本発明の実施の一形態を図1(a)(b)〜図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
以下に本実施の形態にかかる定着装置について説明する。この定着装置は、例えば画像形成装置に設けられ、記録シート(たとえば、紙など)上に転写された現像剤(例えばトナー)の画像を熱と圧力により定着させ、記録シート上に画像を記録するものである。
図3(a)は、本実施の形態にかかる定着装置の要部を説明する模式図であり、図3(b)は、上記定着装置の断面図である。図3(a)(b)に示されるように、定着装置14は、加熱ローラ31と、加圧ローラ32と、クリーニング装置99(定着装置のクリーニング装置)と、外部加熱ローラ77と、サーミスタ66・79と、サーモスタット95と、上剥離爪67と、下剥離爪78とを備えている。また、上記クリーニング装置99は、定着カバー39(図3(b)参照)とクリーニングローラ75と叩き軸21とを備えている。なお、現像材93の付着した記録シート91が、加熱ローラ31と加圧ローラ32との圧接領域を図中矢印方向に通過することで、上記現像材93が記録シート91上に定着させられる。なお、加熱ローラ31および加圧ローラ32並びにクリーニングローラ75および外部加熱ローラ77はローラ形状(円柱形状)である。
加熱ローラ31は、芯金61と中間層62と表面絶縁層63と耐熱吸熱層65とハロゲンランプ64とを備えている。芯金61にはアルミウムや鉄、およびそれらの合金が多用され、本実施の形態では、鉄系の冷間圧延炭素鋼鋼管を引き抜き等で所望の外径、肉厚に加工し、その後研磨加工を行ない外径40mm、肉厚1.3mmに製作している。また芯金61には、防錆の目的で材料表面に対してパーカライジング処理(リン酸塩被膜処理)を施し、錆の発生を抑制している。芯金61の両端部は、外径を30mm、肉厚1.5mmに絞り加工を行なって、加熱ローラ31に加わる荷重を軸支部材であるボールベアリング(ころがり軸受の一種)で支える。
加熱ローラ31における、絞り加工を施していない中央のスリーブ部分には、加熱溶融したトナーとの接触でも離型性能を維持できるフッ素系樹脂が一般的に用いられる。前記フッ素樹脂としては、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、あるいはそれらの混合体が用いられる。本実施の形態では、導電性の芯金61上に、中間層62を介して表面絶縁層63をコーティングしている。
表面絶縁層63としては、耐熱性および離型性の観点から、その他、例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂、あるいはフッ素ゴムラテックスを含む材料を各々単独で、もしくは2種類以上を組み合わせて使用することもできる。これらは、塗布・焼成によって形成すること、あるいはチューブ被覆で形成すること等ができる。
中間層62は、表面絶縁層63としてのフッ素樹脂とパーカライジング処理した炭素鋼鋼管表面(芯金61表面)との接着性を高めるものである。本実施の形態では、ゴム系あるいはレジン系接着材等の絶縁性プライマを用いている。なお、中間層62としては、前述の絶縁性プライマ以外に、導電性プライマを用いることができる。
また、芯金61の内面には耐熱吸熱層65が形成されている。この耐熱吸熱層65は、加熱ローラ31が内包している加熱体のハロゲンランプ64が加熱ローラの内周面に赤外光等の放射エネルギーを放出した場合に、これを効率良く吸収して熱に変換するものである。耐熱吸熱層65には、例えば、変性シリコーン樹脂、無機耐熱黒顔料、炭化水素(溶剤)などの混合物が用いられ、その膜厚は20〜30μmに形成されている。一般的に、オキツモ(商品名)、テツゾール(商品名)、セルモブラック(商品名)等の耐熱塗料が用いられている。本実施の形態では、オキツモを用いている。
