JP4477525B2 - 旋盤 - Google Patents
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Description
往復台は、主軸又はテールストックの中心線に平行に往復移動する台である。往復台上に、工具主軸が取付けられている。工具主軸は、工具を把持するものであり、工具の方向を変化させることが可能になっている。工具により、主軸又はテールストックで把持したワークが、斜め上方から加工される。斜め上から工具でワークに加工を行うことで、切り粉が機械内に堆積しにくいが、温度変化の影響で加工精度が劣化することがあった。即ち、温度変化により、ワーク及び工具の高さ方向の位置が変化するが、その位置の変化の割合が、ワークと工具とで異なる。ワークより上方にある工具の方が温度変化の影響を受けやすい。
前記ワークに当接されて該ワークを加工する工具を、回転可能にかつ該工具の中心線の高さと該ワークの中心線の高さとが等しくなるように把持し、該ワークの中心線の方向に平行なZ方向に往復移動可能であり、該Z方向とは異なる水平方向のX方向に往復移動可能であり、該Z方向及びX方向を含むXZ平面内で回転して前記工具の向きを変化させることが可能な工具主軸と、
前記工具主軸の一端部に取り付けられると共に前記XZ平面に垂直なY方向に移動可能な支持体に回転可能に支持された第1軸、及び該一端部とは異なる該工具主軸の他端部に前記第1軸と同軸に取り付けられると共に前記Y軸方向に移動しない支持体に形成された穴に回転可能かつY方向に摺動可能に支持された第2軸を有し、該第1軸と第2軸とにより前記工具主軸を支持すると共に該第1軸と第2軸とが回転することより前記工具主軸を前記XZ平面内で回転させる両持ち手段と、
前記Y方向に移動可能な支持体を前記Y方向に移動させることにより、前記工具主軸を該Y方向に移動させる高さ調整手段と、
を備えることを特徴とする。
このような構成を採用したことにより、工具の中心線がワークの中心線の高さになるように、工具主軸が工具を支持する。そのため、温度変化による工具主軸の高さの変位量と、ワークの高さの変位量とが等しくなる。よって、工具とワークの高さ方向の相対位置に差がないので、所定の加工精度を維持できる。また、両持ち手段により、工具主軸が両持ちにされる。そのため、工具がワークに当接したときの応力に対し、抗性が向上して加工精度が向上できる。
図4は、工具主軸台40Aを動かす機構の概要を示す図である。
ベッド10上には、Z1軸方向に平行なZ2軸方向に、2本のレール15,16が取付けられている。そのレール15,16の上に、ベース40aが取付けられ、Z2軸モータ17を駆動することにより、ベース40aがZ2軸方向に移動する。
コラム40cの上方には、Y1軸モータ42を支持するモータブラケット40eが固定されている。Y1軸モータ42は、鉛直方向のY1軸方向のボールねじ40fを回転させるものである。
ハウジング40gの内部には、スピンドル40iが回転可能に組込まれている。ハウジング40gの上端側で、スピンドル40iの一端と方向変換モータ43とがカップリング40jにより結合している。
方向変換モータ43が回転することにより、工具主軸台40Aがスピンドル40i及びシャフト40mと共に回転し、工具主軸40に把持された工具41の向きが変化する構成である。
この旋盤には、さらに、刃物台60と、工具マガジン70と、工具交換機構80と、ガイドブッシュ90とが設けられている。
図6は、主軸30に把持されたワークWと、背面主軸50に把持されたワークWとの両方に外径加工を行う加工例1の説明図である。
続いて、ワークWを把持した例えば主軸30を、Z1軸モータ13とZ2軸モータ17を駆動することにより、ワークWの加工箇所を工具主軸40の前方に位置させる。ワーク回転モータ31を駆動してワークWを回転させつつ、Z1軸モータ13及びX1軸モータ18とを駆動制御する。これにより、工具41がワークWに当接し、主軸30に把持されたワークWの外周が加工される。主軸30側のワークWの加工が終了した後、X1軸モータ18を駆動して工具主軸40を退避させる。
この場合、工具主軸40の工具41はドリルである。X1軸モータ18と方向変換モータ43とを駆動して工具41の先端が、主軸30で把持するワークWの先端を向くようする。次に、ワーク回転モータ31を駆動してワークWを回転させつつ、Z1軸モータ13を駆動し、工具41の先端を主軸30側に移動させる。これにより、工具41が主軸30の把持するワークWの先端に当接して切削し、ワークWが穿孔される。
