JP4473266B2 - ガイドワイヤー組立体 - Google Patents

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Description

本発明は、ガイドワイヤー組立体に関する。
中心静脈カテーテル等のカテーテルを挿入・留置する手技の一つにセルジンガー法がある。セルジンガー法とは、血管内に留置されたガイドワイヤーに沿ってカテーテルを挿入する方法である。したがって、ガイドワイヤーを目的部位まで挿入・留置することが、カテーテルを目的部位に留置する上で非常に重要である。
ガイドワイヤーの血管内への挿入は、おおむね次の方法(下記[1]〜[3]の工程)にて行われている。
[1]カニューレを血管内に挿入する。
[2]ガイドワイヤーをカニューレ内に挿入する。
[3]ガイドワイヤーを押し進め、血管内に挿入する。
このような方法によってガイドワイヤーを血管内に挿入する際には、円環状に巻かれた管体の中空部にガイドワイヤーが収納されたガイドワイヤー組立体(ガイドワイヤー挿入具)が用いられる(例えば、登録実用新案第2601155号公報参照)。
一方、ガイドワイヤーの先端部が真直の場合、血管の分岐様式によって、ガイドワイヤーが迷走し目的部位まで挿入することが困難な場合がある。この問題を解決するため、特許文献1に記載のものも含めて、通常、ガイドワイヤーの先端部は、湾曲したアングル形状とされており、これにより、ガイドワイヤー先端部に血管選択性を付与することができる。
しかしながら、登録実用新案第2601155号公報に記載されたような従来のガイドワイヤー組立体では、ガイドワイヤーを目的部位へ挿入している途中でガイドワイヤーがその軸線回りに回転してしまうと、先端のアングル部の向きが分からなくなってしまう。このため、術者が先端のアングル部の向きを勘違いした状態で挿入操作を行ってしまうことがあり、その場合には、先端が真直なガイドワイヤー以上の迷走を発生してしまうことになり、逆効果になってしまう。
また、ガイドワイヤーそのものに向きを示すようなマークを付けたとしても、ガイドワイヤーは極めて細いため肉眼による目視では向きの判別が困難である。
本発明の目的は、ガイドワイヤーを生体内へ挿入する際、ガイドワイヤーの先端アングル部の向きを術者が容易かつ確実に把握することができ、血管の分岐部において進むべき分岐血管を容易かつ確実に選択して挿入することができるガイドワイヤー組立体を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のガイドワイヤー組立体は、
本体部と、前記本体部の先端側に形成され、自然状態で湾曲した部分を有する先端アングル部と、前記本体部の基端側に形成され、自然状態で前記本体部に対し一方向に屈曲または湾曲した基端アングル部とを有するガイドワイヤーと、
そのほぼ全長に渡り略円環状に巻かれた状態で配置された管体を有し、該管体の中空部に前記ガイドワイヤーを収納する収納部とを備え、
前記ガイドワイヤーは、自然状態において前記本体部またはその延長線から前記基端アングル部の最も遠い部分までの距離が前記管体の最大内径より大きく、
前記基端アングル部は、その曲がった方向が前記管体の湾曲方向に揃うように前記管体内に収納された収納状態では、該管体の管壁によって広げられて付勢され、その際、自身の弾性により元の形状に戻ろうとする復元力が生じて、前記管体の管壁に密着し前記収納状態が維持されるように構成されており、
かつ、前記収納部の出口から前記ガイドワイヤーを送り出すのに伴って前記管体内を通過する間、前記復元力により前記管体の管壁に密着して、前記曲がった方向が前記管体の湾曲方向に揃った状態で維持され、これにより、前記先端アングル部の向きが前記収納部に対し所定の向きに維持されることを特徴とする。
これにより、収納部からガイドワイヤーを送り出す間、収納部の向きに対するガイドワイヤーの先端アングル部の向きが所定の向きに維持されるので、術者は、ガイドワイヤーを生体内の目的部位へ挿入する間、先端アングル部の向きを収納部の向きによって正確に把握することができる。よって、術者は、先端アングル部の湾曲を利用して、血管の分岐部において進むべき分岐血管を容易かつ確実に選択して挿入することができる。
また、本発明のガイドワイヤー組立体では、 前記ガイドワイヤーは、前記管体の湾曲内側の管壁の曲率半径をR1とし、前記管体の湾曲外側の管壁の曲率半径をR2(R1<R2)としたとき、その一部を真直状態とした真直部分に荷重をかけて曲率半径が前記R1より小さくなるまで湾曲させた後に、前記荷重を解放したとき、前記真直部分の曲率半径が前記R2以上に戻るような復元性を有することが好ましい。
