JP6753899B2 - 皮膜形成方法及び金属材料 - Google Patents

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Description

本発明は、金属の表面に対して、プラズマ電解酸化処理により皮膜を形成する方法、及び金属材料に関する。
従来、金属の表面に皮膜を形成する方法として、陽極酸化処理を使用する方法が提案されており、例えば、アルカリ性水溶液において、連続パルス電源または交直重畳電源を用いて2つ以上の電位で繰り返し印加する陽極酸化を行うことにより、アルミニウム系マグネシウム合金の表面に、アルミニウム含有量が富化された陽極酸化皮膜を形成する方法が開示されている。そして、このような方法により、アルミニウムを含むマグネシウム合金の耐食性を向上させることができると記載されている(特許文献1参照)。
また、プラズマ電解酸化(Plasma Electrolytic Oxidation、以下「PEO」とも称する)処理を使用して金属の表面に皮膜を形成する方法が提案されている。
このPEO処理は、金属を電解液に浸漬させた状態で、金属に対して高電圧を印加することにより、金属と電解液との間にプラズマ放電を発生させて、金属の表面に酸化皮膜を形成する処理方法である。
そして、このPEO処理を使用した皮膜形成方法としては、例えば、窒素原子含有カチオンとアルミニウムに対する安定度定数が9以上のアミノカルボン酸アニオンとを含有する水性電解浴中で、PEO処理によりアルミニウム又はアルミニウム合金の表面に、酸化アルミニウムを含有するセラミックス皮膜を形成する方法が開示されている。そして、このような方法により、アルミニウム及びその合金の表面にアルカリ金属を含有しない酸化アルミニウムの平滑性に優れる皮膜が形成された金属材料を提供することができると記載されている(例えば、特許文献2参照)。
また、ジルコニウム化合物を含有する電解液中で金属を陽極としてPEO処理を行うことにより、金属の表面にセラミック皮膜を形成する方法が開示されている。そして、このような方法により、耐摩耗性及び摺動特性に優れた金属材料を提供することができると記載されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2014−62276号公報 特開2003−171794号公報 国際公開第2005/118919号
ここで、上記特許文献1に記載のプラズマ放電を伴わない陽極酸化処理においては、得られる皮膜が多孔質であるため、腐食の原因となる塩分等の成分が当該多孔質を浸透してしまい、例えば、マグネシウムやマグネシウム合金等の耐食性に乏しい金属において、耐食性を十分に向上することができないという問題があった。
また、上記特許文献2,3に記載の方法では、金属の平滑性や耐摩耗性等を向上することはできるものの、金属の耐食性について検討が不十分であり、上述の耐食性に乏しい金属において、耐食性及び素地との密着性を十分に向上することができないという問題があった。
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、金属の表面に耐食性及び素地との密着性の高い皮膜を形成して、耐食性に優れた金属材料を得ることができるプラズマ電解酸化による皮膜形成方法、及び金属材料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の皮膜形成方法は、第1水溶性化合物を含有する第1電解液に金属を浸漬させた状態で、プラズマ放電を伴わない陽極酸化処理を施すことにより、金属の表面に第1皮膜を形成する第1皮膜形成工程と、第2水溶性化合物を含有し、第1電解液とは組成の異なる第2電解液に金属を浸漬させた状態で、金属と第2電解液との間にプラズマ放電を発生させてプラズマ電解酸化処理を施すことにより、金属表面と第1皮膜の間に第1皮膜とは異なる組成を有する第2皮膜を形成する第2皮膜形成工程とを備えることを特徴とする。
同構成によれば、金属の表面に、組成の異なる複数の皮膜を積層させて形成するため、耐食性及び密着性の高い皮膜を形成することが可能になる。従って、耐食性並びに金属と第2皮膜との密着性に優れた金属材料を得ることができる。
本発明の皮膜形成方法においては、第2水溶性化合物が、リン酸塩、ケイ酸塩、硝酸塩、アルミン酸塩、タングステン酸塩、ホウ酸塩、ジルコニウム酸塩、モリブデン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、及び水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
本発明の皮膜形成方法においては、第2電解液中の第2水溶性化合物の濃度が0.001M〜5Mであってもよい。
