JP4470347B2 - 光ディスク装置及び光ディスク記録方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上書き可能型光ディスクへ情報を記録する光ディスク装置及び記録方法に関するものである。なお、上書き可能型光ディスクとは書換型とも呼ばれ、例えば、MO、CD−RW、DVD−RW、などのように位置を表わす情報を伴ったトラックを設けたものを意味する。位置を表す情報とは、例えば、ATIP、LPP、ADIP、あるいはウォーブルを意味するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来の光ディスク記録方法が適用される光ディスク装置を示す回路ブロック図である。図5において、701は光ディスク、702は光ピックアップ(PUM)、703はRFアンプ、704はATIP(Absolute Time In Pre-Groove)デコード回路、705はエンコーダ、706はインタフェース回路(I/F回路)、708はパワー制御回路、709はスピンドル制御回路、710はスピンドルモータである。
【0003】
このように構成された光ディスク装置について、その動作を説明する。光ディスク701は、スピンドルモータ710によって例えば線速度一定で回転駆動される。光ディスク701の記録面と対向する位置には、光ピックアップ702が配置されている。光ピックアップ702は、図示しない送りモータにより光ディスク701の径方向に駆動制御される。光ピックアップ702は、内部にレーザダイオードを有し、このレーザダイオードから出力される記録用の光ビームは、光ディスク701の記録面に照射される。
【0004】
この記録時、光ディスク701から反射された反射光は、光ピックアップ702で受光され、反射信号として光ピックアップ702から出力される。反射信号はRFアンプ703で差動演算され、これによりウォブル信号が抽出され、このウォブル信号はATIPデコード回路704に供給される。また、反射信号は演算され、サーボ制御信号であるフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号が生成される。
【0005】
ATIPデコード回路704では、ウォブル信号をデコードし、時間情報を示すATIP信号やATIPシンク信号を抽出する。エンコーダ705は、I/F回路706から入力されたデータをエンコードサブコードシンク信号を含んだエンコードEFM(Eight to Fourteen Modulation)信号に変換し、出力する。I/F回路706は、外部回路から入力されたデータをエンコーダ705に入力する。パワー制御708は、エンコーダ705から出力されたエンコードEFM信号の通りにLDドライバをオン、オフすることにより、光ディスク701上に記録を行う。
【0006】
図示しないDSPは、RFアンプ703で演算されたサーボ制御信号であるフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号を入力し、フォーカス、トラッキング方向のサーボを制御する。スピンドル制御回路709は、ATIPデコード回路704から出力されたATIPシンク信号とエンコーダ705から出力されたエンコードサブコードシンク信号との同期ずれ成分をスピンドル制御信号として出力し、スピンドルモータ710の回転制御を行う。スピンドルモータ710では、スピンドル制御回路709のスピンドル制御信号によりフィードバック制御が行われることにより記録開始時にはATIPシンク信号とエンコードサブコードシンク信号との同期ずれが無くなる。
【0007】
従来、上書き可能型光ディスク(例えばCD−RW)に情報を上書き(オーバーライト)する際には、光ディスク上の時間情報を示すATIP信号上の基準信号(ATIPシンク信号)と記録信号中の基準信号(エンコードサブコードシンク信号)とが同期するように記録を行う。ATIPシンク信号とエンコードサブコードシンク信号とについて次に説明する。
【0008】
上書き可能型光ディスクには、螺旋状の案内溝(wobble:ウォブル)が形成されている。この案内溝は、所定の周期(1倍速で22.05KHz)で蛇行しているとともに、該案内溝には、ATIP信号が記録されている。この場合、ATIP信号はバイフェーズ変調され、さらに22.05kHzのキャリア周波数でFM変調されて記録されている。またATIP信号には所定の周期(1倍速で1/75秒)でATIPシンク信号が付加されている。該ATIPシンク信号は記録の際の同期信号となる。
【0009】
この案内溝は、光ディスク701へのピット/ランド記録時のガイドとして機能する。また、この案内溝の記録信号は再生され、光ディスク701の回転速度制御や、光ディスク701上の位置(絶対時間)の特定等に利用される。該案内溝上に実際に記録されるデータは、EFMと呼ばれる変調方式で変調(EFM変調)されて、エンコードEFM信号となる。エンコードEFM信号は3T〜11T(Tは基準クロックを意味する)の長さ(周期)のパルスで構成される信号である。またエンコードEFM信号には所定の周期(1倍速で1/75秒)でエンコードサブコードシンク信号が付加される。
