをそれぞれ示す。
【0044】
所定のパターンデータに従って印刷版を製版する手段として、回転ドラム108に固定された印刷版107の周囲に、液層形成手段111、印刷版表面にレーザビーム等のエネルギービームを照射する書き込み手段109、印刷版上に液状物を供給する現像ローラ110、クリーニングローラ112、初期化用の赤外線ヒータ113からなる製版装置を用いる。
印刷版107の表面には加熱状態で液体または固体と接触させたときに後退接触角が低下し、空気中で加熱すると後退接触角が上昇する性質を有する材料を含む層が形成されるのが望ましい。そのような材料として、特開平3−178478号公報などに記載の含フッ素アクリレート系ポリマー等が好適に使用できる。
【0045】
この装置においては、液層形成手段111により印刷版107表面を液体に接触させた状態で、書き込み手段109によって選択的に加熱を行うことにより潜像パターンを形成した後、現像ローラ110によって潜像形成部に液状物(インク)を付着させる。次に加圧ローラ114によって基板101に液状物を転写する。クリーニングローラ112でクリーニングした後、赤外線ヒータ113で空気中において全面加熱し、記録体表面の後退接触角を回復させる。なお、ローラあるいは回転ドラムからなる各部材をベルトを用いて構成してもよい。
この方式ではパターンの1回転写が行われるので、パターンの反転が生ずるため、予めパターンデータD0もしくはD0’は鏡面パターンに変換しておく。
【0046】
上記はポジ書き込みであるが、それぞれの役割を変えて、112を液層形成手段、111を液層除去手段とすることで、まず全面を後退接触角の低下した状態とし、書き込み手段109によって選択的に空気中で加熱を行うことにより、ネガ書き込みを行ってもよい。
このような感熱濡れ性変化材料を用いた記録方式については、特開平8−276663号公報、特開2000−238304号公報、特開2001−10223号公報、特開2002−274076号公報等に詳述されている。
【0047】
いずれにおいても、基板伸縮率の計測データD1から作成されたパターン補正データD2を基に、設計済みのパターンデータD0を修正した修正パターンデータD0’を生成し、それに従ってビームコントローラ203によって照射タイミングを、ドラムコントローラ204によって照射位置をそれぞれ制御し、所定のパターンD0もしくはD0’を印刷版107上に形成する。印刷版107上のパターンは等倍で基板101に転写される。
図9に示した液状物(インク)を吐出させる単数または複数のノズルを有するヘッドを用いた場合にはノズルの目詰まり等が発生するなどメンテナンス性にやや問題があったが、この装置においてはノズルを用いていないのでそのような問題がない。
【0048】
図11は本発明にかかわるさらに他のパターン形成装置を示す概略図である。
同図において符号115は転写体を示す。
同図は図10の構成とほぼ同様な構成であるが、異なるところは転写体115を有している点である。印刷版107のパターンを一旦転写体115に転写した後、基板101に付着させる。転写体として弾性を有する材料を用いることで、基板上にパターンを形成する際に、前工程の関係で基板表面に凹凸などがあってもその影響を受けにくいパターン形成方法を提供することが可能となる。
転写体材料としては、適度な弾性と、インクが付着しやすい性質、また、付着したインクが凝集したり広がったりしてパターンが変形することのないような特性が必要となる。そのためインクの特性によって最適な転写体材料は変わるが、その一例を示せば、天然ゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルゴムなど各種ゴム類を挙げることができる。
本装置によれば、パターンは2回転写が行われるので、パターンデータの反転は必要なくなる。
【0049】
所定のパターンデータD0もしくはD0’に従って印刷版を製版する手段、および該印刷版に液状物を付着させて基板上に転写する手段を有するようにしたので、メンテナンスの容易なパターン形成装置を提供することができる。
あるいは、液状物を一旦転写体に転写した後に、該転写体を基板に接触させることにより前記液状物を基板上に配置する手段を有するようにしたので、基板表面の凹凸などの影響を受けにくいパターン形成装置を提供することができる。
前記印刷版が基体上に少なくとも、加熱状態で液体または固体と接触させたときに後退接触角が低下し、空気中で加熱すると後退接触角が上昇する性質を有する材料を含む表面層を有するようにしたので、印刷版が繰り返し使用でき、さらにレーザ書き込みを用いることにより微細なパターンを形成することができるパターン形成装置を提供することができる。
【0050】
図12は本発明のパターン基板の一例を示す概略断面図である。
図13は形成パターンの1ユニット付近の平面図である。
