JP4474751B2 - 蒸着フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高いバリア性を有する蒸着フィルムに係わり、食品や非食品及び医薬品等の包装分野で用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品や非食品及び医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制しそれらの機能、性質および品質を保持するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を阻止する必要があり、これら様々の気体(ガス)を遮断するガスバリア性を備えることが求められている。そのため従来から、温度や湿度などによる影響が少ないアルミニウム等の金属からなる金属箔をガスバリア層として用いた包装材料が一般的に用いられてきた。
【0003】
ところが、アルミニウム等の金属からなる金属箔を用いた包装材料は、ガスバリア性に優れるが、包装材料を透視して内容物を確認することができないこと、使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければならないこと、検査の際金属探知器が使用できないことなどの欠点が問題となっていた。
【0004】
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、例えば米国特許第3442686号明細書、特公昭63−28017号公報等に記載されているような酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物を高分子フィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段により蒸着膜を形成したフィルムが提案されている。これらの蒸着フィルムは透明性及び酸素、水蒸気等のガス遮断性を有していることが知られており、金属箔等では得ることのできない透明性、ガスバリア性の両者を有する包装材料として好適とされているが、近年、これらの蒸着フィルムからなる包装材料にさらに高度のガスバリア性が求められるようになってきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
基材上に蒸着膜を成膜する際、基材上に到達した蒸着粒子はまず核を生成し、成長して膜を形成することが知られており、核生成を助長するような核生成サイトが多く基材表面に分散しているような場合には、より緻密な膜が形成されることによって、さらに高度のガスバリア性が発現し得るものと予想される。
【0006】
上記核生成サイトとして、基材やプライマー層等に含まれる極性基等が考えられるが、単にプライマー層を設けただけでは十分ではない。そこで、十分な核生成サイトを形成し得る処方が求められていた。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、透明性に優れ、且つ特に水蒸気バリア性に優れた高いガスバリア性を有する、実用性の高い蒸着フィルムおよびその蒸着フィルムを用いた包装材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためのもので、基材上に蒸着膜を成膜する際、基材上に到達した蒸着粒子はまず核を生成し、核生成を助長するような核生成サイトが多く分散形成するプライマー層を鋭意研究した結果、本発明に到達したものである。請求項1の発明は、プラスチック材料からなるフィルム基材の少なくとも片面に、ポリオール、イソシアネート化合物およびアルミニウム錯体を含む複合物からなるプライマー層と、厚さが5〜300nmの範囲を満たす無機酸化物からなる蒸着薄膜層とを順次積層してなり、前記アルミニウム錯体をイソシアネート化合物と等モルになるように加えられていることを特徴とする蒸着フィルムである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の蒸着フィルムにおいて、前記ポリオールが、アクリルポリオールであることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の蒸着フィルムにおいて、前記プライマー層の厚さが、0.01〜2μmの範囲であることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蒸着フィルムにおいて、前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムから選ばれるいずれかの化合物あるいはそれらの混合物であることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蒸着フィルムの無機酸化物薄膜上に、被膜層を積層したことを特徴とする蒸着フィルムである。
【0013】
〈作用〉
本発明によれば、プラスチック基材上に、ポリオール、イソシアネート化合物およびアルミニウム錯体を含む複合物からなるプライマー層を設けることで、核生成サイトを形成し、均一で、緻密な酸化アルミニウムの膜を形成することによって、特に高い水蒸気バリア性を有する蒸着フィルムが得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて更に詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の蒸着フィルムの構成の一例を示した断面図である。
