JP7424479B2 - 電源管理装置、電源管理システム、電源管理方法、および、電源管理プログラム - Google Patents
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Description
S1(スリープモード)では、CPU(Central Processing Unit)は停止するもののRAM(Random Access Memory)は通電している。S3(サスペンド)では、RAM以外のほとんどの部品を停止させる。S5(電源オフ)は、消費電力が無い状態である。
具体的には、起動される側のコンピュータに、あらかじめ常時通電するWoLデバイスを実装しておく。そして、別のコンピュータからの指示用パケット(マジックパケットと呼ばれる)の受信を検知したWoLデバイスは、自身のコンピュータをS0(起動状態)に移行させる。非特許文献2には、WoLの設定方法が記載されている。
よって、コンピュータによる要求信号の処理を再開するには、準備期間の経過を待つ必要があり、その待ち時間の遅延が発生する。なお、要求信号とは例えば、要求元のクライアントから、要求先の(復帰中の)サーバに向けて疎通可能とするための通信処理である。
本発明は、省電力のサスペンド状態と、そのサスペンド状態よりも消費電力が大きい稼働中状態とを電源状態とするサーバについて、前記サーバの前記電源状態にかかわらず稼働中状態を維持する電源管理装置であって、
前記電源状態がサスペンド状態の前記サーバに対するクライアントからの第1要求信号を受信したときには、自身が代行して対応する処理として、受信した前記第1要求信号に対して自身が処理可能な一部の処理を行いつつ残りの処理をバッファに格納し、
前記電源状態が稼働中状態の前記サーバに対する前記クライアントからの前記残りの処理を処理させるための第2要求信号を受信したときには、稼働中状態の前記サーバに前記第2要求信号を転送する処理代行部と、
前記サーバの前記電源状態が稼働中状態に移行した後に前記バッファから読み取った前記残りの処理を前記サーバに処理させるための引継信号を前記サーバに送信する状態制御部と、を有することを特徴とする。
通信システム(電源管理システム)は、サービスを要求するクライアント1と、サービスを提供するサーバ2と、サーバ2に代行してクライアント1からのサービスの要求に応答する代行装置(電源管理装置)3とを有する。なお、サーバ2は適宜サスペンド状態に移行して省電力化を行い、代行装置3はサーバ2がサスペンド状態であっても稼働中状態(電力供給状態)を維持する。
なお、本実施形態では、サーバ2と代行装置3とを併用しているが、サーバ2単体を用いるよりも消費電力を削減できる。その理由は、高性能なサーバ2をサスペンド状態にしつつ、それより低性能な代行装置3を稼働させることで、双方の消費電力の和は、サーバ2だけを常時稼働させるよりも小さくなるためである。
アプリケーション処理部21は、サービスを提供するためのアプリケーション処理を実行する。電源制御部22は、サスペンド状態から稼働中状態に移行するなど、サーバ2の電源状態を制御する。
通信処理代行部31は、サービスを提供するための通信処理の少なくとも一部を実行することで、サスペンド状態のサーバ2に代行してクライアント1からのサービスの要求に応答する。代行する通信処理とは、例えば、クライアント1との間のコネクション処理などのIPアドレスやMACアドレスのみを利用する通信処理である。
まず、図1の代行装置3はCPUとメモリとを備え、サーバ2と接続された外部装置として構成した。一方、図2の代行装置3は、サーバ2がサスペンド状態でも稼働中状態を維持する構成部品として、サーバ2に内蔵される。サーバ内の構成部品とは、例えば、SoC(System on Chip)、NIC(Network Interface Card)上のFPGA(Field-Programmable Gate Array)、または、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。
なお、サーバ2内のWOLデバイスとして実装されている電源制御回路を電源制御部22として流用することもできる。また、代行装置3の通信処理代行部31は、サーバ2が稼働中状態の場合は、クライアント1から受信した要求信号をPCI Express等の内部バスを介してアプリケーション処理部21に転送する。
図3の代行装置3は、図1と同様にサーバ2の外部装置として配置される。一方、図3の代行装置3は複数台のサーバ2と接続される。代行装置3の通信処理代行部31は、クライアント1から受信した要求信号を稼働中のサーバ2に振り分ける。もし、稼働中のサーバ2が存在しないときには、少なくとも1台のサーバ2に対して復帰信号を送信することで、稼働中への移行を促す。
