JP4468101B2 - 金属材料及び表面処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な酸化皮膜構造を有する金属材料、及びマグネシウム又はその合金の表面処理方法に関し、特に、金属光沢、良好な平滑面、耐食性、耐磨耗性を有する金属材料、並びに表面に金属色、良好な平滑面、耐食性、耐磨耗性をもたらす高品質な皮膜を陽極酸化にて形成する表面処理方法に関する。
マグネシウム又はマグネシウム合金材料は、実用金属材料中最も軽く、切削性が良好で、強度/密度比が高く、且つダイカストにおける鋳造性がよいことからコンピュータ、オーディオ製品、通信機器、航空機、自動車材料等の筐体、構造体、各種部品等に広く用いられている。
しかし、マグネシウム又はマグネシウム合金は、大気中で酸化され表面に薄い酸化皮膜が形成されるために塗装が難しく塗膜の密着性も悪い。また、耐食性、対摩耗性等が低い。そのため、現状では同金属表面に化成処理を施した後、塗装を行うことが一般的であるが、塗装により寸法精度が低下すること、廃棄時又は再利用時に塗装膜の剥離が必要になること等の問題点を有している。
一方、化成処理の代わりに陽極酸化処理によりマグネシウムの酸化物、水酸化物からなる皮膜を形成し、この後に塗装処理を行うことも知られている。この場合、陽極酸化処理は、六価クロム酸塩やマンガン酸塩、過マンガン酸塩、リン酸塩等の重金属塩類を用いて行われている。この方法によってできる陽極酸化皮膜は、火花放電によって生じた孔径3〜30μm程度の大口径の孔や割れが不規則に多数存在しており皮膜表面には光沢がない。更に、これら重金属塩類を使用した陽極酸化は、重金属塩類による排水の汚染をもたらし、環境保全の観点から好ましいものではない。
重金属塩類を用いない陽極酸化処理に関して、本発明者は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩又は重炭酸塩を含む水溶液に皮膜形成安定剤を加えてなる電解液を用いて電解処理する方法を提案している(例えば、特許文献1参照。)。
特開平9−176894号公報
ところが、特許文献1に記載の方法で得られる酸化皮膜は、重金属塩類による工業排水の汚染の虞もなく、酸化皮膜の面粗さや孔サイズにおいても従来のクロム酸塩類を用いた方法に比べると良好になっているものの、光反射率(金属光沢)、平滑性、耐食性、塗膜密着性等には、更に改良の余地が残されている。
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、基材本来の金属光沢を残しつつ塗膜密着性、着色性が良好な金属材料、並びに基材本来の金属光沢を残しつつ塗膜密着性、着色性が良好な陽極酸化皮膜構造を形成するための表面処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため、電解処理電圧、電解液組成等の電解条件を変化させて陽極酸化処理を行った。その結果、特定条件下にて電解することによって、基材本来の金属光沢を残しつつ塗膜密着性、着色性がともに良好な陽極酸化皮膜が形成されることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであって、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材と、平均孔径5nm〜1000nm、長さ1μm〜50μmで、長さ/孔径の比が1以上の微細孔が1mmあたり1万個以上の密度で存在する膜厚が3〜50μmの表面層と、該表面層の底部にあって実質的に無孔のバリア層とからなる陽極酸化皮膜を備える。特に、表面層には、微細孔が1mmあたり10万個以上の密度で存在することが好ましい。
ここで、本発明に係る金属材料の表面層の光反射率は、計測角度85°にて反射率測定したとき60%以上とされている。
また、本発明は、アルカリ又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、ケイ酸塩、ケイフッ化塩から選ばれる少なくとも1種以上の塩を含む電解水溶液中にマグネシウム又はマグネシウム合金を浸漬し、これを電流密度0.7〜5A/dm、電圧2〜40Vにて火花放電を伴わずに電解することによって、表面に平均孔径5nm〜1000nm、長さ1μm〜50μmで長さと孔径の比が1以上の微細孔が1mmあたり1万個以上の密度で存在する表面層と該表面層の底部にあって実質的に無孔のバリア層とを有する陽極酸化皮膜を形成する。
