JP4474387B2 - 熱硬化性組成物およびこれを用いた平版印刷版用原版 - Google Patents
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Description
本発明の熱硬化性組成物は、少なくとも、熱によりスルホン酸を脱離するスルホン酸エステル基を2以上有し、かつ、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、およびスルホンアミド基からなる群から選ばれる一種の官能基を2以上有する化合物(以下、「特定スルホン酸エステル化合物」と称する場合がある。)を含有する。
本発明の特定スルホン酸エステル化合物は、加熱によりスルホン酸を脱離して、求核種による攻撃を受け得る反応性部位を生じるスルホン酸エステル基を2以上と、前記求核種となりうる水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、およびスルホンアミド基からなる群から選ばれる一種の官能基を2以上有する化合物であり、反応性の点で、前記一般式(1)で表される構造を有していることを要する。
Lで表される非金属原子からなる多価の連結基としては、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位が組み合わさって構成されるものを挙げることができる。
Lの一部がR1と結合して非金属原子からなる環を形成していても良い。
R1、R2がアリール基若しくは置換アリール基を表わすとき、アリール基には炭素環式アリール基と複素環式(ヘテロ)アリール基が含まれる。炭素環式アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基等の炭素数6〜19のものが用いられる。また、複素環式アリール基としては、ピリジル基、フリル基、その他ベンゼン環が縮環したキノリル基、ベンゾフリル基、チオキサントン基、カルバゾール基等の炭素数3〜20、ヘテロ原子数1〜5を含むものが用いられる。R1、R2がアルキル基若しくは置換アルキル基を表わすとき、当該アルキル基としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1から25までのものが用いられる。
また、R1、R2が置換アリール基、置換ヘテロアリール基であるとき、置換基として前述の他にもメチル基、エチル基等のアルキル基を用いることができる。
さらに好ましい基は、R1は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、R2はフェニル基、および置換フェニル基、置換基としてはハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アセトアミド基である。
これらの官能基のうち、経時安定性および硬化性の観点から、水酸基およびカルボキシ基が、特に好ましい。
高分子量の特定スルホン酸エステル化合物の場合、重量平均分子量で、10,000〜100,000程度が好ましい。
また、高分子量の特定スルホン酸エステル化合物は、例えば、求核性の官能基を有するモノマーと、スルホン酸エステル基を有するモノマーとを共重合することにより合成することができる。
他のモノマーとしては、グリシジルメタクリレート、N−メチロールメタクリルアミド、オメガ−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、2−イソシアネートエチルアクリレート等の架橋反応性を有するモノマーが好ましい。
また、共重合体に用いられる他のモノマーとして、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーも挙げられる。
本発明の熱硬化性組成物には、光熱変換物質を含有させることが好ましく、光熱変換物質としては、紫外線、可視光線、赤外線、白色光線等の光を吸収して熱に変換し得る物質ならば全て使用でき、例えば、カーボンブラック、カーボングラファイト、顔料、フタロシアニン系顔料、鉄粉、黒鉛粉末、酸化鉄粉、酸化鉛、酸化銀、酸化クロム、硫化鉄、硫化クロム等が挙げられる。特に、好ましいのは、波長760nmから1200nmの赤外線を有効に吸収する染料、顔料、または金属である。このような赤外線を熱に変換する物質を添加することで、赤外線の照射により、照射部位を硬化させることができる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
本発明では、バインダーポリマーとして、ヒドロキシ基またはアルコキシ基が直接結合した芳香族炭化水素環を側鎖又は主鎖に有するポリマーを用いる。アルコキシ基としては、感度の観点から、炭素数20個以下のものが好ましい。また、芳香族炭化水素環としては、原料の入手性から、ベンゼン環、ナフタレン環またはアントラセン環が好ましい。これらの芳香族炭化水素環は、ヒドロキシ基またはアルコキシ基以外の置換基、例えば、ハロゲン基、シアノ基等の置換基を有していても良いが、感度の観点から、ヒドロキシ基またはアルコキシ基以外の置換基を有さない方が好ましい。
これらのノボラック樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1000以上であり、さらに好ましくは2000〜2万の範囲であり、数平均分子量は好ましくは1000以上であり、さらに好ましくは2000〜15000の範囲である。多分散度は1以上が好ましくは、さらに好ましくは1.1〜10の範囲である。