図6に、上記加熱ローラ31の構造をより詳細に示す。同図に示されるように、加熱ローラ31は、定着装置14のフレーム82に取り付けられたボールベアリング81により支持されている。フレーム82は鉄系の冷間圧延鋼をプレス成形したものである。このフレーム82は例えば画像形成装置41(後述、図10参照)のフレームに取り付けられている。ボールベアリング81は、外輪部81a、転動体(図示せず)および内輪部81bを有し、加熱ローラ31の両端部における絞り部分のジャーナル部63に嵌合されている。
また、ボールベアリング81の外輪部81aと内輪部81bとの間にある転動体は、通常、ベアリング材料同志の金属接触を極力少なくして、回転摩擦が少ない状態を維持し、回転に必要な駆動力を極力小さくして、荷重を支えるようにしている。ただし、単に金属同志の接触だけでは、回転による摩擦の影響により焼き付きを起こしてしまう。そこで、シリコーン系やフッ素系オイルをベースとした潤滑剤(グリス)を外輪部81aと内輪部81bとの間に注入し、金属同志の接触でも焼き付きを起こさないようにしている。
加圧ローラ32は芯金71と絶縁性弾性層72と中間層73と表面抵抗層74とを備え、表面抵抗層74に当接する外部加熱ローラ77(後述)から過熱される。
加圧ローラ32においては、鉄やステンレス等の導電性の芯金71上にシリコーンゴム等の耐熱性を有する絶縁性弾性層72が形成され、その外周に中間層73が形成されている。この中間層73の外周には、表面の離型性能を向上させる表面抵抗層74を形成されている。中間層73は、絶縁性弾性層72と表面抵抗層74との接着性を高めるものであり、本実施の形態では、中間層73として、絶縁性プライマを用いている。
加圧ローラ32の表面抵抗層74の表面抵抗率は1010Ω程度が好ましい。表面抵抗層74の表面抵抗率を105Ω程度にすることも可能ではあるが、より好ましくは、107Ω〜1018Ω以上が良い。また、表面抵抗層74の体積抵抗率は、107Ω・cm以上、より好ましくは、1010Ω・cm以上である。
絶縁性弾性層72には、前述のシリコーンゴム系であれば、高温加硫型シリコーンゴム(HTV)、付加反応硬化型シリコーンゴム(LTV)、縮合反応硬化型シリコーンゴム(RTV)、その他にフッ素ゴム、またはこれらの混合物等が用いられる。具体的には、例えば、ジメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、ビニルシリコーンゴム等のシリコーンゴム系、フッ化ビニリデンゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレンゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、ホスファゼン系フッ素ゴム、フルオロポリエーテル等のフッ素ゴム等を使用することができる。これらのゴムは、各々単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができ、注型・加硫、研磨等で成形する。
なお、加圧ローラ32は、ステンレス等の軸部に対して、ボールベアリング(図示せず)を嵌合し、このボールベアリングを、フレームにかしめた支点軸から延びる荷重レバーにより受けて、加熱ローラ31の中心軸方向へ、荷重バネ等によって荷重する。この荷重による圧接力は、本実施の形態において、764N(両端合計)であるが、記録シート91の種類、加熱ローラ31や加圧ローラ32の剛性、温調温度等の条件や性能によって、任意に設定可能である。
さらに、加熱ローラ31および外部加熱ローラ77の表面近傍には、それぞれ各ローラ31、77の表面温度を検出するサーミスタ(温度検出素子)66、79が備えられている。ここで、図8(a)は、サーミスタ(温度検出素子)の受熱面をを示す断面図、図8(b)は、サーミスタ(温度検出素子)の構造を示す正面図である。
図8(b)に示すように、サーミスタ66(79)はハウジング129に固定支持された弾性部材であるステンレス板125上にサーミスタチップ124を直接ボンディングして、熱応答性を早くしたものである。このサーミスタ66(79)は、バイアス電圧を印加すること、摩擦帯電によって高電位になっている加熱ローラ31や外部加熱ローラ77に当接することから、高電圧に対して、温度制御装置や画像形成装置などの電気系統を保護する必要がある。特に、ステンレス板と前述した各ローラとが近接しており、温度制御装置の2次回路との絶縁耐圧を十分確保しておかなければならない。
