JP4467532B2 - 液状調味料 - Google Patents

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Description

本発明は、食用油脂の配合量が5%未満の液状調味料において、植物ステロール類を配合し、コク味を有する液状調味料に関する。
食用油脂の配合量が5%未満の液状調味料で代表されるノンオイルドレッシング、ポン酢等は、さっぱりとした口当たりを有するという利点があるが、食用油脂の配合量が5%未満と少ないため、コク味が足りないという問題があった。
一方、植物ステロール類は、日常的に摂取することにより、血中の総コレステロール及び低密度リポ蛋白質−コレステロール濃度を低下させる機能を有することが知られている。これら植物ステロール類は、植物油脂、大豆、小麦等の食材に含まれているがその含有量は極僅かであるため、これら植物ステロール類を強化して日常的に摂取できるようにした食品の開発が望まれている。
そこで、本発明者らは、植物ステロール類が脂質成分であるため、コク味を付与できることを期待し、植物ステロールを添加した上記の液状調味料を製した。しかしながら、植物ステロールは、食用油脂と同様に水に対する溶解性が極めて低いが、乳化調味料等で一般的に使用されている液状の食用油脂と異なり、その性状が粉末であり、食感が異なる。そのためか、植物ステロールを単に添加しただけでは、上記の液状調味料にコク味を付与することが困難であった。
WO2005/041692 WO2005/041690
そこで、本発明の目的は、植物ステロール類を用いて、コク味を有する液状調味料を提供するものである。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体を配合するならば、意外にも液状調味料にコク味を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)食用油脂の配合量が5%未満の液状調味料において、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体が配合されている液状調味料、
(2)前記複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部である(1)の液状調味料、
(3)前記複合体の配合量が、製品に対し乾物換算で0.05〜20%である(1)又は(2)の液状調味料、
である。
なお、本出願人は、既に植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及び前記複合体を含有した水中油型乳化食品を出願している(WO2005/041692:特許文献1、WO2005/041690:特許文献2)。しかしながら、当該出願には、食用油脂の配合量が5%未満の液状調味料に前記複合体を添加することはいっさい検討されていない。
本発明によれば、食用油脂の配合量が5%未満の液状調味料に、コク味を有することが可能となる。したがって、本発明により、食用油脂の配合量が5%未満の液状調味料の新たな需要を拡大することができる。
以下本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ意味する。
本発明は、食用油脂の配合量が5%未満の液状調味料であって、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体が配合されていることを特徴とし、これにより、コク味を有する効果を奏する。この食用油脂の配合量が5%未満の液状調味料としては、ノンオイルドレッシング、たれ、ポン酢、醤油、酢、ケッチャップ、つゆ、味醂、ソース等が挙げられる。
ここで、本発明の食用油脂とは、トリアシルグリセロール又はジアシルグリセロールを主成分とする脂質のことであり、菜種油、大豆油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、綿実油、ごま油、こめ油、パーム油、パームオレイン、オリーブ油、落花生油、やし油、しそ油、牛脂、ラード、魚油等の動植物油又はこれらの精製油、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、エステル交換油等のような化学的あるいは酵素処理等を施して得られる油脂等が挙げられる。また、本発明の食用油脂には植物ステロール類は含まない。
本発明の卵黄リポ蛋白質は、卵黄蛋白質と、親水部分及び疎水部分を有するリン脂質、及びトリアシルグリセロール、コレステロール等の中性脂質とからなる複合体である。当該複合体は、蛋白質やリン脂質の親水部分を外側にし、疎水部分を内側にして、中性脂質を包んだ構造をしている。卵黄リポ蛋白質は、卵黄の主成分であって、卵黄固形分中の約80%を占める。したがって、本発明の卵黄リポ蛋白質としては、当該成分を主成分とした卵黄を用いるとよく、食用として一般的に用いている卵黄であれば特に限定するものではない。例えば、鶏卵を割卵し卵白液と分離して得られた生卵黄をはじめ、当該生卵黄に殺菌処理、冷凍処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、ホスフォリパーゼA、ホスフォリパーゼA、ホスフォリパーゼC、ホスフォリパーゼD又はプロテアーゼ等による酵素処理、酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、超臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩又は糖類等の混合処理等の1種又は2種以上の処理を施したもの等が挙げられる。また、本発明では、鶏卵を割卵して得られる全卵、あるいは卵黄と卵白とを任意の割合で混合したもの、あるいはこれらに上記処理を施したもの等を用いてもよい。
