[第1の実施の形態]
先ず最初に図1を参照しながら、この発明の第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法について説明する。
この実施の形態の製造方法では、図1の(A)中に示されている如く、少なくとも球形状の一部により構成されていて弾性表面波が励起及び伝搬可能な円環領域10aを表面に有する基体10が準備される(基体準備工程)。
なおここで、本願の発明者は弾性表面波として、基体10の表面に沿いエネルギーを集中して伝搬する弾性波の全てを考えている。このような弾性波としては、基体10の材料に多少エネルギーを漏洩しながらも伝搬するセザワ波や、SH波や、基体10の表面に弾性表面波が励起及び伝搬可能な材料の膜が設けられている場合のみ伝搬可能なラブ波や、回廊波を例示することが出来る。さらには、基体10の表面が固体媒質により覆われている場合に励起され伝搬する境界波も上記弾性波に含まれると考えている。
図1の(A)中では基体10は球形状の外表面を有している。この実施の形態では、基体10の全体が圧電性を有した結晶材料により形成されていて、この場合には上記結晶材料の結晶軸方向により、基体10の外表面に後述する弾性表面波励起手段により弾性表面波を励起させ伝搬させることが可能な弾性表面波周回伝搬経路としての円環領域10aの延出方向が規定される。
このことは、基体10の外表面において後述する弾性表面波励起手段が弾性表面波を励起し伝搬させなければならない方向が上記結晶材料の結晶軸方向により規定されることを意味しており、さらには基体10の外表面の円環領域10aに後述する弾性表面波励起手段を形成する為に使用される後述する弾性表面波励起手段形成用パターンが上記結晶材料の結晶軸方向により規定されることをも意味している。
このような結晶材料としては、例えば水晶やLiNbO3やLiTaO3等が良く知られている。このように規定される円環領域10aの延出方向は、基体10の外表面における円環領域10a以外の場所又は基体10の内部に公知の方法で所望の印をつけることにより、基体10の外部から容易に認識することが出来る。
基体10はまた、圧電性を有さない材料により形成され少なくとも球形状の一部により構成されている円環領域を表面に有する基材と、この基材の表面の円環領域に付着された圧電性材料の膜と、の組み合わせにより構成することも出来る。このように構成された基体10では、その外表面の少なくとも球形状の一部により構成されている所望の任意の円環領域を弾性表面波が励起及び伝搬可能な円環領域10aとして規定することが出来る。
この実施の形態の製造方法ではまた、図1の(B)乃至(E)中に示されているように、基体10の円環領域10aに弾性表面波を励起させる為の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が所定の位置に載置されている表面14aを有した版14が準備される(版準備工程)。なおここで準備される版14は、印刷の分野でいう平版に相当する。
版14は例えばエラストマーのような弾性材料により構成されている。そして版14は以下のようにして準備される。最初に、図1の(B)中に示されているように、所定の表面16aに弾性表面波を励起させる為の弾性表面波励起手段を形成する為の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12に対応した凸状の画線部16bが形成されている原版16が準備される。次に、図1の(C)中に示されているように、この原版16の凸状の画線部16bの頂面が、弾性表面波励起材料支持体18の支持表面18aに均一に付着されている弾性表面波励起材料20に押圧されて、上記頂面に弾性表面波励起材料20が均一に付着される。弾性表面波励起材料20は、0.2μ以下の粒径を有した圧電性の金属粒子を含む印刷用インクである。次に、原版16の凸状の画線部16bの頂面に均一に付着されている弾性表面波励起材料20が、図1の(D)中に示されているように、版14の所定の表面14aの所定の位置に対して押圧される。この結果として、所定の表面14aの所定の位置に弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が載置されている版14が準備される。
次に、図1の(E)中に示されているように、上述した基体準備工程において準備された基体10の外表面における円環領域10aの両外側が位置決め手段の一種である基体保持位置決め部材22a,22bにより保持され位置決めされる。そして、このように保持され位置決めされた基体10の外表面の円環領域10aに対し、版14の所定の表面14aの所定の位置に載置されている弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励手段形成用パターン12を対向させる。
次に、上述した基体準備工程において準備された基体10の円環領域10aに対し、上述した版準備工程により準備された版14の所定の表面14a上に載置されている弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が、図1の(F)中に示されている如く、押圧されて接触される。この時に、版14の所定の表面14aは基体10の外表面の円環領域10aの形状に従って弾性変形し、所定の表面14a上に載置されている所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12を基体10の外表面の円環領域10aに転写させる(転写工程)。このようにして基体10の外表面の円環領域10aに転写された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が、弾性表面波励起手段を構成する。
この時、上記転写を確実に実行させる為には、基体10の外表面の円環領域10aの形状に従って弾性変形した版14の所定の表面14a(即ち、所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が載置されている部分)は、円環領域10aの曲率半径に対し1%乃至20%の範囲内で大きな曲率半径を有する凹面となることが好ましい。
次にこの実施の形態では、図1の(G)中に示されている如く、基体10の外表面の円環領域10aから版14が遠ざけられた後に、基体10は外表面の円環領域10aに転写され載置されている弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段に何物も接触しないよう図示しない所定の乾燥場所に移動されて、所定の時間、所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が乾燥するのを待たれる。この乾燥工程は、被転写材である弾性表面波励起材料20が紫外線硬化性や熱硬化性を有している場合には、弾性表面波励起材料20に紫外線や熱を照射することにより弾性表面波励起材料20を硬化させる工程に替えられる。
そして最後に、図1の(H)中に示されている如く、基体10の外表面における円環領域10aの両外側を保持し位置決めしていた基体保持位置決め部材22a,22bが上記外表面から分離される。なおこの分離前か後に、基体10の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段を外力の適用による損傷から保護する為に、弾性表面波励起材料20の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段に対し、弾性表面波励起手段の本来の機能である円環領域10aに対する弾性表面波励起能力を損なわない限り、公知の保護膜を重複させることが出来る。
或いは、外力の適用を受ける可能性をより少なくする為に、基体10の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が基体10の外表面の円環領域10a上から突出している厚さを減少させる加工を行うことも出来る。この厚さ減少加工後に、上述した如く保護膜を重複させても良い。
或いは、このようにして製造された球状弾性表面波素子が使用されるまでの間、例えば輸送の間に適用される外力から球状弾性表面波素子の外表面が損傷を受けるのを防止する為の保護膜を上記外表面に重複させることも出来る。
或いは、円環領域10aに、所定のガスと反応することにより円環領域10aにおける弾性表面波の伝搬に影響する反応膜を、保護膜として重複させることが出来る。
これによって第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法による球状弾性表面波素子の製造が終了する。
図1の(H)中に示されているように、この実施の形態において、弾性表面波励起材料20の弾性表面波励起手段形成用パターン12は、いわゆるすだれ形状である。この場合、弾性表面波励起材料20のすだれ形状の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段に高周波電流を流すことにより弾性表面波励起手段は円環領域10aに弾性表面波を励起させることが出来る。このようにして円環領域10aに励起された弾性表面波を円環領域10aに沿い出来る限り効率良く伝搬させ長く周回させるには、円環領域10aの延出方向に対し基体10の外表面に沿い交差する方向に延出したすだれ形状の弾性表面波励起手段形成用パターン12における複数の端部線要素が、円環領域10aの延出方向に対し基体10の外表面に沿い直交する方向に対し+・−20°の範囲内にあることが重要である。さらに、基体10の表面の円環領域10aの曲率半径が3mm以下の場合には、すだれ形状の弾性表面波励起手段形成用パターン12の複数の端部線要素間の間隔(即ち、弾性表面波励起材料20のすだれ形状の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段により円環領域10aに励起される弾性表面波の波長)が上記曲率半径の5分の1以下であることが好ましい。上記曲率半径に対する上記間隔の関係が上記の値よりも大きいと、基体10の表面を伝搬する間に、弾性表面波が円環領域10aの外方へと広がり、基体10の表面において円環領域10aの両外側を保持している基体保持位置決め部材22a、22bや上記両外側に何物かが配置されていればその何物かに弾性表面波が衝突し、弾性表面波は劣化することなく円環領域10aに沿い伝搬することが出来なくなる。
なお図1の(A)乃至(H)を参照しながら前述した第1の実施の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法においては、基体10の表面の円環領域10aに載置される弾性表面波励起材料20の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成される弾性表面波励起手段の為の外部接続端子を基体10の外表面に載置する工程をさらに備えることが出来る。この工程は、図1の(E)乃至(G)中に示されている基体10の外表面の円環領域10aへの版14からの弾性表面波励起手段形成用パターン12の転写工程と同時に、又は前後に、上記転写工程とは独立して行なうことが出来る。
この実施の形態では、基体10の外表面における円環領域10aの両外側を保持し位置決めする為の基体保持位置決め部材22a,22bが外部接続端子の為の版24a,24bを移動自在に支持している。版24a,24bは、基体保持位置決め部材22a,22bが基体10の外表面における円環領域10aの両外側を保持した時に、上記外表面における円環領域10aの両側縁に対する内側隣接部位乃至外側に渡る部分に対向した所定の表面を有しており、この所定の表面上に外部接続端子形成用パターン26が載置されている。版24a,24bの所定の表面に対する外部接続端子形成用パターン26の載置は、基体保持位置決め部材22a,22bが基体10の外表面における円環領域10aの両外側を保持し位置決めする以前に、版14の所定の表面14aに対する弾性表面波励起手段形成用パターン12の載置と同様に行なうことが出来るし、外部接続端子形成用パターン26は弾性表面波励起手段形成用パターン12の為の弾性表面波励起材料20と同じ材料により構成することが出来る。
そして、図1の(G)中に示されているように、基体10の外表面の円環領域10aへの版14からの弾性表面波励起手段形成用パターン12の転写が終了し版14が円環領域14aから離れた後に、弾性表面波励起手段形成用パターン12において前述した複数の端部線要素を除き円環領域10aの両側縁の内側近傍部位に位置している部分に重複する位置から基体10の外表面における円環領域10aの両外側に渡り外部接続端子の為の版24a,24bの所定の表面を接触させるよう外部接続端子の為の版24a,24bを移動させ、版24a,24bの上記所定の表面上の外部接続端子形成用パターン26を基体10の外表面に転写する。外部接続端子形成用パターン26は前述した如く弾性表面波励起手段形成用パターン12の為の弾性表面波励起材料20と同じ材料により構成することが出来るので、基体10の外表面にこのように転写された外部接続端子形成用パターン26は、基体10の外表面の円環領域10aに載置されている弾性表面波励起材料20の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段の為の、外部接続端子を構成する。
この転写を十分良好に確実に行なう為に、外部接続端子の為の版24a,24bは、弾性表面波励起手段形成用パターン12の為の版14と同様に例えばエラストマーの如き弾性材料により構成されていて、基体10の外表面に上述した如く所定の表面を接触させた時に、基体10の外表面に従い弾性変形することが好ましい。
