JP4279572B2 - ウォータージェット加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を高圧の加圧水を噴射して切断するウォータージェット加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列された多数の領域にIC、LSI等の回路を形成し、該回路が形成された各領域を所定のストリートといわれる切断ラインに沿ってダイシングすることにより個々の半導体チップを製造している。このようにして分割された半導体チップは、パッケージングされて携帯電話やパソコン等の電気機器に広く利用されている。
【0003】
近年、携帯電話やパソコン等の電気機器はより軽量化、小型化が求められており、半導体チップのパッケージもチップサイズパッケージ(CSP)と称する小型化できるパッケージ技術が開発されている。CSP技術の一つとして、Quad Flat Non−lead Package(QFN)と称するパッケージ技術が実用化されている。このQFNと称するパッケージ技術は、半導体チップの接続端子に対応した接続端子が複数形成されているとともに半導体チップ毎に区画するストリートが格子状に形成された銅板等の金属板に複数個の半導体チップをマトリックス状に配設し、半導体チップの裏面側から樹脂をモールディングした樹脂部によって金属板と半導体チップを一体化することによりCSP基板を形成する。このCSP基板をストリートに沿って切断することにより、個々にパッケージされたチップサイズパッケージ(CSP)に分割する。
【0004】
上記CSP基板の切断は、一般にダイシング装置とよばれる精密切削装置によって施される。このダイシング装置は、環状の砥粒層を備えた切削ブレードを備え、この切削ブレードを回転させつつCSP基板のストリートに沿って相対移動することにより、CSP基板をストリートに沿って切削し、個々のCSPに分割する。しかるに、CSP基板を切削ブレードによって切断すると、接続端子にバリが生じ、隣接する接続端子同士が短絡してチップサイズパッケージ(CSP)の品質および信頼性を低下させるという問題がある。
【0005】
また、CSP基板に限らず、半導体ウエーハ等の被加工物を切削ブレードによって切削すると、被加工物の表面に微細な切削屑が付着して汚染するという問題もある。
このような切削ブレードによる切断における問題を解消する切断技術として、被加工物保持機構によって保持された被加工物にシリカやガーネット等の微細な砥粒を混入した高圧の加工水をノズルから噴射して被加工物を切断するウォータージェット切断加工が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0006】
【特許文献1】
特開平2002−205298号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
而して、ウォータージェット切断加工は、微細な砥粒を混入した高圧水をノズルの噴射孔を通して被加工物に噴射せしめるため、ノズルの噴射口が砥粒によって短時間に磨耗しその径が拡大する。ノズルの噴射口が所定以上拡大すると被加工物に作用する高圧の加工水(ウォータージェット)のスポット径が切断幅を越えてしまうので、寿命としてノズルを交換しなければならない。従って、砥粒を混入した加工水を噴射するノズルは、寿命が極めて短いという問題がある。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、砥粒を混入した加工水を噴射するノズルを長時間使用できるウォータージェット加工方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記主たる技術課題を解決するために、本発明によれば、被加工物保持機構に保持された被加工物にウォータージェット噴射手段のノズルから砥粒を混入した加工水を噴射せしめて被加工物を切断するウォータージェット加工方法であって、
ウォータージェット噴射時間と噴射孔径の拡大量との関係、及び被加工物に作用するウォータージェットのスポット径を所定値にするための、噴射孔径と噴射孔から被加工物までの間隔との関係、を実験によって予め求めておき、ウォータージェット噴射時間に対応して噴射孔から被加工物までの間隔を制御する、
ことを特徴とするウォータージェット加工方法が供給される。
【0010】
また、本発明によれば、被加工物保持機構に保持された被加工物にウォータージェット噴射手段のノズルから砥粒を混入した加工水を噴射せしめて被加工物を切断するウォータージェット加工方法であって、
被加工物に作用するウォータージェットのスポット径を所定値にするための、噴射孔径と噴射孔から被加工物までの間隔との関係、を実験によって予め求めておき、
被加工物を撮像し画像処理して切断幅を計測し、計測した切断幅に対応して、噴射孔から被加工物までの間隔と噴射孔径との関係に基づいて噴射孔から被加工物までの間隔を制御する、
ことを特徴とするウォータージェット加工方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成されたウォータージェット加工方法の好適実施形態を遂行するのに適したウォータージェット加工装置を図示している添付図面を参照して、更に詳述する。
【0013】
図1には、ウォータージェット加工装置の一部を分解した斜視図が示されている。図1に示されたウォータージェット加工装置は、静止基台2と、該静止基台2に矢印Xで示す切断送り方向に移動可能に配設され被加工物を保持する被加工物保持機構3と、静止基台2に上記矢印Xで示す方向と直角な矢印Yで示す割り出し方向に移動可能に配設されたウォータージェット噴射ユニット支持機構4と、該ウォータージェット噴射ユニット支持機構4に矢印Zで示す方向に移動可能に配設されたウォータージェット噴射ユニット5を具備している。