本発明における陽極酸化皮膜は、長さ/孔径の比、いわゆるアスペクト比が1以上、好ましくは10以上の細長い微細孔を有し、これらが表面層からバリア層に向かって伸びており、その数は1mmあたり少なくとも1万個以上の密度で実質的に皮膜全体を覆っている。
表面層の厚さは3〜50μmが適当である。この膜厚が3μm以下であると十分な耐食性が得られ難く、また50μmを越えると十分な金属光沢が得られ難くなる。更に、この陽極酸化皮膜は、微細孔を有する表面層と、該表面層に続く極めて薄い実質的に無孔のバリア層とを有する。
陽極酸化皮膜は、酸化マグネシウム(MgO)と水酸化マグネシウム(Mg(OH))とが主体となって形成されており、その組成は、前者が0.1〜40%、後者が60〜99.5%の範囲で構成される。そのほかに、0〜30%の範囲でマンガン、チタン、モリブデン、ケイ素、タングステン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、コバルト、パラジウム、リン、硫黄、臭素、フッ素、ヨウ素、ホウ素、炭素、窒素、又はこれらの化合物、更に有機化合物としてヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、若しくはアミノ基を有する鎖状又は環状炭化水素を含有している。この陽極酸化皮膜におけるバリア層は、主として水酸化物により形成されている。
このような酸化皮膜を形成するには、マグネシウム又はマグネシウム合金をアルカリ又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、ケイ酸塩若しくはケイフッ化塩の1種以上を0.2〜7mol/L、好ましくはこれに皮膜形成安定剤を0.01〜5mol/Lの割合で含有させた電解水溶液中にて、電流密度0.7〜5A/dm、電圧4〜10Vで火花放電を伴わない陽極酸化処理する。
本発明に係る表面処理方法にて使用する電解水溶液には、アルカリ又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、ケイ酸塩若しくはケイフッ化塩を用いることができる。具体例としては、NaOH、KOH、Ba(OH)等の水酸化物、NaCO、KCO、CaCO、MgCO等の炭酸塩、NaHCO、KHCO、Ca(HCO等の重炭酸塩があげられ、これらを1種又は2種以上含有する水溶液が用いられる。また、電解液には液の寿命の向上を目的として皮膜形成安定剤を単独又は複数種混合して添加する。
上述のように調製された電解液中でのマグネシウム又はマグネシウム合金材料の陽極酸化処理の条件としては、電解浴温を50〜80℃とし、pH9以上の弱〜強塩基性とするとよく、電解処理を行う前にマグネシウム又はマグネシウム合金に対して酸による前処理を施しておくことが好ましい。
本発明に係る陽極酸化皮膜を有するマグネシウム及びマグネシウム合金は、平均孔径5nm〜1000nm、長さ1μm〜50μmで、長さ/孔径の比が1以上の微細孔が1mmあたり1万個以上の密度で存在する膜厚が3〜50μmの表面層と、該表面層の底部にあって実質的に無孔のバリア層とからなる陽極酸化皮膜を有し、表面層の光反射率が計測角度85°にて反射率測定したとき60%以上であることにより、良好な金属光沢を発現する。また、良好な塗膜密着性、着色性を備える。
また、本発明に係るマグネシウム及びマグネシウム合金の表面処理方法によれば、アルカリ又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、ケイ酸塩、ケイフッ化塩から選ばれる少なくとも1種以上の塩を含む電解水溶液中にマグネシウム又はマグネシウム合金を浸漬し、これを電流密度0.7〜5A/dm、電圧4〜10V、浴温度50〜80℃にて火花放電を伴わずに電解することによって、表面に平均孔径5nm〜1000nm、長さ1μm〜50μmで、長さ/孔径の比が1以上の微細孔が1mmあたり1万個以上の密度で存在する膜厚が3〜50μm表面層と該表面層の底部にあって実質的に無孔のバリア層とを有する陽極酸化皮膜が形成できる。この陽極酸化皮膜は、良好な金属光沢を発現する。また、良好な塗膜密着性、着色性を備える。
