JP4468068B2 - レンズ鏡筒及び撮影装置 - Google Patents

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Description

本発明は、バリア装置を備えたレンズ鏡筒及び撮影装置に関する。
デジタルカメラ、フイルムカメラ、あるいはビデオカメラ装置などの撮影装置などに取り付けられているレンズ鏡筒においては、先端に位置するレンズの前面すなわち先端レンズ面は、レンズ鏡筒の外部に直接晒され、ゴミが付着し、あるいは物の衝突による損傷などの可能性がある。そこで、従来、レンズ鏡筒の先端レンズ面をゴミの付着などから保護するため、バリア装置を備えたレンズ鏡筒が知られている。
このバリア装置は、撮影装置が非撮影状態にある時と、撮影可能状態にあるときとに対応して、先端レンズ面をバリア羽根により覆い、また、先端レンズ面からバリア羽根を退避させるように構成されている。すなわち、撮影装置が非撮影状態にある時は、先端レンズ面をバリア羽根により覆い、撮影可能状態にある時は、撮影光がレンズ鏡筒内を通過可能なように、先端レンズ面からバリア羽根を退避させる構成となっている(例えば、特許文献1参照。)。
そして、撮影装置の非撮影状態と撮影可能状態とに連動してレンズ鏡筒の先端部を前後に進退させる構成においては、レンズ鏡筒の先端部に備えられるバリア装置を駆動する駆動力を伝える駆動杆を配置するために、レンズ鏡筒内を光軸方向に貫通する孔部を設ける必要があり、この孔部から塵埃などがレンズ鏡筒の内部に入りやすい問題を有している。
この点、孔部などの間の隙間を弾性部材により塞ぐ構成が知られている。しかなしがら、このような弾性部材を用いると、部品点数や組み立て工数が増加し、製造コストが上昇する問題を有している。また、弾性部品の摺動抵抗により、バリア装置の迅速な開閉が困難になる問題を有している。
特開2001−27774号公報
上記のように、撮影装置の非撮影状態と撮影可能状態とに連動してレンズ鏡筒の先端部を進退させる構成においては、レンズ鏡筒の先端部に備えられるバリア装置を駆動する駆動力を伝える駆動杆を配置するために、レンズ鏡筒内を光軸方向に貫通する孔部を設ける必要があり、この孔部から塵埃などがレンズ鏡筒の内部に入りやすい問題を有している。この点、孔部などの隙間を弾性部材により塞ぐ構成では、部品点数や組み立て工数が増加し、製造コストが上昇する問題を有している。また、弾性部品の摺動抵抗により、バリア装置の迅速な開閉が困難になる問題を有している。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、レンズ鏡筒内への異物の侵入を容易に抑制できるレンズ鏡筒及び撮影装置を提供することを目的とする。
請求項1記載のレンズ鏡筒は、光軸に沿って光路に配置されたレンズ、前記光路を囲んで配置された枠部及びこの枠部を介して前記光路から離間した位置に光軸に沿って設けられた孔部を備えた鏡筒本体と、この鏡筒本体の前端部に備えられ、前記レンズの前方で前記光路を開閉可能に設けられたバリア手段、前記孔部に配置され前記バリア手段を駆動する駆動体、及び前記枠部に対して不動でかつこの枠部の全周に密着して嵌合することにより前記光路と前記孔部との間を遮蔽する遮蔽手段を備えたバリア装置とを具備したものである。
そして、この構成では、孔部に配置された駆動体に駆動されたバリア手段により、レンズの前方で光路が開閉され、非撮影状態でレンズが保護される。また、光路を囲んで配置された枠部に対して不動でこの枠部の全周に密着して嵌合することで光路と孔部との間を遮蔽する遮蔽手段により、異物の鏡筒本体内への侵入が効果的に抑制される
請求項記載のレンズ鏡筒は、請求項記載のレンズ鏡筒において、バリア装置は、遮蔽手段を開閉可能に保持する保持体を備え、遮蔽手段は、前記保持体に一体に形成されたものである。
そして、この構成では、別体の部材を用いる構成に較べ、部品点数や組み立て工数の増加がなく、製造コストの低減が可能になる。
請求項記載の撮影装置は、請求項1または2記載のレンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒の駆動体を介してバリア手段を駆動する制御手段と、このレンズ鏡筒が取り付けられる筐体と、前記レンズ鏡筒により結像された画像を撮影する撮影手段とを具備したものである。
そして、この構成では、請求項1または2記載のレンズ鏡筒を備えたため、バリア手段によりレンズの前方で光路を開閉し、非撮影状態でレンズが保護される。また、光路と孔部との間を遮蔽する遮蔽手段により、異物の鏡筒本体内への侵入が抑制される。