酸発生剤としては、たとえば、S.I.Schlesinger,Phorogr,Sci.Bng.,18,387(1974) 、T.S.Bal etal,Polymer,21,423(1980) 等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140,140号等に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker etal,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad,Curing,ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988) 、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromolecules,10(6),1307(1977) 、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988) 、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、特開平2−150,848号、特開平2−296,514号等に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello etal,Polymer J.17,73(1985) 、J.V.Crivello etal,J.Org.Chem.,43,3055(1978) 、W.R.Watt etal,j.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984) 、J.V.Crivello etal,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromolecules,14(5),1141(1981) 、J.V.Crivello etal,Polymer Sci.,Polymer Chem,Ed.,17,2877(1979) 、欧州特許第370,693号、米国特許3,902,114号、欧州特許第233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromolecules,10(6),1307(1977) 、J.V.Crivello etal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem,Ed.,17,1047(1979) 等に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf,Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988) 等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、
本発明では、必要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。
具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上、オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、メチルバイオレット(C.I.42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(C.I.145170B)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、メチレンブルー(C.I.52015)等、および特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。
これらの染料は、レーザ露光後退色し、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。尚、添加量は、熱硬化性組成物全固形分の0.01〜10重量%である。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」、第一工業(株)製)等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の熱硬化性組成物中に占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明の平版印刷版用原版は、通常上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより製造することができる。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。
これらの溶媒は単独又は混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版印刷版用原版についていえば一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
本発明の支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート又は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸若しくは硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート72.1g、p−トルエンスルホン酸クロリド95gおよびアセトニトリル100mlを500mlの三口フラスコに入れ、氷で冷却しながらピリジン117gを少しずつ加えた。ピリジンを滴下後室温にて5時間撹拌し、得られた反応液を、濃塩酸100mlを氷水700mlで希釈した酸性水溶液の中に投入した。約1時間放置後、析出した結晶をろ過により採取し、メタノールで再結晶して83.1gの結晶を得た。得られた結晶の融点は67℃であり、NMRスペクトル(CDCl3中で測定)データは、1.31(d,3H),1.88(s,3H),2.42(s,3H),4.1(m,2H),4.83(m,1H),5.53(s,1H),6.0(s,1H),7.31(d,2H),7.80(d,3H)であった。