基体10の外表面の円環領域10aへの版14からの弾性表面波励起手段形成用パターン12の転写が終了し、さらに基体10の外表面への外部接続端子形成用パターン26の上述した如き転写も終了した後の基体10は、上記外表面の円環領域10aに転写され載置されている弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12及び上記外表面に上述した如く転写され載置されている所定の外部接続端子形成用パターン26に何物も接触しないよう図示しない所定の乾燥場所に移動されて、所定の時間、所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12及び所定の外部接続端子形成用パターン26が乾燥するのを待たれる。この乾燥工程は、被転写材である弾性表面波励起材料20が紫外線硬化性や熱硬化性を有している場合には、弾性表面波励起材料20に紫外線や熱を照射することにより弾性表面波励起材料20を硬化させる工程に替えられる。
そして最後に、図1の(H)中に示されている如く、基体10の外表面における円環領域10aの両外側を保持し位置決めしていた基体保持位置決め部材22a,22bが上記外表面から分離される。なおこの分離前か後に、基体10の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段を外力の適用による損傷から保護する為に、弾性表面波励起手段の本来の機能である円環領域10aに対する弾性表面波励起能力を損なわない限り、弾性表面波励起手段に公知の方法により公知の保護膜を重複させることが出来る。
或いは、外力の適用を受ける可能性をより少なくする為に、基体10の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が基体10の外表面の円環領域10a上から突出している厚さを減少させる加工を行うことも出来る。この厚さ減少加工後に、上述した如く保護膜を重複させても良い。
或いは、このようにして製造された球状弾性表面波素子が使用されるまでの間、例えば輸送の間に適用される外力から球状弾性表面波素子の外表面が損傷を受けるのを防止する為の保護膜を上記外表面に重複させることも出来る。
或いは、円環領域10aに、所定のガスと反応することにより円環領域10aにおける弾性表面波の伝搬に影響する反応膜を、保護膜として重複させることが出来る。
これによって、外部接続端子製造工程をさらに備えた第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法による球状弾性表面波素子の製造が終了する。
[第2の実施の形態]
次に図2を参照しながら、この発明の第2の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法について説明する。
なおこの実施の形態においては、図1を参照しながら前述した、この発明の第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用したのと同じ種々の部材を使用する。従って、第2の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用する第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用したのと同じ種々の部材には、第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法に関する上述した説明においてこれら種々の部材に付されていたのと同じ参照符号を付し、これら種々の部材についての詳細な説明は省略する。
この実施の形態の製造方法でも、図2の(A)中に示されている如く、少なくとも球形状の一部により構成されていて弾性表面波が励起及び伝搬可能な円環領域10aを表面に有する基体10が準備される(基体準備工程)。
この実施の形態の製造方法ではまた、図2の(B)乃至(D)中に示されているように、基体10の円環領域10aに弾性表面波を励起させる為の弾性表面波励起手段を形成する為の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が所定の位置に載置されている所定の表面30aを有した版30が準備される(版準備工程)。なおここで準備される版30は、印刷の分野でいう凸版に相当する。
版30は例えばエラストマーのような弾性材料により構成されている。そして版30は以下のようにして準備される。図2の(B)中に示されているように、版30の所定の表面30aには弾性表面波を励起させる為の弾性表面波励起手段を形成する為の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12に対応した凸状の画線部30bが形成されている。次に、図2の(C)中に示されているように、版30の凸状の画線部30bの頂面が、弾性表面波励起材料支持体18の支持表面18aに均一に付着されている弾性表面波励起材料20に押圧されて、上記頂面に弾性表面波励起材料20が均一に付着される。この結果として、所定の表面30aの所定の位置に弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が載置されている版30が準備される。
次に、図2の(D)中に示されているように、上述した基体準備工程において準備された基体10の外表面における円環領域10aの両外側が基体保持位置決め部材22a,22bにより保持され位置決めされる。そして、このように保持され位置決めされた基体10の外表面の円環領域10aに対し、版30の所定の表面30aの所定の位置に載置されている弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12を対向させる。
次に、上述した基体準備工程において準備された基体10の円環領域10aに、上述した版準備工程により準備された版30の所定の表面30a上に載置されている弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が、図2の(E)中に示されている如く、押圧されて接触される。この時に、版30の所定の表面30aは基体10の外表面の円環領域10aの形状に従って弾性変形し、所定の表面30a上に載置されている弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12を基体10の外表面の円環領域10aに転写させる(転写工程)。このようにして基体10の外表面の円環領域10aに転写された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が、弾性表面波励起手段を構成する。
この時、上記転写を確実に実行させる為に、基体10の外表面の円環領域10aの形状に従って弾性変形した版30の所定の表面30a(即ち、弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が載置されている部分)は、円環領域10aの曲率半径に対し1%乃至20%の範囲内で大きな曲率半径を有する凹面となることが好ましい。
次にこの実施の形態では、図2の(F)中に示されている如く、基体10の外表面の円環領域10aから版30が遠ざけられた後に、基体10は外表面の円環領域10aに転写され載置されている弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段に何物も接触しないよう図示しない所定の乾燥場所に移動されて、所定の時間、弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が乾燥するのを待たれる。この乾燥工程は、被転写材である弾性表面波励起材料20が紫外線硬化性や熱硬化性を有している場合には、弾性表面波励起材料20に紫外線や熱を照射することにより弾性表面波励起材料20を硬化させる工程に替えられる。
そして最後に、図2の(G)中に示されている如く、基体10の外表面における円環領域10aの両外側を保持し位置決めしていた基体保持位置決め部材22a,22bが上記外表面から分離される。なおこの分離前か後に、基体10の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段を外力の適用による損傷から保護する為に、弾性表面波励起手段の本来の機能である円環領域10aに対する弾性表面波励起能力を損なわない限り、弾性表面波励起手段に公知の方法で公知の保護膜を重複させることが出来る。
或いは、外力の適用を受ける可能性をより少なくする為に、基体10の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が基体10の外表面の円環領域10a上から突出している厚さを減少させる加工を行うことも出来る。この厚さ減少加工後に、上述した如く保護膜を重複させても良い。
或いは、このようにして製造された球状弾性表面波素子が使用されるまでの間、例えば輸送の間に適用される外力から球状弾性表面波素子の外表面が損傷を受けるのを防止する為の保護膜を上記外表面に重複させることも出来る。
或いは、円環領域10aに、所定のガスと反応することにより円環領域10aにおける弾性表面波の伝搬に影響する反応膜を、保護膜として重複させることが出来る。
これによって第2の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法による球状弾性表面波素子の製造が終了する。
ここに示されている、弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が外表面の円環領域10a上に転写されて載置されている基体10は、図1の(H)中に示されていて図1を参照しながら前述したこの発明の第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法により製造された、弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が外表面の円環領域10a上に転写されて載置されている基体10と同一である。
なお図2の(A)乃至(G)を参照しながら前述した第2の実施の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法においても、図1の(A)乃至(H)を参照しながら前述した第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法の場合と同様に、基体10の表面の円環領域10aに載置される弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段の為の外部接続端子を基体10の外表面に載置する工程をさらに備えることが出来る。この工程は、図2の(D)乃至(F)中に示されている基体10の外表面の円環領域10aへの版30からの弾性表面波励起手段形成用パターン12の転写工程と同時に、又は前後に、上記転写工程とは独立して行なうことが出来る。
図2の(G)には、このようにして基体10の外表面に転写され載置された外部接続端子形成用パターン26により構成された外部接続端子もまた示されている。
[第3の実施の形態]
次に図3を参照しながら、この発明の第3の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法について説明する。
なおこの実施の形態においては、図1を参照しながら前述した、この発明の第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用したのと同じ種々の部材を使用する。従って、第3の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用する第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用したのと同じ種々の部材には、第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法に関する上述した説明においてこれら種々の部材に付されていたのと同じ参照符号を付し、これら種々の部材についての詳細な説明は省略する。
この実施の形態の製造方法でも、図3の(A)中に示されている如く、少なくとも球形状の一部により構成されていて弾性表面波が励起及び伝搬可能な円環領域10aを表面に有する基体10が準備される(基体準備工程)。
この実施の形態の製造方法ではまた、図3の(B)乃至(D)中に示されているように、基体10の円環領域10aに弾性表面波を励起させる為の弾性表面波励起手段を形成する為の弾性表面波励起手段形成用パターン12が所定の位置に載置されている所定の表面32aを有した版32が準備される(版準備工程)。なおここで準備される版32は、印刷の分野でいう凹版に相当する。
版32は例えばエラストマーのような弾性材料により構成されている。そして版32は以下のようにして準備される。図3の(B)中に示されているように、版32の所定の表面32aには弾性表面波を励起させる為の弾性表面波励起手段を形成する為の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12に対応した凹状の画線部32bが形成されている。次に、図3の(C)中に示されているように、版32の所定の表面32aに弾性表面波励起材料20が供給される。供給された弾性表面波励起材料20は、ドクターブレード34により所定の表面32a上で拭われて、凹状の画線部32b中に隙間無く満たされるとともに凹状の画線部32b中に満たされ無かった余分な弾性表面波励起材料20は所定の表面32a上から取り除かれる。この結果として、所定の表面32aの所定の位置に弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が載置されている版32が準備される。
次に、図3の(D)中に示されているように、上述した基体準備工程において準備された基体10の外表面における円環領域10aの両外側が基体保持位置決め部材22a,22bにより保持され位置決めされる。そして、このように保持され位置決めされた基体10の外表面の円環領域10aに対し、版32の所定の表面32aの所定の位置に載置されている弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12を対向させる。