本発明によれば、レンズ鏡筒内への異物の侵入を容易に抑制できる。
以下、本発明のレンズ鏡筒及び撮影装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1ないし図4において、10はレンズ鏡筒で、このレンズ鏡筒10は、例えばデジタルスチルカメラなどの撮影装置に備えられ、前側から順に、レンズとしての第1レンズ群11、第2レンズ群12、及び第3レンズ群13の3群のレンズ群11,12,13を光路14に備えるとともに、この光路14の後端部に撮影手段としての撮像素子であるCCD15を備え、これらレンズ群11,12,13を光軸O方向に沿って移動してズーム及び焦点合わせを行い、CCD15に結像して撮影を行う。そして、このレンズ鏡筒10は、飾り筒18、バリア装置20、第1レンズ群11を保持し鏡筒本体を構成する第1群レンズ枠21、第2レンズ群12を保持する第2群レンズ枠22、第3レンズ群13を保持する第3群レンズ枠23、カム筒25、直進案内筒26、固定筒27、及びCCD15や複数のモータM1,M2を基板28に取り付けた基板ユニット29などを組み合わせて構成されている。
なお、図示しないが、撮影装置は、このレンズ鏡筒10を含み、このレンズ鏡筒10が取り付けられる筐体などを備えているとともに、各モータM1,M2などを制御するCPUなどを備えている。また、図面中の各断面図は、部品の配置及び係合状態などを説明するため、適宜断面の位置を変更している。
まず、基板ユニット29は、板状の基板28を備え、この基板28の前面側に、光軸Oに沿って、CCD15が取り付けられ、このCCD15に、レンズ群11,12,13を通過した光が結像する。この基板28には、光軸Oからずれた位置に、モータM1,M2が取り付けられている。さらに、CCD15の前方に、第3群レンズ枠23に保持された第3レンズ群13が配置されている。そして、この第3群レンズ枠23は、モータM2により駆動され、光軸O方向に沿って前後に変位するようになっている。さらに、この基板28からは、光軸O方向に向かって前側に向かい、制御手段を構成する基板側駆動杆30が突設されている。
また、固定筒27は、内面が円筒面状の固定筒本体部27aを備え、基板28の前面側に、固定手段例えば4本のねじ31により固定して取り付けられている。
そして、この固定筒27の固定筒本体部27aの内側に、略円筒状のカム筒25が配置され、図5に示すように、このカム筒25の内側に、略円筒状の直進案内筒26が配置されている。さらに、この直進案内筒26の内側には、基板28側から順に、第2レンズ群12を保持する第2群レンズ枠22と、第1レンズ群11を保持する第1群レンズ枠21とが配置されている。
そして、これら第1群レンズ枠21及び第2群レンズ枠22は、カム筒25及び直進案内筒26に案内及び駆動され、カム筒25の回転に従い、光軸O方向に沿って前後に変位する。そして、このカム筒25の内周面には、図6に示すように、単数あるいは複数組の、本実施の形態では3組のカム溝25aが形成されている。各カム溝25aは、光軸Oを中心として120度間隔で互いに同一形状に形成され、それぞれ第1群レンズ枠21の移動に寄与する第1カム溝25bと、第2群レンズ枠22の移動に寄与する第2カム溝25cとが形成されている。また、直進案内筒26には、第1群レンズ枠21及び第2群レンズ枠22の光軸O周りの回転を規制する直進ガイド溝26aが形成されている。そして、この直進ガイド溝26aは、光軸O方向に平行に、かつ光軸Oを中心に120度間隔で3カ所に形成されている。
一方、第1群レンズ枠21及び第2群レンズ枠22には、カム溝25a及び直進ガイド溝26aに対応し、それぞれ3個のピン状のカムフォロア21a,22aが光軸Oの周りに互いに120度の間隔で放射状に設けられている。そして、これら第1群レンズ枠21は、各カムフォロア21aを、直進ガイド溝26aを介してカム溝25aの第1カム溝25bに相対的に移動可能に挿入し、第2群レンズ枠22は、各カムフォロア22aを直進ガイド溝26aを介して第2カム溝25cに相対的に移動可能に挿入して、第1群レンズ枠21及び第2群レンズ枠22がカム筒25及び直進案内筒26に係合されている。
また、第1群レンズ枠21の前端部には、円筒状をなす外枠部21bが設けられ、この外枠部21bには、バリア羽根ユニット取付部としての長孔状をなす取付孔21cが2カ所に形成されている。