図1に示したように、本発明の蒸着フィルムは、一例としてプラスチック材料からなるフィルム基材1上に、ポリオールイソシアネート化合物およびアルミニウム錯体を含む複合物よりなるプライマー層2、無機酸化物からなる蒸着薄膜層3、被膜層4が順次積層された構成である。被膜層4は、要求品質によっては設けなくてもよい。
【0016】
フィルム基材1は、蒸着薄膜層の透明性を生かすために、プラスチック材料からなる透明フィルムであって、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が用いられる。上記フィルムは、延伸、未延伸のどちらでも良く、また機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。またフィルム基材には、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などを必要に応じて使用することもできる。
【0017】
フィルム基材1の厚さは、特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性、プライマー層2及び無機酸化物蒸着薄膜層3、被膜層4等形成する場合や、その他の層を積層する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲で、用途によっては6〜30μmの範囲とすることが好ましい。
【0018】
また、量産性を考慮すれば、連続的に各層を形成できるようにウエブ状長尺フィルムを用いることが望ましい。
【0019】
本発明のポリオール、イソシアネート化合物およびアルミニウム錯体を含む複合物からなるプライマー層2は、プラスチック材料からなるフィルム基材1上に設けられ、核生成サイトを形成することにより、均一な酸化アルミニウムの膜を形成し、高い水蒸気バリア性を有する蒸着フィルムが得ることを目的とするものである。
【0020】
上記の目的達成の為にプライマー層2は、ポリオール、イソシアネート化合物およびアルミニウム錯体を含む複合物からなるものである。
【0021】
更に、プライマー層2を構成する上記複合物について詳細に説明する。
ポリオールとは高分子末端に、2つ以上の水酸基をもつもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。中でもアクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られるポリオールもしくは、アクリル酸誘導体モノマーおよびその他のモノマーとを共重合させて得られるポリオールであるアクリルポリオールが特に好ましい。このポリオールとしてエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートやヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどのアクリル酸誘導体モノマーを単独または共重合させポリオールや、前記アクリル酸誘導体モノマーとスチレン等のその他のモノマーを加え共重合させたアクリルポリオールが好ましく用いられる。また、イソシアネート化合物との反応性を考慮すると前記アクリルポリオールのヒドロキシル価が5〜200(KOHmg/g)の範囲であることが好ましい。
【0022】
また、アルミニウム錯体は上記のようなポリオールとイソシアネート化合物の中で分散させて用いられるもので、調液時によく分散されるように溶剤に可溶であることが必要である。例えば下記(1)〜(4)に示すアルミニウム錯体が用いられる。
【0023】
【化1】
Figure 0004474751
【0024】
アクリルポリオールとアルミニウム錯体の比は、錯体の分子量によっても異なるが1/1〜1000/1の範囲であることが好ましく、より好ましくは2/1〜100/1の範囲にあることである。
【0025】
溶解および希釈溶媒としては、溶解および希釈可能であれば特に限定されるものではなく、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類から選ばれるいずれか1種または2種以上配合されたものを用いることができる。
【0026】
更に、イソシアネート化合物は、アクリルポリオールなどのポリオールと反応してできるウレタン結合により基材や無機酸化物との密着性を高めるために添加されるもので、主に架橋剤もしくは硬化剤として作用する。前記機能を発揮するイソシアネート化合物の具体例としては、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシレンジイソシアネート(XDI)やヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などのモノマー類、もしくはこれらの重合体、もしくはこれらの誘導体から選ばれるいずれか1種または2種以上用いることができる。
【0027】
ここで、アクリルポリオールとイソシアネート化合物の配合比は特に制限されるのもではないが、イソシアネート化合物が少なすぎると硬化不良になる場合があり、またそれが多すぎるとブロッキング等が発生し加工上問題がある。そこで、アクリルポリオールとインソシアネート化合物との配合比としては、イソシアネート化合物由来のNCO基がアクリルポリオール由来のOH基の50倍以下であることが好ましく、特に好ましいのはNCO基とOH基が当量で配合される場合である。その混合方法は、周知の方法が使用可能で特に限定しない。
【0028】
本発明におけるプライマー層はポリオール、イソシアネート化合物およびアルミニウム錯体を任意の濃度で混合した複合溶液を調整し、複合溶液を例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用い、フィルム基材の上にコーティングし、その後コーティング膜を乾燥乾燥し溶媒等を除去し硬化させることによって形成する。