次に、上述した基体準備工程において準備された基体10の円環領域10aに、上述した版準備工程により準備された版32の所定の表面32a上に載置されている弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が、図3の(E)中に示されている如く、押圧されて接触される。この時に、版32の所定の表面32aは基体10の外表面の円環領域10aの形状に従って弾性変形し、所定の表面32a上に載置されている弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12を基体10の外表面の円環領域10aに転写させる(転写工程)。このようにして基体10の外表面の円環領域10aに転写された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が、弾性表面波励起手段を構成する。
この時、上記転写を確実に実行させる為に、基体10の外表面の円環領域10aの形状に従って弾性変形した版32の所定の表面32a(即ち、弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が載置されている部分)は、円環領域10aの曲率半径に対し1%乃至20%の範囲内で大きな曲率半径を有する凹面となることが好ましい。
次にこの実施の形態では、図3の(F)中に示されている如く、基体10の外表面の円環領域10aから版32が遠ざけられた後に、基体10は外表面の円環領域10aに転写され載置されている弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段に何物も接触しないよう図示しない所定の乾燥場所に移動されて、所定の時間、弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が乾燥するのを待たれる。この乾燥工程は、被転写材である弾性表面波励起材料20が紫外線硬化性や熱硬化性を有している場合には、弾性表面波励起材料20に紫外線や熱を照射することにより弾性表面波励起材料20を硬化させる工程に替えられる。
そして最後に、図3の(G)中に示されている如く、基体10の外表面における円環領域10aの両外側を保持し位置決めしていた基体保持位置決め部材22a,22bが上記外表面から分離される。なおこの分離前か後に、基体10の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段を外力の適用による損傷から保護する為に、弾性表面波励起手段の本来の機能である円環領域10aに対する弾性表面波励起能力を損なわない限り、弾性表面波励起手段に公知の方法で公知の保護膜を重複させることが出来る。
或いは、外力の適用を受ける可能性をより少なくする為に、基体10の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が基体10の外表面の円環領域10a上から突出している厚さを減少させる加工を行うことも出来る。この厚さ減少加工後に、上述した如く保護膜を重複させても良い。
或いは、このようにして製造された球状弾性表面波素子が使用されるまでの間、例えば輸送の間に適用される外力から球状弾性表面波素子の外表面が損傷を受けるのを防止する為の保護膜を上記外表面に重複させることも出来る。
或いは、円環領域10aに、所定のガスと反応することにより円環領域10aにおける弾性表面波の伝搬に影響する反応膜を、保護膜として重複させることが出来る。
これによって第3の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法による球状弾性表面波素子の製造が終了する。
ここに示されている、弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が外表面の円環領域10a上に転写されて載置されている基体10は、図1の(H)中に示されていて図1を参照しながら前述したこの発明の第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法により製造された、弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が外表面の円環領域10a上に転写されて載置されている基体10と同一である。
なお図3の(A)乃至(G)を参照しながら前述した第3の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法においても、図1の(A)乃至(H)を参照しながら前述した第1の実施の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法の場合と同様に、基体10の表面の円環領域10aに載置される弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段の為の外部接続端子を基体10の外表面に載置する工程をさらに備えることが出来る。この工程は、図3の(D)乃至(F)中に示されている基体10の外表面の円環領域10aへの版32からの弾性表面波励起手段形成用パターン12の転写工程と同時に、又は前後に、上記転写工程とは独立して行なうことが出来る。
図3の(G)には、このようにして基体10の外表面に転写され載置された外部接続端子形成用パターン26により構成されている外部接続端子もまた示されている。
[第4の実施の形態]
次に図4を参照しながら、この発明の第4の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法について説明する。
なおこの実施の形態においては、図1を参照しながら前述した、この発明の第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用したのと同じ種々の部材を使用する。従って、第4の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用する第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用したのと同じ種々の部材には、第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法に関する上述した説明においてこれら種々の部材に付されていたのと同じ参照符号を付し、これら種々の部材についての詳細な説明は省略する。
この実施の形態の製造方法でも、図4の(A)中に示されている如く、少なくとも球形状の一部により構成されていて弾性表面波が励起及び伝搬可能な円環領域10aを表面に有する基体10が準備される(基体準備工程)。
この実施の形態の製造方法ではまた、図4の(B)及び(C)中に示されているように、基体10の円環領域10aに弾性表面波を励起させる為の弾性表面波励起手段を形成する為の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が所定の位置に載置されている所定の表面を有した版36が準備される(版準備工程)。
より詳細には、この実施の形態において使用される版36は、柔軟性を有する転写媒体の一種であるいわゆる転写シートである。転写シートである版36は、紙又は高分子フィルムにより構成されている基材フィルム36aと、基材フィルム36aの一面に付着された光熱変換層36bと、光熱変換層36bにおいて基材フィルム36aとは反対側に位置する一面に付着された受熱剥離層36cと、受熱剥離層36cにおいて光熱変換層36bとは反対側に位置する一面に付着された弾性表面波励起材料層36dと、を含んでいる。
弾性表面波励起材料層36dは、図1乃至図3を参照しながら前述した第1乃至第3の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用されていた弾性表面波励起材料20と同じ弾性表面波励起材料を含んでいる。
この版36は、レーザー光線発射手段35からのレーザー光線35aを基材フィルム36aの他面側から受け、レーザー光線35aを所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12に対応した形状に走査されることにより、剥離層36cを境に弾性表面波励起材料層36dが所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12に対応した形状で基材フィルム36aの一面の光熱変換層36bから分離可能な所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が載置された状態になる。
次に、図4の(C)中に示されているように、上述した基体準備工程において準備された基体10の外表面における円環領域10aの両外側が基体保持位置決め部材22a,22bにより保持され位置決めされる。そして、このように保持され位置決めされた基体10の外表面の円環領域10aに対し、版36の弾性表面波励起材料層36dを押し当てる。この時に版36は、基体10の外表面の円環領域10aの形状に従って弾性変形し、弾性表面波励起材料層36dを基体10の外表面の円環領域10aに対し密着させる。
基体10の外表面の円環領域10aの形状に従って弾性変形した版36は、円環領域10aの曲率半径に対し1%乃至20%の範囲内で大きな曲率半径を有する凹面となることが好ましい。
この後に版36は上述した如く弾性変形した部分(即ち、基体10の外表面の円環領域10aに対し密着した部分)が、レーザー光線発射手段35からのレーザー光線35aを基材フィルム36aの他面側から受け、レーザー光線35aを所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12に対応した形状に走査され、その結果として剥離層36cを境に所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12に対応した形状で弾性表面波励起材料層36dが基材フィルム36aの一面の光熱変換層36bから分離可能な所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が載置された状態になり、最終的には所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12に対応した形状の弾性表面波励起材料層36dの部分が所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12として基体10の外表面の円環領域10aに転写される(転写工程)。このようにして基体10の外表面の円環領域10aに転写された弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が、弾性表面波励起手段を構成する。
次にこの実施の形態では、基体10の外表面の円環領域10aから版36が遠ざけられた後に、基体10は外表面の円環領域10aに転写され載置されている弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段に何物も接触しないよう図示しない所定の乾燥場所に移動される。
そして最後に、図4の(D)中に示されている如く、基体10の外表面における円環領域10aの両外側を保持し位置決めしていた基体保持位置決め部材22a,22bが上記外表面から分離される。なおこの分離前か後に、基体10の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段を外力の適用による損傷から保護する為に、弾性表面波励起手段の本来の機能である円環領域10aに対する弾性表面波励起能力を損なわない限り、弾性表面波励起手段に公知の方法で公知の保護膜を重複させることが出来る。
或いは、このようにして製造された球状弾性表面波素子が使用されるまでの間、例えば輸送の間に適用される外力から球状弾性表面波素子の外表面が損傷を受けるのを防止する為の保護膜を上記外表面に重複させることも出来る。
或いは、円環領域10aに、所定のガスと反応することにより円環領域10aにおける弾性表面波の伝搬に影響する反応膜を、保護膜として重複させることが出来る。
これによって第4の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法による球状弾性表面波素子の製造が終了する。
ここに示されている、弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が外表面の円環領域10a上に転写されて載置されている基体10は、図1の(H)中に示されていて図1を参照しながら前述したこの発明の第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法により製造された、弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が外表面の円環領域10a上に転写されて載置されている基体10と同一である。
なお図4の(A)乃至(D)を参照しながら前述した第4の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法においても、図1の(A)乃至(H)を参照しながら前述した第1の実施の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法の場合と同様に、基体10の表面の円環領域10aに載置される弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段の為の外部接続端子を基体10の外表面に載置する工程をさらに備えることが出来る。この工程は、図4の(C)中に示されている基体10の外表面の円環領域10aへの版36からの弾性表面波励起材料の弾性表面波励起手段形成用パターン12の転写工程と同時に、又は前後に、上記転写工程とは独立して行なうことが出来る。
この実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法においては、基体10の外表面の円環領域10aに弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12を転写し載置するのに使用される版36と同様な柔軟性を有する転写媒体の一種であるいわゆる転写シートを使用して、基体10の外表面に弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段の為の外部接続端子を載置することが出来る。
