JP4477259B2 - 建設機械の旋回フレーム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に用いられ、特に下面側にアンダカバーが取付けられた建設機械の旋回フレームに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械は、自走可能な走行体と、該走行体上に旋回可能に搭載された旋回体とからなり、該旋回体は、ベースとなる旋回フレームと、該旋回フレーム上に設けられたキャブ、建屋カバー、カウンタウエイト等により構成されている。そして、旋回フレームは、骨組み構造をなすフレーム構造体と、該フレーム構造体の下面側に配設された複数のアンダカバーとにより構成されている。
【0003】
そこで、この種の従来技術による旋回フレームとして油圧ショベルの旋回フレームを例に挙げ、図6ないし図9を参照しつつ説明する。
【0004】
図中、1は骨組み構造をなすフレーム構造体で、該フレーム構造体1は、後述のセンタフレーム2、各張出しビーム3,4、左,右のサイドフレーム5,6等により大略構成されている。
【0005】
2は左,右方向の中央部に位置して前,後方向に延びるセンタフレームで、該センタフレーム2は、厚肉な鋼板等により平板状に形成された底板2Aと、該底板2Aの上面に立設され前,後方向に延びる左,右の縦板2B,2Cとにより構成され、これら各縦板2B,2Cの前部側は、作業装置(図示せず)の基端側が回動可能にピン結合されるブラケットとなっている。
【0006】
3,3は基端側がセンタフレーム2の後部側に溶接等によって固着され、左,右方向に張出した張出しビーム、4,4,…は各張出しビーム3よりも前側に配設された他の張出しビームで、該各張出しビーム4は、基端側がセンタフレーム2の前部側及び中央部に溶接等によって固着され、左,右方向に張出している。
【0007】
ここで、図7に示すように、各張出しビーム3は、例えばL字型の断面形状をもった鋼板等により形成され、その下端側には後述のボルト10を螺入するための複数のナット3Aが左,右方向に並んで固着されている。一方、各張出しビーム4は、たとえばほぼコ字型の断面形状をもった鋼板等により形成され、その下端側にはボルト10を螺入するための複数のナット4Aが左,右方向に並んで固着されている。
【0008】
5,6は各張出しビーム3,4の先端部に溶接等によって固着され、前,後方向に延びた左,右のサイドフレームで、これら各サイドフレーム5,6は、例えばD字型の断面形状をもった筒体(D型フレーム)により形成され、フレーム構造体2の左,右の外縁部を構成するものである。
【0009】
このように、フレーム構造体1は、センタフレーム2、各張出しビーム3,4、左,右のサイドフレーム5,6等により強固な骨組み構造をなし、キャブ、エンジン、油圧ポンプ、燃料タンク、作動油タンク等(いずれも図示せず)の機器類が搭載されるものである。
【0010】
7,8,9はセンタフレーム2と右側のサイドフレーム6との間に位置してフレーム構造体1の下面側に取付けられた右側のアンダカバーで、これらアンダカバー7,8,9は、センタフレーム2とサイドフレーム6との間に前,後方向に隣接して設けられ、フレーム構造体1上に搭載された機器類を下側から覆うものである。そして、図7及び図8に示すように、アンダカバー7は、前,後方向で隣合う張出しビーム3,4の下面にボルト10を用いて取付けられ、アンダカバー8,9は、前,後方向で隣合う2個の張出しビーム4,4の下面にそれぞれボルト10を用いて取付けられている。
【0011】
ここで、アンダカバー7は、例えば薄肉な鋼板等により平板状に形成され、その前,後方向の両端側には、張出しビーム3,4のナット3A,4Aと対応する複数のボルト挿通溝7Aが形成されている。また、アンダカバー7,9間に位置するアンダカバー8は、薄肉な鋼板等によりほぼ平板状に形成されるものの、その前,後方向の両端側には、アンダカバー7,9と重なり合う段部8A,8Aが折曲加工等により形成されている。そして、これら各段部8Aには、アンダカバー7のボルト挿通溝7A、アンダカバー9のボルト挿通溝9Aと対応する複数のボルト挿通孔8Bがそれぞれ形成されている。さらに、アンダカバー9は、薄肉な鋼板等により平板状に形成され、その前,後方向の両端側には、各張出しビーム4のナット4Aと対応する複数のボルト挿通溝9A(後端側のみ図示)が形成されている。
【0012】
