JP4473599B2 - ウォータージェット加工装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体ウエーハ等の板状の被加工物を高圧のウォータージェットを噴射して切断するウォータージェット加工装置に関する。
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列された多数の領域にIC、LSI等の回路を形成し、該回路が形成された各領域を所定のストリートといわれる切断ラインに沿ってダイシングすることにより個々の半導体チップを製造している。このようにして分割された半導体チップは、パッケージングされて携帯電話やパソコン等の電気機器に広く利用されている。
携帯電話やパソコン等の電気機器はより軽量化、小型化が求められており、半導体チップのパッケージもチップサイズパッケージ(CSP)と称する小型化できるパッケージ技術が開発されている。CSP技術の一つとして、Quad Flat Non−lead Package(QFN)と称するパッケージ技術が実用化されている。このQFNと称するパッケージ技術は、半導体チップの接続端子に対応した接続端子が複数形成されているとともに半導体チップ毎に区画するストリートが格子状に形成された銅板等の金属板に複数個の半導体チップをマトリックス状に配設し、半導体チップの裏面側から樹脂をモールディングした樹脂部によって金属板と半導体チップを一体化することによりCSP基板を形成する。このCSP基板をストリートに沿って切断することにより、個々にパッケージされたチップサイズパッケージ(CSP)に分割する。
上記CSP基板の切断は、一般にダイシング装置とよばれる精密切削装置によって施される。このダイシング装置は、環状の砥粒層を備えた切削ブレードを備え、この切削ブレードを回転させつつCSP基板のストリートに沿って相対移動することにより、CSP基板をストリートに沿って切削し、個々のチップサイズパッケージ(CSP)に分割する。しかるに、CSP基板を切削ブレードによって切断すると、接続端子にバリが生じ、隣接する接続端子同士が短絡してチップサイズパッケージ(CSP)の品質および信頼性を低下させるという問題がある。
また、CSP基板に限らず、半導体ウエーハ等の被加工物を切削ブレードによって切削すると、被加工物の表面に微細な切削屑が付着して汚染するという問題もある。
このような切削ブレードによる切断における問題を解消する切断技術として、被加工物保持機構によって保持された被加工物にシリカ、ガーネット、ダイヤモンド等の砥粒を混入した高圧の加工水をノズルから噴射して被加工物を切断するウォータージェット切断加工が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
特開2002−205298号公報
上述したウォータージェット切断加工において被加工物を精密に切断するためには、加工水を噴射するノズルの噴出口から被加工物の表面までの間隔を正確に維持する必要がある。即ち、ノズルの噴出口から被加工物の表面までの間隔を例えば50μmに設定して加工する場合に、上記間隔が100μm以上になると加工精度が不安定になり切断溝の幅が不揃いになったり、切断されない領域が生じたり、砥粒が飛散して被加工物の表面を損傷するという問題がある。一方、ノズルの噴出口から被加工物の表面までの間隔が上記設定値より小さくなると、ノズルが被加工物に接触して被加工物の表面を損傷するという問題がある。しかるに、CSP基板等の板状の被加工物は湾曲し易く、ノズルの噴出口から被加工物保持機構によって保持された被加工物の表面までの間隔が場所によっては設定された値より大きくなったり、小さくなったりすることは避けられない。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、加工水を噴射するノズルの噴出口から被加工物の表面までの間隔を常に所定範囲に維持しつつ切断加工することができるウォータージェット加工装置を提供することである。
上記主たる技術課題を解決するために、本発明によれば、被加工物を保持する保持面を備えた被加工物保持テーブルと、該被加工物保持テーブルの保持面に保持された被加工物に加工水を噴射するノズルと、該ノズルに砥粒を混入した加工水を供給する加工水供給手段と、該ノズルを該被加工物保持テーブルの保持面に対して垂直な方向に移動せしめるノズル移動手段と、該被加工物保持テーブルを保持面と平行に移動せしめるテーブル移動手段と、を具備するウォータージェット加工装置において、
該ノズルから噴射され被加工物に加工流体が噴射されることによって発する加工音波を検出する加工音波検出手段と、該加工音波検出手段によって検出された検出信号に基づいて該ノズル移動手段を制御するとともにテーブル移動手段を制御する制御手段と、を具備し