図4の(D)には、このようにして基体10の外表面に転写され載置された外部接続端子形成用パターン26により構成されている外部接続端子もまた示されている。
[第5の実施の形態]
次に、この発明の第5の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法について図5を参照しながら説明する。
なおこの実施の形態においては、図1を参照しながら前述した、この発明の第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用したのと同じ種々の部材を使用する。従って、第5の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用する第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用したのと同じ種々の部材には、第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法に関する上述した説明においてこれら種々の部材に付されていたのと同じ参照符号を付し、これら種々の部材についての詳細な説明は省略する。
この実施の形態の製造方法でも、図5の(A)中に示されている如く、少なくとも球形状の一部により構成されていて弾性表面波が励起及び伝搬可能な円環領域10aを表面に有する基体10’が準備される。この基体10’は、図1乃至図4を参照しながら前述した第1乃至第4の実施の形態において使用されていた基体10と同じ材料により同様にして準備される。とはいうものの、この実施の形態で使用される基体10’は、円環領域10aの両外側で相互に平行に切り欠かれた1対の平坦側面部10bを有した所謂ビヤ樽形状をしていることのみが前述した基体10と異なっている(基体準備工程)。
この実施の形態の製造方法ではまた、図5の(B)中に示されているように、基体10’の円環領域10aに弾性表面波を励起させる為の弾性表面波励起手段を形成する為の所定の弾性表面波励起手段形成パターン12が所定の位置に載置されている所定の表面40aを有した版40が準備される(版準備工程)。なおここで準備される版40は、図1乃至図4を参照しながら前述した第1乃至第4の実施の形態において使用されていた平版による版14,凸版による版30,凹版による版32,そして転写シートによる版36のいずれか1つにより構成されている。従って、この実施の形態の製造方法で使用される所定の弾性表面波励起手段形成パターン12もまた、図1乃至図4を参照しながら前述した第1乃至第4の実施の形態において所定の弾性表面波励起手段形成パターン12を構成していた弾性表面波励起材料20と同じ弾性表面波励起材料により構成されている。
次に、図5の(A)中に示されているように、上述した基体準備工程において準備された基体10’の外表面における円環領域10aの両外側の1対の平坦側面部10bが基体保持位置決め手段を構成している基体保持位置決め部材42a,42bにより保持され位置決めされる。そして、このように保持され位置決めされた基体10の外表面の円環領域10aに対し、版40の所定の表面40aの所定の位置に載置されている弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12を対向させる。
次に、上述した基体準備工程において準備された基体10’の円環領域10aに、上述した版準備工程により準備された版40の所定の表面40a上に載置されている弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が、図5の(B)中に示されている如く、押圧されて接触される。この時に、版40の所定の表面40aは基体10’の外表面の円環領域10aの形状に従って弾性変形し、所定の表面40a上に載置されている弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12を基体10’の外表面の円環領域10aに転写させる(転写工程)。このようにして基体10’の外表面の円環領域10aに転写された弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が、弾性表面波励起手段を構成する。
この時、上記転写を確実に実行させる為に、基体10’の外表面の円環領域10aの形状に従って弾性変形した版40の所定の表面40a(即ち、弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が載置されている部分)は、円環領域10aの曲率半径に対し1%乃至20%の範囲内で大きな曲率半径を有する凹面となることが好ましい。
次にこの実施の形態では、基体10’の外表面の円環領域10aから版40が遠ざけられた後に、基体10’は外表面の円環領域10aに転写され載置されている弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段に何物も接触しないよう図示しない所定の乾燥場所に移動されて、所定の時間、弾性表面波励起手段が乾燥するのを待たれる。この乾燥工程は、被転写材である弾性表面波励起材料が紫外線硬化性や熱硬化性を有している場合には、弾性表面波励起材料に紫外線や熱を照射することにより弾性表面波励起材料を硬化させる工程に替えられる。
そして最後に、基体10’の外表面における円環領域10aの両外側の1対の平坦側面部10bを保持し位置決めしていた基体保持位置決め部材42a,42bが上記外表面から分離される。なおこの分離前か後に、基体10’の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段を外力の適用による損傷から保護する為に、弾性表面波励起手段の本来の機能である円環領域10aに対する弾性表面波励起能力を損なわない限り、弾性表面波励起手段に公知の方法により公知の保護膜を重複させることが出来る。
或いは、外力の適用を受ける可能性をより少なくする為に、基体10’の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が基体10’の外表面の円環領域10a上から突出している厚さを減少させる加工を行うことも出来る。この厚さ減少加工後に、上述した如く保護膜を重複させても良い。
或いは、このようにして製造された球状弾性表面波素子が使用されるまでの間、例えば輸送の間に適用される外力から球状弾性表面波素子の外表面が損傷を受けるのを防止する為の保護膜を上記外表面に重複させることも出来る。
或いは、円環領域10aに、所定のガスと反応することにより円環領域10aにおける弾性表面波の伝搬に影響する反応膜を、保護膜として重複させることが出来る。
図5の(C)には、第5の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法により製造された球状弾性表面波素子が示されている。
ここに示されている、弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が外表面の円環領域10a上に転写されて載置されている基体10’は、円環領域10aの両外側で相互に平行に切り欠かれた1対の平坦側面部10bを有した所謂ビヤ樽形状をしていること以外は、図1の(H)中に示されていて図1を参照しながら前述したこの発明の第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法により製造された、弾性表面波励起材料20の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成された弾性表面波励起手段が外表面の円環領域10a上に転写されて載置されている基体10と同一である。
なお、この実施の形態において使用される基体10’の外表面が前述したようにいわゆるビヤ樽形状をしているので、基体10’の外表面における円環領域10aに対し版40により弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12を常に確実に容易に転写させ載置させる為に基体10’の外表面における円環領域10aを版40の所定の表面40aに対し相対的に常に所定の位置に固定する作業(相対的な位置合わせ固定作業)が、基体10’の外表面における円環領域10aの両外側の1対の平坦側面部10bを基体保持位置決め部材42a,42bにより保持することのみで、容易に素早く行なうことが可能になる。
より詳細には、基体10’の全体が圧電性を有した結晶材料により形成されているので、1対の平坦側面部10bを基体10’の結晶軸に対して所定の角度で交差するよう基体10’の外表面における円環領域10aの両外側に形成することが出来る。従って、基体10’を1対の平坦側面部10bにおいて基体保持位置決め部材42a,42bにより保持すれば、その状態で基体10’の外表面における円環領域10aに対し版40により弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12を常に確実に所望の方位に容易に転写させ載置することが出来る。円環領域10aに対し弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12を所定の方位に載置することは、所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により円環領域10aに励起させた弾性表面波を円環領域10aに沿い効率良く周回させることが出来ることを意味する。即ち、上記結晶材料では、上記結晶軸に対して所定の角度で交差している所定の結晶面が基体10’の外表面と交差する線に沿って弾性表面波が伝搬された時のみ弾性表面波が効率良く上記外表面に沿い繰り返し周回することが出来る。そして、円環領域10aは、上記交差する線に沿い規定される。
なお図5の(A)及び(B)を参照しながら前述した第5の実施の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法においても、図1の(A)乃至(H)を参照しながら前述した第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法の場合と同様に、基体10’の表面の円環領域10aに載置される弾性表面波励起材料の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成される弾性表面波励起手段の為の外部接続端子を基体10’の外表面に載置する工程をさらに備えることが出来る。この工程は、図5の(B)中に示されている基体10’の外表面の円環領域10aへの版40からの弾性表面波励起材料の弾性表面波励起手段形成用パターン12の転写工程と同時に、又は前後に、上記転写工程とは独立して行なうことが出来る。
この実施の形態では、基体保持位置決め部材42a,42bの夫々が、基体10’の外表面における円環領域10aの両外側の1対の平坦側面部10bを保持する部分の外側に例えばエラストマーのような弾性材料により形成された外部接続端子の為の版24a,24bを支持している。この外部接続端子の為の版24a,24bは、図1を参照した第1の実施の形態の外部接続端子の為の版24a,24bと同様に動作する。
さらに、基体保持位置決め部材42a,42bにおいて基体10’の外表面における円環領域10aの両外側の1対の平坦側面部10bを保持する部分も、外部接続端子の為の版24a,24bと協働する外部接続端子の為の版として使用することができる。
この場合には、図5の(A)中に示されている如く、基体保持位置決め部材42a,42bにおいて基体10’の外表面における円環領域10aの両外側の1対の平坦側面部10bを保持し、さらに図5の(B)中に示されている如く、外部接続端子の為の版24a,24bが基体10’の外表面において円環領域10aの両側縁又はその隣接部位から1対の平坦側面部10bまでの間に押圧されることにより、基体10’の外表面における円環領域10aの両側縁又はその隣接部位から1対の平坦側面部10bに渡り、図5の(C)中に示されている如く、外部接続端子形成用パターン26が転写され載置される。そしてこのように転写された外部接続端子形成用パターン26が、基体10’の外表面における円環領域10aに上述した如く転写された弾性表面波励起材料の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成された弾性表面波励起手段の為の外部接続端子を構成する。
なお、基体10’の外表面における円環領域10aの両側縁又はその隣接部位から1対の平坦側面部10bに渡り、図5の(C)中に示されている如く、外部接続端子形成用パターン26を転写し載置することは、図4を参照しながら前述したこの発明の第4の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12の為の版36として、また外部接続端子形成用パターン26のための版として、使用された転写シートを使用することによっても、可能である。
[第6の実施の形態]
次に図6を参照しながら、この発明の第6の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法について説明する。
この実施の形態の製造方法では、図6の(A)中に示されている如く、少なくとも球形状の一部により構成されていて弾性表面波が励起及び伝搬可能な円環領域50aを表面に有する基体50が準備される(基体準備工程)。
図6の(A)中では基体50は中空形状をしている。この実施の形態では、基体50の全体が圧電性を有した結晶材料により形成されていて、この場合には上記結晶材料の結晶軸方向により、基体50の中空の空洞の内表面に後述する弾性表面波励起手段により弾性表面波を励起させ伝搬させることが可能な弾性表面波周回伝搬経路としての円環領域50aの延出方向が規定される。