この場合には、最初、ワークWを主軸30にのみ把持させておき、ワークWの先端面の穿孔が終了した段階で、X1軸モータ18を駆動して工具主軸40を退避させ、Z3軸モーター22を駆動して、背面主軸50を主軸30側に移動させ、ワークWの先端側を把持させる。そののち、主軸30にワークWを放させ、Z3軸モーター22を駆動して所定位置に移動させ、X1軸モータ18を駆動して工具主軸40を元の加工位置に戻す。以降、前述と同様の処理を行うことにより、背面主軸50に把持されたワークWの後端面が穿孔される。
この場合、工具主軸40に取付けられる工具41は、ドリルである。主軸30で把持するワークWを加工する前に、方向変換モータ43を駆動して工具41が、主軸30の把持するワークWの軸に対して所望角度になるように駆動制御する。次に、Z1軸モータ13又はZ2軸モータ17を駆動し、ワークWを所定位置にする。その後、工具41を回転させつつ、Z1軸モータ13とX1軸モータ18とを同時駆動し、前記所望角度で工具41が先端からワークWに入るように、ワークWと工具41とを相対移動させる。これにより、主軸30の把持するワークWに斜めの穴が穿孔される。
主軸30が把持するワークWと背面主軸50が把持するワークWとに内径加工を施す場合、工具主軸40には、内径工具を取付け、先端面に穿孔加工を行うときと同様の処理を行う。即ち、X1軸モータ18と方向変換モータ43とを駆動し、工具41の軸と主軸30に把持されたワークWの軸とを一致させ、工具41の先端が、主軸30の把持するワークWの先端を向くようする。次に、ワーク回転モータ31を駆動してワークWを回転させつつ、Z1軸モータ13又はZ2軸モータ17を駆動し、工具41の先端を主軸30側に相対移動させる。そして、Z1軸モータ13とX1軸モータ18を駆動することにより、工具41がZ1軸方向とX1軸方向に移動するので、主軸30に把持されたワークWが、所望の内径に切削される。
ワークWの一部をカットしてワークWの断面をD形にする場合には、工具主軸40に工具41としてエンドミルを取付け、工具主軸40を所定位置に移動させた後に、工具41を回転させつつ、図10のように、Y1軸モータ42を駆動してエンドミルをY1軸方向に移動させる。これにより、ワークWがカットされ、ワークWの断面がD形になる。
ワークWの中心軸からずれた位置を穿孔して偏心穴を形成する場合、工具主軸40に工具41としてドリルを取付け、Z2軸モータ17を駆動して工具主軸40を所定位置に移動させた後に、Y1軸モータ42を駆動して工具41の高さをワークWの中心からずらす。そして、工具41を回転させつつ、図11のように、X1軸モータ18を駆動して工具41を前進させる。これにより、ワークWに偏心穴が形成される。
ワークWの端部を斜めにカットする場合、工具主軸40には、工具41としてエンドミルを取付ける。方向変換モータ43を駆動して工具41が主軸30の把持するワークWの軸に対して所望角度になるように駆動制御する。そして、Y1軸モータ42を駆動し、工具41をY1軸方向に移動させる。これにより、工具41が斜めに、ワークWの先端部に当たり、ワークWの先端部が斜めにカットされる。
ワークWに歯車を形成するホブ加工を行う場合、工具41としてホブを工具主軸40に取付ける。次に、工具主軸40を所定位置に移動した後に、方向変換モータ43を駆動して工具41の向きを所定角度に駆動制御する。工具41の回転とワークWの回転とを所定の回転比で同期制御させつつ、Z1軸モータ13を駆動してワークWを前進させる。これにより、ワークWが工具41により切削されながら移動し、ワークWに歯車が形成される。
工具主軸40の工具41と刃物台60に取付けられた工具61によって、ワークWの外径加工を行う場合、工具主軸40には、工具41として外径工具が取付けられ、工具61として外径工具が選択される。主軸30及び背面主軸50と工具主軸40とを、工具41のみでワークWの外径加工を行う場合と同様に制御する。
ワークWに穿孔加工をする場合、工具主軸40の工具41としてドリルを取付け、刃物台60の工具61としてドリルを選択し、回転体部62を回転させて選択した工具61をワークWに対向させる。そして、Z2軸モータ17とZ4軸モータ24とを駆動して、工具41及び工具61を所定位置に移動させる。その後、工具41及び工具61を回転させつつ、X1軸モータ18とX2軸モータ25とを駆動し、ワークWに向けて、工具41及び工具61を前進させる。
前進することにより、工具41及び工具61がワークWに当接して切削する。これにより、ワークWに対称に穴が形成される。工具41と工具61とは、ワークWを間において対向してワークWを切削するので、ワークWがぶれることが防止され、精度の高い加工が可能である。また、ワークWが同時に2本の工具41,61で加工されるので、工具41のみで加工する場合よりも、総加工時間が短縮される。