本発明に係る金属材料1は、図1に示すように、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材2と、平均孔径5nm〜1000nm、長さ1μm〜50μmで長さと孔径の比が1以上の微細孔3が1mmあたり1万個以上の密度で存在する表面層4と、該表面層4の底部にあって実質的に無孔のバリア層5とからなる陽極酸化皮膜6を備える。特に、この表面層4には、微細孔3が1mmあたり10万個以上の密度で存在するとよい。
このような表面に特定構造の微細孔3を有する酸化皮膜6を形成するには、マグネシウム又はマグネシウム合金をアルカリ又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、ケイ酸塩若しくはケイフッ化塩の1種以上を0.2〜7mol/L、好ましくはこれに皮膜形成安定剤を0.01〜5mol/Lの割合で含有させた電解水溶液中にて、電流密度0.7〜5A/dm、電圧2〜40Vで火花放電を伴わない陽極酸化処理することによって達成される。使用電流は、直流又は交流を整流した電流等が好ましい。
ここで特徴的な点は、電圧2〜40V、特に好ましくは4〜10Vという低電圧で火花放電を生じさせない条件で陽極酸化させながら酸化マグネシウムを形成させつつ、1μm以上の酸化皮膜を形成させることである。
従来の電解処理では、50V以上、特に通常90V以上の電圧で電解処理していたために火花放電が生じ、その結果3〜30μm以上の大きな孔を不規則に有する酸化皮膜が形成されていたため、酸化皮膜表面は光反射率が低く光沢がなかった。
本発明の条件で電解処理すると火花放電が起こらず、表面層4に形成される微細孔3の平均孔径が実質的に1μm以下の微細孔3で覆われ、更にその殆どは700nm以下であり、またこれら微細孔3の多くは、その孔径をほぼ保ったまま、或いは多少の広狭を伴いながら、表面層4からバリア層5に向かってほぼ垂直に形成される。このため、金属素材と実質的に変わらない光沢を有し、且つ耐食性、平滑性、耐摩耗性のよい酸化皮膜6が形成できる。
この表面処理方法にて使用する電解水溶液には、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、ケイ酸塩若しくはケイフッ化塩を用いることができる。具体例としては、NaOH、KOH、Ba(OH)等の水酸化物、NaCO、KCO、CaCO、MgCO等の炭酸塩、NaHCO、KHCO、Ca(HCO等の重炭酸塩があげられ、これらを1種又は2種以上含有する水溶液が用いられる。このアルカリ溶液の濃度は、0.2〜7mol/Lとすることが好ましい。0.2モル以下では形成される酸化皮膜にムラが発生し易くなり、7モル以上では粉ふきが生じ光沢のない灰色〜灰黒色となり目的とする酸化皮膜が得られない。
また、本発明では、電解液には液の寿命の向上を目的として皮膜形成安定剤を添加する。皮膜形成安定剤としては、無機化合物、有機化合物を用いることができ、具体的には、NaNO、CaNO、MgNO、NaSO、KSO、CaSO、MgSO等の鉱酸塩、KF、NHF等のフッ化物、NaSiO、NaSiO、KSiO等のケイ酸化合物NaSiF、MgSiF、(NHSiF等のケイフッ化物、有機化合物としては(CHOH)、(CHCHOH)O、(CHOH)CHOH等のアルコール類、(COOH)、(CHCHCOOH)、[CH(OH)COOH]、C(OHCOOH)、CCOOH、C(COOH)等のカルボン酸、C(SOH・COOH)、C(COOH・OH・SOH)等のスルホン基を有する有機化合物を用いることができる。
これらの皮膜形成安定剤は、単独でも混合して用いてもよい。特に、無機化合物と有機化合物とを組み合わせて使用すると液管理が容易となる。この皮膜形成安定剤の添加量は、電解液中に0.01〜5mol/Lの範囲であることが好ましい。0.01mol/L以下であると液の安定性が不十分となり、5mol/Lを越えると、形成される皮膜に、いわゆるかぶり、ムラ、スマット等の現象が生じてしまうためである。
上述のように調製された電解液中でのマグネシウム又はマグネシウム合金材料の陽極酸化処理の条件としては、電解浴温を30〜90℃、特に好ましくは50〜80℃とし、pH9以上の弱〜強塩基性とする。
なお、電解処理を行う前にマグネシウム又はマグネシウム合金に対して酸による前処理を施しておくことが好ましい。前処理に用いる酸としては、硫酸、硝酸、リン酸、クロム酸等の鉱酸、ギ酸、シュウ酸、安息香酸等の一価又は多価脂肪族カルボン酸や芳香族カルボン酸、スルホン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上の酸を用いることができる。