このことは、基体50の中空の空洞の内表面において後述する弾性表面波励起手段が弾性表面波を励起し伝搬させなければならない方向が上記結晶材料の結晶軸方向により規定されることを意味しており、さらには基体50の中空の空洞の内表面の円環領域50aに後述する弾性表面波励起手段を形成する為に使用される後述する弾性表面波励起手段形成用パターンが上記結晶材料の結晶軸方向により規定されることをも意味している。
上記空洞は、円環領域の両外側に外部空間と連通する為の外部空間連通孔50bを有している。上述した如き結晶材料としては、例えば水晶やLiNbO3やLiTaO3等が良く知られている。このように規定される円環領域50aの延出方向は、基体50の中空の空洞の内表面における円環領域50a以外の場所又は基体10の内部又は基体50の外表面に公知の方法で所望の印をつけることにより、基体50の外部から容易に認識することが出来る。
基体50はまた、圧電性を有さない材料により中空形状に形成され少なくとも球形状の一部により構成されている円環領域を内表面に有する基材と、この基材の内表面の円環領域に付着された圧電性材料の膜と、の組み合わせにより構成することも出来る。このように構成された基体50では、その内表面の少なくとも球形状の一部により構成されている所望の任意の円環領域を弾性表面波が励起及び伝搬可能な円環領域50aとして規定することが出来る。
基体50の外表面は任意の形状で良いが、常に同じ安定した姿勢を保つことが出来るような形状、例えば四角形状、であることが好ましい。しかしながら、配管の一部として使用する為に円筒を含む種々の筒形状であっても良い。
この実施の形態の製造方法ではまた、図6の(B)中に示されているように、基体50の内表面の円環領域50aに弾性表面波を励起させる為の弾性表面波励起手段を形成する為の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が所定の位置に載置されている表面52aを有した版52が準備される(版準備工程)。なおここで準備される版52は、図1乃至図4を参照しながら前述した第1乃至第4の実施の形態において使用されていた平版による版14,凸版による版30,凹版による版32,そして転写シートによる版36のいずれか1つにより構成されている。従って、所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12は、図1乃至図4を参照しながら前述した第1乃至第4の実施の形態において使用されていた所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12を構成していた弾性表面波励起材料20と同じ弾性表面波励起材料により構成されている。
版52は、外部空間から基体50の中空の空洞の内表面の円環領域50aに外部空間連通孔50bを介して到達する為の外部操作部材52bを含んでいる。
この実施の形態ではさらに、基体50の内表面の円環領域50aに載置される弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成される弾性表面波励起手段の為の外部接続用端子を基体52の中空の空洞の内表面に載置する為の版54a,54bも準備される。外部接続端子の為の版54a,54bは、基体50の中空の空洞の内表面において円環領域50aの両側縁近傍部位から外部空間連通孔50bの外端の開口にまで渡る部分に対応した形状の所定の表面を有しており、この所定の表面に外部接続端子形成用パターン26が載置されている。外部接続端子の為の版54a,54bは、少なくとも上記所定の表面が例えばエラストマーのような弾性を有した材料により構成されている。
次に、図6の(D)中に示されているように、上述した基体準備工程において準備された基体50の外表面が位置決め手段の一種である基体保持位置決め部材56a,56bにより保持され位置決めされる。そして、このように保持され位置決めされた基体50の中空の空洞中に外部空間連通孔50bを介して外部空間から外部接続端子の為の版54a,54bを挿入し、外部接続端子の為の版54a,54bの所定の表面に載置されている外部接続端子形成用パターン26を上記空洞の内表面において円環領域50aの両側縁近傍部位から外部空間連通孔50bの外端の開口にまで渡る部分に対応させ、そして押圧して外部接続端子の為の版54a,54bの所定の表面から上記空洞の内表面の上記部分へと外部接続端子形成用パターン26を転写し載置させ外部接続端子を構成させる。
次に、外部接続端子の為の版54a,54bが基体50の中空の空洞中から外部空間連通孔50bを介して外部空間へと離脱された後に、今度は、図6の(E)中に示されている如く、上述した如く保持され位置決めされている基体50の中空の空洞中に外部空間連通孔50bを介して外部空間から弾性表面波励起手段形成用パターン12の為の版52が挿入され、版52の所定の表面52aに載置されている弾性表面波励起手段形成用パターン12を上記空洞の内表面の円環領域50aに対応させ、そして押圧して版52の所定の表面52aから上記空洞の内表面の円環領域50aへと弾性表面波励起手段形成用パターン12を転写し載置させる(転写工程)。このようにして基体50の中空の空洞の内表面の円環領域50aに転写された弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が、弾性表面波励起手段を構成する。
基体50の中空の空洞の内表面の円環領域50aに転写された弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成された弾性表面波励起手段において円環領域50aの両側縁近傍部位に位置している基部が、前述した如く基体50の中空の空洞の内表面において円環領域50aの両側縁近傍部位から外部空間連通孔50bの外端の開口にまで渡る部分に既に転写されている外部接続端子形成用パターン26により構成されている外部接続端子に対し重複し相互に電気的に接続される。
この時、上記転写を確実に実行させる為には、基体50の中空の空洞の内表面の円環領域10aの形状に従って弾性表面波励起手段形成用パターン12の為の版52の所定の表面52a(即ち、弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が載置されている部分)が弾性変形するとともに、上記空洞の内表面において円環領域50aの両側縁近傍部位から外部空間連通孔50bの外端の開口にまで渡る部分の形状に従って外部接続端子形成用パターン26の為の版54の前述した所定の表面が弾性変形する。しかもこれらの弾性変形した弾性表面波励起手段形成用パターン12の為の版52の所定の表面52a及び外部接続端子形成用パターン26の為の版54の前述した所定の表面は、夫々が対応する上記空洞の内表面の円環領域50aの曲率半径及び上記空洞の内表面において円環領域50aの両側縁近傍部位から外部空間連通孔50bの外端の開口にまで渡る部分の曲率半径よりも1%乃至20%の範囲内で小さな曲率半径を有した凸面であることが好ましい。
次にこの実施の形態では、基体50の中空の空洞の内表面の円環領域50aから弾性表面波励起手段形成用パターン12の為の版52が遠ざけられ外部空間連通孔50bを介して外部空間へと離脱された後に、基体50は、図6の(F)中に示されているように内表面の円環領域50aに転写され載置されている弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段及び上記内表面において円環領域50aの両側縁近傍部位から外部空間連通孔50bの外端の開口にまで渡る部分に転写され載置されている外部接続端子形成用パターン26により構成されている外部接続端子に何物も接触しないよう図示しない所定の乾燥場所に移動されて、所定の時間、弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段及び外部接続端子形成用パターン26により構成されている外部接続端子が乾燥するのを待たれる。この乾燥工程は、被転写材である弾性表面波励起材料が紫外線硬化性や熱硬化性を有している場合には、弾性表面波励起材料に紫外線や熱を照射することにより弾性表面波励起材料を硬化させる工程に替えられる。
そして最後に、基体50の外表面を保持し位置決めしていた基体保持位置決め部材56a,56bが上記外表面から分離される。なおこの分離前か後に、図6の(F)中に示されている如く基体50の中空の空洞の内表面の円環領域50a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段を外力の適用による損傷から保護する為に、弾性表面波励起手段の本来の機能である円環領域50aに対する弾性表面波励起能力を損なわない限り、弾性表面波励起手段に公知の方法で公知の保護膜を重複させることが出来る。
或いは、外力の適用を受ける可能性をより少なくする為に、基体50の内表面の円環領域50a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が基体50の内表面の円環領域50a上から突出している厚さを減少させる加工を行うことも出来る。この厚さ減少加工後に、上述した如く保護膜を重複させても良い。
或いは、このようにして製造された球状弾性表面波素子が使用されるまでの間、例えば輸送の間に適用される外力から球状弾性表面波素子の内表面が損傷を受けるのを防止する為の保護膜を上記内表面に重複させることも出来る。
或いは、円環領域50aに、所定のガスと反応することにより円環領域50aにおける弾性表面波の伝搬に影響する反応膜を、保護膜として重複させることが出来る。
これによって第6の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法による球状弾性表面波素子の製造が終了する。
なお、上述した実施の形態では、基体50の中空の空洞の内表面の円環領域50aに対する弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12の転写による載置に先立って、上記内表面において円環領域50aの両側縁近傍部位から外部空間連通孔50bの外端の開口にまで渡る部分に対する外部接続端子形成用パターン26の転写よる載置が行なわれたが、これらの転写による載置はこれとは逆にまず最初に弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12の転写による載置が行なわれ、次に外部接続端子形成用パターン26の転写よる載置が行なわれても良い。
[第7の実施の形態]
次にこの発明の第7の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法を説明する。
この実施の形態では、図5を参照しながら前述した第5の実施の形態において使用されたいわゆるビヤ樽形状の外表面を有した基体10’が準備され使用される(基体準備工程)。
複数のビヤ樽形状の外表面を有した基体10’が、基体10’の1対の平坦側面部10b間の距離よりは大きく、且つ基体10’の外表面の円環領域10aの曲率半径の2倍よりは短い、好ましくは基体10’の1対の平坦側面部10b間の距離よりも僅かに大きい、幅で相互に離間した1対の側方ガイド60aと1対の側方ガイド60aの下端部を相互に連結する下方ガイド60bとを有した搬送路60中を下方ガイド60b上で1対の平坦側面部10bの中心を通過する中心線を回転中心線として回転しながら所定の方向に移動する。
搬送路60の所定の位置の上方には弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が所定の表面40aに載置されている版40が配置されており(版準備工程)、上記所定の位置の1対の側方ガイド60aの一方には切り欠き60cが形成されている。切り欠き60cには、他方の側方ガイド60aに対して接近又は離間する方向に進退自在な位置決め手段の一種である押圧保持位置決め部材62の先端部が配置されている。
押圧保持位置決め部材62は、搬送路60中を下方ガイド60b上で回転しながら所定の方向に向かい移動して来た基体10’が上記所定の位置に到達した時に他方の側方ガイド60aに接近するよう移動して上記所定の位置に到達した基体10’の1対の平坦側面部10bの一方を押圧して1対の平坦側面部10bの他方を他方の側方ガイド60a上に押し付ける。これによって、上記所定の位置に到達した基体10’は、図7中に示されている如く、1対の平坦側面部10bを押圧保持位置決め部材62の先端部及び他方の側方ガイド60aにより押圧保持され上記所定の位置に位置決めされて停止する。
次に、版40が下降して、上記所定の位置に停止している基体10’の円環領域10aに版40の所定の表面40aを押圧させて、所定の表面40aに載置されている弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12を基体10’の円環領域10aに転写し載置させる(転写工程)。このようにして基体10’の外表面の円環領域10aに転写された弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が、弾性表面波励起手段を構成する。
次に、版40が上昇して基体10’の円環領域10aから離れ、また押圧保持位置決め部材62も先端部を他方の側方ガイド60aから離れるよう移動させて押圧保持位置決め部材62の先端部及び他方の側方ガイド60aによる基体10’の1対の平坦側面部10bの押圧保持による位置決めを解除する。これによって、図7中に示されている如く上記所定の位置で円環領域10aに弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が載置された基体10’は、搬送路60中を下方ガイド60b上で回転しながら上記所定の位置から遠ざかるよう移動する。
この移動時に、基体10’の円環領域10a上に載置されている弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が搬送路60の下方ガイド60bの上表面に接触して損傷しないよう、下方ガイド60bは上記所定の位置よりも下流側が基体10’の円環領域10aに対応する中央部分を切り欠かれて残された2本のレール60b’により構成されている。