サーバ2は、ACPI規格のS3またはS5に該当する「サスペンド」状態、「復帰中」状態、および、ACPI規格のS0に該当する「稼働中」状態のいずれかの電源状態になる。省電力のサスペンド状態は、稼働中状態よりも消費電力が小さくて済む。
代行装置3の状態制御部32は、サーバ2の電源状態を変更するために、復帰信号と、引継信号と、省電力信号とをそれぞれサーバ2の電源制御部22に送信する。
なお、サーバ2がサスペンド状態でも復帰中状態でも、まだアプリケーション処理部21は稼働していない。よって、クライアント1からの要求信号で通知されるアプリケーション処理部21へのタスクは、代行装置3のバッファ33に一時保存される。
一方、バッファ33内のタスクが処理済みとなり、しばらく新たな要求信号(タスク)が発生しないときには、復帰中状態のサーバ2は、省電力信号を受け、サスペンド状態に移行する。これにより、省電力効果が得られる。
サーバ2および代行装置3は、それぞれCPU901と、RAM902と、ROM903と、HDD904と、通信I/F905と、入出力I/F906と、メディアI/F907とを有するコンピュータ900として構成される。
通信I/F905は、外部の通信装置915と接続される。入出力I/F906は、入出力装置916と接続される。メディアI/F907は、記録媒体917からデータを読み書きする。さらに、CPU901は、RAM902に読み込んだプログラム(アプリケーションや、その略のアプリとも呼ばれる)を実行することにより、各処理部を制御する。そして、このプログラムは、通信回線を介して配布したり、CD-ROM等の記録媒体917に記録して配布したりすることも可能である。
通信処理代行部31は、クライアント1からの要求信号を受信する(S10)。
通信処理代行部31は、受信した要求信号の内容を確認し、サーバ2(アプリケーション処理部21)の処理が不要か否かを判定する(S11)。なお、クライアント1からの要求信号は以下の3つに分類され、S11でYesなのは分類Aであり、S11でNoなのは分類B,Cである。
(分類A:全部代行)通信処理代行部31の処理だけで完結し、アプリケーション処理部21の処理は不要な要求信号。この要求信号は、例えば、ICMPにおけるpingのエコー要求であり、通信処理代行部31はエコー応答を返すなどの通信プロトコル上の処理を実行するだけで済む。
(分類C:代行不可)通信処理代行部31は処理を代行せず、アプリケーション処理部21の処理を要する要求信号。この要求信号は、例えば、映像信号の送信要求であり、アプリケーション処理部21は要求された映像信号をストリーム配信する。
S13では、すでに復帰信号は送信された後なので、状態制御部32は、サーバ2が復帰中状態か否か(つまり稼働中か)を判定する。S13でYesならS17に進み、NoならS14に進む。
S14では、サーバ2が稼働中状態であるので、通信処理代行部31は、今後受信する要求信号をサーバ2のアプリケーション処理部21に転送することで、アプリケーション処理部21の処理を実行させる。
さらに、通信処理代行部31は、S17でバッファ33に一時保存した要求信号を含めた引継信号をサーバ2に送信して、サスペンドまたは復帰中に溜まった要求信号を事後的にアプリケーション処理部21に処理させる。
状態制御部32は、サーバ2が稼働中に遷移したか否かを判定する(S21)。稼働中に遷移した場合(S21でYes)、通信処理代行部31は、バッファ33に保存していた要求信号を引継信号としてサーバ2に送信してから、バッファ33をクリアする(S22)。
通信処理代行部31は、要求信号を受信しない期間が所定期間より長いか否かを判定する(S31)。所定期間より長い場合(S31でYes)、状態制御部32は、省電力信号をサーバに送信することで、サーバ2を稼働中からサスペンドに状態遷移させる(S32)。これにより、要求信号を受信しない閑散期間を効果的に省電力期間とすることができる。
クライアント1zはサーバ2zに、1回目のSYN信号を送信する(S101)。しかし、S101のSYN信号は、サーバ2zがサスペンド状態のために、サーバ2zには認識されずにパケットロスしてしまう。その後、サーバ2zは、マジックパケットの受信や電源ボタンの押下などを契機に、復帰中→稼働中に移行する。
以上、図9の比較例では、1回目のSYN信号がパケットロスしてしまうことで、2回目のSYN信号の待ち時間などをクライアント1zに強いてしまう。
クライアント1は代行装置3に、SYN信号を送信する(S111)。代行装置3は、サスペンド状態のサーバ2に代行して、ACK+SYN信号をクライアント1に返信する(S112)。S112の返信処理(分類B:一部代行)は、サーバ2が稼働中に復帰するのを待たずに、直ちに実行される。
