JP4469959B2 - 細胞壁を備える細胞に外来物質を導入する方法 - Google Patents

細胞壁を備える細胞に外来物質を導入する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4469959B2
JP4469959B2 JP2009520446A JP2009520446A JP4469959B2 JP 4469959 B2 JP4469959 B2 JP 4469959B2 JP 2009520446 A JP2009520446 A JP 2009520446A JP 2009520446 A JP2009520446 A JP 2009520446A JP 4469959 B2 JP4469959 B2 JP 4469959B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell
foreign substance
cellulase
cell wall
cells
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009520446A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2008156021A1 (ja
Inventor
嘉信 馬場
学 渡慶次
範匡 加地
イブラヒム マゲッド フーアド セラブ エルデン バヨウミ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nagoya University NUC
Tokai National Higher Education and Research System NUC
Original Assignee
Nagoya University NUC
Tokai National Higher Education and Research System NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nagoya University NUC, Tokai National Higher Education and Research System NUC filed Critical Nagoya University NUC
Application granted granted Critical
Publication of JP4469959B2 publication Critical patent/JP4469959B2/ja
Publication of JPWO2008156021A1 publication Critical patent/JPWO2008156021A1/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8201Methods for introducing genetic material into plant cells, e.g. DNA, RNA, stable or transient incorporation, tissue culture methods adapted for transformation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8201Methods for introducing genetic material into plant cells, e.g. DNA, RNA, stable or transient incorporation, tissue culture methods adapted for transformation
    • C12N15/8206Methods for introducing genetic material into plant cells, e.g. DNA, RNA, stable or transient incorporation, tissue culture methods adapted for transformation by physical or chemical, i.e. non-biological, means, e.g. electroporation, PEG mediated
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8201Methods for introducing genetic material into plant cells, e.g. DNA, RNA, stable or transient incorporation, tissue culture methods adapted for transformation
    • C12N15/8206Methods for introducing genetic material into plant cells, e.g. DNA, RNA, stable or transient incorporation, tissue culture methods adapted for transformation by physical or chemical, i.e. non-biological, means, e.g. electroporation, PEG mediated
    • C12N15/8207Methods for introducing genetic material into plant cells, e.g. DNA, RNA, stable or transient incorporation, tissue culture methods adapted for transformation by physical or chemical, i.e. non-biological, means, e.g. electroporation, PEG mediated by mechanical means, e.g. microinjection, particle bombardment, silicon whiskers