【0029】
上記複合溶液には、各種添加剤、例えば、シランカップリング剤、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等の硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の酸化防止剤、レベリング剤、流動調整剤、触媒、架橋反応促進剤、充填剤等を添加することも可能である。
【0030】
プライマー層の厚さは、均一に塗膜が形成することができれば特に限定しないが、一般的に0.01〜2μmの範囲であることが好ましい。厚さが0.01μmより薄いと均一な塗膜が得られ難く、密着性が低下する場合がある。また、厚さが2μmを越える場合は塗膜にフレキシビリティを保持させることができず、外的要因により塗膜に亀裂を生じる恐れがあるため好ましくない。特に好ましいのは0.05〜0.5μmの範囲にあることである。
【0031】
次に、無機酸化物からなる薄膜層3は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、あるいはこれらの混合物などの無機酸化物の蒸着膜からなり、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものであればよい。その中では、特に酸化アルミニウム及び酸化珪素が好ましい。ただし本発明の薄膜層は、上記条件に適合する材料であれば、無機酸化物に限定されず用いることができる。
【0032】
薄膜層3の厚さは、用いられる無機化合物の種類、構成により最適条件が異なるが、5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがある。好ましくは、10〜150nmの範囲である。
【0033】
無機酸化物からなる薄膜層3を、プライマー層2上に形成する手段としては各種手段が可能であるが、真空蒸着法により形成するのが一般的である。その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることもできる。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。この真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかを適宜用いればよい。また薄膜とプラスチック基材の密着性及び薄膜の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなど吹き込んだりする反応蒸着を行ってもよい。
【0034】
無機酸化物薄膜層3上に設けた被膜層4は、無機酸化物薄膜層3を保護するためのもので、合わせて高いガスバリア性を付与するために設けられるものである。
【0035】
高いガスバリア性を付与する被膜層4の例としては、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシド及び/又は加水分解物からなるものがある。前記金属とはアルコキシドが、テトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウム、又はこれらの混合物の等を加水分解したものおよび、前記水溶性高分子として、ポリビニルアルコールを用いた混合溶液を塗布したもの等がある。より高いガスバリア性が必要であり、また蒸着層を保護する目的によって設けられる。
【0036】
上記被膜層4を形成する手段として、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法などの従来公知の手段を用いることができる。また被膜層の厚さは、被膜層を形成するコーティング剤の種類や加工条件によって異なるが、乾燥後の厚さが0.01μm以上あれば良いが、厚さが50μm以上では膜にクラックが生じ易くなるため、0.01〜50μmの範囲が好ましい。
【0037】
更に、無機酸化物薄膜層3または被膜層4上に他の層を積層することも可能である。例えば印刷層、介在フィルム、ヒートシール層等である。印刷層は包装袋などとして実用的に用いるために形成されるものであり、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、塩化ビニル系等の従来から用いられているインキバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤等の添加剤などが添加されてなるインキにより構成される層であり、文字、絵柄等が形成されている。形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアーコート等の周知の塗布方式を用いることができる。厚さは0.1〜2.0μmで良い。
【0038】
また、必要に応じて介在フィルムを設けることができる。介在フィルムはボイルおよびレトルト殺菌時の破袋強度を高めるために設けられるもので、一般的に機械強度及び熱安定性の面から二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。厚さは、材質や要求品質等に応じて決められるが、一般的には10〜30μmの範囲である。形成方法としては2液硬化型ウレタン系樹脂等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法等の公知の方法により積層できる。
【0039】