第1図は、本発明の第1実施形態のガイドワイヤー組立体を備えたガイドワイヤー挿入具示す側面図である。 第2図は、第1図に示す穿刺具のハブを示す縦断面図である。 第3図は、第1図に示すガイドワイヤー組立体の送り出し・導入部材を示す側面図である。 第4図は、第1図に示すガイドワイヤー組立体の送り出し・導入部材を示す縦断面図である。 第5図は、第1図に示すガイドワイヤー組立体を拡大して示す側面図である。 第6図は、管体および基端アングル部の模式的な縦断面図である。 第7図は、管体および基端アングル部の模式的な横断面図ある。 第8図は、基端アングル部の他の構成例を示す側面図である。 第9図は、ガイドワイヤー組立体の第2実施形態における収納部の管体の横断面図である。 第10図は、ガイドワイヤー組立体の第3実施形態における収納部の管体の横断面図である。 第11図は、ガイドワイヤー組立体の第4実施形態における収納部の管体の横断面図である。
以下、本発明のガイドワイヤー組立体を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
第1図は、本発明の第1実施形態のガイドワイヤー組立体を備えたガイドワイヤー挿入具を示す側面図、第2図は、第1図に示す穿刺具のハブを示す縦断面図、第3図は、第1図に示すガイドワイヤー組立体の送り出し・導入部材を示す側面図、第4図は、第1図に示すガイドワイヤー組立体の送り出し・導入部材を示す縦断面図である。なお、説明の都合上、第1図〜第4図において、図中の左側を「先端」、右側を「基端」、上側を「上」、下側を「下」として説明する。
第1図に示すガイドワイヤー挿入具10は、ガイドワイヤー2を生体内の血管内に経皮的に挿入する際に使用する器具(装置)であり、本発明のガイドワイヤー組立体1と、ガイドワイヤー組立体1が着脱自在に接続される穿刺具4とで構成されている。
ガイドワイヤー組立体1は、ガイドワイヤー2と、ガイドワイヤー2を収納する収納部(ガイドワイヤーケース)5と、収納部5に着脱自在に装着(固定)される送り出し・導入部材6とを有している。
第1図に示すように、穿刺具4は、鋭利な針先を有する中空の穿刺針(中空針)41と、シリンジ42と、穿刺針41とシリンジ42との間に設けられるト字状(Y字状)のハブ(分岐コネクタ)43とを有している。
第2図に示すように、ハブ43は、ハブ本体430を有しており、ハブ本体430は、第1の筒状体431と、この第1の筒状体431の途中に設けられた第2の筒状体432とで構成されている。第2の筒状体432は、第1の筒状体431に対し、基端側に(第2の筒状体432の基端側が上方に位置するように)傾斜している。
また、第1の筒状体431の途中には、側孔(貫通孔)433が設けられており、この側孔433を介し、第1の筒状体431の内部(内腔)と第2の筒状体432の内部(内腔)とが連通している。
側孔433の寸法は、特に限定されず、用いるガイドワイヤー2の外径(直径)等の諸条件に応じて適宜設定されるが、側孔433の横断面での形状が略円形の場合、側孔433の直径は、0.7〜3.0mm程度であるのが好ましく、0.8〜2.0mm程度であるのがより好ましい。
これにより、ガイドワイヤー2の位置が規制され、ガイドワイヤー2を穿刺針41の方向に、より円滑に移動させる(挿入する)ことができる。
第1の筒状体431の先端部には、穿刺針41の基端部に設けられているハブ411が着脱自在に装着(接続)される。これにより、穿刺針41の内部(内腔)と、第1の筒状体431の内部(内腔)と、第2の筒状体432の内部(内腔)とが連通する。
また、第1の筒状体431の基端部には、シリンジ42の先端部が着脱自在に装着(接続)される。
ハブ本体430の第2の筒状体432の内部であって、その途中には、一文字状のスリット(一文字スリット)435が形成された弁体434が設置されている。この弁体434のスリット435を介し、後述するガイドワイヤー組立体1の導入部7の先端部715の縮径部(細径部)716を第2の筒状体432の基端側から先端側に挿入することができ、また、弁体434により、第2の筒状体432の先端側(第1の筒状体431側)と基端側(外部)との液密性(気密性)を保持することができる。
なお、弁体434のスリット435の形状は、一文字状に限らず、この他、例えば、十字状(十字スリット)等が挙げられる。
また、弁体434は、例えば、一方の端面に開口し、他方の端面に開口しない第1の切り込みと、この第1の切り込みと内部において交差し、前記他方の端面に開口し、前記一方の端面に開口しない第2の切り込みとを有するもの(一文字スリットが交互に交差するように形成された略十字スリットが設けられたもの)であってもよい。