Description

本発明は、細胞壁を備える細胞内に核酸(DNA、RNA)、タンパク質等の外来物質を導入する方法に関する。特にカーボンナノチューブを利用する外来物質導入方法に関する。
なお、本国際出願は2007年6月21日に出願された日本国特許出願第2007−163867号に基づく優先権を主張しており、その出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
DNAやRNAのようなポリヌクレオチド、タンパク質、脂質等の生体物質を外来物質として標的とする細胞内に導入するための種々の方法が知られている。例えばDNA等の遺伝子を導入する方法として、リポソームを用いる方法(リポフェクション法)、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、ウイルスベクターを用いる方法、DEAE−デキストラン法、遺伝子銃を用いる方法、等が知られている。
ところで、一般に動物細胞と比較して植物細胞に外来物質を導入することは困難である。植物細胞はセルロースを含む強固な細胞壁に包囲されており、当該細胞壁の存在が外来物質導入の障壁となるからである。また、細胞内への外来物質導入効率を高めるために、予め酵素処理(例えばセルラーゼ処理)を施して細胞をプロトプラスト化することもしばしば行われる。しかしながら、プロトプラスト化は煩雑で手間のかかる操作である。また、プロトプラスト化した細胞の取り扱いには熟練と慎重さが要求される。
この種の従来技術として、例えば特許文献1には、レーザー光の持つ高い加工特性を利用して、植物細胞壁を構成する高分子の化学結合を切断し、それによって遺伝子等の外来物質(生体物質)を植物細胞に導入する方法が記載されている。しかしながら、この文献に記載される方法も高価なレーザー光照射装置が必要であるし、煩雑で手間のかかる操作(レーザー光照射処理等)を行う必要があることには変わりない。
特開2002−325572号公報
本発明は、植物細胞等の細胞壁を備える細胞に外来物質(例えば生体物質、特にDNA等の遺伝物質)を導入する際の従来の課題を解決するべく創出されたものであり、簡便で容易に行える標的細胞への外来物質導入方法を提供することを目的とする。特にDNA、RNA等の遺伝物質(典型的には外来遺伝子)を標的細胞に簡便に効率よく導入し得る導入方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく本発明によって提供される方法は、細胞壁を備える細胞に外来物質を導入する方法である。ここで開示される方法は、少なくとも1種の細胞壁分解酵素を担持したカーボンナノチューブを用意すること、前記細胞を含む処理対象(典型的には、当該細胞を含む処理液)に、前記細胞壁分解酵素担持カーボンナノチューブ及び導入対象である外来物質を供給すること、前記細胞に接触したカーボンナノチューブの有する前記分解酵素の作用によって該細胞の細胞壁を分解すること、および、前記細胞壁が分解された部位より前記細胞内に目的の外来物質が導入されることを包含する。
本明細書において「外来物質(導入物質)」とは、標的とする細胞内に供給可能なサイズ及び性状の物質をいう。天然に存在するものであってもよく、或いは人為的に製造されたものであってもよい。典型例として種々の生体分子が挙げられる。例えば、ポリヌクレオチド(DNA、RNA)、ポリペプチド、タンパク質、等の生体分子はここでいう外来物質(導入物質)に包含される好適例である。
また本明細書において「カーボンナノチューブ」とは、カーボン骨格から成る構造体であって、ナノメートルサイズ(典型的に200nm以下、例えば1〜200nm程度)の直径の筒状若しくは繊維状の一層若しくは複数層巻かれたようなカーボン構造体をいう。いわゆる単層カーボンナノチューブ(single-walled carbon nanotube;SWNT)及び多層カーボンナノチューブ(multi-walled carbon nanotube;MWNT)の他、形態的な特徴からカーボンナノファイバー(カーボンナノウィスカー)やカーボンナノホーンと呼称されているようなものも本明細書におけるカーボンナノチューブに包含される。
本発明の外来物質導入方法では、所望する細胞壁分解酵素が固定化されたカーボンナノチューブを使用することによって、当該カーボンナノチューブに固定化された細胞壁分解酵素によって標的細胞の細胞壁に微小な孔(ナノ・ホール)をあけることができる。そして、当該微小な孔から目的の外来物質を細胞内に導入することが可能となる。
また、この方法によって標的細胞の細胞壁に形成される孔は非常に微小であるため、処理後の細胞生存率は極めて高く(換言すれば導入処理後に容易に穿孔の自己修復がなされる。)、細胞が本来備える機能を維持している正常な細胞(無欠陥細胞)を得ることができる。また、細胞の取り扱いにも特別な慎重さを必要としない。従って、本発明の方法によると、煩雑で手間のかかる操作を行うことなく、高い効率で目的の外来物質が導入された細胞を効率よく得ることができる。
このことから、本発明は他の側面として、本発明の導入方法によって外来物質としてポリヌクレオチド(DNA又はRNAから成る遺伝子、該遺伝子を含むベクター類、ポリヌクレオチドと他の物質(例えばタンパク質)との複合体を包含する。)を標的細胞に導入することを特徴とする、外来遺伝物質を導入したことにより形質転換された細胞(さらには当該形質転換された細胞から生じる組織)の生産方法を提供する。
ここで開示される方法の好ましい一態様は、前記酵素として、少なくとも1種のセルラーゼを使用することを特徴とする。
セルラーゼを使用することによって効果的に標的細胞、特に植物細胞の細胞壁に微小な孔を形成することができる。従って、特に前記細胞が植物細胞である場合に、セルラーゼをカーボンナノチューブに固定化することが好ましい。
また、ここで開示される方法の他の好ましい一態様では、前記カーボンナノチューブとして全長(平均値)が10μm以下のカーボンナノチューブを使用することを特徴とする。
カーボンナノチューブとして上記のように比較的短いカーボンナノチューブを使用することにより、異方性であるカーボンナノチューブ粒子の処理液中でのランダムな運動性(典型的には並進、回転等のブラウン運動)が向上し、結果として、標的細胞への接触頻度が高まり、より効率よくカーボンナノチューブに固定化された酵素処理による細胞壁への穿孔及びそれに伴う外来物質の導入を行うことができる。
また、ここで開示される方法の他の好ましい一態様では、前記用意した細胞壁分解酵素担持カーボンナノチューブを界面活性剤(好ましくは非イオン性界面活性剤及び/又はカチオン性界面活性剤)を含む溶液に予め添加して外来物質導入用溶液を調製し、該調製した溶液を前記細胞を含む処理対象に供給する。
標的細胞を含む処理対象に供給する前に、細胞壁分解酵素担持カーボンナノチューブを界面活性剤(好ましくは非イオン性界面活性剤及び/又はカチオン性界面活性剤)を含む溶液に添加して外来物質導入用溶液を予め調製しておき、該調製した溶液を使用することにより、細胞壁分解酵素を担持するカーボンナノチューブのランダムな動きを一層促進し得る。また、標的細胞の細胞壁への穿孔が活性化され、外来物質の導入効率を更に向上させることができる。なお、上記外来物質導入用溶液には、細胞壁分解酵素担持カーボンナノチューブの他、所望する外来物質を添加して用いてもよい。
また、好ましくは、前記細胞処理対象が前記細胞を含有する処理液であり、該細胞処理液が界面活性剤、特には非イオン性界面活性剤及び/又はカチオン性界面活性剤を含むことを特徴とする。さらに好ましくは、非イオン性界面活性剤としてn−オクチル−β−D−グルコシドを使用することを特徴とする。かかる界面活性剤を処理液に含ませることによって、カーボンナノチューブの処理液中におけるランダムな動きを促進し得るとともに外来物質の導入効率(特にDNA又はRNAのようなポリヌクレオチド)を向上させることができる。
また、本発明によると、ここで開示される方法によって所定の外来物質が細胞内に導入されたことを特徴とする細胞を提供する。その好例として植物細胞(さらには当該植物細胞から得られる組織や植物個体)を提供することができる。典型的には、所定の外来物質とともに細胞壁分解酵素担持カーボンナノチューブも細胞内に導入された(取り込まれた)ことを特徴とする細胞が提供される。
さらに、本発明は、ここで開示される外来物質導入方法を好適に実施するための材料の組み合わせ、即ち、植物細胞のような細胞壁を備える細胞に外来物質を導入するためのキットを提供する。