代行装置3は、S111のSYN信号について、サーバ2側の残りの処理をバッファ33に保管し、サーバ2に復帰信号を送信する(S121)。これにより、サーバ2は、復帰中→稼働中に移行する。そして、代行装置3は、稼働中に移行したサーバ2に引継信号を送信することで(S122)、バッファ33に保管したサーバ2側の残りの処理を処理させる。
以上、図10で説明した本実施形態のTCP処理では、代行装置3がクライアント1とサーバ2との間で電源管理の調整を行うことで、SYN信号がパケットロスされることなく、かつ、サーバ2の電源状態(サスペンド、復帰中、稼働中)をクライアント1に意識させることなく、3ウェイハンドシェイク処理を円滑に実現できる。
クライアント1zはサスペンド状態のサーバ2zに、1回目のDATA信号を送信するが(S201)、サーバ2zには認識されずにパケットロスしてしまう。その後、サーバ2zは、マジックパケットの受信や電源ボタンの押下などを契機に、復帰中→稼働中に移行する。
クライアント1zは復帰中のサーバ2zに、2回目のDATA信号を送信するが(S202)、1回目と同様にパケットロスしてしまう。さらに、クライアント1zはサーバ2zに、3回目のDATA信号を送信する(S203)。稼働中のサーバ2zはS203のDATA信号から、処理可能となる。
クライアント1は代行装置3に、1回目のDATA信号を送信する(S211)。代行装置3は、S211のDATA信号を自身では処理できないのでバッファ33に保管し、サスペンド状態のサーバ2に復帰信号を送信する(S221)。これにより、サーバ2は、復帰中→稼働中に移行する。
クライアント1は代行装置3に、2回目のDATA信号を送信するが(S212)、復帰中のサーバ2にはすぐに転送できないので、バッファ33に保管する。
また、クライアント1は代行装置3を介して、3回目のDATA信号を送信する(S213)。稼働中のサーバ2は、S222の引継信号により稼働前のDATA信号を処理しているので、S213のDATA信号にすぐに取りかかることができる。
SCTPは図9で示したTCPを拡張したプロトコルであり、TCPの弱点であったSYNフラッドによるサービス拒否(DoS:Denial of Service)攻撃に対処可能である。そのため、SCTPでは、クッキー(COOKIE、接続要求の識別子)をやりとりする。以下、SCTPによる4ウェイハンドシェイク処理を説明する。
クライアント1zはサーバ2zに、INIT-ACK信号で通知されたクッキーを含むCOOKIE-ECHO信号を送信する(S304)。サーバ2zはクライアント1zに、COOKIE-ACK信号を送信する(S305)。
以上、図13の比較例では、1回目のINIT信号がパケットロスしてしまうことで、2回目のINIT信号の待ち時間などをクライアント1zに強いてしまう。
クライアント1は代行装置3に、INIT信号を送信する(S311)。代行装置3は、サスペンド状態のサーバ2に代行して、INIT-ACK信号をクライアント1に返信する(S312)。S312の返信処理(分類B:一部代行)は、サーバ2が稼働中に復帰するのを待たずに、直ちに実行される。
代行装置3は、S311のINIT信号について、サーバ2側の残りの処理をバッファ33に保管し、サーバ2に復帰信号を送信する(S321)。これにより、サーバ2は、復帰中→稼働中に移行する。そして、代行装置3は、稼働中に移行したサーバ2に引継信号を送信することで(S322)、バッファ33に保管したサーバ2側の残りの処理を処理させる。
そして、サーバ2は、S313への応答であるCOOKIE-ACK信号をサーバ2に送信する(S314)。これにより、INIT信号がパケットロスされることなく、4ウェイハンドシェイク処理を円滑に実現できる。
本発明は、省電力のサスペンド状態と、そのサスペンド状態よりも消費電力が大きい稼働中状態とを電源状態とするサーバ2について、サーバ2の電源状態にかかわらず稼働中状態を維持する電源管理装置(代行装置3)であって、
電源状態がサスペンド状態のサーバ2に対するクライアント1からの要求信号を受信したときには、自身が代行して対応し、
電源状態が稼働中状態のサーバ2に対するクライアント1からの要求信号を受信したときには、稼働中状態のサーバ2に要求信号を転送する通信処理代行部31を有することを特徴とする。
通信処理代行部31が、受信した要求信号の処理をバッファ33に格納し、
状態制御部32が、要求信号を受けてサーバ2の電源状態を稼働中状態に復帰させるための復帰信号をサーバ2に送信し、サーバ2の電源状態が稼働中状態に移行した後にバッファ33から読み取った要求信号の処理をサーバ2に処理させるための引継信号をサーバ2に送信することを特徴とする。
通信処理代行部31が、受信した要求信号に対して自身が処理可能な一部の処理を行いつつ残りの処理をバッファ33に格納し、