また、ヒートシール層は袋状包装体などを形成する際に密封層として設けられるものである。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体またはそれらの金属架橋物等の樹脂からなるフィルムが用いられる。厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。形成方法としては、ヒートシール層を形成するフィルムを2液硬化型ウレタン樹脂などの接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法等を用いることが一般的であるがいずれも公知の方法により積層することができる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明の蒸着フィルムを具体的な実施例を挙げて更に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0041】
〈複合溶液の調製〉
A)希釈溶媒(酢酸エチル)中、アクリルポリオール(三菱レーヨン株式会社製;ダイヤナールLR209)とγ−イソシアネートプロピルトリメチルシランをアクリルポリオールに対し固形分で5%となるように加え、さらに下記(1)に示したアルミニウム錯体をγ−イソシアネートプロピルトリメチルシランと等モルになるように加え撹拌した。さらにイソシアネート化合物としてTDI系硬化剤をアクリルポリオールのOH基に対して1.1等量になるように添加した混合溶液を、2%の濃度になるように希釈溶媒を加えたものをプライマー溶液Aとする。
【0042】
B)上記プライマー溶液Aにおいて下記(1)に示したアルミニウム錯体を加えなかった以外はプライマー溶液Aの調整と同様の操作を行いプライマー溶液Bを得た。
【0043】
【化2】
Figure 0004474751
【0044】
〈実施例1〉
フィルム基材1として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、プライマー層2としてプライマー溶液Aをグラビアコート法により厚さ0.1μm(乾燥膜厚)形成した。
次いで、プライマー層2上に電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入し、厚さ20nmの酸化アルミニウムを蒸着して無機酸化物薄膜層3を形成した。得られた蒸着フィルムについて下記に示した評価方法に基づいて水蒸気透過率を測定した。その結果を表1に示した。
【0045】
〈比較例1〉
実施例1において、プライマー層2をプライマー溶液Bを使用して形成した以外は、実施例1と同様にして比較のための蒸着フィルムを得た。実施例1と同様に評価し、その結果を表1に示した。
【0046】
〈評価方法〉
得られた蒸着フィルムを用いて水蒸気透過率の評価を行った。評価はモダンコントロール社製MOCONPERMATRAN−W3/31を用い40℃−90%Rhの条件で行った。その結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0004474751
【0048】
表1に示すように、プライマー溶液にアルミニウム錯体を分散させ核生成サイトとした実施例1では、アルミニウム錯体を用いない比較例1に対し、高い水蒸気バリア性を有しているといえる。
【0049】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、ポリオール、イソシアネート化合物およびアルミニウム錯体を含む複合物からなるプライマー層を、フィルム基材上に設け、核生成サイトを形成することにより、均一で、緻密なな酸化アルミニウムの膜を形成することから、特に高い水蒸気バリア性を有する優れたガスバリア性と透明性を持つ汎用性のある蒸着フィルムを提供することが可能となった。
これによって、本発明の蒸着フィルムは、包装材料として巾広く使用可能であって、特に食品や非食品及び医薬品等の包装分野で好適に用いられるものである。
【0050】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸着フィルムの構成の一例を示した断面図である。
【符号の説明】
1……フィルム基材
2……プライマー層
3……無機酸化物薄膜層
4……被膜層

Claims (5)

  1. プラスチック材料からなるフィルム基材の少なくとも片面に、ポリオール、イソシアネート化合物およびアルミニウム錯体を含む複合物からなるプライマー層と、厚さが5〜300nmの範囲を満たす無機酸化物からなる蒸着薄膜層とを順次積層してなり、前記アルミニウム錯体をイソシアネート化合物と等モルになるように加えられていることを特徴とする蒸着フィルム。
  2. 前記ポリオールが、アクリルポリオールであることを特徴とする請求項1記載の蒸着フィルム。
  3. 前記プライマー層の厚さが、0.01〜2μmの範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の蒸着フィルム。
  4. 前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムから選ばれるいずれかの化合物あるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蒸着フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の蒸着フィルムの無機酸化物薄膜上に、被膜層を積層したことを特徴とする蒸着フィルム。
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