本発明によって提供される外来物質導入用のキットは、少なくとも1種の細胞壁分解酵素と、カーボンナノチューブと、少なくとも1種の界面活性剤(好ましくは非イオン性界面活性剤及び/又はカチオン性界面活性剤)を含む外来物質導入用溶液と、を備える。
好ましい態様のキットでは、キットに含まれるカーボンナノチューブには前記少なくとも1種の細胞壁分解酵素が予め担持されている。
本発明によって提供されるキットによると、前記外来物質導入用溶液を容易に調製し得ると共に、前記カーボンナノチューブが担持する細胞壁分解酵素が前記細胞に接触して該細胞の細胞壁を分解し、該細胞壁が分解された部位より該細胞内に目的の外来物質を導入することを容易に行うことができる。
好ましい一態様のキットでは、前記酵素は少なくとも1種のセルラーゼである。また、好ましい他の一態様のキットでは、前記非イオン性界面活性剤はn−オクチル−β−D−グルコシドである。
かかるキットを用いることにより、細胞壁を備える細胞(典型的には植物細胞)に、所定の外来物質とともに細胞壁分解酵素担持カーボンナノチューブを簡易な操作で好適に細胞内に導入することができる。
図1Aは、一実施例において使用したカーボンナノチューブの形態を示す顕微鏡写真である。 図1Bは、一実施例においてカーボンナノチューブの表面にセルラーゼを固定化した後のカーボンナノチューブの形態を示す顕微鏡写真である。 図2Aは、一実施例においてセルラーゼ担持カーボンナノチューブ添加後、1時間経過時の標的植物細胞の状態を示す顕微鏡写真である。 図2Bは、一実施例においてセルラーゼ担持カーボンナノチューブ添加後、2時間経過時の標的植物細胞の状態を示す顕微鏡写真である。 図2Cは、一実施例においてセルラーゼ担持カーボンナノチューブ添加後、3時間経過時の標的植物細胞の状態を示す顕微鏡写真である。 図2Dは、一実施例においてセルラーゼ担持カーボンナノチューブ添加後、5時間経過時の標的植物細胞の状態を示す顕微鏡写真である。 図3は、一実施例においてセルラーゼ担持カーボンナノチューブが細胞壁を通過して細胞内に取り込まれる状態を示す顕微鏡写真(透過照明による明視野観察)である。 図4は、一実施例に係るセルラーゼ担持カーボンナノチューブによるセルロース加水分解物の解析結果を示すグラフである。 図5は、一実施例に係る導入方法の概要を模式的に示す説明図である。 図6は、一実施例において外来物質を取り込んだ標的植物細胞の三次元再構築像である。 図7Aは、外来物質導入後の標的細胞内の状態を示す蛍光顕微鏡写真である(セルラーゼ担持カーボンナノチューブの観察)。 図7Bは、外来物質導入後の標的細胞内の状態を示す蛍光顕微鏡写真である(核酸の観察)。 図7Cは、外来物質導入後の標的細胞内の状態を示す蛍光顕微鏡写真である(セルラーゼ担持カーボンナノチューブ及び核酸の観察)。 図7Dは、外来物質導入後の標的細胞内の状態を示す蛍光顕微鏡写真である(セルラーゼ担持カーボンナノチューブ及び核酸の明視野観察)。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、細胞壁分解酵素を担持したカーボンナノチューブの製造方法、当該カーボンナノチューブを標的細胞を含む処理対象(典型的には細胞含有処理液)に供給する方法)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、所望する外来物質の供給手段や調製方法)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示される方法は、上述のとおり、適当な細胞壁分解酵素を担持したカーボンナノチューブを所定の外来物質と共に標的細胞に供給することで特徴付けられる方法であり、本発明の目的を実現する限り、使用するカーボンナノチューブの性状、細胞壁分解酵素の種類、標的細胞の種類、処理対象の構成(例えば処理液の組成)、培地(具体的には本発明に係る導入処理前の細胞を培養する培地、処理液、処理後の細胞を培養する培地)の組成には特に制限はない。
本発明の方法を適用する標的細胞すなわち「細胞壁を備える細胞」としては、細胞壁を有する種々の生物の細胞を用いることができる。高等植物の細胞壁は、セルロースから成る微小な繊維間をペクチンやヘミセルロースといった多糖類マトリックスが満たして構成されている。また、細菌類の細胞壁はペプチドグリカンを主要構成成分とする。また、糸状菌の細胞壁はキチンやβ−1,3−グルカンを主要構成成分とする。従って、標的細胞に応じて使用する細胞壁分解酵素が異なり得る。
本発明の実施にあたって好適に利用される細胞壁分解酵素としては、セルロースを切断するセルラーゼ、ペクチンを切断するペクチナーゼ、ヘミセルロースを切断するヘミセルラーゼ、キチンを切断するキチナーゼ、β−1,3−グルカンを切断するβ−1,3−グルカナーゼ、細菌類の細胞壁を分解するリゾチーム、等が挙げられる。
特に本発明は、上述したような従来の導入方法の適用が困難であった植物細胞(典型的には高等植物)を標的細胞とする態様が好ましい。
なお、本発明を適用する処理対象における標的細胞の存在形態は特に限定されない。典型的には、細胞懸濁液を処理対象(処理液)とするが、処理液中に植物生体組織の一部(例えば葉、根、茎、種子、花粉、花弁、或いはカルス)を含有させてもよい。或いはまた植物体の一部に水滴状に処理液(即ちカーボンナノチューブ及び外来物質を含む液)を添加した態様、或いは当該処理液に植物体の一部を浸漬した態様も、本明細書における「標的細胞を含む処理対象」に包含される。
植物細胞を標的細胞とする場合、細胞壁分解酵素としてセルラーゼの使用が特に好ましい。セルラーゼは、β−1,4−グルカン(セルロース)のグリコシド結合を加水分解する酵素であれば特に制限無く使用し得るが、特にエンドグルカナーゼとして作用するもの(EC 3.2.1.4)が好適である。また、エンドグルカナーゼとして作用するセルラーゼと、エキソグルカナーゼ(セロビオヒドロラーゼ:EC 3.2.1.91)として作用するセルラーゼとを組み合わせて使用してもよい。
なお、使用するセルラーゼの起源は特に限定されず、一般に市販されているものを使用することができる。例えば、糸状菌(アスペルギルス属等)の産生したセルラーゼ精製品を購入し、使用することができる。
使用するカーボンナノチューブの性状や製法は特に限定されない。SWNT、MWNT等を使用し得る。処理液中でランダム且つ活発に運動して標的細胞への接触頻度を向上させ得るという観点から、比較的全長(鎖長)が短いものが好ましい。例えば、全長(平均値)が10μm以下であるカーボンナノチューブ、特に全長(平均値)が5μm以下(例えば0.1μm〜5μm)程度の短鎖カーボンナノチューブが好適である。特に全長(平均値)が1μm以下(例えば0.1μm〜1μm)程度の短鎖カーボンナノチューブが好適である。直径は特に限定されず、200nm以下、例えば1〜200nm程度が好適である。
この種の短鎖カーボンナノチューブは金属(触媒)微粒子を成長核として使用し、炭化水素等のカーボン含有ガスを材料として用いる化学的気相成長(CVD)法によって好ましく製造される。また、この方法で得られるカーボンナノチューブは配向性が高く、外形が比較的揃った同形態・同性質のカーボンナノチューブを大量に調製し得るため好ましい。従って、化学的気相成長(CVD)法によって製造された短鎖カーボンナノチューブは本発明の実施にあたって好適に利用することができる。例えば、カルベール(登録商標)という製品名(GSIクレオス社製品)で知られる比較的鎖長が短く、底の開いたコップを重ねたような積層構造の多層型カーボンナノチューブを好適に使用することができる。このような形態の比較的短いカーボンナノチューブは処理液中でランダム且つ活発に並進運動(位置を変える運動)や回転運動を行うため、本発明の実施に好適である。
カーボンナノチューブにセルラーゼ等の細胞壁分解酵素を担持させる(固定化する)方法は、従来より行われていた一般的な方法で行えばよい。例えば、カーボンナノチューブを酵素溶液に添加することにより、カーボンナノチューブの表面に酵素を固定化することができる。好ましくは、カーボンナノチューブに対して酸処理、オゾン処理、プラズマ処理、加熱処理等によりカーボンナノチューブの表面を酸化することによって、カーボンナノチューブ表面上に種々の官能基(例えばカルボキシル基、水酸基)を生じさせ得る。これにより、当該官能基を利用し、セルラーゼ等の細胞壁分解酵素とカーボンナノチューブとを化学結合することができる。なお、カーボンナノチューブへの官能基の導入方法(酸処理、プラズマ処理、オゾン処理、加熱処理等)は従来公知の方法であって、本発明を特徴付ける技法ではないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