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート72.1g、p−クロロベンゼンスルホン酸クロリド105g、およびアセトニトリル50mlを500mlの三口フラスコに入れ、氷で冷却しながらピリジン117gを少しずつ加えた。ピリジンを滴下後室温にて5時間撹拌し、得られた反応液を、濃塩酸100mlを氷水700mlで希釈した酸性水溶液の中に投入した。酢酸エチル700mlを用い抽出を行い、抽出液を硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、酢酸エチルを留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=3:1(v/v))を用いて精製し、103.5gの結晶を得た。得られた結晶の融点は47℃であり、NMRスペクトル(CDCl3中で測定)データは、1.35(d,3H),1.88(6s,3H),4.12(m,2H),4.89(m,1H),5.56(6s,1H),5.98(6s,1H),7.50(d,2H),7.83(d,2H)であった。
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート75.0g、p−アセトアミドベンゼンスルホン酸クロリド117g、およびアセトニトリル100mlを500mlの三口フラスコに入れ、氷で冷却しながらピリジン117gを少しずつ加えた。ピリジンを滴下後室温にて5時間撹拌し、得られた反応液を、濃塩酸100mlを氷水700mlで希釈した酸性水溶液の中に投入した。酢酸エチル700mlを用い抽出を行い、抽出液を硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、酢酸エチルを留去した。濃縮物を放置後析出した結晶をろ過により採取し、メタノールで再結晶して95.1gの結晶を得た。得られた結晶の融点は108℃であり、NMRスペクトル(CDCl3 中で測定)データは、1.22(d,3H),1.79(6s,3H),2.12(s,3H),4.05(m,2H),4.85(m,1H),5.46(6s,1H),5.93(6s,1H),7.60(d,2H),7.73(d,2H)であった。
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート75.0g、p−メトキシベンゼンスルホン酸クロリド103g、およびアセトニトリル100mlを500mlの三口フラスコに入れ、氷で冷却しながらピリジン117gを少しずつ加えた。ピリジンを滴下後室温にて5時間撹拌し、得られた反応液を、濃塩酸100mlを氷水700mlで希釈した酸性水溶液の中に投入した。酢酸エチル700mlを用い抽出を行い、抽出液を硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、酢酸エチルを留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=4:1(v/v))を用いて精製し、98.0gのオイルを得た。得られたオイルのNMRスペクトル(CDCl3 中で測定)データは、1.33(d,3H),1.90(s,3H),2.04(s,3H),4.3(m,2H),4.84(m,1H),5.55(s,1H),6.3(s,1H),7.20(d,2H),7.60(d,2H)であった。
上記の方法により合成したスルホン酸エステル基を有するモノマー[M−1]12.0g、メタクリル酸3.54g、1−メトキシ−2−プロパノール88gを三口フラスコに入れ窒素を流しながら65℃に加熱した。次に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.13gを加えて65℃で2時間加熱した。次に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.13gを追加し65℃で4時間加熱した。反応終了後、反応液をヘキサン500mlに加えポリマーを沈殿させた。沈殿物をろ過により採取し減圧下で乾燥した。得られたポリマーのGPC測定による重量平均分子量は25,000であった。
スルホン酸エステル基を有するモノマー[M−1]を、スルホン酸エステル基を有するモノマー[M−2]〜[M−4]に代えた以外は、特定スルホン酸エステル化合物[CP−1]の合成方法と同様の方法にて特定スルホン酸エステル化合物[CP−2]〜[CP−4]を合成した。得られた特定スルホン酸エステル化合物のGPC測定による平均分子量はそれぞれ34,000、43,000、27,000であった。
上記の方法により合成したスルホン酸エステル基を有するモノマー[M−1]8.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.9g、およびメチチルケトン43.8gを三口フラスコに入れ窒素を流しながら65℃に加熱した。次に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.432gを加えて65℃で2時間加熱した。次に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.216gを追加し65℃で4時間加熱した。反応終了後、反応液をヘキサン500mlに加えポリマーを沈殿させた。沈殿物をろ過により採取し減圧下で乾燥した。得られたポリマーのGPC測定による重量平均分子量は22,000であった。