両図において符号116は能動素子、117はゲート電極、118はゲート絶縁膜、119はソース電極、120はドレイン電極、121は有機半導体層、122は画素電極、Gはゲート電極の幅、Lはチャネル長をそれぞれ示す。
ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなるプラスチック基板101上に能動素子116として、活性層となる有機半導体薄膜を有する薄膜トランジスタが形成される。
ソース電極119とドレイン電極120に対して有機半導体層121は重ね合わせマージンが小さいので、ソース電極119とドレイン電極120を形成したときの基板寸法を基準値として、有機半導体層121形成時に基板伸縮率計測用の比較値を取得して伸縮率の算出を行う。
【0051】
ゲート電極117はTa、Mo、W、Al、Cu、Ag、Ni、ITO、カーボン、ポリアニリン、PEDOT(polyethylenedioxythiophene)等の導電性薄膜からなる。
ゲート絶縁膜118はSiNx、SiO2、Al2O3、Ta2O5、ZrO2、BaTiO3、SrTiO3、PLZT、シアノメチルプルラン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、パリレン等の誘電体薄膜からなる。
ソース電極119、ドレイン電極120はそれぞれ、Al、Cr、Au、Pt、Pd、Ag、ITO、カーボン、ポリアニリン、PEDOT等の導電性薄膜からなる。
【0052】
有機半導体層121は、従来知られているいずれの材料を用いてもよく、例えばペンタセン、アントラセン、テトラセン、フタロシアニン等の低分子やポリアセチレン系導電性高分子、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体等のポリフェニレン系導電性高分子、ポリピロール及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリフラン及びその誘導体等の複素環系導電性高分子、ポリアニリン及びその誘導体等のイオン性導電性高分子等が使用できる。
画素電極122は、上記の導電性薄膜が使用できるが、透過形の表示装置に用いる場合にはITO、ZnO:Al等の透明導電膜が好適に使用される。
【0053】
上記の薄膜トランジスタにおいては、特に重ね合わせマージンの厳しいソース電極、およびドレイン電極をパターニングする際のエッチングマスク(レジスト)の形成と有機半導体層パターンの直接形成の際に本発明のパターン形成方法を用いるのが望ましい。すなわち、本基板では、基礎パターンに対し、重ねパターンを複数用いている。
なお、上記例では能動素子として有機半導体薄膜を有する薄膜トランジスタを挙げたが、a−Si等の無機半導体を用いた薄膜トランジスタや、Ta2O5、SiNx、DLC(Diamond−like Carbon)等の絶縁膜を導電性薄膜からなる電極で挟んだMIM素子等にも適用可能である。
能動素子の上部、特に活性層の上に保護膜を設けるのが望ましい。保護膜としては無機絶縁膜または有機絶縁膜を用いることができるが、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド等の有機高分子膜を用いた場合には印刷法で形成できるため製造が簡便になる。
【0054】
以上の構成によれば、基板の寸法変化があってもパターンずれによる不良が発生しないパターン基板を低コストで提供することができる。
また、上記パターン形成方法を用いて形成された少なくともひとつの重ねパターンをマスクとして、該重ねパターンと概略同一の形状に加工された層を有するので、加工する材料がインク化できないものであっても同様に重ねパターンの補正を行うことができる。
パターン基板において、異なる重ねパターンからなる二つ以上の層を有するので、機能性の高いパターン基板を提供することができる。前記異なる重ねパターンからなる二つ以上の層が能動素子を構成しているので、さらに機能性の高いパターン基板を提供することができる。
前記能動素子が、少なくとも1つの層が有機物からなる薄膜トランジスタに構成できるので、機能性の高いパターン基板をより低コストで提供することができる。
基板がプラスチックよりなるので、軽量なパターン基板を提供することができる。
【0055】
図14は本発明によって作製された表示装置の一例を示す概略図である。
同図において符号123は表示素子、124は基板、125は透明導電膜をそれぞれ示す。
前記の能動素子116を形成したパターン基板と、透明導電膜125を有する基板124との間に表示素子123が設けられ、能動素子116によって各画素上の表示素子がスイッチングされる。基板124としてはポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等のプラスチックを用いるのが軽量化の点から好ましい。表示素子123としては液晶、電気泳動、有機EL等の方式を用いることができる。
【0056】