10,10,…は各アンダカバー7,8,9を張出しビーム3,4の下面に取付けるカバー取付部材としてのボルトで、アンダカバー7,8,9にボルト10を挿通し、このボルト10を張出しビーム3,4の下端側に固着されたナット3A,4Aに螺入することにより、各アンダカバー7,8,9が張出しビーム3,4の下面に着脱可能に取付けられる構成となっている。
【0013】
11,12,13,14はセンタフレーム2と左側のサイドフレーム5との間に位置してフレーム構造体1の下面側に取付けられた左側のアンダカバーで、これらアンダカバー11,12,13,14もフレーム構造体1上に搭載された機器類を下側から覆うものである。
【0014】
従来技術による旋回フレームは上述の如き構成を有するもので、以下、隣接して配設されたアンダカバー7,8,9をフレーム構造体1の下面に取付けるときの作業手順について説明する。
【0015】
まず、アンダカバー8のボルト挿通孔8Bにボルト10を挿通し、このボルト10を各張出しビーム4のナット4Aに螺入することにより、該各張出しビーム4の下面にアンダカバー8を仮止めし、アンダカバー8の各段部8Aと張出しビーム4との間に、アンダカバー7の板厚よりも大きな隙間を確保する。また、張出しビーム3のナット3Aにはボルト10を仮止めしておく。
【0016】
次に、図9に示すように、アンダカバー8の段部8Aと張出しビーム4との間の隙間にアンダカバー7の前端側を差込み、該アンダカバー7の前端側に形成したボルト挿通溝7Aを、張出しビーム4に仮止めしたボルト10に係合させる。その後、アンダカバー7を張出しビーム3側にスライドさせ、該アンダカバー7の後端側に形成したボルト挿通溝7Aを、張出しビーム3に仮止めしたボルト10に係合させる。
【0017】
そして、アンダカバー7の前端側をボルト10を用いてアンダカバー8と共に張出しビーム4の下面に固定(共締め)し、アンダカバー7の後端側をボルト10を用いて張出しビーム3の下面に固定する。
【0018】
このように、各アンダカバー7,8,9のうち互いに隣合う端部を重ね合わせ、この重ね合わせた端部を共通のボルト10を用いて張出しビーム4に共締めすることにより、例えば各アンダカバー7,8,9をそれぞれ単独に張出しビーム3,4に固定する場合に比較して、ボルト10等の部品点数を削減でき、各アンダカバー7,8,9を取付けるときの作業性を高めることができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来技術では、予めアンダカバー8を張出しビーム4に仮止めした後、該アンダカバー8の両端側に設けた段部8Aにアンダカバー7,9の端部を重ね合わせた状態で、各アンダカバー7,8,9をボルト10によって張出しビーム4に共締めする必要がある。
【0020】
このため、フレーム構造体1にアンダカバー7,8,9を取付けるときの手順が予め定められており、この取付手順とは異なる誤った手順によって各アンダカバー7,8,9を取付けた場合、例えば張出しビーム4の下面にボルト10を用いてアンダカバー8を仮止めした後、該アンダカバー8とボルト10との間にアンダカバー7を差込んでボルト10を締込んだ場合には、アンダカバー7,8の上,下関係が逆になり、アンダカバー8の段部8Aがつぶれて変形してしまうという問題がある。
【0021】
また、例えばフレーム構造体1に取付けた各アンダカバー7,8,9のうちアンダカバー7のみを取外す場合には、アンダカバー7を固定しているボルト10を緩めた後、アンダカバー7を前,後方向にスライドさせてボルト挿通溝7Aをボルト10から離脱させる必要があるが、例えばアンダカバー7とアンダカバー8とが強固に接触している場合には、アンダカバー7を前,後方向にスライドさせることが困難となり、該アンダカバー7を容易に取外すことができなくなるという問題がある。
【0022】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、隣合う複数のアンダカバーをフレーム構造体に取付けるときの作業性を高めることができるようにした建設機械の旋回フレームを提供することを目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明は、建設機械の走行体に旋回可能に設けられたフレーム構造体と、該フレーム構造体の下面側に配置された複数枚のアンダカバーと、該各アンダカバーを前記フレーム構造体に取付けるカバー取付部材とからなる建設機械の旋回フレームに適用される。
【0024】
