JP4470006B2 - 省電力支援装置 - Google Patents

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Description

本発明はネットワーク接続されるパーソナルコンピュータ及びサーバ機器の省電力運用を支援する装置に関する。
IT(情報技術)の普及およびインフラ整備により,各企業には多くのパーソナルコンピュータ(以下PCと称す)やサーバ機器が常時起動状態にある。ただ,これらサーバは,実際には,業務時間帯や,ある特定の繁忙期しか利用されないものが少なくない。しかし,サーバはセキュリティ上の理由により業務室から隔離して設置されることが多く,さらにサーバに対するクライアントからの使用要求が不定期に発生することから,サーバの電源OFF/ONタイミングをスケジュール定義することは容易でない。また,電源OFF/ONを人手で行う煩わしさから,多くのサーバは24時間連続稼動状態にあり,日々電力を浪費している。
このようなサーバの非効率な運用に対し,WOL(Wake ONLAN)と言う技術が提案されている(特許文献1)。
特開平11−175201号公報
WOLはサーバ等のネットワークに接続される機器の省電力に関する技術の1つであり,具体的には,サーバのネットワークインタフェースを通じて,サーバの電源を任意のタイミングでONにしようとするものである。より詳細には,WOL対応サーバは,マジックパケット(登録商標)と呼ばれるデータをネットワーク経由で受信することによって,省電力状態(例えば,殆ど電力を消費しないスタンバイ状態,または電源をOFFしたサスペンド状態など)から,通常の起動状態に移行することができる。この様子を図1に示す。
図1は従来技術であるWOLサーバの存在するネットワーク環境図である。この図を参照して,PC101〜105およびサーバ107はネットワーク109に接続されている。サーバ107は,スタンバイモードなど消費電力の少ないモードで動作していることとする。この時,HTTPなどのサーバ107が備えるサービスは提供できない状態にある。ネットワーク109に接続されているPC等のネットワーク機器が,このサーバ107のサービスを利用するには,サービスの利用に先立ち,何らかの手段でネットワーク経由にてマジックパケットをサーバ107に送信し,サーバ107を起動させる必要がある。図1は,PC103がサーバ107にマジックパケットを送信している様子を示している。これを受信したサーバ107は,このマジックパケットを認識し,自身の備える起動機構(図示せず)によってサービス提供可能状態に移行する。なお,マジックパケットを送信する主体はPC103だけでなく,ネットワークに接続されている他のPC若しくは,他のネットワーク機器(図示せず)であっても良い。
このようにして,停止状態にあるサーバと通信するクライアントは,サーバの利用に先立ち,サーバに対してマジックパケットを送信し,サーバを起動することでサーバと通信が可能となる。
即ち,WOL機能を利用することにより,サーバの稼働時間を削減し,結果として消費電力の削減効果が得られる。
しかし,WOLによる省電力の効果を得るためには,前述したように,サーバだけでなくクライアントもWOLに対応している必要がある。例えば,クライアントは,マジックパケットを送信するための専用ソフトウェアを予め自身に組み込んでおく必要がある。通常,ネットワーク内には数多くのクライアントが存在し,WOLを利用する全てのクライアントに対し,WOL専用ソフトウェアのインストールを行うのは,ネットワーク運用上,非常に面倒な作業となる。
また,WOLはサーバ及びクライアントのコンピュータ環境への依存度が比較的大きい技術である。例えば,マジックパケットを送信する専用ソフトウェアは,クライアントで使用される全てのOSで利用可能とは限らない。このような事由によって,WOL機能を利用できない場合もあった。
また,サーバ及びクライアントがWOLに対応している場合であっても,クライアントのユーザは,サーバの利用に先立ち,サーバの電源がOFFになっているかどうかを何らかの手段で確認する必要があり,このような作業はユーザにとっては煩わしいものとなっていた。
また,WOLはサーバの電源をONにする技術であり,OFFにすることはできない。また,Telnet等のリモートコンソール技術を使用することで,サーバの電源をOFFにすることも可能であるが,このような操作は,サーバシステムにおける管理者権限を有するユーザしか行うことができず,必要に応じて随時電源をOFFにすることは非常に煩わしい作業となる。即ち,リモートコンソールによるサーバの電源制御は,システムの運用上,現実的な手段ではなかった。
さらに,WOLは,サーバの電源がOFFの間,自身が行う必要最小限の処理さえ実行できない。例えば,サーバが他のDHCPサーバからIPアドレスを付与されている場合に,電源がOFFになると,リース時間の延長をすることができない。また,他のサーバ上にあるWINS(Windows(登録商標) Internet Name Service)などの名前データベースに自身の名前が登録されている場合も,更新処理ができず,当該データベースから名前が抹消されることがある。この結果,例え,WOLに対応したクライアントがサーバにアクセスしようとしても,名前解決などが適切に行えず,サーバにアクセスすることすらできなくなってしまう。つまり,WOLは,対応サーバおよび対応クライアントを使用する場合においてさえ,サーバを復帰させることができないことがあった。
上述した課題に鑑み,本発明の目的は,クライアントおよびそのユーザがサーバのWOL対応状況を意識することなくサーバを利用でき,同時にサーバの消費電力を削減することのできる,より汎用性の高い装置,モジュールおよび方法を提供することである。
本発明の形態に係る省電力支援装置は,ネットワークに接続する少なくとも2つのネットワークインタフェースと,ネットワークインタフェース経由で接続される情報処理装置が省電力状態か稼働状態かを判断する情報処理装置電源確認部と,情報処理装置の電源供給開始端子に接続されるスイッチ回路と,ネットワークインタフェースにて受信する情報処理装置への通信に対し,情報処理装置の代わりに,受信した通信の応答をする代理応答部と,2つのネットワークインタフェース間の通信に関し,通信に何も手を加えず,そのまま相互に通過させるブリッジ動作部とを備える省電力支援装置であって,省電力支援装置は,ネットワークインタフェースから情報処理装置を宛先とする通信を受信したとき,情報処理装置電源確認部によって,情報処理装置が省電力状態であると判断した場合,スイッチ回路により情報処理装置の電源供給開始端子を導通させると共に,代理応答部を動作させ,一方,情報処理装置が稼働状態であると判断した場合,ブリッジ動作部を稼働させることを特徴とする。