液晶表示素子は電界駆動であることから消費電力が小さく、また駆動電圧が低いことからTFTの駆動周波数を高くすることができ、大容量表示に適している。液晶表示素子の表示方式として、TN、STN、ゲスト・ホスト型、高分子分散液晶(Polymer−dispersed Liquid Crystal=PDLC)等が挙げられるが、反射型で明るい白色表示が得られる点ではPDLCが好ましい。
【0057】
電気泳動表示素子は第一の色(例えば白色)を呈する粒子を第二の色を呈する着色分散媒中に分散した分散液からなるもので、第一の色を呈する粒子は着色分散媒中で帯電することにより、電界の作用で分散媒中における存在位置を変えることができ、それによって呈する色が変化する。この表示方式によれば明るく、視野角の広い表示ができ、また表示メモリー性があるため特に消費電力の観点から好ましく使用される。
【0058】
上記分散液を高分子膜で包んだマイクロカプセルとすることにより、表示動作が安定化するとともに、表示装置の製造が容易になる。マイクロカプセルはコアセルベーション法、In−Situ重合法、界面重合法等公知の方法で作製することができる。白色粒子としては、酸化チタンが特に好適に用いられ、必要に応じて表面処理あるいは他の材料との複合化等が施される。
【0059】
分散媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフテン系炭化水素等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ケロシン、パラフィン系炭化水素等の脂肪族炭化水素類、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トリクロロフルオロエチレン、臭化エチル等のハロゲン化炭(化水)素類、含フッ素エーテル化合物、含フッ素エステル化合物、シリコーンオイル等の抵抗率の高い有機溶媒を使用するのが好ましい。分散媒を着色するためには所望の吸収特性を有するアントラキノン類やアゾ化合物類等の油溶性染料が用いられる。分散液中には分散安定化のために界面活性剤等を添加してもよい。
有機EL素子は自発光型であるため鮮やかなフルカラー表示を行うことができる。またEL層は非常に薄い有機薄膜であるので、柔軟性に富み、特にフレキシブルな基板上に形成するのに適している。
【0060】
上記のような表示素子によれば、低コストで軽量かつ耐衝撃性に優れた高精細な表示装置を提供することができる。
【0061】
【実施例1】
図15はa−Si TFTの作製工程を示す部分断面図である。
同図において符号126は活性層、127はコンタクト層、128は電極層、129は画素電極をそれぞれ示す。
両面にスパッタ法でTaOx膜を形成した200μm厚のポリエーテルスルフォン(PES)基板101上にスパッタ法でAlを150nm厚に堆積し、フォトリソグラフィー法でレジストパターンを形成した後エッチングを行い、ゲート電極117と、図4に示すような基板伸縮率計測用のマークを同時に作製した。ゲート電極の幅Gを30μm、隣のパターンユニット(素子)との間隔を250μmとし、紙面左右方向に480素子、奥行き方向に640素子形成した。
【0062】
次いで、プラズマCVD法によりゲート絶縁膜118としてSiNx膜を300nm、活性層126としてa−Si膜を150nm、コンタクト層127としてn+ a−Si膜を50nmの厚さで順次堆積した。基板温度は150℃とした。次に活性層126とコンタクト層127をゲート電極117に対して紙面左右方向で10μm、奥行き方法で15μmの重ね合わせマージンで島化する必要があるが、この時点で基板が0.05%伸びていたため、図8に示す方法でパターン補正データD2を作成し、インクとしてレジスト材樹脂を有機溶媒に溶解したものを使用し、図9に示すパターン形成装置でレジストパターンを形成した。
【0063】
ここで図8におけるY方向及びX方向は図15における紙面左右方向、及び奥行き方向に対応する。設計パターンデータD0はx=y=250μmであるが、スタートの位置をマージン一杯(Y方向で+10μm、X方向で+15μm)にずらしたとしても基板の伸び量からY方向で161番目、X方向で241番目にマージンを超えるため、Y方向の160番目と161番目の間隔、320番目と321番目の間隔をy’=270μm、X方向の240番目と241番目の間隔、480番目と481番目の間隔をx’=280μmにそれぞれ補正した修正パターンデータD0’に従って、インク吐出コントローラ201によって吐出タイミングを、ステージコントローラ202によって基板位置をそれぞれ制御し、所定のレジストパターンを基板上に形成した。これをマスクにエッチングを行い、活性層126とコンタクト層127を島化した(同図(a))。
【0064】
次に、MoW合金からなる金属膜をスパッタ法で300nmの厚さで堆積し、上記と同様の方法でソース電極119とドレイン電極120になる電極層128を形成した(同図(b))。