そして、請求項1の発明の特徴は、前記フレーム構造体は、左,右方向の中央部に位置して前,後方向に延びるセンタフレームと、該センタフレームから左,右方向に張出した複数の張出しビームと、該各張出しビームの先端側に設けられ前,後方向に延びるサイドフレームとにより構成し、前記カバー取付部材は、各アンダカバーのうち隣合う2枚のアンダカバーをそれぞれ下側から押えこれらを前記張出しビームとの間で挟持するため、前記隣合うアンダカバーにそれぞれ当接する長さ寸法と隣合うアンダカバー間の隙間よりも小さい幅寸法とを有する板体からなるカバー押え具と、該カバー押え具に挿通され該カバー押え具を前記隣合うアンダカバーと共に前記張出しビームに締結するボルトとにより構成し、カバー押え具とフレーム構造体の張出しビームとの間には、ボルトを用いてカバー押え具をフレーム構造体の張出しビームに締結するときにアンダカバーの板厚に応じて変形する弾性部材を設ける構成としたことにある。
【0025】
このように構成したことにより、カバー押え具を用いて隣合う2枚のアンダカバーをそれぞれ下側から押えた状態で、該カバー押え具をボルトを用いてフレーム構造体の張出しビームに締結するだけで、隣合うアンダカバーをカバー押え具とフレーム構造体の張出しビームとの間で同時に挟持することができる。従って、隣合うアンダカバーを互いに重ね合わせることなくフレーム構造体の張出しビームに取付けることができ、その作業性を高めることができる。
また、隣合うアンダカバーをフレーム構造体に取付けるときには、ボルトを用いて板体をフレーム構造体の張出しビームに仮止めし、該板体を予め隣合うアンダカバー間に配置した状態で、隣合うアンダカバーをフレーム構造体の張出しビームの下面側に配置した後、板体の長さ方向両端側を各アンダカバーに当接させてこれらを下側から押えることができる。
さらに、ボルトを用いてカバー押え具をフレーム構造体の張出しビームに締結するときに、弾性部材がカバー押え具とフレーム構造体の張出しビームとの間で弾性変形するので、カバー押え具に対する締結力を弾性部材によって調整することができ、カバー押え具は適度な押圧力をもってアンダカバーを押え込むことができる。
【0028】
請求項2の発明は、カバー押え具の板体を前記ボルトを緩めて隣合うアンダカバー間に配置することにより、該各アンダカバーをフレーム構造体の張出しビームに対して着脱できる構成としたことにある。
【0029】
このように構成したことにより、隣合うアンダカバーをフレーム構造体から取外すときには、ボルトを緩めて板体を隣合うアンダカバー間に配置することにより、板体をフレーム構造体の張出しビームに取付けたまま、アンダカバーを取外すことができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る建設機械の旋回フレームの実施の形態を、油圧ショベルの旋回フレームに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図5を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施の形態では、上述した従来技術と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0033】
図中、21は従来技術による旋回フレームに代えて本実施の形態に用いた旋回フレームで、該旋回フレーム21は、フレーム構造体1、後述する右側のアンダカバー22,23,24、左側のアンダカバー25,26,27,28、及びカバー取付部材29等により構成されている。
【0034】
22,23,24は従来技術による各アンダカバー7,8,9に代えて本実施の形態に用いた右側のアンダカバーで、これら各アンダカバー22〜24は、従来技術によるものと同様に、フレーム構造体1のセンタフレーム2と右側のサイドフレーム6との間に前,後方向に隣接して配設されるものの、後述のカバー取付部材29を用いてフレーム構造体1に取付けられる点で従来技術とは異なるものである。
【0035】
25,26,27,28は従来技術による各アンダカバー11,12,13,14に代えて本実施の形態に用いた左側のアンダカバーで、これら各アンダカバー25〜28は、従来技術によるものと同様に、フレーム構造体1のセンタフレーム2と左側のサイドフレーム5との間に前,後方向に隣接して配設されるものの、カバー取付部材29を用いてフレーム構造体1に取付けられる点で従来技術とは異なるものである。
【0036】
ここで、右側のアンダカバー22〜24と左側のアンダカバー25〜28とは、いずれもカバー取付部材29を用いてフレーム構造体1に取付けられるため、以下、右側のアンダカバー22〜24のフレーム構造体1に対する取付構造を例に挙げて説明する。