そこで、本実施の形態におけるサーミスタ66(79)は、図8(a)に示すように、サーミスタチップ124をボンディングしているステンレス板125の受熱面側に対して絶縁被覆層126を被せ、その上に耐熱離型層127を被せる。また、その反対側の面には保護層128を被せる。また、ステンレス板125とハウジング129との間において、当接するローラ表面との絶縁距離を確保するために、絶縁被覆層126、耐熱離型層127および保護層128にて、ステンレス板125をハウジング129の境界付近まで覆っている。こうすることで、サーミスタチップ124やステンレス板125に対して、各々のローラからリーク電流が流れることがなく、高電圧による破損や劣化といった不具合が解消される。この結果、安定したバイアス電圧を印加することができるとともに、正確な温度情報を取得することができ、良好な温度制御を実施することができる。本実施の形態において、絶縁被覆層126は接着剤を含んだ厚み50μmのポリイミド(商品名:カプトン)であり、耐熱離型層127は接着剤を含んだ厚み130μmのガラス繊維に耐熱離型樹脂を含浸させたものである。また、保護層128は接着剤を含んだ厚み80μmのテフロン(登録商標)である。なお、これら材料は、上記のものに限定されず、諸性能において代替できるものであれば、他の材料でもよい。なお、定着装置14には、加熱ローラ31側のサーミスタ66と連動して過温度上昇を防止するサーモスタット95(図3参照)が備えられている。
外部加熱ローラ77は、アルミニウムや鉄、あるいはそれらの合金(ステンレス鋼も含む)材料を用いた中空ローラであり、最外周面に設けた表面離型層77aによって離型性能を維持したまま、加圧ローラ32と圧接した際のニップでの熱伝導によって表面を加熱する。本実施の形態では、アルミニウム合金製の外径15mm、肉厚0.85mmのストレートパイプ77bの外周面に、中間層77cと表面離型層77aとを順次形成し、ストレートパイプ77bの内周面には、加熱ローラ31と同様に耐熱吸熱層を設け、内部には、ハロゲンランプ77dを内包している。
外部加熱ローラ77において、中間層77cや表面離型層(表面絶縁層)77aは、加熱ローラ31と異なる構成を用いることが可能であるが、本実施の形態では同じ構成を用いている。また、外部加熱ローラ77についても、両端部にすべり軸受やころがり軸受を嵌合し、荷重バネ等により、加圧ローラ32に対して所定範囲のニップを保持しながら圧接している。
また、定着装置14には、加熱ローラ31の表面絶縁層63に当接する上剥離爪67と、加圧ローラ32の表面抵抗層74に当接する下剥離爪78とが備えられている。上剥離爪67は加熱ローラ31に貼り付いた記録シート91を機械的に剥ぎ取るものであり、下剥離爪78は、加圧ローラ32に貼り付いた記録シート91を機械的に剥ぎ取るものである。
なお、上記した材料や寸法、形状等は、それらに限定されるものではなく、所望の性能を逸脱しない範囲で、適宜変更可能であり、種々のものを用いることができる。
このように、定着装置14では、加熱ローラ31と加圧ローラ32とは所定の荷重で相互に圧接され、記録シート91を狭持搬送しながらトナーからなる未定着画像を加熱溶融し記録シート91上に定着する。
ところで、定着装置14に対して記録シート91の流れにおける上流に位置する転写装置5(後述、図10参照)では、感光体ドラム1上に形成されたトナーによる静電顕像であるトナー画像を記録シート91に写し取る転写プロセスを行う。このときに、上記の逆極性トナー92(図3参照)が転写装置5の表面に付着し、さらに転写装置5の表面から記録シート91の裏面に付着する。