また、弁体434の構成材料としては、例えば、シリコーンゴム、天然ゴムのような各種ゴムや、熱可塑性エラストマー等の弾性材料(特に軟質な材料が好ましい)が挙げられる。
また、第2の筒状体432の内部であって、弁体434の基端側には、筒状のキャップ(雌コネクタ)436が設置されている。このキャップ436の内部形状は、導入部7の先端部715の外部形状に対応している。
第2の筒状体432の基端部、すなわち、キャップ436内には、ガイドワイヤー組立体1の導入部7がその先端側から挿入される。これにより、ハブ43に対し、導入部7が着脱自在に接続される。従って、第2の筒状体432、キャップ436および弁体434により、接続部(接続ポート)が構成される。
第1図に示すように、ガイドワイヤー組立体1は、ガイドワイヤー2と、ガイドワイヤー2を収納する収納部5と、収納部5に着脱自在に装着(固定)される送り出し・導入部材6とを有している。
ガイドワイヤー2の構造や構成材料等は、特に限定されないが、ガイドワイヤー2は、例えば、超弾性体(超弾性線)で構成された芯材を有し、この芯材の先端部に、コイルが設けられているものであるのが好ましい。
超弾性体の芯材の先端部にコイルを設けることにより、十分な柔軟性が得られ、また、直径を所定の値に維持することができる。
前記芯材の構成材料は、特に限定されないが、例えば、Ni−Ti系合金等の超弾性合金等が好ましい。
また、前記コイルの構成材料は、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼等の金属材料等が好ましい。
また、ガイドワイヤー2の外径(直径)A(第6図参照)は、特に限定されないが、1.0mm以下であるのが好ましく、0.3〜0.9mm程度であるのがより好ましい。
ガイドワイヤー2の先端付近には、自然状態(外力を付与しない状態)でJ字状に湾曲した先端アングル部21が形成されている。ガイドワイヤー2を生体内の目的部位まで挿入する途中の血管の分岐部においては、進むべき分岐血管の方向に先端アングル部21の向きを合わせることによってその分岐血管を確実に選択することができる。なお、先端アングル部21の形状は、図示の形状に限らず、他のタイプのものであってもよい。
収納部5は、可撓性を有する管体(チューブ)51を有しており、この管体51の中空部(内腔)514にガイドワイヤー2を収納可能になっている。この管体51は、略円環状(円形)に巻かれ、束ねられている。すなわち、管体51は、略円周に沿って巻かれ、束ねられている。
管体51は、前記円環状に巻かれ、束ねられた状態で、2つの貫通孔を有する2つのクリップ(保持部材)52で保持されている。
なお、管体51の巻き数(巻き量)は、特に限定されないが、図示例では、2周程度とされている。
また、管体51の中空部514の横断面形状は、ほぼ円形である。
第3図および第4図に示すように、送り出し・導入部材6は、収納部5に収納されているガイドワイヤー2が送り出される送り出し部(ガイドワイヤー送り出し部)8と、送り出し部8から送り出されたガイドワイヤー2を受け、そのガイドワイヤー2が送り出される導入部(ガイドワイヤー導入部)7とを有している。これら送り出し部8と導入部7とは、所定距離離間している。
送り出し部8は、筒状の送り出し部本体81と、板状の台座(操作部)82とを有しており、その送り出し部8(特に出口812)は、収納部5の略円周上に位置している。この送り出し部本体81に形成されている孔部(貫通孔)811の先端側の開口(先端開口)は、ガイドワイヤー2の出口812を構成する。ガイドワイヤー2は、送り出し部本体81に形成されている孔部811を挿通し、出口812から導入部7に向って送り出される。
台座82は、送り出し部本体81の出口812の近傍であって、その出口812の下方から、後述する導入部7の入口712の近傍であって、その入口712の下方に向って突出している。すなわち、台座82は、ガイドワイヤー2および出口812の近傍であって、ガイドワイヤー2と収納部5との間に位置している。
この台座82の上側の面(上面)は、ガイドワイヤー2(送り出し部本体81と導入部7との間に位置するガイドワイヤー2)に対向しており、そのガイドワイヤー2や手指を当接し得る当接面(対向面)821を構成する。
この台座82により、ガイドワイヤー2を基端側に引く操作等を、片手で、容易に行うことができる。
また、第1図に示すように、送り出し部本体81の基端側には、孔部811と収納部5の管体51の内腔とが連通するように、管体51の先端部511が接続(挿入)される。
送り出し部8と導入部7との間、すなわち、送り出し部8の台座82の先端と導入部7の基端との間およびその近傍の空間は、ガイドワイヤー2を手指で把持して操作する空間(把持空間)を構成している。