また、カム筒25は、ギア33,34を介してカム筒25駆動用のモータM1に連結され、このモータM1の回転を受けて、正逆方向に回転する。そして、このカム筒25が回転すると、直進案内筒26により回転しないように規制されつつ、カム溝25aによりカムフォロア21a,22aが押動され、カム溝25aすなわち第1カム溝25b及び第2カム溝25cの形状と、カム筒25の回転方向及び回転量とに応じて、第1群レンズ枠21及び第2群レンズ枠22が光軸O方向に沿って変位する。
そして、各第1カム溝25b及び第2カム溝25cの一部(図6に示すA範囲)は、第1レンズ群11及び第2レンズ群12にズーム動作をさせる撮影可能領域として機能する。一方、各第1カム溝25b及び第2カム溝25cの他の部分(図6に示すB位置)は、第1レンズ群11及び第2レンズ群12をカム筒25内に収容する非撮影領域として機能する。
そこで、第1群レンズ枠21及び第2群レンズ枠22は、カム筒25の一方側への回転により、非撮影位置(収納位置)であるB位置から撮影可能位置であるA範囲まで移動(変位)し、カム筒25の他方側への回転により、撮影可能位置であるA範囲から非撮影位置であるB位置まで移動(変位)する。
従って、撮影にあたっては、カム筒25を一方側へ回転させ、第1群レンズ枠21及び第2群レンズ枠22を撮影可能領域に変位させるとともに、A範囲内の所定のズーム状態で撮影を行う。一方、撮影終了にあたっては、カム筒25を他方側へ回転させ、第1群レンズ枠21及び第2群レンズ枠22を非撮影位置であるB位置に変位させ、第1群レンズ枠21及び第2群レンズ枠22をカム筒25内に収容する。
また、第2群レンズ枠22の前側には、機械的に光路14を開閉するシャッタ装置36が取り付けられている。
さらに、第1群レンズ枠21の前端部には、第1群レンズ枠21の先端部の内周面に埋め込まれるようにして、バリア装置20が取り付けられている。そして、第1群レンズ枠21及び第2群レンズ枠22が撮影可能位置であるA範囲に位置する状態で、バリア装置20が開いて撮影可能となるとともに、第1群レンズ枠21及び第2群レンズ枠22が非撮影位置であるB位置に位置する状態で、撮影装置は非撮影状態となり、第1レンズ群11の前面すなわち先端レンズ面は、バリア装置20により覆われて保護された状態となる。
さらに、第1群レンズ枠21にバリア装置20が取り付けられた状態で、第1群レンズ枠21に飾り筒18が取り付けられ、バリア装置20が第1群レンズ枠21から前方に脱落しないように押さえつけられている。この飾り筒18は、円筒状をなす円筒部18aとフランジ部18bとから構成されている。そして、円筒部18aの内周径は、第1群レンズ枠21の前端部が丁度挿入できる程度の寸法に設定されている。また、フランジ部18bは、円筒部18aの前端部から内周側に突出して設けられ、第1レンズ群11に入射する光を遮ることがないように十分に大きな開口部18cが形成されている。
そして、この飾り筒18は、円筒部18aの内周側に第1群レンズ枠21を先端側から挿入し、さらに、第1群レンズ枠21の先端側に配置したバリア装置20がフランジ部18bの後側面に当接するまで挿入して、第1群レンズ枠21に取り付けられる。すなわち、第1群レンズ枠21に飾り筒18が取り付けられることにより、フランジ部18bによりバリア装置20が第1群レンズ枠21に対して保持及び固定される。
また、この飾り筒18が第1群レンズ枠21に被せられると、第1群レンズ枠21の外周面が飾り筒18の円筒部18aに覆われ、第1群レンズ枠21の外周面に形成されたリブなどの構造体を隠して、レンズ鏡筒10の外観の見栄えを向上している。さらに、フランジ部18bによりバリア装置20と第1群レンズ枠21との嵌め合い部分の隙間が隠され、レンズ鏡筒10の外観の見栄えを向上している。
以下、バリア装置20について詳細に説明する。
バリア装置20は、図1ないし図4、図7ないし図9に示すように、バリア羽根ユニット51及び駆動リング52を備えている。そして、バリア羽根ユニット51は、バリア手段としての2枚のバリア羽根55,55と、これらバリア羽根55,55の前後に配置されてこれらバリア羽根55,55を回転可能に保持する保持体としての前側保持体56及び後側保持体57と、各バリア羽根55,55を閉鎖方向に付勢する付勢手段としての2個のひげバネ58,58となどにより構成されている。また、駆動リング52は、各バリア羽根55,55を開閉動作させる機能を有するもので、図1及び図9などに示すように、付勢手段としてのスプリング60が組み合わされている。