本発明の形態に係る省電力支援装置は,ネットワークに接続する少なくとも2つのネットワークインタフェースと,ネットワークインタフェース経由で接続される情報処理装置が省電力状態か稼働状態かを判断する情報処理装置電源確認部と,情報処理装置の電源供給開始端子に接続されるスイッチ回路と,ネットワークインタフェースにて受信する情報処理装置への通信に対し,情報処理装置の代わりに,受信した通信の応答をする代理応答部と,2つのネットワークインタフェース間の通信に関し,通信に何も手を加えず,そのまま相互に通過させるブリッジ動作部とを備える省電力支援装置であって,省電力支援装置は,ネットワークインタフェースから情報処理装置を宛先とし情報処理装置の起動条件を満たす通信内容を受信したとき,情報処理装置電源確認部によって,情報処理装置が省電力状態であると判断した場合,スイッチ回路により情報処理装置の電源供給開始端子を導通させると共に,代理応答部を動作させ,一方,情報処理装置が稼働状態であると判断した場合,ブリッジ動作部を稼働させることを特徴とする。
以上の通り,本発明によれば,多くのネットワーク環境において,省電力支援装置は情報処理装置の省電力に貢献できる。結果,本発明の省電力支援装置によって,既存のネットワーク環境を大きく変えることなく,情報処理装置の省電力化が可能となる。
また,換言すると,本発明は,情報処理装置の存在をネットワークに周知せしめ,その状態を維持継続させることにより,ネットワークアベイラビリティの向上を可能にする。即ち,情報処理装置が省電力状態にある間,省電力支援装置が,このネットワークアベイラビリティの維持継続に必要となる,能動的自律動作,及び受動的自律動作を実行する。結果,情報処理装置にとって必要な処理が途切れることなく,ネットワークアベイラビリティを維持継続させることができる。また,本発明の省電力支援装置は,上記した能動的自律動作,及び受動的自律動作では対応できない場合に,発生が予測される処理を行うため,情報処理装置を省電力状態から復帰させる機構も有する。この結果,情報処理装置の省電力状態を最大限維持し,ひいては情報処理装置の維持消費電力を最小化することができる。
以下では図を参照し,本発明に係る装置の実施例を説明する。なお,各図面において共通する要素には同じ番号を付し,説明は繰り返さない。
<実施例1>
図2は,本発明に係る装置が使用されるネットワーク環境図である。従来技術におけるネットワーク環境図である図1と比較し,本発明の装置である代理サーバ201がネットワーク109とサーバ107の間に追加・接続されている。図からも明らかなように,サーバ107は,ネットワーク109に直接接続されておらず,代理サーバ201を介して接続されている。即ち,このような接続形態を採用することによって,ネットワーク109とサーバ107間における通信は,全て代理サーバ201を介することになる。
[ハードウェア構成]
図3は,代理サーバ201のハードウェア構成図である。図3を参照して,CPU301は,ROM303に記憶されているプログラムをRAM305に展開し,このプログラムを実行することによって,代理サーバ201の各種動作を実現する。RAM305には,代理サーバ201の動作過程で生じたデータを一時的に保存することもある。第1のネットワークI/F307および第2のネットワークI/F309は,ハードウェア構成上は等価であり,何れも同じコネクタおよびLANコントローラ(図示せず)など,ネットワーク接続に必要なハードウェアコンポーネントを備える。なお,本実施例において,第1のネットワークI/F307にPC等が接続されているネットワーク109が接続され,第2のネットワークI/F309にサーバ107が接続されているものとして,以下では解説する。なお,第1および第2のネットワークI/Fと,これらに接続されるネットワークとの対応は,この例に限定されるわけではなく,後述する処理プロトコルの対応など,必要に応じて対応関係が選択可能である。さらに,本実施例において,ネットワークインタフェースは有線タイプを例示しているが,両方,若しくは一方を無線タイプなど,他のハードウェアコンポーネントとすることも可能である。
[ソフトウェア機能ブロック]
図4は本実施例における代理サーバ201のソフトウェア機能ブロック図である。図4を参照して,第1のネットワーク送受信部401および第2のネットワーク送受信部413は,それぞれ第1のネットワークI/F307および第2のネットワークI/F309を介して接続されるネットワークとの送受信処理を担う。具体的には,TCP/IPなどのプロトコル処理を行う。但し,第1のネットワーク送受信部401および第2のネットワーク送受信部413は,それぞれ独立した機能部であるため,必ずしも同じ機能を有する必要はない。例えば,一方がIPv4(Internet ProtocolVersion 4)で他方がIPv6(Internet ProtocolVersion 6)を処理するなど,それぞれ異なったプロトコルを処理することも可能である。なお,この際,既存技術であるプロトコル変換が必要となるが,本発明の趣旨ではないため,具体的実現手段の説明は省略する。
サーバ電源確認部403は,第2のネットワーク送受信部413を経由して接続されているサーバ107の電源状態を確認する。具体的には,サーバ107に対して,ICMP(Internet ControlMessage Protocol) Echo Request通信を定期的に行い,その応答の有無を以て,サーバ107の電源のOFF/ONを把握し,この結果をRAM305に保存する。なお,ICMP通信の時間間隔は任意でよいが,本実施例では5秒間隔とする。また,この値は,設定により可変とすることが可能である。
動作モード切替部405は,RAM305に保存されたサーバの電源状態に基づき,代理サーバ201を,代理応答モード(後述),もしくはブリッジモード(後述)の何れで動作させるかを判定し,必要に応じて,後述する代理応答部407,もしくはブリッジ動作部413へ代理サーバ201の動作を移行させる。さらに,動作モード切替部405は,サーバ107の起動が必要と判断した場合,マジックパケットをサーバ107に対して送信する。
代理応答部407は,第1のネットワーク送受信部401を通じて,PC等のネットワーク機器に対して,サーバ107の代わりに通信を行う。
ブリッジ動作部411は,代理サーバ201をブリッジモードとして動作させる。ブリッジモードとは,第1のネットワーク送受信部401および第2のネットワーク送受信部413の通信に関し,代理サーバ201は何の処理も加えず,ただ,それぞれの送受信部の通信を透過的に通過させるだけの処理を意味する。
[システム全体フロー]
次いで,代理サーバ201の,動作全体のフローを説明する。図5を参照して,代理サーバ201は,2つのタスクを有する。タスクとは,代理サーバ201起動時に同時に動作を開始し,電源がONの間,独立して動作するプログラムである。本実施例において,タスクはメインタスク(a)と電源確認タスク(b)があり,メインタスクは,動作モード切替部405,代理応答部407,およびブリッジ動作部411を含み,一方,電源確認タスクはサーバ電源確認部403を含む。
図5のフローは,代理サーバ201の電源がONにされる動作を含めた,装置全体の動作を示すフローチャートである。以下で,各タスクおよび機能部による動作を順に説明する。なお,前提として,ユーザが代理サーバ201に対して,サーバ107のIPアドレスおよびMACアドレスを設定として予め登録しているものとする。これらのアドレスはRAM305に保存される。
まず,電源確認タスクを説明する。
ステップ551において,サーバ電源確認部403は,サーバにICMP通信を行い,この応答の有無をサーバの電源状態,即ちサーバ電源フラグとしてRAM305に保存する。応答があれば,サーバ107の電源がONであると判定し,なければOFFであると判定する。
ステップ553において,サーバ電源確認部403は,前回のIMCP通信から5秒経過したかを判定する。この結果,Noであれば再び処理がステップ553に戻り,Yesであればステップ551に処理が戻る。即ち,電源確認タスクにより,代理サーバ201の稼働中は,5秒毎にICMP通信が行われ,サーバ電源状態が更新される。
次いでメインタスクを説明する。
ステップ501において,メインタスクは,予めRAM305に保存されているIPアドレスおよびMACアドレスを読み出し,自身に設定する。この時点では,これらのアドレス体系で代理サーバ201は動作しない。図示していないが,代理サーバ201の電源ON時は,後述するブリッジモードとして動作しているからである。
ステップ503において,動作モード切替部405は,第1のネットワーク送受信部401を通じて,第1のネットワークI/F307に接続されているネットワーク109上のネットワーク機器(PCなど)からサーバ107宛のデータを受信したかを判定する。本実施形態において,代理サーバ201は,ネットワーク109とサーバ107の間に位置することから,代理サーバ201の受信するデータは,ブロードキャスト通信を含め,全てサーバ107への到達を意図して送信されたデータである。この判定の結果,Yesであれば処理がステップ505に進み,Noであれば再度ステップ503に戻る。即ち,Noの場合は,データを受信するまで待ち続けることとなる。
ステップ505において,動作モード切替部405は,サーバ電源フラグを読み出し,サーバ107の電源状態がONかOFFかを判定する。この結果,ONであれば,処理がステップ517に進み,OFFであればステップ509に進む。
ステップ509において,動作モード切替部405は,サーバ107の起動条件を満たしたかどうかを判定する。この結果,Yesであれば処理がステップ511に進み,Noであれば処理がステップ515に進む。ここで,サーバ107の起動条件とは,サーバ107を起動させるかどうかを決定する条件であり,任意の条件が設定可能である。例えば,「HTTP GET」メソッドを受信した場合は起動させるが,「TCP SYN」だけなら起動させないなどである。
ステップ511において,動作モード切替部はサーバ107に対してマジックパケットを送信する。
ステップ515において,代理応答部407がサーバ201への通信に対して代理応答をするが,この処理の詳細は別途説明する。このステップが終了すると,再び処理がステップ503に戻る。
ステップ517において,ブリッジ動作部411が代理サーバ201をブリッジとして動作させるが,この処理の詳細は別途説明する。このステップが終了すると,再び処理がステップ503に戻る。
[代理応答シーケンス]
図6は,代理サーバ201がPCに対して,サーバ107の代理としてHTTP通信を行う際のシーケンス図である。なお,本実施例において,サーバ107はHTTPサーバとして動作しているものとし,PCはサーバ107のIPアドレスを予め認識しているものとする。また,本シーケンス図における代理サーバ201の動作は,代理応答部407の動作(図5のステップ515)となる。
ステップ601において,代理サーバ201は,図5のステップ501で設定されたIPアドレスおよびMACアドレスにて自身が動作するよう設定する。
通信603において,PCはサーバ107のIPアドレスに対応するMACアドレスを得るため,ARP要求をブロードキャストする。
通信605において,代理サーバ201は,このARP要求を受けてPCにMACアドレスを応答する。通信603にて送信されたARP要求は,サーバ107のIPアドレスに対するものであり,代理サーバ201はこのIPアドレスにて動作しているため,対応するMACアドレスであるサーバ107のMACアドレスが応答される。
通信607において,PCは代理サーバ201に対してTCP接続を開始すべく,HTTPのサービスポートTCP80番に向けてSYNを送る。なお,ステップ601にて説明した通り,代理サーバ201は,サーバ107のIPアドレスおよびMACアドレスにて動作している。即ち,PCはサーバ107に対してSYN送ったと認識しているが,実際にこれを受け取るのは代理サーバ201となる。
通信609において,代理サーバ201は,PCからのSYNを受け,サーバ107を起動するため,サーバ107にWOLのマジックパケットを送信する。なお,通信603のARP要求を受信した時点でマジックパケットを送信しない理由は,ARP要求だけでは後に続く通信,即ちサーバ107を必要とする通信が開始されるかどうかが不明なためである。即ち,本実施例では,マジックパケットの送信条件として,TCP80番ポートに対するSYNの受信が設定されている。このマジックパケットを受けたサーバ107は,WOLにより自身の電源をONにし,OSの起動など一連の起動処理(ステップ611)を開始する。
通信613において,代理サーバ201は,PCからのSYNに対する応答であるSYN+ACKをPCに送信する。この通信は,本来であれば,サーバ107が返すべきものであるが,これを代理サーバ201がサーバ107の代理として送信している。
通信615において,PCは代理サーバ201からのSYN+ACKを受け,これに対する応答であるACKを代理サーバ201に送信する。上記した通信607,613および615を以て,PCと代理サーバ201のTCP接続が確立される。なお,この接続はPCと代理サーバ201の間で確立されたものであるが,PCはサーバ107と接続を確立していると認識している。
通信617において,PCは代理サーバ201に対して,HTTPコンテンツを取得すべく,「HTTP GET」メソッドを送信する。
通信619において,代理サーバ201はPCからの「HTTP GET」に対して,正常に処理できた旨を示す,「200 OK」をPCに応答する。
通信621において,代理サーバ201はPCに代替HTTPコンテンツを送信する。なお,ここで送信されるコンテンツは,代理サーバ201が備えるコンテンツであって,サーバ107が備えるコンテンツではない。即ち,PCが受信を期待するコンテンツではない。具体的には,図7のようなコンテンツが送信され,PC側では図8のようなイメージが表示される。
ステップ623において,サーバ107の起動処理が完了する。
通信627〜633は,PCと代理サーバ201との間のTCP接続を,代理サーバ201から切断するシーケンスである。このシーケンスは,通常のTCP切断のシーケンスと同じであるため説明を省略する。
なお,図7からも明らかな通り,代理サーバ201からPCに送信される代替HTTPコンテンツには,定期的にWebページを再読込する指示が含まれている。図7の場合,10000ミリ秒毎にWebページを再読込することとなる。即ち,PCはステップ607〜633までの処理を繰り返すこととなる(ステップ622)。
[ブリッジ動作シーケンス]
図9は,代理サーバ201のブリッジ動作(図5のステップ517),およびPCのWebページ再読込622の処理の流れを示すシーケンス図である。
通信901において,PCはサーバ107との間にTCP接続を確立すべくSYNを送信する。このSYNは一旦代理サーバ201にて受信されるが,代理サーバ201はブリッジモードであるため,これに対し何ら手を加えずサーバ107に対してそのまま通過させる。以下,代理サーバ201を経由する通信は全て同じように通過させるため,説明は繰り返さない。
通信903において,サーバ107はこのSYNに対して,SYN+ACKを応答する。
通信905にてPCがサーバ107に対してACKを応答する。上記した901〜905により,PCとサーバ107との間にTCP接続が確立される。代理サーバ201が代理モードの時は,PCと代理サーバ201との間でTCP接続が確立されたが,ブリッジモードの時はPCとサーバ107の間でTCP接続が確立される。何れの場合においても,PCはサーバ107とTCP接続を確立したものと認識している。
通信907において,PCは確立したTCP接続を使用して「HTTP GET」メソッドをサーバ107に送信する。
通信909において,サーバ107はPCに正常に処理が完了した旨である「200 OK」の応答をする。
通信911において,サーバ107は,PCにHTTPコンテンツを送信する。ここで送信されるコンテンツは,PCが本来要求していたコンテンツであって,代理サーバ201が代理応答時に送信した代替コンテンツではない。
通信913において,PCはTCP接続を切断するため,FINをサーバ107に送信する。
通信915において,サーバ107はFINに対するACKをPCに送信する。
通信917において,サーバ107はFINをPCに送信する。
通信919において,PCはサーバ107からのFINに対してACKをサーバ107に送信する。
以上の通信を以て,PCとサーバ107の間の通信は完了する。その後一定条件が満たされた場合,サーバは自ら電源をOFFにしたり,スタンバイモードに突入するなど待機状態に入る。ここで一定条件とは,例えば,無通信時間が所定の時間を超えた場合などである。このような動作を行うには,サーバ107に予め専用ソフトウェアをインストールしておくなどの準備が必要となる。なお,サーバ107の電源がOFFになった場合であっても,代理サーバ201のサーバ電源確認部の常に動作しているため,電源OFFを検知し,直ちに自らの動作モードをブリッジモードから代理応答モードに移行することができる。
本実施例によれば,PCはWOLに対応していなくとも,サーバ107の電源を必要に応じて起動し,サービスを受けることができる。また,代理サーバは,ネットワークおよびサーバに接続される2つのネットワークI/Fを備えることによって,PCからサーバへの通信に関し,必ず代理サーバ自身を経由させることができる。なお,PCおよびそのユーザは,前もってサーバ107の電源状態を確認するなど,サーバ107の電源状態を意識することなく,サーバ107を利用することができる。
<実施例2>
実施例1は,サーバ107のIPアドレスが固定的に割り当てられている場合の動作であった。しかし,実際のネットワーク運用においては,DHCP(Dynamic HostConfiguration Protocol)サーバを設置し,クライアントの要求に応じて,DHCPサーバが動的にIPアドレスを付与することもある。本実施例では,ネットワーク上にDHCPサーバが存在し,サーバ107がこのDHCPサーバよりIPアドレスを取得する場合を説明する。
図10は,DHCPサーバが設置されたネットワーク環境図である。図10を参照して,代理サーバ201やPC(101〜105)が接続されているネットワーク109にDHCPサーバ1001が接続されている。ただ,DHCPサーバは必ずしもIPアドレスが付与されるクライアントと同じネットワークに接続されなければならないわけではなく,クライアントとDHCPサーバが別のネットワーク上に存在しても運用可能である。
図11は,本実施例における代理サーバ201のソフトウェア機能ブロック図である。図11を参照して,実施例1と比較し,DHCPサーバ部1101およびDHCPクライアント部1103が追加されている。
DHCPクライアント部1103は,DHCPサーバよりIPアドレスを割り当ててもらうため,DHCPサーバに対してIPアドレス割り当て要求を送信する。さらに,割り当てられたIPアドレスのリース時間が切れる前に,そのリース時間の延長をDHCPサーバに要求する。
DHCPサーバ部1101は,DHCPサーバとしての機能を担う機能部ではあるが,代理サーバ201においては,DHCPクライアント部1103でのアドレス取得結果を元に動作する点が,一般に設置されるDHCPサーバとは異なる。具体的には,クライアントからのIPアドレス割り当て要求を受信した場合,前述のDHCPクライアント部にて取得したIPアドレスを,該当IPアドレス取得時刻から起算し適切に調整されたリース時間とともに応答する。クライアントからのリース時間の延長要求に関しては,代理サーバ201搭載のDHCPサーバ部1101は主体的には関与せず,本来のDHCPサーバ1001との通信を橋渡しするように動作する。但し,本来のDHCPサーバ1001と,クライアントの間で合意された,IPアドレス及びそのリース時間についての情報は,代理サーバで保持している同情報にも,適時反映更新される必要がある。
図12は,サーバ107がDHCPサーバ1001よりIPアドレスの割当を受ける場合の,代理サーバ201を含む一連の動作を示すシーケンス図である。前提として,最初はサーバ107および代理サーバ201の電源はOFFとする。また,IPアドレスの割当要求は,実際にはDHCPプロトコルのDISCOVER,OFFER,REQUEST,ACK通信を含み,IPアドレスのリース時間延長要求は,REQUEST,ACK通信を含むが,本実施例では簡易的にそれぞれを「IPアドレス割当要求」,「リース時間延長要求」などと記す。
ステップ1201において,代理サーバ201の電源がONになる。
通信1203において,起動された代理サーバ201は,第1のネットワークI/F307を通じて,DHCPクライアント部1103の機能により,IPアドレス割当要求を送信する。なお,このIPアドレス割当要求は,ブロードキャスト通信の為,特定の相手先を指定しなくてもDHCPサーバ1001に通信が到達する。
通信1205において,DHCPサーバ1001は,任意のIPアドレスおよびそのリース時間を設定し代理サーバ201に応答する。なお,割り当てられたIPアドレスおよびそのリース時間は,代理サーバ201のRAM305に保存される。
通信1207において,代理サーバ201は,リース時間の時間が切れる前に,DHCPサーバ1001に対し,割当済みのIPアドレスのリース時間の延長を要求する。
通信1209において,DHCPサーバ1001は,リース時間を延長し,この時間を代理サーバ201に応答する。延長されたリース時間は,RAM305に保存されているリース時間に上書き保存される。これにより,割り当てられているIPアドレスのリース時間が更新される。
ステップ1211において,サーバ107の電源が入れられる。
通信1213において,サーバ107はIPアドレス割当要求を送信する。なお,IPアドレス割当要求は,通信1203と同じくブロードキャスト通信である。