本発明を実施して標的細胞(植物細胞等)に導入する外来物質としては、目的に応じて種々の天然物質(典型的には、DNA、RNA等のポリヌクレオチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、脂質、糖類、DNAと種々の有機ポリマー(例えばポリペプチド)との複合体のような生体分子、或いは、粒子状の金属や金属化合物若しくはセラミックその他の無機物質、或いは不溶性の高分子や有機体)、或いは人工的に構築した物質(典型的には、種々の人工ベクターや組換え遺伝子、リポソーム、非天然型酵素のような人工タンパク質)が採用される。特に、本発明は、植物細胞等の形質転換体を得るために好適な方法であり得るため、遺伝子であるポリヌクレオチドそれ自体或いは当該遺伝子を含むように構築された各種のベクターを外来物質として好適に使用し得る。
本発明の方法では、カーボンナノチューブに担持された細胞壁分解酵素の作用によって標的細胞の細胞壁に生じた微小な孔(典型的には直径がナノサイズのホール)を利用して主として物理的に外来物質が導入され得るため、外来物質に特別の前処理を施す必要はなく、従来の外来物質の細胞への導入方法に準じた前処理を行えばよい。例えば、DNA又はRNAから成る遺伝子やベクターのようなポリヌクレオチドを外来物質として使用する場合、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法等の従来の遺伝子導入方法と同様に外来物質(及びそれを含む溶液や培地)を調製すればよい。
また、本発明の導入法を行うための処理対象(例えば細胞懸濁液)には、細胞壁分解酵素が効率よく作用し得るためのコンディション(pHや塩の濃度、等)を整え、細胞の生存に必要な栄養素、薬品類(各種培地、抗生物質、pH調整用の塩類など)を添加することに加えて、外来物質の導入効率を向上し得る成分を含ませることが好ましい。
例えば、典型例として界面活性剤が挙げられる。アルキルグリコシド類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコール類)、ショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド類、ポリビニルアルコール類のような非イオン性界面活性剤の使用が好ましい。なかでも比較的低分子量の界面活性剤であるアルキルグリコシド類の使用が特に好ましい。例えば、n−オクチル−β−D−グルコシド、n−オクチル−β−D−マルトシド、n−デシル−β−D−マルトシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、等が挙げられる。また、アルキルトリメチルアンモニウム塩類、ジアルキルジメチルアンモニウム塩類、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩類、アミン塩類のようなカチオン性界面活性剤を使用することができる。なお、かかる界面活性剤は上記処理液に添加することに加えて、前記外来物質導入用溶液を調製する際に用いることができる。
従って、これら界面活性剤類は、本発明によって提供される外来物質導入用キットの構成要素として好ましい。
外来物質を処理液(即ち標的細胞)に直接供給してもよいが、外来物質の性状に応じて導入用のキャリア(carrier)に担持(若しくは含有)させて供給してもよい。ここでキャリアとは外来物質を細胞内に供給するための媒体(運搬体)をいう。例えば、リポソーム、金属(金、タングステン等)や無機物(例えばシリコン化合物)から成る粒子やウイスカー、アルギン酸ビーズ、ウイルス性物質(例えばコートタンパク質)が挙げられる。
従って、本発明によって提供される外来物質導入用キットの好適な態様として、このような導入用キャリアの少なくとも1種類を備えるものが挙げられる。
また、ある特定の外来物質を導入するためのキット(例えば当該特定の外来物質として、所定のアミノ酸配列から成るペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチド)若しくはタンパク質、所定の塩基配列から成るポリヌクレオチド、等を予め備えているキット)もまた本発明により提供することができる。
なお、本発明によって提供されるキットには、上述したような主要構成要素(酵素、カーボンナノチューブ、界面活性剤、所望により外来物質やキャリア)の他に、後述する幾つかの実施例で挙げられているような、外来物質導入法を行うために使用され得る種々の試薬類、溶媒、器具類(典型的には滅菌済みでディスポーザブルなチューブ、ディッシュ等の容器類)を含み得る。これらは、オプションとしてキットに含ませるものであればよく、これら副次的な成分や器具類の有無で本発明のキットに関する権利範囲及び技術的範囲が変動するものではない。
以下の実施例によって、本発明の外来物質導入方法を詳細に説明するが、本発明を以下の実施例に限定することを意図したものではない。
<第1実施例>
本実施例では、標的細胞として高等植物であるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)から採取した胚軸由来の植物細胞懸濁液を使用した。かかる細胞懸濁液は以下のようにして調製した。培地はMS培地(30g/Lのサッカロース、0.2g/Lのミオイノシトールを添加したもの。以下同じ。)を使用した。
即ち、滅菌したシロイヌナズナの種子を8g/Lの寒天含有MS培地(pH5.7)を含むプレート上で培養し(暗条件)、発芽後、胚軸をナイフで切り取って採取した。次いで、採取した胚軸組織を、0.5mg/Lのベンジルアミノプリン(BAP)、1mg/Lのナフタレン酢酸(NAA)、1mg/Lのインドール酢酸(IAA)、1mg/Lの2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)を含むカルス培養用MS培地(pH5.7)に8g/Lの寒天を加えて調製したカルス培養用MS寒天培地に移した。そして、暗条件下でカルスが形成されるまで約4週間ほど培養を継続した。生じたカルスは4週間毎に継代培養した。培養は暗条件下、23±1℃で行った。
次に、約1gのカルスを50mLの上記カルス培養用MS培地を含む100mL容積のエルレンマイアーフラスコ(三角フラスコ)に添加し、ゆっくりと回転させることによってカルス組織をバラバラにして細胞懸濁液を調製した。培養フラスコは軌道シェーカーに載せ、100rpmで回転培養した。培養は暗条件下、23±1℃で行った。細胞培養液(懸濁液)は4週間毎に継代培養した。
一方、本実施例では、細胞壁分解酵素として市販されるセルラーゼを用いた。また、カーボンナノチューブとして上記のカルベール(登録商標)を製造元より購入して使用した。このカーボンナノチューブ材料には概ね数μm〜数十μm程度の長い鎖長のものも含まれているが、顕微鏡・AFM観察から求めた平均鎖長(全長)は約0.5μmであった。そして以下のようにしてセルラーゼ担持カーボンナノチューブを調製した。
先ず、20mgの上記カーボンナノチューブを60%の硝酸に添加し、30分間の超音波処理を行った。その後、120℃で12時間の還流加熱を行った。これにより、供試カーボンナノチューブの表面に官能基としてカルボキシル基を導入した。
上記加熱処理終了後、孔径0.2μmのポリアセテート膜によってろ過し、カルボキシル基導入カーボンナノチューブを回収した。回収したカーボンナノチューブは適量の純水にて6回洗浄し、80℃で一晩乾燥させた。
次いで、1mgのカルボキシル基導入カーボンナノチューブを、1mLのMES(2-(N-Morpholino)ethanesulfonic Acid)バッファーに混合し、10分間の超音波処理を行った。
次に、400mMのEDC(1-(3-(dimethylamino)propyl)-3-ethylcarbodiimide hydrochloride)溶液と100mMのNHSS(N-hydroxysulfosuccinimide)溶液とを1mLずつ上記カルボキシル基導入カーボンナノチューブ含有MES液1mLに添加し、15分間よく攪拌・混合した。これによってカーボンナノチューブ表面のカルボキシル基の活性化が行われた。そして15000rpmで5分間の遠心分離を行い、上清を捨てた。このEDC及びNHSS溶液での混合攪拌と遠心分離処理を計6回繰り返した。