次いで、スパッタ法でITO膜を堆積し、上記と同様の方法で画素電極129を形成後、チャネル領域上の電極層128とコンタクト層127をエッチングすることによりソース電極119とドレイン電極120の分離を行った。この時チャネル長Lを10μmとした(同図(c))。
以上のように作製した結果、全素子がマージン内で重ね合わせできていることが確認できた。
【0065】
【実施例2】
本発明を有機半導体薄膜を用いた薄膜トランジスタ(有機TFT)に適用した例を示す。
図12及び図13に示した構造のものを作製した。ただし、画素電極122はドレイン電極120が兼ねるものとして同一材料で同時に形成した。ガスバリアコートが施された125μm厚のポリカーボネート系基板(帝人製:SS120−B60)上にスパッタ法でAlを150nm厚に堆積し、フォトリソグラフィー法でレジストパターンを形成した後エッチングを行い、ゲート電極117と図4に示すような基板伸縮率計測用のマーク102’を同時に作製した。ゲート電極の幅Gを30μm、隣のパターンユニット(素子)との間隔を360μmとし、紙面左右方向に480素子、奥行き方向に640素子形成した。次いで、イオンビームスパッタ法によりSiO2膜を200nm堆積し、ゲート絶縁膜118とした。
【0066】
次にソース電極119とドレイン電極(兼画素電極)120となる電極膜として、CrとAuの積層膜を真空蒸着法で3nmと30nmの厚さに堆積した。次にソース電極119とドレイン電極120のパターニングをゲート電極117に対して紙面左右方向で10μm、奥行き方法で15μmの重ね合わせマージンで行う必要があるが、この時点で基板が0.02%伸びていたため、図8に示す方法でパターン補正データD2を作成し、インクとしてレジスト材樹脂を有機溶媒に溶解したものを使用し、図9に示すパターン形成装置でレジストパターンを形成した。
【0067】
ここで図8におけるY方向、およびX方向は図15における紙面左右方向及び奥行き方向に対応する。設計パターンデータD0はx=y=360μmであるが、スタートの位置をマージン一杯(Y方向で+10μm、X方向で+15μm)にずらしたとしても基板の伸び量からY方向で278番目、X方向で417番目にマージンを超えるため、Y方向の277番目と278番目の間隔をy’=380μm、X方向の416番目と417番目の間隔をx’=390μmにそれぞれ補正した修正パターンデータに従って、インク吐出コントローラ201によって吐出タイミングを、ステージコントローラ202によって基板位置をそれぞれ制御し、所定のレジストパターンを基板上に形成した。これをマスクにエッチングを行い、ソース電極119、ドレイン電極(兼画素電極)120を作製した。この時チャネル長Lを10μmとした。
【0068】
次いで、上記と同様のパターン補正方法とパターン形成装置を用いて、有機半導体層121を直接形成した。インクとして、ポリヘキシルチオフェンをクロロホルムに溶解したものを用いた。
以上のように作製した結果、全素子がマージン内で重ね合わせできていることが確認できた。
【0069】
【実施例3】
実施例1で作製したパターン基板、およびITOからなる透明導電膜125を設けたPES基板124の表面にポリイミドからなる配向膜を形成し、ラビング処理を行った。両基板をギャップ材により所定の間隙を保持してラビング方向を90°捻った状態で貼り合わせ、市販のネマチック液晶を封入した。両基板の外側に偏光板を配置し、さらに片側にバックライトを設置することにより、液晶表示装置を作製した。
ゲート電極117に繋がるバスラインに、走査信号用のドライバーICを、ソース電極119に繋がるバスラインにデータ信号用のドライバーICをそれぞれ接続した。フレーム周波数60Hzで256階調の良好な画像表示を行うことができた。
【0070】
【実施例4】
図16は本発明によって作製された表示装置の他の例を示す図である。
同図において符号130はマイクロカプセル、131は酸化チタン粒子、132はアイソパー、133はPVAバインダーをそれぞれ示す。
酸化チタン粒子131と、オイルブルーで着色したアイソパー132とを内包するマイクロカプセル130をPVA水溶液に混合して、ITOからなる透明導電膜125を形成したポリカーボネート基板124上に塗布して、マイクロカプセル130とPVAバインダー133からなる層を形成した。この基板と、実施例2で作製したパターン基板とを接着した。
ゲート電極117に繋がるバスラインに走査信号用のドライバーICを、ソース電極119に繋がるバスラインにデータ信号用のドライバーICをそれぞれ接続した。0.5秒毎に画面切り替えを行ったところ、良好な静止画表示を行うことができた。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、パターン基板の基板材料として軽量なプラスチック材を用いたときに生じやすいパターンの重ね誤差を、簡単な方法で許容誤差範囲に収めることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパターン形成方法のプロセスを示す流れ図である。