以上のように、本発明方法を用いて形成される陽極酸化皮膜6は、酸化マグネシウム(MgO)と水酸化マグネシウム(Mg(OH))とを主体として形成されており、その組成は、前者が0.1〜40%、後者が60〜99.5%の範囲で構成される。このほかに、0〜30%の範囲でマンガン、チタン、モリブデン、ケイ素、タングステン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、コバルト、パラジウム、リン、硫黄、臭素、フッ素、ヨウ素、ホウ素、炭素、窒素、又はこれらの化合物、更に有機化合物としてヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、若しくはアミノ基を有する鎖状又は環状炭化水素を含有している。また、この陽極酸化皮膜6におけるバリア層5は、主として水酸化物により形成されている。
本発明方法により形成された陽極酸化皮膜6は、長さ/孔径の比、いわゆるアスペクト比が1以上であり、表面層4からバリア層5に向かって形成される細長い微細孔3によって、1mmあたり少なくとも1万個以上の密度で覆われている。したがって、実質的に酸化皮膜6の表面全体がこの微細孔3によって覆われていることになる。ここで、実質的とは皮膜全体の約80%以上を占めていることを意味する。微細孔3の占める割合が80%以下になると酸化皮膜6の光沢が低下し、本発明の目的に合致しない。なお、ここでアスペクト比は、10以上であることが好ましい。
また、表面層4の厚さDは3〜50μmが適当である。この膜厚Dが3μm以下であると十分な耐食性が得られ難く、また50μmを越えると十分な金属光沢が得られ難くなる。更に、この陽極酸化皮膜6は、図1に示すように、微細孔3を有する表面層4と、該表面層4に続く極めて薄い実質的に無孔のバリア層5とを有しているが、バリア層5は、孔径が5nm以下程度の測定不能に近い超微少細孔があってもよい。
また、ダイヤカット面を計測角度85゜で測定したときの光反射率を100%として光反射率を測定したところ、陽極酸化処理前の基材、例えばマグネシウム合金元来の光反射率が84%であるのに対して、本発明に係る陽極酸化皮膜6は、光反射率が最低でも60%を保持し、微細孔3の平均孔径が500nm、50nmと小さくなるにしたがって光反射率が68%から87%へと向上する。特に、平均孔径が50nm程度になると基材2の持つ光沢よりも優れた光沢を有するという顕著な効果を奏する。このように、本発明に係る陽極酸化皮膜2は、マグネシウム自体又はマグネシウム合金自体の金属光沢と同等、若しくは同等に近い光沢を有する。
したがって、本発明に係る金属材料1は、基材2を成形加工後に、本発明方法による陽極酸化処理することにより、表面に光沢を付与するための種々の処理を施すことなく、そのままで十分実用に供することができる。
また、本発明方法に係る表面処理が施されて形成された酸化皮膜5は、塗膜密着性、着色性も良好であるため、必要に応じて、染料・顔料含有浴に浸漬すること又は電解着色によって着色してもよい。この場合、基材2が本来有する金属光沢を十分に維持したまま鮮明な着色ができる。
なお、本発明に係る金属材料1においては、表面層4上には、封孔層7が設けられる。封孔層7は、表面層4に形成された微細孔3内に水分等の異物が侵入しないようにし、さらに、このような表面層4が形成された金属材料1の耐食性の向上を図るために設けられる。
封孔層7は、表面層4上に透明な合成樹脂製の塗料を塗布し、あるいはこのような塗料を含有する塗液に金属材料1を浸積することによって形成される。
また、封孔層7は、無機材料を含むシリケート液に金属材料1を浸積することにより形成される。ここで得られる封孔層7は、酸化被膜層4を透視し得る光透過性を有する被膜として形成される。
以下、本発明を適用した実施例について詳細に説明する。
陽極酸化処理
・実施例1
被処理材として、マグネシウム合金AZ31Bの0.5mm厚の圧延材を用い、酸による表面処理後、陽極電解酸化処理を施した。水酸化カリウム2±0.5mol/Lに、皮膜形成安定剤としてケイ酸ナトリウム+ジエチレングリコールを0.1±0.05mol/L添加し電解液とした。液温65±2℃、電流密度2.0±0.5A/dm、電圧4〜8Vの電解条件にて30分間浸漬し、引き上げ後、公知の方法で封孔処理した。この処理により、厚さ10μmの陽極酸化皮膜を得た。