次に、上記のようにして調製したカーボンナノチューブの表面にセルラーゼを固定化した。なお、セルラーゼはシグマ社製の品番C1794−5KUを購入し、使用した。
具体的には、pH7に調整された0.1Mリン酸バッファー中に上記カーボンナノチューブを分散させた。そこに上記購入したセルラーゼ粉末を10mg/mLとなるように添加した。そして室温条件下、一晩攪拌した。これにより、カーボンナノチューブ表面のカルボキシル基とセルラーゼ分子中のアミノ基とのアミド結合によってセルラーゼが表面に固定化された「セルラーゼ担持カーボンナノチューブ」が得られた。
翌日、上記分散液に15000rpmで7分間の遠心分離を行い、上清を捨てた。次いで、遠心分離回収物(即ちセルラーゼ担持カーボンナノチューブ画分)をムラシゲ&スクーグ培地(Murashige and Skoog medium:以下「MS培地」という。)にて洗浄した。この遠心分離処理と洗浄処理を4回繰り返した。そして、最終的に10%(w/v)のn−オクチル−β−D−グルコシド含有MS培地1mLを遠心分離回収物に添加し、セルラーゼ担持カーボンナノチューブ分散液(外来物質導入用溶液)を得た。なお、当該分散液は4℃で保存しておき、使用する毎に界面活性剤n−オクチル−β−D−グルコシドを含有するMS培地で希釈したものを用いることができる。
調製したセルラーゼ担持カーボンナノチューブの様子を原子間力顕微鏡(AFM)にて観察した。カンチレバー先端の曲率は20nmである。
結果を図1A及び図1Bに示す。図1Aはカーボンナノチューブの表面にセルラーゼを固定化する前のカーボンナノチューブを観察した顕微鏡写真であり、図1Bは上記調製後のセルラーゼを固定化した後のカーボンナノチューブを観察した顕微鏡写真である。なお、図中の黒色の矢印は本実施例で用いたカーボンナノチューブであるカルベール(登録商標)の特徴である底の開いたコップを重ねたような積層構造を示す。また、白色の小さい方の矢印はカーボンナノチューブを、白色の大きい方の矢印はセルラーゼを示す。
これら図面から明らかなように、調製前の図1Aではカーボンナノチューブの表面には何も付着していないが、図1Bではカーボンナノチューブの表面にセルラーゼが固定化している様子が観察された。
外来物質として直径が1〜10nm程度の量子ドット、具体的にはセレン化カドミウム(CdSe)粒子を使用した。この量子ドットは、インビトロジェン(Invitrogen)社から購入した。
具体的には、入手したCdSe粒子はトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)と120℃で2時間反応させた。そして、0.2μmのシリンジフィルタを用いて濾過した。濾過したCdSe粒子を0.5mgのセルラーゼ担持カーボンナノチューブを含む分散液(外来物質導入用溶液)に添加し、室温で2時間そのまま静置した。そして15000rpmで5分間の遠心分離を行い、上清を捨てた。遠心分離回収物をMS培地にて計4回洗浄して、余剰のCdSe粒子を除去し、CdSe粒子が吸着したセルラーゼ担持カーボンナノチューブ(CdSeを含む外来物質導入用溶液)を得た。このCdSe粒子は、細胞内において蛍光プローブとして機能するものであり、この粒子が植物細胞内に導入された場合には、蛍光検出によって容易に観察することができる。
上記のように調製したCdSe粒子を吸着したセルラーゼ担持カーボンナノチューブ(CdSeを含む外来物質導入用溶液)を10%(w/v)のOG含有細胞懸濁液10mLに添加した。その後、37℃で培養し、添加後1時間、2時間、3時間、5時間経過したときの細胞の様子を蛍光顕微鏡にて観察した。なお、光源は水銀ランプを使用した。励起波長は480nmである。
結果を図2A〜図2Dに示す。図2Aはカーボンナノチューブ添加後1時間経過時の細胞を示し、図2Bは2時間経過時の細胞を示し、図2Cは3時間経過時の細胞を示し、図2Dは5時間経過時の細胞を示す。
これら図面(顕微鏡写真)から明らかなように、セルラーゼ担持カーボンナノチューブの利用により、標的植物細胞の細胞壁に穴をあけて目的の外来物質(ここでは量子ドット)を速やかに且つ簡便に細胞内に導入することができる。なお、セルラーゼ担持カーボンナノチューブ添加から5時間経過した後は、細胞内に導入された量子ドットの大半が小胞(液胞)内に存在していることが観察された。
また、図3に示すように、処理に使用したセルラーゼ担持カーボンナノチューブもまた細胞壁、細胞膜を通過して細胞内に入り込んだことが、顕微鏡観察(透過照明による明視野観察)によって確認された。図示するデータはセルラーゼ担持カーボンナノチューブ添加から30秒経過した時点のものである。また、細胞内に入り込んだカーボンナノチューブは次第に小胞(液胞)に集積されていくことが観察された。
しかしながら、カーボンナノチューブ自体の導入による細胞障害性は認められず、カーボンナノチューブ自体の細胞内への導入は細胞の維持の観点から問題はなかった。
また、図2A〜Dに示す結果がカーボンナノチューブのセルラーゼ活性に因ることを確かめるべく、上記調製したセルラーゼ担持カーボンナノチューブ分散液(外来物質導入用溶液)10mLに、200mgの市販のセルロース粉末(シグマ社製品)を添加して攪拌混合し、セルロース処理液を調製した。得られた処理液を37℃で一晩インキュベーションした。
インキュベーション終了後、セルロース処理液(加水分解液)を、日立SV1100装置により電気泳動を行って調べた。その結果、図4に示すグラフから明らかなように、セルロースの加水分解産物であるグルコース(図中のMigration Time:80秒付近にあるピーク)と、セロビオース(図中のMigration Time:100秒付近にあるピーク)とが検出された。このことは、本実施例で使用したカーボンナノチューブに担持(固定化)されているセルラーゼが酵素活性を失っておらず、細胞処理液(細胞懸濁液)中でセルロースを分解し得る機能を維持していることを示すものである。
なお、図5は本実施例に係る外来物質導入方法の概要図である。符号1は植物細胞、2はセルラーゼ担持カーボンナノチューブ、3は量子ドットを示す。この図は、カーボンナノチューブに固定化されたセルラーゼによって生じた微小な孔4から量子ドット3及びカーボンナノチューブ2が植物細胞1内に導入される状態を描いたものである。
さらに、標的植物細胞(Arabidopsis thaliana)内へ外来物質を導入するにあたり、界面活性剤n−オクチル−β−D−グルコシド(以下、「OG」という。)及び細胞壁分解酵素セルラーゼが導入効率に及ぼす影響について調べた。
上述のとおり調製したCdSe粒子を吸着したセルラーゼ担持カーボンナノチューブ(CdSeを含む外来物質導入用溶液)を0.75%(w/v)〜15%(w/v)の異なる濃度のOG含有細胞懸濁液にそれぞれ添加し、25℃で3時間培養した。培養後のそれぞれの植物細胞内への導入効率を調べた。また、セルラーゼを担持しないカーボンナノチューブを用いた場合の導入効率についても同様の方法を用いて調べた。その結果を表1に示す。
表1に示す結果から明らかなように、OG含有細胞懸濁液(以下、「OG溶液」という。)のOG濃度が高いほど導入効率が大きくなることが示された。
10%(w/v)のOG溶液に添加したとき最も導入効率が大きく20.2%であった。しかしながら、15%(w/v)のOG溶液に添加した場合では、10%(w/v)のOG溶液に添加したときの導入効率よりも小さくなり17.5%であった。また、OGを含有しない細胞懸濁液で導入を試みた場合、導入効率が3%と顕著に低下することが示された。
一方、OGを含有しない細胞懸濁液、且つセルラーゼを担持しないカーボンナノチューブを用いた場合では、導入効率が0%であったのに対し、セルラーゼを担持しないカーボンナノチューブであっても10%(w/v)のOGを含有するOG溶液に添加した場合では導入効率が9%であった。このことから、効率良く植物細胞内への外来物質を導入するには、OGとセルラーゼの存在、特にOGの存在が関係することが示された。また、導入効率はOG溶液の濃度に依存することが示された。
さらに、細胞懸濁液を含まない0.75%(w/v)、6%(w/v)、及び10%(w/v)のOG溶液を用意し、セルラーゼ担持カーボンナノチューブ(外来物質導入用溶液)をそれぞれのOG溶液に添加してカーボンナノチューブの様子を電子顕微鏡下で観察撮影した。