該制御手段は、該ノズルから被加工物の表面までの間隔にそれぞれ対応した加工音波の周波数データを予め記憶する記憶手段を備えており、該テーブル移動手段を制御して該被加工物保持テーブルを移動しつつ該加工音波検出手段によって検出された検出信号と該記憶手段に記憶された周波数データに基づいて該ノズルから被加工物の表面までの間隔を求め、該間隔が所定の値になるように該ノズル移動手段を制御する、
ことを特徴とするウォータージェット加工装置が提供される。
本発明によるウォータージェット加工装置は、テーブル移動手段を制御して被加工物保持テーブルを移動しつつノズルから噴射され被加工物に加工流体が噴射されることによって発する加工音波を検出し、この検出された検出信号に基づいてノズルを加工物保持テーブルの保持面に対して垂直な方向に移動せしめるノズル移動手段を制御するので、被加工物が湾曲していてもノズルの噴出口と被加工物の表面との間隔を常に所定の範囲に維持することができる。従って、被加工物が湾曲していても高精度に確実に切断することができるとともに、ノズルが被加工物に接触して被加工物の表面を損傷するという問題を解消することができる。
以下、本発明によるウォータージェット加工装置の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
図1には、本発明によるウォータージェット加工方法を実施するためのウォータージェット加工装置の要部斜視図が示されている。図1に示されたウォータージェット加工装置は、静止基台2と、第1の可動基台3と、第2の可能基台4と、第3の可動基台5を具備している。この静止基台2の手前側の側面には、矢印Xで示す方向に沿って平行に延びる一対の案内レール21、21が設けられている。
第1の可動基台3は、上記静止基台2と対向する一方の側面に矢印Xで示す方向に形成され静止基台2に設けられた一対の案内レール21、21に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝31、31を備えているとともに、他方の側面に設けられ矢印Zで示す方向に平行に延びる一対の案内レール32、32を備えている。このように構成された第1の可動基台3は、一対の被案内溝31、31を上記一対の案内レール21、21に嵌合することにより、静止基台2に矢印Xで示す方向に移動可能に支持される。図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、第1の可動基台3を上記静止基台2に設けられた一対の案内レール21、21に沿って矢印Xで示す方向に移動させるための第1のテーブル移動手段30を具備している。第1のテーブル移動手段30は、一対の案内レール21と21との間に該案内レールと平行に配設された雄ネジロッド301と、該雄ネジロッド301を回転駆動するためのパルスモータ302とを含んでいる。雄ネジロッド301は、上記第1の可動基台3に設けられた雌ネジ33と螺合し、その一端が静止基台2に配設された軸受部材303に回転可能に支持されている。パルスモータ302は、その駆動軸が雄ネジロッド301の他端に連結され、雄ネジロッド301を正転および逆転駆動することにより、第1の可動基台3を静止基台2に設けられた一対の案内レール21、21に沿って矢印Xで示す方向に移動せしめる。
上記第2の可動基台4は、上記第1の可動基台3と対向する一方の側面に矢印Zで示す方向に形成され第1の可動基台3に設けられた一対の案内レール32、32に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝41、41を備えているとともに、上記一方の側面に対して垂直な側面に設けられ矢印Yで示す方向に平行に延びる一対の案内レール42、42を備えている。このように構成された第2の可動基台4は、一対の被案内溝41、41を上記一対の案内レール32、32に嵌合することにより、第1の可動基台3に矢印Zで示す方向に移動可能に支持される。なお、図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、第2の可動基台4を上記第1の可動基台3に設けられた一対の案内レール32、32に沿って矢印Zで示す方向に移動させるためのノズル移動手段40を具備している。ノズル移動手段40は、一対の案内レール32と32との間に該案内レールと平行に配設された雄ネジロッド401と、該雄ネジロッド401を回転駆動するためのパルスモータ402とを含んでいる。雄ネジロッド401は、上記第2の可動基台4に設けられた雌ネジ43と螺合し、その一端が第1の可動基台3に配設された軸受部材403に回転可能に支持されている。パルスモータ402は、その駆動軸が雄ネジロッド401の他端に連結され、雄ネジロッド401を正転および逆転駆動することにより、第2の可動基台4を第1の可動基台3に設けられた一対の案内レール32、32に沿って矢印Zで示す方向に移動せしめる。なお、矢印Zで示す方向は、後述する被加工物を保持する被加工物保持テーブルの保持面に対して垂直な方向として規定されている。
上記第3の可動基台5は、上記第2の可動基台4と対向する一方の側面に矢印Yで示す方向に形成され上記第2の可動基台4に設けられた一対の案内レール42、42に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝51、51(図1においては上側の一方だけが示されている)を備えており、該一対の被案内溝51、51を上記一対の案内レール42、42に嵌合することにより、第2の可動基台4に矢印Yで示す方向に移動可能に支持される。図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、第3の可動基台5を上記第2の可動基台4に設けられた一対の案内レール42、42に沿って矢印Yで示す方向に移動させるための第2のテーブル移動手段50を具備している。第2のテーブル移動手段50は、一対の案内レール42と42との間に該案内レールと平行に配設された雄ネジロッド501と、該雄ネジロッド501を回転駆動するためのパルスモータ502とを含んでいる。雄ネジロッド501は、上記第3の可動基台5に設けられた雌ネジ(図示せず)と螺合し、その一端が第2の可動基台4に配設された軸受部材503に回転可能に支持されている。パルスモータ502は、その駆動軸が雄ネジロッド501の他端に連結され、雄ネジロッド501を正転および逆転駆動することにより、第3の可動基台5を第3の可動基台4に設けられた一対の案内レール42、42に沿って矢印Yで示す方向に移動せしめる。
上記第3の可動基台5の他方の面には、矢印Xで示す方向に延びる被加工物保持テーブル6が装着されている。被加工物保持テーブル6は、その上面に被加工物を保持する保持面6aを備えている。この保持面6aを備えた被加工物保持テーブル6には、矩形状の開口61が形成されているとともに、該開口61の周囲上面に4本の位置決めピン62が突出して配設されている。図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、被加工物保持テーブル6の下側に配設され、後述するウォータージェットを緩衝するための水を収容する水槽60を備えている。
上述した被加工物保持テーブル6の上方には、被加工物保持テーブル6上に保持される被加工物にウォータージェットを噴射するための直径が200μm程度の噴出口を備えたノズル7が配設される。このノズル7は、上記静止基台2に固定されたノズル支持部材8に取り付けられており、後述する加工水供給手段によって砥粒を混入した加工水が供給される。図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、上記ノズル7から上記被加工物保持テーブル6に保持された被加工物に加工流体が噴射されることによって発する加工音波を検出する加工音波検出手段70を具備している。この加工音波検出手段70は、図示の実施形態においては超音波検出器からなっており、上記ノズル支持部材8に取り付けられている。この超音波検出器からなる加工音波検出手段70は、その検出信号である加工音波の周波数を電圧信号に変換して制御手段200に送る。
制御手段200はコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)201と、制御プログラムやノズル7から被加工物の表面までの間隔にそれぞれ対応した加工音波の周波数データ等を格納するリードオンリメモリ(ROM)202と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)203と、入力インターフェース204および出力インターフェース205とを備えている。このように構成された制御手段200の入力インターフェース204には、上記加工音波検出手段70等からの検出信号が入力される。また、出力インターフェース205からは上記第1の移動手段30のパルスモータ302、上記第2の移動手段40のパルスモータ402、上記第3の移動手段50のパルスモータ502等に制御信号を出力する。
ここで、リードオンリメモリ(ROM)202に格納されるノズル7から被加工物の表面までの間隔にそれぞれ対応した加工音波の周波数データについて、図3を参照して説明する。図3において横軸はノズル7から被加工物の表面までの間隔(μm)、縦軸は加工音波検出手段70から出力される電圧値(V)である。図3から判るように加工音波検出手段70は、ノズル7から被加工物の表面までの間隔(μm)が大きくなるに従って出力電圧値(V)が大きくなるようになっている。図3に示すデータはノズル7から被加工物の表面までの間隔を例えば35μmから65μmの範囲で1μmずつ変化させて実験し、加工音波検出手段70から出力された電圧値(V)を求め、周波数データマップとして予めリードオンリメモリ(ROM)202に格納しておく。
次に、上記ノズル7に砥粒を混入した加工水を供給する加工水供給手段について、図2を参照して説明する。
図2に示す加工水供給手段9は、水タンク91と高圧水生成手段92と加工水貯留手段93と加工水送出手段94とを具備している。水タンク91は、水道水または純水等の真水を収容している。高圧水生成手段92は、水タンク91から供給される水を50〜100メガパスカル(MPa)に昇圧し、加工水送出手段94に供給する。
上記加工水貯留手段93は、加工水貯留タンク931と該加工水貯留タンク931に収容されている加工水を加圧する加圧手段932とからなっている。加工水貯留タンク931は、水にシリカ、ガーネット、ダイヤモンド等の微細な砥粒が混入された加工水を収容している。加圧手段932は、エアーポンプ933と、該エアーポンプ933と上記加工水貯留タンク931の上壁に形成された空気導入口とを連通する加圧配管934と、該加圧配管934に配設された電磁切替え弁935とからなっている。
上記加工水送出手段94は、図示の実施形態においては第1の加工水送出手段94aと第2の加工水送出手段94bを備えている。第1の加工水送出手段94aおよび第2の加工水送出手段94bは、それぞれ第1のシリンダ941aおよび第2のシリンダ941bと、該第1のシリンダ941aおよび第2のシリンダ941b内にそれぞれ摺動可能に配設されシリンダ内を第1の室942aおよび942bと第2の室943aおよび943bに区画する第1のピストン944aおよび第2のピストン944bを備えている。なお、第1のピストン944aおよび第2のピストン944bに代えてシリンダ内を第1の室と第2の室に区画するダイアフラムを用いてもよい。即ち、シリンダ内を第1の室と第2の室に区画するピストンやダイアフラムは、シリンダ内を第1の室と第2の室に区画し該両室の圧力によって変位可能な仕切り部材として機能する。
第1の加工水送出手段94aおよび第2の加工水送出手段94bを構成する第1のシリンダ941aおよび第2のシリンダ941bの第1の室942aおよび942bは、それぞれ高圧配管951aおよび951bを介して上記高圧水生成手段92に連通されている。高圧配管951aおよび951bには、それぞれ電磁切替え弁961aおよび961bが配設されている。また、第1のシリンダ941aおよび第2のシリンダ941bの第1の室942aおよび942bは、それぞれ排水手段97に連通されている。この排水手段97は、吸引手段としてのバキュームポンプ971と、該バキュームポンプ971と上記第1の室942aおよび942bとをそれぞれ連通する排水配管972aおよび972bと、該排水配管972aおよび972bにそれぞれ配設された電磁切替え弁973aおよび973bとからなっている。
第1の加工水送出手段94aおよび第2の加工水送出手段94bを構成する第1のシリンダ941aおよび第2のシリンダ941bの第2の室943aおよび943bは、それぞれ導入配管952aおよび952bを介して上記加工水貯留タンク931に連通されている。導入配管952aおよび952bには、それぞれ電磁切替え弁962aおよび962bが配設されている。また、第1のシリンダ941aおよび第2のシリンダ941bの第2の室943aおよび943bは、それぞれ送出配管953a、953bを介して上記ノズル7に連通されている。送出配管953a、953bには、それぞれ電磁切替え弁963a、963bが配設されている。
なお、上記高圧水生成手段92、エアーポンプ933、電磁切替え弁935、961aおよび961b、電磁切替え弁962aおよび962b、963a、963b、電磁切替え弁973aおよび973b、バキュームポンプ971等は、上記制御手段200によって制御されるようになっている。
図2に示す加工水供給手段9は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
加工水供給手段9の作動開始時には、高圧水生成手段92とバキュームポンプ971およびエアーポンプ933が作動され、各電磁切替え弁が図2に示すように全て除勢(OFF)されている。図2に示す状態から第1の加工水送出手段94aを作動するには、排水手段97の電磁切替え弁973aを付勢(ON)するとともに、電磁切替え弁962aを付勢(ON)する。この結果、第1のシリンダ941aの第1の室942a内の高圧水が排水配管972aおよび電磁切替え弁973aを通してバキュームポンプ971に吸引されるとともに、加工水貯留タンク931内の加工水が導入配管952aおよび電磁切替え弁962aを通して第1のシリンダ941aの第2の室943aに導入され、第1のピストン944aが図2において上方に移動せしめられる。第1のピストン944aが図2において2点鎖線で示す上方位置に移動したら、上記電磁切替え弁973aおよび電磁切替え弁962aを除勢(OFF)する。次に、電磁切替え弁963aを付勢(ON)するとともに、電磁切替え弁961aを付勢(ON)する。従って、高圧水生成手段92によって生成された高圧水が高圧配管951aおよび電磁切替え弁961aを通して第1のシリンダ941aの第1の室942aに導入され、第1のピストン944aを図2において下方に移動すべく押圧する。この結果、第1のシリンダ941aの第2の室943a内の加工水は、送出配管953a、電磁切替え弁963aを通してノズルに導入され、ウォータージェットとして噴射される。そして、第1のシリンダ941aの第1のピストン944aが図2において実線で示す下方位置に達したら、電磁切替え弁961aを除勢(OFF)するとともに、電磁切替え弁963aを除勢(OFF)することにより、図2に示す状態に戻る。