【0014】
上記被加工物保持機構3は、静止基台2上に矢印Xで示す方向に沿って平行に配設された一対の案内レール31、31と、該案内レール31、31上に矢印Xで示す方向に移動可能に配設された第一の滑動ブロック32と、該第1の滑動ブロック32上に矢印Yで示す方向に移動可能に配設された第2の滑動ブロック33と、該第2の滑動ブロック33上に円筒部材34によって支持された支持テーブル35と、ベーステーブル36を具備している。ベーステーブル36は、円筒部材34内を挿通して配設された回転軸340の上端に取り付けられており、円筒部材34内に配設された図示しないパルスモータによってウォータージェット噴射ユニット5の後述するノズルから噴射される高圧の加工水(ウォータージェット)の方向に対して直角な面内、即ち水平面内で回転せしめられるように構成されている。このベーステーブル36に被加工物を着脱可能に位置付ける着脱テーブルが載置され保持される。以下、ベーステーブル36および着脱テーブルについて、図2乃至図4を参照して説明する。
【0015】
図2は着脱テーブル10を分解して示す斜視図、図3は着脱テーブル10と被加工物としてのCSP基板100を示す斜視図、図4は着脱テーブル10をベーステーブル36に保持した状態を示す断面図である。
先ず、ベーステーブル36について図4および図1を参照して説明する。
図示の実施形態におけるベーステーブル36は、底壁361と上壁362および枠状の側壁363からなる矩形状に形成され、これら各壁によって形成された負圧室360を備えている。ベーステーブル36を構成する底壁361の中央部には、負圧室360と回転軸340に設けられた通路340aと連通する負圧導入穴361aが形成されている。なお、回転軸340に設けられた通路340aは、図示しない負圧制御回路を介して吸引源に連通されている。ベーステーブル36を構成する上壁362には、負圧室360と連通し載置面となる上面に開口する吸引口362aと連通穴362bが設けられている。吸引口362aは中央部に形成されており、連通穴362bは吸引口362aの図4において右側に形成されている。
【0016】
図示の実施形態における着脱テーブル10は、図2に示すように直方体状の緩和部材11と、該緩和部材11を保持する保持トレー12とからなっている。緩和部材11は、図示の実施形態においてはウレタンによって形成されており、上面が被加工物を支持する支持面11aとなっている。なお、緩和部材11を構成する材料としては、ウレタン等の樹脂の外、ステンレス鋼、タングステン、ニッケル、銅等の金属、アルミナ等のセラミックスを用いることができる。緩和部材11には、上面である支持面11aに開口するとともに下面に貫通する複数個の吸引孔11bが設けられている。この吸引孔11bは、支持面11aにおける被加工物が分割される個々のチップと対向する位置に形成されている。
【0017】
着脱テーブル10を構成する保持トレー12は、図2に示すように矩形状の底壁121と、該底壁121の周縁から上方に突出して形成された枠状の側壁122とからなり、上方が開放されている。なお、保持トレー12は、ステンレス鋼等の金属材によって構成されている。保持トレー12を構成する底壁121の上面周辺には、上記緩和部材11の下面を載置支持する枠状の支持棚121aが形成されている。また、保持トレー12を構成する底壁121には、上記ベーステーブル36を構成する上壁362に設けられた連通穴362bと対応する位置に連通穴121bが形成されている。この連通穴121bには、図4に示すように逆止弁123が配設されている。この逆止弁123は、ベーステーブル36の負圧室360側の負圧が大きいときは流通を許容するが、保持トレー12内の負圧が大きいときは流通を遮断する。即ち、逆止弁123は、保持トレー12内への負圧の流入は許容するが、保持トレー12内の負圧の流出は遮断する。逆止弁123に関連して、保持トレー12を構成する底壁121には、逆止弁123の機能を開放する作動ロッド124が配設されている。このように構成された保持トレー12に、図3および図4に示すように上方開口側から上記緩和部材11の下部が嵌合される。この嵌合状態においては、緩和部材11の下面周辺部が保持トレー12を構成する底壁121に形成された枠状の支持棚121a上に載置される。このため、図4に示すように底壁121の上面と緩和部材11の下面との間には吸引室120が形成される。この結果、緩和部材11に形成された複数個の吸引孔11bは、吸引室120と連通する。
【0018】
上記のように構成された着脱テーブル10は、緩和部材11の上面である支持面11aにCSP基板等の被加工物100を載置し、図4に示すようにベーステーブル36の載置面となる上面に載置される。このようにして、緩和部材11の支持面11aに被加工物100を支持した着脱テーブル10がベーステーブル36に載置されたならば、図示しない負圧制御回路を制御して回転軸340に設けられた通路340aを図示しない吸引源に連通すると、ベーステーブル36の底壁361に設けられた負圧導入穴361a、負圧室360、ベーステーブル36の上壁362に設けられた吸引口362aを通して着脱テーブル10を構成する保持トレー12の下面に負圧が作用し、保持トレー12がベーステーブル36に吸引保持される。一方、上記のようにしてベーステーブル36の負圧室360が吸引源に連通されると、ベーステーブル36の上壁362に設けられた連通穴362b、保持トレー12の底壁121に設けられた連通穴121bに配設された逆止弁123、吸引室120、緩和部材11に設けられた吸引孔11bを通して被加工物100の下面に負圧が作用し、被加工物100が緩和部材11に吸引保持される。
【0019】