従って、送り出し部8と導入部7との間、すなわち、送り出し部8の台座82の先端と導入部7の基端との間の離間距離L1は、その台座82の先端と導入部7の基端との間に使用者(術者)の手指が入るように設定される。
具体的には、前記離間距離L1は、20〜80mm程度であるのが好ましく、30〜70mm程度であるのがより好ましい。
また、台座82の長手方向(第1図中左右方向)の長さL2は、特に限定されないが、5〜50mm程度であるのが好ましく、10〜30mm程度であるのがより好ましい。
第3図および第4図に示すように、導入部7は、筒状の導入部本体71を有している。この導入部本体71に形成されている孔部(貫通孔)711の基端側の開口(基端開口)は、ガイドワイヤー2の入口712を構成し、先端側の開口(先端開口)は、ガイドワイヤー2の出口713を構成する。ガイドワイヤー送り出し部8の出口812から送り出されたガイドワイヤー2は、導入部本体71に形成されている孔部711を挿通する。すなわち、ガイドワイヤー送り出し部8から送り出されたガイドワイヤー2は、入口712から挿入され、出口713から送り出される。
また、導入部本体71の先端部715は、その先端側に、外径(直径)が縮径した縮径部(細径部)716を有している。
また、導入部本体71の中央部であって、その上部には、板状の壁部(バリア)72が形成されている。壁部72は、側面視で(第3図および第4図において)、略台形をなしている。この壁部72には、その上端から基端に渡って(台形の第3図および第4図中の上側の辺および右側の辺に)、第3図中紙面の裏側から表側に向って突出するリブ721が形成されている。このリブ721は、後述する孔部714を越える位置まで突出している。
また、導入部本体71の中央部であって、その上部には、孔部714が形成されている。この孔部714の一端側は、孔部711に連通し、他端側は、導入部本体71の前記壁部72に対応する位置であって、その壁部72よりリブ721側(第3図中紙面の表側)において、外部に開放している。
前記孔部714を設けることにより、穿刺具4を介して血液が逆流する場合において、その血液を孔部714を介して外部に逃すことができ、これにより操作域(手元)への血液漏洩を防止(阻止)することができる。また、穿刺具4の穿刺針41を動脈に誤穿刺した場合において、操作域の汚染を防止または抑制することができるとともに、孔部714から流出する血液の流量の大小によって、前記動脈への誤穿刺を察知(検知)することができる。
また、前記壁部72を設けることにより、血液が孔部714から噴出した場合において、壁部72がバリアとなり、血液の飛散(特に操作域への飛散)を防止(阻止)することができる。
また、導入部本体71の中央部であって、その下部には、腕部73が形成されており、腕部73の下端部には、固定部(第1の固定部)91が設けられている。
この固定部91には、2つの溝911が形成されており、各溝911内には、それぞれ、第1図に示すように、収納部5の管体51が着脱自在に装着される。これにより、導入部7は、固定部91を介し、収納部5に、着脱自在に固定されるとともに、管体51は、円環状に巻かれ、束ねられた状態で、固定部91により保持される。
また、前記送り出し部8の送り出し部本体81の下部には、固定部(第2の固定部)92が設けられている。
この固定部92には、2つの溝921が形成されており、各溝921内には、それぞれ、第1図に示すように、収納部5の管体51が着脱自在に装着される。これにより、送り出し部8は、固定部92を介し、収納部5の前記導入部7と異なる個所に、着脱自在に固定されるとともに、管体51は、円環状に巻かれ、束ねられた状態で、固定部92により保持される。
また、前記固定部91と前記固定部92とは、連結部93により連結されている。この連結部93は、第1図に示すように、収納部5(管体51)の円弧と略同様の円弧状をなしている。すなわち、固定部91と固定部92とは、この連結部93を介して、収納部5(管体51)の円弧に沿って連結されている。
これにより、送り出し部8の台座82の先端と導入部7の基端との間の離間距離L1を常に一定の距離に保持することができる。また、連結部93は、円弧状をなしているので、その連結部93が邪魔になることもない。
前記送り出し・導入部材6は、本実施形態では、一体的に(一部材で)形成されているが、これに限らず、例えば、複数の部材を接合して前記送り出し・導入部材6を形成してもよい。
また、前記送り出し・導入部材6の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられる。