次に、第2の加工水送出手段94bを作動について説明する。
図2に示す状態は、第2の加工水送出手段94bを構成する第2のピストン944bが実線で示す上方位置に移動し、第2のシリンダ941bの第2の室943aに加工水が導入された状態である。この状態から、電磁切替え弁963bを付勢(ON)し電磁切替え弁961bを付勢(ON)すると、高圧水生成手段92によって生成された高圧水が高圧配管951bおよび電磁切替え弁961bを通して第2のシリンダ941bの第1の室942bに導入され、ピストン944bが図2において下方に移動すべく押圧する。この結果、第2のシリンダ941bの第2の室943b内の加工水は、送出配管953b、電磁切替え弁963bを通してノズル7に導入され、ウォータージェットとして噴射される。そして、第2のシリンダ941bのピストン944bが図2において2点鎖線で示す下方位置に達したら、電磁切替え弁961bを除勢(OFF)するとともに、電磁切替え弁963bを除勢(OFF)。次に、電磁切替え弁973bを付勢(ON)し電磁切替え弁962bを付勢(ON)すると、第2のシリンダ941bの第1の室942b内の高圧水が排水配管972bおよび電磁切替え弁973bを通してバキュームポンプ971に吸引されるとともに、加工水貯留タンク931内の加工水が導入配管952bおよび電磁切替え弁962bを通して第2のシリンダ941bの第2の室943bに導入され、ピストン944bが図2において上方に移動せしめられるて、図2に示す状態に戻る。
上述した第1の加工水送出手段94aおよび第2の加工水送出手段94bを交互に作動することにより、加工水をノズル7から連続して噴射することができる。加工水をノズル7に送り出す第1の加工水送出手段94aおよび第2の加工水送出手段94bは、その作動時には第1のシリンダ941aの第1の室942aと第2の室943aおよび第2のシリンダ941bの第1の室942bと第2の室943bは略同圧となり圧力差が生じないので、第2の室943aおよび第2の室943b内の加工水が第1の室942aおよび第1の室942b側に侵入することはない。従って、加工水に混入された砥粒による第1のシリンダ941aと第2のシリンダ941bのシリンダ壁および第1のピストン944aと第2のピストン944bの摩耗が低減される。
なお、図示の実施形態においては、排水手段97に吸引手段としてのバキュームポンプ971を設けるとともに、加工水貯留タンク931に収容されている加工水を加圧する加圧手段932を配設した例を示したが、バキュームポンプ971と加圧手段932は何れか一方でもよい。例えば、バキュームポンプ971を装備し加圧手段932を設けない場合には、加工水貯留タンク931を大気に開放する。この場合、加工水貯留タンク931と第1のリンダ941aの第2の室943aおよび第2のリンダ941bの第2の室943bとを連通する導入配管952aおよび952bに配設された電磁切替え弁962aおよび962bは、加工水貯留タンク931側から第1のリンダ941aおよび第2のリンダ941b側への流通は許容するが逆方向への流通を遮断する逆止弁でもよい。一方、加圧手段932を装備しバキュームポンプ971を設けない場合には、該排水配管972aおよび972bにおける電磁切替え弁973aおよび973bよりバキュームポンプ971側を大気開放とする。
次に、上述したウォータージェット加工装置によって切断される被加工物としてのCSP基板について、図4を参照して説明する。
図4に示すCSP基板10は、3個のブロック10a、10b、10cに分かれて連続して形成されている。CSP基板10を構成する3個のブロック10a、10b、10cは、それぞれ複数のストリート101が格子状に形成され、このストリート101によって区画複数の領域にそれぞれチップサイズパッケージ(CSP)102が配置されている。このように形成されたCSP基板10は、ストリート101に沿って切断され個々にパッケージされたチップサイズパッケージ(CSP)に分割される。
上述したCSP基板10をストリート101に沿って切断するに際し、CSP基板10に保護部材を装着する。図4には保護部材11に一実施形態が示されており、図4の(a)には保護部材11を構成する構成部材の分解斜視図が、図4の(b)には保護部材11の斜視図が示されている。図4に示す保護部材11は、網状に形成された補強部材111と、該補強部材111の図において上面に装着される保護シート112と、補強部材111の図において下面に装着される保護シート113とからなっている。補強部材111は、例えば直径が0.1〜0.5mm程度のピアノ線等の金属細線によって網状に形成されている。