図1に戻って、説明を続けると、上記第1の滑動ブロック32は、その下面に上記一対の案内レール31、31と嵌合する一対の被案内溝321、321が設けられているとともに、その上面に矢印Yで示す方向に沿って平行に形成された一対の案内レール322、322が設けられている。このように構成された第1の滑動ブロック32は、被案内溝321、321が一対の案内レール31、31に嵌合することにより、一対の案内レール31、31に沿って矢印Xで示す方向に移動可能に構成される。図示の実施形態における被加工物保持機構3は、第1の滑動ブロック32を一対の案内レール31、31に沿って矢印Xで示す方向に移動させるための加工送り手段37を具備している。加工送り手段37は、上記一対の案内レール31と31の間に平行に配設された雄ネジロッド371と、該雄ネジロッド371を回転駆動するためのパルスモータ372(M1)等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド371は、その一端が上記静止基台2に固定された軸受ブロック373に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ372(M1)の出力軸に図示しない減速装置を介して伝動連結されている。なお、雄ネジロッド371は、第1の滑動ブロック32の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ372によって雄ネジロッド371を正転および逆転駆動することにより、第一の滑動ブロック32は案内レール31、31に沿ってウォータージェット噴射ユニット5の後述するノズルから噴射されるウォータージェットの方向に対して直角な面内、即ち水平面内において矢印Xで示す方向に移動せしめられる。
【0020】
上記第2の滑動ブロック33は、その下面に上記第1の滑動ブロック32の上面に設けられた一対の案内レール322、322と嵌合する一対の被案内溝331、331が設けられており、この被案内溝331、331を一対の案内レール322、322に嵌合することにより、矢印Yで示す方向に移動可能に構成される。図示の実施形態における被加工物保持機構3は、第2の滑動ブロック33を第1の滑動ブロック32に設けられた一対の案内レール322、322に沿って矢印Yで示す方向に移動させるための第1の割り出し送り手段38を具備している。第1の割り出し送り手段38は、上記一対の案内レール322と322の間に平行に配設された雄ネジロッド381と、該雄ネジロッド381を回転駆動するためのパルスモータ382(M2)等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド381は、その一端が上記第1の滑動ブロック32の上面に固定された軸受ブロック383に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ382の出力軸に図示しない減速装置を介して伝動連結されている。なお、雄ネジロッド381は、第2の滑動ブロック33の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ382(M2)によって雄ネジロッド381を正転および逆転駆動することにより、第2の滑動ブロック33は案内レール322、322に沿って矢印Xと直角な矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられる。
【0021】
上記支持テーブル35の矢印Xで示す方向の両側には蛇腹手段391、392が配設されており、被加工物保持機構3を構成するベーステーブル36以外の各構成部材は蛇腹手段391、392によって覆われている。この蛇腹手段391、392は、対向する端部がそれぞれ支持テーブル35に取り付けられる。蛇腹手段391、392の両側端部は、上記被加工物保持機構3を囲撓して静止基台2上に配設される枠状の排水樋手段393の内側端壁393a、393bに取り付けられる。
【0022】
上記ウォータージェット噴射ユニット支持機構4は、静止基台2上に矢印Yで示す割り出し送り方向に沿って平行に配設された一対の案内レール41、41と、該案内レール41、41上に矢印Yで示す方向に移動可能に配設された可動支持基台42を具備している。この可動支持基台42は、案内レール41、41上に移動可能に配設された移動支持部421と、該移動支持部421に取り付けられた装着部422とからなっている。装着部422は、一側面に矢印Zで示す方向に延びる一対の案内レール422a、422aが平行に設けられている。図示の実施形態におけるウォータージェット噴射ユニット支持機構4は、可動支持基台42を一対の案内レール41、41に沿って割り出し送り方向である矢印Yで示す方向に移動させるための第2の割り出し送り手段43を具備している。第3の移動手段43は、上記一対の案内レール41、41の間に平行に配設された雄ネジロッド431と、該雄ねじロッド431を回転駆動するためのパルスモータ432(M3)等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド431は、その一端が上記静止基台2に固定された図示しない軸受ブロックに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ432(M3)の出力軸に図示しない減速装置を介して伝動連結されている。なお、雄ネジロッド431は、可動支持基台42を構成する移動支持部421の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された雌ネジ穴に螺合されている。このため、パルスモータ432(M3)によって雄ネジロッド431を正転および逆転駆動することにより、可動支持基台42は案内レール41、41に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられる。
