JP4474949B2 - ポリエステル系複合繊維およびそれを用いてなる極細繊維 - Google Patents

ポリエステル系複合繊維およびそれを用いてなる極細繊維 Download PDF

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Description

本発明は、分割性に優れ、糸切れ抑制により操業性が向上されたポリエステル系複合繊維およびそれを用いてなる極細繊維に関するものである。
従来、機能性や極細化のために剥離または溶解型の分割型複合繊維や海島型複合繊維が数多く提案されている。とりわけ異種ポリマーを分割可能な如く配置して複合繊維とし、後加工工程において両成分を分割する方法が、特に極細繊維を製造する方法として良く知られている。この異種ポリマーの組み合わせとしては、非相溶性のポリマーを用いることが一般的であり、例えば工業的な価値からポリエステルとポリアミドの組み合わせが最も大きな比重を占める。しかしこれらの複合繊維はそれぞれ単独の場合と比較して紡糸安定性に劣る問題がある。
一般にポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物が広く用いられている。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリマーは以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
例えば、アンチモン触媒を使用して得られたポリマーを溶融紡糸して繊維とするときに、アンチモン触媒の残渣が口金孔周りに堆積することが知られている。この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチモン触媒残渣の堆積が生じるのは、ポリマー中のアンチモン化合物が口金近傍で変成し、一部が気化、散逸した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであると考えられている。
また、ポリマー中のアンチモン触媒残渣は比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって成形加工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の糸切れの原因になるなどの好ましくない特性を有している。特にポリエステルを1成分とする複合繊維においては、単独成分の場合と比較して操業性の低下がいっそう顕著である。また、これらの要因が重なるためか、得られる複合繊維の分割性も低下する。
上記のような背景からアンチモン含有量が少ないか、あるいは含有しないポリエステル系複合繊維が求められている。
そこで重縮合触媒の役割をアンチモン系化合物以外の化合物に求める場合ゲルマニウム化合物が知られているが(例えば、特許文献1)、ゲルマニウム化合物は埋蔵量が少なく希少価値であるため汎用的に用いることは難しい。
また、アンチモン含有率が50ppm以上200ppm以下のポリエステルとポリアミドからなる複合繊維の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2)。しかしながら、単に触媒量を減らすと重合時間が長くなり生産性に劣るなどの問題があった。
さらには、アンチモン系化合物の代わりとして、例えばアルミニウム及び/またはその化合物とフェノール系化合物を含有する触媒を用いて重合されたポリエステル系極細繊維が検討されている(例えば、特許文献3)。しかしながら、アルミニウム化合物は重合触媒としての活性が低く重合時間が長くなり生産性が低下すること、重合時間を短縮するために触媒量を増やすと異物が多くなり操業性の低下や触媒コストが高くなること、得られるポリマーの色調が従来のアンチモン触媒により得られるポリマーと比較して黄色味が増すこと、などの問題があった。
特開平1−139816号公報 特開平7−310237号公報 特開2002−249967号公報
本発明の目的は、分割性に優れ、糸切れ抑制により操業性が向上されたポリエステル系複合繊維およびそれを用いてなる極細繊維を提供せんとするものである。
本発明者らは、分割性不良や糸切れの原因の一つがアンチモン系の重合用触媒を用いることにあり、それに代わる重合用触媒としてチタン化合物を含むことによって上記課題を解決することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、少なくとも成分Aと成分Bからなり、成分Aが成分Bにより複数個に分割可能な繊維断面形状を有する分割型複合繊維において、成分Aがチタン化合物(二酸化チタン粒子を除く)をエステル化および/または重縮合触媒として製造されたポリエステルであり、かつチタン化合物をポリエステルに対するチタン原子換算で0.5〜150ppm含有し、下記一般式1で表されるリン化合物をポリエステルに対するリン原子換算で0.1〜400ppm含有し、かつアンチモン化合物を含まないかあるいはポリエステルに対するアンチモン原子換算で30ppm以下含有することを特徴とするポリエステル系複合繊維により達成される。
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本発明により経済的にポリエステル系複合繊維及び極細繊維の製造方法を提供することができる。
本発明のポリエステル系複合繊維は、少なくとも成分Aと成分Bの2種以上の成分からなり、その数は限定されるものではないが、紡糸安定性や考慮すると2〜3成分であることが好ましい。ここで、成分Aのポリエステルはジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーであって、複合繊維として用いることが可能なものであれば特に限定はない。
このようなポリエステルとして具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。本発明は、中でも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体において好適である。