その結果、図示しないが、0.75%(w/v)のOG溶液に添加したときはカーボンナノチューブのランダムな運動をほとんど観察することができなかったが、6%(w/v)及び10%(w/v)のOG溶液に添加したときカーボンナノチューブが並進、回転等のブラウン運動をする様子を観察した。またその運動は10%(w/v)のOG溶液に添加したときの方が活発であることが確認された。
これにより、細胞培養液あるいはセルラーゼ担持カーボンナノチューブ(外来物質導入用溶液)に予めOGを添加することにより、セルラーゼ担持カーボンナノチューブのランダムな動きを一層促進し得ることができることが確認された。
<第2実施例>
本実施例では、標的細胞として高等植物であるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)から採取した胚軸由来の細胞懸濁液を使用した。かかる細胞懸濁液の調製方法は上述の第1実施例と同じである。
一方、実施例1と同様にして作製したセルラーゼ担持カーボンナノチューブ2.5mgを、2.5mLの10%(w/v)n−オクチル−β−D−グルコシド含有MS培地に添加し、本実施例に係るセルラーゼ担持カーボンナノチューブ分散液を得た。
得られた分散液を直径3.5cmのペトリディッシュ5個に分注した。次いで、各ペトリディッシュに上記細胞懸濁液0.5mLを添加した。そして、注意深くかき混ぜた。
本実施例では、外来物質としてネオマイシンホスホトランスフェラーゼII遺伝子、ガラクトシダーゼ遺伝子を包含する市販の植物細胞用DNAベクター(クロンテック(Clontech)社製品のpBI系ベクター、ここではpBI121)を使用した。
具体的には、このDNAベクターをMS培地で希釈し、各ペトリディッシュにDNA濃度が2.5μg/mL,5μg/mL,7.5μg/mL,10μg/mL,12.5μg/mLの5段階となるように添加した。
上記のようにカーボンナノチューブとDNAベクターを添加した細胞懸濁液(処理液)を25℃で3時間培養した。
培養終了後、懸濁液中の細胞を、1mg/mLの2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D;合成オーキシン)と0.5mg/mLのカイネチン(N−furfuryladenine;サイトカイニンのアナログ)とを含むMS培地に移して25℃で24時間培養した。
その後、細胞を回収し、上記濃度の2,4−D及びカイネチンを含み、更に50μg/Lのカナマイシンを含むMS培地で当該回収した細胞を25℃で培養を更に継続した。
カナマイシン含有MS培地で培養を開始して40日後、培養細胞の生存を確認した。このことは、培養中の植物細胞中に上記DNAベクターが導入され、そのベクターに含まれるカナマイシン耐性遺伝子(ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII遺伝子)が発現していることを示している。従って、本実施例においても本発明の方法によって容易に且つ簡便に目的の外来物質(特に遺伝子等の生体分子)を植物細胞内に導入し得ることが確認された。また、本実施例は、本発明の導入方法を実施することによって形質転換植物細胞が容易に得られることを示している。
<第3実施例>
本実施例では、外来物質としてGFP(Green Fluorescent Protein)発現遺伝子を包含する市販の植物細胞用DNAベクター(インビトロジェン(Invitrogen)社製品のpBI系ベクター、ここではpBI−GW−NOSベクター)を使用した。なお、外来物質を変更した以外は、第1実施例と同様の方法により、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)から採取した胚軸由来の細胞懸濁液及びセルラーゼ担持カーボンナノチューブを調製したものを使用した。
具体的には、10μgのセルラーゼ担持カーボンナノチューブを含む外来物質導入用溶液にpBI−GW−NOSベクターを濃度750ng/μLとなるように添加して、25℃で2時間静置した。その後、該溶液を10%(w/v)のOG含有細胞懸濁液(1μLあたり10cellを含む)10mLに添加し、25℃で培養した。
培養48時間後、GFPの発現を確認した。図6は培養後のArabidopsis thaliana細胞の三次元再構築像である。
図6から明らかなように、Arabidopsis thaliana細胞中に緑色に発光するGFPの発現が確認された。また、細胞内部にはカーボンナノチューブが多数存在することが確認された。このことは、植物細胞中にpBI−GW−NOSベクターが導入され、そのベクターに含まれるGFPが発現していることを示している。また、本実施例の導入効率は平均6%であった。
従って、本実施例においても本発明の方法によってセルラーゼ担持カーボンナノチューブの利用により、標的植物細胞の細胞壁に穴をあけて目的の外来物質を速やかに且つ簡便に細胞内に導入し得ることが確認された。また、本実施例は、本発明の導入方法を実施することによって形質転換植物細胞が容易に得られることを示している。
<第4実施例>
本実施例では標的細胞として他の高等植物であるマメ科のカンゾウ(Glycyrrhiza glabra)から採取した胚軸由来の細胞懸濁液を使用し、セルラーゼ担持カーボンナノチューブの細胞内への導入を試みた。かかる細胞懸濁液は以下のようにして調製した。培地はリンスマイヤー&スクーグ培地(Linsmaier and Skoog medium:以下「LS培地」という。)を使用した。なお、標的細胞を変更した以外は、第1実施例と同様の方法により調製したセルラーゼ担持カーボンナノチューブ及び外来物質を使用した。
即ち、滅菌したカンゾウの種子から採取した胚軸組織を、0.1mMのナフタレン酢酸(NAA)、1μMのベンジルアデニン(BA)を含むカルス培養用LS培地(pH5.8)に寒天を加えて調製したカルス培養用LS寒天培地に移した。そして、暗条件下でカルスが形成されるまで約3週間ほど培養を継続した。生じたカルスは3週間毎に継代培養した。培養は暗条件下、25℃で行った。
次に、カルスを25mLの上記カルス培養用LS培地に添加し、ゆっくりと回転させることによってカルス組織をバラバラにして細胞懸濁液を調製した。培養は暗条件下、25℃で行った。細胞培養液(懸濁液)は4週間毎に継代培養した。
第1実施例と同様の方法により調製したCdSeを吸着したセルラーゼ担持カーボンナノチューブ(CdSeを含む外来物質導入用溶液)を10%(w/v)のOG含有細胞懸濁液10mLに添加し、25℃で8時間の培養を行った。
培養後、細胞の様子を蛍光顕微鏡にて観察した。かかる観察時に撮影した写真を図7A〜図7Dに示す。いずれも同一視野を撮影したものである。図7Aは、緑色に発光するCdSeを吸着したセルラーゼ担持カーボンナノチューブを撮影した写真である。図7Bは、DAPIで染色した標的細胞の核酸を撮影した写真である。図7Cは、セルラーゼ担持カーボンナノチューブ及び核酸を撮影した写真である。図7Dは、透過照明による明視野観察写真である。
これら図7A〜図7Dから明らかなように、緑色に発光するセルラーゼ担持カーボンナノチューブは細胞内、特に核内で多く確認された。これは細胞内に導入されたセルラーゼ担持カーボンナノチューブは小胞(液胞)内に輸送され、核内にも局在していることを示している。従って、本発明の方法によってセルラーゼ担持カーボンナノチューブの利用により、標的植物細胞であるGlycyrrhiza glabraの細胞壁に穴をあけて目的の外来物質を速やかに且つ簡便に細胞内に導入し得ることが確認された。また、本実施例は、本発明の導入方法を実施することによって形質転換植物細胞が容易に得られることを示している。
以上のように本発明によると、細胞壁分解酵素を担持したカーボンナノチューブを使用することによって、従来の外来物質導入のための煩雑で成功確率の低い技法に代えて、簡便且つ容易に所望する外来物質を細胞壁を備える細胞(特に植物細胞)に導入することができる。
また、外来物質として標的細胞内で発現可能な遺伝子(ポリヌクレオチド)や遺伝子構築物(ベクター等)を導入することによって、目的の形質転換体を容易に得ることができる。
また、本発明の方法は、上記試験例に限られず、例えばプラスミドDNA以外のポリヌクレオチド(アンチセンスオリゴDNA、RNA等)、タンパク質(酵素等)、或いは機能性ペプチド、オリゴ糖等の低分子物質を封入物質とする微小カプセルの製造にも好適に適用できる。また、本方法に使用する基材は従来の方法で使用されるマイクロチップと同様に容易に量産することができる。