通信1215において,代理サーバ201のDHCPサーバ部1101は,通信1213のIPアドレス割当要求の受信に対し,IPアドレスおよびリース時間を応答する。ここで応答するIPアドレスは,予め通信1205で割り当てられ,RAM305に保存されているIPアドレスであり,リース時間(C)は,通信1209で延長されたリース時間(リース時間(B))から,通信1209でDHCPサーバ1001がリースした時間を起点としサーバ107が通信1213を開始するまでの時間(経過時間(A))を差し引いた時間となる。式を以下に示す。
リース時間(C)=リース時間(B)−経過時間(A)
通信1217において,サーバ107は,通信1215で割当られたリース時間を延長すべく,リース時間延長要求をDHCPサーバ1001に送信する。この時,代理サーバ201この通信をそのままDHCPサーバ1001に送信する。
通信1219において,DHCPサーバ1001は,このリース時間延長要求に対し,リース時間を延長してサーバ107に送信する。この時,代理サーバ201は,延長されたリース時間をRAM305に保存し,リース時間を保持する。
言い換えると,本実施例における代理サーバ201は,クライアントであるサーバ107からDHCPサーバ1001に対して行われるべき通信をサーバ107に代わって行い,その通信によってDHCPサーバから得られる結果を保持するという機能(代理通信機能)とともに,あたかもサーバ107自身が通信をしたかのように保持された結果に対して所定の処理を施し,サーバ107に対して処理結果を送信する機能(データ調整機能)の2つを有する。実施例1の場合は,代理サーバはネットワーク上の他の端末からサーバを宛先とする送信があったときにのみ,そのサーバに代わって応答したが,本実施例では,代理サーバ201が能動的にネットワーク上の他の端末(この場合DHCPサーバ)と送信・受信を行う点が異なる。
本実施例によれば,サーバがDHCPサーバよりIPアドレスを割り当ててもらう運用形態において,サーバが省電力状態に入り,IPアドレスのリース時間延長を要求できない状態になっても,割り当てられたIPアドレスがリース時間満了によって解放されることなく,省電力状態復帰後においても,サーバはそのIPアドレスを使用し続けることができる。
<実施例3>
これまでの実施例では,代理サーバ201がPCからの要求を受信し,これをトリガとしてサーバ107にマジックパケットを送信することでサーバ107を起動していた。しかし,この方法では,サーバ107がWOLに対応している必要がある。そこで本実施例では,マジックパケットを使用しない,より汎用的にサーバを起動することのできる代理サーバを説明する。
図13は,本実施例に係る代理サーバ201のハードウェア構成図である。他の実施例と比較して,スイッチ回路1301が追加されている。スイッチ回路1301は2つの端子を電気的に導通させる装置である。
図14は,本実施例に係る代理サーバ201の使用されるネットワーク環境図である。他の実施例と比較して,リード線1401が追加されている。図示していないが,このリード線1401は,2本の導線を有している。それぞれの導線は,一端が代理サーバ201のスイッチ回路1301が備える端子に接続され,もう一端がサーバ107のマザーボード上にある,PWR端子およびそのGround端子に接続されている。なお,マザーボード上には通常,システムパネルコネクタとして,PWR端子以外に,PCをリセットするためのRESET端子やIDE ACCESSのLED端子などが配されている。
システムパネルコネクタの一例を図15に示す。なお,システムパネルコネクタの端子レイアウトは,マザーボードの機種毎に固有となっており,この図のレイアウトは一例である。
図15を参照して,PWR端子1501は電源を投入するための端子であり,この端子とGround端子を導通させることで,マザーボード上のATX電源コネクタ(図示せず)を通じてATXマザーボードに電力の供給が始まる。
図16は,本実施例に係る代理サーバ201のソフトウェア機能ブロック図である。他の実施例と比較して,動作モード切替部1601が変更されている。本実施例の動作モード切替部1601は,他の実施例で記載したマジックパケット送信機能に代え,スイッチ回路導通機能が追加されている。スイッチ回路導通機能は,代理サーバ201の代理応答時に,スイッチ回路1301の2つの端子を導通させる。即ち,図6のステップ609においてマジックパケットの送信に代え,スイッチ回路1301導通させることで,サーバ107のマザーボードの電源をONにしサーバ107を起動する。
ところで,PWR端子1501は,通常,電源をONにするだけでなく,電源をOFFにする場合にも用いられる。即ち,サーバ107の稼働中に,再度PWR端子1501とGround端子を導通させることでサーバ107の電源をOFFにすることができる。具体的には,代理サーバ201は,サーバ107への通信に関し,一定時間無通信の時間を検知するなど,所定の条件を満たした場合に,PWR端子1501とGround端子を導通させる。
ただし,上記した両端子の導通によりサーバ107の電源をOFFにするには,サーバ107のOSやマザーボードのBIOSなどに対し,事前の設定が必要になることがある。
本実施例によれば,PCだけでなくサーバもWOLに対応することなく,サーバの電源を必要に応じてONにすることができる。また,ユーザは,サーバOSの管理者権限が無くとも,サーバの電源をOFFにすることができるため,より高い省電力効果が得られる。
<実施例4>
これまでの実施例では,電源を制御したいサーバが1台しかない場合を説明した。これに対して,本実施例では複数台のサーバの電源を制御することのできる代理サーバについて説明する。
図17は,本実施例に係るネットワーク環境図である。図17を参照して,代理サーバ201は,ネットワーク109およびスイッチングハブ1701に接続されている。スイッチングハブ1701には,サーバ107,111および113が接続されている。これらのサーバは,同じサービスを提供するサーバでも良いし,異なった機能を提供するサーバでも良い。このような接続形態を採ることにより,ネットワーク109と各サーバ間の通信は,全て代理サーバ201を介することとなる。
図18は,代理サーバ201がRAM305にて管理するサーバ情報管理テーブルである。各レコードは,サーバのIPアドレス,MACアドレスおよび動作モードのフィールドにより構成されている。このうち,IPアドレスおよびMACアドレスは,実施例1でも説明した通り,ユーザにより予め入力されている。動作モードは,各サーバの最新の動作モードを示しており,実施例1で説明した,電源確認タスクのサーバ電源確認部403により随時更新される。
図19は,本実施例における代理サーバ201の動作を概念的に示した図である。図19を参照して,代理サーバ201内に動作スイッチ回路1901,1903および1905がある。各動作スイッチ回路は,これまでの実施例で説明した動作を概念的に示したものであり,何れも動作としては等価である。上記したように,本実施例では,代理サーバ201には3つの動作スイッチ回路が存在する。これらは,代理サーバ201が管理するサーバの数だけ論理的に代理サーバ内に生成され,それぞれ独立したサーバに対応づけられ動作する。即ち,動作スイッチ回路1901は,図18のIPアドレス192.168.0.1のサーバのためのスイッチ回路であり,スイッチ回路1903は,図18のIPアドレス192.168.0.2のサーバのためのスイッチ回路であり,スイッチ回路1905は,図18のIPアドレス192.168.0.10のサーバのためのスイッチ回路である。各スイッチ回路は,それぞれ独立している為,対応づけられたサーバの電源状態に応じて独立して動作する。例えば,動作スイッチ回路1901に対応づけられているサーバの電源がOFFの場合は,代理サーバ201が代理応答をする必要がある為,スイッチが代理応答部に繋がっている。一方,動作スイッチ回路1903に対応づけられているサーバは電源がONであるため,スイッチがブリッジ動作部に繋がっている。つまり,代理サーバ201は,管理するサーバの数に応じて,動作スイッチ回路を論理的に生成することで,複数のサーバの電源状態を同時に管理することができる。