次に、ガイドワイヤー挿入具10(ガイドワイヤー組立体1)の使用方法の一例を第1図に基づいて説明する。この場合、代表的に、中心静脈カテーテル(IVHカテーテル)の挿入の際の操作手順の一例を説明する。
まず、穿刺具4の穿刺針41を患者の所定の部位に穿刺し、その穿刺針41の針先を血管(静脈)内へ挿入する。
そして、シリンジ42で血液を吸引し、穿刺針41の針先が血管内に位置していることを確認する。
次いで、手指で、ガイドワイヤー2を送り出し部8の台座82の当接面821に押し付け、ガイドワイヤー2を基端側に引いて、ガイドワイヤー2の先端アングル部21の一部または全部を導入部7内に位置させる。これにより、ガイドワイヤー2のJ字状の先端アングル部21が邪魔にならなくなる。
次いで、ガイドワイヤー組立体1の導入部7を穿刺具4のハブ43の第2の筒状体432に接続する。
これにより、導入部7の先端部715の縮径部716は、弁体434のスリット435から、第2の筒状体432の弁体434より先端側に挿入される。また、弁体434により、第2の筒状体432の先端側(第1の筒状体431側)と基端側(外部)との液密性(気密性)が保持される。
次いで、ガイドワイヤー2を血管内へ挿入する操作を行う。
すなわち、送り出し部8と導入部7との間に位置するガイドワイヤー2を手指で把持し、そのガイドワイヤー2を送り出す。
これにより、収納部5に収納されているガイドワイヤー2は、送り出し部8の出口812から送り出され、ガイドワイヤー2の先端アングル部21は、第2図に示すハブ43の第2の筒状体432の内腔、側孔433、第1の筒状体431の内腔、穿刺具4の穿刺針41の内腔を経て、穿刺針41の針先から突出し、血管内へ挿入される。
次いで、ガイドワイヤー2を残したまま、穿刺針41を抜去し、ガイドワイヤー2をガイドワイヤー組立体1から取り外して、ガイドワイヤー2を血管内に留置する。
次いで、ガイドワイヤー2に沿って、図示しないカテーテルを血管内へ挿入する。
次いで、カテーテルを残したまま、ガイドワイヤー2を抜去し、カテーテルを血管内へ留置する。
以上説明したように、本実施形態におけるガイドワイヤー組立体1によれば、送り出し部8と導入部7とが離間しており、ガイドワイヤー2を手指で把持して操作する空間(把持空間)が形成されているので、ガイドワイヤー2を直接手指で把持し、片手で容易かつ確実に操作することができる。
すなわち、ガイドワイヤー2を手指で把持して操作することができるので、ガイドワイヤー2の挿入の際、ガイドワイヤー2の挿入感が確実に得られるとともに、ガイドワイヤー2が滑ることを防止または抑制することができ、これにより操作を容易に行うことができる。
また、送り出し部8と導入部7とが、それぞれ、収納部5の異なる個所に固定されているので、ガイドワイヤー組立体1のバタツキが防止され、これにより操作を容易に行うことができる。
また、送り出し部8(特に出口812)は、収納部5の略円周上に位置しているので、操作がし易く、また、ガイドワイヤー組立体1の小型化が図れる。
なお、本実施形態では、固定部91と固定部92とが連結されていなくてもよい(分離していてもよい)。
また、ガイドワイヤー組立体1は、穿刺具4に対し、ガイドワイヤー組立体1を可逆的に連結・固定する固定具(固定手段)を有しているのが好ましい。これにより、ガイドワイヤー2の挿入操作(把持操作)を、より容易に行うことができる。
また、ガイドワイヤー組立体1は、可逆的にガイドワイヤー2を固定する、例えばストッパー等の固定手段を有しているのが好ましい。これにより、ガイドワイヤー2の挿入操作を行う前に、収納部5からガイドワイヤー2が飛び出してしまうのをより確実に防止(阻止)することができる。
以上、本実施形態のガイドワイヤー組立体1の使用方法の一例について説明したが、本発明のガイドワイヤー組立体1における送り出し・導入部材6は、図示の構成に限らず、いかなるものでもよく、例えば、送り出し部8と導入部7とが離間していないものでもよい。さらに、本発明のガイドワイヤー組立体1は、本実施形態における送り出し・導入部材6に相当する部材を有さないものでもよい。
第5図は、第1図に示すガイドワイヤー組立体を拡大して示す側面図、第6図は、管体および基端アングル部の模式的な縦断面図、第7図は、管体および基端アングル部の模式的な横断面図、第8図は、基端アングル部の他の構成例を示す側面図である。
以下、これらの図に基づいて、本発明のガイドワイヤー組立体1についてさらに詳細に説明する。
第5図に示すように、ガイドワイヤー2は、自然状態でほぼ真直な本体部22と、本体部22の先端側に形成された前述の先端アングル部21とを有している。