また、これらのポリエステルには、ジエチレングリコール以外に共重合成分としてアジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキシ)安息香酸等のオキシカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体等が共重合されていてもよい。
本発明のポリエステルにおいて、触媒として用いることができるチタン化合物は、チタン化合物の置換基が下記一般式〜一般式で表される官能基からなる群より選ばれる少なくとも1種であるチタン化合物、チタン酸化物が挙げられる。
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(一般式〜一般式中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基、アルコキシ基または水酸基またはカルボニル基またはアセチル基またはカルボキシル基またはエステル基またはアミノ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
本発明の一般式としては、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、2−エチルヘキソキシド等のアルコキシ基、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系化合物からなる官能基が挙げられる。
また、一般式としては、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系化合物、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系化合物からなる官能基が挙げられる。
また、一般式としては、フェノキシ、クレシレイト、サリチル酸等からなる官能基が挙げられる。
また、一般式としては、ラクテート、ステアレート等のアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系化合物、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸からなる官能基が挙げられる。
また、一般式としては、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等からなる官能基が挙げられる。
中でも一般式及び/または一般式が含まれていることがポリマーの熱安定性及び色調の観点から好ましい。
また、チタン化合物としてこれら一般式〜一般式の置換基の2種以上を含んでなるチタンジイソプロポキシビスアセチルアセトナートやチタントリエタノールアミネートイソプロポキシド等が挙げられる。
また、チタン酸化物としては、主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物等が挙げられる。
なお、本発明の重合用触媒とは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーにおいて、以下の(1)〜(3)の反応全てまたは一部の素反応の反応促進に実質的に寄与する化合物を指す。
(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応
(2)ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分とジオール成分との反応であるエステル交換反応
(3)実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応
従って、繊維の艶消し剤等に無機粒子として一般的に用いられている二酸化チタン粒子は、上記の反応に対して実質的に触媒作用を有しておらず、本発明の触媒として用いることができるチタン化合物とは異なる。
主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物及び超微粒子酸化チタンの製造方法は、特に限定されないが、例えば、チタンのアルコキシド化合物を原料とした加水分解反応により製造する方法に準じ、この加水分解の速度を制御することによって得られる。具体的には、例えば主原料であるチタンアルコキシド化合物に対して、ケイ素やジルコニウム等の少量の他の金属アルコキシド化合物や多価アルコール化合物を共存させ、両者の共沈法、部分加水分解法、配位化学ゾル・ゲル法等によって合成することができる。ここで共沈法とは2種あるいはそれ以上の成分を含有する所定の組成の溶液を調製し、その組成のまま加水分解反応を進行させる方法である。また、部分加水分解法とは、一方の成分を予め加水分解した状態としておき、そこへもう一方の成分を加えさらに加水分解を進行させる方法である。また、配位化学ゾル・ゲル法とは、チタンアルコキシド原料とともに分子内に官能基を複数持つ多価アルコール化合物等を共存させ、両者の間で予め反応物を形成させることによって、その後の加水分解反応の速度を制御しようとするものである。以上のような化合物の合成方法は、例えば、上野らの「金属アルコキシドを用いる触媒調製」(アイピーシー(1993)発行)等に記載されている。
本発明におけるチタン化合物(二酸化チタン粒子を除く)は得られるポリマーに対してチタン原子換算で0.5〜150ppm含有されていることが好ましい。1〜100ppmであるとポリマーの熱安定性や色調がより良好となり好ましく、さらに好ましくは3〜50ppmである。
本発明のポリエステルは、チタン化合物と共にリンがポリエステルに対してリン原子換算で0.1〜400ppm含有されていることが好ましい。なお、製糸時におけるポリエステルの熱安定性や色調の観点からリン含有量は、1〜200ppmが好ましく、さらに好ましくは3〜100ppmである。
なお、本発明において用いられるポリエステルに含有されるリンは、ポリエステルの製造過程でリン化合物として添加される。このようなリン化合物としては、熱安定性及び色調改善の観点から、下記一般式1で表される化合物を用いる。