【0010】
該エンコードサブコードシンク信号は記録の際の同期信号となる。エンコードサブコードシンク信号のクロックはエンコーダ705が出力する固定クロックである。実際の記録に際して、上記ATIPシンク信号とエンコードサブコードシンク信号とが同期するように回転制御が働くことになる。ただし光ディスク701上のATIPシンク信号を読み取りデコードしてATIPシンク信号として出力されるまでの時間が必要なので、ATIPディレイ量と呼ばれる時間が定義され、エンコードサブコードシンク信号の出力のタイミングは、IC出力のATIPシンク信号とATIPディレイ量から計算され、光ディスク701上のATIPシンク信号と同期するように出力される。
【0011】
図6(a)〜(c)は、記録開始時のATIPシンク信号とエンコードサブコードシンク信号との関係を示すタイミングチャートである。図6中の信号の周期が1サブコードフレーム周期となる。光ディスク701上のATIPシンク信号(図6(a))の開始位置とエンコードサブコードシンク信号(図6(c))の開始位置とが一致するようにATIPディレイ量(図6(b))を設定する。この場合、ATIPシンク信号とエンコードサブコードシンク信号との位置関係は、ICの処理能力により一意に決るためにATIPディレイ量は固定値として設定される。
【0012】
図7(a)、(b)は、CD−RWディスクへの繰り返し記録を行った際の記録回数とジッタの関係を示すグラフである。図7について説明する。2つのグラフはそれぞれ横軸は繰り返し記録回数(ow回数)を示し、縦軸は記録信号の再生ジッタを示す。図7(a)はピットクロックレベル(記録基準クロック)で同期した場合を示し、図7(b)はピットクロックレベルでは同期しない場合を示す。
【0013】
両グラフから、ピットクロックレベルで同期した場合、繰り返し記録回数が200回を超えると急激にジッタが悪化(つまり記録膜が劣化)することが分かる。通常、記録時のATIPシンク信号とエンコードサブコードシンク信号との同期ずれは±2EFMフレームまで許容されているが、ATIPディレイ量が固定で、スピンドル制御の精度が良いと、ATIPシンク信号とエンコードサブコードシンク信号とがピットクロックレベルで同期することになる。
【0014】
通常、記録時のATIPシンク信号とエンコードサブコードシンク信号との同期ずれは±2EFMフレームまで許容されているが、ATIPディレイ量が固定で、スピンドル制御の精度が良いと、ATIPシンク信号とエンコードサブコードシンク信号とがピットクロックレベルで同期することになる。
【0015】
図8は、CDのピット構造を説明する図である。以上に説明したピットクロックレベルで同期する様子をCDの例に基づいて説明する。光ディスク701は、例えば前述のようにCD−RWの場合、案内溝が形成されている。その再生信号から光ディスク701上の絶対時間が特定される。即ち、1分は60秒であり、1秒は75フレームであり、1フレームは98EFMフレームブロックであり、1EFMフレームブロックは588ピットクロックである。そして、この1ピットクロックは光ディスク701のピットから再生された1セルフクロック(1T)を意味する。また、1EFMフレームブロックの先頭には11Tマーク+11Tスペースから構成された同期信号が形成される。なお、ディスク上のピットの変化点(ピットエッジ)はデジタルデータ1、0の変換点に形成される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の光ディスク記録方法では、上書き可能型光ディスク(CD−RW)に情報を上書き(オーバーライト)する際には、ATIPシンク信号とエンコードサブコードシンク信号とがピットクロックレベルで一致するように記録が開始される。その場合、記録データがランダムデータであっても、同期信号(22ピットクロック(=11Tマーク+11Tスペース、または11Tスペース+11Tマーク)+2Tマーク)は一定周期で出現するために、ATIPディレイ量が固定であるから、マーク上にマークを記録し、スペース上にスペースを記録する確率が高くなってしまうことになる。さらに、前述の図7で説明したように繰り返し回数がある値を超えるとジッタが悪化する。特に、同期パターン位置において繰り返し記録を行った場合は、以上の条件が重なるために記録膜の劣化が著しいという問題点を有していた。
【0017】
このように、従来の光ディスク記録方法では、オーバーライトを繰り返すと記録特性が悪化するという問題点を有しており、この光ディスク記録方法では、オーバーライト時の記録特性を改善することが要求されている。
【0018】