一方、本発明の植物ステロール類とは、コレステロール又は当該飽和型であるコレスタノールに類似した構造をもつ植物の脂溶性画分より得られる植物ステロール又は植物スタノール、あるいはこれらの構成成分のことであり、植物ステロール類は、植物の脂溶性画分に合計で数%存在する。また、市販の植物ステロール又は植物スタノールは、融点が約140℃前後で、常温で固体であり、これらの主な構成成分としては、例えば、β−シトステロール、β−シトスタノール、スチグマステロール、スチグマスタノール、カンペステロール、カンペスタノール、ブラシカステロール、ブラシカスタノール等が挙げられる。また、植物スタノールについては、天然物の他、植物ステロールを水素添加により飽和させたものも使用することができる。なお、本発明において植物ステロール類は、いわゆる遊離体を主成分とするが、若干量のエステル体を含有していてもよい。
本発明に用いる植物ステロール類は、市販されている粉体あるいはフレーク状のものを用いることができるが、平均粒子径が50μm以下、特に10μm以下の粉体を使用することが好ましい。平均粒子径が50μmを超える粉体あるいはフレーク状の植物ステロール類を用いる場合には、卵黄と攪拌混合して複合体を製造する際に、均質機(T.K.マイコロイダー:プライミクス(株)製等)を用いて植物ステロール類の粒子を小さくしつつ攪拌混合を行うことが好ましい。これにより、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体が形成され易くなり、また、当該複合体を食用油脂の配合量が5%未満の液状調味料に配合したときに、ざらつき感が生じ難い口当たりの良いものが得られる。
本発明の食用油脂の配合量が5%未満の液状調味料に配合する植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体は、上述した植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質を主成分とする卵黄とを、好ましくは10μm以下の粉体状の植物ステロール類と卵黄を水系中で攪拌混合することにより得られる。具体的には、工業的規模での攪拌混合し易さを考慮し、卵黄リポ蛋白質として、卵黄を水系媒体で適宜希釈した卵黄希釈液を使用し、当該卵黄希釈液と植物ステロール類とを攪拌混合して製造することが好ましい。前記水系媒体としては、水分が90%以上のものが好ましく、例えば、清水の他に卵白液、液状調味料(例えば、醤油、だし汁)等が挙げられる。また、前記卵黄希釈液の濃度としては、その後、添加する植物ステロール類の配合量にもよるが、卵黄固形分として0.01〜50%の濃度が好ましく、攪拌混合時の温度は、常温(20℃)でもよいが、45〜55℃に加温しておくと複合体と攪拌混合し易く好ましい。攪拌混合は、例えば、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモゲナイザー、T.K.マイコロイダー(プライミクス(株)製)等の均質機を用いて、全体が均一になるまで行うとよい。また、上述の方法で得られたものは、複合体が水系媒体に分散したものであるが、噴霧乾燥、凍結乾燥等の乾燥処理を施して乾燥複合体としてもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、複合体に他の原料を配合してもよい。
植物ステロールは、水への分散処理を施しても、その後、水面に浮いてしまう性質を有する。これに対し本発明で用いる複合体は、後述で示すとおり水に分散する性質を有する。よって、本発明で用いる複合体は、両親媒性を有する卵黄リポ蛋白質が、当該疎水部分を疎水物である植物ステロール類の表面側に、親水部分を外側に向けて植物ステロール類の表面に付着した状態と推定される。また、このように本発明で用いる複合体は、表面が親水化されていることにより、上記液状調味料に配合したときに、コク味を有したのではないかと推定する。
本発明で用いる複合体は、当該原料である植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部であることが好ましい。当該構成比は、卵黄固形分中に卵黄リポ蛋白質は約8割存在するから、卵黄固形分1部に対して植物ステロール類4〜185部に相当する。後述で示すとおり水分散性を有する複合体は、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類が前記範囲で形成しているところ、植物ステロールが前記範囲より少ないと複合体を形成できなかった卵黄リポ蛋白質が残存し、一方、前記範囲より多いと水分散性を有した複合体が得られない。したがって、植物ステロール類が前記範囲より少ないと、範囲内にあるものと比較し、上記液状調味料に同量配合した場合、相対的に複合体の実質的な量が少なくなるためか、本発明の効果を奏し難く好ましくない。また、同様な効果を奏するために複合体の実質的な量を基準に考えると、植物ステロール類が前記範囲より少ないと、範囲内にあるものと比較し、上記液状調味料への配合量を相対的に多く配合する必要があり、経済的でなく好ましくない。一方、植物ステロール類が前記範囲より多いと、複合体の水への親和性が低下するためか、本発明の効果を奏し難く好ましくない。