実施例1における陽極酸化皮膜の表面層に形成された微細孔の平均孔径は、レーザ顕微鏡による測定で約500nm、孔の長さは光学顕微鏡による断面観察で8〜10μm、微細孔密度は約100万個/mmであることが判った。したがって、アスペクト比(微細孔の平均長さと孔径の比)は16〜20(8〜10μm/0.5μm)であった。
・比較例1
JIS―H8651に規定された火花放電型陽極酸化の代表であるMX−11処理(HAE処理)にて上記実施例1と同一のマグネシウム合金を処理した。この処理により、平均孔径5000nm以上の微細孔を有し約50μmの皮膜厚さを有する金属表面が得られた。
・比較例2
JISに規定されたMX−6処理にて上記実施例1と同一のマグネシウム合金を処理した。この処理により、平均孔径5000nm以下の微細孔を有する金属表面が得られた。
皮膜表面の反射率
反射率は、ダイヤカット面を計測角度85°で測定したときの光反射率を100%とした場合の金属表面光反射率である。なお、被処理材元来の反射率は、84%であった。
・実施例1
この処理で得られる金属表面の反射率は68%であった。
・比較例1
この金属表面の反射率を測定すると8%であり、本実施例の処理に基づく金属表面に比べると光沢は殆どないに等しかった。
・比較例2
この金属表面の反射率は、約50%であったが、本実施例の処理に基づく金属表面に比べると光沢が劣っていた。
染色性着色性評価
続いて、実施例1、比較例1、比較例2の3種の表面処理が施されたマグネシウム合金の染色性について比較検討した。
上記3種の表面処理が施されたマグネシウム合金の各々をサノダールイエロー(SanodalYellow、SANDOZ社製)3GL染料を1g/Lの濃度で含有する水溶液に70±2℃下にて30分浸漬した。引き上げ後、公知の方法で封孔処理した後、染色性を評価した。
実施例1の表面処理を施したマグネシウム合金は、マグネシウム合金自身が元来有する金属光沢をそのまま残しつつ、鮮明且つ均一な金色に染色されていた。これに対して、HAE処理したマグネシウム合金(比較例1)は、光沢がないうえに、HAE処理後の合金が濃茶色を呈しており、実施例1と同様の染色法では染料自体の色に着色不可能であった。また、MX−6処理したマグネシウム合金(比較例2)は、約50%の反射率を有するため多少の金属光沢が認められるが、比較例2のマグネシウム合金と同様、MX−6処理後の合金が茶色を呈しており、実施例1と同様の染色法では染料自体の色に着色できないうえに染色ムラも発生し、実用に耐え得る鮮やかな染色が不可能であった。
酸化皮膜厚による反射率変化
反射率は、ダイヤカット面を計測角度85°で測定したときの光反射率を100%とした場合の金属表面光反射率を示す。なお、被処理材元来の反射率は、84%であった。
被処理材及び電解条件を実施例1に示した陽極酸化処理と同一とし、電解処理時間を変更することにより、酸化皮膜厚の異なるマグネシウム合金を製造した。皮膜厚さを薄くする場合には電解処理時間を短くし、厚くする場合には長くすることにより、酸化皮膜厚が3μm(実施例2)、5μm(実施例3)、10μm(上述の実施例1)、15μm(実施例4)、20μm(実施例5)のマグネシウム合金を製造した。これら各マグネシウム合金の皮膜微細孔の平均孔径をレーザ顕微鏡によって測定したところ何れも約500nmであった。
これら各マグネシウム合金表面の反射率を測定したところ、実施例1は上述のように68%、実施例2は85%、実施例3は75%、実施例4は62%、実施例5は60%であった。
一方、比較例1として示したHAE処理においても酸化皮膜厚が約5μmと約50μm(比較例1)のマグネシウム合金を製造して反射率を測定した。その結果、反射率は、酸化皮膜厚5μmでは15%、約50μmでは8%であった。
微細孔径による反射率変化
実施例1と類似の電解条件にて同一の被処理材を用いて電解処理時間を調整し、酸化皮膜厚5μmのマグネシウム合金を製造した。このとき、電解液中の水酸化カリウム濃度を変更し電解条件を調整することにより微細孔平均孔径の異なるマグネシウム合金を製造した。平均孔径100nm(実施例6)、500nm(実施例7)、1000nm(実施例8)のマグネシウム合金を用意した。これら各マグネシウム合金表面の反射率を測定したところ、実施例6の反射率は95%、実施例7は75%、実施例8は65%であった。