【0037】
まず、アンダカバー22は、従来技術によるアンダカバー7とほぼ等しい形状をもった平板状に形成されているものの、当該アンダカバー7とは異なり、張出しビーム3に固着されたナット3Aと対応するボルト挿通溝22Aが、その後端側にのみ形成されている。
【0038】
また、アンダカバー22,24間に位置するアンダカバー23は、従来技術によるアンダカバー8とほぼ等しい形状をもった平板状に形成されているものの、当該アンダカバー8に設けられた段部8Aに対応する段部、及び各ボルト挿通孔8Bに対応するボルト挿通孔等が設けられておらず、単純な長方形状の平板として形成されている。
【0039】
さらに、アンダカバー24は、従来技術によるアンダカバー9とほぼ等しい形状をもった平板状に形成されているものの、当該アンダカバー9とは異なり、張出しビーム4に固着されたナット4Aと対応するボルト挿通溝(図示せず)が、その前端側にのみ形成されている。
【0040】
29,29,…は各アンダカバー22,23,24のうち互いに隣合う2枚のアンダカバーをフレーム構造体1に取付けるためのカバー取付部材で、該カバー取付部材29は、従来技術によるボルト10に代えて本実施の形態に用いたものである。そして、カバー取付部材29は、図4等に示すように、後述の押え板30、ボルト31、環状ラバー32等により構成されている。
【0041】
30は隣合う2枚のアンダカバー22,23をそれぞれ下側から押えるカバー押え具としての押え板で、該押え板30は、例えばアンダカバー22よりも厚肉な鋼板等により、アンダカバー22,23にそれぞれ当接するだけの長さ寸法aと、各アンダカバー22,23間に形成される隙間Bよりも小さい幅寸法bとを有する長方形の板体として形成されている。また、押え板30の中央部には後述のボルト31が挿通されるボルト挿通孔30Aが穿設されている。
【0042】
そして、押え板30は、長さ方向の両端側をアンダカバー22,23の下面にそれぞれ当接させてこれらを下側から押えた状態で、ボルト挿通孔30Aに挿通したボルト31を用いて張出しビーム4の下面に締結されることにより、該張出しビーム4との間でアンダカバー22,23を挟持するものである。
【0043】
ここで、押え板30は、ボルト31を緩めたときには該ボルト31を中心として、図3中に実線で示す各アンダカバー22,23の下面に当接する位置から二点鎖線で示す各アンダカバー22,23間の位置へと回転する。このため、押え板30を張出しビーム4に取付けたままアンダカバー22,23間に配置することにより、アンダカバー22,23を張出しビーム4に対して着脱することができる構成となっている。
【0044】
31は押え板30を張出しビーム4に締結するボルトで、該ボルト31は、押え板30のボルト挿通孔30Aに挿通され、張出しビーム4に溶接されたナット4Aに螺入されることにより、押え板30をアンダカバー22,23と共に張出しビーム4の下面に締結(共締め)するものである。
【0045】
32は押え板30と張出しビーム4の下面との間に設けられた弾性部材としての環状ラバーで、該環状ラバー32は、例えばゴム等の弾性材を用いてアンダカバー23等の板厚よりも若干大きな厚みをもった環状体として形成され、その内周側にボルト31が挿通されるものである。
【0046】
そして、環状ラバー32は、ボルト31を用いて押え板30を張出しビーム4に締結するときに、押え板30と張出しビーム4との間で圧縮され、アンダカバー22,23の板厚と等しい厚みにまで弾性変形することにより、ボルト31の締結力を調整するものである。これにより、押え板30の両端側が適度な押圧力をもってアンダカバー22,23を押え込むことができ、また、押え板30が過剰な締結力によってアンダカバー22,23間で変形するのを抑えることができる構成となっている。なお、33はボルト31の頭部と押え板30との間に配置されたワッシャである。
【0047】
本実施の形態に係る旋回フレーム21は、上述の如きカバー取付部材29を用いて各アンダカバー22〜28をフレーム構造体1に取付ける構成としたもので、以下、右側のアンダカバー22,23をフレーム構造体1の下面に取付けるときの作業について説明する。
【0048】
まず、ワッシャ33を取付けたボルト31を、押え板30のボルト挿通孔30A、環状ラバー32に挿通した後、各張出しビーム4に固着したナット4Aに螺入することにより、押え板30、環状ラバー32等を予め張出しビーム4に仮止めする。そして、押え板30を、図3中に二点鎖線で示すように、取付けるべきアンダカバー22,23間に配置しておく。