保護シート112は、厚さが0.1〜0.2mmのポリエチレンテレフタレートまたはポリ塩化ビニール等の樹脂シートの両面にアクリル樹脂系の糊が塗布された両面接着シートからなっており、その図において下面が補強部材111の上面に接着される。保護シート113は、厚さが0.1〜0.2mmのポリエチレンテレフタレートまたはポリ塩化ビニール等の樹脂シートの図において上面にアクリル樹脂系の糊が塗布された片面接着シートからなっており、その図において上面が補強部材111の下面に接着され、上記保護シート112とによって補強部材111をサンドイッチ状に挟持する。なお、保護シート112と補強部材111との接着が強固であれば、保護シート113は必ずしも必要ではない。このように構成された保護部材11の保護シート112の上面に、図5に示すようにCSP基板10の裏面を貼着する(保護部材装着工程)。
上述したように保護部材11に貼着されたCSP基板10は、図6に示す被加工物保持治具12によって保持され、ウォータージェット加工装置の上記被加工物保持テーブル6上に保持される。図6に示す被加工物保持治具12は、下挟持板13と上挟持板14とからなっており、それぞれの片側辺が2個のヒンジ15、15によって互いにヒンジ結合されている。下挟持板13および上挟持板14には、それぞれ開口131および141が設けられている。この開口131および141は、上記CSP基板10と相似形でCSP基板10より僅かに小さい寸法形状に形成されている。なお、下挟持板13の開口131の周囲には、下挟持板13の上面から上記CSP基板10および保護部材11の厚さに相当する段部131aが設けられており、上記CSP基板10を収容する。また、下挟持板13には、開口131の周囲に上記被加工物保持テーブル6に配設された4本の位置決めピン62と嵌合する4個のピン穴132が設けられている。上挟持板14の他側辺にはロック用の係合片16が取り付けられており、下挟持板13の他側面には上記係合片が係合する係合凹部133が設けられている。
上記CSP基板10をストリート101に沿って切断するには、先ず被加工物保持治具12の下挟持板13に形成された上記段部131a上に保護部材11に貼着されたCSP基板10の保護部材11側を載置し、上挟持板14を重合して係合片16を係合凹部133に係合する。このようにしてCSP基板10を下挟持板13と上挟持板14により挟持した被加工物保持治具12を図1に示すウォータージェット加工装置の上記被加工物保持テーブル6上に載置する。このとき、下挟持板13に設けられた4個のピン穴132を被加工物保持テーブル6に配設された4本の位置決めピン62と嵌合することにより、CSP基板10を挟持した被加工物保持治具12は被加工物保持テーブル6の所定位置に保持される。
CSP基板10を挟持した被加工物保持治具12がウォータージェット加工装置における被加工物保持テーブル6の所定位置に保持されたならば、第1のテーブル移動手段30および第2のテーブル移動手段50を作動して第1の可動基台3および第3の可動基台5を矢印Xおよび矢印Yで示す方向に移動させて、被加工物保持テーブル6に保持されたCSP基板10をノズル7の下方である加工領域に移動する。そして、ノズルを図8の(a)に示すようにCSP基板10を形成する左側のブロック10cにおける図において左端のストリート101に合わせる。そして、ノズル移動手段40を作動して第2の可動基台4を矢印Zで示す方向、即ち被加工物保持テーブル6の保持面6aに対して垂直な方向に移動し、ノズル7をCSP基板10の表面から上方に所定の間隔(例えば、50μm)を置いた所定位置に位置付ける。
次に、加工水供給手段6を上述したように作動してノズル7から砥粒が混入された加工水を噴射するとともに、第2のテーブル移動手段50および第1のテーブル移動手段30を作動して第3の可動基台5および第1の可動基台3を矢印Yおよび矢印Xで示す方向に順次移動させることにより、被加工物保持テーブル6即ちCSP基板10をノズル7に対してストリート101に沿って図8の(a)において1点鎖線で示すように、即ちCSP基板10とノズル7を図8の(b)において矢印Aで示すように矢印Y方向および矢印X方向に相対移動せしめる。なお、この移動は各ストリート101の間隔および長さ等のデータが予め制御手段200のリードオンリメモリ(ROM)202またはランダムアクセスメモリ(RAM)203に格納されており、この記憶されたデータに基づいて制御手段200が上記第3の移動手段50のパルスモータ502および第1の移動手段30のパルスモータ302を制御することによって遂行される。この結果、CSP基板10を形成するブロック10cは、ストリート101に沿って図8の(a)において1点鎖線で示すように切断される(第1の切断工程)。この切断時において、CSP基板10に貼着された保護部材11の保護シート112および113は貫通されるが、補強部材111は金属細線によって網状に形成されているので切断されない。なお、切断時においては、ウォータージェットはCSP基板10および保護部材11を貫通するが、切断後のウォータージェットは水槽60に収容された緩衝用の水によってその勢いが和らげられる。