同構成によれば、皮膜の密着性及び成膜性を向上させることができる。
本発明の皮膜形成方法においては、金属として、マグネシウムまたはマグネシウム合金を使用してもよい。
同構成によれば、特に、耐食性の乏しいマグネシウムまたはマグネシウム合金の表面に耐食性の高い皮膜を形成することが可能になるため、耐食性に優れたマグネシウム材料またはマグネシウム合金材料を得ることができる。
本発明の金属材料は、金属基板と、金属基板の表面に形成された皮膜とを備えた金属材料であって、皮膜は、金属基板の表面において金属基板を覆うように形成された第2皮膜と、第2皮膜の表面において第2皮膜を覆うように形成された第1皮膜により構成され、第1皮膜は、少なくとも水酸化物を含有し、第2皮膜は、リン酸塩、ケイ酸塩、硝酸塩、アルミン酸塩、タングステン酸塩、ホウ酸塩、ジルコニウム酸塩、モリブデン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物及び金属酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする。
同構成によれば、金属の表面に、組成の異なる複数の皮膜が積層するため、耐食性及び密着性の高い皮膜を形成することが可能になる。従って、耐食性並びに金属と第2皮膜との密着性に優れた金属材料を提供することができる。
本発明の金属材料においては、第2皮膜が、金属基板の表面上に形成された第1緻密層と、第1緻密層の表面上に形成された第2緻密層により構成されていてもよい。
本発明によれば、金属の表面に、耐食性及び金属との密着性に優れた皮膜を形成することが可能になり、耐食性に優れた金属材料を得ることができる。
本発明の実施形態に係る皮膜が形成された金属材料を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る皮膜形成方法を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る第1皮膜形成工程を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る第2皮膜形成工程を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る第2皮膜形成工程を説明するための図である。 実施例1の金属材料における第1及び第2皮膜の断面構造を示す電子顕微鏡写真(SEM写真)である。 実施例1における金属材料のエネルギー分散型X線分析の結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る皮膜が形成された金属材料を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の金属材料1は、金属基板2と金属基板2の表面に形成された皮膜(複合皮膜)3とを備えている。
金属基板2を形成する金属としては、PEO処理において電流を流すことができるものであれば特に限定されず、例えば、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、マンガン、カルシウム、イットリウム、シリコン、チタン、鉄及びこれらの合金を使用することができる。
また、本実施形態の金属材料1においては、金属基板2の表面に、組成の異なる複数の皮膜を積層させることにより皮膜3が形成されている。
より具体的には、図1に示すように、皮膜3は、金属基板2の表面において該金属基板2を覆うように形成された第2皮膜5と、第2皮膜5の表面において第2皮膜5を覆うように形成された第1皮膜4とにより構成されている。また、第1皮膜4は第2皮膜5とは異なる組成及び構造を有している。
第1皮膜4は、第1水溶性化合物を含有する第1電解液に金属材料1を陽極として浸漬させた状態で、プラズマ放電を伴わない陽極酸化処理を施すことにより形成され、少なくとも水酸化物(例えば、水酸化マグネシウム等)を含有している。
第1電解液は、水を主成分とし、第1皮膜4の原料となる第1水溶性化合物(水溶性塩)とを含有するものが使用される。
第1水溶性化合物としては、低電圧で陽極酸化処理できるアルカリ溶液であれば特に限定はされず、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化バリウム等の水酸化物を使用することができる。
また、マグネシウム及びその合金はアルカリ性において安定であるとの観点から、第1電解液のpHは13以上が好ましく、本実施形態においては、電解液のpHが上記範囲内となるように、第1電解液にKOH等のpH調整剤を添加してもよい。