Claims (13)

  1. 細胞壁を備える細胞に外来物質を導入する方法であって、
    少なくとも1種の細胞壁分解酵素を担持した全長(平均値)が10μm以下のカーボンナノチューブを用意すること、
    前記細胞を含む処理対象に、前記細胞壁分解酵素担持カーボンナノチューブ及び導入対象である外来物質を供給すること、
    前記細胞に接触したカーボンナノチューブの有する前記分解酵素の作用によって該細胞の細胞壁を分解すること、および、
    前記細胞壁が分解された部位より前記細胞内に目的の外来物質が導入されること、
    を包含する方法。
  2. 前記酵素として、少なくとも1種のセルラーゼを使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記用意した細胞壁分解酵素担持カーボンナノチューブを界面活性剤を含む溶液に予め添加して外来物質導入用溶液を調製し、該調製した溶液を前記細胞を含む処理対象に供給する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記細胞処理対象が前記細胞を含有する処理液であり、該細胞処理液が界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記界面活性剤としてn−オクチル−β−D−グルコシドを使用することを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 前記外来物質としてポリヌクレオチドを導入することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記細胞が植物細胞であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の方法によって外来物質および全長(平均値)が10μm以下の細胞壁分解酵素担持カーボンナノチューブが細胞内に導入されたことを特徴とする、細胞。
  9. 植物細胞であることを特徴とする、請求項8に記載の細胞。
  10. 細胞壁を備える細胞に外来物質を導入するためのキットであって、
    少なくとも1種の細胞壁分解酵素を担持する全長(平均値)が10μm以下のカーボンナノチューブと、
    少なくとも1種の界面活性剤を含む外来物質導入用溶液と、
    を備える、外来物質導入用キット。
  11. 前記酵素は、少なくとも1種のセルラーゼである、請求項10に記載のキット。
  12. 前記界面活性剤は、n−オクチル−β−D−グルコシドである、請求項10に記載のキット。
  13. 前記カーボンナノチューブには前記少なくとも1種の細胞壁分解酵素が担持されている、請求項10〜12のいずれかに記載のキット。
JP2009520446A 2007-06-21 2008-06-11 細胞壁を備える細胞に外来物質を導入する方法 Expired - Fee Related JP4469959B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007163867 2007-06-21
JP2007163867 2007-06-21
PCT/JP2008/060689 WO2008156021A1 (ja) 2007-06-21 2008-06-11 細胞壁を備える細胞に外来物質を導入する方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP4469959B2 true JP4469959B2 (ja) 2010-06-02
JPWO2008156021A1 JPWO2008156021A1 (ja) 2010-08-26