【0023】
図示の実施形態のおけるウォータージェット噴射ユニット5は、ユニットホルダ51と、該ユニットホルダ51に取り付けられたウォータージェット噴射手段52を具備している。ユニットホルダ51は、上記装着部422に設けられた一対の案内レール422a、422aに摺動可能に嵌合する一対の被案内溝51a、51aが設けられており、この被案内溝51a、51aを上記案内レール422a、422aに嵌合することにより、矢印Zで示す方向に移動可能に支持される。図示の実施形態におけるウォータージェット噴射ユニット5は、ユニットホルダ51を一対の案内レール422a、422aに沿って矢印Zで示す方向に移動させるためのノズル接離手段53を具備している。接離手段53は、上記第1乃至第2の割り出し送り手段と同様に一対の案内レール422a、422aの間に配設された雄ネジロッド(図示せず)と、該雄ネジロッドを回転駆動するためのパルスモータ532(M4)等の駆動源を含んでおり、パルスモータ532(M4)によって図示しない雄ネジロッドを正転および逆転駆動することにより、ユニットホルダ51およびウォータージェット噴射手段52を案内レール422a、422aに沿って矢印Zで示す方向に移動せしめる。このように構成されたノズル接離手段53は、ウォータージェット噴射手段52を構成する後述するノズルと上記被加工物保持機構3に保持される被加工物を相対的に接近または離隔せしめる。
【0024】
上記ウォータージェット噴射手段52は、上記ユニットホルダ51に固定され実質上水平に延出する円筒形状のケーシング521の先端に配設されたノズル522を備えている。ノズル522について、図5を参照して説明する。
図5に示すノズル522は、ノズル本体522aと、該ノズル本体522aに形成された通路522bと、該通路522bと連通し下面に開口する直径が30μm程度の噴射孔522cとからなっている。このように構成されたノズル522には、ノズル本体522aの上部に通路522bと連通する加工水導入通路522dが設けられているとともに、ノズル本体522aの中間部に通路522bと連通する清浄水導入通路522eが設けられている。加工水導入通路522dには後述する加工水供給手段が接続され、清浄水導入通路522eには後述する清浄水供給手段が接続される。
【0025】
次に、図6を参照して加工水供給手段6および清浄水供給手段7について説明する。
図6に示す加工水供給手段6は、水タンク61と高圧水生成手段62と加工水貯留手段63と加工水送出手段64とを具備している。水タンク61は、水道水または純水等の真水を収容している。高圧水生成手段62は、水タンク61から供給される水を300〜500メガパスカル(MPa)に昇圧し、加工水送出手段64に供給する。
【0026】
上記加工水貯留手段63は、加工水貯留タンク631と該加工水貯留タンク631に収容されている加工水を加圧する加圧手段632とからなっている。加工水貯留タンク631は、水にシリカ、ガーネット等の微細な砥粒が混入された加工水を収容している。加圧手段632は、エアーポンプ633と、該エアーポンプ633と上記加工水貯留タンク631の上壁に形成された空気導入口とを連通する加圧配管634と、該加圧配管634に配設された電磁切替え弁635(V1)とからなっている。
【0027】
上記加工水送出手段64は、図示の実施形態においては第1の加工水送出手段64aと第2の加工水送出手段64bを備えている。第1の加工水送出手段64aおよび第2の加工水送出手段64bは、それぞれ第1のシリンダ641aおよび第2のシリンダ641bと、該第1のシリンダ641aおよび第2のシリンダ641b内にそれぞれ摺動可能に配設されシリンダ内を第1の室642aおよび642bと第2の室643aおよび643bに区画する第1のピストン644aおよび第2のピストン644bを備えている。なお、第1のピストン644aおよび第2のピストン644bに代えてシリンダ内を第1の室と第2の室に区画するダイアフラムを用いてもよい。即ち、シリンダ内を第1の室と第2の室に区画するピストンやダイアフラムは、シリンダ内を第1の室と第2の室に区画し該両室の圧力によって変位可能な仕切り部材として機能する。
【0028】
第1の加工水送出手段64aおよび第2の加工水送出手段64bを構成する第1のシリンダ641aおよび第2のシリンダ641bの第1の室642aおよび642bは、それぞれ高圧配管651aおよび651bを介して上記高圧水生成手段62に連通されている。高圧配管651aおよび651bには、それぞれ電磁切替え弁661a(V2)および661b(V3)が配設されている。また、第1のシリンダ641aおよび第2のシリンダ641bの第1の室642aおよび642bは、それぞれ排水手段67に連通されている。この排水手段67は、吸引手段としてのバキュームポンプ671と、該バキュームポンプ671と上記第1の室642aおよび642bとをそれぞれ連通する排水配管672aおよび672bと、該排水配管672aおよび672bにそれぞれ配設された電磁切替え弁673a(V4)および673b(V5)とからなっている。
【0029】
第1の加工水送出手段64aおよび第2の加工水送出手段64bを構成する第1のシリンダ641aおよび第2のシリンダ641bの第2の室643aおよび643bは、それぞれ導入配管652aおよび652bを介して上記加工水貯留タンク631に連通されている。導入配管652aおよび652bには、それぞれ電磁切替え弁662a(V6)および662b(V7)が配設されている。また、第1のシリンダ641aおよび第2のシリンダ641bの第2の室643aおよび643bは、それぞれ送出配管653aおよび653bを介して上記ノズル522の加工水導入通路522dに連通されている。送出配管653aおよび653bには、それぞれ電磁切替え弁663a(V8)および663b(V9)が配設されている。