図7中に示されている如く搬送路60の上記所定の位置で円環領域10aに弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が載置された基体10’は、上記所定の位置から遠ざかるよう搬送路60中を下方ガイド60bの2本のレール60b’上で回転しながら移動する間に弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が乾燥される。この乾燥工程は、被転写材である弾性表面波励起材料が紫外線硬化性や熱硬化性を有している場合には、弾性表面波励起材料に紫外線や熱を照射することにより弾性表面波励起材料を硬化させる工程に替えられる。
そして、さらに搬送路60上で、または搬送路60からは独立した別の場所で、基体10’の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段を外力の適用による損傷から保護する為に、弾性表面波励起手段の本来の機能である円環領域10aに対する弾性表面波励起能力を損なわない限り、弾性表面波励起手段に公知の方法により公知の保護膜を重複させることが出来る。
或いは、外力の適用を受ける可能性をより少なくする為に、基体10’の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が基体10’の外表面の円環領域10a上から突出している厚さを減少させる加工を行うことも出来る。この厚さ減少加工後に、上述した如く保護膜を重複させても良い。
或いは、このようにして製造された球状弾性表面波素子が使用されるまでの間、例えば輸送の間に適用される外力から球状弾性表面波素子の外表面が損傷を受けるのを防止する為の保護膜を上記外表面に重複させることも出来る。
或いは、円環領域10aに、所定のガスと反応することにより円環領域10aにおける弾性表面波の伝搬に影響する反応膜を、保護膜として重複させることが出来る。
またさらに、搬送路60上で、または搬送路60からは独立した別の場所で、図1乃至図5を参照した第1乃至第5の実施の形態において外部接続端子形成用パターン26が基体10又は10’の外表面に載置されたのと同様にして、基体10’の外表面において円環領域10aの両側縁に隣接した部位から1対の平坦側面部10bに渡り外部接続端子形成用パターン26を転写させ載置させることも出来る。
上述したことから明らかなように、この実施の形態では、搬送路60中で版40の所定の表面40aに載置されている弾性表面波励起材料の弾性表面波励起手段形成用パターン12上を円環領域10aが通過するよう基体10’は版40に対し相対的に回転する。
[第8の実施の形態]
次にこの発明の第8の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法を説明する。
この実施の形態では、図7を参照しながら上述したこの発明の第7の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用した搬送路60と非常に類似した搬送路60’を使用する。この搬送路60’が第7の実施の形態の搬送路60と異なっているのは、上記所定の位置において搬送路60’の1対の側方ガイド60aの一方に切り欠き60c(図7参照)が形成されていないことである。
さらに、この実施の形態では、図7を参照しながら上述したこの発明の第7の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用した弾性表面波励起材料パターン12の為の往復動作式の版40とは異なる、回転式の版70を使用する(版準備工程)。
回転式の版70は、搬送路60’に沿った上記所定の位置の上方で搬送路60’における複数の基体10’の回転移動方向に向かい外周面を回転させるブランケット胴70aと、ブランケット胴70aの上方に位置しブランケット胴70aの外周面に接触してブランケット胴70aとは逆方向に回転する版胴70bと、を備えている。版胴70bの外周面には夫々が所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12に対応した形状の画線部72が形成されていて、画線部72には図示しない弾性表面波励起材料適用胴から弾性表面波励起材料20が均一な厚さに適用されて所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が載置される。
版胴70bはその外周面をブランケット胴70aの外周面に接触させながらブランケット胴70aとは反対方向に回転することによりブランケット胴70aの外周面に所定の間隔で弾性表面波励起材料20の複数の弾性表面波励起手段形成用パターン12を転写し載置させる。
そして、ブランケット胴70aは搬送路60’上を上記所定の位置に順次到達した複数の基体10’の外表面の円環領域10aに対し版胴70bの外周面上の弾性表面波励起材料20の複数の弾性表面波励起手段形成用パターン12を順次押圧し転写し載置させる(転写工程)。このようにして基体10’の外表面の円環領域10aに転写された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が、弾性表面波励起手段を構成する。
ブランケット胴70aの外周面は、例えばエラストマーのような弾性材料により構成されている。その結果として、ブランケット胴70aの外周面は、基体10’の外表面の円環領域10aに押圧された時に基体10’の外表面の円環領域10aに従い弾性変形し、基体10’の外表面の円環領域10aに対して十分に密着することにより、基体10’の外表面の円環領域10aに対する弾性表面波励起材料20の弾性表面波励起手段形成用パターン12の転写を確実にする。
そしてこの場合、基体10’の外表面の円環領域10aに接するブランケット胴70aの外周面は、基体10’の外表面の円環領域10aの曲率半径に対し1%乃至20%の範囲内で大きな凹面となることが好ましい。
この実施の形態において、ブランケット胴70aはさらに、基体10’の1対の平坦側面部10b間の距離よりも僅かに大きな幅で相互に離れて対向している1対の案内フランジ70bを備えている。1対の案内フランジ70bは、搬送路60’上の基体10’の外表面の円環領域10aに対し版胴70bが接触した時に、基体10’の1対の平坦側面部10bに対向し、版胴70bが搬送路60’上の基体10’の外表面の円環領域10aに対し基体10’の回転中心線に沿った方向に位置ずれを生じさせるのを防止する。
この実施の形態では、版胴70bが搬送路60’上を上記所定の位置に順次到達した複数の基体10’の外表面の円環領域10aに対し、複数の基体10’の移動に伴なう回転を停止させることなく版胴70bの外周面上の弾性表面波励起材料20の複数の弾性表面波励起手段形成用パターン12を順次押圧し転写し載置させるので、複数の基体10’の外表面の円環領域10aに対する弾性表面波励起材料20の弾性表面波励起手段形成用パターン12の押圧転写工程の効率が高い。
図8中に示されている如く上記所定の位置で円環領域10aに弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が載置された基体10’は、上記所定の位置から遠ざかるよう搬送路60’中を下方ガイド60bの2本のレール60b’上で回転しながら移動する間に弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12が乾燥される。この乾燥工程は、被転写材である弾性表面波励起材料20が紫外線硬化性や熱硬化性を有している場合には、弾性表面波励起材料20に紫外線や熱を照射することにより弾性表面波励起材料20を硬化させる工程に替えられる。
そして、さらに搬送路60’上で、または搬送路60’からは独立した別の場所で、基体10’の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成された弾性表面波励起手段を外力の適用による損傷から保護する為に、弾性表面波励起手段の本来の機能である円環領域10aに対する弾性表面波励起能力を損なわない限り、弾性表面波励起手段に公知の方法で公知の保護膜を重複させることが出来る。
或いは、外力の適用を受ける可能性をより少なくする為に、基体10’の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が基体10’の外表面の円環領域10a上から突出している厚さを減少させる加工を行うことも出来る。この厚さ減少加工後に、上述した如く保護膜を重複させても良い。
或いは、このようにして製造された球状弾性表面波素子が使用されるまでの間、例えば輸送の間に適用される外力から球状弾性表面波素子の外表面が損傷を受けるのを防止する為の保護膜を上記外表面に重複させることも出来る。
或いは、円環領域10aに、所定のガスと反応することにより円環領域10aにおける弾性表面波の伝搬に影響する反応膜を、保護膜として重複させることが出来る。
またさらに、搬送路60’上で、または搬送路60’からは独立した別の場所で、図1乃至図5を参照した第1乃至第5の実施の形態において外部接続端子形成用パターン26が基体10又は10’の外表面に載置されたのと同様にして、基体10’の外表面において円環領域10aの両側縁に隣接した部位から1対の平坦側面部10bに渡り外部接続端子形成用パターン26を転写させ載置させることも出来る。
上述したことから明らかなように、この実施の形態では、搬送路60’中で版として機能しているブランケット胴70aの所定の表面である外周面に載置されている弾性表面波励起材料20の弾性表面波励起手段形成用パターン12上を円環領域10aが通過するよう基体10’は版として機能しているブランケット胴70aに対し相対的に回転する。
[第7及び第8の実施の形態の第1の変形例]
第7及び第8の実施の形態では、搬送路60又は60’の下方ガイド60b上で複数の基体10’が外表面の円環領域10aを回転させることにより所定の方向に移動しているが、搬送路60の下方ガイド60bを例えばローラコンベヤ或いはベルトコンベヤのようなコンベヤにより構成し、この下方ガイド60bの上面上に複数の基体10’の夫々の1対の平坦側面部10bのいずれか一方を載置させ、コンベヤにより構成された下方ガイド60b上で複数の基体10’が順次上記所定の位置に向かい移動されるようにすることが出来る。
図7を参照して前述した第7の実施の形態の搬送路60をこのように構成した場合には、上記所定の位置に到達した基体10’の1対の平坦側面部10bのいずれか他方を上方から押圧保持位置決め部材62の先端部が押圧させることにより上記所定の位置で基体10’の移動を一旦停止させ、この間に搬送路60の1対の側方ガイド60aのいずれか一方において上記所定の位置に形成されている切り欠き60cを介して版40の所定の表面40aを上記所定の位置の基体10’の外表面の円環領域10aの対し押圧し、版40の所定の表面40aから弾性表面波励材料の所定の弾性表面波励手段形成用パターン12を上記所定の位置の基体10’の外表面の円環領域10aに対し転写し載置させることが出来る。
この変形例においては、上記所定の位置よりも下流に位置する搬送路60の下方ガイド60bの部分は図7中に示されているように2本のガイドレール60cとして構成されている必要はなく例えばローラコンベヤ或いはベルトコンベヤのようなコンベヤのままでよい。しかしながら、上記所定の位置よりも下流に位置する搬送路60の1対の側方ガイド60aの部分は、上記所定の位置から下流に向かい基体10’が移動する間に上記所定の位置において基体10’の外表面の円環領域10aに対し載置された弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段に対し1対の側方ガイド60aの上記部分が接触して弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が損傷を受けないように、1対の側方ガイド60aの上記部分を構成する必要がある。
上記所定の位置において基体10’の外表面の円環領域10aに対し載置された弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段は、上記所定の位置から下流に向かい基体10’が移動する間に乾燥される。この乾燥工程は、被転写材である弾性表面波励起材料が紫外線硬化性や熱硬化性を有している場合には、弾性表面波励起材料に紫外線や熱を照射することにより弾性表面波励起材料を硬化させる工程に替えられる。
この場合にももちろん、搬送路60上で、または搬送路60からは独立した別の場所で、図1乃至図5を参照した第1乃至第5の実施の形態において所定の外部接続端子形成用パターン26が基体10又は10’の外表面に載置されたのと同様にして、基体10’の外表面において円環領域10aの両側縁に隣接した部位から1対の平坦側面部10bに渡り外部接続端子形成用パターン26を転写させ載置させることも出来る。
図8を参照して前述した第8の実施の形態の搬送路60を上述したように構成した場合には、搬送路60の1対の側方ガイド60aのいずれか一方において上記所定の位置に形成されている切り欠き60cの側方でブランケット胴70a及び版胴70aが上下方向に向いた自身の回転中心線の回りで回転するよう構成される。そして、ブランケット胴70aは、搬送路60の1対の側方ガイド60aのいずれか一方の上記所定の位置の切り欠き60cを介して側方から、ブランケット胴70aの所定の表面である外周面を上記所定の位置に到達した基体10’の外表面の円環領域10aに対し回転しながら押圧し、搬送路60の例えばローラーコンベヤ或いはベルトコンベヤのようなコンベヤにより構成されている下方ガイド60a上で上記所定の位置に到達した基体10’を1対の平坦側面部10bの中心を通る回転中心線の回りに自転させながら基体10’の外表面の円環領域10aに対し所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12を転写し載置させる。