【0049】
次に、張出しビーム3にボルト10の先端部を螺入することにより、該ボルト10を張出しビーム3に仮止めした後、このボルト10にアンダカバー22の後端側に形成したボルト挿通溝22Aを差込む。そして、各張出しビーム4に仮止めされた押え板30を、図3中の二点鎖線の位置から実線の位置へと回転させ、図5に示すように、押え板30の長さ方向の両端側を、アンダカバー22の前端側とアンダカバー23の後端側、アンダカバー23の前端側にそれぞれ当接させ、これらアンダカバー22,23を下側から押える。
【0050】
この状態で、ボルト31を締込むことにより、環状ラバー32が張出しビーム4と押え板30との間で圧縮され、アンダカバー22,23の板厚と等しい厚みにまで弾性変形する。これにより、図2に示すように、隣合うアンダカバー22の前端側とアンダカバー23の後端側とを押え板30と張出しビーム4との間で強固に挟持することができ、アンダカバー23の前端側を押え板30と他の張出しビーム4との間で強固に挟持することができる。
【0051】
この場合、押え板30と張出しビーム4との間で環状ラバー32が弾性変形することにより、ボルト31の締込み量を調整することができ、押え板30は適度な押圧力をもってアンダカバー22,23を押え込むことができる。
【0052】
一方、例えばアンダカバー23をフレーム構造体1から取外す場合には、まず、アンダカバー23が取付けられた各張出しビーム4に締結されたボルト31を緩め、押え板30を図3中に二点鎖線で示す位置へと回転させ、アンダカバー22,23間に配置する。これにより、押え板30がアンダカバー23から離脱するので、アンダカバー23を張出しビーム4から容易に取外すことができる。
【0053】
かくして、本実施の形態によれば、右側のアンダカバー22〜24のうち互いに隣合う2枚を押え板30と張出しビーム4との間で挟持することにより、アンダカバー22〜24を互いに重ね合わせることなく、フレーム構造体1に取付けることができる。従って、隣接するアンダカバー22〜24をフレーム構造体1に取付けるときの取付手順を不要にでき、このときの作業性を高めることができる。しかも、誤組付けによってアンダカバー22〜24等が変形してしまうのを防止することができる。
【0054】
また、ボルト31を緩めて押え板30をアンダカバー22〜24から離脱させることにより、これらアンダカバー22〜24をフレーム構造体1から容易に取外すことができ、このときの作業性を高めることができる。
【0055】
さらに、押え板30と張出しビーム4との間でアンダカバー22の前端側とアンダカバー23の後端側とを挟持し、押え板30と他の張出しビーム4との間でアンダカバー23の前端側とアンダカバー24の後端側とを挟持する構成としたので、アンダカバー22の前端側、アンダカバー23の両端側、アンダカバー24の後端側にボルト挿通溝等を設ける必要がなくなり、これらアンダカバー22〜24の構成を簡素化し、製造コストの低減をも図ることができる。
【0056】
また、左側のアンダカバー25〜28についても、右側のアンダカバー22〜24と同様に、カバー取付部材29を用いてフレーム構造体1に取付けることにより、その作業性を高めることができる。
【0057】
なお、上述した実施の形態では、各アンダカバー22〜28を、カバー取付部材29を用いてフレーム構造体1の張出しビーム3,4に取付けた場合を例に挙げたが、本発明はこれに限るものではなく、例えばセンタフレーム2、各サイドフレーム5,6等の下面に取付ける構成としてもよい。
【0058】
また、上述した実施の形態では、油圧ショベルの旋回フレーム21を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば油圧クレーン等の他の建設機械の旋回フレームにも広く適用することができる。