表1に示す特定スルホン酸エステル化合物2.0g、1−メトキシ−2−プロパノール2.0g、メチルエチルケトン2.0gからなる溶液を、直径5.5cm深さ7mmのアルミ性の円筒状の缶に液厚2mmになるようにいれ170℃で1分加熱した。その後重さ30gで先端の直径0.5mmの金属針を鉛直方向1cmより自由落下させ、その先端が硬化膜に進入しなくなるまでの加熱時間を測定し硬化性の尺度とした。加熱時間が短い方が硬化性に優れている。また、目視あるいは触感により表面硬化性を判断した。表面硬化性の評価は、○は、針で突き刺したとき、全く針が膜内部に進行しない、△は、針が少し内部に進行、×は、針が容易に内部に進行、の3段階で行う。内部硬化性は得られた硬化物を半分に切断し、中央部の硬化状態を目視あるいは触感により判断した。内部硬化性の評価は、○は、針で突き刺したとき、全く針が膜内部に進行しない、△は、針が少し内部に進行、×は、針が容易に内部に進行、の3段階で行う。尚、実施例1ではポリマー1の他にメタクリル酸とベンンジルメタクリレート共重合体(モル比7:3)を1g添加した。結果を表1に示す。表1の結果から、本発明における特定スルホン酸エステル化合物を含有する熱硬化性組成物は、短時間の加熱で表面だけでなく内部まで硬化させることができ、硬化性に優れていることが分かる。
特定スルホン酸エステル化合物[CP−1]2.0g,1−メトキシ−2−プロパノール2.0g,メチルエチルケトン2.0g,およびヴィクトリアピュアーブル0.01gからなる溶液を、表面をコロナ処理されたPETフィルムの上に#10のロッドバーを用いて塗布し、100℃で1分乾燥した。この塗布膜を感熱ヘッド(富士通社製ワープロオアシス付属プリンター)を用いて印字しアセトンに1分浸漬して、鮮明な青色の画像を得た。次に塗布膜を45℃湿度75%の恒温槽に3日間保存し、その後、塗布直後の印字に用いたのと同じ感熱ヘッドを用いて印字したところ、塗布直後に印字したサンプルとおなじく鮮明な画像が得られた。
実施例9における特定スルホン酸エステル[CP−1]を、それぞれ特定スルホン酸エステル[CP−2]〜[CP−7]、[CP−9]に代えた他は、実施例9と同様にして塗布膜を作製し、この塗布膜を感熱ヘッド(富士通社製ワープロオアシス付属プリンター)を用いて印字しアセトンに1分浸漬して、鮮明な青色の画像を得た。次に塗布膜を45℃湿度75%の恒温槽に3日間保存し、その後、塗布直後の印字に用いたのと同じ感熱ヘッドを用いて印字した。いずれも塗布直後に印字したサンプルとおなじく鮮明な画像が得られた。
厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン−水懸濁液を用いてその表面を砂目立てし、水で十分に洗浄した。このアルミニウム板を25%水酸化ナトリウム水溶液に45℃で9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに2%HNO3水溶液に20秒間浸漬して水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。次にこのアルミニウム板を7%H2SO4水溶液を電解液として用い、電流密度15A/dm2の直流電流を流し、3g/m2の陽極酸化皮膜を設けた後、水洗乾燥した。次にこのアルミニウム板に下記下塗り液を塗布し、80℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は10mg/m2であった。
[下塗り液]
β−アラニン 0.1g
フェニルホスホン酸 0.05g
メタノール 40g
純水 60g
特定スルホン酸エステル化合物 0.5g
バインダーポリマー 1.5g
赤外線吸収剤[IK−1] 0.1g
着色剤 0.015g
(「AIZEN SPILON BLUE C−RH」、
保土ヶ谷化学(株)製)
フッ素系界面活性剤 0.06g
(「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 15g
メチルアルコール 7g
Claims (4)
- 熱によりスルホン酸を脱離するスルホン酸エステル基を2以上有し、かつ、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、およびスルホンアミド基からなる群から選ばれる一種の官能基を2以上有する化合物を含有してなり、該化合物が下記一般式(1)で表される構造を有する熱硬化性組成物。
(式中、Lは一般式(1)で示される構造をポリマー骨格に連結するのに必要な多価の非金属原子からなる有機基を表し、R 1 及びR 2 は、各々独立に、置換もしくは非置換のアルキル基、又は置換もしくは非置換のアリール基を表す。) - 前記熱によりスルホン酸を脱離するスルホン酸エステル基を2以上有し、かつ、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、およびスルホンアミド基からなる群から選ばれる一種の官能基を2以上有する化合物が、さらに、アルカリ可溶性基を有する請求項1に記載の熱硬化性組成物。
- さらに、波長760nmから1200nmの赤外線を吸収する染料、顔料または金属を含有する請求項1または2に記載の熱硬化性組成物。
- 支持体上に、請求項3に記載の熱硬化性組成物からなる赤外線感光層を設けてなる平版印刷版用原版。
Priority Applications (1)
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