図20は,本実施例に係る代理サーバ201の動作フローを示している。図20を参照して,メインタスクは上述した動作スイッチ回路の動作を詳細に示したものであり,各動作スイッチ回路毎に存在し,電源確認タスクは,サーバの数に依らず,代理サーバ201内に1つだけ存在する。本実施例の場合,管理するサーバが3台なので,メインタスクは3つ存在し,電源確認タスクは1つ存在する。以下では,図5との差異についてのみ説明する。
ステップ2001において,代理サーバ201は,RAM305に保存されているサーバ情報管理テーブル1801のIPアドレスおよびMACアドレスを自身に設定する。本実施例では,3つのサーバ情報がテーブルで管理されているので,各サーバに対応するメインタスクは,それぞれのIPアドレスおよびMACアドレスを自身に設定する。結果として,代理サーバ201は3つのIPアドレスおよびMACアドレスを自身に設定することとなる。
ステップ2051において,代理サーバ201は,管理する各サーバに対しICMP通信を行い,それぞれの電源状態を把握し,この結果をサーバ情報管理テーブル1801の各サーバ毎に保存する。
本実施例によれば,代理サーバは複数のサーバの電源状態を管理することできるので,ネットワークシステムにおける総合的な消費電力の削減に効果がある。
<実施例5>
これまでの実施例では,代理サーバ201はネットワークインタフェースを2つ備えていた。これにより,サーバとネットワーク間の通信が,必ず代理サーバ201を経由していたため,代理サーバ201はサーバになりすました代理応答が可能であった。本実施例では,ネットワークインタフェースを1つしか備えない場合の代理サーバ201について説明する。
図21は,本実施例に係る代理サーバ201の使用されるネットワーク環境図である。図21を参照して,他の実施例との違いは,代理サーバ201がネットワーク109とサーバ107の間に位置していないことである。即ち,PCからサーバ107への通信は,後述する特定の場合を除き,代理サーバ201を経由しない。
図22は,本実施例に係る代理サーバ201のハードウェア構成図である。他の実施例と比較して,ネットワークインタフェースが1つになっている。即ち,ネットワークI/F2201の1つしか存在しない。このネットワークI/F2201は,他の実施例のネットワークインタフェースと等価であり,無線・有線などその接続形態は任意のものが選択可能である。
ハードウェア構成およびソフトウェア構成は,他の実施例とそれほど大差ないが,本実施例の代理サーバ201は,通常はブリッジではなくHTTPプロキシサーバとして動作する点が大きく異なる。即ち,PCからのHTTP通信は,HTTPプロキシサーバである代理サーバ201を必ず経由することになる。代理サーバ201は,HTTPプロキシサーバとして動作することによって,ネットワークインタフェースが1つしか備えておらず,さらに,ネットワーク109とサーバ107の間に必ずしも位置しなくとも,PCからサーバ107へのHTTP通信に関して自らを経由させることができる。
図23は,本実施例に係る代理サーバ201のソフトウェア機能ブロック図である。他の実施例と比較してネットワーク送受信部2301が1つしか存在しない。このネットワーク送受信部2301は,他の実施例の送受信部と等価であり,プロトコル処理など,ネットワークデータの送受信に関して,任意のソフトウェア処理が可能である。本実施例で新たに追加されたHTTPプロキシ動作部2303は,他の実施例におけるブリッジ動作部411に代わるものである。HTTPプロキシ動作部2303は,既存のHTTPプロキシサーバと同じ処理を行うため説明は省略する。
図24は,本実施例に係る代理サーバ201の動作フローである。他の実施例と比較して,2403が変更・追加されている。
ステップ2403は,HTTPプロキシ動作部によるHTTPプロキシサーバとしての動作であるが,上述した通り,これは既存技術であるため説明は省略する。
以上説明したように,本実施例において,代理サーバ201は,通常はHTTPプロキシサーバとして動作し,代理応答が必要な場合には,他の実施例と同様,代理応答を行う。なお,本実施例はプロキシサーバを例示したが,PCからの通信が必ず経由するものであれば,これに限らない。
本実施例によれば,代理サーバは,必ずしもサーバとPCの接続されるネットワークとの間に位置する必要がないため,より多くのネットワークシステムに対して柔軟に適用可能である。換言すると,代理サーバは,1つのネットワークI/Fを持たない場合であっても,自身がプロキシサーバとして動作することで,PCからサーバへの通信に関し,必ず自身を経由させる事ができる。
<実施例6>
これまでの実施例では,代理サーバ201は,ネットワークに接続される独立した装置として説明してきた。しかし,代理サーバ201の機能は,必ずしも独立した機器である必要はなく,電源を制御したいサーバに直接組み込むことも可能である。そこで本実施例では,サーバのネットワークインタフェースカードに代理サーバ機能を組み込む場合を説明する。
図25は,代理サーバ機能の組み込まれたネットワークインタフェースカード(以下インテリジェントNICと称す)を備えるサーバ107が接続されるネットワーク環境図である。図25を参照して,サーバ107はインテリジェントNIC2501を備え,これを通してネットワーク109に接続されている。従って,ネットワーク109とサーバ107の通信は,全てインテリジェントNIC2501を介すこととなる。
図26は,本実施例に係る,インテリジェントNIC2501のハードウェア構成図である。インテリジェントNIC2501は,ROM2603に保存されているプログラムをRAM2605に展開し,このプログラムを実行するCPU2601を備える。さらに,インテリジェントNIC2501は,ネットワーク109と接続するためのネットワークI/F2607,このネットワークI/Fを制御するLANコントローラ2609,2つの端子を電気的に導通させるスイッチ回路2611およびサーバ107とのインタフェースであるPCI expressI/F2613を備える。
他の実施例と同様,ネットワークI/F2607は,本実施例では有線を想定しているが,無線であっても構わない。スイッチ回路2611は,図13で説明したものと同じであり,PCのマザーボード上にあるPWR端子とそのGround端子に接続されている。