そして、バリア羽根ユニット51の各バリア羽根55は、前側保持体56と後側保持体57と間に開閉可能に保持されるもので、互いに同一形状に形成され、図2などに示すように、板状をなす遮蔽板部55aと、この遮蔽板部55aの長手方向の一端部となる基端部近傍に設けられた軸状の突起である作用部としてのバリア羽根ボス55bと、このバリア羽根ボス55bのさらに基端側に近接して設けられた回転軸となる孔部55cとを備えている。また、遮蔽板部55aの先端側には、閉鎖方向の回転範囲を規制する当接部55dが設けられている。さらに、遮蔽板部55aは、中間部が幅狭に形成されているとともに、先端側が幅広に形成され、2枚のバリア羽根55の幅狭な部分と幅広な部分とを互いに組み合わせた状態で、遮蔽板部55aにより矩形状の領域すなわち光路14が覆われるようになっている。
また、各ひげバネ58は、線材を巻回して形成された螺旋部58aと、この螺旋部58aの両端部から互いに拡開する方向に延設された一対のひげ部58bとを備えている。
また、バリア羽根ユニット51の前側保持体56は、全体として略円盤状をなし、すなわち、図2及び図7に示すように、円盤状をなす円盤部62と、この円盤部62の周縁部から後方に延び、周縁部に沿う曲面の側面を有する周側部63とが形成されている。そして、円盤部62には、光軸Oを中心とする略矩形状の開口部62aが撮影光が通過する開口として形成されている。また、円盤部62の後面には、光軸Oを挟んで径方向に対向して配置される2個の軸状のボス62bが形成されている。さらに、円盤部62の後面には、開口部62aの両端部に隣接し、当接部55dに当接する角柱状の移動規制部62cが突設されている。
また、前側保持体56の周側部63の外周径すなわち外周形状は、第1群レンズ枠21の外枠部21bの内周面に密着して嵌合する形状に形成されている。さらに、前側保持体56の周側部63は、複数に分割され、本実施の形態では、光軸Oを挟んで径方向に対向して配置される2個の比較的長い第1周側部63aと、これら2個の第1周側部63aの両端側にそれぞれ設けられる2組4個の比較的短い第2周側部63b及び第3周側部63cとに6分割されている。さらに、第1周側部63aと第2周側部63bとの間の2カ所に位置して、径方向に対向する固定機構を構成する係合部としての外側係合手段であるフック部65が突設され、第1周側部63aと第3周側部63cとの間の2カ所に位置して、径方向に対向する第2フック部66が突設されている。そして、これらフック部65と第2フック部66とは、光軸Oを中心に交互に90度ごとに配置されている。そして、フック部65の先端側からは、光軸O側すなわち内周側に向かって突起部65aが突設され、第2フック部66の先端側からは、反光軸O側すなわち外周側に向かって突起部66aが突設されている。また、これらフック部65,66は、径方向に弾性変形可能に形成されている。
一方、バリア羽根ユニット51の後側保持体57は、前側保持体56の後側部に嵌合して取り付けられるもので、全体として略円盤状をなし、すなわち、前側保持体56の周側部63内に嵌合する所定の厚さ寸法の円盤状の円盤部71を備えている。そして、この円盤部71には、第2フック部66を逃げるため、光軸Oを挟んだ2カ所で互いに平行に切り取られたカット部71aが形成されている。また、この円盤部71には、前側保持体56の開口部62aに対応し、光軸Oを中心とする略矩形状の開口部71bが撮影光が通過する開口として形成されている。さらに、円盤部71には、前側保持体56のボス62bに対応し、光軸Oを挟んで径方向に対向して配置される2個の円筒状のボス受部71cが形成されているとともに、各ボス受部71cを囲み、ばね配置部71dが形成されている。また、各ばね配置部71dには、それぞれボス受部71cに隣接して、長孔状の長孔部71eが形成されている。さらに、円盤部71には、フック部65に対応して、後面側の外周部面する部分を略矩形状に凹設した固定機構を構成する係合受部としての内側係合手段であるフック受部72が形成されている。
さらに、この後側保持体57には、開口部71bを囲み、すなわち開口部71bが内接する寸法で、後面側から後側に向かって延び、円筒状の側面を有する遮蔽手段としての円輪部73が突設して形成されている。
そして、この後側保持体57は、カット部71aを除いた円弧状の外周部71gを、前側保持体56の周側部63の内側に嵌合して、前側保持体56に取り付けられている。すなわち、前側保持体56の周側部63の内面は、後側保持体57の外周部71gの外面と同じ曲率を有する円弧状に形成されている。そして、後側保持体57を前側保持体56に嵌合して取り付けた状態で、ボス62bの先端部がボス受部71cに挿入して嵌合される。さらに、この状態で、前側保持体56のフック部65の突起部65aがフック受部72に係合し、前側保持体56と後側保持体57とが互いに固定される。