Family

ID=40156178

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009520446A Expired - Fee Related JP4469959B2 (ja) 2007-06-21 2008-06-11 細胞壁を備える細胞に外来物質を導入する方法

Country Status (6)

Country Link
US (1) US8420891B2 (ja)
EP (1) EP2169070B1 (ja)
JP (1) JP4469959B2 (ja)
CN (1) CN101688218B (ja)
AU (1) AU2008264598B2 (ja)
WO (1) WO2008156021A1 (ja)

Families Citing this family (28)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8614366B2 (en) 2009-09-06 2013-12-24 Stephen R. Wilson Methods for genetic plant transformation using water-soluble fullerene derivatives
WO2013040057A1 (en) 2011-09-13 2013-03-21 Monsanto Technology Llc Methods and compositions for weed control
US10806146B2 (en) 2011-09-13 2020-10-20 Monsanto Technology Llc Methods and compositions for weed control
US10829828B2 (en) 2011-09-13 2020-11-10 Monsanto Technology Llc Methods and compositions for weed control
US10760086B2 (en) 2011-09-13 2020-09-01 Monsanto Technology Llc Methods and compositions for weed control
BR112014009346B1 (pt) 2011-10-17 2020-09-15 Massachusetts Institute Of Technology Entrega intracelular
US10240161B2 (en) 2012-05-24 2019-03-26 A.B. Seeds Ltd. Compositions and methods for silencing gene expression
US10683505B2 (en) 2013-01-01 2020-06-16 Monsanto Technology Llc Methods of introducing dsRNA to plant seeds for modulating gene expression
AR095233A1 (es) 2013-03-13 2015-09-30 Monsanto Technology Llc Métodos y composiciones para el control de malezas
UA123082C2 (uk) 2013-03-13 2021-02-17 Монсанто Текнолоджи Ллс Спосіб та гербіцидна композиція для боротьби з видами рослин роду sorghum
US10568328B2 (en) 2013-03-15 2020-02-25 Monsanto Technology Llc Methods and compositions for weed control
CA2918387C (en) 2013-07-19 2021-11-02 Monsanto Technology Llc Compositions and methods for controlling leptinotarsa
US10124336B2 (en) 2013-08-16 2018-11-13 Massachusetts Institute Of Technology Selective delivery of material to cells
NZ719544A (en) 2013-11-04 2022-09-30 Beeologics Inc Compositions and methods for controlling arthropod parasite and pest infestations
UA119253C2 (uk) 2013-12-10 2019-05-27 Біолоджикс, Інк. Спосіб боротьби із вірусом у кліща varroa та у бджіл
CN106795515B (zh) 2014-06-23 2021-06-08 孟山都技术公司 用于经由rna干扰调控基因表达的组合物和方法
EP3161138A4 (en) 2014-06-25 2017-12-06 Monsanto Technology LLC Methods and compositions for delivering nucleic acids to plant cells and regulating gene expression
WO2016018887A1 (en) 2014-07-29 2016-02-04 Monsanto Technology Llc Compositions and methods for controlling insect pests
JP2017533702A (ja) 2014-10-31 2017-11-16 マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー 生体分子の免疫細胞への送達
EP3218492A4 (en) 2014-11-14 2018-10-10 Massachusetts Institute Of Technology Disruption and field enabled delivery of compounds and compositions into cells
CN107250373A (zh) 2015-01-12 2017-10-13 麻省理工学院 通过微流体递送实现的基因编辑
US10968449B2 (en) 2015-01-22 2021-04-06 Monsanto Technology Llc Compositions and methods for controlling Leptinotarsa
UY36703A (es) * 2015-06-02 2016-12-30 Monsanto Technology Llc Composiciones y métodos para la administración de un polinucleótido en una planta
AU2016270913A1 (en) 2015-06-03 2018-01-04 Monsanto Technology Llc Methods and compositions for introducing nucleic acids into plants
CA2988996A1 (en) 2015-07-09 2017-01-12 Massachusetts Institute Of Technology Delivery of materials to anucleate cells
EP3334831A1 (en) * 2015-08-13 2018-06-20 Forrest Innovations Ltd. Formulations and compositions for delivery of nucleic acids to plant cells
WO2017041051A1 (en) * 2015-09-04 2017-03-09 Sqz Biotechnologies Company Intracellular delivery of biomolecules to cells comprising a cell wall
CN112284861B (zh) * 2020-10-21 2023-02-17 上海市农业科学院 用于真姬菇担孢子显微观察的固定液、制备方法、固定方法及应用

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002325572A (ja) * 2000-12-25 2002-11-12 Univ Osaka 外来物質の導入方法
WO2006130150A2 (en) * 2004-06-23 2006-12-07 Hyperion Catalysis International, Inc. Functionalized single walled carbon nanotubes

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4843304B2 (ja) 2005-12-14 2011-12-21 富士通セミコンダクター株式会社 フォトマスクの製造方法、デバイスの製造方法、及び、フォトマスクのモニタ方法
US20080014471A1 (en) * 2006-07-13 2008-01-17 Battelle Memorial Institute Biomolecular hybrid material and process for preparing same and uses for same

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002325572A (ja) * 2000-12-25 2002-11-12 Univ Osaka 外来物質の導入方法
WO2006130150A2 (en) * 2004-06-23 2006-12-07 Hyperion Catalysis International, Inc. Functionalized single walled carbon nanotubes

Also Published As

Publication number Publication date
US20100248373A1 (en) 2010-09-30
EP2169070A1 (en) 2010-03-31
EP2169070A4 (en) 2010-08-04
US8420891B2 (en) 2013-04-16
JPWO2008156021A1 (ja) 2010-08-26
CN101688218A (zh) 2010-03-31
WO2008156021A1 (ja) 2008-12-24
CN101688218B (zh) 2012-10-31
AU2008264598A1 (en) 2008-12-24
AU2008264598B2 (en) 2014-06-19
EP2169070B1 (en) 2015-06-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4469959B2 (ja) 細胞壁を備える細胞に外来物質を導入する方法
US8993327B2 (en) Parallel macromolecular delivery and biochemical/electrochemical interface to cells employing nanostructures
US7132289B2 (en) Method for introducing foreign matters into living cells
Burlaka et al. Plant genetic transformation using carbon nanotubes for DNA delivery
Matthysse et al. Elaboration of cellulose fibrils by Agrobacterium tumefaciens during attachment to carrot cells
Berthing et al. Intact mammalian cell function on semiconductor nanowire arrays: New perspectives for cell‐based biosensing
Hao et al. Magnetic gold nanoparticles as a vehicle for fluorescein isothiocyanate and DNA delivery into plant cells
Wang et al. Carbon dots enable efficient delivery of functional DNA in plants
Xia et al. Highly efficient uptake of ultrafine mesoporous silica nanoparticles with excellent biocompatibility by Liriodendron hybrid suspension cells
EP3563673A1 (en) Method for introducing substance into plant
US8759054B2 (en) DNA loaded supported gold nanoparticles, process for the preparation and use thereof
Magnabosco et al. A plant bioreactor for the synthesis of carbon nanotube bionic nanocomposites
Rai et al. Nanoparticles-based delivery systems in plant genetic transformation
Hao et al. FITC delivery into plant cells using magnetic single-walled carbon nanotubes
WO2021054407A1 (ja) 導入装置、高分子の細胞導入方法、dnaナノ粒子結晶及びdnaナノ粒子結晶封入体の製造方法
Kalia Nanotechnology in bioengineering: transmogrifying plant biotechnology
JP6449057B2 (ja) ナノニードルアレイを用いた細胞への物質導入法
Dhir et al. Optimization and transformation of Arundo donax L. using particle bombardment
JP2010516253A (ja) 基質上における生物学的細胞の生存率を維持するための方法および装置
US11518999B1 (en) Plant transformation
US20090311767A1 (en) Method for molecular delivery into cells using naonotube spearing
CN116004727A (zh) 一种功能化碳纳米管递送载体及其制备方法
Bowling Imaging the cytoplasmic domain of the rosette cellulose-synthesizing terminal complex
CN109825529A (zh) 一种ldh纳米颗粒与核酸分子偶联物的制备方法
Lei et al. A simple and effective method to encapsulate tobacco

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100121

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130312

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130312

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140312

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees