JP4470572B2 - バンパ取付け構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のフェンダにバンパを取り付ける構造に関し、特に、ねじ部材の締め付けにより両者を締め付けるときにその締め付け力によってバンパにねじれを生じ難いバンパ取付け構造に関する。
車両のフェンダにバンパを取り付けるため、それぞれのフランジ部を相互に当接させ、該両フランジ部に互いに整合して形成された取付け穴に、丸形座付きクリップの矩形横断面形状を有する弾性クリップ部を挿入した後、このクリップに、その丸形座の側からクリップ部に向けてタッピングねじをねじ込み、このねじの締め付けによってフェンダとバンパとを結合するバンパ取付け構造が提案されている(特許文献1参照。)。
実開平3−88871号公報(第2図)
しかしながら、特許文献1に記載の従来の前記バンパ取付け構造では、ねじの締め付け時、クリップが供回りを生じる虞があった。このクリップの供回りによってフェンダに対するバンパの取付け姿勢にねじれが生じると、フェンダとバンパとの合わせ面に段差が生じ、見映えが低下する。
そこで、本発明の目的は、ねじ部材の締め付けによっても取付け姿勢にねじれを生じ難いバンパ取付け構造を提供することにある。
本発明は、車両のフェンダにバンパを取り付ける構造であって、前記フェンダおよび前記バンパの互いに当接するフランジ部のそれぞれに互いに整合可能に設けられた取付け穴と、前記両取付穴を貫通する軸部を有し前記フェンダの側から前記取付穴に前記軸部を挿通させて配置され、前記軸部の回りの回転を防止する回り止めが前記軸部の立ち上がり面に設けられたブラケットと、前記軸部を貫通して配置され前記ブラケットを介して前記両フランジ部を締め付けるためのねじ部材とを備え、前記回り止めは、前記立ち上がり面上の前記軸部の軸方向から見て、軸部の中心を通る垂直な中心線よりも前記フェンダの一般面側に偏って配置され、前記軸部は、軸方向から見て、前記立ち上がり面の中心位置から前記フェンダの一般面側とは反対側へ偏心した位置に形成されていることを特徴とする。
本発明に係る前記取付構造では、フェンダおよびバンパの両フランジ部に設けられた取付穴を貫通する軸部を有するブラケットは、その軸部を貫通するねじ部材の締め付けにより両フランジ部を圧接させる。
このブラケットには、ねじ部材の締め付け時、その締め付け力の一部がねじ部材の貫通を許す前記軸部の回りの回転力として作用するが、前記軸部の立ち上がり面に設けられた回り止めが少なくともフェンダに係合してブラケットの回転を阻止する。
しかも、前記回り止めは、前記軸部の軸方向から見て、軸部の中心を通る垂直な中心線よりも前記フェンダの一般面側に偏って配置されていることから、回転中心から回り止めまでの距離を比較的大きく設定することが可能となるので、ねじ部材の締め付け時に、回り止めに破壊が生じる程の強いモーメント力が作用することを防止することができ、この大きなモーメント力による回り止めの損傷を防止し、該回り止めによってブラケットの供回りを確実に阻止することができる。
さらに、前記軸部は、軸方向から見て、前記立ち上がり面の中心位置から前記フェンダの一般面側とは反対側へ偏心した位置に形成されていることから、前記ブラケットの大型化を招かずに、前記軸部から前記回り止めまでの距離をより大きく設定することができる。
本発明によれば、前記したように、ねじ部材の貫通を許す軸部の立ち上がり面に形成された回り止めがブラケットの供回りを確実に阻止することから、従来のようなねじ部材への締め付け力によるブラケットの供回りに起因するフェンダへのバンパの取付け姿勢にねじれが生じることはなく、このねじれによるフェンダとバンパとの合わせ面での段差の発生が防止され、比較的容易に見映え良くバンパを取り付けることができる。
以下、本発明の特徴を図示の実施例に沿って詳細に説明する。
本発明に係る自動車のような車両10は、図1に示すように、フェンダ11の前面を覆うように、車両10の幅方向に沿って配置されたバンパ12が取り付けられる。このバンパ12の取付けのために、フェンダ11の前端には内方フランジ部13が形成されている。バンパ12の両側部の上縁は、フェンダ11の端縁を受け入れるように、該端縁に沿って形成されている。このバンパ12の上縁には、内方フランジ部13に当接可能の内方フランジ部14がフェンダ11の端縁に沿って形成されている。