また、前側保持体56と後側保持体57とを組み合わせた状態で、これら前側保持体56と後側保持体57との間には、2枚のバリア羽根55と、2個のひげバネ58,58とが配置され、バリア羽根ユニット51が構成されている。そして、各バリア羽根55は、前側保持体56のボス62bに孔部55cが挿入され、このボス62bを中心として回転可能に支持されている。また、この状態で、各バリア羽根55から後側に突設されたバリア羽根ボス55bは、円盤部71の後側に突出するように後側保持体57の長孔部71eを移動可能に貫通し、バリア羽根55の回動範囲を規制している。そして、2枚のバリア羽根55が互いに反対方向に回転することにより、バリア羽根55が互いに離間して開放している時には、前後の開口部62a,71bを撮影光が通過し、バリア羽根55が互いに当接して閉鎖している時には、これらバリア羽根55により撮影光が遮光される。
また、各ひげバネ58は、螺旋部58a内にボス受部71cを挿入した状態で、ばね配置部71dに配置されている。そして、各ひげバネ58は、一方のひげ部58bをバリア羽根ボス55bに当接し、他方のひげ部58bを周側部63に当接し、バリア羽根ボス55bと周側部63との間に反力を生じるように取り付けられている。そして、このひげバネ58の反力により、各バリア羽根55は常時開口部62a,71bを閉鎖する方向に付勢されている。
そして、このように構成されたバリア羽根ユニット51は、第1群レンズ枠21に駆動リング52を取り付けた後、この駆動リング52の前方に取り付けられる。
そして、駆動リング52は、図1及び図9などに示すように、略円環状をなすリング部74と、このリング部74から後側に突設された駆動体としてのリング側駆動杆75を備え、第1群レンズ枠21の内周側に設けられた駆動リング保持部77を介して、第1群レンズ枠21内に光軸Oを中心に回転可能に保持される。そして、この駆動リング保持部77は、第1群レンズ枠21の内周面から光軸O方向すなわち内周側に向かって延びる輻体77aと、この輻体77aに支持される枠部としての略円筒状の環体77bとを備えて構成されている。そして、輻体77aは、光軸Oを中心に放射状に3方に形成され、各輻体77a同士の間は、光軸O方向に貫通する孔部77cとして形成されている。すなわち、これら孔部77cは、光軸O方向からみて光軸Oを中心に120度の間隔で設けられた円弧状のスリットとして形成されている。
そして、駆動リング52は、リング部74の内周面が環体77bの外周面に回転可能に嵌合された状態で、駆動リング保持部77を介して第1群レンズ枠21に対して保持される。
さらに、リング部74の内周面には、径方向に対向して2カ所に、連結部として内周面から外周側に延びる溝状の凹部74a,74aが形成されており、バリア羽根ユニット51を第1群レンズ枠21に取り付けると、駆動リング52の各凹部74aにバリア羽根ボス55bが係合する。そこで、駆動リング52が環体77bを回転軸として回動すると、バリア羽根ボス55bが駆動リング52からの駆動力を受け、駆動リング52の回転方向に従って、ボス62bを回転軸として回転すなわち開閉動作を行う。
さらに、駆動リング52側に設けたスプリング係止部74bと輻体77a側に設けたスプリング係止部77dとの間に、スプリング60が掛け渡され、バリア羽根55を開放する方向、本実施の形態では、前方(図中左側)からみて時計回り方向に駆動リング52を常時付勢している。
なお、ひげバネ58がバリア羽根55を開く方向の付勢力は、スプリング60がバリア羽根55を開く方向の付勢力よりも小さく設定されている。
また、輻体77a側のスプリング係止部77dは、複数カ所、本実施の形態では光軸Oを中心に120度の間隔で3カ所に設けられ、第1群レンズ枠21が直進案内筒26に対してどのような角度(本実施の形態では光軸Oを中心とする120度単位の角度)で取り付けられても、駆動リング52側のスプリング係止部74bにスプリング60を掛け渡すことができるようになっている。