本発明は、この要求を満たすため、オーバーライト時の記録特性を改善することができる光ディスク記録方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、光ディスクを載置して回転制御に従って駆動する回転駆動手段と、光ディスクにレーザ光を照射して光ディスクから情報信号を再生しあるいは光ディスクに情報を記録する光ピックアップと、光ピックアップを光ディスクのフォーカス方向およびトラッキング方向に追従制御するサーボ制御手段と、再生された情報信号に基づいて回転制御を行う回転制御手段とを有する光ディスク装置及び光ディスク記録方法であって、再生された情報信号に基づいて光ディスク上のレーザ光の位置を検出する位置検出手段と、外部から入力されたデータに基づいて光ディスクに記録を開始すべき位置を検出する記録開始位置検出手段と、記録開始位置検出手段が検出した記録を開始すべき位置に変更を加える記録開始位置変更手段とを有し、記録を行う毎に光ディスク上の記録を開始すべき位置に変更を加えることを特徴とする光ディスク装置及び光ディスク記録方法、としたものである。
【0020】
以上の構成により、上書き可能型光ディスクにおける記録開始位置をピットクロックレベルで変更することができ、これにより、オーバーライト時の繰り返し記録特性を改善することができる光ディスク装置及び光ディスク記録方法が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1または請求項に記載の光ディスク装置及び光ディスク記録方法は、光ディスクを載置して回転制御に従って駆動する回転駆動手段と、光ディスクにレーザ光を照射して光ディスクから情報信号を再生しあるいは光ディスクに情報を記録する光ピックアップと、光ピックアップを光ディスクのフォーカス方向およびトラッキング方向に追従制御するサーボ制御手段と、再生された情報信号に基づいて回転制御を行う回転制御手段とを有する光ディスク装置及び光ディスク記録方法であって、再生された情報信号に基づいて光ディスク上のレーザ光の位置を検出する位置検出手段と、外部から入力されたデータに基づいて光ディスクに記録を開始すべき位置を検出する記録開始位置検出手段と、記録開始位置検出手段が検出した記録を開始すべき位置に変更を加える記録開始位置変更手段とを有し、前記記録開始位置変更手段は、正弦波を発生する正弦波発生手段と、前記正弦波を前記回転制御に加算する加算手段とを有し、前記加算手段の加算結果に基づいて記録を行う毎に光ディスク上の記録を開始すべき位置に変更を加えることを特徴とする光ディスク装置及び光ディスク記録方法、としたものである。
【0022】
以上の構成により、記録開始位置をピットクロックレベルで変更することができるので、マーク上にマークを記録し、スペース上にスペースを記録する確率が低くなり、オーバーライト時の記録特性を改善することができる、という作用を有する。
【0026】
また、スピンドル制御信号に正弦波信号を付加することで回転速度を変更して記録開始位置を変更することとしたものである。ATIPディレイ量に影響されることなく記録開始位置を記録毎に変更することができるので、マーク上にマークを記録し、スペース上にスペースを記録する確率が低くなり、オーバーライト時の記録特性を改善することができる、という作用を有する。
【0027】
請求項または請求項に記載の光ディスク装置及び光ディスク記録方法は、光ディスク上の記録を開始すべき位置に変更を加える範囲が±64ピットクロックであることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装及び請求項3に記載の光ディスク記録方法、としたものである。
【0028】
この構成により、記録毎に変更する量を±64ピットクロックの範囲で変更することとしたものである。こうして、±2EFMフレームの同期許容範囲内で記録開始位置を変更することができる、という作用を有する。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。
【0030】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による光ディスク記録方法が適用される光ディスク装置を示す回路ブロック図である。図1において、101は光ディスクであって、例えば、書換可能型の光ディスクのうち、未記録領域に位置を表わす情報を設けたものである。位置情報としては、例えばATIP、LPP、ADIPあるいはウォーブルなどが用いられる。以後簡単のためにCD−RWのATIPに基づいて説明する。102は光ピックアップ(PUM)、103はRFアンプ、104はATIPデコード回路、105はエンコーダ、106はインタフェース回路(I/F回路)である。107はCPUであって、その内部に後述する乱数発生手段107aを含む。108はパワー制御回路、109はスピンドル制御回路、110はスピンドルモータである。
【0031】