この転写装置5では、通常、逆極性トナーや紙紛等を除去するような機構を有するものの、完全には除去できないことが多く、この残留した逆極性トナーや紙紛は、転写装置5の表面に蓄積されてくる。そして、電気的あるいは機械的付着力等の力のバランスによって、一部あるいは全部が記録シート91に付着して、下流側の定着装置14に運ばれてくる。通常であれば、上記逆極性トナー92や紙紛等は、そのまま記録シート91に付着し、記録シート91とともに画像形成装置41(図14参照)から排出される。
しかしながら、多数枚の定着処理を行った場合、加熱ローラ31や加圧ローラ32の摩擦帯電によって生じた静電気力の大きさや極性等によって、逆極性トナー92が記録シート91から引き剥がされて加圧ローラ32、さらには加熱ローラ31にまで付着してしまうこととなっていた。
例えば、プロセス速度が335mm/s、印刷速度55〜65枚/分で加熱ローラ32の温度設定180℃として多数枚数を連続印刷すると加圧ローラの表面温度は上昇して100℃前後になってしまう。これは、トナーの融点120℃より低いが軟化点70℃前後を超えた状態となっており、トナーが加圧ローラ32表面に付着する現象が起きてくる。
このような加圧ローラの表面へのトナーの堆積を防ぐため、従来より、定着ニップ下流側にクリーニングローラが配置されており、加圧ローラ表面のトナーはクリーニングローラの表面に粘着転移し、加圧ローラの表面は清掃されるものとなっている。
このようなクリーニングローラを有していても、用紙幅の大きい記録シート(例えば、A3サイズ)に連続して定着を行う場合や、高速機を用いて連続的に印刷する(例えば多量に印刷する)場合には、クリーニングローラからの現像剤の排出が追いつかなくなる。
すなわち、排出しきれない現像剤等の不要物を付着させたままクリーニングローラが回転(特に、高速回転)し、現像剤等の不要物を周囲に飛び散らせることになる。この結果、クリーニングローラの周辺に設けられた部材に現像剤等の不要物が付着・固形化し、クリーニング装置のメンテナンス(交換・清掃等)に手間がかかるという問題があった。
このような課題を解消するため、本実施の形態の定着装置14には、メンテナンスの容易なクリーニング装置99(定着装置のクリーニング装置)が設けられている。
ここで、図1(a)は、本実施の形態にかかるクリーニング装置の分解斜視図である。また、図1(b)は、本クリーニング装置の断面図である。また、図2(a)は、本実施の形態にかかる定着装置の要部と本クリーニング装置の関係を示す斜視図である。また、、図2(b)は、本クリーニング装置における、クリーニングローラ(およびフランジ)の平面図である。
図1(a)に示されるように、クリーニング装置99は、クリーニングローラ75と、定着カバー39(カバー部材)とを備えている。
クリーニングローラ75は、円筒状のブラシ部75bと、このブラシ部75bの心棒である芯金75aとを有する(図2(b)参照)。芯金75aには、アルミニウムや鉄、あるいはそれらの合金(ステンレス鋼も含む)材料が用いられる。クリーニングローラ75の表面(加圧ローラ32との接触部)のブラシ部75bには、例えば、導電性のポリアミド繊維(ナイロン繊維)がブラシ状に設けられている。具体的には、クリーニングローラ75は、芯金75aの側面に、例えば導電性のポリアミド繊維が多数植毛されたシート75b(ブラシ部)が、両面テープを介して貼り付けられた構成である。なお、本実施の形態では、鉄にニッケルメッキを施した芯金75a(外形12mm)表面にブラシ部75b(例えば、導電性のポリアミド繊維がブラシ状に植毛されたシート)を耐熱性の両面テープで貼り付け、この導電性のポリアミド繊維の外径が24mmとなるように外周カット加工を施したクリーニングローラ75を用いている。
定着カバー39は、図1(a)・(b)に示されるように、加圧ローラ32およびクリーニングローラ75を覆うカバー部材であり、ガイド部39a・39bと、このガイド部39a・39bの両端に位置し、互いに対向する2箇所の支持部39c(図1(a)参照)と、叩き軸21を備える蓋部39dとを備える。この定着カバー39は、加圧ローラ32を保護するとともに、クリーニングローラ75や叩き軸21等からの不要物の飛び散りを防ぐためのものである。また、定着カバー39は、図9に示す画像形成装置41(例えば、定着装置14の筐体(フレーム)等)に、着脱可能に支持されている。