CSP基板10を図8の(a)において1点鎖線で示すように切断したならば、第1のテーブル移動手段30および第2のテーブル移動手段50を作動して第1の可動基台3および第3の可動基台5を矢印Xおよび矢印Yで示す方向に移動させて、図9の(a)に示すように再度ノズル7の直下にCSP基板10を形成する左側のブロック10cにおける図において左端のストリート101を位置付ける。そして、加工水供給手段6を上述したように作動してノズル7から砥粒が混入された加工水を噴射するとともに、第1のテーブル移動手段30および第2のテーブル移動手段50を作動して第1の可動基台3および第3の可動基台5を矢印Xおよび矢印Yで示す方向に順次移動させることにより、被加工物保持テーブル6従ってCSP基板10をノズル7に対してストリート101に沿って図9の(a)において2点鎖線で示すように、即ちCSP基板10とノズル7を図9の(b)において矢印Bで示すように矢印X方向および矢印Y方向に順次相対移動せしめる。この結果、CSP基板10を形成する10cは、ストリート101に沿って図9の(a)において2点鎖線で示すように切断される(第2の切断工程)。この切断時において、CSP基板10に貼着された保護部材11の保護シート112および113は貫通されるが、補強部材111は金属細線によって網状に形成されているので切断されない。
以上のように第1の切断工程および第2の切断工程を実施することによりCSP基板10を形成するブロック10cは、図8の(a)および図9の(a)おいて1点鎖線および2点鎖線で示すようにストリート101に沿って切断され、個々のチップサイズパッケージ(CSP)に分割される。このようにしてCSP基板10を形成するブロック10cに対して第1の切断工程および第2の切断工程を実施したら、CSP基板10を形成するブロック10bおよびブロック10aに対しても同様に第1の切断工程および第2の切断工程を実施することにより、ブロック10bおよびブロック10aもストリート101に沿って切断され、個々のチップサイズパッケージ(CSP)102に分割される。なお、CSP基板10に貼着された保護部材11の補強部材111は上述したように切断されないので、個々のチップサイズパッケージ(CSP)に分割されCSP基板10は基板の形態が維持されるため、搬送が容易となる。
上述した第1の切断工程および第2の切断工程において、被加工物保持治具12に保持された被加工物であるCSP基板10が被加工物保持テーブル6の保持面6aと平行に保持されている場合には、図10に示すようにノズル7の噴出口とCSP基板10の表面との間隔は所定値(HS)(例えば、50μm)に維持され、適正な切断加工が行われる。しかるに、図11に示すようにCSP基板10の中央が下側に湾曲している場合、中央部を切断加工するときにはノズル7の噴出口とCSP基板10の表面との間隔(H1)が所定値(HS)(例えば、50μm)より大きくなるため、加工精度が不安定になり切断溝の幅が不揃いになったり、切断されない領域が生じたり、砥粒が飛散して被加工物の表面を損傷するという問題がある。また、図12に示すようにCSP基板10の中央が上側に湾曲している場合、中央部を切断加工するときにはノズル7の噴出口とCSP基板10の表面との間隔(H2)が所定値(HS)(例えば、50μm)より小さくなるため、ノズル7がCSP基板10に接触してその表面を損傷するという問題がある。
図示の実施形態においては、上述した第1の切断工程および第2の切断工程にノズル7から噴射され被加工物であるCSP基板10に加工流体が噴射されることによって発する加工音波が加工音波検出手段70によって検出され、その検出信号が電圧信号として制御手段200に送られている。そして、制御手段200は、加工音波検出手段70から送られた周波数に対応した電圧信号(V)とリードオンリメモリ(ROM)202に格納されている図3に示すデータマップとに基づいて、ノズル7の噴出口からCSP基板10の表面までの間隔(H)を求める。即ち、制御手段200は、加工音波検出手段70から送られた電圧信号(V)が5.0(V)である場合にはノズル7の噴出口からCSP基板10の表面との間隔(H)を50μmと認識し、加工音波検出手段70から送られた電圧信号(V)が4.2(V)である場合にはノズル7の噴出口からCSP基板10の表面までの間隔(H2)を40μmと認識し、加工音波検出手段70から送られた電圧信号(V)が6.2(V)である場合にはノズル7の噴出口からCSP基板10の表面までの間隔(H2)を60μmと認識する。