このように構成された光ディスク装置について、その動作を説明する。光ディスク101は、回転駆動手段であるスピンドルモータ110によって例えば線速度一定で回転駆動される。光ディスク101の記録面と対向する位置には、光ピックアップ102が配置されている。光ピックアップ102は、図示しない送りモータにより光ディスク101の径方向に駆動制御される。光ピックアップ102は、内部にレーザダイオードを有し、このレーザダイオードから出力される記録用の光ビームは、光ディスク101の記録面に照射される。
【0032】
この記録時、光ディスク101から反射された反射光は、光ピックアップ102で受光され、反射信号として光ピックアップ102から出力される。反射信号はRFアンプ103で差動演算され、ウォブル信号が抽出され、このウォブル信号はATIPデコード回路104に供給される。また反射信号は演算され、サーボ制御信号であるフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号が生成される。
【0033】
ATIPデコード回路104は、ウォブル信号をデコードし、時間情報を示すATIP信号やATIPシンク信号を抽出する。エンコーダ105は、I/F回路106から入力されたデータをエンコードサブコードシンク信号を含んだエンコードEFM信号に変換し、出力する。I/F回路106は、外部回路から入力されたデータをエンコーダ105に入力する。CPU107は、ATIPディレイ量をエンコーダ105に出力する。CPU107はまた、その内部に乱数発生手段107aを含みCPU107のトリガによって任意の乱数を発生して、以降の演算処理に利用する。なお、本実施の形態1では、1乱数値を1ピットクロックに設定した。従って、ATIPデコード回路104、エンコーダ105、およびCPU107を総称して記録開始位置検出手段とし、CPU107(後述するデフォルト値を含む)と乱数発生手段107aとを総称して記録開始位置変更手段とする。パワー制御108は、エンコーダ105から出力されたエンコードEFM信号の通りにLDドライバをオン、オフすることにより、光ディスク101上に記録を行う。サーボ制御手段であるDSP113は、RFアンプ103で演算されたサーボ制御信号であるフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号を入力し、光ピックアップ102のフォーカス、トラッキング方向のサーボを制御する。
【0034】
回転制御手段であるスピンドル制御回路109は、ATIPデコード回路104から出力されたATIPシンク信号とエンコーダ105から出力されたエンコードサブコードシンク信号との同期ずれ成分をスピンドル制御信号として出力し、スピンドルモータ110の回転制御を行う。スピンドルモータ110では、スピンドル制御回路109のスピンドル制御信号によりフィードバック制御が行われることにより、記録開始時にはATIPシンク信号とエンコードサブコードシンク信号との同期ずれが無くなる。
【0035】
次に、記録開始位置変更動作について説明する。この記録開始位置変更動作はCPU107のファームウェア制御によって処理することができる。なお、ハードウェアの制御回路を構成すれば、CPU107を使用しないで実現することも可能である。
【0036】
本実施の形態による実記録時の記録開始位置変更動作を図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態2における記録開始位置変更動作を示すフローチャートである。図2に示される処理を行うことに記録開始位置変更が可能となる。この一連の処理を繰り返すことによって高精度な記録開始位置変更が可能となる。まず、記録行う際のデータの準備、記録開始時間の設定を行う(S1)。次に、ATIP信号およびATIPシンク信号を取得する(S2)。次に、ステップS2で取得したATIP信号の示す時間(ATIP時間であって、光ディスク101上の光ビームの現在位置をATIP信号の示す時間を用いて表わすことを意味する)のチェックを行う。ここで目的時間とは、記録を開始すべき光ディスク101上の位置を示し、ATIPの時間で表現した光ディスク101上の絶対位置を意味する。ATIP時間=目的時間の所定セクタ手前、例えば10セクタ手前(即ち目的時間−10セクタ)ならステップS4へ移行する。ATIP時間≠目的時間の所定セクタ手前ならステップS2へ移行する。等しくない場合、回転を継続して所定セクタ手前になるまで待つか、通過した場合は1回転待つことになる。
【0037】
ステップS4では、乱数値を発生する。乱数としては例えば0〜64までの整数から1つを選択する。次に、ATIPディレイ量として、デフォルト値±乱数値(ピットクロック単位)を設定する(S5)。乱数値はステップS4で得られたものを使用する。デフォルト値とは、光ディスク101上のATIPシンク信号とエンコードサブコードシンク信号とが同期するATIPディレイ量である。