図1(a)に示されるように、定着カバー39の各支持部39cには支持穴が形成されており、各支持穴に軸受け85がはめ込まれている。この2つの軸受け85にクリーニングローラ75の芯金75aがはめ込まれている。すなわち、クリーニングローラ75は軸受け85を介して、定着カバー39の支持部39cに支持されている。
ガイド部39a・39bは、クリーニングローラ75における加圧ローラ32との接触部とクリーニングローラ75の回転軸とを含む平面の両側に設けられ、支持部39cに支持されたクリーニングローラ75の外周部(ブラシ部75b)を覆うように形成されている。
蓋部39dは、図1(b)に示されるように、クリーニングローラ75を挟んで加圧ローラ32の反対側にてブラシ部75bを覆うように設けられており、その両端部分はガイド部39a・39bに接している。
これにより、クリーニング装置99においては、ブラシ部75bと加圧ローラ32との当接領域100およびその近傍部分を除く領域が、定着カバー39(ガイド部39a・39bおよび蓋部39d)によって覆われた構成となっている。
なお、図1(a)・図2(b)に示されるように、芯金75aの両端部(軸受けの外側)にはフランジ55が設けられている。このフランジ55や荷重バネ(図示せず)によって、ブラシ部75bは加圧ローラ32に対して所定範囲の食い込み量をもって圧接(当接)されている。なお、本実施の形態においては、加圧ローラ32表面に残留する現像剤および紙粉を効率よく除去するために、クリーニングローラ75(ブラシ部75b)の加圧ローラ32への食い込み量を約1mmとしている。
また、図1(a)・(b)に示されるように、定着カバー39を構成する蓋部39dには叩き軸21(叩き部)が設けられている。この叩き軸21は、クリーニングローラ75の長手方向(ローラの回転軸方向)に沿うような棒状の形状を有し、クリーニングローラ75のブラシ部75bに対して所定の深さをもって当接する。
さらに、図1(b)に示されるように、不要物の排出位置となる叩き軸21の下部、すなわち、定着カバー39内の蓋部39dとガイド部39bとで囲まれる部分には、ブラシ部75bから除去、排出された現像材や紙粉を回収するための収用凹部51(回収部)が備えられている。
このように、本実施の形態のクリーニング装置99においては、クリーニングローラ75が、定着カバー39(支持部39c)に保持されているため、クリーニングローラ75と定着カバー39(支持部39c、ガイド部39a・39b、叩き軸21を備える蓋部39dおよび回収用凹部51)とが1つのユニットとなっている。また、定着カバー39は画像形成装置(図9参照)に対し着脱可能である。したがって、メンテナンス時には、このユニット(クリーニング装置99のユニット)ごと交換、清掃するといったことが可能になる。
上記クリーニング装置99によるクリーニング動作は以下のようになる。すなわち、ブラシ部75bは、フランジ55によって規定された所定の深さ(例えば、1mm)だけ加圧ローラ32に食い込んでいる。この状態で、加圧ローラ32およびクリーニングローラ75が回転すると、加圧ローラ32表面に付着している現像剤や紙粉あるいはこれらの混合物は、ブラシ部75bのブラシの毛(例えば、ポリアミド繊維)によって掃き出され、ローラの回転力によって外周方向に飛ばされる(図1(b)参照)。これによって、加圧ローラ表面の現像剤や紙粉あるいはこれらの混合物が除去される。さらに、ブラシ部75bの毛と毛の間に入り込んだ現像材や紙粉は、回転に伴う叩き軸21とブラシ部75bとの摩擦によって、ブラシ部75bから除去、排出される。この排出された現像材や紙粉は、回収用凹部51に収容される。