第2皮膜5は、第2水溶性化合物を含有し、第1電解液とは組成の異なる第2電解液に第1皮膜4が形成された金属基板2を浸漬させた状態で、金属基板2に対して電流を流すことにより、金属基板2と第2電解液との間にプラズマ放電を発生させて、PEO処理を施すことにより、金属基板2の表面と第1皮膜4の間に形成される。
第2皮膜5は、リン酸塩、ケイ酸塩、硝酸塩、アルミン酸塩、タングステン酸塩、ホウ酸塩、ジルコニウム酸塩、モリブデン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物及び金属酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有している。
この第2皮膜5は、図1に示すように、金属基板2の表面上に形成された第1緻密層5aと、第1緻密層5aの表面上に形成された第2緻密層5bにより構成されている。
そして、第1緻密層5aは、ボイドが少なく通常のセラミック皮膜(厚み:約10nm)と比較して非常に厚い(数〜数十μm)という特異な構造を有しているため、金属基材2と第2緻密層5bとの密着性を高め、金属材料2の耐食性を向上させることが出来る。また、第2緻密層5bは第1皮膜4の孔を埋めるように緻密な酸化物が生成しているため、第1皮膜4との密着性を向上させることが可能になる。
PEO処理において使用する第2電解液は、水を主成分とし、第2皮膜5の原料となる水溶性化合物(水溶性塩)とを含有するものが使用される。
第2水溶性化合物としては、特に限定はされず、例えば、リン酸三ナトリウム等のリン酸塩、メタケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩、硝酸ナトリウム等の硝酸塩、アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸塩、タングステン酸ナトリウム等のタングステン酸塩、六フッ化ジルコン酸カリウム等のジルコニウム酸塩、モリブテン酸ナトリウム等のモリブデン酸塩、炭酸ナトリウム等の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム等の重炭酸塩、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩及び水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の水酸化物を使用することができる。
また、第2電解液には、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等をpH調整剤として含有させてもよい。また、プラズマ放電の安定化のため、第2電解液に、エチレングリコール等のアルコール性水酸基を有する溶剤を加えてもよい。
また、金属基板2の表面を安定化させるとの観点から、電解液のpHは7〜14の範囲が好ましく、本実施形態においては、電解液のpHが上記範囲内となるように、電解液に上記pH調整剤が添加できる。
次に、本発明の実施形態に係るプラズマ電解酸化による皮膜形成方法について説明する。図2は、本発明の実施形態に係るプラズマ電解酸化による皮膜形成方法を説明するための図である。
<第1皮膜形成工程>
まず、溶媒である水に、例えば、第1皮膜4の原料でありpH調整剤としても機能する水酸化カリウムを加え、均一となるように攪拌して混合することにより、第1水溶性化合物を含有する第1電解液を作製する。なお、必要に応じて、EDTA等のキレート剤を加えてもよい(ステップS1)。
なお、第1皮膜4の密着性及び成膜性を向上させるとの観点から、第1電解液中の第1水溶性化合物の濃度は0.001M〜5Mが好ましく、0.1M〜2Mがより好ましい。
次に、例えば、マグネシウムからなる金属基板2を第1電解液に浸漬させ(ステップS2)、金属基板2を第1電解液に浸漬させた状態で、プラズマ放電を伴わない陽極酸化処理を施すことにより、図3に示すように、金属基板2の表面に第1皮膜4を形成する(ステップS3)。
この際、金属基板2を構成する金属(例えば、マグネシウム)と第1電解液に含有された水酸化物(例えば、水酸化カリウム)が反応するため、第1皮膜4は、少なくとも水酸化物(例えば、水酸化マグネシウム等)を含有することになる。
ここで、本実施形態における「プラズマ放電を伴わない陽極酸化処理」とは、電気化学反応のみで反応が進行する処理をいう。なお、この処理においては、後述のPEO反応時のような発光現象は観察されない。
また、陽極酸化の処理法としては、金属基板2を陽極として用いた、パルス電解法、直流電解法、定電圧電解法及び定電流電解法等が使用できるが、均一に皮膜を形成するとの観点から、本実施形態においては、直流の定電流電解法を使用することが好ましい。