【0038】
次に、再びATIP時間およびATIPシンクを取得する(S6)。次に、ATIP時間が目的時間かどうかをチェックする(S7)。ATIP時間=目的時間ならステップS8へ移行する。ATIP時間≠目的時間ならステップS6へ移行して記録位置の到着を待期する。ステップS8では、ステップS5で設定したATIPディレイ量で記録を開始する。
【0039】
こうして、規格に許容された±2EFMフレームの同期許容範囲内で、なおかつ、機械駆動系、光学系及び制御系にわたる制御マージンを含めて±乱数値(本実施の形態では±64)のピットクロックの範囲内で光ディスク上の記録開始位置を変更することになる。しかも、記録開始位置変更手段に乱数発生手段を用いたので、同じ光ディスクと光ディスク装置との組み合わせであっても、記録動作毎にピットクロックレベルで記録開始位置を変更することができる。従って、オーバーライトを繰り返すと記録特性が悪化するという問題点をピットクロックレベルで解決し、しかも規格に許容された±2EFMフレームの同期許容範囲を満たす上書き記録を実現することができる。
【0040】
以上のように本実施の形態によれば、上書き可能型(書換可能)光ディスクに記録するにあたり、乱数発生手段107aを使用することにより、記録開始位置をピットクロックレベルで変更することができるので、マーク上にマークを記録し、スペース上にスペースを記録する確率が低くなり、オーバーライト時の記録特性を改善することができる。また、上書き可能型光ディスクにおける記録開始位置を記録毎にATIPディレイ量を変更することになるので、マーク上にマークを記録し、スペース上にスペースを記録する確率が低くなり、オーバーライト時の記録特性を改善することができる。さらに、記録毎に変更する量を±64ピットクロックの範囲内とすることとすれば、記録開始位置をATIPディレイ量の変更で確実に変更することができ±2EFMフレームの同期許容範囲内で変更することができる。
【0041】
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2による光ディスク記録方法が適用される光ディスク装置を示すブロック図である。図3において、光ディスク201、光ピックアップ(PUM)202、RFアンプ203、ATIPデコード回路204、エンコーダ205、インタフェース回路(I/F回路)206、CPU207、パワー制御回路208、スピンドル制御回路209、スピンドルモータ210の各々は、図1の光ディスク101、光ピックアップ(PUM)102、RFアンプ103、ATIPデコード回路104、エンコーダ105、インタフェース回路(I/F回路)106、CPU107、パワー制御回路108、スピンドル制御回路109、スピンドルモータ110の各々に相当するものである。211は正弦波を発生する正弦波発生回路、212は2つの信号を加算する加算器である。
【0042】
このように構成された光ディスク装置について、その動作を説明する。光ディスク201は、スピンドルモータ210によって例えば線速度一定で回転駆動される。光ディスク201の記録面と対向する位置には、光ピックアップ202が配置されている。光ピックアップ202は、図示しない送りモータにより光ディスク201の径方向に駆動制御される。光ピックアップ202は、内部にレーザダイオードを有し、このレーザダイオードから出力される記録用の光ビームは、光ディスク201の記録面に照射される。
【0043】
この記録時、光ディスク201から反射された反射光は、光ピックアップ202で受光され、反射信号として光ピックアップ202から出力される。反射信号は、RFアンプ203で差動演算され、ウォブル信号が抽出され、このウォブル信号はATIPデコード回路204に供給される。また反射信号は演算され、サーボ制御信号であるフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号が生成される。ATIPデコード回路は、ウォブル信号をデコードし、時間情報を示すATIP信号やATIPシンク信号を抽出する。
【0044】
エンコーダ205は、I/F回路206から入力されたデータをエンコードサブコードシンク信号を含んだエンコードEFM信号に変換し、出力する。I/F回路206は、外部回路から入力されたデータをエンコーダ205に入力する。CPU207は、ATIPディレイ量をエンコーダ205に出力する。パワー制御208は、エンコーダ205から出力されたエンコードEFM信号の通りにLDドライバをオン、オフすることにより、光ディスク201上に記録を行う。DSP213は、RFアンプ203で演算されたサーボ制御信号であるフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号を入力し、光ピックアップ202のフォーカス、トラッキング方向のサーボを制御する。
【0045】