状態制御部32が、要求信号を受けてサーバ2の電源状態を稼働中状態に復帰させるための復帰信号をサーバ2に送信し、サーバ2の電源状態が稼働中状態に移行した後にバッファ33から読み取った残りの処理をサーバ2に処理させるための引継信号をサーバ2に送信することを特徴とする。
1台の電源管理装置(代行装置3)と1台以上のサーバ2とは、互いにネットワークで接続される別装置として構成されることを特徴とする。
電源管理装置(代行装置3)が、サーバ2内の構成部品として配置され、サーバ2の電源状態にかかわらず稼働中状態を維持し、サーバ2内の内部バスを介して要求信号を転送することを特徴とする。
2 サーバ
3 代行装置(電源管理装置)
21 アプリケーション処理部
22 電源制御部
31 通信処理代行部(処理代行部)
32 状態制御部
33 バッファ
Claims (8)
- 省電力のサスペンド状態と、そのサスペンド状態よりも消費電力が大きい稼働中状態とを電源状態とするサーバについて、前記サーバの前記電源状態にかかわらず稼働中状態を維持する電源管理装置であって、
前記電源状態がサスペンド状態の前記サーバに対するクライアントからの第1要求信号を受信したときには、自身が代行して対応する処理として、受信した前記第1要求信号に対して自身が処理可能な一部の処理を行いつつ残りの処理をバッファに格納し、
前記電源状態が稼働中状態の前記サーバに対する前記クライアントからの前記残りの処理を処理させるための第2要求信号を受信したときには、稼働中状態の前記サーバに前記第2要求信号を転送する処理代行部と、
前記サーバの前記電源状態が稼働中状態に移行した後に前記バッファから読み取った前記残りの処理を前記サーバに処理させるための引継信号を前記サーバに送信する状態制御部と、を有することを特徴とする
電源管理装置。 - 前記第1要求信号は、前記クライアントと前記サーバとの間でコネクションを確立するためのハンドシェイクの開始信号であり、
前記一部の処理は、前記開始信号に対する第1応答信号を返答する処理であり、
前記第2要求信号は、前記第1応答信号に対する前記クライアントからの第2応答信号であり、
前記残りの処理は、前記第2応答信号を用いてハンドシェイクによるコネクションを確立するための処理であることを特徴とする
請求項1に記載の電源管理装置。 - 前記状態制御部は、前記第1要求信号を受けて前記サーバの前記電源状態を稼働中状態に復帰させるための復帰信号を前記サーバに送信することを特徴とする
請求項1に記載の電源管理装置。 - 前記状態制御部は、前記クライアントからの前記第1要求信号を受信しなかった期間が所定期間を超えたときには、前記サーバの前記電源状態をサスペンド状態に移行させるための省電力信号を前記サーバに送信することを特徴とする
請求項2または請求項3に記載の電源管理装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電源管理装置と、前記サーバとを含めて構成され、
1台の前記電源管理装置と1台以上の前記サーバとは、互いにネットワークで接続される別装置として構成されることを特徴とする
電源管理システム。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電源管理装置と、前記サーバとを含めて構成され、
前記電源管理装置は、前記サーバ内の構成部品として配置され、前記サーバの前記電源状態にかかわらず稼働中状態を維持し、前記サーバ内の内部バスを介して前記第2要求信号を転送することを特徴とする
電源管理システム。 - 電源管理装置は、
省電力のサスペンド状態と、そのサスペンド状態よりも消費電力が大きい稼働中状態とを電源状態とするサーバについて、前記サーバの前記電源状態にかかわらず稼働中状態を維持し、
前記電源状態がサスペンド状態の前記サーバに対するクライアントからの第1要求信号を受信したときには、自身が代行して対応する処理として、受信した前記第1要求信号に対して自身が処理可能な一部の処理を行いつつ残りの処理をバッファに格納し、
前記電源状態が稼働中状態の前記サーバに対する前記クライアントからの前記残りの処理を処理させるための第2要求信号を受信したときには、稼働中状態の前記サーバに前記第2要求信号を転送し、
前記サーバの前記電源状態が稼働中状態に移行した後に前記バッファから読み取った前記残りの処理を前記サーバに処理させるための引継信号を前記サーバに送信することを特徴とする
電源管理方法。 - コンピュータを、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電源管理装置として機能させるための電源管理プログラム。
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