さらに、ガイドワイヤー2は、本体部22の基端側に形成された基端アングル部23を有している。基端アングル部23は、自然状態(外力を付与しない状態)で本体部22に対し屈曲個所231を介して一方向に屈曲(傾斜)している。
この基端アングル部23が収納部5(管体51)内にある状態でガイドワイヤー2をその軸線回りに回転させた場合、基端アングル部23の曲がった方向が管体51の湾曲方向に揃った第5図に示すような状態で力学的に安定する。すなわち、この状態のときに基端アングル部23付近に蓄えられる弾性エネルギーが最小となって安定するので、この状態からガイドワイヤー2を手で把持してその軸線回りに回転させて基端アングル部23の曲がった方向が管体51の湾曲方向に一致しないようにしても、ガイドワイヤー2から手を離すと、基端アングル部23付近の弾性力(元の形状に戻ろうとする復元力)によって、自動的に第5図に示す状態に戻る。
本発明のガイドワイヤー組立体1では、上記の作用により、収納部5の出口812からガイドワイヤー2を送り出すのに伴って基端アングル部23が収納部5(管体51)内を通過する間、基端アングル部23の曲がった方向が管体51の湾曲方向に揃った状態が維持され、基端アングル部23がその軸線回りに回転するのが防止される。ガイドワイヤー2の本体部22は、基端アングル部23の回転に伴って先端アングル部21が回転するようなトルク伝達性(ねじり剛性)を有しているので、収納部5(管体51)内での基端アングル部23の回転が防止されることにより、収納部5からガイドワイヤー2を送り出す間、先端アングル部21の向きが収納部5に対し第5図の状態の向きに維持される。
上記のように、本発明のガイドワイヤー組立体1では、収納部5からガイドワイヤー2を送り出す間、収納部5の向きに対する先端アングル部21の向きが所定の向きに維持されるので、術者は、ガイドワイヤー2を生体内の目的部位へ挿入する間、先端アングル部21の向きを収納部5の向きによって正確に把握することができる。よって、先端アングル部21の湾曲を利用して、血管の分岐部において進むべき分岐血管を容易かつ確実に選択して挿入することができる。
上記効果をより確実に発揮させるためには、基端アングル部23の形状・寸法は、第6図に示すように、自然状態において本体部22またはその延長線から基端アングル部23の最も遠い部分までの距離dが管体51の内径(最大内径)D以上になっているのが好ましい。第7図(a)に示すように、d<Dの場合には基端アングル部23が管体51内で回転可能であるが、第7図(b)に示すように、d≧Dの場合には基端アングル部23の管体51内での回転が防止される。
また、第6図に示すように、管体51の湾曲内側の管壁の曲率半径をR1とし、管体51の湾曲外側の管壁の曲率半径をR2(R1<R2)としたとき、ガイドワイヤー2の真直部分に荷重をかけて曲率半径がR1より小さくなるまで湾曲させた後にその荷重を解放したとき、その部分の曲率半径がR2以上に戻るような復元性を有しているのが好ましい。なお、第6図は、管体51の曲率を誇張して示した模式的な図である。
また、第5図および第6図に示す形状の基端アングル部23の場合、自然状態における基端アングル部23の本体部22に対する傾斜角度θ(第6図参照)は、特に限定されないが、
3〜45°であるのが好ましく、5〜15°であるのがより好ましい。
なお、基端アングル部23の形状は、第5図および第6図に示すような形状に限らず、例えば第8図の(a)、(b)または(c)に示すように湾曲した形状などであってもよい。第8図の各図では、前記距離dは図示の位置での距離となる。
<第2実施形態>
第9図は、ガイドワイヤー組立体の第2実施形態における収納部の管体の横断面図である。以下、同図に基づいてガイドワイヤー組立体の第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
本実施形態は、収納部5の管体51Aの横断面形状が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
第9図に示すように、本実施形態における管体51Aの中空部514の横断面形状は、非円形である。すなわち、管体51Aの中空部514の横断面形状は、円形の周方向の一部(第9図中の下部)が径方向外方へ拡大した形状をなしている。この拡大した部分により、管体51Aの内面に長手方向に沿って形成された溝513が構成されている。この溝513の幅は、ガイドワイヤー2の線径よりも大きく、ガイドワイヤー2が溝513内に挿入可能になっている。なお、管体51Aの中心を介して溝513の反対側にも同様の溝が形成されていてもよい。
このような構成により、管体51Aの中空部514の幅(内径)は、溝513がある方向(第9図中の上下方向)で最大になっており、それ以外の方向では、管体51Aの中空部514の幅(内径)はそれより小さくなる。