また、電解電流としては、最大電流が放電(アーク放電)電流未満であればよいが、陽極酸化処理の安定性を向上させるとの観点から、20〜600A/mが好ましく、100〜200A/mがより好ましい。
また、陽極酸化処理の時間は、第1皮膜4の耐食性の確保とエネルギー効率の観点から適宜変更することができ、例えば、1〜100分、好ましくは20〜50分に設定することができる。
また、陽極酸化処理を行う際の対極を形成する材料としては、例えば、ステンレス、黒鉛、銅、チタン及び白金等を使用することができる。
<第2皮膜形成工程>
まず、溶媒である水に、例えば、第2皮膜5の原料となるリン酸三ナトリウムと水酸化カリウム等のpH調整剤とを加え、均一となるように攪拌して混合することにより、第2水溶性化合物を含有する第2電解液を作製する。なお、必要に応じて、EDTA等のキレート剤を加えてもよい(ステップS4)。
なお、第2皮膜5の密着性及び成膜性を向上させるとの観点から、第2電解液中の第2水溶性化合物の濃度は0.001M〜5Mが好ましく、0.01M〜1Mがより好ましい。
次に、例えば、図3に示す第1皮膜4が形成されたマグネシウムからなる金属基板2を第2電解液に浸漬させ(ステップS5)、金属基板2を第2電解液に浸漬させた状態で、金属基板2に対して定電流を流すことにより、金属基板2と電解液との間にプラズマ放電を発生させて、PEO処理を施すことにより、図1に示すように、金属基板2の表面と第1皮膜4の間に、第1皮膜4とは異なる組成を有する第2皮膜5を形成する(ステップS6)。
なお、ここで言う「PEO処理」とは、発光を伴う陽極酸化処理のことを言う。
より具体的には、PEO処理を開始すると、図4〜図5に示すように、第2電解液中に含まれる酸素を含む化学種(即ち、リン酸ナトリウム等の水溶性化合物)6が第1皮膜4に浸透するとともに当該第1皮膜4を通過して、陽極である金属基板2の表面に移動する。そして、金属基板2において電解反応が発生して発光が生じ、金属基板2を形成する金属と水中の酸素を含む化学種6とが反応して、第1皮膜4に形成された孔を金属基材2に接している側から埋めるように緻密な酸化物が生成し、第2緻密層5b(例えば、水酸化マグネシウムとリン酸マグネシウム,および酸化マグネシウムによる複合皮膜)が形成される。更に電解を継続すると、金属基板2の表面に第1緻密層(例えば、酸化マグネシウムとリン酸マグネシウム(いずれも非晶質)から成るボイドやポアを含まない、またはボイドやポアが少ないバリア型の酸化物層)5aが形成される。
なお、第2緻密層5bが形成される際に、第1緻密層5aが同時に形成される場合もある。
以上により、図1に示すように、金属基板2の表面上に数μm〜数十μmの厚みを有する多孔質のセラミック膜(即ち、例えば、リン酸マグネシウムを含有する第2皮膜5)が形成される。
なお、PEO処理法として、金属基板2を陽極として用いたパルス電解法、直流電解法、定電圧電解法及び定電流電解法等が使用できるが、均一に第2皮膜5を形成するとの観点から、本実施形態においては、直流の定電流電解法を使用することが好ましい。
また、電解電流としては、最大電流が放電(アーク放電)電流以上であればよいが、PEO処理の安定性を向上させるとの観点から、20〜600A/mが好ましく、100〜200A/mがより好ましい。
また、PEO処理の時間は、第2皮膜5の耐食性の確保とエネルギー効率の観点から適宜変更することができ、例えば、20秒〜5分、好ましくは30〜60分に設定することができる。
また、PEO処理を行う際の対極を形成する材料としては、上述のステンレス、黒鉛、銅、チタン及び白金等を使用することができる。
以上のように、本実施形態においては、陽極酸化処理により第1皮膜4を形成した後にPEO処理を行うことにより、金属基板2の表面と第1皮膜4との間に第1皮膜4とは異なる組成を有する第2皮膜5を形成することが可能になる。その結果、単一皮膜(即ち、第1皮膜4)の欠陥を減少し補完することができるため、耐食性の高い皮膜3を形成することが可能になる。
以上のようにして、図1に示す、金属基板2の表面上に皮膜3が形成された、耐食性に優れた金属材料1を作製することができる。
なお、第1皮膜形成工程において、本発明のプラズマ放電を伴わない陽極酸化処理を行う代わりに、例えば、金属基板に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を塗布することにより金属基板の表面に第1皮膜を形成する方法も考えられるが、この皮膜は陽極酸化処理により得られる皮膜とは異なり多孔質ではないため、第2電解液中に含まれる第2水溶性化合物が第1皮膜4を浸透することができないものと考えられる。従って、樹脂の塗布により第1皮膜を形成した後にPEO処理を行った場合では、金属基板の表面と第1皮膜との間に第1皮膜とは異なる組成を有する第2皮膜を形成することが困難になるため、耐食性の高い皮膜を形成することが困難になるものと考えられる。