また、クリーニングローラ75から飛び散った不要物(現像材や紙粉)は定着カバー39内に収めることができ、定着装置14内外の他の部材に不要物が付着・固形化することを防止できる。これにより、クリーニング装置99のメンテナンス(清掃等)が容易となる。加えて、このメンテナンス時に、上記定着カバー39とクリーニングローラ75とをユニットとして交換することができ、クリーニング装置14の各部を個別に分解・交換し、清掃するといった従来からの手間を省くことができる。さらに、現像材等の飛散を最小限に抑えることができるため、飛散した現像材が記録シート91を汚してしまうといった問題も併せて解消することができる。
また、クリーニングローラ75における加圧ローラ32との接触部分(クリーニングローラ75の表面75b)がブラシ状であるので、加圧ローラ32表面に付着している不要物を効率良く取り除くことができる。このとき、毛の弾力によって不要物が周囲に飛び散りやすいが、クリーニングローラ75そのものを覆うガイド部39a・39bおよび蓋部39dによって、この不要物の飛び散りを効果的に抑えることができる。
また、クリーニングローラ75のブラシ部75bに当接する叩き軸21によって、ブラシ部75bに付着している現像剤や紙粉を叩き出すとともにブラシ部75bの毛を立たせることができ、クリーニングローラのクリーニング効果をより長期間に渡って安定的に維持させることが可能となる。なお、定着カバー39に叩き軸21が設けられているため、定着カバー39とクリーニングローラ75とをユニットとして交換、清掃する際に、この叩き軸21も同時に交換、清掃することができ、メンテナンスが容易である。
また、叩き軸21による不要物の排出位置には回収用凹部51が設けられているため、現像剤や紙粉等の不要物をこの回収用凹部51に収容することができる。これにより、一旦排出された不要物が再度定着装置14内の部材に付着してしまうことを防止できる。また、この回収用凹部51のみをとりあえずメンテナンスするといったことも可能である。
なお、クリーニングローラ75の回転方向は、加圧ローラ32の回転方向の逆方向となることが好ましい。このようにすると、単位時間当たりに加圧ローラ32とクリーニングローラ75とが接触する面積が増加し、クリーニング効果を向上させることができるからである。
図7は、クリーニングローラ75の駆動伝達ギヤーの構造を示す断面図である。同図に示されるように、加熱ローラ31の駆動ギヤー132にアイドルギヤーA133およびアイドルギヤーB134を介してクリーニングローラ75の駆動ギヤー135に回転が伝達される。これにより、クリーニングローラ75は時計方向に回転し、加圧ローラ32は反時計方向に回転する。
また、上記叩き軸21(図1参照)の代わりに、引っ張りスプリングあるいは櫛状の板金を用いることもできる。図4(a)に、叩き部を引っ張りスプリングで構成した場合の定着装置14の要部の斜視図を示し、図4(b)に、該定着装置14の要部の断面図を示す。また、図5(a)に、上記叩き部を櫛状の板金で構成した場合の定着装置14の要部の斜視図を示し、図5(b)に、該定着装置14の要部の断面図を示す。
図4(a)(b)に示すように、引っ張りスプリング21aは、その伸縮方向とクリーニングローラ75の軸方向とが一致(スプリングの巻き方向が、クリーニングローラ75の回転方向と一致)するように、クリーニングローラ75の長手方向に沿ってブラシ部75bと当接するように設けられている。このように、引っ張りスプリング21aを用いると、回転軸方向に弾性を有するスプリングの線(針金部分)にブラシ部75bが当たるため、棒状のものを用いた場合に比較して、よりソフトにブラシ部75b(導電性のポリアミド繊維)を叩くことができる。この結果、クリーニングローラ75の回転トルクの負荷が低減されるとともに、回転駆動時におけるブラシ部75bと叩き部(スプリング21a)とのトナーによる溶着が起こりにくくなる。
また、図5(a)(b)に示すように、櫛状の板金21bは複数の歯を有しており、この各歯がクリーニングローラ75のブラシ部75bに当接するように、該クリーニングローラ75の軸方向(クリーニングローラ75の長手方向)に沿って並んでいる。このように、複数の歯を有する櫛状の板金21bを用いると、適度な間隙を有する歯の部分にブラシ部75bが当たるため、棒状のものを用いた場合に比較して、よりソフトにブラシ部75b(導電性のポリアミド繊維)を叩くことができる。この結果、クリーニングローラ75の回転トルクの負荷が軽減されるとともに、ブラシ部75bの毛(導電性のポリアミド繊維)同士のトナーによる引っ付きをほぐすことができる。