なお、前記第1実施形態と同様に、自然状態において本体部22またはその延長線から基端アングル部23の最も遠い部分までの距離dは、管体51Aの中空部514の最大幅(最大内径)以上とされる。
以上説明したような管体51A内に基端アングル部23があるときには、基端アングル部23の向きが管体51Aの中空部514の横断面の幅(内径)が最大となる方向(第9図中の上下方向)に揃った状態(第9図に示す状態)が力学的に安定な状態となる。よって、基端アングル部23が収納部5(管体51A)内を通過する間この状態が維持され、ガイドワイヤー2がその軸線回りに回転するのが防止されるので、ガイドワイヤー2を収納部5から送り出す間、先端アングル部21の向きを収納部5に対し所定の向きに維持することができる。したがって、本実施形態では、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本実施形態では、管体51Aが湾曲した形状に配設されていなくてもよく、直線的に配設されていてもよい。
<第3実施形態>
第10図は、ガイドワイヤー組立体の第3実施形態における収納部の管体の横断面図である。以下、同図に基づいてガイドワイヤー組立体の第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
本実施形態は、収納部5の管体51Bの横断面形状が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
第10図に示すように、本実施形態における管体51Bの中空部514の横断面形状は、非円形である。すなわち、管体51Bの中空部514の横断面形状は、第10図中の上下方向を長軸、第10図中の左右方向を短軸とする楕円形をなしている。
このような構成により、管体51Bの中空部514の幅(内径)は、第10図中の上下方向で最大になっており、それ以外の方向では、管体51Bの中空部514の幅(内径)はそれより小さくなる。
なお、前記第1実施形態と同様に、自然状態において本体部22またはその延長線から基端アングル部23の最も遠い部分までの距離dは、管体51Bの中空部514の最大幅(最大内径)以上とされる。
以上説明したような管体51B内に基端アングル部23があるときには、基端アングル部23の向きが管体51Bの中空部514の横断面の幅(内径)が最大となる方向(第10図中の上下方向)に揃った状態(第10図に示す状態)が力学的に安定な状態となる。よって、基端アングル部23が収納部5(管体51B)内を通過する間この状態が維持され、ガイドワイヤー2がその軸線回りに回転するのが防止されるので、ガイドワイヤー2を収納部5から送り出す間、先端アングル部21の向きを収納部5に対し所定の向きに維持することができる。したがって、本実施形態では、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本実施形態では、管体51Bが湾曲した形状に配設されていなくてもよく、直線的に配設されていてもよい。
<第4実施形態>
第11図は、ガイドワイヤー組立体の第4実施形態における収納部の管体の横断面図である。以下、同図に基づいてガイドワイヤー組立体の第4実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
本実施形態は、収納部5の管体51Cの横断面形状が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
第11図に示すように、本実施形態における管体51Cの中空部514の横断面形状は、非円形である。すなわち、管体51Cの中空部514の横断面形状は、長方形の両方の短辺の中央部付近が外側へ拡大した形状をなしている。この拡大した部分により、管体51Cの内面には、長手方向に沿って延びる溝515および516が第11図中の上下にそれぞれ形成されている。溝515、516の幅は、ガイドワイヤー2の線径よりも大きく、ガイドワイヤー2が溝515、516内に挿入可能になっている。なお、溝515、516の一方のみが形成された構成であってもよい。
このような構成により、管体51Cの中空部514の幅(内径)は、溝515、516がある方向(第11図中の上下方向)で最大になっており、それ以外の方向では、管体51Cの中空部514の幅(内径)はそれより小さくなる。
なお、前記第1実施形態と同様に、自然状態において本体部22またはその延長線から基端アングル部23の最も遠い部分までの距離dは、管体51Cの中空部514の最大幅(最大内径)以上とされる。