フェンダ11およびバンパ12の結合のために、例えば合成樹脂材料からなるブラケット15と、該ブラケットを貫通する雄ねじ部16aおよび頭部16bを有するボルト16と、バンパ12の内方フランジ部14を覆って配置され、ボルト16の雄ねじ部16aに螺合可能なねじ孔17aが形成されたサイドブラケット17とが用いられる。サイドブラケット17は、該サイドブラケットと、フェンダ11の内方フランジ部13との間に内方フランジ部14が位置するように、該内方フランジ部の裏面14aをバンパ内方側から覆うように該バンパの下方から内方フランジ部14に装着される。
ブラケット15は、図2に示すように、内方フランジ部13(図1参照)に該フランジ部の背面から当接可能の傾斜前面18を有するブラケット本体19と、該本体の傾斜前面18に形成された補強部18aと一体に傾斜前面18から立ち上がる軸部20と、傾斜前面18上で軸部20の上下位置にそれぞれ形成された突起から成る回り止め21a、21bとを備える。図示の例では、両回り止め21a、21bは、全体に矩形横断面形状を有し先端へ向けて先細る。
軸部20の内方には、該軸部に沿って図1に示したボルト16の雄ねじ部16aの貫通を許し、その頭部16bの挿通を阻止する円形の挿入開口22が形成されている。また軸部20は挿入開口22を取り巻く矩形周壁23を有し、その一対の側壁部23aには軸部20の基部へ向けて側方に拡がる係止爪24が形成されている。
ブラケット15を背面から受け入れるフェンダ11の内方フランジ部13には、ブラケット15の軸部20に対応して該軸部の挿通を許す矩形開口25が形成され、また上方の回り止め21aに対応して該回り止めの挿通を許す矩形開口26が形成されている。ブラケット15はその軸部20が内方フランジ部13の矩形開口25を貫通し、回り止め21aが矩形開口26を貫通するように、内方フランジ部13の背面から挿入される。このとき、ブラケット15の回り止め21bは、内方フランジ部13の下縁13aから突出する。また、ブラケット15の側壁部23aに設けられた係止爪24が矩形開口25の一対の開口縁部25aに係止されることから、ブラケット15はフェンダ11の内方フランジ部13に仮止めされる。
バンパ12の内方フランジ部14には、図4に示すように、矩形開口27が形成されている。また、矩形開口27の上下方向には、それぞれ回り止め21a、21bに対応して各回り止め21a、21bを受け入れる矩形開口28a、28bが形成されている。矩形開口27は、フェンダ11の矩形開口25に対応して形成されており、該矩形開口にはフェンダ11の矩形開口25を貫通するブラケット15の軸部20の先端が受け入れられる。
バンパ12は、前記フェンダ11の内方フランジ部13に仮止めされたブラケット15の回り止め21a、21bおよび軸部20をそれぞれに対応する矩形開口28a、28bおよび矩形開口27に受け入れるように、フェンダ11に保持され、ブラケット15の軸部20に挿通されたボルト16の先端部すなわち雄ねじ部16aの内方フランジ部13から突出する部分がサイドブラケット17のねじ孔17aに螺合される。
このボルト16の締め付けにより、該ボルトの頭部16bと、雌ねじ部材として作用するサイドブラケット17との間に、ブラケット15を介してフェンダ11の内方フランジ部13とバンパ12の内方フランジ部14とが締め付けられる。この締め付け力は、ブラケット15をその軸部20の周りに回転させる力として作用するが、前記したように、ブラケット15の軸部20が立ち上がる傾斜前面18に設けられた回り止め21a、21bが、フェンダ11の内方フランジ部13に設けられた矩形開口26およびバンパ12の内方フランジ部14に設けられた矩形開口28a、28bをそれぞれ貫通する。従って、ブラケット15を回転させようとする回転力は、回り止め21aと該回り止めを受け入れる内方フランジ部13の矩形開口26および内方フランジ部14の矩形開口28aの各縁部との係合、および回り止め21bと該回り止めに近接する内方フランジ部13の下縁13aおよび回り止め21bを受け入れる内方フランジ部14の矩形開口28bの各縁部との係合により、確実に受け止められる。