また、食用油脂の配合量が5%未満の液状調味料への植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体の配合量は、製品に対して乾物換算で0.05〜20%が好ましく、0.5〜10%がより好ましい。前記複合体の配合量が前記範囲より少ないと、コク味を付与するのが難しく、一方、前記範囲より多いと、風味のバランスが悪くなり好ましくない。
本発明の必須の配合原料である植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体は、表面が親水化されている。本発明の食用油脂の配合量が5%未満の液状調味料に前記複合体を添加する方法としては、例えば、前記複合体の調製過程で発生する水系媒体に分散した複合体をそのまま、あるいは乾燥した前記複合体を水系媒体と混合したものを、あるいは乾燥した前記複合体をそのまま添加混合する方法等が挙げられる。本発明の液状調味料を製する際は、前記複合体を前記方法等により添加し、常法に則り液状調味料を製すればよい。なお、本発明は、本発明の効果を損なわない範囲で液状調味料に一般的に使用されている原料を適宜配合すればよい。このような原料としては、例えば、食酢、食塩、砂糖、醤油、味噌、味醂、核酸系旨味調味料等の各種調味料、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、柑橘果汁等の酸材、香辛料、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、色素、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、アラビアガム等の増粘材等、玉ねぎ、大根、赤ピーマン、ニンニク、しょうが、梅、かつおぶし、オリーブ、バジル等のハーブ、唐辛子、みょうが、ごま、のり、青じそ、しいたけ、ねぎ、ナッツ、ベーコン、ゆず等の具材の截断物、おろし、あるいは、ペースト状物等が挙げられる。
以下、本発明で用いる植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体及びこれを用いた食用油脂の配合量が5%未満の液状調味料について、実施例等に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
[調製例1]:複合体の構成成分の解析及び複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比
まず、卵黄液5g(卵黄固形分2.5g、卵黄固形分中の卵黄リポ蛋白質約2g)に清水95gを加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpmで1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した。次に5000rpmで攪拌しながら植物ステロール(遊離体97.8%、エステル体2.2%、平均粒子径約3μm)2.5gを添加し、さらに10000rpmで5分間攪拌し、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質とから形成された複合体の分散液を得た(調製例1−1)。
得られた分散液1gを取り、0.9%食塩水4gを加え、真空乾燥機(東京理科器械社製、VOS−450D)で真空度を10mmHgにして1分間脱気し、遠心分離器(国産遠心分離器社製、モデルH−108ND)で3000rpmで15分間遠心分離を行い、沈澱と上澄みとを分離した。この上澄みを0.45μmのフィルターで濾過し、さらに0.2μmのフィルターで濾過し、複合体と、複合体を形成していない植物ステロールとを除去した。
この濾液の吸光度(O.D.)を、分光光度計(日立製作所製、U−2010)を用いて、0.9%食塩水を対照とし、280nm(蛋白質中の芳香環をもつアミノ酸の吸収)で測定し、濾液中の蛋白質の量を測定した。
植物ステロールの添加量を表1のように変え、同様に吸光度を測定した(調製例1−2〜調製例1−8)。この結果を表1に示す。
また、調製例1−1の濾液と、調製例1−6の濾液については、更に440nmの吸光度を測定した。ここで、440nmは、卵黄リポ蛋白質中に含まれる油溶性の色素(カロチン)の吸収波長である。この結果を表2に示す。
Figure 0004467532
Figure 0004467532
複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以下であると、表1より、植物ステロールの割合が増えるに伴い、濾液中の蛋白質あるいはアミノ酸の含量の指標となる280nmの吸光度が小さくなっており、蛋白質あるいはアミノ酸の含量が減少することが分かる。また、表2より、濾液中の油脂含量の指標となる440nmの吸光度において、調製例1−1の濾液は調製例1−6に比べ吸光度が優位に高く、油脂含量が明らかに多いことが分かる。一方、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以上であると、表1より、濾液中の蛋白質あるいはアミノ酸の含量の指標となる280nmの吸光度は略一定を示し、表2より、濾液中の油脂含量の指標となる440nmの吸光度において、調製例1−6の濾液は調製例1−1に比べ吸光度が優位に低く、油脂含量が明らかに少ないことが分かる。