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お、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表し、ベンゼン環に対して2個以上有していてもよく、かつ異なる基であってもよい。この場合の炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造、脂肪族の分岐構造、フェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。具体的な化合物としては、以下の下記式10で表されるビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、式11で表されるビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトが好ましい。これらの式10〜11の化合物はそれぞれ、アデカスタブPEP−36、アデカスタブPEP−24Gとしていずれも旭電化株式会社より入手可能であり、式11はIRGAFOS126としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズより入手可能である。また、これらの化合物を単独または併用してもよい。
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上述のリン化合物を添加する場合、リン化合物をエチレングリコール等のジオール成分に溶解させた状態または分散させたスラリー状にすることが好ましい。
本発明のポリエステルにおいてはアンチモン化合物を含まないかあるいはポリエステルに対するアンチモン原子換算で30ppm以下含有することが必要である。この範囲とすることで、成形加工時の口金汚れの発生等が少なく、かつ比較的安価なポリマーを得ることができる。より好ましくは、10ppm以下、特には実質的に含有しないことが好ましい。
また、チタン化合物のチタン原子に対してリン原子としてモル比率でTi/P=0.1〜20であるとポリエステルの熱安定性や色調が良好となり好ましい。より好ましくはTi/P=0.2〜10であり、さらに好ましくはTi/P=0.3〜5である。
本発明で用いるチタン化合物及びリン化合物は、ポリエステルの反応系にそのまま添加してもよいが、予めエチレングリコールやプロピレングリコール等のポリエステルを形成するジオール成分を含む溶媒と混合し、溶液またはスラリーとし、必要に応じてチタン化合物またはリン化合物合成時に用いたアルコール等の低沸点成分を除去した後、反応系に添加すると、ポリマー中での異物生成がより抑制されるため好ましい。添加時期はエステル化反応触媒やエステル交換反応触媒として、原料添加直後に触媒を添加する方法や、原料と同伴させて添加する方法がある。また、重縮合反応触媒として添加する場合は、実質的に重縮合反応開始前であればよく、エステル化反応やエステル交換反応の前、あるいは反応終了後、重縮合反応触媒が開始される前に添加してもよい。この場合、チタン化合物とリン化合物が接触することによる触媒の失活を抑制するために、異なる反応槽に添加する方法や、同一の反応槽においてチタン化合物とリン化合物の添加間隔を1〜15分とする方法や添加位置を離す方法がある。
また、本発明においてチタン化合物を予めリン化合物と反応させたものを触媒として用いることもできる。この場合には、(1)チタン化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液にリン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下する。(2)ヒドロキシカルボン酸系化合物や多価カルボン酸系化合物等のチタン化合物の配位子を用いる場合は、チタン化合物または配位子化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液に配位子化合物またはチタン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下する。また、この混合溶液にさらにリン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下すると、熱安定性及び色調改善の観点から好ましい。上記の反応条件は0〜200℃の温度で1分以上、好ましくは20〜100℃の温度で2〜100分間加熱することによって行われる。
この際の反応圧力には特に制限はなく、常圧でもよい。また、ここで用いる溶媒としては、チタン化合物、リン化合物及びカルボニル基含有化合物の一部または全部を溶解し得るものから選択することができるが、好ましくは、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ベンゼン、キシレンから選ばれる。
本発明のポリエステルの製造方法において任意の時点でマンガン化合物をポリエステルに対するマンガン原子換算で1〜400ppm含有し、マンガン化合物とリン化合物の比率がマンガン原子とリン原子のモル比率としてMn/P=0.1〜200となるように添加すると重合活性の低下を抑制することができ、それにより得られるポリマーの色調が良好となり好ましい。この場合に用いるマンガン化合物としては特に限定はないが、具体的には、例えば、塩化マンガン、臭化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、マンガンアセチルアセトネート、酢酸マンガン四水塩、酢酸マンガン二水塩等が挙げられる。
また、本発明のポリエステルの製造方法において任意の時点でさらにコバルト化合物を添加すると得られるポリマーの色調が良好となり好ましい。本発明のコバルト化合物としては特に限定はないが、具体的には、例えば、塩化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト四水塩等が挙げられる。
また、得られるポリマーの色調やポリマーの耐熱性を向上させる目的で、従来既知のアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、スズ化合物等を添加してもよい。
さらに、二酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、カーボンブラック等の粒子のほか、着色防止剤、安定剤、抗酸化剤等の添加剤を含有しても差支えない。