図27は,本実施例に係る,インテリジェントNIC2501のソフトウェアブロック図である。ネットワーク送受信部2701は,TCP/IPなどのプロトコル処理を実行する。なお,このプロトコル処理はインテリジェントNIC2501が代理応答モードの時にのみ動作する。動作モード切替部2703は,図5で説明した動作とほぼ同じであるが,本実施例では,マジックパケット送信511に代え,PCI expressI/F2613への割り込み,またはスイッチ回路2611への導通指示を行う。これらのトリガにより,サーバ107を電源ONにする。PCI expressI/F送受信部2707は,インテリジェントNIC2501とサーバ107のPCI expressI/Fとの間の送受信を実行する。ブリッジ動作部2705の動作は,他の実施例のそれとは少し異なる。即ち,本実施例において,ブリッジ動作部2705は,ネットワーク送受信部2701とPCI express送受信部2707との間の通信に関して,ブリッジとして動作する。つまり,その間を流れるデータに対して何も手を加えず,ただ,通過をさせるのみである。従って,プロトコル処理などはPC側のアプリケーションによって実行される。
以上説明したように,本実施例では,代理サーバ機能はインテリジェントNIC2501に組み込まれている。NICに代理サーバ機能を組み込んだ事による,独立した装置である代理サーバ201との動作の違いは,サーバ107の電源をONにする手段(端子の導通,もしくはPCI express I/Fへの割り込み)と,ブリッジ動作時のデータの流れる経路(ネットワーク送受信部2701とPCI express 送受信部2707の間)である。
なお,本実施例では,インテリジェントNIC2501にスイッチ回路2611を設け,サーバ107のPWRSW回路からサーバ107の電源をONにしたが,サーバ107がWOL端子を備える場合は,インテリジェントNIC2501側にWOL端子(図示せず)およびWOL端子制御部(図示せず)を設け,WOL端子経由でサーバ107の電源をONにしても良い。
本実施例によれば,代理サーバ機能は内蔵カードとして情報処理装置に直接組み込むことが可能なため,より多くのネットワークシステムにおいて適用可能である。
<実施例7>
これまでの実施例では,代理サーバ201とサーバ107のインタフェースはネットワークであるEthernet(登録商標)を前提として説明してきたが,本発明はこれに限定されることなくUSBインタフェースなど他の物理インタフェースを利用することも可能である(図28)。この場合,代理サーバ201は,EthernetとUSBインタフェースとの間のプロトコル変換機能を搭載していればよい。
本実施例によれば,代理サーバとサーバとの間の接続に,Ethernet以外のインタフェースを用いるため,必ずしもサーバはネットワーク機能を必要としない。このため,代理サーバは,ネットワーク機能を備えるサーバだけでなく,他の様々な情報処理装置に対しても適用可能である。
<実施例8>
本実施例では,実施例6で示したインテリジェントNIC2501において,図29に示すようなソフトウェアを動作させる。
図29を参照して,POPクライアント部2901および情報処理装置電源確認部2903が新たに追加されている。なお,代理応答部407は記載されていないが,本実施例において不要と言うだけであって,実際には,代理応答部407を同時に動作させても良い。
POPクライアント部2901は,任意のメールサーバにおける所定のアカウントに対する受信メールのリストを取得する。
情報処理装置電源確認部2903は,インテリジェントNIC2501が組み込まれる母体である情報処理装置の電源状態を,PCI express送受信部2707を介して定期的に監視し,この結果を電源フラグとして保持する。なお,情報処理装置電源確認部2903は,後に説明する電源確認タスクに含まれる。
動作モード切替部2905は,保存された電源フラグを読み出し,必要に応じて情報処理装置の動作モードを切り替える。
図30を参照して,本実施例の動作フローを説明する。
まずは,電源確認タスク(b)を説明する。
ステップ3001において,情報処理装置電源確認部2903は,情報処理装置の電源状態を確認し,結果を電源フラグとしてRAM305に保存する。フラグは,情報処理装置の電源がONの場合とOFFの場合の2種類がある。
ステップ3003において,前回の電源確認の実施から所定時間が経過したかを判定する。経過していれば,処理がステップ3001に戻り,そうでなければ,再度,処理がステップ3003に戻る。
次いで,メインタスク(a)を説明する。
ステップ3005において,メインタスクは,予めRAM305に保存されているIPアドレスおよびMACアドレスを読み出し,自身に設定する。
ステップ3007において,動作モード切替部2905は,保存されている電源フラグを読み出し,情報処理装置の電源状態がONであれば,ブリッジ動作部2705を起動(ステップ3019)させ,そうでなければ処理がステップ3009に進む。
ステップ3009において,POPクライアント部2901は,受信メールリスト取得用のタイマーをセットする。
ステップ3011において,POPクライアント部2901は,所定のメールサーバにある受信メールのリストをチェックする時刻になったかどうかを判定し,時刻が到来していれば処理がステップ3013に進み,そうでなければ処理がステップ3007に戻る。
ステップ3013において,POPクライアント部2901は,メールサーバにアクセスし,受信メールのリストを取得する。
ステップ3015において,リスト取得の結果,メールがあるかどうかを判定する。結果,メールがあれば,処理がステップ3017に進み情報処理装置を起動(ステップ3017)し,そうでなければ,処理がステップ3007に戻る。なお,情報処理装置を起動させる手段は実施例6と同様である。
本実施例によれば,本来,情報処理装置が能動的に行うべき処理について,当該情報処理装置が電源OFFの間にあっても行うことができ,実際にメール受信を行うなど,情報処理装置による動作が必要な場合にのみ,情報処理装置の電源をONにし,動作を行わせることができる。
<実施例9>
本実施例は,実施例2と実施例6を組み合わせたものの変形例である。ハードウェア構成はインテリジェントNIC2501と同一なので説明しない。図31に本実施例におけるソフトウェア機能について説明する。
図31を参照して,DHCPクライアント部3101が,追加されている。このDHCPクライアント部3101は,実施例2のDHCPクライアント部1103とは動作が若干異なる。実施例2では,DHCPサーバより取得したIPアドレスのリース時間の終了が到来する前に,DHCPクライアント部1103が自発的にDHCPサーバに対し,リース時間の延長を要求していた。これに対し本実施例では,リース時間の終了が迫ると,リース時間の延長を行わず,情報処理装置を起動させる。これにより,リース時間の延長を情報処理装置自身に行わせる。また,IPアドレス及びリース時間の取得は,DHCPサーバからだけでなく,DHCPサーバよりIPアドレス及びリース時間が付与された情報処理装置からも取得することができる。本実施例では情報処理装置から取得する場合を説明する。
図32を参照して,本実施例の動作フローを説明する。
なお,電源確認タスク(b)の動作は,実施例8と同一であるため説明を省略し,メインタスク(a)のみを説明する。