【0030】
次に、清浄水供給手段7について説明する。
図6に示す清浄水供給手段7は、上記高圧配管651aとノズル522の清浄水導入通路522eとを連通する清浄配管71と、該清浄配管71に配設された電磁切替え弁72(V10)とからなっている。電磁切替え弁72が付勢されると、高圧水生成手段62によって生成された高圧水が清浄配管71を通してノズル522に導入される。
【0031】
図6に示す加工水供給手段6および清浄水供給手段7は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
加工水供給手段6の作動開始時には、高圧水生成手段62とバキュームポンプ671およびエアーポンプ633が作動され、各電磁切替え弁が図6に示すように全て除勢(OFF)されている。図6に示す状態から第1の加工水送出手段64aを作動するには、排水手段67の電磁切替え弁673a(V4)を付勢(ON)するとともに、電磁切替え弁662a(V6)を付勢(ON)する。この結果、第1のシリンダ641aの第1の室642a内の高圧水が排水配管672aおよび電磁切替え弁673aを通してバキュームポンプ671に吸引されるとともに、加工水貯留タンク631内の加工水が導入配管652aおよび電磁切替え弁662a(V6)を通して第1のシリンダ641aの第2の室643aに導入され、第1のピストン644aが図6において上方に移動せしめられる。第1のピストン644aが図6において2点鎖線で示す上方位置に移動したら、上記電磁切替え弁673a(V4)および電磁切替え弁662a(V6)を除勢(OFF)する。次に、電磁切替え弁663a(V8)を付勢(ON)するとともに、電磁切替え弁661a(V2)を付勢(ON)する。従って、高圧水生成手段62によって生成された高圧水が高圧配管651aおよび電磁切替え弁661a(V2)を通して第1のシリンダ641aの第1の室642aに導入され、第1のピストン644aを図6において下方に移動すべく押圧する。この結果、第1のシリンダ641aの第2の室643a内の加工水は、送出配管653aおよび電磁切替え弁663a(V8)を通してノズル522に導入され、噴射孔522cからウォータージェットとして噴射される。そして、第1のシリンダ641aの第1のピストン644aが図6において実線で示す下方位置に達したら、電磁切替え弁661a(V2)を除勢(OFF)するとともに、電磁切替え弁663a(V8)を除勢(OFF)することにより、図6に示す状態に戻る。
【0032】
次に、第2の加工水送出手段64bを作動について説明する。
図6に示す状態は、第2の加工水送出手段64bを構成する第2のピストン644bが実線で示す上方位置に移動し、第2のシリンダ641bの第2の室643aに加工水が導入された状態である。この状態から、電磁切替え弁663b(V9)を付勢(ON)し電磁切替え弁661b(V3)を付勢(ON)すると、高圧水生成手段62によって生成された高圧水が高圧配管651bおよび電磁切替え弁661b(V3)を通して第2のシリンダ641bの第1の室642bに導入され、ピストン644bが図6において下方に移動すべく押圧する。この結果、第2のシリンダ641bの第2の室643b内の加工水は、送出配管653bおよび電磁切替え弁663b(V9)を通してノズル522に導入され、噴射孔522cからウォータージェットとして噴射される。そして、第2のシリンダ641bのピストン644bが図6において2点鎖線で示す下方位置に達したら、電磁切替え弁661b(V3)を除勢(OFF)するとともに、電磁切替え弁663b(V9)を除勢(OFF)。次に、電磁切替え弁673b(V5)を付勢(ON)し電磁切替え弁662b(V7)を付勢(ON)すると、第2のシリンダ641bの第1の室642b内の高圧水が排水配管672bおよび電磁切替え弁673b(V5)を通してバキュームポンプ671に吸引されるとともに、加工水貯留タンク631内の加工水が導入配管652bおよび電磁切替え弁662b(V7)を通して第2のシリンダ641bの第2の室643bに導入され、ピストン644bが図6において上方に移動せしめられるて、図6に示す状態に戻る。
【0033】
上述した第1の加工水送出手段64aおよび第2の加工水送出手段64bを交互に作動することにより、加工水をノズル522の噴射孔522cから連続して噴射することができる。加工水をノズル522に送り出す第1の加工水送出手段64aおよび第2の加工水送出手段64bは、その作動時には第1のシリンダ641aの第1の室642aと第2の室643aおよび第2のシリンダ641bの第1の室642bと第2の室643bは略同圧となり圧力差が生じないので、第2の室643aおよび第2の室643b内の加工水が第1の室642aおよび第1の室642b側に侵入することはない。従って、加工水に混入された砥粒による第1のシリンダ641aと第2のシリンダ641bのシリンダ壁および第1のピストン644aと第2のピストン644bの磨耗が低減される。
【0034】
なお、図示の実施形態においては、排水手段65に吸引手段としてのバキュームポンプ671を設けるとともに、加工水貯留タンク631に収容されている加工水を加圧する加圧手段632を配設した例を示したが、バキュームポンプ671と加圧手段632は何れか一方でもよい。例えば、バキュームポンプ671を装備し加圧手段632を設けない場合には、加工水貯留タンク631を大気に開放する。この場合、加工水貯留タンク631と第1のリンダ641aの第2の室643aおよび第2のリンダ641bの第2の室643bとを連通する導入配管652aおよび652bに配設された電磁切替え弁662a(V6)および662b(V7)は、加工水貯留タンク631側から第1のリンダ641aおよび第2のリンダ641b側への流通は許容するが逆方向への流通を遮断する逆止弁でもよい。一方、加圧手段632を装備しバキュームポンプ671を設けない場合には、該排水配管672aおよび672bにおける電磁切替え弁673a(V4)および673b(V5)よりバキュームポンプ671側を大気開放とする。