また、駆動リング52を駆動リング保持部77に取り付けると、リング部74から後側に突設されたリング側駆動杆75が、駆動リング保持部77の孔部77cを貫通し、輻体77aの後方の第1群レンズ枠21内に臨む。そして、各孔部77cは、駆動リング52の回転量、すなわち、バリア羽根55が開閉できるだけ駆動リング52が回転する量を許容できるように形成されている。また、このリング側駆動杆75は、基板28から前側に向って突設された基板側駆動杆30に対向して配置されている。さらに、この基板側駆動杆30とリング側駆動杆75とは、図3(a)に示すように、第1群レンズ枠21が後退して非撮影位置ある状態では互いに当接し、図3(b)に示すように、第1群レンズ枠21が前方の撮影可能位置へ移動した状態では互いに当接しないように互いの長さが設定されている。また、これら基板側駆動杆30とリング側駆動杆75とが互いに当接する当接面には、前後方向に傾斜する傾斜面である図示しないカム面が形成され、これらカム面同士の当接により、駆動リング52が押動され、光軸Oを中心として回動するようになっている。
そして、これらカム面は、スプリング60の付勢力を受ける方向に形成されており、すなわち、図3(a)に示すように、第1群レンズ枠21が後退して非撮影位置ある状態では、スプリング60の付勢力に抗してバリア羽根55を閉鎖状態に維持し、第1群レンズ枠21が前方に移動するにつれて、スプリング60の付勢力に従って駆動リング52を回転させるように、カム面の当接位置が変化し、第1群レンズ枠21が撮影可能位置まで変位した状態で、図3(b)に示すように、基板側駆動杆30のカム面とリング側駆動杆75のカム面とが完全に離間し、スプリング60の付勢力によりバリア羽根55が開放状態に維持される。逆に、第1群レンズ枠21が撮影可能位置から非撮影位置に移動する際は、カム面同士が互いに当接して摺接し、スプリング60の付勢力に抗して駆動リング52を回転させ、バリア羽根55を閉鎖方向に移動させる。
さらに、各孔部77cは、複数カ所、本実施の形態では光軸Oを中心に120度の間隔で3カ所に設けられおり、第1群レンズ枠21が直進案内筒26に対してどのような角度(本実施の形態では光軸Oを中心とする120度単位の角度)で取り付けられても、リング側駆動杆75をいずれかの孔部77cに挿通させることができるようになっている。
そして、レンズ鏡筒10の組み立て工程は、まず、カム筒25に対して、このカム筒25の前方から直進案内筒26を挿入して、カム筒25内に直進案内筒26を組み込む。
次いで、第2群レンズ枠22を、各カムフォロア22aが直進ガイド溝26aとカム溝25aの第2カム溝25cとに係合するように直進案内筒26内に組み込む。
次に、駆動リング52と第1レンズ群11とを組み込んだ第1群レンズ枠21を、各カムフォロア21aが直進ガイド溝26aとカム溝25aの第1カム溝25bとに係合するように直進案内筒26内に組み込む。
次いで、図3に示すように、バリア羽根ユニット51を、第1群レンズ枠21の先端の内周側に嵌合する。この時、前側保持体56の周側部63の外周形状は、バリア羽根ユニット51を第1群レンズ枠21の先端部に嵌合したときに、この先端部の内周面に丁度当接する形状に設定されている。そして、後側保持体57のフック受部72に係合する突起部65aを有するフック部65の外周面も、第1群レンズ枠21の内周面に当接する形状に形成されている。
そして、バリア羽根ユニット51を、第1群レンズ枠21の先端の内周側に嵌合して所定の位置まで押し込んだ状態で、第2フック部66の突起部66aが第1群レンズ枠21の孔部21cに係合し、バリア羽根ユニット51が第1群レンズ枠21に対して固定される。
そして、このようにバリア羽根ユニット51を第1群レンズ枠21に組み込んだ状態で、図3に示すように、後側保持体57の円輪部73は、第1群レンズ枠21の環体77bの内側に嵌合し、すなわち、円輪部73の外周面が、環体77bの内周面に密着して当接するようになっている。そこで、駆動リング保持部77の輻体77a同士の間に位置する孔部77cは、バリア羽根55を開いた状態の開口部に対して閉じられた状態になっている。従って、このバリア羽根55の開口部から埃が侵入しても、孔部77cからレンズ鏡筒10の内側に埃が侵入することを抑制できる。
さらに、バリア羽根ユニット51が第1群レンズ枠21に組み込まれた状態で、飾り筒18を第1群レンズ枠21に装着する。そして、この飾り筒18を取り付けることにより、外観を向上できるとともに、バリア羽根ユニット51の第1群レンズ枠21に対する取り付けを、第2フック部66と孔部21cとの係合と相まって、確実なものとするとともに、飾り筒18と第1群レンズ枠21とで前側保持体56と後側保持体57とを前後から挟み、前側保持体56と後側保持体57との取り付けを確実なものとしている。
以上のように、第1群レンズ枠21、第2群レンズ枠22、及びバリア装置20などが組み込まれたカム筒25を、固定筒27内に組み込み、さらに、4本のねじ31を用いて固定筒27を基板28に取り付けて、レンズ鏡筒10が構成される。