ステップ3201において,DHCPクライアント部3101は,情報処理装置よりIPアドレスおよびリース時間の取得を行う。
ステップ3007において,情報処理装置電源確認部2903が,情報処理装置の電源状態を確認し,電源がONであれば,ブリッジ動作部2705を起動(ステップ3019)させ,そうでなければ,処理がステップ3203に進む。
ステップ3203において,DHCPクライアント部3101は,ステップ3201で取得したIPアドレスのリース終了時間が近いかどうかを判断する。なお,近いかどうかの判断は,全リース時間の50%経過時など,任意に設定可能である。判断の結果,近いと判断されれば,情報処理装置を起動(ステップ3017)させ,そうでなければ,処理が3007に戻る。
本実施例によれば,本来,情報処理装置が行うべき処理について,インテリジェントNIC2501がそのタイミングを監視し,必要に応じて情報処理装置を起動するため,本当に必要なタイミング以外は,情報処理装置の電源をOFFにしておくことができる。
<総括>
以上説明した実施例の通り,本発明に係る装置およびモジュールによる省電力機構は,図33に示す4つのパターンがある。
図33を参照して,省電力支援機構を実施するトリガは,大別すると2つになる。一つは受動的トリガであり,もう1つは能動的トリガである。受動的トリガとは,省電力支援装置がネットワークを介して受信した何らかの通信をトリガとして,代理応答などを行うことである。一方,能動的トリガとは,本来,情報処理装置が行わなければならない処理を,省電力支援装置が自身の判断で実施を決定し,実施するものである。
対応動作としては,代理と起動があり,代理とは,本来,省電力支援装置が組み込まれる母体である情報処理装置が行わなければならない処理を,省電力支援装置がこれに成り代わって処理することである。一方,起動とは,こういった処理を情報処理装置にさせるべく,省電力支援装置が省電力状態にある情報処理装置を起動させることである。
なお,図33には,それぞれのパターンに対応する開示実施例を記載した。
従来技術における,ネットワーク環境図である 実施例1における,ネットワーク環境図である 実施例1における,代理サーバのハードウェア構成図である 実施例1における,代理サーバのソフトウェア機能ブロック図である 実施例1における,代理サーバの動作フローである 実施例1における,代理サーバのシーケンス図である 実施例1において,代理サーバが代理応答時に送信するデータである 実施例1において,代理サーバの代理応答時にPCに表示される画面である 実施例1における,代理サーバのシーケンス図である 実施例2における,ネットワーク環境図である 実施例2における,代理サーバのソフトウェア機能ブロック図である 実施例2における,代理サーバのシーケンス図である 実施例3における,代理サーバのハードウェア構成図である 実施例3における,ネットワーク環境図である 実施例3における,サーバのPWRSW端子である 実施例3における,代理サーバのソフトウェア機能ブロック図である 実施例4における,ネットワーク環境図である 実施例4における,代理サーバの管理するテーブルである 実施例4における,代理サーバの動作概念図である 実施例4における,代理サーバの動作フローである 実施例5における,ネットワーク環境図である 実施例5における,代理サーバのハードウェア構成図である 実施例5における,代理サーバのソフトウェア機能ブロック図である 実施例5における,代理サーバの動作フローである 実施例6における,ネットワーク環境図である 実施例6における,代理サーバのハードウェア構成図である 実施例6における,代理サーバのソフトウェア機能ブロック図である 実施例7における,ネットワーク環境図である 実施例8における,装置のソフトウェア機能ブロック図である 実施例8における,装置の動作フローである 実施例9における,装置のソフトウェア機能ブロック図である 実施例9における,装置の動作フローである 本発明で開示される省電力機構の分類図
107 サーバ
109 ネットワーク
201 代理サーバ
403 サーバ電源確認部
407 代理応答部
411 ブリッジ動作部
1001 DHCPサーバ
1101 DHCPサーバ部
1103 DHCPクライアント部
1301 スイッチ回路
1801 サーバ情報管理テーブル
2303 HTTPプロキシ動作部
2501 インテリジェントNIC
2611 スイッチ回路
2613 PCI expressI/F
2705 ブリッジ動作部

Claims (2)

  1. ネットワークに接続する少なくとも2つのネットワークインタフェースと,
    前記ネットワークインタフェース経由で接続される情報処理装置が省電力状態か稼働状態かを判断する情報処理装置電源確認部と,
    前記情報処理装置の電源供給開始端子に接続されるスイッチ回路と,
    前記ネットワークインタフェースにて受信する前記情報処理装置への第1の通信に対し,前記情報処理装置の代わりに,
    「当該第1の通信に含まれるリクエストを含んだ第2の通信を所定のタイミングにて行え」,
    との指示を含む応答を当該第1の通信の送信元端末に行う代理応答部と,
    2つの前記ネットワークインタフェース間の通信に関し,当該通信に何も手を加えず,そのまま相互に通過させるブリッジ動作部と,を備える省電力支援装置であって,
    前記省電力支援装置は,前記ネットワークインタフェースから前記情報処理装置を宛先とする通信を受信したとき,前記情報処理装置電源確認部によって,前記情報処理装置が省電力状態であると判断した場合,前記スイッチ回路により前記情報処理装置の電源供給開始端子を導通させると共に,前記代理応答部を動作させ,
    一方,前記情報処理装置が稼働状態であると判断した場合,前記ブリッジ動作部を稼働させる
    ことを特徴とする省電力支援装置。
  2. ネットワークに接続する少なくとも2つのネットワークインタフェースと,
    前記ネットワークインタフェース経由で接続される情報処理装置が省電力状態か稼働状態かを判断する情報処理装置電源確認部と,
    前記情報処理装置の電源供給開始端子に接続されるスイッチ回路と,
    前記ネットワークインタフェースにて受信する前記情報処理装置への第1の通信に対し,前記情報処理装置の代わりに,
    「当該第1の通信に含まれるリクエストを含んだ第2の通信を所定のタイミングにて行え」,
    との指示を含む応答を当該第1の通信の送信元端末に行う代理応答部と,
    2つの前記ネットワークインタフェース間の通信に関し,当該通信に何も手を加えず,そのまま相互に通過させるブリッジ動作部と,を備える省電力支援装置であって,
    前記省電力支援装置は,前記ネットワークインタフェースから前記情報処理装置を宛先とし前記情報処理装置の起動条件を満たす通信内容を受信したとき,前記情報処理装置電源確認部によって,前記情報処理装置が省電力状態であると判断した場合,前記スイッチ回路により前記情報処理装置の電源供給開始端子を導通させると共に,前記代理応答部を動作させ,
    一方,前記情報処理装置が稼働状態であると判断した場合,前記ブリッジ動作部を稼働させる
    ことを特徴とする省電力支援装置。
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