一方、本発明でいう成分Bとしては、成分Aと異なるものであり、かつ成分Aと複合紡糸できるものであれば特に限定されないが、分割性が優れる点で相溶しないものが好ましい。相溶しないものとは、溶融混練しても実質的に溶解しあわないものをいい、例えばポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン等が挙げられるが、経済性や紡糸安定性を考慮するとポリアミドであることが好ましい。ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、等を挙げることができる。また成分Bとしてポリエステル系のポリマーを用いる場合は、他成分の共重合等によって改質し、分割性を向上させることが好ましい。
また、本発明のポリエステル系複合繊維は特開平7−189136号公報に記載されているように、隠蔽性を向上させるためにポリマー中に酸化チタン粒子等の無機粒子を添加してもよい。
本発明の複合繊維は、繊維横断面において少なくとも成分Aが成分Bにより複数個に分割されていれば、その形態は特に限定されるものではなく、外形として丸、楕円、三角、四角等いずれでもよく、例えば図1に示される断面形状が挙げられる。この中で、紡糸安定性が優れる点で外形が丸や楕円であることが好ましい。本発明に好ましく用いられる繊維の断面例として、図1〜図5に概略モデル図を示した。さらに本発明の効果が顕著でありより好ましい断面としては、成分Aが繊維表面に露出している形状(例えば図1〜図4)であり、さらに好ましくは、図1に示されるような中空部を有する形状である。また、本発明では中空率が0.5〜40%であることが好ましい。中空率は低いほど紡糸安定性が向上するが、本発明の効果が顕著に現れる点で0.5%以上が好ましく、3%以上がより好ましい。また、高すぎると本発明をもってしても十分な紡糸安定性を確保することが困難であるため、40%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。ここで、中空率とは繊維の横断面積に対する中空部の面積である。
また、分割数についても、特に限定されるものではないが、繊維製造工程での剥離や紡糸安定性を考慮すると、成分Bにより分割される成分Aの数は3〜24の範囲が好ましく、4〜18がより好ましい。
さらに、成分Aと成分Bの比率は、紡糸安定性が優れる点でA:B=3:7〜7:3が好ましく、4:6〜6:4がより好ましい。
このような複合繊維の繊度についても、適宜必要に応じて調整することができるが、紡糸安定性を考慮すると、0.5〜15dtexであることが好ましい。さらに本発明の複合繊維を用いて極細繊維を得る場合は、分割後の成分Aの繊度は、本発明の効果がより顕著であるという点で、0.01〜1dtexであることが好ましい。
次いで、本発明のポリエステルの製造方法を説明する。具体例としてポリエチレンテレフタレートの例を記載するが、これに限定されるものではない。
ポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。ここでエステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、本発明のチタン化合物を触媒として添加してもよい
本発明の製造方法は、一連の反応の任意の段階、好ましくは一連の反応の前半で得られた低重合体に、粒子として酸化チタン、コバルト化合物等を添加した後、重縮合触媒としてチタン化合物を添加し重縮合反応を行い、高分子量のポリエチレンテレフタレートを得るというものである。この反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式で実施されるが、本発明の製造方法はそのいずれの形式にも適応し得る。
本発明では、このようにして得られるポリエステルを成分Aとし、成分Bとを複合させて複合繊維とする。
ここで、本発明における複合繊維の製造方法としては、特に限定されるものではなく、上記ポリエステルを1成分として用いる他は、従来から知られている複合繊維の製造手法で複合繊維を製造することができる。
例えば、特公昭39−29636号公報、特開昭50−5650号公報、特公昭53−10169号公報、特開昭54−125719号公報等に記載されている複合口金に準じた口金を使用することができる。
さらに、得られた複合繊維については、織物、編み物、不織布等に成形した後及び/または成形前に、アルカリや溶剤による化学処理やニードルパンチやウォータージェットパンチ等の物理処理等、従来公知の方法によって分割することで、より細繊度の繊維を得ることができる。本発明では、本発明の複合繊維を用いることによって、より容易に極細繊維を得ることが可能となる。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリエチレンテレフタレート中のチタン元素、アンチモン元素及びゲルマニウム元素の含有量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)により求めた。なお、必要に応じて、対象となるポリエチレンテレフタレート中の酸化チタン粒子等の無機粒子の影響を除去するために次の前処理をした上で蛍光X線分析を行った。すなわち、ポリエチレンテレフタレートをオルソクロロフェノールに溶解(溶媒100gに対してポリマー5g)し、必要に応じてクロロホルムで該ポリマー溶液の粘性を調製した後、遠心分離器(回転数18000rpm、1時間)で粒子を沈降させる。その後、傾斜法で上澄み液のみを回収し、アセトン添加によりポリマーを再析出、ろ過、洗浄して粒子を除去したポリマーとする。以上の前処理を施して得られた粒子を除去したポリマーについてチタン元素量、アンチモン元素及びゲルマニウム元素の分析を行った。
一方、二酸化チタン粒子が含まれていない場合は、前処理を行う必要がないので、ポリマーをそのまま分析すればよい。
(2)ポリエチレンテレフタレート固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(3)ナイロン6の相対粘度