【0059】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1の発明によれば、フレーム構造体を、センタフレームと、該センタフレームから左,右方向に張出した複数の張出しビームと、該各張出しビームの先端側に設けられたサイドフレームとにより構成し、カバー取付部材を、各アンダカバーのうち隣合う2枚のアンダカバーをそれぞれ下側から押えこれらを張出しビームとの間で挟持するため、隣合うアンダカバーにそれぞれ当接する長さ寸法と隣合うアンダカバー間の隙間よりも小さい幅寸法とを有する板体からなるカバー押え具と、該カバー押え具に挿通され該カバー押え具を隣合うアンダカバーと共に張出しビームに締結するボルトとにより構成している。このため、カバー押え具を用いて隣合う2枚のアンダカバーをそれぞれ下側から押えた状態で、該カバー押え具をボルトを用いてフレーム構造体の張出しビームに締結することにより、隣合うアンダカバーを、互いに重ね合わせることなくカバー押え具と張出しビームとの間で同時に挟持することができ、該フレーム構造体に取付けることができる。このため、各アンダカバーの取付手順を不要にでき、カバー取付時の作業性を高めることができる。また、例えば隣合う2枚のアンダカバーを重ね合わせてフレーム構造体に取付ける場合に比較して、各アンダカバーの誤組付けによる変形等を確実に防止することができる。
【0060】
また、カバー押え具とフレーム構造体の張出しビームとの間に、アンダカバーの板厚に応じて変形する弾性部材を設ける構成としたので、ボルトを用いてカバー押え具をフレーム構造体の張出しビームに締結するときに、弾性部材がカバー押え具とフレーム構造体の張出しビームとの間で弾性変形することにより、カバー押え具に対する締結力を弾性部材によって調整することができる。これにより、カバー押え具は適度な押圧力をもってアンダカバーを押え込むことができる。
【0061】
また、請求項2の発明によれば、カバー押え具の板体を、ボルトを緩めて隣合うアンダカバー間に配置することにより、板体をフレーム構造体の張出しビームに取付けたまま、隣合うアンダカバーをフレーム構造体から容易に取外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る旋回フレームの実施の形態を示す平面図である。
【図2】図1中の張出しビーム、アンダカバー、カバー取付部材等を矢示II−II方向から拡大してみた拡大断面図である。
【図3】張出しビーム、アンダカバー、カバー取付部材等を図2中の矢示III−III方向からみた底面図である。
【図4】張出しビーム、アンダカバー、押え板、ボルト、環状ラバー等を分解して示す分解斜視図である。
【図5】実施の形態によるアンダカバーの取付作業状態を、図2と同様位置からみた拡大断面図である。
【図6】従来技術による旋回フレームを示す平面図である。
【図7】図6中の張出しビーム、アンダカバー、ボルト等を矢示VII−VII方向から拡大してみた拡大断面図である。
【図8】張出しビーム、アンダカバー、ボルト等を図7中の矢示VIII−VIII方向からみた底面図である。
【図9】従来技術によるアンダカバーの取付作業状態を、図7と同様位置からみた拡大断面図である。
【符号の説明】
1 フレーム構造体
2 センタフレーム
3,4 張出しビーム
5,6 サイドフレーム
22,23,24,25,26,27,28 アンダカバー
29 カバー取付部材
30 押え板(カバー押え具)
31 ボルト(締結具)
32 環状ラバー(弾性部材)
Claims (2)
- 建設機械の走行体に旋回可能に設けられたフレーム構造体と、該フレーム構造体の下面側に配置された複数枚のアンダカバーと、該各アンダカバーを前記フレーム構造体に取付けるカバー取付部材とからなる建設機械の旋回フレームにおいて、
前記フレーム構造体は、左,右方向の中央部に位置して前,後方向に延びるセンタフレームと、該センタフレームから左,右方向に張出した複数の張出しビームと、該各張出しビームの先端側に設けられ前,後方向に延びるサイドフレームとにより構成し、
前記カバー取付部材は、前記各アンダカバーのうち隣合う2枚のアンダカバーをそれぞれ下側から押えこれらを前記張出しビームとの間で挟持するため、前記隣合うアンダカバーにそれぞれ当接する長さ寸法と隣合うアンダカバー間の隙間よりも小さい幅寸法とを有する板体からなるカバー押え具と、該カバー押え具に挿通され該カバー押え具を前記隣合うアンダカバーと共に前記張出しビームに締結するボルトとにより構成し、
前記カバー押え具と前記フレーム構造体の張出しビームとの間には、前記ボルトを用いて前記カバー押え具を前記フレーム構造体の張出しビームに締結するときに前記アンダカバーの板厚に応じて変形する弾性部材を設ける構成としたことを特徴とする建設機械の旋回フレーム。 - 前記カバー押え具の板体を前記ボルトを緩めて隣合うアンダカバー間に配置することにより、該各アンダカバーを前記フレーム構造体の張出しビームに対して着脱できる構成としてなる請求項1に記載の建設機械の旋回フレーム。
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