【図2】基板の測定部位の一実施形態を説明するための図である。
【図3】基板の測定部位の他の実施形態を説明するための図である。
【図4】基板の測定部位のさらに他の実施形態を説明するための図である。
【図5】重ねパターンの一例を示す図である。
【図6】基礎パターンに重ねパターンが正しく重ねられた状態を示す図である。
【図7】伸縮量がX方向Y方向とも許容値を超えた場合を示す図である。
【図8】パターンデータ補正の一実施形態を説明するための図である。
【図9】本発明にかかわるパターン形成装置の一例を示す概略図である。
【図10】本発明にかかわる他のパターン形成装置を示す概略図である。
【図11】本発明にかかわるさらに他のパターン形成装置を示す概略図である。
【図12】本発明のパターン基板の一例を示す概略断面図である。
【図13】形成パターンの1ユニット付近の平面図である。
【図14】本発明によって作製された表示装置の一例を示す概略図である。
【図15】a−Si TFTの作製工程を示す部分断面図である。
【図16】本発明によって作製された表示装置の他の例を示す図である。
【符号の説明】
101 基板
102 マーク
103 重ねパターンの基本パターン
104 基礎パターン
105 液状物吐出ヘッド
106 ステージ
107 印刷版
108 回転ドラム
109 書き込み手段
115 転写体
201 インク吐出コントローラ
202 ステージコントローラ
Claims (8)
- 繰り返しパターンである基礎パターンが形成された基板上に、前記基礎パターンの繰り返しパターンに対応するユニットの繰り返しパターンである所定の重ねパターンデータに従って複数の重ねパターンを形成するパターン形成方法において、前記所定の重ねパターンデータが前記ユニットの形状データとユニット間隔データとからなり、2番目以降の重ねパターンを形成するとき、それ以前の重ねパターン形成時と、基礎パターンの形成時のうちから選択する予め定められた時点からの基板の伸縮率を計測し、その計測値に従って前記所定の重ねパターンデータを前記ユニット間隔データの補正によって行う補正であって、前記両パターンの一端において所定の重ね合わせを行い、互いのずれ量が重ね合わせマージンを超え始めるユニットとその直前のユニットとの間隔のみを補正し、必要に応じてその手順を繰り返すことを特徴とするパターン形成方法。
- 請求項1に記載の発明おいて、前記基礎パターン形成と同時に前記基板の伸縮率を計測するためのマークを形成することを特徴とするパターン形成方法。
- 繰り返しパターンである基礎パターンが形成された基板上に、前記基礎パターンの繰り返しパターンに対応したユニットの繰り返しパターンである所定の重ねパターンデータに従って複数の重ねパターン形成物質を前記基板上に配置する手段を有するパターン形成装置において、前記所定の重ねパターンデータは、前記ユニットの形状データとユニット間隔データとからなり、2番目以降の重ねパターンを形成するとき、それ以前の重ねパターン形成時と、基礎パターンの形成時のうちから選択する予め定められた時点からの基板の伸縮率を計測し、その計測値に従って前記ユニット間隔データの補正によって行う補正であって、前記両パターンの一端において所定の重ね合わせを行い、互いのずれ量が重ね合わせマージンを超え始めるユニットとその直前のユニットとの間隔のみを補正し、必要に応じてその手順を繰り返すことを特徴とするパターン形成装置。
- 請求項3に記載の発明において、前記基板は、前記基礎パターン形成と同時に前記基板の伸縮率を計測するためのマークが形成されたものであることを特徴とするパターン形成装置。
- 請求項3または4に記載の発明において、前記所定の重ねパターンデータに従って液状物を吐出させるノズルを有することを特徴とするパターン形成装置。
- 請求項3ないし5のいずれか1つに記載の発明において、該装置は、前記所定の重ねパターンデータに従って印刷版を製版する手段と、該印刷版に液状物を付着させて基板上に転写する手段とを有することを特徴とするパターン形成装置。
- 請求項6に記載の発明において、前記印刷版上の液状物を一旦転写体に転写した後に、該転写体を基板に接触させることにより前記液状物を基板上に配置する手段を有することを特徴とするパターン形成装置。
- 請求項6または7に記載の発明において、前記印刷版が、基体を有し、該基体上に、加熱状態で液体または固体と接触させたときに後退接触角が低下し、空気中で加熱すると後退接触角が上昇する性質を有する材料を含む表面層を少なくとも有するものであることを特徴とするパターン形成装置。
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