この変形例においても、上記所定の位置よりも下流に位置する搬送路60の下方ガイド60bの部分は図8中に示されているように2本のガイドレール60cとして構成されている必要はなく例えばローラコンベヤ或いはベルトコンベヤのようなコンベヤのままでよいが、上記所定の位置よりも下流に位置する搬送路60の1対の側方ガイド60aの部分は、上記所定の位置から下流に向かい基体10’が移動する間に上記所定の位置において基体10’の外表面の円環領域10aに対し載置された弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段に1対の側方ガイド60aの上記部分が接触して弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が損傷を受けないように、1対の側方ガイド60aの上記部分を構成する必要がある。
上記所定の位置において基体10’の外表面の円環領域10aに対し載置された弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段は、上記所定の位置から下流に向かい基体10’が移動する間に乾燥される。この乾燥工程は、被転写材である弾性表面波励起材料が紫外線硬化性や熱硬化性を有している場合には、弾性表面波励起材料に紫外線や熱を照射することにより弾性表面波励起材料を硬化させる工程に替えられる。
この場合にももちろん、搬送路60上で、または搬送路60からは独立した別の場所で、図1乃至図5を参照した第1乃至第5の実施の形態において所定の外部接続端子形成用パターン26が基体10又は10’の外表面に載置されたのと同様にして、基体10’の外表面において円環領域10aの両側縁に隣接した部位から1対の平坦側面部10bに渡り外部接続端子形成用パターン26を転写させ載置させて外部接続端子を構成させることも出来る。
[第7及び第8の実施の形態の第2の変形例]
第7及び第8の実施の形態では、搬送路60の下方ガイド60b上で複数の基体10’が外表面の円環領域10aを回転させることにより所定の方向に移動しているが、搬送路60の下方ガイド60bを例えばローラコンベヤ或いはベルトコンベヤのようなコンベヤにより構成し、この下方ガイド60bの上面上に複数の基体10’を夫々の1対の平坦側面部10bの中心を通過する線を移動方向に平行にした状態で載置させ、例えばローラコンベヤ或いはベルトコンベヤのようなコンベヤにより構成された下方ガイド60b上で複数の基体10’が順次上記所定の位置に向かい移動されるようにすることが出来る。
この場合、搬送路60の1対の側方ガイド60bの相互間の幅は基体10’の外表面の円環領域10aにおける径よりも僅かに大きく設定される。そしてさらに、この場合、搬送路60上の所定の位置に到達した基体10’の外表面の円環領域10aは搬送路60における複数の基体10’の移動方向とは直交する方向に延出している。従って、版40の所定の表面40aまたは版70の版胴70b及びブランケット胴70aの夫々の所定の表面として機能する外周面に載置される弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12において弾性表面波を励起する為の複数の端部線要素の延出方向は上記移動方向に向いていなければならない。
[第9の実施の形態]
次に図9を参照しながら、この発明の第9の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法について説明する。
なおこの実施の形態においては、図1を参照しながら前述した、この発明の第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用したのと同じ種々の部材を使用する。従って、第9の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用する第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用したのと同じ種々の部材には、第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法に関する上述した説明においてこれら種々の部材に付されていたのと同じ参照符号を付し、これら種々の部材についての詳細な説明は省略する。
この実施の形態の製造方法でも、図9の(A)中に示されている如く、少なくとも球形状の一部により構成されていて弾性表面波が励起及び伝搬可能な円環領域10aを表面に有する基体10が準備される(基体準備工程)。
この実施の形態の製造方法ではまた、図9の(B)中に示されているように、基体10の外表面の円環領域10aに弾性表面波を励起させる為の弾性表面波励起手段を形成する為の所定の弾性表面波励起手段形成用パターンが載置されている版80が準備される(版準備工程)。
より詳細には、この実施の形態において、所定の弾性表面波励起手段形成用パターンは弾性表面波励起材料載置阻止材料82により構成されたマスクパターン82aである。
版80は、その所定の表面80aの所定の位置に弾性表面波励起材料載置阻止材料82により構成されたマスクパターン82aが載置されている。
なおここで準備される版80は、図1乃至図4を参照しながら前述した第1乃至第4の実施の形態において使用されていた平版による版14,凸版による版30,凹版による版32,そして転写シートによる版36のいずれか1つと同様にして構成されているが、ここで準備される版80の所定の表面80aに載置されているのは所定の弾性表面波励起手段形成用パターンに対応し所定の弾性表面波励起手段形成用パターンを取り囲む所定のマスクパターン82aを有した弾性表面波励起材料載置阻止材料82であり、図1乃至図4を参照しながら前述した第1乃至第4の実施の形態において使用されていた平版による版14の所定の表面14a,凸版による版30の所定の表面30a,凹版による版32の所定の表面32a,そして転写シートによる版36のいずれか1つに載置されているのが弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12であることが、異なっている。
次に、図9の(B)中に示されているように、上述した基体準備工程において準備された基体10の外表面における円環領域10aの両外側が基体保持位置決め部材22a,22bにより保持され位置決めされる。そして、このように保持され位置決めされた基体10の外表面の少なくとも円環領域10aを含む部分に対し、版80の所定の表面80aの所定の位置に載置されている弾性表面波励起材料載置阻止材料82を対向させる。
次に、上述した基体準備工程において準備された基体10の外表面の少なくとも円環領域10aを含む部分に、上述した如く版準備工程において準備された版80の所定の表面80a上に載置されている弾性表面波励起材料載置阻止材料82が、押圧されて接触される。この時に、版80の所定の表面80aは基体10の外表面の円環領域10aの形状に従って弾性変形し、所定の表面80a上に載置されている弾性表面波励起材料載置阻止材料82を、図9の(C)中に示されている如く、基体10の外表面の少なくとも円環領域10aを含む部分に転写させる(転写工程)。
この時、基体10の外表面の円環領域10aに所定の弾性表面波励起手段形成用パターンに対応した所定のマスクパターン82aが位置される。そして、上記転写を確実に実行させる為に、基体10の外表面の円環領域10aの形状に従って弾性変形した版80の所定の表面80a(即ち、弾性表面波励起材料載置阻止材料82が載置されている部分)は、円環領域10aの曲率半径に対し1%乃至20%の範囲内で大きな曲率半径を有する凹面となることが好ましい。
次にこの実施の形態では、基体10の外表面の円環領域10aから版80が遠ざけられた後に、基体10は外表面の円環領域10aに転写され載置されている弾性表面波励起材料載置阻止材料82に何物も接触しないよう図示しない所定の乾燥場所に移動されて、所定の時間、弾性表面波励起材料載置阻止材料82が乾燥するのを待たれる。この乾燥工程は、被転写材である弾性表面波励起材料載置阻止材料82が紫外線硬化性や熱硬化性を有している場合には、弾性表面波励起材料載置阻止材料82に紫外線や熱を照射することにより弾性表面波励起材料載置阻止材料82を硬化させる工程に替えられる。
次に、基体10は外表面の円環領域10aに転写され載置されている弾性表面波励起材料載置阻止材料82に対し図示しない例えば転写ローラ又は蒸着又はスパッタリング等の種々の公知の適用手段により弾性表面波励起材料20が適用されて載置され、弾性表面波励起材料載置阻止材料82における所定の弾性表面波励起手段形成用パターンに対応した所定のマスクパターン82aを弾性表面波励起材料20により満たす。
次に、図9の(E)中に示されている如く、基体10の外表面から弾性表面波励起材料載置阻止材料82が公知のウエット又はドライ手段により除去され、その結果として、弾性表面波励起材料載置阻止材料82の所定のマスクパターン82a上に載置されていなかぅた弾性表面波励起材料20のみが基体10の外表面の円環領域10aに残留し、弾性表面波励起手段84として基体10の外表面の円環領域10aに載置される。ここにおいて、マスクパターン82aは所定の弾性表面波励起手段形成用パターンに対応し所定の弾性表面波励起手段形成用パターンを取り囲む形状をしているので、マスクパターン82aに満たされていた弾性表面波励起材料20により構成された弾性表面波励起手段84も所定の弾性表面波励起手段形成用パターンに対応した形状になる。
そして最後に、基体10の外表面における円環領域10aの両外側を保持し位置決めしていた基体保持位置決め部材22a,22bが上記外表面から分離される。なおこの分離前か後に、基体10の外表面の円環領域10a上に載置された弾性表面波励起手段84を外力の適用による損傷から保護する為に、弾性表面波励起手段84の本来の機能である円環領域10aに対する弾性表面波励起能力を損なわない限り、弾性表面波励起手段84に公知の方法で公知の保護膜を重複させることが出来る。
或いは、外力の適用を受ける可能性をより少なくする為に、基体10の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段84が基体10の外表面の円環領域10a上から突出している厚さを減少させる加工を行うことも出来る。この厚さ減少加工後に、上述した如く保護膜を重複させても良い。
或いは、このようにして製造された球状弾性表面波素子が使用されるまでの間、例えば輸送の間に適用される外力から球状弾性表面波素子の外表面が損傷を受けるのを防止する為の保護膜を上記外表面に重複させることも出来る。
或いは、円環領域10aに、所定のガスと反応することにより円環領域10aにおける弾性表面波の伝搬に影響する反応膜を、保護膜として重複させることが出来る。
これによって第9の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法による球状弾性表面波素子の製造が終了する。
ここに示されている、所定の弾性表面波励起材料パターンに対応した形状の弾性表面波励起手段84が外表面の円環領域10a上に載置されている基体10は、図1乃至図4の夫々を参照しながら前述したこの発明の第1乃至第4の実施の形態の夫々に従った球状弾性表面波素子の製造方法により製造された、弾性表面波励起材料の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成された弾性表面波励起手段が外表面の円環領域10a上に転写されて載置されている基体10と同一である。
なお図9を参照しながら前述した第9の実施の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法においても、図1乃至図4の夫々を参照しながら前述した第1乃至第4の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法の場合と同様に、基体10の表面の円環領域10aに載置される弾性表面波励起手段84の為の外部接続端子を基体10の外表面に載置する工程をさらに備えることが出来る。この工程は、図9の(B)乃至(E)中に示されている基体10の外表面の円環領域10aへの弾性表面波励起手段84の載置工程(基体10の外表面の円環領域10aへの弾性表面波励起手段形成用パターンに対応したマスクパターン82aを有した弾性表面波励起材料載置阻止材料82の転写工程,マスクパターン82aへの弾性表面波励起材料20の適用工程,そして基体10の外表面からの弾性表面波励起材料載置阻止材料82の除去工程を含む)の前後に行なうことが出来る。
図9の(E)には、このようにして基体10の外表面に転写され載置された外部接続端子形成用パターン26により構成された外部接続端子もまた示されている。
なお、図9を参照しながら前述したこの発明に従った第9の実施の形態においては、球形状の外表面を有している基体10に代わり、図5、図7及び図8中に示されていたこの発明に従った第5、第7及び第8の実施の形態において使用されたいわゆるビヤ樽形状の外表面を有している基体10’を使用することもできる。その場合には、図7及び図8を参照しながら前述した第7及び第8の実施の形態において搬送路60中を回転しながら移動される複数の基体10’に対し往復動式の版40及び回転式のブラケット胴72bを使用して弾性表面波励起材料の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12を順次載置したのと同様にして、基体10’の外表面の少なくとも円環領域10aを含む部分に対する弾性表面波励起材料載置阻止材料82の載置や、弾性表面波励起材料載置阻止材料82において所定の弾性表面波励起手段形成用パターンに対応し所定の弾性表面波励起手段形成用パターンを取り囲んでいるマスクパターン82aに対する弾性表面波励起材料20の適用も、順次行なうことが出来る。
[第10の実施の形態]
次に図10を参照しながら、この発明の第10の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法について説明する。