図9は本実施の形態における(電子写真式の)画像形成装置の内部構造を示す断面図である。なお、この図は、電子写真式画像形成装置に関係する部分のみを説明したものであり、実際の本装置の全機能を示した図ではない。
この画像形成装置41は、画像読取装置42にて読み込まれた画像や、画像形成装置41に外部から接続された機器(例えばパーソナルコンピュータなどの画像処理装置)からのデータを画像として記録出力するものである。
画像形成装置41には、感光体ドラム1を中心に、画像形成プロセスの各機能を担う各プロセスユニットが配置され、これらにより画像形成部が構成されている。感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1の回転方向に、帯電装置2、光走査装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6および除電装置7等が順次配置されている。
帯電装置2は、感光体ドラム1の表面を均一に帯電させるものである。光走査装置3は、均一に帯電された感光体ドラム1上に光像を走査して静電潜像を書き込むものである。現像装置4は、光走査装置3により書き込まれた静電潜像を現像剤補給容器8から供給される現像剤(たとえば、トナー)により顕像化するものである。転写装置5は、感光体ドラム1上に顕像化された画像を記録シート上に転写するものである。クリーニング装置6は、感光体ドラム1上に残留した現像剤を除去して感光体ドラム1上に新たな画像を形成することを可能にするものである。除電装置7は、感光体ドラム1表面の電荷を除去するものである。
画像形成装置41の下部には供給トレイ9が内装されている。この供給トレイ9は、記録シートを収容する記録シート収容トレイである。供給トレイ9に収容された記録シートは、ピックアップローラ10等により1枚ずつ分離され、レジストローラ11まで搬送され、レジストローラ11により感光体ドラム1に形成された画像とのタイミングが計られ、転写装置5と感光体ドラム1との間に順次供給される。そして感光体ドラム1上に記録再現された画像は記録シート上に転写される。なお、供給トレイ9への記録シートの補給は、画像形成装置41の正面側(操作側)に供給トレイ9を引き出して行う。
画像形成装置41の下面には記録シート受入口12、13が形成されている。これら記録シート受入口12,13は、周辺装置として準備されている多段の記録シート供給トレイを有する記録シート供給装置46、および大量の記録シートを収容可能とした記録シート供給装置47等から送られる記録シートを受け入れ、画像形成部に向かって記録シートを順次供給するためのものである。
画像形成装置41内の上部には、定着装置14が配置されている。この定着装置14は、画像が転写された記録シートを順次受け入れて、定着部材としての加熱ローラ31と加圧部材としての加圧ローラ32等により、記録シート上に転写された現像画像を熱と圧力により定着するものである。これにより、記録シート上に画像が記録される。
画像が記録された記録シートは、搬送ローラ15によりさらに上方へ搬送され、切換えゲート16を通過する。そして、記録シートの排出トレイが画像形成装置41に外装された積載トレイ17に設定されている場合、記録シートは反転ローラ18により積載トレイ17上に排出される。一方、両面画像形成や後処理が指定されている場合、記録シートは、一旦反転ローラ18により積載トレイ17に向けて排出される。なお、この場合には、記録シートを完全に排出せず、記録シートを狭持させたまま反転ローラ18を逆転させる。そして、記録シートを逆方向、つまり両面画像形成や後処理のために選択的に装着されている記録シート再供給搬送装置43(図10参照)や後処理装置45(図10参照)の装着されている方向に反転搬送する。このとき、切換えゲート16は、図9の実線の状態から破線の状態に切換えられる。