また、上記実施形態においては第1緻密層5aと第2緻密層5bにより構成された第2皮膜5を説明したが、本発明の第2皮膜5は、第1緻密層5a及び第2緻密層5bの少なくとも一方により構成されていればよい。例えば、第2皮膜5が、第2緻密層5bのみにより構成されていてもよい。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
(実施例1)
(第1電解液の作製)
溶媒である水に、水酸化カリウム(和光純薬工業(株)製)を加え、均一となるように攪拌して、第1電解液を作製した。
なお、第1電解液中の水酸化カリウムの濃度が1.0Mとなるように調整した。また、電解液のpHは13.65であった。
(第1皮膜用の陽極酸化処理)
次に、アルミニウムを3%、亜鉛を1%添加したマグネシウム合金(AZ31)からなり、厚みが1mm、表面積が10cmであるマグネシウム合金板を陽極として使用するとともに炭素棒を対極として使用し、マグネシウム合金板を第1皮膜用の電解液に浸漬させた状態で、30分間、直流の定電流電解法(電解電流:200A/m)により、マグネシウム合金板と電解液との間にプラズマ放電を伴わない陽極酸化処理を行い、マグネシウム合金板の表面に、約12μmの厚みを有する第1皮膜を形成した。
なお、この第1皮膜を、X線回折装置(Bruker製、商品名:XRD,MXP-18AHF22)を利用してX線回折法によって確認したところ、第1皮膜は水酸化マグネシウムを含有していた。
(第2電解液の作製)
次いで、溶媒である水にリン酸三ナトリウム(和光純薬工業(株)製)を加え、均一となるように攪拌して、第2電解液を作製した。
なお、電解液中のリン酸三ナトリウムの濃度が0.5Mとなるように調整した。また、電解液のpHは12.63であった。
(第2皮膜用のPEO処理)
次に、上述の第1皮膜が形成されたマグネシウム合金板を陽極として使用するとともに炭素棒を対極として使用し、第1皮膜が形成されたマグネシウム合金板を第2皮膜用の第2電解液に浸漬させた状態で、1分間、直流の定電流電解法(電解電流:200A/m)により、第1皮膜が形成されたマグネシウム合金板と第2皮膜用の電解液との間に微少なプラズマ放電を発生させて、マグネシウム合金板の表面と第1皮膜との間に、約2μmの厚みを有する第2皮膜を形成し、本実施例の金属材料を作製した。
なお、この第2皮膜をエネルギー分散型X線分析装置(日本電子(株)製、商品名:EDX,EX−54175JMU)によって確認したところ、第2皮膜は酸化マグネシウムに加えて電解液由来のリンを含有していた。
(比較例1)
上述の第2電解液を用いた第2皮膜用のPEO処理を行わず、上述の第1電解液を用いた第1皮膜用の酸化処理のみを行い、マグネシウム合金板の表面に第1皮膜のみを形成して、本比較例の金属材料を作製した。
(比較例2)
上述の第1電解液を用いた第1皮膜用の酸化処理を行わず、上述の第2電解液を用いた第2皮膜用のPEO処理のみを行い、マグネシウム合金板の表面に第2皮膜のみを形成して、本比較例の金属材料を作製した。
(耐食性評価)
実施例1及び比較例1〜2で作製した各金属材料を0.1Mの塩化ナトリウム水溶液(マナック(株))に、100時間、浸漬させた後、金属材料を観察し、錆及び孔食の発生(即ち、腐食の発生)の有無を観察した。
なお、目視により、腐食面積の割合が各金属材料の表面積の10%未満の場合を耐食性が良好とした。以上の結果を表1に示す。
(皮膜の密着性試験)
実施例1及び比較例1〜2で作製した各金属材料について、JIS K5400に準拠して、皮膜の密着性試験を行った。より具体的には、試験面にカッターナイフを用いて素地に達する11本の切り傷を1mm間隔で付け100個の碁盤目を作り、碁盤目部分に粘着テープを強く圧着させ、テープの端を45°の角度で一気に引き剥がし、剥がしたテープの粘着面をSEMで観察し、付着してきた皮膜の面積を比較することで評価した。以上の結果を表1に示す。
表1に示すように、マグネシウム合金板の表面にプラズマ放電を伴わない陽極酸化処理を施すことにより第1皮膜を形成した後マグネシウム合金板と第2電解液との間にプラズマ放電を発生させてPEO処理を施すことにより、マグネシウム合金板の表面と第1皮膜の間に第1皮膜とは異なる組成を有する第2皮膜を形成した実施例1においては、金属材料に錆及び孔食が発生している割合が小さく、耐食性が良好であることが確認できた。