なおこの実施の形態においては、図1を参照しながら前述した、この発明の第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用したのと同じ種々の部材を使用する。従って、第10の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用する第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法において使用したのと同じ種々の部材には、第1の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法に関する上述した説明においてこれら種々の部材に付されていたのと同じ参照符号を付し、これら種々の部材についての詳細な説明は省略する。
この実施の形態の製造方法でも、図10の(A)中に示されている如く、少なくとも球形状の一部により構成されていて弾性表面波が励起及び伝搬可能な円環領域10aを表面に有する基体10が準備される(基体準備工程)。
この実施の形態の製造方法ではまた、図10の(B)中に示されているように、基体10の外表面おいて少なくとも円環領域10aを含む部分に弾性表面波を励起させる為の弾性表面波励起材料20が所定の表面90aに載置された版90が準備される。
なおここで準備される版90は、図1乃至図4を参照しながら前述した第1乃至第4の実施の形態において使用されていた平版による版14,凸版による版30,凹版による版32,そして転写シートによる版36のいずれか1つと同様にして構成されているが、ここで準備される版90の所定の表面90aに載置されているのが所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12ではなく実質的に均一な厚さを有し所定のパターンを有していない弾性表面波励起材料20であり、図1乃至図4を参照しながら前述した第1乃至第4の実施の形態において使用されていた平版による版14の所定の表面14a,凸版による版30の所定の表面30a,凹版による版32の所定の表面32a,そして転写シートによる版36のいずれか1つに載置されているのが所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12であることが、異なっている。
次に、図10の(B)中に示されているように、上述した基体準備工程において準備された基体10の外表面における円環領域10aの両外側が基体保持位置決め部材22a,22bにより保持され位置決めされる。そして、このように保持され位置決めされた基体10の外表面の少なくとも円環領域10aを含む部分に対し、版90の所定の表面90aの所定の位置に載置されている弾性表面波励起材料20を対向させる。
次に、上述した基体準備工程において準備された基体10の外表面の少なくとも円環領域10aを含む部分に、版90の所定の表面90a上に載置されている弾性表面波励起材料20が押圧されて接触される。この時に、版90の所定の表面90aは基体10の外表面の円環領域10aの形状に従って弾性変形し、所定の表面90a上に載置されている弾性表面波励起材料20を基体10の外表面の少なくとも円環領域10aを含む部分に転写させる。
この時、上記転写を確実に実行させる為に、基体10の外表面の円環領域10aの形状に従って弾性変形した版90の所定の表面90a(即ち、弾性表面波励起材料20が載置されている部分)は、円環領域10aの曲率半径に対し1%乃至20%の範囲内で大きな曲率半径を有する凹面となることが好ましい。
次にこの実施の形態では、基体10の外表面の円環領域10aから版90が遠ざけられた後に、基体10は外表面の少なくとも円環領域10aを含む部分に転写され載置されている弾性表面波励起材料20に何物も接触しないよう図示しない所定の乾燥場所に移動されて、所定の時間、弾性表面波励起材料20が乾燥するのを待たれる。この乾燥工程は、被転写材である弾性表面波励起材料20が紫外線硬化性や熱硬化性を有している場合には、弾性表面波励起材料20に紫外線や熱を照射することにより弾性表面波励起材料20を硬化させる工程に替えられる。
なお、基体10の外表面の少なくとも円環領域10aを含む部分に対して弾性表面波励起材料20を載置する作業は、弾性表面波励起材料20として例えば金,クロム,そしてアルミ等の蒸着やスパッタリングが可能な材料を使用することにより、版90に代わり蒸着やスパッタリングを使用することが出来る。
この実施の形態の製造方法ではまた、基体10は外表面の少なくとも円環領域10aを含む部分に転写され載置されている弾性表面波励起材料20に対し円環領域10aに弾性表面波を励起させる為の弾性表面波励起手段を形成する為の所定の弾性表面波励起手段形成用パターンに弾性表面波励起材料保護材料92が載置されている所定の表面を有した図示しない版が準備される(版準備工程)。
なおここで準備される図示されていない版は、図1乃至図4を参照しながら前述した第1乃至第4の実施の形態において使用されていた平版による版14,凸版による版30,凹版による版32,そして転写シートによる版36のいずれか1つと同様にして構成されているが、ここで準備される図示されていない版の所定の表面に載置されているのが所定の弾性表面波励起手段形成用パターンの弾性表面波励起材料保護材料92(図10の(D)参照)であり、図1乃至図4を参照しながら前述した第1乃至第4の実施の形態において使用されていた平版による版14の所定の表面14a,凸版による版30の所定の表面30a,凹版による版32の所定の表面32a,そして転写シートによる版36のいずれか1つに載置されているのが所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12であることが、異なっている。
次に、基体10の外表面の少なくとも円環領域10aを含む部分に既に載置されている弾性表面波励起材料20に対し円環領域10aに対応して、上記図示されていない版の所定の表面上に載置されている弾性表面波励起材料保護材料92が押圧されて接触される。この時に、上記図示されていない版の所定の表面は基体10の外表面の円環領域10aの形状に従って弾性変形し、所定の表面上に載置されている弾性表面波励起材料保護材料92を基体10の外表面の少なくとも円環領域10aを含む部分に載置されている弾性表面波励起材料20において円環領域10aに対応した部分に、図10の(D)中に示されているように、転写させ載置させる(転写工程)。
この時、上記転写を確実に実行させる為に、基体10の外表面の円環領域10aの形状に従って弾性変形した上記図示されていない版の所定の表面(即ち、弾性表面波励起材料保護材料92が載置されている部分)は、円環領域10aの曲率半径に対し1%乃至20%の範囲内で大きな曲率半径を有する凹面となることが好ましい。
次にこの実施の形態では、基体10の外表面の円環領域10aから上記図示されていない版が遠ざけられた後に、基体10は外表面の少なくとも円環領域10aを含む部分に載置されている弾性表面波励起材料20において円環領域10aに対応した部分に転写させ載置させられている弾性表面波励起材料保護材料92に何物も接触しないよう図示しない所定の乾燥場所に移動されて、所定の時間、弾性表面波励起材料保護材料92が乾燥するのを待たれる。この乾燥工程は、被転写材である弾性表面波励起材料保護材料92が紫外線硬化性や熱硬化性を有している場合には、弾性表面波励起材料保護材料92に紫外線や熱を照射することにより弾性表面波励起材料保護材料92を硬化させる工程に替えられる。
次に、基体10の外表面から弾性表面波励起材料20が、弾性表面波励起材料保護材料92が載置されている部分を除き、公知の手段により除去され、その結果として、図10の(E)中に示されている如く、弾性表面波励起材料保護材料92の弾性表面波励起手段形成用パターンに対応している弾性表面波励起材料20のみが基体10の外表面の円環領域10aに残留する。
さらに、図10の(F)中に示されている如く、基体10の外表面から弾性表面波励起材料保護材料92の所定の弾性表面波励起手段形成用パターンが公知の手段により除去され、その結果として、除去された弾性表面波励起材料保護材料92の所定の弾性表面波励起手段形成用パターンに対応していた弾性表面波励起材料20のみが基体10の外表面の円環領域10aに残留し、弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段パターン12として基体10の外表面の円環領域10aに載置される。
このようにして基体10の外表面の円環領域10aに載置された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段パターン12が弾性表面波励起手段を構成する。
そして最後に、基体10の外表面における円環領域10aの両外側を保持し位置決めしていた基体保持位置決め部材22a,22bが上記外表面から分離される。なおこの分離前か後に、基体10の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段を外力の適用による損傷から保護する為に、弾性表面波励起手段の本来の機能である円環領域10aに対する弾性表面波励起能力を損なわない限り、弾性表面波励起手段に公知の方法で公知の保護膜を重複させることが出来る。
或いは、外力の適用を受ける可能性をより少なくする為に、基体10の外表面の円環領域10a上に転写されて載置された弾性表面波励起材料20の所定の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が基体10の外表面の円環領域10a上から突出している厚さを減少させる加工を行うことも出来る。この厚さ減少加工後に、上述した如く保護膜を重複させても良い。
或いは、このようにして製造された球状弾性表面波素子が使用されるまでの間、例えば輸送の間に適用される外力から球状弾性表面波素子の外表面が損傷を受けるのを防止する為の保護膜を上記外表面に重複させることも出来る。
或いは、円環領域10aに、所定のガスと反応することにより円環領域10aにおける弾性表面波の伝搬に影響する反応膜を、保護膜として重複させることが出来る。
これによって第10の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法による球状弾性表面波素子の製造が終了する。
ここに示されている、弾性表面波励起材料20の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が外表面の円環領域10a上に転写されて載置されている基体10は、図1乃至図4の夫々を参照しながら前述したこの発明の第1乃至第4の実施の形態の夫々に従った球状弾性表面波素子の製造方法により製造された、弾性表面波励起材料20の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段が外表面の円環領域10a上に転写されて載置されている基体10と同一である。
なお図10を参照しながら前述した第10の実施の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法においても、図1乃至図4の夫々を参照しながら前述した第1乃至第4の実施の形態に従った球状弾性表面波素子の製造方法の場合と同様に、基体10の表面の円環領域10aに載置される弾性表面波励起材料20の弾性表面波励起手段形成用パターン12により構成されている弾性表面波励起手段の為の外部接続端子を基体10の外表面に載置する工程をさらに備えることが出来る。この工程は、図10の(B)乃至(F)中に示されている基体10の外表面の円環領域10aへの弾性表面波励起手段の載置工程(基体10の外表面の円環領域10aを含む部分への弾性表面波励起材料20の載置工程,基体10の外表面の円環領域10aを含む部分へ転写された弾性表面波励起材料20に対する弾性表面波励起手段形成用パターンの弾性表面波励起材料保護材料92の転写工程,基体10の外表面からの弾性表面波励起材料保護材料92により覆われていない弾性表面波励起材料20の除去工程,そして性表面波励起手段形成用パターンの弾性表面波励起材料保護材料92により覆われている弾性表面波励起材料20からの弾性表面波励起材料保護材料92の除去工程を含む)の前後に行なうことが出来る。
図10の(F)には、このようにして基体10の外表面に転写され載置された外部接続端子形成用パターン26により構成された外部接続端子もまた示されている。
なお、図10を参照しながら前述したこの発明に従った第10の実施の形態においては、球形状の外表面を有している基体10に代わり、図5、図7乃至図9中に示されていたこの発明に従った第5、第7乃至第9の実施の形態において使用されたいわゆるビヤ樽形状の外表面を有している基体10’を使用することもでき、その場合には、図7及び図8を参照しながら前述した第7及び第8の実施の形態において搬送路60中を回転しながら移動される複数の基体10’に対し往復動式の版40及び回転式のブラケット胴72bから所定の弾性表面波励起材料パターン12を順次載置したのと同様にして、基体10’の外表面の少なくとも円環領域10aを含む部分に対する弾性表面波励起材料20の載置や弾性表面波励起材料20において基体10’の外表面の円環領域10aに対応した部分への弾性表面波励起手段形成用パターンの弾性表面波励起材料保護材料92の載置も順次行なうことが出来る。
10…基体、10’…基体、10a…円環領域、10b…平坦側面部、12…弾性表面波励起材料パターン、14…版、14a…所定の表面、20…弾性表面波励起材料、26…外部接続端子形成用パターン、30…版、30a…所定の表面、32…版、32a…所定の表面、36…転写シート(版)、40…版、40a…所定の表面、42a、42b…基体保持位置決め部材(基体保持位置決め手段)、50…基体、50a…円環領域、52…版、52a…所定の表面、60…搬送路、70…版、80…版、80a…所定の表面、82…弾性表面波励起材料載置阻止材料、82a…マスクパターン、84…弾性表面波励起手段、90…版、90a…所定の表面、92…弾性表面波励起材料保護材料。