95%硫酸を溶媒として25℃で測定した。
(4)融点
測定する試料約10mgを精秤し、アルミニウム製オープンパン及びパンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製、DSC7型)を用いて、窒素気流下、20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温させ、その途中で観察される融点ピーク温度を融点とした。
(5)溶液ヘイズ
測定する試料約2gをオルソクロロフェノール20mLに溶解させ、ヘイズメーター(スガ試験機社製,HGM−2DP型)を用い、積分球式光電光度法にて分析を行った。なお、対象となるポリエチレンテレフタレート中の酸化チタン粒子等の無機粒子の影響を除去するため、上記(1)記載と同様な前処理を施してポリマーを得た。
なお、溶液ヘイズが2%より小さければ異物の含有率が少なく、製糸性に優れたポリマーであると言える。
(6)ポリマーの色調
色差計(スガ試験機社製、SMカラーコンピュータ型式SM−3)を用いて、ハンター値(L、a、b値)として測定した。
(7)紡糸性
8時間連続紡糸し、下記のように判断した。
○(糸切れ2回以下)、△(糸切れ3〜15回)、×(糸切れ16回以上)
(8)複合繊維の中空率
光学顕微鏡にて繊維断面を100個ランダムに観察し、単繊維の面積における中空部の面積の割合を測定して平均化した値を中空率とした。
(9)分割性
分割後の織物の表面を10点ランダムにSEM観察し、目視にて下記のように判断した。
○(ほぼすべて良好に分割)、△(分割繊維に未分割繊維が混在)、×(未分割繊維が多数存在)
実施例1
高純度テレフタル酸(三井化学社製)100kgとエチレングリコール(日本触媒社製)45kgのスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の123kgを重縮合槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、酸化チタン粒子のエチレングリコールスラリーを得られるポリマーに対して0.3重量%添加した。5分間撹拌した後、塩化コバルト及び酢酸マンガンのエチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してコバルト原子換算で30ppm、マンガン原子換算で10ppmとなるように加えた。更に5分間撹拌した後、クエン酸キレートチタン化合物の2重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してチタン原子換算で0.5ppmとなるように添加し、5分後、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(旭電化社製、アデカスタブPEP−36)の10重量%エチレングリコールスラリーを得られるポリマーに対して50ppm(リン原子換算で5ppm)となるように添加し、その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は3時間であった。
得られたポリマーの色調はL=77、a=−1.1、b=0.5であり、比較例1より優れていた。ついで、溶融紡糸し、延伸を行った。溶融紡糸時の糸切れ結果、及び製織後の分割性は表1に示したように良好な結果となった。
このポリエチレンテレフタレートとナイロン6(相対粘度は2.40)を用い、複合比1:1、紡糸温度290℃、紡速1500m/分にて紡糸した後、2.7倍に延伸して110デシテックス36フィラメントの図1に示す断面(中空率9%)の複合繊維を得た。このとき、紡糸性は良好であり、また断面形状も変化せず操業性に優れていた。
得られた複合繊維を用いて平織物とした後、100℃にて3%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて20分間処理した。得られた表面を観察し、分割性を評価した結果を表1に示した。
なお、以下に触媒の合成例を示す。
触媒A.クエン酸キレートチタン化合物の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
触媒B.クエン酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸混合)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量2.49重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
触媒C.クエン酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸、リン酸混合)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)及びリン酸の85重量/重量%水溶液(39.9g、0.35モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量3.36重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
触媒D.乳酸キレートチタン化合物の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。得られたチタン化合物は実施例1と同様、チタン化合物の2重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppmとなるように添加し、5分後、フェニルホスホン酸ジメチルエステルの10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で10ppmとなるように添加し、重合を行った。
触媒E.乳酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸混合)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量4.23重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