以上の結果より、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部以上であるものの分散液には、複合体以外に、卵黄リポ蛋白質でない遊離の蛋白質あるいはアミノ酸が存在し、一方、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが5部より少ないものの分散液には、前記遊離の蛋白質あるいはアミノ酸に加え、複合体を形成しなかった卵黄リポ蛋白質が存在しているものと推定される。したがって、卵黄リポ蛋白質1部を余すことなく複合体の形成に使用するためには、植物ステロール類が5部以上必要であることが分かる。
[調製例2]:複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比
鶏卵を工業的に割卵して得られた卵黄液(固形分45%)と清水の量と植物ステロールの量を表3の通りに変更して、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を調製し、この分散液の分散性から、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との好ましい構成比を検討した。
すなわち、鶏卵を割卵して取り出した卵黄液(固形分45%)に清水を加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した後、45℃に加温し、次に5000rpmで攪拌しながら植物ステロール(調製例1と同じもの)を除々に添加し、添加し終えたところで、さらに10000rpmで攪拌して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を得た。
また、分散液の分散性に関しては、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液0.5gを試験管(内径1.6cm、高さ17.5cm)にとり、0.9%食塩水10mLで希釈し、試験管ミキサー(IWAKI GLASS MODEL−TM−151)で10秒間撹拌することにより振盪し、その後1時間室温で静置し、さらに真空乾燥機(東京理化器械社製、VOS−450D)に入れ、真空度を10mmHg以下にして室温(20℃)で脱気を行い、脱気後に浮上物が見られない場合を○、浮上物が見られた場合を×と判定した。これらの結果を表3に示す。
なお、植物ステロールを加熱溶解し、冷却し、比重の異なるエタノール液に浸けて浮き沈みによりその比重を求めたところ、0.98であったことから、上述の分散性の試験での浮上物は植物ステロールであると考えられる。
Figure 0004467532
表3より、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロールが232部以下であると、複合体に良好な水分散性を付与できることが分かる。
調製例1及び調製例2の結果より、複合体が良好な水分散性を有し、しかも卵黄リポ蛋白質1部を余すことなく複合体の形成に使用するためには、複合体の構成比が卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部の範囲であることが分かる。
[調製例3]
清水7.5kgに殺菌卵黄(固形分45%、キユーピー(株)製)0.5kgを加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した後、50℃に加温し、次に5000rpmで攪拌及び真空度350mmHgで脱気しながら植物ステロール(調製例1と同じもの)2kgを除々に添加し、添加し終えたところで、さらに同回転数で30分間攪拌して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体(殺菌卵黄使用)の分散液を得た。なお、得られた分散液中の複合体の構成比は、卵黄固形分1部に対し植物ステロール8.9部であり、卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロール11.1部である。
[調製例4]
清水17.5kgに殺菌卵黄(固形分45%、キユーピー(株)製)0.5kgを加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した後、50℃に加温し、次に5000rpmで攪拌及び真空度350mmHgで脱気しながら植物ステロール(調製例1と同じもの)2kgを除々に添加し、添加し終えたところで、さらに同回転数で30分間攪拌して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を得た。得られた複合体の分散液を噴霧乾燥機を用いて、送風温度170℃、排風温度70〜75℃の条件で乾燥し、乾燥複合体(殺菌卵黄使用)を得た。なお、複合体の構成比は、調製例3のものと同じである。