【0035】
次に、清浄水供給手段7の作動について、図6を参照して説明する。
上述したように加工水供給手段6によるウォータージェット作動が終了した状態においては、上記各電磁切替え弁が全て除勢(OFF)されている。そして、電磁切替え弁72を付勢(ON)すると、高圧水生成手段62によって生成された高圧水が清浄配管71および電磁切替え弁72を通してノズル522の清浄水導入通路522eに導入する。この結果、上記ウォータージェット作動終了時にノズル522の通路522b内に残っている砥粒が混入された加工水は、噴射孔522cを通して高圧水とともに排出されるとともに、高圧水の圧力によって送出配管653a、653b側に押し戻される。なお、ノズル522に高圧水を導入する際に電磁切替え弁663a(V8)、663b(V9)を付勢(ON)することことが望ましく、これによりノズル522の通路522b内に残っている砥粒が混入された加工水を第1のリンダ641aおよび第2のリンダ641b側により多く戻すことができる。そして、ノズル522への高圧水の導入を止めたならば、電磁切替え弁663a(V8)、663b(V9)を除勢(OFF)する。従って、ノズル522内には真水だけが残ることになるので、稼働を停止して放置しても加工水に混入された砥粒が沈殿して噴射孔522cを詰まらせることはない。
なお、図示の実施形態における清浄水供給手段7は、高圧水生成手段62によって生成された高圧水をノズル522に導入する構成の例を示したが、ノズル522に清浄水を導入する清浄水供給手段を別途設けてもよい、この場合、清浄水を供給する給水ポンプとしては、清浄水を1〜10メガパスカル(MPa)程度の圧力で送出すればよい。
【0036】
図1に戻って説明を続けると、上記ウォータージェット噴射手段52を構成するケーシング521の前端部には、撮像手段8(SM)が配設されている。この撮像手段8(SM)は、CSP基板等の被加工物に形成されたストリート等を撮像するための顕微鏡やCCDカメラ等で構成されており、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。
【0037】
図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、図7に示すように制御手段20を具備している。制御手段20はマイクロコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)201と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)202と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)203と、ウォータージェット噴射手段52の作動時間を計時するタイマー204と、入力インターフェース205および出力インターフェース206とを備えている。このように構成された制御手段20の入力インターフェース205には、加工装置の電源スイッチSWや上記撮像手段8(SM)等からの検出信号が入力される。また、出力インターフェース206からは上記パルスモータ334(M1)、382(M2)、432(M3)、532(M4)、電磁切替え弁635(V3)、661a(V2)、661b(V3)、673a(V4)、673b(V5)、662a(V6)、662b(V7)、663a(V8)、663b(V9)、72b(V10)等に制御信号を出力する。
【0038】
図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は以上のように構成されており、以下その切断動作について主に図1を参照して説明する。
被加工物保持機構3を構成するベーステーブル36が図1に示す位置に位置付けられた状態で、上述したようにベーステーブル36に着脱テーブル10の保持トレー12を吸引保持するとともに、緩和部材11の支持面11a上に被加工物100を吸引保持する。次に、ベーステーブル36および着脱テーブル10を加工送り手段37の作動により案内レール31、31に沿って移動せしめ、撮像手段8(SM)の直下に位置付ける。
【0039】
上述したようにベーステーブル36および着脱テーブル10が撮像手段8(SM)の直下に位置付けられると、撮像手段8(SM)は着脱テーブル10に保持された被加工物100を撮像し、その画像信号を制御手段20に送る。制御手段20が撮像手段8(SM)から送られた画像信号に基づいて被加工物100に形成されているストリートと、ストリートに沿ってウォータージェットを噴射するウォータージェット噴射ユニット5のノズル522との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、ウォータージェット噴射位置のアライメントを遂行する。
【0040】
上記のようにしてアライメントが行われたならば、ベーステーブル36および着脱テーブル10をウォータージェット噴射ユニット5のノズル522が位置する切削領域に移動し、加工水供給手段6を上述したように作動して、切削領域において被加工物100における上述のようにして検出されたストリートに沿ってノズル522の噴射孔522cから高圧の加工水をウォータージェットとして噴射し、ストリートに沿って切断する。この切断動作時においては、ウォータージェットは被加工物100を切断時に貫通するが、切断後のウォータージェットは着脱テーブル10の緩和部材11に受けられて、その勢いが和らげられる。このウォータージェットの作用によって緩和部材11は次第に損傷するので、所定回数使用したら交換する。なお、切断作用後に勢いが和らげられた水は、蛇腹手段391、392から落下して、枠状の排水樋手段393に流れる。