一方、第1電解液を用いた第1皮膜用の酸化処理のみを行った比較例1及び第2電解液を用いた第2皮膜用の酸化処理のみを行った比較例2においては、金属材料に錆及び孔食が発生している割合が大きく、耐食性に乏しいことが確認できた。
また、比較例1及び比較例2の金属材料に比し、実施例1の金属材料は、粘着テープへの皮膜の付着量(付着面積)が少なく、耐食性に優れていることが分かった。
以上より、実施例1の方法により、耐食性に優れた金属材料を得ることができることが分かる。
また、表1に示すように、実施例1においては、第1皮膜4と金属基材2との間に両者との接合性に優れた第2皮膜5が存在し、更に第2皮膜5自身はボイドが少なく緻密であるため、マグネシウム合金板との密着性に優れた皮膜を得ることができることが分かる。
(皮膜の断面構造)
実施例1の金属材料における第1及び第2皮膜の断面構造を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。得られた電子顕微鏡写真(SEM写真)を図6に示す。
(エネルギー分散型X線分析)
実施例1の金属材料に対して、エネルギー分散型X線分析(EDX分析)を行い、第1及び第2皮膜の組成を確認した。
より具体的には、エネルギー分散型X線分析装置(日本電子(株)製、商品名:EDX,EX−54175JMU)を使用して、実施例1において作製した金属材料の第1及び第2皮膜の各々について、SEM−EDX分析(加速電圧:15kV)を行い、マグネシウム、アルミニウム及びリンの含有率を確認した。以上の結果を、図7に示す。
図7に示すように、第1皮膜に比し第2皮膜はリンを多く含むことから、上述のPEO処理を開始すると、第2電解液中に含まれる酸素を含む化学種(即ち、リン酸アニオン)が第1皮膜を通過して陽極であるマグネシウム合金の表面に移動し、リンを多く含む耐食性に優れた第2皮膜が形成されていることが確認された。
以上説明したように、本発明は、金属の表面に対して、プラズマ電解酸化処理により皮膜を形成する方法に適している。
1 金属材料
2 金属基板
3 皮膜
4 第1皮膜
5 第2皮膜
6 酸素を含む化学種

Claims (5)

  1. 第1水溶性化合物を含有する第1電解液に金属を浸漬させた状態で、プラズマ放電を伴わない陽極酸化処理を施すことにより、前記金属の表面に第1皮膜を形成する第1皮膜形成工程と、
    第2水溶性化合物を含有し、前記第1電解液とは組成の異なる第2電解液に前記金属を浸漬させた状態で、前記金属と前記第2電解液との間にプラズマ放電を発生させてプラズマ電解酸化処理を施すことにより、前記金属の表面と前記第1皮膜の間に該第1皮膜とは異なる組成を有する第2皮膜を形成する第2皮膜形成工程と
    を備えることを特徴とする皮膜形成方法。
  2. 前記第2水溶性化合物が、リン酸塩、ケイ酸塩、硝酸塩、アルミン酸塩、タングステン酸塩、ホウ酸塩、ジルコニウム酸塩、モリブデン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、及び水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の皮膜形成方法。
  3. 前記第2電解液中の前記第2水溶性化合物の濃度が0.001M〜5Mであることを特徴とする請求項2に記載の皮膜形成方法。
  4. 前記金属が、マグネシウムまたはマグネシウム合金であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の皮膜形成方法。
  5. 金属基板と、
    前記金属基板の表面に形成された皮膜と
    を備えた金属材料であって、
    前記金属基板を形成する金属が、マグネシウムまたはマグネシウム合金であり、
    前記皮膜は、前記金属基板の表面において該金属基板を覆うように形成された第2皮膜と、前記第2皮膜とは異なる組成を有し、前記第2皮膜の表面において該第2皮膜を覆うように形成された第1皮膜により構成され、
    前記第1皮膜は、少なくとも水酸化物を含有し、
    前記第2皮膜は、リン酸塩、ケイ酸塩、硝酸塩、アルミン酸塩、タングステン酸塩、ホウ酸塩、ジルコニウム酸塩、モリブデン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物及び金属酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、
    前記第2皮膜は、前記金属基板の表面上に形成された第1緻密層と、該第1緻密層の表面上に形成された第2緻密層により構成されている
    ことを特徴とする金属材料。
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