スピンドル制御回路209では、ATIPデコード回路204から出力されたATIPシンク信号とエンコーダ205から出力されたエンコードサブコードシンク信号との同期ずれ成分をスピンドル制御信号として出力する。正弦波発生回路211では、CPU207で計算された周期、レベルで正弦波を発生する。加算器212は、正弦波発生回路211からの正弦波信号とスピンドル制御回路209から出力されたスピンドル制御信号とを加算する。ただし、正弦波発生回路211は記録時のみ設定が有効となるように制御する。なお、本実施の形態2においては、CPU207、正弦波発生回路211、および加算器212を総称して記録位置変更手段とする。また、正弦波は理解を容易にするための一例であって、波形、周期、およびレベルはCPU207に設定することができる。さらにレベル(実施の形態1の乱数値に相当)は64ピットクロックに設定してもよい。
【0046】
スピンドル制御信号と正弦波信号とを加算した加算信号でスピンドルモータ210の回転制御を行う。スピンドル制御回路209のスピンドル制御信号によりフィードバック制御が行われることにより、記録開始時にはATIPシンク信号とエンコードサブコードシンク信号との同期ずれは、上記正弦波信号のレベルに比例した値となる。こうして、ATIPディレイ量に影響されることなく記録開始位置を変更することができ、オーバーライト時の繰返し記録特性を改善することができる。
【0047】
次に、記録開始位置変更動作について説明する。この記録開始位置変更動作はCPU207のファームウェア制御によって処理することができる。なお、ハードウェアで制御回路を構成すれば、CPU207を使用しないで実現することも可能である。
【0048】
本実施の形態における実記録時の記録開始位置変更動作を図4を用いて説明する。図4は本発明の実施の形態2における記録開始位置変更動作を示すフローチャートである。図4に示される処理を行うことに記録開始位置変更が可能となる。この一連の処理を繰り返すことによって高精度な記録開始位置変更が可能となる。まず、記録行う際のデータの準備、記録開始時間の設定を行う(S11)。次に、ATIP時間を示すATIP信号およびATIPシンク信号を取得する(S12)。
【0049】
次に、ステップS12で取得したATIP信号の示すATIP時間のチェックを行う。ATIP時間=目的時間の所定セクタ手前、例えば10セクタ手前ならステップS14へ移行する。ATIP時間≠目的時間の10セクタ手前ならステップS12へ移行する(S13)。ステップS14では、CPU207で出力する正弦波信号の周期およびレベルを計算する。周期は現在の回転周期以下の周波数とする。レベルは記録位置がピットクロック単位で変化する値とする。
【0050】
次に、CPU207は正弦波発生回路211に正弦波信号の周期とレベルを設定し(S15)、再びATIP時間を示すATIP信号およびATIPシンクを取得する(S16)。次に、ATIP時間が目的時間かどうかをチェックし、ATIP時間=目的時間ならステップS18へ移行する。ATIP時間≠目的時間ならステップS16へ移行する(S17)。ステップS18では、ステップS15で設定した正弦波信号とスピンドル制御信号との加算信号を元にスピンドル回転制御を行い記録を開始する。
【0051】
以上のように本実施の形態によれば、上書き可能型光ディスクにおける記録開始位置をスピンドル制御信号に正弦波信号を付加することで変更することにより、マーク上にマークを記録し、スペース上にスペースを記録する確率が低くなるので、オーバーライト時の記録特性を改善することができる。
【0052】
以上説明したように本発明光ディスク装置及び光ディスク記録方法は、光ディスクを載置して回転制御に従って駆動する回転駆動手段と、光ディスクにレーザ光を照射して光ディスクから情報信号を再生しあるいは光ディスクに情報を記録する光ピックアップと、光ピックアップを光ディスクのフォーカス方向およびトラッキング方向に追従制御するサーボ制御手段と、再生された情報信号に基づいて回転制御を行う回転制御手段とを有する光ディスク装置及び光ディスク記録方法であって、再生された情報信号に基づいて光ディスク上のレーザ光の位置を検出する位置検出手段と、外部から入力されたデータに基づいて光ディスクに記録を開始すべき位置を検出する記録開始位置検出手段と、記録開始位置検出手段が検出した記録を開始すべき位置に変更を加える記録開始位置変更手段とを有し、前記記録開始位置変更手段は、正弦波を発生する正弦波発生手段と、前記正弦波を前記回転制御に加算する加算手段とを有し、前記加算手段の加算結果に基づいて記録を行う毎に光ディスク上の記録を開始すべき位置に変更を加えることを特徴とする光ディスク装置及び光ディスク記録方法、としたものである。
【0053】
以上の構成により、記録開始位置をピットクロックレベルで変更することができるので、マーク上にマークを記録し、スペース上にスペースを記録する確率が低くなり、オーバーライト時の記録特性を改善することができる、という作用を有する。