[調製例5]
生卵黄10kg(固形分50%)を50℃に加温し、豚膵臓由来のホスフォリパーゼA(ノボザイムス社「レシターゼ10L」)5mLを添加し、2時間攪拌しリゾ化率61%のホスフォリパーゼA処理卵黄を得た。なお、卵黄をホスフォリパーゼAで処理すると、ホスフォリパーゼAは、卵黄中の卵黄リポ蛋白質の構成成分であるリン脂質の1位のアシル基に、ホスフォリーパーゼAは、リン脂質の2位のアシル基に、それぞれ作用し、リゾリン脂質と脂肪酸に加水分解される。また、前記リゾ化率は、酵素処理後におけるリゾホスファチジルコリンとホスファチジルコリンの合計質量に対するリゾホスファチジルコリンの質量割合をイヤトロスキャン法(TLC−FID法)で分析し算出した値である。
調製例4の殺菌卵黄に換えて上記ホスフォリパーゼA処理卵黄を用いた以外は調製例4に準じて乾燥複合体(ホスフォリパーゼA処理卵黄)を調製した。なお、得られた複合体の構成比は、卵黄固形分1部に対し植物ステロール8.0部であり、卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロール10.0部である。
[実施例1]ノンオイルドレッシング
下記配合のノンオイルドレッシングを製した。つまり、調製例3で得られた複合体分散液と、下記の配合割合に示す他の原料を撹拌・混合した。そして得られたノンオイルドレッシングを250mL容量のPET容器に充填し、密栓した。得られたノンオイルドレッシングには、製品15gに対して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質との複合体が1g含まれている。
<ノンオイルドレッシングの配合割合>
食酢(酸度5%) 26.0%
味醂 8.0%
食塩 3.0%
L−グルタミン酸ナトリウム 1.3%
白胡椒 0.2%
キサンタンガム 0.05%
複合体分散液(調整例3) 30.6%
清水 残余
――――――――――――――――――――――――――
合計 100.0%
[実施例2]ノンオイルドレッシング
実施例1のノンオイルドレッシングで使用した調製例3の複合体(殺菌卵黄使用)分散液に換えて調製例4の乾燥複合体(殺菌卵黄使用)6.7%を用いた。ノンオイルドレッシングは、実施例1に準じて製した。得られたノンオイルドレッシングには、製品15gに対して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質との複合体が1g含まれている。
[実施例3]ノンオイルドレッシング
実施例2のノンオイルドレッシングで使用した調製例4の乾燥複合体(殺菌卵黄使用)に換えて調製例5の乾燥複合体(ホスフォリパーゼA処理卵黄)6.7%を用いた。ノンオイルドレッシングは、実施例1に準じて製した。得られたノンオイルドレッシングには、製品15gに対して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質との複合体が1g含まれている。
[比較例1]ノンオイルドレッシング
実施例1のノンオイルドレッシングで使用した調製例3の複合体(殺菌卵黄使用)分散液に換えて清水を用いた。ノンオイルドレッシングは、実施例1に準じて製した。
[比較例2]ノンオイルドレッシング
実施例2のノンオイルドレッシングで使用した調製例4の乾燥複合体(殺菌卵黄使用)に換えて植物ステロール(調製例1と同じもの)6.7%を用いた。ノンオイルドレッシングは、実施例1に準じて製した。得られたノンオイルドレッシングには、製品15gに対して植物ステロールが1g含まれている。
[試験例1]
実施例1〜3、並びに比較例1及び2で得られた各ノンオイルドレッシングを翌日まで20℃で保存したものを、風味テストした。結果を表4に示す。
Figure 0004467532
<評価基準>
○:コク味を感じる
△:ややコク味を感じる
×:コク味を感じない
本発明の複合体の分散液、あるいは乾燥複合体を配合した実施例1〜3のノンオイルドレッシングは、複合体を配合しなかった比較例1、あるいは複合体でなく植物ステロールを配合した比較例2のノンオイルドレッシングと比較し、コク味を感じることが理解される。また、複合体の原料である植物ステロールを植物スタノールに変更した場合も同様な結果となった。
[実施例4]しゃぶしゃぶのたれ
下記配合のしゃぶしゃぶのたれを製した。つまり、調製例3で得られた複合体分散液と、下記の配合割合に示す他の原料を撹拌・混合した。そして得られたしゃぶしゃぶのたれを250mL容量のPET容器に充填し、密栓した。得られたしゃぶしゃぶのたれには、製品40gに対して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質との複合体が1g含まれる。
<しゃぶしゃぶのたれの配合割合>
醤油 22.0%
リンゴ酢 9.0%
味醂 8.0%
ぶどう糖 6.0%
デラウェア果汁(5倍濃縮) 1.6%
砂糖 1.5%
L−グルタミン酸ナトリウム 1.3%
ジンジャーペースト 0.2%
複合体分散液(調整例3) 11.5%
清水 残余
――――――――――――――――――――――――――
合計 100.0%
[実施例5]しゃぶしゃぶのたれ