【0041】
上述したように所定のストリートに沿って切断したら、ベーステーブル36および着脱テーブル10を矢印Yで示す割り出し方向にストリートの間隔だけ割り出し送りし、上記切断動作を遂行する。ベーステーブル36および着脱テーブル10の割り出し送りは、被加工物保持機構3を構成する第1の割り出し送り手段38によって行われる。なお、割り出し送りは、ウォータージェット噴射ユニット支持機構を構成する第2の割り出し送り手段43によって実行してもよいが、高圧水生成手段62に影響するためベーステーブル36を移動するのが好ましい。このようにして所定方向に延在する全てのストリートについて切断動作と割り出し動作を遂行したならば、ベーステーブル36および着脱テーブル10を90度回動せしめて、上記所定方向に対して垂直に延びる各ストリートに沿って上記切断動作と割り出し動作を実行することにより、着脱テーブル10に保持された被加工物100は個々のチップに分割される。
【0042】
このようにして、被加工物100を個々のチップに分割したら、被加工物100を保持している着脱テーブル10およびベーステーブル36は、図1に示す位置に戻され、ここで、着脱テーブル10と吸引源との連通を遮断する。この結果、着脱テーブル10のベーステーブル36への吸引保持が解除される。一方、着脱テーブル10を構成する保持トレー12の底壁121に形成された連通穴121bには逆止弁123が配設されているので、吸引源との連通が遮断されても吸引室120は負圧状態に維持される。この結果、着脱テーブル10による被加工物100の吸引保持は維持される。このとき、被加工物100は個々のチップに分割されているが、緩和部材11に設けられた複数個の吸引孔11bは支持面11aにおける被加工物が分割される個々のチップと対向する位置に形成されているので、チップの状態でも吸引保持は維持される。従って、被加工物100が分割された個々のチップは、着脱テーブル10に吸着保持された状態で所定の場所に搬送することができる。なお、着脱テーブル10に吸着保持された状態で搬送された各チップを取り外す場合には、保持トレー12に配設された作動ロッド124を押して逆止弁123を開放すると、吸引室120内が大気圧となって各チップの吸引保持が解除される。
【0043】
以上のようにして加工作業が終了したら、清浄水供給手段7を上述したように作動して高圧水生成手段62によって生成された高圧水をノズル522に導入し、ノズル522内に残留している砥粒が混入された加工水を噴射孔522cを通して高圧水とともに排出するとともに、高圧水の圧力によって送出配管653a、653b側に押し戻す。
【0044】
上述したウォータージェットにおいては、砥粒が混入された加工水がノズル522の噴射孔522cを通して噴射されるので、噴射孔522cが砥粒によって磨耗されその径が拡大する。噴射孔522cが拡大すると被加工物に作用する高圧の加工水即ちウォータージェットのスポット径が大きくなり、設定された所定の切断幅を越えてしまう。即ち、図8の(a)に示すようにノズル522の噴射孔522cから噴射され被加工物100に作用するウォータージェットのスポット径がD1例えば50μmになるように噴射孔522cの先端から被加工物100までの間隔をH1に設定し、ウォータージェット加工を実施する。しかるに、ノズル522の噴射孔522cが磨耗されその径が拡大すると、図8の(b)に示すようにノズル522の噴射孔522cから噴射され被加工物100に作用するウォータージェットのスポット径がD2に拡大してしまう。この結果、所定の切断幅を越えてしまうため、ノズル522は寿命として交換している。
【0045】
そこで本発明は、ノズル522の噴射孔522cが磨耗されその径が拡大したならば、ノズル522の噴射孔522cから被加工物100までの間隔を小さくする。即ち、図9に示すようにノズル522の噴射孔522cから噴射され被加工物100に作用するウォータージェットのスポット径が設定されたD1になるようにノズル522を下方に移動し、ノズル522の噴射孔522cから被加工物100までの間隔を小さくする。この結果、噴射孔522cの先端から被加工物100までの間隔はH2となる。このようにして、ウォータージェットのスポット径を設定されたD1にすることにより、所定の切断幅で切断することができる。
【0046】
ここで、上述したウォータージェット加工装置において、ノズル522の噴射孔522cが磨耗によって拡大するのに対応して噴射孔522cから被加工物100までの間隔を制御する具体例について説明する。
ウォータージェット噴射時間(例えば、30分毎)に対する噴射孔522cの磨耗量即ち噴射孔径の拡大量について、実験によって予め求めておく。そして、ウォータージェットのスポット径を設定されたD1にするための噴射孔522cから被加工物100までの間隔Hを、各噴射孔径に対して計算上または実験的に求める。従って、ウォータージェット噴射時間に対応して噴射孔522cから被加工物100までの間隔Hを制御すれば、ウォータージェットのスポット径を許容範囲にすることができる。そこで、本発明においては、ウォータージェット噴射時間に対応する噴射孔522cから被加工物100までの間隔Hをそれぞれ設定し、これを制御手段20のリードオンリメモリ(ROM)202に予め格納しておく。そして、制御手段20はウォータージェット噴射時間を計時する。