【0057】
また、スピンドル制御信号に正弦波信号を付加することで回転速度を変更して記録開始位置を変更することとしたものである。ATIPディレイ量に影響されることなく記録開始位置を記録毎に変更することができるので、マーク上にマークを記録し、スペース上にスペースを記録する確率が低くなり、オーバーライト時の記録特性を改善することができる、という作用を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による光ディスク記録方法が適用される光ディスク装置を示す回路ブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における記録開始位置変更動作を示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態2による光ディスク記録方法が適用される光ディスク装置を示す回路ブロック図
【図4】本発明の実施の形態2における記録開始位置変更動作を示すフローチャート
【図5】従来の光ディスク記録方法が適用される光ディスク装置を示す回路ブロック図
【図6】(a)記録開始時のATIPシンク信号とエンコードサブコードシンク信号との関係を示すタイミングチャート
(b)記録開始時のATIPシンク信号とエンコードサブコードシンク信号との関係を示すタイミングチャート
(c)記録開始時のATIPシンク信号とエンコードサブコードシンク信号との関係を示すタイミングチャート
【図7】(a)CD−RWディスクへの繰り返し記録を行った際の記録回数とジッタの関係を示すグラフ
(b)CD−RWディスクへの繰り返し記録を行った際の記録回数とジッタの関係を示すグラフ
【図8】CDのピット構造を説明する図
【符号の説明】
101、201 光ディスク
102、202 光ピックアップ(PUM)
103、203 RFアンプ
104、204 ATIPデコード回路
105、205 エンコーダ
106、206 インタフェース回路(I/F回路)
107、207 CPU
107a 乱数発生手段
108、208 パワー制御回路
109、209 スピンドル制御回路
110、210 スピンドルモータ
113、213 DSP
211 正弦波発生回路
212 加算器

Claims (4)

  1. 光ディスクを載置して回転制御に従って駆動する回転駆動手段と、光ディスクにレーザ光を照射して光ディスクから情報信号を再生しあるいは光ディスクに情報を記録する光ピックアップと、前記光ピックアップを光ディスクのフォーカス方向およびトラッキング方向に追従制御するサーボ制御手段と、再生された前記情報信号に基づいて前記回転制御を行う回転制御手段とを有する光ディスク装置であって、
    再生された前記情報信号に基づいて光ディスク上のレーザ光の位置を検出する位置検出手段と、外部から入力されたデータに基づいて前記光ディスクに記録を開始すべき位置を検出する記録開始位置検出手段と、前記記録開始位置検出手段が検出した記録を開始すべき位置に変更を加える記録開始位置変更手段とを有し、前記記録開始位置変更手段は、正弦波を発生する正弦波発生手段と、前記正弦波を前記回転制御に加算する加算手段とを有し、前記加算手段の加算結果に基づいて記録を行う毎に前記光ディスク上の記録を開始すべき位置に変更を加えることを特徴とする光ディスク装置。
  2. 前記光ディスク上の記録を開始すべき位置に変更を加える範囲は±64ピットクロックであることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
  3. 光ディスクを載置して回転制御に従って駆動する回転駆動手段と、光ディスクにレーザ光を照射して光ディスクから情報信号を再生しあるいは光ディスクに情報を記録する光ピックアップと、前記光ピックアップを光ディスクのフォーカス方向およびトラッキング方向に追従制御するサーボ制御手段と、再生された前記情報信号に基づいて前記回転制御を行う回転制御手段とを有する光ディスク記録方法であって、
    再生された前記情報信号に基づいて光ディスク上のレーザ光の位置を検出する位置検出ステップと、
    外部から入力されたデータに基づいて前記光ディスクに記録を開始すべき前記光ディスク上の位置を検出する記録開始位置検出ステップと、
    検出した記録を開始すべき前記光ディスク上の位置に変更を加える記録開始位置変更ステップとを有し、
    前記記録開始位置変更ステップは、正弦波を前記回転制御に加算する加算ステップを含み、前記ステップに基づいて記録を行う毎に前記光ディスク上の記録を開始すべき位置に変更を加えることを特徴とする光ディスク記録方法
  4. 前記光ディスク上の記録を開始すべき位置に変更を加える範囲は±64ピットクロックであることを特徴とする請求項3に記載の光ディスク記録方法
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