図3は、本発明に係るブラケット15の傾斜前面18上における軸部20と回り止め21a、21bとの配置関係を明瞭に示すブラケット15の正面図である。両回り止め21a、21bは、図3に示すように、ボルト16の雄ねじ部16aを受け入れる軸部20の中心を通る垂直な軸部20の中心線Lよりも、図中右方に偏って配置されている。すなわち、回り止め21a、21bは、軸部20の中心線Lで区画される右半および左半の領域のうち、その一側である図示の例では、右半の領域に形成されている。
そのため、ボルト16の締め付けによってフェンダ11の内方フランジ部13を押圧する当接面として作用する傾斜前面18を増大させることなく、ボルト16の締め付けによる回転中心から各回り止め21a、21bまでの距離r1、r2を各回り止め21a、21bが軸部20に対して偏らない場合に比べて大きく設定することができる。
ブラケット15の回転力は各回り止め21a、21bに距離r1、r2のモーメント力として受け止められることから、距離r1、r2を大きく設定することにより、ブラケット15の回転を確実に阻止し、また各回り止め21a、21bの相対強度を高めることができる。また、前記したように、軸部20の中心線Lの一側に偏って配置することにより、傾斜前面18の増大によるブラケット15の大型化を招くことなく、距離r1、r2を大きく設定することができる。
従って、前記した回り止め21a、21bの偏り配置によって、ブラケット15の大型化を招くことなく、確実にブラケット15の回転を阻止することができ、また回り止め21a、21bの相対強度を高めることができるので、ボルト16の締め付けによるブラケット15の供回りを確実に防止することができ、このブラケット15の供回りによるバンパ12のねじれに起因する該バンパとフェンダ11との段差の発生を防止することができる。
ブラケット15の軸部20の中心線Lをブラケット15の傾斜前面18の中心を通る垂直なブラケット中心線L1に一致させて軸部20を形成することができる。しかしながら、図3に示すように、ブラケット中心線L1に関して、軸部20の中心線Lを例えば図中左方に偏らせて配置し、この軸部20の偏り側と反対側に回り止め21a、21bを配置することが、ブラケット15の大型化を招くことなく、より大きな距離r1、r2を設定する上で、有利である。
また、前記したところでは、ねじ部材としてボルトの例を示したが、これに代えて、ねじ部材にタッピングねじを用いることができる。この場合、サイドブラケット17は不要となる。
本発明に係るフェンダとバンパとの取付け構造を分解して示す斜視図である。 図1に示した取付け構造に用いられるブラケットを拡大して示す斜視図である。 図1に示した取付け構造のフェンダに形成されたフランジ部を拡大して示す斜視図である。 図1に示した取付け構造のバンパに形成されたフランジ部を拡大して示す斜視図である。 図2に示した本発明に係るブラケットの正面図である。
符号の説明
10 車両
11 フェンダ
12 バンパ
13 フェンダのフランジ部
14 バンパのフランジ部
15 ブラケット
16 ボルト(ねじ部材)
18 傾斜前面(軸部の立ち上がり面)
20 ブラケットの軸部
21a、21b 回り止め
25、27 矩形開口(取付け穴)

Claims (1)

  1. 車両のフェンダにバンパを取り付ける構造であって、前記フェンダおよび前記バンパの互いに当接するフランジ部のそれぞれに互いに整合可能に設けられた取付穴と、前記両取付穴を貫通する軸部を有し前記フェンダの側から前記取付穴に前記軸部を挿通させて配置され、前記軸部の回りの回転を防止する回り止めが前記軸部の立ち上がり面に設けられたブラケットと、前記軸部を貫通して配置され前記ブラケットを介して前記両フランジ部を締め付けるためのねじ部材とを備え、前記回り止めは、前記立ち上がり面上の前記軸部の軸方向から見て、軸部の中心を通る垂直な中心線よりも前記フェンダの一般面側に偏って配置され、前記軸部は、軸方向から見て、前記立ち上がり面の中心位置から前記フェンダの一般面側とは反対側へ偏心した位置に形成されているバンパ取付け構造。
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