両面画像形成を行う場合、反転搬送された記録シートは、記録シート再供給搬送装置43を通り、再び画像形成装置41に供給される。後処理が成される場合、反転搬送された記録シートは、記録シート再搬送装置43から別の切換えゲートにて、中継搬送装置44を介して後処理装置45に搬送され、後処理が施される。
光走査装置3の上空間部には、画像形成プロセスを制御する回路基板および外部機器からの画像データを受け入れるインターフェイス基板等を収容する制御装置19が配置され、光走査装置3の下空間部には、各種の上記インターフェイス基板、ならびに各上記画像形成プロセスUNに対して電力を供給する電源装置20が配置されている。
図10に、画像形成システムの構成を示す。なお、図9に示した画像形成装置41は、図10に示す画像形成システムに備えられている。この画像形成システムは、画像形成装置41の他、画像読取装置42、記録シート再供給搬送装置43、中継搬送装置44、後処理装置45、記録シート供給装置46および記録シート供給装置47を備えている。
画像読取装置42は、セットされた原稿の画像を露光走査して光電変換素子であるCCD上に結像し、原稿画像を電気的信号に変換した上で画像データとして出力する。読み取られた画像データは、画像形成装置41の画像処理装置にて、画像補正やラスタライズ等の加工処理後に、光走査装置3にて感光体ドラム1へ書き込まれる。
この画像読取装置42は、原稿の片面だけでなく両面をほぼ同時に読み取ることができるようになっており、また自動(自動原稿搬送装置48)/手動にて原稿を搬送することができる。
記録シート再供給搬送装置43は、画像形成装置41の左側側面に取り付けられた記録シート搬送経路ユニットである。この記録シート再供給搬送装置43は、定着装置14から排出された画像が記録された記録シートを画像形成装置41上部の排紙部の反転ローラ18を用いて反転搬送して、記録シートの表裏を反転した上で、再度、画像形成装置41における画像形成部の感光体ドラム1と転写装置5との間(転写部)に向かって供給する。
中継搬送装置44は、記録シートを後処理装置45に搬送するものであり、記録シート再供給搬送装置43と後処理装置45との間に装着されている。
後処理装置45は、画像形成システムの左側位置に配置されており、第1の記録シート排出部45aと第2の記録シート排出部45bとを備えている。
第1の記録シート排出部45aは、画像形成装置41から排出された画像の形成された記録シートを、後処理装置45の側面上部に設けられた受け取り搬送部45cによって受け取り、記録シートがそのままの状態で排出される排出部である。
第2の記録シート排出部45bは、ステープルやパンチ等選択的に装着される後処理装置45により後処理が成された記録シートが排出される排出部である。これら第1と第2の記録シート排出部45a,45bは、使用者によって適宜選択される。
後処理装置45は、図示しないが、所定枚数の記録シートに対してステープル処理を施す機能、B4もしくはA3などの記録シートの紙折りする機能、ファイリング用の穴を形成する機能、あるいはソートや仕分けを行うために数ビン〜数10ビンの多数の記録シート排出部を有する機能のうち幾つかを組み合わせて搭載している。
なお、本発明の定着装置のクリーニング装置は、加熱手段により加熱される加熱ローラと、加熱ローラに所定接触圧力をもって圧接する加圧ローラとを備え、これら両ローラ間に記録シートを挟み込み、記録シート上の現像剤を記録シートに定着させる定着装置のクリーニング装置であって、前記加圧ローラに接触して、この加圧ローラの表面の現像剤を除去するクリーニングローラを備え、このクリーニングローラは、加圧ローラを保護する定着カバーによって保持されていることを特徴としているともいえる。この場合、前記定着カバーは、クリーニングローラを包むガイドを備えることが好ましい。また、前記定着カバーには、クリーニングローラのブラシをたたく部分が設けられていることが好ましい。また、前記定着カバーには、クリーニングされた現像剤及び紙粉等を回収する袋部分を設けることが好ましい。