以上説明したような管体51C内に基端アングル部23があるときには、基端アングル部23の向きが管体51Cの中空部514の横断面の幅(内径)が最大となる方向(第11図中の上下方向)に揃った状態(第11図に示す状態)が力学的に安定な状態となる。よって、基端アングル部23が収納部5(管体51C)内を通過する間この状態が維持され、ガイドワイヤー2がその軸線回りに回転するのが防止されるので、ガイドワイヤー2を収納部5から送り出す間、先端アングル部21の向きを収納部5に対し所定の向きに維持することができる。したがって、本実施形態では、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本実施形態では、管体51Cが湾曲した形状に配設されていなくてもよく、直線的に配設されていてもよい。
以上、本発明のガイドワイヤー組立体を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
また、本発明のガイドワイヤー組立体の用途は、特に限定されず、例えば、中心静脈カテーテル等の各種カテーテルのガイドとなるガイドワイヤーの挿入に用いられる。
また、前記第1実施形態では、収納部5における管体51の湾曲方向が全長に渡り一定の略円環状のものであったが、本発明では、管体51の湾曲方向が長手方向の途中でS字状に切り替わるようにしてもよい。これにより、ガイドワイヤー2の収納部5からの送り出し量に応じて先端アングル部21の向きを自動的に変化させることができる。これを応用して、生体の血管の分岐態様に合わせて管体51の湾曲方向が長手方向に沿って変化するように構成しておけば、生体内へのガイドワイヤー2の挿入深さに応じて先端アングル部21の向きが進むべき血管の方向を自動的に選択するようにすることもできる。
また、前記第2〜第4実施形態のように管体51の中空部514の横断面形状を非円形とする場合には、その形状は前記第2〜第4実施形態で説明した形状に限らず、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形またはそれ以上の多角形および正多角形や、半円形(蒲鉾型)等とすることができる。
また、前記第2〜第4実施形態のように管体51の中空部514の横断面形状を非円形とする場合でも、管体51の外周(外壁面)の横断面形状を円形とすることができる。
本発明のガイドワイヤー組立体によれば、収納部からガイドワイヤーを送り出す間、収納部の向きに対するガイドワイヤーの先端アングル部の向きが所定の向きに維持されるので、術者は、ガイドワイヤーを生体内の目的部位へ挿入する間、先端アングル部の向きを収納部の向きによって正確に把握することができる。よって、術者は、先端アングル部の湾曲を利用して、血管の分岐部において進むべき分岐血管を容易かつ確実に選択して挿入することができる。したがって、産業上の利用可能性を有する。

Claims (2)

  1. 本体部と、前記本体部の先端側に形成され、自然状態で湾曲した部分を有する先端アングル部と、前記本体部の基端側に形成され、自然状態で前記本体部に対し一方向に屈曲または湾曲した基端アングル部とを有するガイドワイヤーと、
    そのほぼ全長に渡り略円環状に巻かれた状態で配置された管体を有し、該管体の中空部に前記ガイドワイヤーを収納する収納部とを備え、
    前記ガイドワイヤーは、自然状態において前記本体部またはその延長線から前記基端アングル部の最も遠い部分までの距離が前記管体の最大内径より大きく、
    前記基端アングル部は、その曲がった方向が前記管体の湾曲方向に揃うように前記管体内に収納された収納状態では、該管体の管壁によって広げられて付勢され、その際、自身の弾性により元の形状に戻ろうとする復元力が生じて、前記管体の管壁に密着し前記収納状態が維持されるように構成されており、
    かつ、前記収納部の出口から前記ガイドワイヤーを送り出すのに伴って前記管体内を通過する間、前記復元力により前記管体の管壁に密着して、前記曲がった方向が前記管体の湾曲方向に揃った状態で維持され、これにより、前記先端アングル部の向きが前記収納部に対し所定の向きに維持されることを特徴とするガイドワイヤー組立体。
  2. 前記ガイドワイヤーは、前記管体の湾曲内側の管壁の曲率半径をR1とし、前記管体の湾曲外側の管壁の曲率半径をR2(R1<R2)としたとき、その一部を真直状態とした真直部分に荷重をかけて曲率半径が前記R1より小さくなるまで湾曲させた後に、前記荷重を解放したとき、前記真直部分の曲率半径が前記R2以上に戻るような復元性を有する請求項1に記載のガイドワイヤー組立体。
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