そして、このレンズ鏡筒10は、モータM1を所定方向に回転させると、ギア33,34を介してカム筒25が回転し、第1レンズ群11及び第2レンズ群12がカム溝25a及び直進ガイド溝26aに案内されて光軸O方向に沿って変位する。また、この第1レンズ群11の光軸O方向に沿った前後方向への変位に伴い、リング側駆動杆75が基板側駆動杆30に当接して押動され、駆動リング52が回転し、この駆動リング52の回転を受けてバリア羽根55が開閉する。
このようにして、バリア装置20は、第1群レンズ枠21が撮影装置の非撮影状態と撮影可能状態との間で移動するのに対応して、上下一対のバリア羽根55を開閉する。すなわち、第1群レンズ枠21が非撮影位置に位置する状態では、バリア羽根55は閉鎖され、第1レンズ群11の前面を覆って保護するとともに、第1群レンズ枠21が撮影可能位置に変位した状態で、バリア羽根55は解放され、撮影光がレンズ鏡筒10内を通過可能になる。
このように、バリア装置20を備えたレンズ鏡筒10では、バリア装置20側の駆動杆であるリング側駆動杆75をカム筒25内に延びる基板側駆動杆30に当接させるため、リング側駆動杆75が第1群レンズ枠21を光軸O方向に貫通する孔部77cを設ける必要があり、さらに、この孔部77cは、駆動リング52の回転を許容するように、回転範囲に体押させて所定の長さの弧状に開口形成する必要がある。そのため、この孔部77cから、埃などがレンズ鏡筒10の内部に入りやすい問題があるが、本実施の形態によれば、バリア羽根ユニット51の後側保持体57の後面に円筒状の円輪部73を設け、第1群レンズ枠21の環体77bに密着して嵌合させたため、バリア羽根55を開いた状態の開口部などから埃が侵入しても、この埃をバリア装置20と第1群レンズ枠21との取付部分の隙間で遮断し、孔部77cを介してレンズ鏡筒10の内側に侵入することを抑制でき、良好な状態で撮影できる。
また、この円輪部73は、光軸Oを中心とする径方向で第1群レンズ枠21に当接し、すなわち、光軸Oを中心とする弧状をなし、さらに、第1群レンズ枠21の内周側の全周にわたって当接する環状に形成したため、埃などの侵入を効果的に抑制できる。
また、この円輪部73は、保持体である後側保持体57に一体に形成した凸条部としたため、別体の弾性部材を用いる構成などに較べ、部品点数や組み立て工数の増加がなく、製造コストを低減できる。
また、レンズ鏡筒10のバリア装置20においては、バリア羽根55を挟んで開閉可能に保持する前側保持体56と後側保持体57とを互いに連結する必要があるが、本実施の形態によれば、突設形成したフック部65と凹設して形成したフック受部72との係合により、別体の固定具などを用いる必要なく、前側保持体56と後側保持体57とを互いに固定できる。そこで、ねじなどの固定具を用いて前側保持体56と後側保持体57とを固定する構成に比べ、部品点数を削減し、製造工程を削減して、製造コストを低減できる。
さらに、後側保持体57のフック受部72に係合する突起部65aを有するフック部65の外周面が、第1群レンズ枠21の内周面に当接する形状に形成されているため、バリア羽根ユニット51を第1群レンズ枠21の先端の内周側に嵌合した状態で、第1群レンズ枠21により、フック部65が外周側に反って突起部65aがフック受部72から外れることを防止できる。そこで、これらフック部65とフック受部72との係合のみで、十分な取付強度で前側保持体56と後側保持体57とを確実に固定できる。
さらに、第1群レンズ枠21にバリア装置20を取り付けた状態で、先端側から第1群レンズ枠21に飾り筒18を嵌め合わせ、これら第1群レンズ枠21と飾り筒18との間にバリア装置20の前側保持体56と後側保持体57とを挟み込むようにしたため、外観を向上する飾り筒18により、前側保持体56と後側保持体57との互いの取付を容易に確実にすることができる。
なお、上記の実施の形態では、各孔部77cは、光軸Oを中心に120度の間隔で3カ所に設け、第1群レンズ枠21が直進案内筒26に対してどのような角度(光軸Oを中心とする120度単位の角度)で取り付けられても、リング側駆動杆75をいずれかの孔部77cに挿通できる構成とするとともに、円輪部73を円筒状に形成したが、この構成に限られず、第1群レンズ枠21の直進案内筒26への取付角度を1方向あるいは2方向とし、孔部77cを1カ所あるいは2カ所とするとともに、これら孔部77cが形成された部分に沿って、円輪部73を弧状に形成することもできる。また、円輪部73を弧状に形成した場合、円輪部73が途切れた位置から埃が侵入する可能性はあるが、最も埃が侵入しやすい孔部77cに対応したすなわち孔部77cに沿った位置に円輪部73を形成することにより、埃の侵入を効果的に抑制できる。