具体的には、制御手段20のタイマー204が加工水送出手段64を構成する第1の加工水送出手段64aの電磁切替え弁663a(V8)と第2の加工水送出手段64b電磁切替え弁663b(V9)が付勢(ON)されている時間を累積して計時する。そして、制御手段20はこの累積時間が上記リードオンリメモリ(ROM)202に予め格納された所定時間に達したら、上記ノズル接離手段53のパルスモータ532(M4)に制御信号を出力する。即ち、上記リードオンリメモリ(ROM)202に予め格納されたウォータージェット噴射時間に対応して設定された上記間隔Hになるようにウォータージェット噴射ユニット5を下方に移動する。このように、ウォータージェット噴射時間が所定時間経過する毎にウォータージェット噴射ユニット5即ちノズル522を所定量下降させて、ノズル522の噴射孔522cから被加工物100までの間隔Hを制御するので、噴射孔522cから噴射され被加工物100に作用するウォータージェットのスポット径を常に許容範囲に維持することができる。
【0047】
以上、本発明を図示の実施形態に基づきウォータージェット噴射時間に対応してノズル522を所定量下降させる例について説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能であることは言うまでもない。例えば、切断途中において、または切断が完了した被加工物を撮像手段8の直下に位置付け、該撮像手段8によって撮像された画像情報を画像処理して切断幅を計測し、計測結果に基づいてノズル522をを下降して所定の切断幅(スポット径)に調整するようにしてもよい。即ち、実験によって切断幅とノズル522の下降量との関係を求め、このデータを予め制御手段20のリードオンリメモリ(ROM)202に格納しておき、撮像手段8によって撮像された切断幅の情報に基づいて制御手段20がノズル接離手段のパルスモータ532(M4)を制御するようにしてもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ウォータージェット加工の遂行によりノズルから噴射され被加工物に作用する加工水のスポット径が所定値より大きくなったら、該スポット径が所定値になるようにノズルから被加工物までの間隔を小さくするので、被加工物に作用する加工水(ウォータージェット)のスポット径を常に許容範囲に維持することができる。従って、砥粒を混入した高圧水を噴射するノズルを長時間使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成されたウォータージェット加工装置の一部を分解して示す斜視図。
【図2】図1に示すウォータージェット加工装置に用いられる着脱テーブルを構成する緩和部材と保持トレーを分解して示す斜視図。
【図3】図1に示すウォータージェット加工装置に用いられる着脱テーブルと被加工物を示す斜視図。
【図4】図3に示す着脱テーブルをベーステーブルに保持した状態を示す断面図。
【図5】図1に示すウォータージェット加工装置に用いられるウォータージェットを噴射するノズルの断面図。
【図6】図1に示すウォータージェット加工装置に装備される加工水供給手段の流体回路図。
【図7】図1に示すウォータージェット加工装置に装備される制御手段のブロック図。
【図8】図1に示すウォータージェット加工装置に装備されるノズルの噴射孔の大きさとウォータージェットのスポット径との関係を示す説明図。
【図9】図1に示すウォータージェット加工装置に装備されるノズルと被加工物との間隔を小さくした状態におけるウォータージェットのスポット径との関係を示す説明図。
【符号の説明】
2:静止基台
3:被加工物保持機構
31:案内レール
32:第1の滑動ブロック
33:第2の滑動ブロック
35:支持テーブル
36:ベーステーブル
4:ウォータージェット噴射ユニット支持機構
41:案内レール
42:可動支持基台
5:ウォータージェット噴射ユニット
51:ユニットホルダ
52:ウォータージェット噴射手段
522:ノズル
53:ノズル接離手段
6:加工水供給手段
61:水タンク
62:高圧水生成手段
63:加工水貯留手段
631:加工水貯留タンク
632:加圧手段
633:エアーポンプ
64:加工水送出手段
64a:第1の加工水送出手段
641a:第1のシリンダ
644a:第1のピストン
64b:第2の加工水送出手段
641b:第2のシリンダ
644b:第1のピストン
7:清浄水供給手段
8:撮像手段
10:着脱テーブル
11:緩和部材
12:保持トレー
100:被加工物
Claims (2)
- 被加工物保持機構に保持された被加工物にウォータージェット噴射手段のノズルから砥粒を混入した加工水を噴射せしめて被加工物を切断するウォータージェット加工方法であって、
ウォータージェット噴射時間と噴射孔径の拡大量との関係、及び被加工物に作用するウォータージェットのスポット径を所定値にするための、噴射孔径と噴射孔から被加工物までの間隔との関係、を実験によって予め求めておき、ウォータージェット噴射時間に対応して噴射孔から被加工物までの間隔を制御する、
ことを特徴とするウォータージェット加工方法。 - 被加工物保持機構に保持された被加工物にウォータージェット噴射手段のノズルから砥粒を混入した加工水を噴射せしめて被加工物を切断するウォータージェット加工方法であって、
被加工物に作用するウォータージェットのスポット径を所定値にするための、噴射孔径と噴射孔から被加工物までの間隔との関係、を実験によって予め求めておき、
被加工物を撮像し画像処理して切断幅を計測し、計測した切断幅に対応して、噴射孔から被加工物までの間隔と噴射孔径との関係に基づいて噴射孔から被加工物までの間隔を制御する、
ことを特徴とするウォータージェット加工方法。
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