触媒F.乳酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸、リン酸混合)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)及びリン酸の85重量/重量%水溶液(39.9g、0.35モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量5.71重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
触媒G.チタンアルコキシド化合物の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。得られたチタン化合物は実施例1と同様、チタン化合物の2重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してチタン原子換算で30ppmとなるように添加し、5分後、ジエチルホスホノ酢酸エチルの10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で10ppmとなるように添加し、重合を行った。
触媒H.チタンアルコキシド化合物(リン酸混合)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。この混合溶液に対し、リン酸の85重量/重量%水溶液(114g、1.00モル)を加えた(P含有量2.87重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
触媒I.チタンアルコキシド化合物(ジエチルホスホノ酢酸エチル混合)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。この混合溶液に対し、ジエチルホスホノ酢酸エチル(224g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量2.87重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
触媒J.アコーディス社製のチタン及びケイ素からなる複合酸化物
アコーディス社製のチタン及びケイ素からなる複合酸化物(商品名:C−94、以降Ti/Si複合酸化物と記す)の0.15重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppmとなるように添加し、5分後、フェニルホスホン酸ジメチルエステルの10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で10ppmとなるように添加した。
比較例1
ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(旭電化社製、アデカスタブPEP−36)の代わりにフェニルホスホン酸ジメチルエステルのエチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で10ppmとなるように添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合した。得られたポリマーのIVは0.66、色調はL=77、a=−1.2、b=2.5、ポリマーの融点は259℃、溶液ヘイズは0.7%であった。また、ポリマーから測定したチタン触媒由来のチタン原子の含有量は10ppm、リン原子の含有量は10ppmであり、Ti/P=0.65であり、アンチモン原子の含有量は0ppmであることを確認した。ついで、溶融紡糸し、延伸を行った。
比較例2〜7、38、39
触媒として用いたクエン酸キレートチタン化合物の添加量を得られるポリマーに対してチタン原子換算で1、3、30、50、100、150、0.3、200ppm(それぞれ比較例2、3、4、5、6、7、38、39)とした以外は比較例1と同様の方法で重合し、溶融紡糸し、延伸して長繊維不織布を得た
比較例8
触媒として用いたクエン酸キレートチタン化合物の添加量を得られるポリマーに対してチタン原子換算で20ppmとし、フェニルホスホン酸ジメチルエステルの10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で0.1ppmとなるように添加した以外は比較例1と同様の方法で重合し、溶融紡糸し、延伸して長繊維不織布を得た
比較例9〜15、40、41
フェニルホスホン酸ジメチルエステルの10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で1、3、50、100、150、200、400、0.07、500ppm(それぞれ比較例9、10、11、12、13、14、15)となるように添加した以外は比較例8と同様の方法で重合し、溶融紡糸し、延伸を行った
比較例16、17、42
触媒としてチタン化合物の他に三酸化アンチモン(住友金属鉱山社製)を、得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で10、30、40ppm添加したこと以外は比較例4と同様にして重合し、溶融紡糸し、延伸を行った
比較例18〜23
エチレングリコール溶液として加える酢酸マンガンを、得られるポリマーに対してマンガン原子換算でそれぞれ0.7、1、100、250、400、500ppm(それぞれ比較例18、19、20、21、22、23)となるように加えたこと以外は比較例4と同様にして重合し、溶融紡糸し、延伸を行った
比較例24
エチレングリコール溶液として加える酢酸マンガンを、得られるポリマーに対してマンガン原子換算でそれぞれ500ppmとなるように、またフェニルホスホン酸ジメチルエステルの10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で1ppmとなるように添加した以外は比較例4と同様にして重合し、溶融紡糸し、延伸を行った
比較例27,33
触媒として用いるチタン化合物をそれぞれ触媒D、J(それぞれ比較例27、33)とした以外は比較例4と同様にして重合し、溶融紡糸し、延伸を行った
比較例34、35