また、上記の実施の形態では、前側保持体56と後側保持体57との係合部分について、突起部65aを設けたフック部65を前側保持体56側に設け、このフック部65が係合するフック受部72を後側保持体57側に凹設して形成したが、この構成に限られず、前側保持体56と後側保持体57とのいずれか一方あるいは両方にフック部65を設け、他方にこれらフック部65に係合するフック受部72を設けて、これらフック部65とフック受部72との係合により、前側保持体56と後側保持体57とを互いに固定することができる。例えば、図10及び図11に示すように、後側保持体57側に突起部65aを設けたフック部65を形成し、このフック部65が係合するフック受部72を前側保持体56側に凹設して形成することもできる。
また、上記の実施の形態では、駆動リング52を第1群レンズ枠21に組み込んだ後に、この第1群レンズ枠21にバリア羽根ユニット51を組み込んだが、この構成に限られず、駆動リング52をバリア羽根ユニット51に組み合わせた後に、このバリア羽根ユニット51を第1群レンズ枠21に組み込むこともできる。例えば、図12及び図13に示すように、後側保持体57から突設した円輪部73に、駆動リング52を係合して保持する駆動リング支持部79を形成するとともに、スプリング60を、後側保持体57と第1群レンズ枠21との間に掛け渡すことができる。そして、この構成では、埃の侵入を防ぐ円輪部73を駆動リング52を支持する手段として兼用したため、構造が複雑になることがない。そして、駆動リング52の第1群レンズ枠21への組み込み作業は、レンズ鏡筒10の鏡筒内の細かい作業になるが、駆動リング52のバリア羽根ユニット51への組み込みは、作業を妨げる筒体もなく、組み込み作業の作業効率を向上し、製造コストを容易に低減できる。
本発明は、撮像素子やフィルムを用いる撮影装置の他、鏡筒を備えたプロジェクタ装置に適用できる。
本発明のレンズ鏡筒の一実施の形態を示す分解斜視図である。 同上レンズ鏡筒のバリア装置の分解斜視図である。 同上レンズ鏡筒の断面図であり、(a)は非撮影状態、(b)は撮影可能状態である。 同上レンズ鏡筒の前側からみた説明図である。 同上レンズ鏡筒のカム筒に直進案内筒を組み合わせた状態の斜視図である。 同上レンズ鏡筒のカム溝の展開図である。 同上レンズ鏡筒のバリア装置の分解斜視図である。 同上レンズ鏡筒のバリア装置の断面図である。 同上レンズ鏡筒の第1群レンズ枠に駆動リングを組み合わせた状態の斜視図である。 本発明の他の実施の形態を示すレンズ鏡筒の断面図であり、(a)は非撮影状態、(b)は撮影可能状態である。 同上レンズ鏡筒のバリア装置の断面図である。 本発明のさらに他の実施の形態を示すレンズ鏡筒の断面図であり、(a)は非撮影状態、(b)は撮影可能状態である。 同上レンズ鏡筒のバリア装置の断面図である。
10 レンズ鏡筒
11 レンズとしての第1レンズ群
14 光路
15 撮影手段としてのCCD
20 バリア装置
21 鏡筒本体を構成する第1群レンズ枠
30 制御手段を構成する基板側駆動杆
55 バリア手段としてのバリア羽根
57 保持体としての後側保持体
73 遮蔽手段としての円輪部
75 駆動体としてのリング側駆動杆
77b 枠部としての環体
77c 孔部
O 光軸

Claims (3)

  1. 光軸に沿って光路に配置されたレンズ、前記光路を囲んで配置された枠部及びこの枠部を介して前記光路から離間した位置に光軸に沿って設けられた孔部を備えた鏡筒本体と、
    この鏡筒本体の前端部に備えられ、前記レンズの前方で前記光路を開閉可能に設けられたバリア手段、前記孔部に配置され前記バリア手段を駆動する駆動体、及び前記枠部に対して不動でかつこの枠部の全周に密着して嵌合することにより前記光路と前記孔部との間を遮蔽する遮蔽手段を備えたバリア装置と
    を具備したことを特徴とするレンズ鏡筒
  2. バリア装置は、バリア手段を開閉可能に保持する保持体を備え、
    遮蔽手段は、前記保持体に一体に形成された
    ことを特徴とする請求項記載のレンズ鏡筒。
  3. 請求項1または2記載のレンズ鏡筒と、
    前記レンズ鏡筒の駆動体を介してバリア手段を駆動する制御手段と、
    このレンズ鏡筒が取り付けられる筐体と、
    前記レンズ鏡筒により結像された画像を撮影する撮影手段と
    を具備したことを特徴とする撮影装置。
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