次に、制御手段200は、上述したように認識したノズル7の噴出口からCSP基板10の表面までの間隔(H)と所定値(HS)(例えば、50μm)との差(H0)を演算する(H0=HS−H)。そして、制御手段200は、演算した値(H0)に基づいて上記ノズル移動手段40のパルスモータ402に制御信号を出力する。即ち、ノズル7の噴出口からCSP基板10の表面までの間隔(H)が図11に示すように所定値(HS)より大きい場合には上記(H0)は負の値になるので、制御手段200は上記ノズル移動手段40のパルスモータ402に(H0)の値に対応する量だけ正転駆動するように制御信号を出力する。この結果、上記第2の可動基台4が第1の可動基台3に設けられた一対の案内レール32、32に沿って下降し、ノズル7の噴出口からCSP基板10の表面までの間隔(H)は所定値(HS)(例えば、50μm)に補正される。一方、ノズル7の噴出口からCSP基板10の表面までの間隔(H)が図12に示すように所定値(HS)より小さい場合には上記(H0)は正の値のなるので、制御手段200は上記ノズル移動手段40のパルスモータ402に(H0)の値に対応する量だけ逆転駆動するように制御信号を出力する。この結果、上記第2の可動基台4が第1の可動基台3に設けられた一対の案内レール32、32に沿って上昇し、ノズル7の噴出口からCSP基板10の表面までの間隔(H)は所定値(HS)(例えば、50μm)に補正される。従って、図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置によれば、被加工物であるCSP基板10が湾曲していてもノズル7の噴出口からCSP基板10の表面までの間隔を常に所定の範囲に維持することができる。
本発明に従って構成されたウォータージェット加工装置の要部斜視図。す斜視図。 図1に示すウォータージェット加工装置に装備される加工水供給手段の流体回路図。 図1に示すウォータージェット加工装置に装備される制御手段のメモリに格納される周波数データマップ。 被加工物としてのCSP基板の斜視図。 被加工物としてのCSP基板に装着する保護部材の斜視図。 被加工物としてのCSP基板に保護部材を装着した状態を示す斜視図。 保護部材を装着した被加工物としてのCSP基板を保持しウォータージェット加工装置の被加工物保持テーブル上に載置するための被加工物保持治具の斜視図。 図1に示すウォータージェット加工装置によって被加工物としてのCSP基板を切断する第1の切断工程の説明図。 図1に示すウォータージェット加工装置によって被加工物としてのCSP基板を切断する第2の切断工程の説明図。 被加工物としてのCSP基板が被加工物保持テーブルの保持面と平行に保持されている場合におけるノズルの噴出口とCSP基板の表面との間隔を示す説明図。 被加工物としてのCSP基板の中央が下側に湾曲している場合におけるノズルの噴出口とCSP基板の表面との間隔を示す説明図。 被加工物としてのCSP基板の中央が上側に湾曲している場合におけるノズルの噴出口とCSP基板の表面との間隔を示す説明図。
符号の説明
2:静止基台
21:案内レール
3:第1の可動基台
30:第1の移動手段
31:被案内溝
32:案内レール
30:第1のテーブル移動手段
4:第2の可能基台
40:ノズル移動手段
41:被案内溝
42:案内レール
5:第3の可動基台
50:第2のテーブル移動手段
51:被案内溝
52:案内レール
6:被加工物保持テーブル
61:開口
62:位置決めピン
60:水槽
7:ノズル
8:ノズル支持部材
9:加工水供給手段
91:水タンク
92:高圧水生成手段
93:加工水貯留手段
931:加工水貯留タンク
932:加圧手段
933:エアーポンプ
94:加工水送出手段
94a:第1の加工水送出手段
941a:第1のシリンダ
944a:第1のピストン
94b:第2の加工水送出手段
941b:第2のシリンダ
944b:第1のピストン
10:CSP基板(被加工物)
11:保護部材
111:補強部材
112:保護シート
113:保護シート
12:被加工物保持治具
200:制御手段

Claims (1)

  1. 被加工物を保持する保持面を備えた被加工物保持テーブルと、該被加工物保持テーブルの保持面に保持された被加工物に加工水を噴射するノズルと、該ノズルに砥粒を混入した加工水を供給する加工水供給手段と、該ノズルを該被加工物保持テーブルの保持面に対して垂直な方向に移動せしめるノズル移動手段と、該被加工物保持テーブルを保持面と平行に移動せしめるテーブル移動手段と、を具備するウォータージェット加工装置において、
    該ノズルから噴射され被加工物に加工流体が噴射されることによって発する加工音波を検出する加工音波検出手段と、該加工音波検出手段によって検出された検出信号に基づいて該ノズル移動手段を制御するとともにテーブル移動手段を制御する制御手段と、を具備し
    該制御手段は、該ノズルから被加工物の表面までの間隔にそれぞれ対応した加工音波の周波数データを予め記憶する記憶手段を備えており、該テーブル移動手段を制御して該被加工物保持テーブルを移動しつつ該加工音波検出手段によって検出された検出信号と該記憶手段に記憶された周波数データに基づいて該ノズルから被加工物の表面までの間隔を求め、該間隔が所定の値になるように該ノズル移動手段を制御する、
    ことを特徴とするウォータージェット加工装置。
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