実施例4のしゃぶしゃぶのたれで使用した調製例3の複合体(殺菌卵黄使用)分散液に換えて調製例4の乾燥複合体(殺菌卵黄使用)2.5%を用いた。しゃぶしゃぶのたれは、実施例4に準じて製した。得られたしゃぶしゃぶのたれには、製品40gに対して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質との複合体が1g含まれている。
[実施例6]しゃぶしゃぶのたれ
実施例5のしゃぶしゃぶのたれで使用した調製例4の乾燥複合体(殺菌卵黄使用)に換えて調製例5の乾燥複合体(ホスフォリパーゼA処理卵黄)2.5%を用いた。しゃぶしゃぶのたれは、実施例4に準じて製した。得られたしゃぶしゃぶのたれには、製品40gに対して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質との複合体が1g含まれている。
[比較例3]しゃぶしゃぶのたれ
実施例4のしゃぶしゃぶのたれで使用した調製例3の複合体(殺菌卵黄使用)分散液に換えて清水を用いた。しゃぶしゃぶのたれは、実施例4に準じて製した。
[比較例4]しゃぶしゃぶのたれ
実施例5のしゃぶしゃぶのたれで使用した調製例4の乾燥複合体(殺菌卵黄使用)に換えて植物ステロール(調製例1と同じもの)2.5%を用いた。しゃぶしゃぶのたれは、実施例4に準じて製した。得られたしゃぶしゃぶのたれには、製品40gに対して植物ステロールが1g含まれている。
[試験例2]
実施例4〜6、並びに比較例3及び4で得られた各しゃぶしゃぶのたれを翌日まで20℃で保存したものを、風味テストした。結果を表5に示す。
Figure 0004467532
<評価基準>
○:コク味を感じる
△:ややコク味を感じる
×:コク味を感じない
本発明の複合体の分散液、あるいは乾燥複合体を配合した実施例4〜6のしゃぶしゃぶのたれは、複合体を配合しなかった比較例3、あるいは複合体でなく植物ステロールを配合した比較例4のしゃぶしゃぶのたれと比較し、コク味を感じることが理解される。また、複合体の原料である植物ステロールを植物スタノールに変更した場合も同様な結果となった。
[実施例7]ポン酢
下記配合のポン酢を製した。つまり、調製例3で得られた複合体分散液と、下記の配合割合に示す他の原料を撹拌・混合した。そして得られたポン酢を250mL容量のPET容器に充填し、密栓した。得られたポン酢には、製品10gに対して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質との複合体が0.5g含まれている。
<ポン酢の配合割合>
醤油 30.0%
食酢(酸度5%) 30.0%
ゆず果汁 15.0%
L−グルタミン酸ナトリウム 1.5%
複合体分散液(調整例3) 22.9%
清水 残余
――――――――――――――――――――――――――
合計 100.0%
[実施例8]ポン酢
実施例7のポン酢で使用した調製例3の複合体(殺菌卵黄使用)分散液に換えて調製例4の乾燥複合体(殺菌卵黄使用)5%を用いた。ポン酢は、実施例7に準じて製した。得られたポン酢には、製品10gに対して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質との複合体が0.5g含まれている。
[実施例9]ポン酢
実施例8のポン酢で使用した調製例4の乾燥複合体(殺菌卵黄使用)に換えて調製例5の乾燥複合体(ホスフォリパーゼA処理卵黄)5%を用いた。ポン酢は、実施例7に準じて製した。得られたポン酢には、製品10gに対して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質との複合体が0.5g含まれている。
[比較例5]ポン酢
実施例7のポン酢で使用した調製例3の複合体(殺菌卵黄使用)分散液に換えて清水を用いた。ポン酢は、実施例7に準じて製した。
[比較例6]ポン酢
実施例8のポン酢で使用した調製例4の乾燥複合体(殺菌卵黄使用)に換えて植物ステロール(調製例1と同じもの)5%を用いた。ポン酢は、実施例7に準じて製した。得られたポン酢には、製品10gに対して植物ステロールが0.5g含まれている。
[試験例3]
実施例7〜9、並びに比較例5及び6で得られた各ポン酢を翌日まで20℃で保存したものを、風味テストした。結果を表6に示す。
Figure 0004467532
<評価基準>
○:コク味を感じる
△:ややコク味を感じる
×:コク味を感じない
本発明の複合体の分散液、あるいは乾燥複合体を配合した実施例7〜9のポン酢は、複合体を配合しなかった比較例5、あるいは複合体でなく植物ステロールを配合した比較例6のポン酢と比較し、コク味を感じることが理解される。また、複合体の原料である植物ステロールを植物スタノールに変更した場合も同様な結果となった。

Claims (3)

  1. 食用油脂の配合量が5%未満の液状調味料において、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体が配合されていることを特徴とする液状調味料。
  2. 前記複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比が、卵黄リポ蛋白質1部に対して植物ステロール類5〜232部である請求項1記載の液状調味料。
  3. 前記複合体の配合量が、製品に対し乾物換算で0.05〜20%である請求項1又は2記載の液状調味料。
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