エチレングリコール溶液として加える塩化コバルトを酢酸コバルト(比較例34)、なし(比較例35)とした以外は比較例4と同様にして重合し、溶融紡糸し、延伸を行った
比較例36、37
比較例4と同様の方法で重合した後、溶融紡糸する際、成分比のみを変更し、得られる成分比A:B=4:6(比較例36)、A:B=6:4(比較例37)とした以外は比較例4と同様にして溶融紡糸し、延伸を行った。
比較例43
触媒にチタン化合物を用いずに、三酸化アンチモン(住友金属鉱山社製)を、得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で300ppm添加したこと以外は比較例1と同様にして重合し、溶融紡糸を行った。
Figure 0004474949
本発明に好ましく用いられる繊維の断面例を示した概略断面図である。 本発明に好ましく用いられる繊維の他の断面例を示した概略断面図である。 本発明に好ましく用いられる繊維の他の断面例を示した概略断面図である。 本発明に好ましく用いられる繊維の他の断面例を示した概略断面図である。 本発明に好ましく用いられる繊維の他の断面例を示した概略断面図である。
符号の説明
1:成分A
2:成分B
3:中空部分

Claims (13)

  1. 少なくとも成分Aと成分Bからなり、成分Aが成分Bにより複数個に分割可能な繊維断面形状を有する分割型複合繊維において、成分Aがチタン化合物(二酸化チタン粒子を除く)をエステル化および/または重縮合触媒として製造されたポリエステルであり、かつチタン化合物をポリエステルに対するチタン原子換算で0.5〜150ppm含有し、下記一般式1で表されるリン化合物をポリエステルに対するリン原子換算で0.1〜400ppm含有し、かつアンチモン化合物を含まないかあるいはポリエステルに対するアンチモン原子換算で30ppm以下含有することを特徴とするポリエステル系複合繊維。
    Figure 0004474949
    (上記式1中、R 、R はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表し、ベンゼン環に対して2個以上有していてもよく、かつ異なる基であってもよい。この場合の炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造、脂肪族の分岐構造、フェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
  2. チタン化合物(二酸化チタン粒子を除く)とリン化合物の比率が、チタン原子とリン原子のモル比率としてTi/P=0.1〜20であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル系複合繊維。
  3. マンガン化合物をポリエステルに対するマンガン原子換算で1〜400ppm含有し、マンガン化合物とリン化合物の比率が、マンガン原子とリン原子のモル比率としてMn/P=0.1〜200であることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル系複合繊維。
  4. チタン化合物が酸化物であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のポリエステル系複合繊維。
  5. チタン化合物が、主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物であることを特徴とする請求項記載のポリエステル系複合繊維。
  6. チタン化合物の置換基が下記一般式〜一般式で表される官能基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のポリエステル系複合繊維。
    Figure 0004474949
    Figure 0004474949
    Figure 0004474949
    Figure 0004474949
    Figure 0004474949
    Figure 0004474949
    (一般式〜一般式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基、アルコキシ基または水酸基またはカルボニル基またはアセチル基またはカルボキシル基またはエステル基またはアミノ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
  7. 一般式〜一般式のR〜Rがそれぞれ独立に水素または炭素数1〜30の炭化水素基であることを特徴とする請求項記載のポリエステル系複合繊維。
  8. 一般式〜一般式中、R〜Rのうち少なくとも1つが、水酸基またはカルボニル基またはアセチル基またはカルボキシル基またはエステル基を有する炭素数1〜30の炭化水素基であることを特徴とする請求項記載のポリエステル系複合繊維。
  9. 一般式のR〜Rのうち少なくとも1つが、カルボキシル基またはエステル基を有する炭素数1〜30の炭化水素基であることを特徴とする請求項記載のポリエステル系複合繊維。
  10. 一般式のRが炭素数1〜30の炭化水素基もしくは、水酸基またはカルボニル基またはアセチル基またはカルボキシル基またはエステル基を有する炭素数1〜30の炭化水素基であることを特徴とする請求項記載のポリエステル系複合繊維。
  11. 成分Bがポリアミドである請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリエステル系複合繊維。
  12. 成分Aが繊維表面に露出し、成分Bにより3〜24個に分割され、かつ該複合繊維が0.5〜40%の中空率を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリエステル系複合繊維。

  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の複合繊維を用い、かつ成分Aからなる繊維の分割後繊度が0.01〜1デシテックスであることを特徴とする極細繊維。
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