例えば主軸30で把持するワークWの先端に、偏心した穴を空ける加工を行い、同時に、背面主軸50で把持するワークWに外径加工を行う場合、工具主軸40の工具41として外径工具を取付ける。X1軸モータ18を駆動して工具41を所定位置に前進させる。刃物台60の工具61としては、ドリルを選択し、回転体部62を回転させると共にX2軸モータ25を駆動し、選択した工具61の先端が主軸30で把持するワークWの加工位置に向くように調整する。そして、工具61を回転させつつ、Z1軸モータ13を駆動して主軸30のワークWを前進させる。
主軸30で把持するワークWと背面主軸50で把持するワークWとに、例えば外径加工を行う場合、工具主軸40に取付けた工具41と刃物台60の工具61で同時に一方のワークWを加工してもよいが、工具41と工具61とでそれぞれ別のワークWを加工させてもよい。
ワークWにスパナがけ部を形成する場合、工具主軸40に工具41としてエンドミルを取付け、刃物台60で工具61としてエンドミルを選択させる。各工具41,61を所定位置に移動させた後、Y1軸方向モータ42及びY2軸モータ63を駆動し、各工具41,61をそれぞれY1軸方向,Y2軸方向に移動させる。これによりワークWの両側が切削されてスパナがけ部が形成される。
ワークWに2カ所の偏心穴を形成する場合、工具主軸40に工具41としてドリルを取付け、刃物台60で工具61としてドリルを選択させる。各工具41,61をZ2軸方向及びZ4軸方向の所定位置に移動させた後、Y1軸方向モータ42及びY2軸モータ63を駆動して、各工具41,61がY1軸方向及びY2軸方向の所定位置になるように位置調整する。次に、X1軸モータ18とX2軸モータ25を駆動して工具41,61を前進させる。これにより、ワークWが穿孔され、2つの偏心穴が同時に形成される。
(1) 主軸30と、工具主軸40と、背面主軸50と、ガイドブッシュ90とを備えるので、長尺のワークWに加工する際にも、ワークWが撓むことが防止され、精度の高い加工が可能になる。また、ワークWの先端面の加工も可能になるばかりでなく、主軸30で把持したワークWを突切りした後に、主軸30及び背面主軸50間でワークWの移し替えを行うことにより、ワークWの両端面の加工も可能になる。よって、短尺から長尺までの種々の長さのワークに対して、両端を含み、複雑形状に全加工できる。
(3) 主軸30で把持したワークWと、背面主軸50で把持したワークWの両方を、共通の工具41で加工できるので、同じ種類の工具41を複数用意する必要がない。
(5) 工具交換機構80を備えているので、機械を停止することなく、工具41の交換が可能である。
(9) 工具41と工具61とを同時に用いて加工できるので、一方を粗加工、他方を仕上用として使用することができる。
(11) 背面主軸50には、ワークWが貫通する穴が形成されているので、さらに長尺のワークWも取付けられる。これにより、機械を大型化する必要がなくなる。
図20(a),(b)は、ワークWと工具主軸台40Aの高さの説明図である。
13 Z1軸モータ
17 Z2軸モータ
18 X1軸モータ
22 Z3軸モータ
24 Z4軸モータ
25 X2軸モータ
30 主軸
31,51 ワーク回転モータ
40 工具主軸
42 Y1軸モータ
43 方向変換モータ
50 背面主軸
60 刃物台
70 工具マガジン
80 工具交換機構
90 ガイドブッシュ
Claims (1)
- 加工対象のワークを、中心線が水平になるように把持する主軸と、
前記ワークに当接されて該ワークを加工する工具を、回転可能にかつ該工具の中心線の高さと該ワークの中心線の高さとが等しくなるように把持し、該ワークの中心線の方向に平行なZ方向に往復移動可能であり、該Z方向とは異なる水平方向のX方向に往復移動可能であり、該Z方向及びX方向を含むXZ平面内で回転して前記工具の向きを変化させることが可能な工具主軸と、
前記工具主軸の一端部に取り付けられると共に前記XZ平面に垂直なY方向に移動可能な支持体に回転可能に支持された第1軸、及び該一端部とは異なる該工具主軸の他端部に前記第1軸と同軸に取り付けられると共に前記Y軸方向に移動しない支持体に形成された穴に回転可能かつY方向に摺動可能に支持された第2軸を有し、該第1軸と第2軸とにより前記工具主軸を支持すると共に該第1軸と第2軸とが回転することより前記工具主軸を前記XZ平面内で回転させる両持ち手段と、
前記Y方向に移動可能な支持体を前記Y方向に移動させることにより、前記工具主軸を該Y方向に移動させる高さ調整手段と、
を備えることを特徴とする旋盤。
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