比較のために、HAE処理、MX−6処理においても平均孔径を変化させたマグネシウム合金を製造したが、これらの反射率は55%、15%であって殆ど金属光沢を失っており染色性も悪かった。
結果
以上のように、本実施例の表面処理方法によれば、塗膜密着性、着色性も良好であり、酸化皮膜後も金属光沢を有したままで鮮明な着色ができる。
本発明で使用する被処理材としてのマグネシウム及びその合金は、広範囲の応用が可能であって、純マグネシウム系、マグネシウム−アルミニウム系、マグネシウム−アルミニウム−亜鉛系、マグネシウム−アルミニウム−ケイ素系、マグネシウム−ジルコニウム−希土類−銀系、マグネシウム−亜鉛−ジルコニウム系、マグネシウム−亜鉛系、マグネシウム−希土類−ジルコニウム系、マグネシウム−アルミニウム−希土類系、マグネシウム−イットリウム−希土類系、マグネシウム−カルシウム−亜鉛系等のマグネシウム合金が使用可能である。本発明の表面処理方法は、これらの金属材料からなる筐体ケースや成形部材の表面処理に広く適用できる。
本発明の具体例として示す表面処理により形成される陽極酸化皮膜の断面を説明する模式図である。
符号の説明
1 金属材料1、 2基材、 3 微細孔、 4 表面層、 5 バリア層、 6 陽極酸化皮膜

Claims (7)

  1. マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材と、
    平均孔径5nm〜1000nm、長さ1μm〜50μmで、長さ/孔径の比が1以上の微細孔が1mmあたり1万個以上の密度で存在する膜厚が3〜50μmの表面層と、
    上記表面層の底部にあって実質的に無孔のバリア層とからなる陽極酸化皮膜を有することを特徴とする金属材料。
  2. 上記表面層の光反射率は、計測角度85°にて反射率測定したとき60%以上であることを特徴とする請求項1記載の金属材料。
  3. 上記表面層は、水酸化マグネシウムが60〜99.9%、酸化マグネシウムが0.1〜40%、このほかにマンガン、チタン、モリブデン、ケイ素、タングステン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、コバルト、パラジウム、リン、硫黄、臭素、フッ素、沃素、ホウ素、炭素、窒素、又はこれらの化合物、或いは有機化合物としてヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、若しくはアミノ基を有する鎖状又は環状炭化水素を含有することを特徴とする請求項1記載の金属材料。
  4. 上記表面層は、電解着色されることを特徴とする請求項1記載の金属材料。
  5. アルカリ又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、ケイ酸塩、ケイフッ化塩から選ばれる少なくとも1種以上の塩を含む電解水溶液中にマグネシウム又はマグネシウム合金を浸漬し、これを電流密度0.7〜5A/dm、電圧4〜10V、浴温度50〜80℃にて火花放電を伴わずに電解することによって、表面に平均孔径5nm〜1000nm、長さ1μm〜50μmで、長さ/孔径の比が1以上の微細孔が1mmあたり1万個以上の密度で存在する膜厚が3〜50μmの表面層と該表面層の底部にあって実質的に無孔のバリア層とを有する陽極酸化皮膜を形成することを特徴とする表面処理方法。
  6. 上記電解水溶液は、アルカリ又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、ケイ酸塩、ケイフッ化塩を含む無機化合物、(CHOH)、(CHCHOH)O、(CHOH)CHOHを含むアルコール類、(COOH)、(CHCHCOOH)、[CH(OH)COOH]、C(OHCOOH)、CCOOH、C(COOH)を含むカルボン酸、C(SOH・COOH)、C(COOH・OH・SOH)を含むスルホン基を有する有機化合物のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項記載の表面処理方法。
  7. 上記電流密度が2.0±0.5A/dm 、上記電圧が4〜8V、浴温度が65±2℃であり、
    上記表面層は、上記長さ8〜10μm、上記長さ/孔径の比が16〜20の微細孔が1mm あたり100万個の密度で存在し、膜厚が3〜20μmであることを特徴とする請求項5記載の表面処理方法。
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